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バトルロワイアルぺティー

162リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/17(土) 10:41 ID:1Nf1VncU
 千嶋和輝(男子九番)は言った。「カマがあったよ。ちょっと錆びてるけど、使えると思う」
「ありがとう」笹川加奈(女子十四番)は、ふっと笑った。
「でも、重いねー」そう言って、カマを水平に持ち上げた。
「危ないからあんま振り回すなよ」
「わかってるってー」わかってなさそうだった。


和輝は目を細めた。加奈の肩に手を置いた。
「どうしたの?」加奈は和輝を見た。
和輝は顎だけで、見ろ、という合図をした。

加奈は和輝の視線の方向に向いた。笑っていた顔が、止まった。


加奈は言った。「薫・・・」


大島薫(女子九番)は、小型の銃(ジグ・ザウエルP230)を、まっすぐに二人に向けていた。
表情は、よく読み取れなかった。怒っているような、悲しんでいるような。しかし、嬉しそうではなかった。


薫は言った。「殺されたくなければ、今すぐここを出て」

加奈は言った。「何で、どうしちゃったの?正気に戻ってよ」


ぱん、と乾いた音がして、すぐ近くにあったダンボールに、穴が開いた。

和輝は、加奈を自分の後ろにやった。
「・・・どういうつもりだ」
「無駄な争いは避けたいの」

よくわからなかった。田辺卓郎(男子八番)を殺した時とは、どことなく様子が違って見えた。

よせばいいのに、また加奈が言った。
薫、怖がらなくてもいいんだよ。私も和輝も、薫のこと、殺すなんて考えてないよ。だから―――」

「うるさい!」薫は加奈の言葉を、遮った。
加奈はビクッとして、黙り込んだ。

薫は続けた。「私は生き残りたいの。国立の大学に入るって。絶対に入るの!」


薫は加奈に銃口を向けた。「早く出て。出来れば、殺したくない」


「出よう」和輝は加奈の方を向いた。加奈の瞳には、涙がたまっていた。
「うん・・・」頷いた。加奈は薫を見て、涙を拭った。



小屋を出て、和輝は加奈に言った。「あいつは、田辺を殺したんだよ」
加奈はショックを受けていた。「そんな。薫、何で・・・」
「わかんない。でも、小笠原さんの顔を見たら逃げていった」

今ならわかるけど、あれは多分、友人であった小笠原あかり(女子九番)を殺すのが、嫌だったんだろう。
薫には、まだ正気の部分は残っていた。しかし、だからこそ恐ろしい部分もあるのだ。


「皆、いなくなっちゃうんだね」
加奈は、両手で目を押さえた。声をあげて、ゆっくりと泣き出した。
「泣くな」和輝は、苦々しい思いで言った。


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