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バトルロワイアルぺティー

144リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/10(土) 10:47 ID:1Nf1VncU
 ここは、エリアG=5だった。二人は、川を渡ってちょうど中央の方角にきていた。
誰もいないようだった。

「いないねー」美保が言った。
「ああ・・・ってか、疲れたんだけど。休まない?」
亘祐の発言に、美保は諭すように言った。「駄目だよー。一人でも殺して帰らなきゃ」

「・・・そのうちくるって。休もうぜ」そう言うなり腰を下ろした。
美保はあっ、と声をあげて、亘祐の手を引っ張った。びくともしなかった。
そりゃそうだ。こんな細い手で、オレの力に勝てるわけない。

「もー。勝手なんだからー」美保は仕方がなさそうに、亘祐の近くに腰を下ろした。


二人は何も話さずに、しばらくそうしていた。


涼しい木陰。穏やかな風。よく晴れた夏の日。

亘祐は、何だか心地よい錯覚に苛まれた。彼女と旅行にきて、一緒に別荘で涼んでいる。これが、クラスメイト同士の殺し合いゲームの最中で、二人はゲームに乗った共犯者だということすら、全くの嘘のような気がした。



美保はファンデーションを塗り直していた。亘祐の視線に気づくと、「見ないでよ」と、少し恥ずかしそうに言った。

亘祐は訊いた。「何で女ってそんなもん塗りたがるの」
「少しでも肌を綺麗に見せたい、からじゃない?」
「オレのおふくろもよく塗ってるけど、塗りすぎて白くなってんだわ。あんなのちっとも綺麗じゃねーよ」亘祐の発言に、美保はクスッと笑った。
「それでも若く見せたいんだよ。そういうモンなの」
「へー」
むしろ老けて見えるんだけどな。今度(いつなのかは未定だが)注意しとこうっと。亘祐は呑気に、そんなことを考えた。


亘祐は、ふと訊いてみた。「お前さー、ゲームに乗るとか言ってっけど、もし残りが二人になったら、どうすんの?その前に、オレのことも殺すつもり?」
不安はあった。美保の思惑がわからない以上、手放しで信用することは出来ない。安心して、背を向けることも出来なかった。

美保は言った。「そうだったら、どうするの?」

亘祐は黙った。組むとは言ったが、何せどっちもゲームに乗っている立場なのだ。いつ殺しあってもおかしくない。そんな状況だった。
亘祐は言った。「今、ここで殺す」
美保の目が、少し見開かれた。「待ってよ。たとえそうだったとしたら、仲田君は私に気をつければいいじゃない。それに、反対のことだって言えるんだよ?」
「は?」意味がわからなかった。
「だーかーらー、仲田君が、いつ気が変わって私を殺しても、おかしくないってこと。そうしたら、どう考えたって私の方が不利だよね?力じゃ絶対に勝てないし」
「まあな」
美保は笑みを浮かべた。「私が、どうしてそんな危ない道を渡ってるか、わかる?」

諒のことが好きだから?一瞬そんな考えが浮かんで、すぐに打ち消した。
「わかんねえ」
美保は言った。「仲田君のこと、仲間だと思ってるからだよ」


美保の考えはわかった。
仲間。それは、亘祐にとって大切な言葉だった。そのため、美保の考えは筋が通っていると感じた。やはり、自分と美保は同類なのだと思った。

「わかった。悪かったな」
「だから、仲田君も、私のこと殺さないでね。寝てる間にブスッ、とかやだよ」
「オレは殺す時は正面から行くし。そんな卑怯なことしねーよ」
美保は場違いなほど無邪気な笑みを浮かべた。「よかった」そう言って、伸びをした。


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