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バトルロワイアルぺティー
138
:
リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/04/03(土) 23:24 ID:1Nf1VncU
「・・・伊藤?」
唐突に声が聞こえたので、愛希はバッと振り向いた。愛希の後ろには、雑木林が広がっていて、その風景の一部のように、荒瀬達也(男子一番)がいた。
「わ。ビックリした。凄い反応いいんだもん・・・」達也は苦笑していた。
何よこいつ。愛希は一瞬怪訝な表情になって、達也の様子を伺った。
「荒瀬くん、どうかしたの?」愛希は優しく言った。
達也は答えた。「いや、後ろ姿だけじゃ誰だかわからなくってさ。多分伊藤かなーっと思ったんだけど」
「へー・・・」
愛希は達也を観察した。敵意のようなものは、感じられなかった。
やや童顔の、優男。達也はそんなイメージだった。
ちょっと頼りなさげだけど、すぐに襲わないなら、今のところ、そこまで危険な人物ではないだろう。
愛希は思った。完全に信用したわけじゃないけど、海貴を探すのは大変だし、こいつを仲間にしようか。
愛希は訊いた。「荒瀬くんは、ここで何してたの?」
「いや、別に。たまたま通りかかっただけだよ」
「そうなんだー」ま、どーでもいいけど。
達也はしばらく間を空けて、愛希に向き合って言った。「あのさ、やっぱりこのゲームの中じゃ、仲間を作るべきだと考えるわけだよ・・・おれは」
「で、さー・・・」何だよ。
達也は手を合わせて、言った。「おれの仲間になってもらえないかなーって」
一瞬の間を空けて、愛希は答えた。「・・・いいよ」
「本当に?」達也は心から驚いた様子だった。
「うん」
「やった。頑張るから。よろしく」そう言って、愛希に笑顔を向けた。
「よかった。あたし、一人じゃ怖かったの。いつか殺されるんじゃないかって、そればっかで、不安で―――」伏し目がちにして、涙を浮かべた。
「そっかー。その気持ちは、おれも一緒だよ」
・・・おい。一緒じゃ困るのよ。
達也は、何かを察したように言った。「でも、本当におれでいいの?見ての通り、頼りないし、伊藤を守れる自信とか、ないけど・・・」
何言ってんだよ。あたしの代わりに他の生徒と戦いなさいよ。当たり前のことでしょ?愛希はそう思ったが、当然口には出さなかった。
「でも・・・頑張るよ」
「無理しなくてもいいよ。一緒にいてくれる人がいて、それだけで嬉しい」
達也は照れたように頭をかいた。「ありがとう。嘘でも、嬉しいよ」
愛希はにっこりと笑んだ。
でも、嘘でもって、何か引っかかる言い方よね。この、顔も性格も特A級の愛希ちゃんが、嘘つくわけないでしょ。まあ、嘘だけど。
取り敢えず、仲間(?)が出来たのはよかったが、本当にこいつでいいのか、少々不安になっていた。
強そうな男子がいたら、さっさと寝返ろうッと。愛希は、そう決意していた。
ふと、あることに気がついた。出来れば、こいつには銃を持っていて欲しい。雑魚武器だったら、本当に弾よけにしかならないじゃない。
訊いた。「ところで、荒瀬くんの武器は何なの?」
「おれ?おれの武器はこれだよ」達也は、デイバックからグロック19を取り出して、愛希に見せた。
おっしゃー!愛希は心の中でガッツポーズをした。
やっぱり、運はあたしの味方なのね。愛希はほくそえんだ。
「よかった、あたしは、ただのナイフだもん」
愛希は手にしていた両刀ナイフを達也に見せた。
達也は言った。「でも、それでも十分人は殺せるよ」
「そうかな。ふふふふ・・・」
「ははははは・・・」
愛希は笑顔の奥で、ある考えを浮かべていた。そう、誰もいなくなったら、あんたで切れ味を試してあげる。そして、あたしが優勝。
完璧なプランね。やっぱ、あたしってサイコー。
「でも、やっぱり無理だよ。あたしなんか・・・」
「何で?」
「だって、人殺しなんて、絶対無理だよ。出来ないよ」
愛希の言ったことは演技に近かったのだが、確かに、自分の手を汚すのは嫌だった。あたしの手が血に汚れるなんて耐えられない。そんなもの、他の雑魚どもに任せておけばいい。
愛らしい顔に冷ややかな笑みを浮かべながら、愛希はそう思っていた。愛希にとって可愛いものは、おそらく自分でしかなかったのだろう。
「大丈夫だよ。おれが・・・殺しなんて、させないから」達也は恥ずかしそうに言った。「いや、何かかっこつけてみた。はは・・・」
「ありがとう」愛希は笑んで、言った。
「いや・・・無理かもしれないけど」
・・・それじゃ困るんだよ。やはり、少し不安を感じた。
陽はてっぺんまで登り、周りの空気が暑くなってきた。その時の愛希にとって、一番怖かったことは、自分の美しい肌が、日に焼けること、に違いなかった。
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