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バトルロワイアルぺティー

134リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/02(金) 22:34 ID:1Nf1VncU
 千嶋和輝(男子九番)は、辺りを見回した。よかった。幸い誰もいないらしかった。
息をつくと、左腕を上げてみた。まだじんわりとした痛みがあった。でもまあ、何とかなるだろう。

和輝は、笹川加奈(女子十四番)と一緒に、I=5にきていた。ここは、近くに小さな池があった。
周りは草むらだったが、向こう側に殆ど壊れかけの、ふるぼけた家があった。あそこまで行ってみるか。和輝は加奈にそう提案した。加奈も頷いてくれた。


加奈がぽつりと言った。「梅原さん、何で私を狙ったのかなー・・・」

そうだ、梅原は明らかに、加奈に攻撃をしかけているように見えた。何かあったのかな。
「さあ、本人に訊いてみないとわかんないな。倒せそうな方を狙ったとかじゃないの?」
「そうかな・・・」
加奈が曇った顔で呟くので、和輝は、梅原ゆき(女子八番)のことを、思い出してみた。

まあ、ごくごく普通の女子だったような気がする。あまり、クラスに打ち解けられないみたいだった。
以前世話になったこともあるし、出席番号が近いので時々話すことがあった。

少し、小笠原あかり(女子十番)と似ている子だった。

そこまで考えたところで、和輝はふと思い出した。
「そうだ、梅原が入ってったところって、禁止エリアじゃないのか?」
和輝が言った言葉に、加奈も驚いたように、目を開いた。

ゆきが入っていった森は、その前に、和輝達がいた場所だった。
そして、九時をとうにすぎた今、そこはとっくに禁止エリアになっていた。

和輝は後悔した。何で、思い出さなかったのだろうか。いくら自分達を襲ったからだと言って、見殺しにはしたくなかった。田辺卓郎(男子八番)のように。


「でも、もしかして移動してるかもしれないよー?」加奈が言った。
そうだよな。梅原だって放送は聞いていただろうし。
でももし自殺するつもりだったとすれば―――

考え込んでいる和輝を見て、加奈は笑顔で言った。「大丈夫だよ。あんな大音量で流れてたのに、放送を聞き流す人なんていないって」
「・・・そうだよな。大丈夫だよな」和輝はうわ言のように呟いた。


加奈は和輝の顔を覗き込んだ。「そんなに、心配?」
「いや、やっぱ見殺しにするのは・・・」
和輝の言葉を遮って言った。「優しいんだね。でもね、そういうの―――」加奈は少し、息をついて、続けた。「お人よしっていうんだよ」

和輝は驚いた。そう言ってのける加奈の顔は、今までに見たことのない顔だった。遠い目をした、大人の顔。
和輝は、急に自分だけが置いてけぼりにされたような気がした。


そして、思った。笹川の言うこともわかる。でも、もしかして、梅原にも理由があったのかもしれない。なら、見殺しにするのは酷すぎるんじゃないか。
しかしそれを言おうとして、また、ある考えが浮かんだ。

・・・俺って結局甘いんだよな。遠慮なく殺すなんて言っといて、何も出来なかった。笹川を守るなんて偉そうに言ってたけど、全然、出来てなかった。


「やだ!そんなに考え込まないでよ!」加奈は言った。
「俺、甘すぎるかな」和輝は少し不安になって、訊いた。言った直後、少し後悔した。

だが、加奈はニッコリと笑って答えた。「大丈夫だよ。そこが・・・和輝のいいとこなんじゃないかな。少なくとも信用できるもん」
「・・・そっか」

嬉しかったのだが、その分、何となく不甲斐ない気持ちがした。今度こそは、しっかりしなきゃな。和輝はそう思い直すと、右手に握っていた銃を、もう一度握り直した。
【残り34人】


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