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バトルロワイアルぺティー

13リズコ:2004/03/06(土) 20:41 ID:1Nf1VncU
中学時代の北川を思い出していた。北川哲弥は有名人だった。バスケ部のキャプテンであり、チームを全国大会へ連れていくほどうまかった。更に、たった一ヶ月の間入っていた柔道部の大会で優勝した経験もあり、模試の時は必ず成績優秀者の欄に載っていた。要するに、完璧だったのだ。更に付け足すと、北川は背が高く、美形だったので、学校一のモテ男だった。同じクラスだった女子の殆どが、北川に憧れていた。そんな―――凄い奴だった。
和輝は更に思い出していた。笹川は女子バスケ部に所属していて、二人はよく話していた。どういう経過で仲良くなったのかは知らなかったが、付き合っているという噂まで、あった。少なくとも、笹川は北川が好きだった。それはわかる。そして、それに気づいた時、自分が強い苛立ちと、悲しみを覚えたことも。
和輝は二人を見比べた。見つめあっていた。加奈は何の言葉も発していないようだった。北川は笑みを浮かべて頭を掻いた。「じゃあ、今から三分ね。用意、スタート」
 北川の言葉と共に、生徒達は少しずつ声を出し始めた。泣きそうになっている生徒も、興奮して声を抑えきれない生徒もいた。和輝は、静かに今の現実を考えていた。
 殺し合い。クラスメイト同士で殺しあう。それがどういうことなのかは、うまく呑み込むことが出来なかった。ただ、言えることは、もの凄く怖い、ということだけだった。和輝は震えていた。そんな―――俺がもうすぐ死ぬかもしれないなんて。しかもクラスメイトに殺されるかもしれないなんて。学校に到着した時は考えもしなかった。バスに乗っていた時、本当は楽しみだった。それがこんなことになるなんて―――
「はーい三分終わり。今から喋ったら命ないかもしれないから、喋んない方がいいよ」北川は言った。少しの間の後に声は途切れ、静寂が訪れたように思えた。

「・・・嫌だ、怖いよ!死にたくないよ!」生徒達の顔が強ばった。幼児の言葉のように、島崎隆二(男子六番)はそう言い続けた。涙を流していた。自分でも、制御できないのかもしれない。「島崎!」永良博巳(男子十二番)が叫んだ。
「喋るなっつっただろ。これでも食らえ」北川の横にいた丸顔の兵士が言った。四方にいた兵士が、隆二に銃を向けた。撃たれる!和輝は隆二に声を止めるように祈った。

「横山さん待って!」北川が手を上げて、兵士を制した。横山と呼ばれた丸顔の兵士は、チッと舌打ちをして、銃を下げた。

北川は隆二の席に近づいて、話しかけた。「静かにしろ。この次はないぞ」隆二は首を振りながらも、必死で自分の喉を押さえた。喉を鳴らすような音が聞こえた。
 北川は無言で、隆二の首を掴んだ。隆二は、苦しそうな顔をして、かすかに呻いた。「死にたくなきゃ声を出すな。できるだろ?」隆二の顔からは、脂汗が出ているのがわかった。やがて、絞りだすような声が、かすかに聞こえた。「・・・はい」北川は手を離した。隆二は激しくむせながら、北川を見上げた。

「説明を続けます」北川はそう言って、定位置に戻って続けた。


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