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バトルロワイアルぺティー

121リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/03/26(金) 09:35 ID:1Nf1VncU
 新島敏紀(男子十四番)は、H=4の南西の方角にいた。疲れたので、とりあえず休むことにした。敏紀は鼻歌を歌いながら、腰を下ろした。


何か眠くなってきたな。やっぱ睡眠時間三時間じゃきついかー。敏紀はあくびをした。
通学用バックの中から鏡をとりだし、耳につけていたピアスを外した。邪魔になるから、取っておこう。そして、バックの中にピアスを放り込んだ。

敏紀はバスケット部のエースで、同じクラスの永良博巳(男子十二番)とコンビを組んでいた。一部の女子の間では、二人はアメとムチと評されていた。

自分がなぜムチなのかは納得できないことであったが、何はともあれ、敏紀は、なかなかもてていた。まあ、博巳に比べると数は少なかったが。

敏紀は田阪健臣(男子七番)や、姫城海貴(男子十六番)のような、よくいる美形とはタイプが違っていた。キッと伸びた鋭く強い目、それはある種、猫の目を連想させた。
そして、その顔に伴って、敏紀には、一種の狂気のような、触れてはいけない棘のようなものがあった。不思議な人だと、よく言われた。もしそんな敏紀に惹かれる女がいたならば、それは、その狂気に惹かれていたのかもしれない。


敏紀は無造作に立ち上げたつやのある黒髪を掻いた。かっゆー。昨日頭洗ってねーもんな。ワックスつけっぱなしだし。
ため息をついた。帰りたい。ほのかに、そんな感情があった。



人影を見つけて、敏紀は走り出した。動体視力には自信があった。遠かったが、はっきりわかった。男子で、背が高くて、がっちりとした体型。俺のカンが正しければ―――


敏紀は足が速かった。昔は陸上部に入ろうと思っていたくらいだ。入らなかったけど。



敏紀はその人物のすぐ後ろに立って、その人物をまじまじと見つめた。
「ほらな。やっぱりお前だ」



声に驚いて、その人物は振り向いた。
島崎隆二(男子六番)は、敏紀を見た途端、「うわっ」と声を出して後退した。

「新島・・・」
敏紀は黙っていた。ただ、目だけで笑った。


隆二は突然早口で話し始めた。
「お、お前はゲームに乗ってないよな!大丈夫だよな!おれのこと、襲ったりしないよな!」
敏紀は少しだけ眉毛を持ち上げた。「・・・ああ。乗ってないよ」

嘘だった。


「本当か?なあ、おれ怖くて怖くて・・・マジであの時殺されるかと・・・」
「ああ。北川って奴に?」
「そう。でも、よく考えたら、あれは助けてくれたのかなーって思って」
敏紀は呆れた。能天気な奴だ。

「・・・政府のやってることなんて殆ど気まぐれだよ」
「そうだよな。で、でも、とりあえずおれは今生きてるってことで・・・」
何が言いたいんだ、こいつ。


隆二は身振り手振りをつけて話した。「一緒に抜け出す方法探さないか?こんなとこで死にたくないし、殺されたくないし、殺したくもないだろ?」
敏紀は驚いた。隆二の目を見た。真剣な表情だった。

敏紀はぷっとふきだした。「無理に決まってるじゃん。お前、どーやって抜け出すんだよ。方法って言ったって、そんなもん・・・」
あるわけない。敏紀は思った。

「何で笑うんだよ。ないとは限らないだろ。なあ、お前だってみすみす死にたくないだろ。里伽さんにだって、会いたいだろ?」

敏紀の笑いがとまった。「あいつの話はするな」静かに言った。

「ああ!ごめん。でもさ・・・皆殺し合いなんかやりたがるわけないって!」

敏紀はゆっくりと言った。「・・・そうか?わかんないじゃん。俺は、やりたいよ」


隆二の表情が固まった。わかりやすい奴だ。反応もわかりやすかった。

どもったように言った。「ま、ま、まさかお前、人殺したんじゃ・・・」数歩後退した。「おっ、おれのことも殺す気なのか!?」隆二は叫んだ。


敏紀は舌打ちをした。「・・・大声出すなよ。ああ、殺す気だよ。お前なんかあの時に死ねばよかったんだ。その方が人が減ってよかったのになあ!」

隆二の目が見開いた。「・・・よくもそんなことが言えるな」
ぽろぽろと、涙を流した。わかりやすかった。

「死んでいい人間なんて、一人もいないんだぞ!馬鹿野郎!」


隆二はそう叫んで、敏紀に掴みかかろうとした。


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