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バトルロワイアルぺティー

11リズコ:2004/03/06(土) 15:09 ID:1Nf1VncU
ゲームスタート


和輝達がいたのは、古ぼけた教室の中だった。あれ、何で教室に―――。あっ、そっか。補習だっけ。俺だけじゃないんだな。クラス全員いるのかな。空いている席がない。千嶋和輝(男子九番)は斜め前を見た。あれ、代々木も・・・?あいつ頭いいのに。まだ勉強したりないんだ、スゲー。代々木信介(男子二十一番)も、他の生徒と同じで、机に突っ伏していた。

何気なく前を見ると、男が立っているのが見えた。まだ若い。和輝は男をぼんやりと見つめていた。男が気がついたように和輝を見た。笑顔のような、困惑しているような、曖昧な表情。どこかで見たことがある顔だった。
男を見ているうちに、だんだん覚醒してきた。これは、補習じゃない。俺達林間学校に行ってたはずなんだ。キャンプファイヤーが終わって、後片付けをして、バスに乗り込んで―――そこからの記憶がない。

和輝は首にまとわりつく重苦しい感触に気がついた。手をやった。冷たくごつい物が首に巻かれていた。
・・・首輪だ。
和輝は辺りを見回した。すぐ後ろで寝ている中西諒(男子九番)の筋の通った首筋にも、一番後ろの席で眠っている笹川加奈(女子十四番)の細い首にも、その銀色の物体はあって、いやらしい光を放っていた。
―――もしかして!和輝は立ち上がって、加奈の席まで歩み寄ろうとした。

 鼓膜がはじけそうになるほどの爆竹の音が、近くで響いた。和輝がおそるおそる振り返ると、先ほどの若い男が、銃を握っていた。その音に生徒達は驚いて、次々に目を覚まし始めた。
「勝手に席立っちゃ駄目だよ」男は甘いマスクに笑みを浮かべて、言った。和輝の顔からは、血の気が失せていった。

冬峯雪燈(女子二十一番)が、小さな叫び声をあげた。「何これ・・・どういうこと?」辺りがざわめき始めた。ライフル銃を持った兵士が四人、教室の端の四方に立っていた。全員、内側に銃を向けていた。ざわざわとした教室を制すように、一発の銃声が聞こえた。「きゃあっ!」女子の悲鳴が聞こえて、クラス全員が銃声のした方向を見た。

「静かに。大人しくしていれば危害は加えない」若い男は銃を天井に向けていた。天井からぱらぱらと、破片がこぼれ落ちた。隣にいた丸顔の兵士が言った。「今から一言でも口きいてみろ。殺すぞ?」ニヤリと笑った。
 和輝を始め、クラスメイト達は全員静まり返った。相手が本気だということを悟ったからだろう。そしてクラスの殆どが、もしかして、という思いに包まれていた。
「聞き分けがいいね」若い男が口を開いた。「じゃあ説明するな。君達にはこれから、殺し合いをしてもらいます」

クラス中が重苦しい沈黙に包まれた。皆、絶望していた。何で・・・あの法律はなくなったはずなのに。

「あれ、反応薄いなあ。皆もっと驚かないの?」男は言った。生徒達は沈黙していた。言葉を忘れてしまったかのようだった。
周りのクラスメイト達と目を合わせては、そらした。和輝はじっと男を見つめていた。バトルロワイアルだ。あの法律が復活したんだ!

「喋ったら殺すって言われてるのに喋るバカはいないだろ。皆自分の命は惜しいし」誰かが言った。生徒達はその人物を見た。
「あー、そうだよなー。お前、いい度胸だな。えーっと、千嶋」
和輝は驚いた。自分だということに気がつかなかった。自分の意思とは別に、勝手に声が出ていたように感じた。動揺しすぎて、わからなかったのかもしれない。

「じゃあうるさくしない程度に三分間話させてやる。三分経ったら一斉に黙ってね。あっ、ちなみに、オレは北川哲弥。今回のゲームの管理官だからヨロシク」
和輝は眉をひそめた。大迫治己(男子二番)を見た。治己も和輝の方を見て、驚いたような表情をしていた。
北川が言った。「俺、お前もお前も知ってる」治己と和輝を交互に指差した。「加奈と仲よかったろ」
和輝は後ろを振り向いて、加奈の方を見た。加奈は固まった表情のまま、口は何かを言いたげに開いていた。しぼりだすように、言った。「何で―――」唇が震えていた。泣いているのかもしれない。和輝はかすかにそう思った。
「まあ色々あってさ。元気だった?加奈」北川は優しい口調で言った。和輝は焦りを募らせていた。北川が、俺達の担当官だなんて。


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