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バトルロワイアルぺティー

108リズコ:2004/03/23(火) 01:30 ID:1Nf1VncU
 ―――やっと会えた。嬉しい。ゆきの目には、涙がたまっていた。
ついさっきまであれほど探していたのに、新島敏紀(男子十四番)の襲来で、ほんの少しの間忘れていたのだ。ゆきはそんな自分を反省した。

千嶋君に頼んで、一緒にいさせてもらおう。ゆきは疲れた体に鞭を打って、もう一度走り出そうとしていた。



だが、その足はそのまま、動けなかった。「大丈夫?」和輝が後ろにいる人物に声をかけその人物が出てきた。

「うん。もう大丈夫。ありがとう」そこにいたのは、笹川加奈(女子十四番)だった。

ゆきは二人から見て、ちょうど死角に当たる場所にいたので、二人とも、気づいていないようだった。ゆきは不安にかられた。何で、千嶋君と笹川さんが一緒にいるの?


この二人のことは、前から気になっていた。そして、随分前に加奈に訊いていたのだ。

「笹川さんって、千嶋君と付き合ってるの?」
加奈は笑顔で答えていた。「えー、付き合ってないよ。中学が同じだったからよく話すだけ」

でも、今二人は一緒にいる。たまたま会っただけなの?それとも―――


「でも、和輝がいてくれてよかったな」追い打ちをかけるように、加奈が言った。「私一人じゃ、どうしていいのかわからなくて、今ごろ死んでたかもしれない」

和輝は木の枝や石がたくさんあり、かなり歩きづらい道で加奈を助けながら、言った。「あの時待っててよかったよ」


・・・待ってた?もしかして、門で待ってたの?
だって、あそこには田辺君がいたのに。しかも、千嶋君と笹川は出席番号が離れてる。その間を、ずっと待ってたって言うの?

和輝がそこまでして笹川加奈を待った理由は、ゆきにはもうわかってしまっていた。



頭が、真っ白になった。自分が新島敏紀に襲われて、必死に逃げ惑っていた時に、自分が会いたくてたまらなかった千嶋和輝に守られて、ぬくぬくと過ごしていたわけだ。あの女は。


ゆきの目には、たまっていた涙が溢れだした。もっとも、これは嬉し涙ではなく、深い悲しみと、憎しみの涙だった。
もう、何も考えることが出来なかった。ただ、あいつを殺したいと思っていた。笹川加奈を、殺したい。



ゆきは、自分の右手を見た。自分がまだ、かろうじて金槌を握っていたことに気づいた。怪我をしている肩とは逆の手だ。
ゆきは少し笑った。大丈夫、殺れる。しっかりと金槌を握り直し、二人のいる方向へと、走り出した。
【残り35人】


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