[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
バトルロワイアルぺティー
108
:
リズコ
:2004/03/23(火) 01:30 ID:1Nf1VncU
―――やっと会えた。嬉しい。ゆきの目には、涙がたまっていた。
ついさっきまであれほど探していたのに、新島敏紀(男子十四番)の襲来で、ほんの少しの間忘れていたのだ。ゆきはそんな自分を反省した。
千嶋君に頼んで、一緒にいさせてもらおう。ゆきは疲れた体に鞭を打って、もう一度走り出そうとしていた。
だが、その足はそのまま、動けなかった。「大丈夫?」和輝が後ろにいる人物に声をかけその人物が出てきた。
「うん。もう大丈夫。ありがとう」そこにいたのは、笹川加奈(女子十四番)だった。
ゆきは二人から見て、ちょうど死角に当たる場所にいたので、二人とも、気づいていないようだった。ゆきは不安にかられた。何で、千嶋君と笹川さんが一緒にいるの?
この二人のことは、前から気になっていた。そして、随分前に加奈に訊いていたのだ。
「笹川さんって、千嶋君と付き合ってるの?」
加奈は笑顔で答えていた。「えー、付き合ってないよ。中学が同じだったからよく話すだけ」
でも、今二人は一緒にいる。たまたま会っただけなの?それとも―――
「でも、和輝がいてくれてよかったな」追い打ちをかけるように、加奈が言った。「私一人じゃ、どうしていいのかわからなくて、今ごろ死んでたかもしれない」
和輝は木の枝や石がたくさんあり、かなり歩きづらい道で加奈を助けながら、言った。「あの時待っててよかったよ」
・・・待ってた?もしかして、門で待ってたの?
だって、あそこには田辺君がいたのに。しかも、千嶋君と笹川は出席番号が離れてる。その間を、ずっと待ってたって言うの?
和輝がそこまでして笹川加奈を待った理由は、ゆきにはもうわかってしまっていた。
頭が、真っ白になった。自分が新島敏紀に襲われて、必死に逃げ惑っていた時に、自分が会いたくてたまらなかった千嶋和輝に守られて、ぬくぬくと過ごしていたわけだ。あの女は。
ゆきの目には、たまっていた涙が溢れだした。もっとも、これは嬉し涙ではなく、深い悲しみと、憎しみの涙だった。
もう、何も考えることが出来なかった。ただ、あいつを殺したいと思っていた。笹川加奈を、殺したい。
ゆきは、自分の右手を見た。自分がまだ、かろうじて金槌を握っていたことに気づいた。怪我をしている肩とは逆の手だ。
ゆきは少し笑った。大丈夫、殺れる。しっかりと金槌を握り直し、二人のいる方向へと、走り出した。
【残り35人】
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板