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バトルロワイアルぺティー

105リズコ:2004/03/21(日) 23:50 ID:1Nf1VncU
バコッと鈍い音がした。
亘佑の手に収まってしまいそうなほど小さなあゆみの顔は、力いっぱい殴られたせいか、ぼこっとへこんだ。


美保は、更にゴルフバッドを振り下ろした。


もう一つのへこみが出来て、血が飛び散った。
既に絶命しているのにもかかわらず、何かにとり憑かれたように、殴り続けていた。



亘佑は意味がわからず、唖然としながらその光景を見ていた。




あゆみの体は、壊れたマリオネットのようになっていた。手足はおよそありえない場所で曲がりくねり、骨が折れていた。顔つきは凄惨で、眼球が少し飛び出していた。人間の顔は、こうも歪むのかという感じがした。
唯一原型をとどめていた、小さく愛らしい口元からは、血が、細くゆるゆると流れ出していた。

とにかく、凄かった。気分が悪くなった亘佑は、目をそらした。



美保は笑みを漏らして、亘佑に近づいてきた。

何だ、この女。何が目的なんだよ。亘佑は少し怯えた。美保の真意がわからなかった。


美保はゴルフバッドに触れた。真っ赤な血が、美保の白い手を濡らした。
「そんなに怖い顔しないでよ」美保は言った。

亘佑をまっすぐに見つめた。ふくよかな唇が、笑みの形を作った。

「全部聞いてたの。大島さん、私も一緒に捜してあげる」


美保の様子を見て、亘佑は背筋にぞわりとしたものが通り抜けた。



ゲームに乗って、優勝する。美保も、多分同じ願いを持っているはずだった。

しかし、ここで仲間を増やすことも悪くないかもしれないと考えた。このような危険人物を、敢えて仲間にする。そして、確かに人数を減らすこと、居場所を確保すること。
いけるかもしれない。


「へー。・・・オレが怖くないの?」亘佑は言った。
「怖いよ。でも、今私を殺さなくたって、まだ時間はあるでしょ。それに、怖がってるのはそっちだと思うけどな」見破られていた。亘佑は気まずい思いで、美保を見た。


美保は少し間を空けて、また続けた。
「私達が組めば、結構イケると思うんだけど。間違いかな?」
「そんなのわかんねーよ。それに、オレは中西と一緒に行動してる。あいつはゲームに乗ってないよ」
美保はそれを聞くと、いたずらっぽく笑みを浮かべた。
「それは好都合だね」そう呟いたが、亘佑には聞こえなかった。


「まあいいや。組んでやってもいいぜ。ただし、命の保障はしないよ」
「それでも、いいよ」それから美保は亘佑の肩に手をかけて、小声で囁いた。「中西君に、会わせて」



よくわからない女だった。少女というより、もう大人になってしまった、女という形容詞の方が似合っていた。
顔が大人っぽいというわけではなかった。年相応か、またはそれよりも幼く見えた。しかし、何か不健康な色気があり、それが亘佑には新鮮で、よく理解できないものに映っていた。


興味が湧いた。
「いいよ。あいつは単純だからお前のことを疑ったりしねーよ」
美保は笑んだ。「よかった。強そうな味方が出来た」と言った。



美保の本心に、亘佑はまだ気づかなかった。いや、生涯、死ぬ瞬間でさえも、亘佑は美保の本心に気づくことはなかっただろう。
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