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それは散り逝く者への子守唄(半リレー)

319レベッカ </b><font color=#FF0000>(db9uPG2s)</font><b>:2004/06/10(木) 23:20 ID:JH8TtgZM
118 心に巣食う魔物〜The demon which lives in heart〜

 風を斬りながら走る、一つの影。
彼の走って来た方向には白い建物が聳えていた。

俺は…
自分の命のために友を……
友を……


最悪の場合殺されるだろう。


そう―――俺は友を売った。
正確に言えば売る事を決意した。
そりゃ……悪い――とは思ってる。だが、それだけだ。
偽善者を気取るつもりはない。
まさに今の俺の状態はブラックの一色。

自分の命を最優先に考えた、まさに最善の一手だ。

いや…最善ではないかな?
ま…もう決めちまったしなぁ―――
というか…俺も『悪』だなぁ……
ふぅ――自分の命が天秤に乗せられた時。迷わず俺は、俺は友を売る事を決意したんだからな…いやはや人間とは残酷な生命体だ。

あ〜やめやめ


こんな事考えるのは俺の性に合わない。


さって。何処に居るやら・・・未来君。

できれば一人で居て欲しいんだよねぇ……。

戦闘になりたくないし……

あ〜でも、施設の入り口んとこであんな事やっといて・・・それもないか?

「ったく…何処に居るやら・・・・マジでよぉ・・・。それにアレだよな。なんだよ人に頼んでおいて、武器ぐらい貸してくれてもいいじゃねぇかよ」
一人で愚痴る。

見つからない事へのストレスと…管理者たちへの不満―――


それが爆発寸前であった。


本来彼はそんなにキレやすい性格ではない。

むしろ逆である。

だがこの島の緊張感というか…雰囲気が彼を侵食し、そして、捕まった時…弾けた。

自分でも気づかないぐらいゆっくりとした侵食。

だがそれは着実に大切な何かを蝕み、そして壊した。

心に巣食う魔物・・・まさにソレだった。

ソレは。日常に居れば決して現れることは無い……。

だが、ソレはどんな人間も平等に等しく心に飼っている

そして・・・日常からは考えられない・・・非現実的な何かが起こったとき。

それは目覚める――

何か・・・は人によって違う。

家族が殺されたとき。かもしれないし、誰かに虐められた時かもしれない・・・。

一度、魔物が眼を覚ました時―――

人は…犯してはならない過ちを犯す。


そして・・・菅原 仁。いや・・・今は菅原 仁であり、菅原 仁では無かった。

彼の魔物が目覚めていた。

心で蠢く。

それは・・・悪魔の囁きを呟いている―――

【残り18名】


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