したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

それは散り逝く者への子守唄(半リレー)

300レベッカ </b><font color=#FF0000>(db9uPG2s)</font><b>:2004/05/16(日) 01:29 ID:IqU46lbA
109 旅立ちの日〜sailing day〜

 「それじゃあ、いってくるよ」
優は、幼子に本を読み聞かせるような優しい声で・・・
だが、その声に含まれるのは決意。

人を殺すという決意。

脱出するという決意。


「あ、そういえば未来」
「なんだ?優?」
「小麦粉持ったか?」
「ああ。持ったけど何に使うんだ?」
「ん?そりゃ向こうの基地にはエレベーターくらいあるだろうから」
「???」
「ちと・・・爆炎地獄を見せてやろうじゃん」
「はぁ?」
「ま、持っててくれればいいよ」
「りょーかい」
「紫苑・稚奈も頼むな?」
「今更どうしたの?」
「そーだよ」
「いや・・・一応な」
「帰ろうね。絶対に」
「ああ、そうだな」

そこには同じ志を持った仲間が居る。
信頼できる仲間が居る。
絶対に帰ろう。

精一杯 運命に抵抗。

いい言葉だと思う。

結局賀子は民家に残した。
それが最善手だと思ったから。



「行ったな〜」
健斗が遠くを、小さくなってゆくその背中を見ながら呟いた。
それは、この場から去ろうとしている
その男に発したのかもしれない。
「何処にいくんだ?奈壱斗」
「え?」
琢磨が驚いて振り返る。
確かにさっきまで外で彼等を見送ったはずなのに・・・俺の隣に居たはずなのに

いつのまにか・・・
「いわなくても・・・分かるだろう?」
「そうだな」
「なら止めるな・・・」
「ダメだな」
「っ・・・」
「生きて帰るんだ、自分だけ匠達とともに死のうなんて考えんじゃねぇよ」
「えっ・・・」
健斗の言葉にあすみが小さく反応した。そして続けた。
「行かせて・・・あげてほしいの」
「なっ?」
賀子もその言葉に驚きを隠せないようだった。
「だけどよ・・・」
「分かってるよ?それがどんな事か・・・でも3人一緒っていうのが日常だと思うんだ。生きて帰る。それも大事だけど・・・。ううんそれが一番大事、私達にとっては」
「違うって言うのか?」
「うん。日常のカタチって・・・いろいろとあると思うんだ。だから・・・行かせてあげて。」
「・・・攻めてこないとは限らないぞ?」
「それでもいいんじゃない?」


それが・・・彼等の日常のカタチなのだから―――


ハッキリとその言葉は聞こえた。



もう、奈壱斗の姿は無かった。


健斗は、苦笑いしていた。



ま・・・そんなのもあるか―――


【残り18名】


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板