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City Hunterの香で射精@エロパロ避難所

1名無しさん@妄想の虜:2004/01/10(土) 16:11
City Hunterの槇村 香で妄想を語るスレです。
香が絡まない限り、できるだけ北条の他の女性キャラのお話はご遠慮下さい。
香萌えの同人誌情報やサイト情報もキボンヌ。
○○って何?どこ?そんな時は過去・関連スレを必ずチェック。
sage進行でマターリ基本。

過去・関連スレは>>2-3
45さんのお話については>>4

574名無しさんが妄想します:2005/10/26(水) 23:20:48
93さんの続き読みたいですw
ヲチってるならここに投下してくださいよ

575名無しさんが妄想します:2005/10/29(土) 13:32:18
45°さん気にせず書いて〜〜!

576名無しさんが妄想します:2005/10/29(土) 15:16:57
>>574
おまっ、それ人にものを頼む態度か?!

57745。:2005/10/31(月) 11:57:19
456さんは1を選ばれました。
…そうだAVもいいかげんやらないとね。すみません。

香は安心したのか、
まだ効き目がある睡眠薬の力に負け、
そのまま眠りに落ちた。
「冴羽さん。とりあえずあたしの部屋に…」
明美は穏やかな顔をしている僚に声をかけた。
僚はしばらく香の顔を見ていたが、
頷き抱き上げた。
明美は香を横目で見ながら、
僚の腕を掴み、
そして呟いた。
「香さん…
もしかして、未だにあなたの恋愛の邪魔をしているの?
あたしだって、もう大人だし、そのへんのところは割り切って…」
僚は明美の腕を振り切ると、
そのままエレベーターへ向かった。
「冴羽さん!」
明美は後ろから追いすがるが、
その階で止まったままのエレベーターの扉はすぐに開き、
そして閉じた。
ひとり取り残された明美は、
納得出来ずに非常階段を使い降りていった。

(さて3択です。1明美、僚に問いただす。2明美、香を叩く。3明美、泣きつく。レスよろしく)

578名無しさんが妄想します:2005/10/31(月) 12:00:54
2でお願いします。

579名無しさんが妄想します:2005/11/03(木) 17:19:49
45。さん、気が向いたらAV監督再開きぼんぬです。

580名無しさんが妄想します:2005/11/03(木) 19:47:58
>45。さん
579さんと一緒で、AV監督再開してほしいです〜

58145。:2005/11/07(月) 12:52:06
478さんは2を選ばれました。
AV監督は交互にすると読み辛いと思うので終わったら書かせてもらいます。ありがとうございます。

エレベーターはすでに一階。
そして中には誰も居ず、扉は閉まっていた。
明美は荒い呼吸を整えもせずに外に走り出した。
街灯の下、大きな男が助手席のドアを閉め、
運転席に向かうところだった。
明美はその男には向かわず、
助手席のドアを掴んだ。
ロックされていないドアはそのまま開いた。
「なにを!」
慌てて戻る男の驚いた声に怯まず、
明美はぐったりと眠っている香の肩を引っ張り、
車外へと引きずり出した。
地面に落ちた香は呻き声を上げ、目を開いた。
はっきりとしない視界の中、見覚えのある顔を認めたとたん、
頬に激しい痛みが走った。
「あっ!」
驚き避けようとする香の腕は掴まれ、
さらに風が…だが、次の痛みは来なかった。
しっかり目を開いた視線の先には、
息を荒げている明美の姿と、
それを後ろから取り押さえている僚の姿があった。
「どう…して?」
香の口からはそれを言うのが精一杯だった。
どうしてこんなことになっているのか。
まったく香には理解出来なかった。
明美は震えながら、呟いた。
「どうして?それはあたしが言いたいわ」
もうさっきのように暴れる様子は消えたようなので、
僚は明美を放し、香に向かった。
「大丈夫か?」
香は痛む頬を押さえながら、黙って頷いた。
そしてゆっくりと立ち上がろうとする香に手を貸す僚を見て、
明美は毒づいた。
「なんでよ…
あたしは大人になったのよ。
確かにあの時はまだ子供だったわ。
だから事件が終わってからあなたのアパートに押しかけたとき、
『大人になってから出直しておいで』って言って、
弟に後押しまでされて決心してきたあたしを追い返したわよね」
香は明美が押しかけてきた時の記憶を辿った。
たしか、僚が明美をつれて部屋から出て…
そして数分してから一人で戻ってきた。
「まったく〜、彼女だって本気なんだと思うから、
適当にあしらっちゃ可哀相じゃないの」
思わず言った言葉に、僚は何気なく答えていた。
「大人になったら、またおいでって言っただけさ」
「さすがに子供には手出しできないけどってこと?」
僚はふと香の顔をじっと見つめた。
香はなぜか赤面し、顔をそらした。
「な、なによ」
「いや、そうだな。子供だと思っててもすぐに素敵な女になるってこともあるからな」
その時は、誰のことを言っているのかさえ香は分からなかった。
たんなる比喩だと思っていたのだが、
僚が昔の出会いを覚えていたことを思い出し、
今さらにそれが自分の事だと気付くのだった。

(さて3択です。1明美、そのまま戻る。2明美、食い下がる。3明美、泣きつく。レスよろしく)

582名無しさんが妄想します:2005/11/07(月) 13:21:53
2でお願いします。

583名無しさんが妄想します:2005/11/08(火) 00:09:30
45さん、579-580さんと一緒で、AV監督待ってます。

584名無しさんが妄想します:2005/11/13(日) 23:22:32
45。さんの自サイトってどこにあるの?

585名無しさんが妄想します:2005/11/14(月) 00:37:11
>>584
お前には教えない

58645。:2005/11/14(月) 12:43:55
582さんは2を選ばれました。あれ?今まで100の位ずっと4だったのかな?
583さんもありがとうございます。
584さんお時間ありましたら過去スレ読破してみてくださいね。

真っ赤になって俯く香を怪訝に思いながらも、
明美は続けた。
「約束は守ってよ」
「約束?」
僚が聞く。
「なにか約束なんかしたか?」
「だから、あたし大人になったのよ。
大人になったら一緒に暮らしてくれるんでしょ?」
「大人?」
僚の顔が険しくなった。
香は驚いて僚の腕を掴む。
僚は香を振り返り頷くものの、またすぐに明美に向き合った。
明美は少々気圧されはしたが、ゴクリと唾を飲んで話し出した。
「あ、あたしだってあれから調べたわ。
冴羽さんがどんな人だか。
そしていい女になるためにいろんな男たちと恋愛も繰り返した」
明美はキッと香を睨む。
香は目を伏せ、その視線から逃れた。
あまりにも情熱的なその瞳は、香の中のなにかを刺激する。
僚はそっと香の肩を抱き寄せ、明美に応えた。
「大人な女は、自分を押し付けるようなことはしないと思うが?
それにおれを調べたというが、
おれのなにを知っている?おれになにを求めている?」
明美は引き下がらなかった。
「香さんは、冴羽さんの元パートナーだったお兄さんが亡くなって、
その代わりに仕事の関係で一緒にいるだというのに、
あなたが1人の女に縛られたくない人間だって知っているのに、
それを邪魔している。
あたしだったらそんなことはしないし、あたしの方が……」
必死になるあまり、叫びに近くなってきた明美の言動に、
僚は首を振った。
「きみはカメラマンになりたいんだろう?」
明美は頷いた。
「ええ、夢だったわ。
でも愛する人と一緒にいたいというのも夢だわ」
「君はなにか思い違いをしているんじゃないか?」
明美は突然の言葉に口を閉じた。
「きみは依頼人の1人に過ぎない。香は…」
淡々と話し出した僚だが急に口を閉じ、
ふと香を振り返った。
突然見つめられ香は目を丸くしたまま動けない。
その目の前で、僚の瞳孔が大きくなる。
香は自分自身がその中に吸い込まれるのではと思ってしまうのだった。
その視線から逃れようと顔を逸らすと明美の視線。
香は思わず口を開いた。
「その…あたしは…
アニキが殺されて…僚に逃げるように言われたんだ…
けど…
あ、あたし、アニキの仇をとりたかった。急に一人になるのが怖かった…
…そして、僚のことが……
だから、そのまま転がり込んでしまったの…
だから、もし明美さんの方が出会うのが早ければ…その…」
僚は香の口唇を、正面からいきなり手のひらで塞いだ。
「悪い。思い違いをしていたのは…おれか?」

(さて3択です。1明美、そのまま戻る。2明美、食い下がる。3明美、泣きつく。同じですがレスよろしく)

587名無しさんが妄想します:2005/11/14(月) 19:50:26
3で!

588名無しさんが妄想します:2005/11/15(火) 05:33:41
>>584
ヒントな。
クリ(ry

589名無しさんが妄想します:2005/11/16(水) 00:01:36
同じく3希望!

59045。:2005/11/21(月) 07:51:03
587さんは3を選ばれました。
589さん。どうもです。

その僚の表情は、今まで香すら見たことも無いものだった。
顔は真っ赤で口はギュッと閉じたままで、
なにかを言いたいのだが、それを出す事すら恥ずかしいといった風情。
それなのに力の入った真剣さがミスマッチとすら見えてしまう。
他の人がそんな顔をしても、時と場合によっては有りなのだが、
この男がそんな顔をするというギャップが耐えられない。
見ているこちら側も恥ずかしくなってくる。
香はある意味ひどくうろたえ、
先ほどまでの自分の思いの吐露すら、
すっかり頭から弾け飛んでしまった。
そしてこの状況に堪らずに僚の手を掴むと、
自分の顔から離した。
「…ちょっと…、どうしちゃったの?」
僚は香を見つめたまま動けない。
ことの異様さに、明美までもが二人の横まで走ってきてしゃがみ込んでしまった。
「いったいどうしたというの?」
僚は香につかまれた腕をぐっと押し出した。
「あっ…」
勢いに香が仰け反るが、もう一本の腕が香の背を支え、
明美が見守る中、僚は香を抱きしめるのだった。
「ちょっと…あの…りょ……」
ギュッと力を入れたまま、なにをするというのでもなく、
僚は考え事をしているようになにも言わない。
香もどうしてよいか分からず、
助けを求めるように首を動かすと、
明美の姿。
明美に助けを求められるはずもなく、
その視線の痛みに顔をそむけ、
ただ抱かれるままおどおどしていた。
そして、やっと口に出せた言葉は
「こら、いいかげんに……」
「やめてよ!」
明美の声が香の言葉を遮った。
明美をふと見るとその瞳は潤んでいた。
そのまま明美は僚の身体にしがみつき、
揺さぶる。
「香さんから離れてよ!あたしを抱いてよ!」
僚はゆっくりと明美を振り返り、無言で首を振った。
やっと動き出した僚に安心した香は、
身体をもぞもぞと動かして、
その腕から逃れようと努力してみるのだった。
それは無駄な努力ではあったが。
「どうして?だって香さんも言ってたじゃない!」
「違う…」
それだけを言うと、僚は香を抱き上げ、助手席に座らせた。
もう普段の僚の顔だった。
いや、普段とはまた違う穏やかな目で香を見つめていた。
香はこのふわふわとした感覚に、
身の置き所をどうしたものかと思いながらも、
それでも明美の身を案じた。
僚がここに来た目的は、どうにも不審なものがあった。
単なる感ではあったが、
あの僚が明美を傷つけるような気がしてならなかったのだ。
信用してくれと執拗に言われた事がひっかかる。
「もうおれたちに関わらないでくれ」
僚は明美に告げた。
明美は僚にしがみついたまま、
まだ泣いている。
その顔は嫉妬に歪みはじめてきていた。
「いいの?そんなことを言って…
あ、あたしいろいろ撮っているんだからね!」
言いながら香の顔をじっと睨む。
僚は険しくなる顔を穏やかに保ちながら応えるのだった。
「悪いとは思ったが、留守の間にすべて処理させてもらった」
明美の顔色がみるみると変わっていくのが見えた。
「どう…して?はじめから知ってたっていうの?」
僚はそれには答えずに、明美に告げるのだった。
「香は、あの店と君との関わりを消すために…
またあの男に陵辱された」
明美は驚いた顔で香を見た。
香は僚がなにを言い出すのかと、
そして思い出したくないことを思い出さされ、
顔をひきつらせた。

(さて3択です。1明美、押し通す。2明美、知らない。3明美、思いたたる。レスよろしく)

59145。:2005/11/21(月) 12:04:31
あ、すみません。今みたら3の誤打ちが…
3は、明美、思い当たる。でした。

592名無しさんが妄想します:2005/11/21(月) 14:00:57
3でお願いします。

593名無しさんが妄想します:2005/11/23(水) 00:52:22
いつもありがトン

59445。:2005/11/28(月) 13:20:08
592さんは3を選ばれました。
593さん。こちらこそ。

僚はそれを明美に見せないよう、
そっと香の頭を胸に抱いた。
「…すまない……」
つぶやく僚の声に、香は首を振るばかりだった。
「どういうこと?」
明美は思ってもいなかった事実にうろたえるが、
それでも僚と香が抱き合うことは許せなかった。
「きみは、付き合っていた男がきみの写真を使ってなにをしていたか、
知っていたのだろう?
そして、いつからか入れ替わっていたことも…」
明美は一瞬口端を引きつらせたが、
首を振った。
「いいえ、なに?それ…」
「きみが香をスタジオで撮影してた時、
停電になったと言ってた。
それはいつものことだとも…。
その後どのモデルも行方不明。
おかしいと思っていたはずだ」
明美は口を閉ざしたまま、僚の言葉を聞いていた。
「ある時、きみはじっと潜んで待っていた。
いったいモデルはどうなるのかと。
そして、知ったんだ。
彼女たちの行く末を…」
明美は首を振った。
「…そして、きみは悩んだ。
だが、その時なのだろう。
偶然に香と再会したのは…
いや、偶然ではないな」
香は驚いて僚になにかを言おうとしたが、
僚に頭を押さえ込まれて動けない。
「女なら、自分を抱いている男が入れ替わったことぐらい、
気付くものだろう?
その事もあって、なんの迷いもなく香を……」
明美は首を振った。
「そんなこと、あるわけないじゃない!
あたしは…」
僚は明美の言葉が聞こえてないかのように続けた。
「そして、その入れ替わった相手が誰かを知らないまま、
香を渡した。
その男は、香を…そしておれを憎んでいた男だったんだ」
「そんな…そんな事ってあるの?
だって初めに逢わせた時……」
明美の声が止まった。
「……だって…」
そうだ。いつもとは少し様子が違っていた。
停電の後の、まだ一度しか見たことはなかった調教の様子も前のモデルとは明らかに違っていた。
一度あとをつけて行き、偶然目撃したその場面。
その後でこっそりと盗撮用にカメラを仕掛けた。
香の時はスタジオを出た足で、そのカメラのところに行き、
タイマーで連続的に撮れるようにしておき、
後で回収に向かった。
音声こそ聞こえない映像だったが、
香を捉えたままにしておかないのはおかしいと思った。
「でも、あたしは関係ないわ」
「あのアジトにもカメラは仕掛けられていた。
低い位置で隅の方だったから、
香の姿が中心で、確かに男の顔までは写っていなかった。
髪型が少し入ってはいたがな」
「髪?」
明美は自分の撮った写真を思い出そうと眉根を寄せた。
赤い長い髪が香の上で揺れている絵。
なんでこんな位置にと思っていたが、ふとある人物を思い出した。

(さて3択です。1明美、負傷。2香、負傷。3僚、負傷。レスよろしく)

595名無しさんが妄想します:2005/11/28(月) 14:07:24
2!

596名無しさんが妄想します:2005/11/29(火) 21:03:07
次回、急展開ですか?楽しみです。

59745。1:2005/12/05(月) 14:11:04
595さんは2を選ばれました。
596さん。もうちょっとです。なんせ一週間に一回くらいのウプなんで、正味より時間がながく感じられまして…

「嘘…でしょ…?」
その髪から連想した人物は、明美の強気をくじいた。
違うことを祈り、僚を見つめる。
だが、僚はなにも言わずに香を抱きしめるだけだった。
香は明美の様子がみるみる変わるのを目の前にし、
手をさしのべようとした。
「明美さん…もう、終わったから……」
だが、そう言って涙ぐむ香の姿に、
明美はまだ残っていた恨みを燃え立たせた。
「なによ!怒ったらいいじゃない!
なんでそんなにまでして冴羽さんの前でいい子ぶってるのよ!!
あたしは、あなたを!」
香は僚の身体から、異様な気配を感じた。
「な…」
ふと顔をあげた僚と視線が絡む。
香は微かに頷くと、自力で立ち上がり明美に駆け寄った。
それと同時に僚のマグナムが火を噴いた。
「きゃああああ!」
明美の悲鳴と闇からの悲鳴が重なる。
取り囲まれていたのだ。
「僚!」
「ああ、奴ら当てにしていた銀狐がつかまったものだから、
自分たちに手が回らないように証拠を消しにきたんだ」
「じゃあ…」
明美は銃声に紛れ会話をしている二人を見ながら、
自分の部屋の心配をした。
ふと激しかった音が途絶えた。
明美は香がじっと耳を澄ませているのを見た。
暗闇に浮かぶその横顔は凛として、
明美の瞳にも、紛れもなく美しい女に映った。
「くっ……」
明美は自分に注意がいってないのを見て取り、
香の背後から駆け出した。
「明美さん!!」
気付いた香が後を追うが、
明美はそれを振り切って走った。
「香!気をつけろ!!」
僚の声が後ろから聞こえる。
香は振り向きもせずに頷いた。
先ほどとは逆に明美がエレベーターに乗り込む。
扉が閉まる直前、香は追いついた。
「明美さん!駄目よ!今僚の側を離れては!!」
とりなそうと肩を掴む香の腕を振り払い、明美は叫んだ。
「なによ!偉そうに!離してよ!
あたしは自分の守るものを守りにいくんだから!」
香は明美に振り払われた手を持て余しながらも、
ギュッと拳を握り締めた。
「…そう。分かった…
じゃあ、あたしにもそれを手伝わせて」
香の言葉に、明美はなおもイライラした。
「ふん!で?どうだった?彼のテクニックは?
あたしも何度か抱かれたけど、けっこう良かったでしょ?」
明美は自虐気味に言い放ったのだが、
香は即座にその時のことを思い出し、身震いした。
顔は青ざめ、膝から力が抜けてゆく。
明美は口の端をあげ、笑った。
「あたし、香さんが気持ちよがってるところの写真を見たから知ってるのよ。
初めは道具で拘束されてたけど、けっこう濡らしてたじゃない。
二度目?かしらね。それは、もう道具無しで大人しく抱かれてたじゃない」
香は首を振った。
「違う…あの時、足が……」
うろたえる香の様子がおかしく、明美は笑った。
そう、さっきまでの美しさは消えた。
だが、そこにはまた違う儚さが際立って違う美しさをかもし出している。
個人としての明美にとっては、この女は憎く邪魔な存在だったが、
一写真家としては、これほどの素材を放っておくのはもったいないと思ってしまうのだった。

59845。2:2005/12/05(月) 14:11:54
自然、ゴクリと唾を飲む。
そのすぐ後、ドアが開いた。
明美は今考えていた事を振り切って、部屋へと向かった。
打ちひしがれた香だったが、
首を振り、気をとりなおして明美の後を追った。
「きゃあ!」
明美の開けっ放しだった部屋には、
すでに敵の手が回っていた。
屈強な腕につかまって叫ぼうとする明美だったが、
すぐにその口を大きな手で塞がれてしまった。
「離しなさい!」
香はまだ吹っ切れない眠気と暗い気持ちを追い払いながら、
男に向かっていった。
明美も自分のフィルムが漁られる風景を目にし、
激しく暴れた。
「ちっ!」
男がさらに抑えようと口に当てた手を浮かしたとたん、
明美はそれに噛み付いた。
「ぎゃああ!このアマ!」
思わず手を離した男だったが、
すぐに腕を振りかぶり明美を殴りにいく。
「明美さん!」
香がその間に割って入り、明美の身体をかばった。
明美にはなにがどうなったのか分からなかった。
急に地面に身体が倒れ、
なにか重いものが自分を押しつぶそうとしている。
「な、なに?」
呻く明美の耳元に、微かな声が聞こえた。
「大丈夫……」
だが、身体は激しく打ちこまれたように振動し、
それに耐えられず明美は悲鳴をあげた。
「ぜんぜん大丈夫なんかじゃないわ!」
「ごめ……ん…」
その声にまじって服の裂ける音がした。
「ああ……!」
明美の上で香がもがいている。
呻きを必死で堪えているのが明美にも分かった。
しばらくしてガツッと鈍い音がし、
香の声が途絶えた。
そして男の荒い呼吸が聞こえだした。
「な…なによ…」
それに応えるかのように、違う足音が響いてくる。
さすがの騒音に、他の住人たちも起きてきていた。
そして悲鳴。
それから銃声。
「なによ!どうなってるのよ!」
叫んだ明美の身体から、重みがなくなった。
明美はよろけながら立ち上がり振り向くと、
そこにはぐったりとした香を抱き上げている僚の姿があった。
「ど、どうしたの?香さん…」
明美の足元には先ほど自分を拘束してたと思える男と、
他の男たちが倒れていた。
明美はその男が、木刀を持っているのを目にした。
「え?」
うろたえながらも慌てて香を見た。
僚に抱きかかえられた香の背中は服が裂け、
腫れた肉には血が滲んでいた。
頭からも血が流れている。
僚は隠していたが、たぶん下着も剥ぎ取られて…
「どうしてよ?」
明美はそれを言うのがやっとだった。
だが香にはすでに意識はなく、
明美の問いに僚が答えることもなかった。

(さて3択です。1明美、付き添う。2明美、留まる。3明美、後をつける。レスよろしく)

599名無しさんが妄想します:2005/12/05(月) 15:52:36
3!

600名無しさんが妄想します:2005/12/06(火) 10:52:44
ううっ、萌えますね
45。さん いつもありがとう

601名無しさんが妄想します:2005/12/07(水) 19:31:00
か、香タン…カワイソ。遼、遅いじゃないですかw

602名無しさんが妄想します:2005/12/08(木) 23:54:32
45。さん うう、ありがトン。

60345。1:2005/12/12(月) 11:00:25
599さんは3を選ばれました。
こちらこそ読んでいただきありがとうです。

野次馬で出てきていた住人たちは、
銃を手にした僚を見ると大慌てで部屋の中へと逃げ込んでいった。
たぶん警察に通報でもしているのだろう。
だが、通報より早くその場に警察はやってきた。
先頭に立っていた野上冴子は僚を見、
倒れている男たちを見た。
そして部下に倒れている男たちを連行するよう指示した。
僚は冴子に苦笑いをし、
「後は頼む」とだけ告げてその場を去った。
とまどう部下たちに命令を続ける冴子だったが、
呆然としている明美の存在に改めて気付くと、
こっそりと通りすがりながら耳打ちした。
「本当はあなたもひっぱらないといけないんだけど、
ちょっと事情があってね」
明美は冴子を振り向くが、冴子はもう明美を相手にはしていなかった。
明美は口唇を噛み締め、僚の後を追うことにした。
すでに僚の姿は無かったが、
明美は余裕でタクシーを捕まえて行く先を指示するのだった。
あれだけのケガをしている香をそのまま家に連れ帰ることはないだろう。
たぶん医者に診させる。
僚のことをいろいろと調べていた時、
ある人物の存在も知った。
詳しく調べようと思ってもなぜか出来なかったが、
何人もの様々な人々が頼る人物らしいということ、
さらに出入りする人物を観察したところ、
医療もしているらしいということまでは知ることが出来た。
きっとそこに向かっている。

明美の予想は当たっていた。
こっそり中へと侵入する明美だったが、
その場のセキュリティが消えていることに気付く余裕は無かった。
僚の車を門の中で発見すると、
急いで入ったために開かれたままと思われるドアから潜入していった。
「どなたかね?」
突然後ろからの声。
明美は驚いて悲鳴を上げかけたが、
自分が不法に入ってきていたことを悟り謝った。
「ご、ごめんなさい…
あの…冴羽さんを探してて…」
顔をあげた明美の目に、ひとりの老人の姿が映った。
「しかたのないお嬢さんだのう…」
老人は明美を案内するように前を歩いた。
明美は後を追いながら尋ねた。
「その…香さんは……」
老人が首を振るのをどう理解してよいか分からず、
明美はただ後を追った。
そしてある部屋に案内され、その中に入った。
誰もいない。
明美は振り返り老人に話しかけようとしたが、
先に口を出したのは老人の方だった。
「香くんは、まあ無事とは言えないが、
大丈夫じゃろう…
じゃが、今の僚には会わないほうがいい」
明美は質問しようとしが、隣からの声に押し黙った。
「教授、なにかあったんですか?」
僚の声だ。
普通の状態に聞こえる声に安心し、
明美は飛び出して行きかけたが、
それを老人に制された。
「いや、なんでもない」
明美は考えた。
とりあえず大人しくしていて、
この老人が居なくなったらまた動こうと。
教授と呼ばれた老人は、明美を信用したわけではないが、
部屋を出て行くことにした。
明美は声の聞こえた方の壁にかけより、耳を澄ました。
「教授、香は!」
「まったく…酷い目に合わされたものじゃのう…
おまえさんがついていながら…」
明美のいる壁にゴスッと激しい衝撃が走った。
なにごとかと思っていたが、教授の声でそれが分かった。
「うちを壊す気じゃないだろうな。
落ち着け。大丈夫、身体の傷はきれいに直してあげるから」
「くそっ…」
聞いたこともない苦しげな声が漏れる。
それが僚の声だと判断するのに、明美はしばしの時間を要した。
「おれは明美のマンションに行ったとき、
そこに盗聴器や隠しカメラがあるのに気付ていいました。
たぶん男の仕事の仲間が監視するためにつけてたのだと思われます。
だが、同じマンション内に住んでいて、
外とは別行動をとるとまでは…」
「やめなさい。香くんが寝ているというのに。
で?あとは…どうする?」
冷静な教授の声が聞こえる。

60445。2:2005/12/12(月) 11:00:56
「やっぱり危険だからと、表の世界に返してやった方がいいのかい?」
返事はない。
しばしの沈黙の後、さらに教授がたたみかけた。
「おまえさんは、こと香くんのことになると気が動転して判断力が鈍るようじゃから、
守るのも大変じゃろう。
やはり側には置かないほうが…」
「教授!
…おれは……」
激しい声は苦しそうに聞こえた。
「おれは、そのことにさっきまで気付かず後悔しはじめたところなんです」
「返してやるのか…」
「初めから、ある事の判断を間違えていたんです」
「これはまた可笑しなことを言うのう。
それはどういうことだね」
明美が一言も聞き漏らさないようにとじっとしているが、
次の言葉がなかなか聞こえない。
沈黙が長い。
「その…」
やっと声が聞こえた。
あまりに微かすぎて弱すぎて、
それが僚の声とはすぐには思えなかった。
「香を頼むという槇村の最期の言葉で、
おれは思い違いをしてしまっていたんです」
「頼まれた事をかの?
じゃが、今まで一緒にいるのは、
香くん自身が彼の代わりにおまえさんのアシスタントをすると言ってきたのもあったのじゃろ?」
「それが、またおれを勘違いさせる言葉だったんです」
「わからんのう…」
いかにも困った教授の声だ。
「だから、順番が違っていたのです」
「順番?」
教授の声と同時に、明美も頭の中で同じ言葉を呟いた。
「おれが、どうしたかったとか、どう思っていたとかいう前に、
おれの手の中に香が来てしまっていたんです」
「ふう…なにが言いたいのか……」
呆れた声に明美も同意した。
だが香という言葉を僚が戸惑いつつも発するたびに、
明美の神経はキリキリと軋んだ。
「おれは…どう説明していいか分からないのですが、
香が欲しかったようなんです。」
「ほう」
「今までの女とどこがどう違うのか分からないのですが…
他の女とおれに接する態度が違うのは、
おれが槇村の相棒だということがあったからなのかどうかも分からない。
香のおれに向ける目が、気持ちよかったからなのか、
なにがどうなのか分からないのだけれど…
おれはいったいなにが言いたいんだろう?」
明美も思った。
ただイライラする。
いったいこの男はどうなっているのだろうかと。
今まで追いかけ憧れていた
あのクールで大人の余裕を持つ男と同じ男なのだろうかと。
これではまるで…
「とにかく自分の気持ちより前に、おれの横に香がいた。
今考えると、槇村がやつらに襲われ死の間際、
あの気性をもった香がなにか1人でしでかさないようにおれに頼んだと考えるのが普通だと思う」
「うむ…」
「だが、おれはなにを頼まれたのか判断する前に、
香がおれのアシスタントになると言ってきた」
「うむ…」
「やつらに報復した後、いつもの依頼人のように返すべきだと…
なぜその時おれは思わなかったのだろうか、不思議なんです。
それでそのまま今まで。
でも、もしかしたら初めて会った時からの態度が…」
「う…む…」
教授の声がなぜか苦しそうだった。
「教授?」
僚にもそれが分かっているようで、思わず心配する声がする。
「そうか。そこまで分かっているのに分からんのか…
不憫な男よのう…」
「おれのどこが」
抗議しようと憤る男を、教授は抑えた。
「香くんが寝ているんだから」と。
ひそひそ声で同じ言葉を僚が発する。
「おれのどこが…」
「おまえさん、育った環境が普通じゃないから、
女性に対してもそっちの本能からからでしか対処したことがないんじゃろうな」
「なにが言いたいのですか?」
「じゃから、愛欲でしか女性を見ることしかなかったのかと」
「?おれは女性には優しい男ですが……」
長いため息が漏れる。
「そして不憫な女じゃのう…香くんも…
こんな百戦錬磨の男が相手じゃから気付きもせなんだろうが…」
「だからなにが言いたいのですか?」
僚の声にトゲが含まれてきた。
そして教授の呆れた声が僚の耳と心臓を直撃した。
「おまえさん、香くんが初恋なんじゃないかのう…」
明美は耳を疑った。
僚もそれは同じようで、沈黙が続いている。

(さて3択です。1明美、飛び込む。2明美、潜んでいる。3明美、移動する。レスよろしく)

605名無しさんが妄想します:2005/12/12(月) 11:47:01
2

606名無しさんが妄想します:2005/12/12(月) 21:20:25
わぁお!初恋、萌え〜!

607名無しさんが妄想します:2005/12/12(月) 21:21:31
あげちった・・・

608名無しさんが妄想します:2005/12/12(月) 21:21:55
あげちった・・・

609名無しさんが妄想します:2005/12/15(木) 14:04:10
初恋…なんとも純な言葉だ。がんばれ、リョウタン!

610名無しさんが妄想します:2005/12/15(木) 16:38:35
いくらなんでも初恋はないだろ...オエ

悪いけど萎え。つか引いた。
いいトシしたオッサンだぜ

611名無しさんが妄想します:2005/12/15(木) 23:47:13
>>610
見た目はオッサン心は子供なんだよ

612名無しさんが妄想します:2005/12/16(金) 01:03:12
ハタチなら初恋もするにょ

61345。1:2005/12/19(月) 09:25:46
605さんは2を選ばれました。
まあ、いろいろご意見はありますが、常識はずれの男の落とし穴ということで(w

「…そ、それはないでしょう…」
少々うろたえながらもやっと発された僚の言葉。
明美も深く頷いた。
「まあ、自信のない声じゃのう…」
おかしいといわんばかりの教授の声がすぐ返った。
「以前ミックくんが言っておったが、香くんの初恋の相手はおまえさんだそうだが」
「そうなんですか?」
突然に冷静になった僚の声に、それくらいは僚も認知していたと、
教授と明美は確信した。
「二人とも、えらい奥手じゃのう…」
「おれは手、早いですよ」
大きく漏れる教授のため息が聞こえる。
「まあ、いい。初恋は実らないのいうのが相場じゃから…」
明美も頷く。
「教授、いったいなにが言いたいのですか?」
「こっちに」

僚は教授の後から香の寝ているベッドへと向かった。
怪我を負っている背中に負担が掛からないよう、
横向きになるようにされていた。
こちらを向いている香の寝顔は、薬が効いているためか穏やかだった。
「頭を打たれておる」
僚は教授の言葉に頷いた。
「ええ…」
「さっきあっちの部屋で情報を受け取ったのじゃが、
香くんを襲った男というのが、またやっかいな男での」
僚の表情が険しくなるが、教授は続けた。
「以前の組織の中で、誘拐する女性を調教する係りの1人だったそうじゃ。
じゃが、女性を痛めつけてそれを見て興奮して犯す性癖がだんだんと酷くなり、
係りから外されたと。
…まあ、最後の女性は死ぬ寸前まで殴られ商品価値すらなくなってしまったとかで、
それで違う役目を与えられてたわけじゃな。
盗撮監視という」
「…」
僚が口の中でなにかつぶやいていたが、どうにも聞き取れない。
「なにか言ったかのう?」
教授が聞き返すと、一呼吸置いて僚ははっきりとそれを口にした。
「殺してやるつもりでした」
「よく思いとどまったものじゃ」
「香が…香…
早く助けたかったから…
すぐに冴子たちが来てたのを知ったから…
さすがに殺してたら香を連れてあの場を抜けられなくなるから…」
僚は眠っている香の前に膝をつくと、その手をとって胸に当てた。
「ん……」
香の顔が歪む。
「僚…以前は別れるのは無理じゃろうと言ったが。
もし、香くんがまた記憶を一時的にでも失くしておったら、
もし、おまえさんを忘れてしまったようだったら…
返してやるのもいいかと思うのじゃが…」
僚の手に力が籠もる。
「…あっ…」
香が痛みに呻く。
僚は慌ててその手を開き、そっと戻した。
「今回、盗撮など分かっていながらそれを見過ごしたのは何故じゃ?」
「…それは…その…
香のまずい写真を見つけて…」
「それだけで動揺してしまったのか?」
僚はうな垂れた。
教授はため息をついた。
「香くんに惚れててメロメロなんじゃのう…」
「は?なんですか?その恥ずかしい表現は」
教授は疲れた笑いをしながら僚に応えた。
「以前おまえさんが言った言葉を使わせてもらっただけじゃ。
物忘れの激しい男じゃのう」
僚は何も言えない。
だが記憶力はいいほうだ。
それに関して覚えてないのではなく言った記憶を消したかっただけだ。

61445。2:2005/12/19(月) 09:26:38
「今晩、あの家に行ったのは偶然じゃったのか?」
僚は頷いた。
「ええ、襲撃されるというのは知らなかったことです。
ただおれは…
香が彼女のためにしてあげたことを考えると、
どうしても彼女を許せなかった。
だから、二度とおれに…香に関わらないように」
「脅すか犯すかするところだったというところかの…」
僚は気まずげに頷いた。
「で?どうするかね?
香くんの記憶がそうなった場合でも、
泣いてすがって側にいてもらうというのなら止めはしないが、
おまえさんを知らない香くんがどう思うか…」
「そんなみっともないこと、おれがするはずないじゃないですか」
「ほう?」
「もし、記憶がないようなら顔を見せずに別れます。
でも敵からは、香には分からないように守ります」
僚の顔は真剣そのものだった。
教授は不器用な男だと思いながら呟いた。
「世界最強のストーカーじゃな…」
冗談ともとれる言葉だが、隣で聞いている明美も思わず頷いてしまった。
「まあ、いい。答えは回復するまで待ちなさい」
教授は部屋を出て行こうとして、ふと振り返った。
「いつまでこの部屋にいるつもりじゃ?」
僚は意外なことを聞かれたように、少し考えた。
「香が目をさますまで、いいですか?
さましそうになったら戻りますから」
教授は頷くと部屋を出てため息をついた。
「…まったく…こんなにも自分が分かってない男とは思わなかった…」
そして明美のいる部屋をこっそり開けると、
壁にへばりついている明美を見つけ手招きした。
「静かに…こっちにおいでなさい」
明美もさすがに黙って頷くと、教授の後をついていった。

「さて、どうしたものかのう…」
僚たちからかなり離れた応接室で、
教授と明美は向かい合ってお茶を飲んでいた。
「おまえさんは、僚が好きなんじゃろ?」
明美は頷いた。
「香くんを利用して欺くというのは感心しない。
あんないい子を…あんなにしてしまうとは……」
「だって…」
明美も反省はしていた。
香を銀狐に襲わせたのは計画に入っていたが、
今傷つき倒れた香は自分の身代わりだ。
自分がああなったかもしれないと思うとゾッとする。
そして、改めて銀狐のことを考えた。
盗撮されてた事も考えた。
「あ、あたし…どうしてこんなことに……
あたしはただ、冴羽さんに似合う女になろうと恋人を何人も作り、
経験をつもうとしただけなのに……
あんな男に恋人が入れ替わられてたり、
知らない男たちに生活を覗かれてたりしてたなんて……」
教授は明美を見つめた。
「どうして僚がよかったのかの?」
明美は僚のことを思い浮かべ微笑んだ。
「あたしを助けてくれたの。
強くてかっこよくて、心が広くて
そしてとっても…名前で見た相性が抜群だったの」
教授は湯のみを取り落としそうになった。
それをこらえ、「おまえさんに僚は無理じゃ」と答えた。
明美は立ち上がると教授に応えた。
「可能性はあると思うの。
あたしは香さんより女として磨いてきたし、
香さんだって冴羽さんのところに押しかけてきてそのままだって言ってたし」
教授は首を振った。
「あの二人は別れられない」
「だって、そう。
そうよ、香さんが記憶を失えば冴羽さんは香さんの目の前には現れない。
その冴羽さんをあたしが温かくカバーしてあげれば、いつか」

61545。3:2005/12/19(月) 09:27:23

じっと眠る香の顔を見つめているだけで、
僚は心が騒いだ。
すぐに抱きしめたい。
抱きたい。
再び手をとるが、香は痛みのためか悪い夢を見ているためか苦しそうな顔をする。
殺しておけばよかった。
見逃した男のことを考える。
あそこで捕まっても、たいした処罰にならないかもしれない。
その場合すぐに開放される可能性も高い。
「すぐに殺してやるからな」
僚は口の端を歪めて笑った。
そして口唇を噛み締める。
「くそっ!こんなことで香の記憶が消えでもしたら…
おれから香が奪われるようなことになったら…
おれは明美を…」
怒りと錯乱が交互する。
「りょ……」
香の口唇から声が漏れた。
醜い自分の心を見られはしなかったかと、
慌てて香を見る。
眠っているようだった。
「なんだ寝言か」
その口唇が再び開いた。
「明美さん…無事?」
確かに眠っている。
それでも香は明美を心配していた。
「ああ、無事だ」
思わず答えた僚に、香の口元が微笑む。
僚はたまらなくなり部屋を出た。
それを待っていたかのように、
一つの影が部屋へと入った。

灯りのついたままの部屋の隅に香の寝ているベッドがあった。
スイッチを見つけ、それを消す。
外から漏れる灯りが部屋をうっすらと満たした。
ゆっくりと足音をたてずに近づくと、
寝ている香が動いた。
「ん……」
びくりと足を止めると、香が声をかけてきた。
「りょ…う?」
暗がりの中、香は見えないと思い頷く。
「明美さん…無事だった?」
びくりと動揺するが、さらに驚く事に、
いつの間にか背後に人が立っていて口を塞がれた。
「ああ、無事だ」
『冴羽さん…!』
もがく明美だったが、ビクとも動けない。
「よかった…」
安堵する香の声に、明美も頷いた。
「あたし、どうしちゃったんだろう?」
明美の後ろの男がぐらつきそうになった。
「おまえは明美くんの身代わりになって殴られたんだ。
ここは教授のうちだ」
暫くの沈黙。
「…あ、ああ、そうだったっけ。
だからなんだかいつもと違うんだ…
…あっ!」
香の言葉が詰まった。
「りょ…あた…し……
ごめ…悪いけど…ちょっと出ていって……
お願い…」
明美は香になにか言いたかったが、
それを押さえ込んだまま僚が頷いた。
「分かった。
少したったら戻る」
「…う…うん……」
明美は僚に抱えられたまま部屋を出た。
ドアを閉めた途端、
香の泣き声が聞こえてきた。

(さて3択です。1明美、帰る。2明美、僚と話す。3明美、教授のところに行く。レスよろしく)

616名無しさんが妄想します:2005/12/19(月) 11:53:15
2でお願いします。

617名無しさんが妄想します:2005/12/19(月) 23:51:50
45さん、ありがトン。
>常識はずれの男の落とし穴
なるほど…納得ですw
初恋、実らせてやって下さい。

618名無しさんが妄想します:2005/12/21(水) 12:44:34
そのへんのヤクザと同レベルかよ プ

619名無しさんが妄想します:2005/12/21(水) 22:40:29
リョウ、がんがれ!

62045。:2005/12/26(月) 14:26:24
616さんは2を選ばれました。
はたして、恋心にとち狂い、そのへんのヤクザと化した初恋おっさんの運命やいかに!(w

明美は廊下に出ても開放されない状態だった。
自分を捉えている男の腕と身体から、
男の震えが伝わってくる。
そして自分の行動に反省しながらも、
まだときめきいてしまう自分がいることに気付かされるのだった。
香の抑えている泣き声が耳に痛い。
僚が大きく息を吐いた。
たぶんずっと止めていたのだろう。
それと同時に明美は解放された。
「あの…冴羽さん…」
小声で呼びかける明美だったが、
僚はそれには応えずに、
明美の口を塞ぎ場所を移動させた。
強引に連れ去られてる間も、
明美は複雑に喜びすらしていた。
だが、灯りも届かないような場所で、
壁を背に言われた言葉はこれだった。
「もう、おれたちに構わないでくれ」
相手の顔が見えない。
だが明美は首を振った。
「いやです。だってあたしは…」
「まだ香を傷つけるつもりなのか?」
明美は問われた言葉がいやに無表情なのに驚きつつも、
答えるのだった。
「あたし、あなたを愛しているから。
あなたが誰を愛していても、自分の気持ちは変えられないから。
香さんだって、あなただってそうなんでしょう?
あたしだって…」
明美は強い力で口を塞がれた。
背中がドンと壁に当たる。
だんだんと息が苦しくなってくる。
もがく明美だが、手は緩まない。
「香がきみのことを心配してたために記憶を失っていなかったということには感謝する。
だから、このまま帰ってくれるなら、おれは…」
明美はもがきながら返事をしようとする。
僚はそれを見て手を緩めた。
明美は思い切り空気を吸い、むせながらも体勢を整えるのだった。
その間、僚は黙って見下ろしているだけだった。
「あたしを殺すの?」
搾り出す声だったが、僚は動じなかった。
明美としては探りを入れるために思い切って口にしたのだが、
相手の態度を見てそれを後悔することになるのだった。
「ほ…本気なの?」
明美はゆっくりと口を動かした。
「さっきもあの男を殺すって言ってたわよね。
そんなことしたら…」
僚は明美の肩に手を置いた。
その手はさっきと同じものなのに、明美の心は温かくはならない。
「おれがどういう人間なのか、知っているのだろう?
おれは数え切れないほどの人間を殺しているんだ」
明美は首を振った。
確かに知識としては聞いていた。
だが、自分の知っている冴羽僚という男からは、
実感としてそれは伝わってはこなかった。
「でも、それは過去のことでしょう?」
少し暗がりに慣れてきた明美の瞳に、
人物の首が左右に振られるのが映る。
「…か、香さんは、知っているの?」
咄嗟に出た言葉に、明美は自分が混乱しているのを悟った。
「香は、おれの全てを受け入れてくれている」
まだ混乱を落ち着かせようとしている明美だったが、
それを無視するように僚は続けた。
「香は、優しすぎる。そしてそれに気付いていない。
だから今回もこんなことに…」
明美は言葉もなかった。
たしかに今回香が居なかったら、自分もどうなっていたか。
それでも明美は今まで自分の気持ちも大事だと思った。
「あたしだって、あなたと一緒にいられるのだったら、
自分の身がどうなったって…」
必死に告げようとする口唇がひんやりとした手のひらで塞がれた。
「帰らないのなら…」
耳元で囁かれる声に恐怖と恍惚を感じながら、
明美は戻りつつある理性で首をたてに振った。
その耳に軽い足音が近づいてきた。
「そんなところでいったいなにをしておるのかの?」
僚は落ち着いて答えるのだった。
「明美くんが迷っていたようなので」
教授は頷いた。
「そうか、まあいいじゃろ…
ときに、僚。
香くんがおまえさんを呼んでる声が聞こえていたのじゃが」
「香が?」
声が変わる。
明美はそれだけで胸が苦しくなった。
「じゃあ、明美くんのことは」
「ああ、行ってこい」
教授は僚を見送ってから、明美に振り返った。
「無事でなによりじゃ」
「あ、あたし…」
教授は首をかしげて明美に言った。
「はて。香くんのことを言ったのだが…
とにかくもう遅い。
君も泊まってから帰りなさい」
明美は黙って頷くのだった。

(さて3択です。1香、僚に甘える。2香、僚を突き放す。3香、心当たりがない。レスよろしく)

621名無しさんが妄想します:2005/12/26(月) 14:38:39
そろそろラブラブなお二人が見たいので1をお願いします。

622名無しさんが妄想します:2005/12/26(月) 20:25:39
1で良かったですね。3だったら悲しすぎる

62345。1:2006/01/03(火) 10:28:15
明けましておめでとうございます。
…年内に終わらせる予定が時間とれなくてずれてしまいまして申し訳ない…

621さんは1を選ばれました。
622さん、どうかなあ(w

僚は走った。
だが香のいる部屋の近くに来ると、
それと匂わせないようにゆっくりと歩いた。
ドアの前に立ち、ノックする。
そして答えを待たずにノブに手をかけた。
「香…呼んだか?」
明るい部屋の中、ベッドに横たわったままの香はとまどったように頷いた。
「ごめん…すぐそこに居るかと思って…
もう休んでたよね。
あたしが勝手に部屋から追い出したんだし…」
僚は安堵しながら香に近づいていった。
「ちょっと離れてただけだ。気にするな」
灯りの下、拭ってはいたが泣いた跡の残る香の頬にそっと触れた。
香はそっと手を伸ばして僚の手をそこに抑えた。
「りょ…ごめん……あたし…その…」
思い切り抱きしめたい僚だったが、
香の背中の傷に障るのでそれを断念せざるおえなかった。
「おまえは、よくやったよ」
「明美さん、本当に無事だった?」
僚は改めて反省をしないわけにはいかなかった。
香が身体を張って必死で守った依頼者を、自らの手で傷つけるところだったのだ。
「ああ、無事だ」
少し淀んだ声だったのか、香が心配そうに見つめてくる。
「よかった…あたしでも役にたてたんだ…
でも駄目ね。僚が来てくれなかったら、あたしも明美さんもあのまま」
「おまえが居なかったら、明美くんはあのまま殺されていただろう。
おまえが居たから…でも、頼むから、もう無茶はしないでくれ」
香は首を振った。
「いつも僚が助けてくれた。
だけどあたしだってパートナーなんだ。
自分1人でもなんとか依頼を解決したかった」
「香!」
僚は香がなにか不安なことを考えているような気がして話を中断させた。
声の大きさに香も驚き僚を見つめる。
「今おれになにか出来ることはないか?」
僚の口から出た言葉に、香はとまどいつつ答えるのだった。
「あの…じゃあ、朝になったら明美さんの弟さんに連絡しておいてくれる?
終わったって」
僚も改めて聞いた。
「そっか、そうだったな。依頼。
だけど、いくらで受けたんだ?」
香もしばらく考え、あっという顔をした。
「決めてなかった…」
「いいよ。適当にふんだくってくるから」
「あまりひどい値段は、ね」
僚は香に頼まれながらも、金額では済まされない代償を払っていることに腹をたてた。
「さてね。
で?他になにかないか?」
香は頬を染めてためらいながら小声で呟いた。
僚はなにを言っているのか気付いた上で聞き返した。
「声が小さくて聞こえないよ」
香は顔を真っ赤にしながら首を振った。
「いい。なんでもない。
おやすみなさい」
言うが早いが必死で僚から逃げるように顔を伏せた。
「いいさ、ちゃんと言ってくれないなら」
僚は自分に向けられた香の首すじに口唇を押し付けた。
香の身体がビクンと跳ねる。それでも香は顔をあげなかった。
僚は少しずつ場所をずらしながら口唇を這わせ、
香の身につけている寝巻きに手をかけた。
「いや!」
驚いた香が顔を上げて僚を見つめた。
青ざめた顔だった。
「あ…その…まだ…あの男の跡が…残って」
僚は寝巻きから手を離してから香の頬を両手で覆った。
「そうだな。香は眠る前のキスが欲しかっただけだったんだよな」
「聞こえてたの?いいの?」
僚は答えずに香の口唇を捕らえた。
「…ん……」
触れたその感触は、例えようのないものだった。
教授に言われた言葉が頭の中でぐるぐると駆け回る。
『初恋?バカな…』
そしてそれを打ち消しながらもこだわってしまう。

62445。2:2006/01/03(火) 10:30:20
今まで抱いた女たちの何人かが頭の中をよぎる。
一度は側に置いて表に返した女たち。
未練がなかったわけではないが、
自分が納得した結果だったし、後悔はない。
情報として幸せに暮らしているということも確認はしていた。
だが、香ならどうなのだろう?
香は………
ふと気付くと胸を香の拳が叩いていた。
慌てて口唇を離すと、ぐったりとした香が息を荒げていた。
「悪い、苦しかったか?」
香は首を振った。
「僚、なんだか違うこと考えてたみたい…」
「なかなか鋭くなってきたじゃないか」
笑いながら再び香の頬を包み、
それをぐにぐにと弄んだ。
「ちょっと考えてただけだ。
おまえがおれにとってどういう存在かってな」
香の顔が一瞬翳った。
だがすぐに笑顔を作って囁いた。
「そっか、僚はいっぱい女の人知ってるもんね。
でも…今……今だけはあたしにキスしてね」
見つめる瞳の暗さを気にしない僚では無かったが、
大人しく言う事を聞くのだった。
「おまえ専用だ」
僚は心の中で教授にも香にも敗北を認め、
ゆっくりと香の頬、額、瞼に…そして口唇に口づけた。
「よく寝て早くよくなってくれ」
香はぼうっとしながらも頷いた。
そして僚を見つめた。
「あの…」
香の追加の願い事に僚は快く頷いた。

小鳥の声と朝日が差し込む室内。
小さなノックの音とともに、ある人物が入ってきた。
「よく眠れたかね?」
「ありがとうございます。教授。
…その、僚を呼んできてくれて…
これで心残りはありません」
香と教授は、ベッドの手前で眠り込んでいる大きな男越しに会話をした。
「よく眠っているようじゃの」
「ええ、教授からもらったお薬が効いたみたいで…」
眠りながらも香の手を握っている僚に、
教授は首を振った。
「ずっと手を握っててくれて…
あたし、ずっと僚の寝顔を見てることが出来ました」
「やれやれ、香くんの手に針が仕込まれてるのに、
気付かないわけではなかったろうに…」
「包帯を巻いてたから、留めピンだと思ったんじゃないかな?」
笑顔で言う香に、教授は聞くのだった。
「決心は変わらないのかのう…」
香ははっきりとした声で応えた。
「はい。僚と別れます。
僚、今までアニキの頼みと押しかけたあたしのわがままに、
ずっと振り回されてだんだって、僚が気付いちゃったみたいだから。
もう、側にいてもあたしも辛くなるだけだし、
僚には好きに生きて欲しいと心から思うから」
教授は僚を見ながらもうんうんと頷いた。

62545。3:2006/01/03(火) 10:32:15
「で?本当にこのまま出かけるのかの?
完治してからでなくて…」
香は笑顔で「これ以上、ここに居たら…」と言い涙をこぼした。
「教授にはお手間かけると思いますが、
どこか別の場所でお願いします。
治ったら1人でやっていきます」
「1人で…のう…」
残念そうに見つめる教授に香は微笑んだ。
「あ。でも、もしかしたら1人じゃないかも…」
「はて?」
興味深げに効いてくる教授に、香は頬を染めて答えるのだった。
「もしかしたら…その…ちょびっとの可能性だけど、
子供…赤ちゃんが生まれるかも…」
「僚のかね?」
香はゆっくりと頷いた。
「ほら、僚って子供嫌いだし、ちょうどいいのかも」
「やれやれ……
まあ、いい。じゃあとりあえず車の用意が出来るまで
他の部屋のベッドに移るかね。
この男を動かすより早いじゃろう…」
香は頷くと、僚が繋いでいる手をそっと振り払った。
そしてその頭を抱くと「今まで本当にありがとう、さようなら」と呟いた。
「痛むじゃろうが、おまえさんの意志じゃ、
我慢出来るじゃろう……
1人で行けるかの?」
香は頷き、教授に言われる部屋まで必死で歩いていった。
「さて…」
教授は1人頷くと、だらしなく床に落ちている僚に尋ねた。
「香くんはああ言っておるが?」
僚はしばし動かなかった。
香にあんなことを言われて動揺してしまったのと、
頭を抱いてもらって動揺したのとで、
どう対応してよいか分からなかったのだった。
それでもむっくりと起き上がると教授に文句を言った。
「なんですか?あの香移動計画は?
おれは聞いてないですが」
教授はため息をつき、それには答えずに聞いた。
「わしだってな、おまえさんが避妊処置もしてないってことは聞いてないのじゃが?
香くんが大事じゃなかったのかね」
僚は痛いところと突かれたという顔をしていたが、
すぐに切り替えした。
「しょうがないでしょうが!香とするってのに、そんなとこまで気が回らないし、
…その、直のが気持ちいいし〜」
「あきれた男じゃな。
その結果、種付けしてポイとは…
いくら日本一軽い男になれとは言っても…」
「そんなつもりはまったくありませんよ!
ったくあのばか香…」
教授は僚を白い目で見つつ、宣言した。
「わしは香くんの意思を尊重するからの。
もし、おまえさんが香くんを欲しいと思うのなら」
「思うのなら?」
「さっさと『初恋』宣言でもしておくことじゃな。
…まあ、香くんがおまえさんと顔を合わせたくないと言っておるから、
それも無理かもしれんがのう…」
教授はそれだけ言うと、僚を残して部屋を出た。
僚はベッドに腰掛けると、ばったりと寝そべった。
ついさっきまでいた香の匂いがする。

62645。:2006/01/03(火) 11:12:49
途中ですが、鯖が…
復活したら続きウプします〜
(携帯より愛を込めて)

62745。4:2006/01/03(火) 12:53:12
「香…」
そしておもむろに起き上がると、
胸に湧き上がる怒りで頭がいっぱいになった。
「な〜にが、槇村とおまえのせいでおれが側に置いてただ?
おれはおまえが欲しいんだよ!それくらい分かれよ!
おまけにおれをはめたつもりでいるってのが甘い!
その甘さで他人のトラブルに巻き込まれるってんだからタチ悪い!!
おまえのような奴はおれの側に置いておかないと…」
僚はそれだけ呟くように叫ぶと、ぼんやりと笑った。

ドアを叩く音に、香が脅えた。
それが分かっているようで、ドアの外から声がかけられた。
「あたしよ。かずえ」
香はホッとした声で「どうぞ」と応えた。
「大変だったわね。包帯換えるから、ちょっと失礼」
「朝からすみません。お願いします」
香は頭を下げてかずえに身体を預けた。
かずえは教授から聞いてはいたが、
その怪我の酷さに眉をしかめた。
「酷いわね…」
「ええ、でも依頼人は守れたし…
と言っても僚が来てくれたからだけど…」
かずえは傷口に薬を塗りながらも、
その他にある痣などに気をとられた。
そして香の身になにがあったのかも聞いてはいなかったが、
薄々察するのだった。
「香さん…その、本当に冴羽さんとは…」
香は寂しそうに頷いた。
「あの、かずえさん、虫のいい話だけど、
僚のこと、よろしくね」
かずえは苦笑して言った。
「あ〜あ、もっと早くその言葉聞きたかったわ〜
今、ミックで手一杯なのよ〜
困ったわね〜」
「そ、そうよね。ごめんなさいね」
本気で謝る香に、かずえは笑った。
「嘘よ。様子見るくらいなら出来るから、
こっそり報告してあげるわね」
「ありがとう…」
呟く香に、かずえの胸は痛んだ。
『まったく、冴羽さんはなにをやっているのかしら!』
そう思いながらも一通り手当てを終え、香に聞くのだった。
「他になにか用があったら呼んでちょうだいね。
隣の部屋にいるから」
香が頷く。かずえも香を見ているのが辛く出て行こうとした時、
ノックの音がした。
香が声を出せずにいると、かずえが代わりに応えた。
「はい」
するとドアの外から声がした。
「おや、かずえくん。そこにいるのかの?」
「ええ。今包帯を換えたところです」
「なら、ちょうどいい。ついでにその棚の一番上の段の右隅にある薬を
香くんに飲ませておいてはくれないかの?
痛み止めの薬じゃ」
「ええ、分かりました」
「じゃあ、わしはまた後で、準備が出来たら迎えにくるからの」
「あの、ありがとうございます」
香が思わず言うと、「いや」という声が返ってきた。
かずえは言われた薬を手に取った。
レッテルの無い瓶だったが、教授が言うのなら大丈夫だろうと香に渡した。
「じゃあ、香さん。また後で」
「ありがとう」
香はかずえに感謝して、薬の瓶を見つめた。

(さて3択です。1香、薬を飲む。2香、薬を飲まない。3香、薬を飲み損ねる。レスよろしく)

628名無しさんが妄想します:2006/01/03(火) 13:01:23
1

62945。:2006/01/03(火) 13:59:13
628さんは1を選ばれました。

「何錠飲めばいいのかしら?」
香はしばらく考えたが、頭痛薬と一緒だろうと2錠を、
手元においてあったコップの水とともに飲み込んだ。
これからのことを考えると、やはり切なくなる。
今までと違う生活が待っている。
僚のいない生活が。
「だいじょうぶ、なんとかなる」
自分に言い聞かせていると、ほどなく軽い眠気が訪れた。
そしてそのまま眠りに落ちていく。
手にしていたコップが床に落ちたが、
その微かな音が合図だったかのように部屋のドアが開いた。
香に近づいた人影は、背中の傷を気遣いながらも香を抱き上げた。
「……」
微かに動く口唇が名前をなぞる。
抱き上げた男はビクッとするが香が完全に寝入っているのを確認し、
ホッと胸を撫で下ろした。
「驚かすなよ…」
その声が聞こえているかのように、また同じ名前を呟く。
「僚…」
その声がさっきよりも掠れ、閉じられた瞼から涙が零れ落ちてきた。
「だから!…ったくもうよお…
そんな、泣くくらいおれのこと好きなら離れるなってバカ香」
僚はこっそりと人目を伺いながら教授の家を抜け出すと、
車に乗り込んだ。

教授は香のいる部屋に入ったが、誰もいない。
そうなる事は分かってはいたが、どうしたものかと考えた。
すると隣の部屋から一仕事終えたかずえが出てきて尋ねてきた。
「あら?教授。香さんもう移して帰ってきたのですか?」
その場で唸っている教授を不審に思いながらも返事を待っていると、
教授はなにも言わずに空のベッドを指差した。
「?」
「連れて行かれたようじゃ」
かずえは改めて驚いた。
「え?だって、だいぶ前に教授が車の用意をしている間に薬を飲んでおくようにって言ってたから、
とっくに……」
「誰が薬を飲んでおくようにって?」
かずえは教授を指差した。
「わしが?わしは今まで明美くんと話をしていたのじゃが……」
二人ともしばらく考えていたが、教授が思いついたように聞いてきた。
「わしがどういうふうに?」
かずえはありのままを話した。
「声だけ?」
「ええ。そうですね」
教授はため息をついた。
「そんな姑息な手で…僚のやつ……」
「え?あれ冴羽さんだったの?」
かずえは驚きベッドに転がっている薬の瓶を取りにいった。
「これを飲むようにって」
瓶を手渡され、教授は呆れた。
「これは、わしの所から僚がいつも持っていく睡眠薬じゃな」
二人は顔を合わせ、深いため息をついてから力なく笑った。
「まあ、とにかく毎日通院させるように言っておかないとな」

(さて3択です。1香、すぐに目を覚ます。2香、着いてから目を覚ます。3香、夜まで目を覚まさない。レスよろしく)

630名無しさんが妄想します:2006/01/03(火) 14:08:03
2!!

63145。1:2006/01/03(火) 15:18:59
630さんは2を選ばれました。

まっすぐアパートまで向かった僚だったが、
いったい香が何錠飲んだのかまでは分からなかった。
無茶な飲み方はしてないだろうけど、
いつまで眠っているのだろうか。
不安になりながらも香を抱き上げ部屋まで行くと、
自分のベッドに香を横向きに寝かせた。
服をめくってみると、包帯が痛々しい。
「くそっ!」
込み上げる怒りが口から漏れる。
「…ん…」
それに反応するように苦しげに呻いた後、
香はうっすらと瞼を開いた。
「りょ…う?
…あれ??」
不思議そうに瞼を擦っていた香だったが、
はだけられた寝巻きに目をやり、
そして改めて僚を見つめた。
「……え?ええ?
どうして?」
慌てる香の背中に気遣いながら、
僚は香の頭を抱きしめた。
「…やっ…ちょっと…どうして…
あたし……だって…」
脅えながら拒もうとする香に、僚は呟いた。
「これからはおれの好きにしていいんだろう?」
香は必死に頷きながら「そ、そうよ…まさか聞いてたの?寝てたと思ってたのに…騙したの?」と叫んだ。
「じゃあ、これでいいじゃないか」
香は首を振った。
「違う!だって、あたしは…あたしは……」
僚は香の頭をいったん離すとじっとその顔を見つめた。
「おれは、勘違いしていたんだ」
香は辛そうな顔をして頷いた。
「おれがおまえとずっと一緒にいるのは、
槇村に頼まれたからなんかじゃない。
ましてや、勝手におまえが押しかけてきたからじゃない」
「え?」
驚いたように見つめる香の視線からいったん目を逸らす。
見つめられるだけで、胸が苦しくなる。
「その…なんだ…。
おれがおまえを側に置いておくのは、
おれがおまえを必要としているからなんだ」
香はキョトンとした顔をしている。
僚はそれ以上は言えずに香の頭を撫でた。
「まあ、また後で説明する。
とにかくおれから離れようとするな。
おれは本気でおまえが要るんだ」
「え?あ、うん…ありがとう…」
香もまだ朦朧とする頭の中で、
僚がなにを言っているのかは分かってはいなかった。
だが、これからも側にいていいのだという安心感で、
顔が自然と綻び、そのまま眠りに落ちていくのだった。
「早くよくなれ」
その声が遠くで聞こえる。
香はゆっくりと頷いた。

電話のベルが鳴った。
「僚?例の男。尋問中に逃げたわ。
ついさっきね」
受話器からの声に僚の口元が歪んだ。
「事故に合うかもしれないな」
「貸し…チャラになるかしら?」
「ああ」
警察はかなりの数の人員を動員したのだが、
逃げた男の消息は、それ以降誰にもつかめなかった。

63245。2:2006/01/03(火) 15:19:58
冬の間、香は僚に連れられて毎日教授の家に通った。
初めの頃こそ、教授の厭味を避けてた僚だったが、
毎日が数日置きになった頃にはまったく動じなくなり、
やがて一週間に一回となった頃には、
すっかり開き直っていた。
「もう、通わなくてもいいじゃろう…」
教授から告げられた時、香はやっと僚が自分を仕事で使ってくれると喜んだ。
「じゃが、あんまり激しくやり合わないように」
「はい」
素直に応える香に対し、僚はうんざりした顔だった。
「私生活についてまで、忠告はけっこうですよ」
「え?」
僚がなにを言っているのか理解出来ないでいた香だったが、
教授が言ってたのが仕事のことではないと気付いた時に、
真っ赤になって俯いてしまった。
かなり前から求められ、
それにすがるように応えてしまっていたのだった。
「残念じゃったな。まだ子供は出来ていなかったようじゃて…」
「あ…はい……」
俯いて答えるのが精一杯の香に、
僚が助け船を出した。
「これからいくらだって、その手伝いするから大丈夫です」
「ばか!」
香はかえっていたたまれなくなり、僚に向かって悪態をつく。
しかし、僚はまったく気にしてないようで、
香の肩を抱き寄せ教授に告げた。
「そろそろだと思って、
もうキャッツ・アイで香の快気祝いをやる予定なんです。
ご一緒にいかがですか?」
教授は残念だがと丁寧に断った。
まだやらなければいけない用事があったのだ。
「かずえくんは行けるんじゃないかな?
もう帰る予定だったから、ミックくんも迎えに来るといっておったし…」
「へー、ミックか…しばらく会ってなかったな〜」
わざとらしく言う僚に、香も相槌を打った。
「そういえばそうね。あたしも怪我してから一度も…」
教授は僚がなにか知っていて、
ミックが二人に会うのを避けていると見たが、
香がいる手前、なにも言わずに頷くだけだった。
「じゃあ、二人で来るように言っておいてください」
僚はそう言うと、香を抱き上げた。
「やだ、もう大丈夫だって!」
香は怒るが、僚は無視して教授に別れを告げた。
「それでは、また報告にあがりますから」
教授はおや?という顔で僚を見た。
僚はそれに苦笑いを返すだけだった。

(さて3択です。1キャッツ・アイで渡す。2車の中で渡す。3キャッツ・アイの入り口前で渡す。レスよろしく)

633名無しさんが妄想します:2006/01/03(火) 15:29:40
ここは2で!!

63445。1:2006/01/03(火) 17:32:25
633さんは2を選ばれました。

まっすぐアパートまで向かった僚だったが、
いったい香が何錠飲んだのかまでは分からなかった。
無茶な飲み方はしてないだろうけど、
いつまで眠っているのだろうか。
不安になりながらも香を抱き上げ部屋まで行くと、
自分のベッドに香を横向きに寝かせた。
服をめくってみると、包帯が痛々しい。
「くそっ!」
込み上げる怒りが口から漏れる。
「…ん…」
それに反応するように苦しげに呻いた後、
香はうっすらと瞼を開いた。
「りょ…う?
…あれ??」
不思議そうに瞼を擦っていた香だったが、
はだけられた寝巻きに目をやり、
そして改めて僚を見つめた。
「……え?ええ?
どうして?」
慌てる香の背中に気遣いながら、
僚は香の頭を抱きしめた。
「…やっ…ちょっと…どうして…
あたし……だって…」
脅えながら拒もうとする香に、僚は呟いた。
「これからはおれの好きにしていいんだろう?」
香は必死に頷きながら「そ、そうよ…まさか聞いてたの?寝てたと思ってたのに…騙したの?」と叫んだ。
「じゃあ、これでいいじゃないか」
香は首を振った。
「違う!だって、あたしは…あたしは……」
僚は香の頭をいったん離すとじっとその顔を見つめた。
「おれは、勘違いしていたんだ」
香は辛そうな顔をして頷いた。
「おれがおまえとずっと一緒にいるのは、
槇村に頼まれたからなんかじゃない。
ましてや、勝手におまえが押しかけてきたからじゃない」
「え?」
驚いたように見つめる香の視線からいったん目を逸らす。
見つめられるだけで、胸が苦しくなる。
「その…なんだ…。
おれがおまえを側に置いておくのは、
おれがおまえを必要としているからなんだ」
香はキョトンとした顔をしている。
僚はそれ以上は言えずに香の頭を撫でた。
「まあ、また後で説明する。
とにかくおれから離れようとするな。
おれは本気でおまえが要るんだ」
「え?あ、うん…ありがとう…」
香もまだ朦朧とする頭の中で、
僚がなにを言っているのかは分かってはいなかった。
だが、これからも側にいていいのだという安心感で、
顔が自然と綻び、そのまま眠りに落ちていくのだった。
「早くよくなれ」
その声が遠くで聞こえる。
香はゆっくりと頷いた。

電話のベルが鳴った。
「僚?例の男。尋問中に逃げたわ。
ついさっきね」
受話器からの声に僚の口元が歪んだ。
「事故に合うかもしれないな」
「貸し…チャラになるかしら?」
「ああ」
警察はかなりの数の人員を動員したのだが、
逃げた男の消息は、それ以降誰にもつかめなかった。

63545。2:2006/01/03(火) 17:35:27
冬の間、香は僚に連れられて毎日教授の家に通った。
初めの頃こそ、教授の厭味を避けてた僚だったが、
毎日が数日置きになった頃にはまったく動じなくなり、
やがて一週間に一回となった頃には、
すっかり開き直っていた。
「もう、通わなくてもいいじゃろう…」
教授から告げられた時、香はやっと僚が自分を仕事で使ってくれると喜んだ。
「じゃが、あんまり激しくやり合わないように」
「はい」
素直に応える香に対し、僚はうんざりした顔だった。
「私生活についてまで、忠告はけっこうですよ」
「え?」
僚がなにを言っているのか理解出来ないでいた香だったが、
教授が言ってたのが仕事のことではないと気付いた時に、
真っ赤になって俯いてしまった。
かなり前から求められ、
それにすがるように応えてしまっていたのだった。
「残念じゃったな。まだ子供は出来ていなかったようじゃて…」
「あ…はい……」
俯いて答えるのが精一杯の香に、
僚が助け船を出した。
「これからいくらだって、その手伝いするから大丈夫です」
「ばか!」
香はかえっていたたまれなくなり、僚に向かって悪態をつく。
しかし、僚はまったく気にしてないようで、
香の肩を抱き寄せ教授に告げた。
「そろそろだと思って、
もうキャッツ・アイで香の快気祝いをやる予定なんです。
ご一緒にいかがですか?」
教授は残念だがと丁寧に断った。
まだやらなければいけない用事があったのだ。
「かずえくんは行けるんじゃないかな?
もう帰る予定だったから、ミックくんも迎えに来るといっておったし…」
「へー、ミックか…しばらく会ってなかったな〜」
わざとらしく言う僚に、香も相槌を打った。
「そういえばそうね。あたしも怪我してから一度も…」
教授は僚がなにか知っていて、
ミックが二人に会うのを避けていると見たが、
香がいる手前、なにも言わずに頷くだけだった。
「じゃあ、二人で来るように言っておいてください」
僚はそう言うと、香を抱き上げた。
「やだ、もう大丈夫だって!」
香は怒るが、僚は無視して教授に別れを告げた。
「それでは、また報告にあがりますから」
教授はおや?という顔で僚を見た。
僚はそれに苦笑いを返すだけだった。

63645。3:2006/01/03(火) 17:36:28
香を助手席に座らせてから、
僚は改めて背中を見せてくれと頼んだ。
「やだ!毎日見てるじゃない!
なんでこんなところで…」
「ケチな女だな」
「だって、こんなところでなんて…
誰が見てるか分からないっていうのに」
「ああ、はいはい。
…でもな、香」
「なによ」
「世の中にはな、車の中でモッコリしてるカップルもたんまりいるんだぜ」
「あ、あたしはヤダからね、そんなの」
プイ横を向く香から離れ、
僚は運転席のドアを開け座った。
そして発射させながら時計をチラリと見た。
「もう準備出来てるころだな」
僚の言葉に香は申し訳なさそうに呟いた。
「いいのに…そんな大げさにしなくたって」
「いいじゃないか。みんな香のこと心配しててくれたんだから」
「うん…」
ちらりと僚を見る。
香も少し気になる事があった。
どうも朝から僚の様子がおかしいのだった。
朝からというよりは、ここ数日。
なにか隠し事があるように見えた。
もしかして、また浮気とも思ったが、
それに関してなんとなく口出ししてはいけないと自分を戒めていたので、
どうすることも出来ずに鬱々としていた。
普段にくらべて口数も多いと思うのも、気のせいなのだろうかと。
「あ、あのな。香」
「…え?」
運転しながら普段になく様子のおかしい僚が、
妙に浮ついた声で話しかけてきた。
「あ〜その…
店に着く前に渡しておきたいものがあるんだが……」
「なに?」
不思議そうに聞いてくる香に、
僚はポケットから小さな包みを出して渡した。
「やる」
「?」
渡された包みはきれいにラッピングされた小箱だった。
「今開けていいの?」
「ああ」
僚の妙にトーンの高い声に驚きながらも、
その包みを開いて箱を開けた。
中にはきれいな石の付いた指輪が入っていた。
「きれい…
まるでダイヤモンドみたい」
「ダイヤだ」
ボソッと僚が答える。
香は驚いて聞いた。
「いいの?そんな高いものをあたしが…」
僚は香の貧乏性に涙が出そうになったが、
それを堪えて頷いた。
「その…今までありがとうというのと、
直って良かったなというのと…
その…あれだ…
これからもよろしくということで……」
「本当にもらっちゃっていいの?」
しつこく聞いてくる香に、僚は辛抱強く答えた。
「ああ、そんなちっぽけなもんで、
おまえを束縛出来るとは考えては無いが…」
香はとまどいながらも僚に礼を言った。
「あ、ありがとう僚。とっても嬉しい…
う…ん、大事にするね」
「ああ…」
もう一つカーブを曲がるとキャッツだ。
僚は安堵しながらハンドルを握った。
「ちゃんとアニキにもらった指輪と一緒にしまっておくね」
嬉しそうな香の声に、僚は思わずハンドルを切り損ねた。

63745。4:2006/01/03(火) 17:38:01
「おわっ!」
「きゃああああ!!」
思わずしがみついてくる香の身体に反応する己の身体を抑えながら、
僚はきっちり軌道修正をした。
「僚、危ないじゃない!どうしちゃったの?」
急ブレーキの音で店から出てきた海坊主たちに囲まれたまま、
僚はガックリとうな垂れるのだった。
「そうだ。香はそういう女なんだ。
このところの生活ですっかり忘れちまってたが…」
ぼそぼそ呟く僚に、香は耳を近づけた。
その香の腕に手をかけ、
僚は指輪を奪った。
「よこせ!」
驚いた香は抵抗する。
「なによ!くれるって言ってたくせに!」
「こいつはこう使うんだ!」
僚は香の左手を掴むと、その薬指に指輪をはめた。
車の外ではみんなが拍手をして一斉に「おめでとう」と言い出す。
香はなにがどうなっているのか分からず、
キョロキョロした後に僚を見つめた。
「な、なにするのよ僚」
「だから、ずっと一緒に居てくれって…」
「やだ、なんか指輪渡されてそんな事言われたら、
プロポーズみたいじゃない」
香は同意を求めるように周りを見た。
全員が脱力したようにくず折れてしまっていた。
「あ…あれ?」
僚もあまりの香の鈍さに真っ赤になりながら、
崩れ落ちる自分の中のなにかと戦っていた。
「本当に鈍い…」
「なによ!」
「だ〜か〜ら〜」
僚は香を抱きしめ耳元に囁いた。
香は真っ赤になり、そして呆然として僚を見つめた。
「返事は?」
「え?返事って…だって……
分かってるくせに…」
「返事は?」
しばらく俯いていた香だったが、小さい声で「はい」と答えた。
僚はどんな大仕事をした時よりも疲れた気分で車を降り、
助手席のドアを開けた。
そして香の手をとり外へと連れ出すと、
やはりどっと疲れた顔の店員たちと共に店に入っていった。
「おめでとう香さん」
まだ呆けている香に、少し疲れた顔のままの美樹が声をかける。
「う…ん…
美樹さんのおかげ…」
「あたしはなんにもしてないわ」
香は首を振った。
「美樹さんの悲しい話を聞いてなければ、あたし…
もう僚の側にいるなんて…」
僚はそんなやりとりを目を細めて聞いていたが、
すぐに香を抱き寄せて囁いた。
「もういいから。側にいろ」
香はゆっくり頷いた。

63845。5:2006/01/03(火) 17:39:28
貸しきり状態の店にかずえとミックが入ってきたのは、
そんな時だった。
「香さん、回復おめでとう」
かずえが声をかけてきたが、
ミックは僚と香から目をそらすようなかんじだった。
ドアの前で帰るともめていたのは、
中の全員に聞こえていた。
「ミック。どうしたんだ?なんかやらかしたのか?」
入ってくるなり海坊主に聞かれ、
ミックは首を思い切り振った。
そして、なんでもないと言うばかりに香に駆け寄った。
「おめでとうカオリ…
お祝いのキッスを…」
顔を近づけてくるミックを避ける香。
後ろから引っ張るかずえ。
顔面に蹴りを入れる僚。
ミックはモロにそれを食らい、呻いた。
ミックを拘束した形になっていたかずえは、慌てて謝った。
「大丈夫?ミック」
僚も笑顔で聞いた。
「大丈夫か?ミック」
ミックもあまりの仕打ちにマジ切れしかけながら、
笑顔で僚に聞いた。
「あんまりじゃないか?リョウ!
オレはスナオにカオリに祝福を」
「祝福?ミック知ってたのか?」
海坊主が驚いたように聞いてきた。
ミックも驚いたように聞き返した。
「?へ?だってカオリのお祝いだって、カズエが…」
そう言いながら香を見ると、恥ずかしそうに手で顔を覆っている香の指に光るものを見つけた。
「おや?カオリ…それは……」
かずえが目ざとく叫んだ。
「やだ!教授からなにか報告することがあるらしいって言ってたけど…
それだったのね!おめでとう!香さん。冴羽さん」
「や、あの…その…ありがとうかずえさん…」
ミックは声も出せずに口をパクパクとしているだけだった。
かずえはそんなミックに向かって皮肉を言った。
「いいわねえ香さん。あたしだってあんな指輪欲しいわ〜」
僚はそれに口を出した。
「あれ?かずえちゃん。まだミックからなんももらってないの?」
「え?ええ…
だって、ミックったら、いつも余裕なさそうなことを言ってるんですもの」
僚は首を傾げてからミックを見つめた。
「あれ〜?おっかしいなあ…
たしか、オークションかなんかで、
えらい大金を出してたみたいだけど〜
落とせなかったからまだ持ってるんじゃないかな?」
かずえの顔色が変わった。
「え?なんのオークション?」
じろりとミックを睨む。
「い、いや、カズエ…その、銃とか〜」
「まだろくに握れないから仕事が制限されるって、
いつも言ってるじゃないの!」
「いや、ちょっとづつだな」
かずえはピンときた。
「女ね。女を買おうとしたんでしょ」
逃げ腰になるミックから視線をはずし、
かずえは僚に聞いた。
「女でしょ?」
「ああ、確か…そうだったかな?」
かずえはミックの胸倉を掴むと、カウンターに押し付けた。
「は〜。かずえさんも強くなったわねえ…
でもミックが女の人を買ってるってことを知ってるって事は…」
香はじろりと僚を見た。
僚は香がまったく自分が買われかけたというのを忘れてた事にホッとしつつ、
余計な疑惑を作ってしまった事に後悔した。
「昔の話だって!今はおまえだけだ」
「あ〜!いいわね、香さん。
あたしもそう言われてるけど、実際このミックは…」

63945。6:2006/01/03(火) 17:40:51
香もその言葉に揺れて僚を見た。
「おれは奴とは違う」
僚はそう言い切り、香を抱き寄せ口唇を奪った。
「ん……や…みんなが見て…」
真っ赤になり抵抗する香だが、
僚は構わずに深く舌を刺し込み香を翻弄してきた。
もうすっかり馴れたはずと思っているのに、
何度しても胸がときめく。
遠くなりかける意識のむこうで咳払いが聞こえた。
「おい、僚。
主役はちゃんといさせておけ」
「はいはい。
おい、香。まだ大丈夫だろ?」
僚に言われ、朦朧としながらも香は頷いた。
その解き放たれた香の匂い立つ色香に、
周りも浮き足だちながらも、
何事もないようにパーティーは始められた。
「それでは、これからも大変な道を歩む事になった香さんの、
健康と健闘を祈って。
そして二人の結婚…でいいのよね。
…を祝って」
そんな美樹の音頭にのって乾杯をしながら、
僚が囁いた。
「よろしくな。奥さん」
「う…うん。こちらこそ…」
飲まずにいられないミックを横目で見ながら、
僚は香をそっと抱き寄せた。

おしまい。

長い間ありがとうございました。
もうここでは3択物を書くことはありませんが、
まだ監督ものが残っているので、
その時はまたお邪魔いたします。
よろしくお願いいたします。

(形式を変えてメールにしようと思います。頂いた捨てアドなどにメールにて文章を送り、それに対しての3択をメールにあるキーワードと共に裏の掲示板に書き込んでいただくというシステムにしようかと持ってます。そうすれば先着というのもはっきりするしで。というわけで、参加希望の方は裏のアドレスにメルください。はじめは以前から書くと言っていた。槇村ブラックになる予定です。
…さて2択です。1参加。2不参加。初めから読まないと分からなくなるので、締め切りを作らせていただきます。1月10日以内です。メルにてレスよろしく〜)

64045。:2006/01/03(火) 17:43:17
すんません。選択2の人はわざわざリアクションなくっていいですんで、念のため。
うっかり書き込んでから気付いた…最後まで間が抜けてる…
じゃ!

641名無しさんが妄想します:2006/01/03(火) 21:08:56
>>640
メールしたいけど45。さんのメアド知らないorz

642名無しさんが妄想します:2006/01/03(火) 22:22:34
45。さん 連載おつ!
最後は怒涛と展開でハッピーエンドでしたね。

私もメアドが分らんです。

643名無しさんが妄想します:2006/01/03(火) 22:30:03
漏れも‥orz

644名無しさんが妄想します:2006/01/04(水) 01:05:44
自分も45。氏のメアド知らぬ。
このスレ炙り出しすればメアドが表れるのか?

64545。:2006/01/04(水) 01:07:09
あ、すみません。
別名・面の皮厚之で〜す(w
過去スレ知らない方ばかりみたいなんで、面の皮厚いついでに…

トップに跳ねる動物がいるとこのサイトの跳ねてるのをクリック。
出てきたとこの上のをクリック。
アニメの100話101話の女性ゲストキャラ名のあるタイトルをクリック。
画像の中の、アニメの2の主題歌の歌詞の中で三番目に好きになったという場所をクリック。
そこでワンクッションあってたどり着いた自分のとこのトップの一番下にアドレスあります。
よろ…

646名無しさんが妄想します:2006/01/04(水) 03:05:25
誰のリンクから逝けるんですか?
同盟とか片っ端から見て回ったのですが
該当するサイトが見つけられませんでした。

647名無しさんが妄想します:2006/01/04(水) 15:22:14
ドリームたんとことか、オンリイベントのリンクから逝けるよ
結晶化というとこ

648名無しさんが妄想します:2006/01/04(水) 23:31:51
>>645さん
647さんのヒントで分りました。ありがとう。
メールの件名とか、何らかのご指示ありますか?

649名無しさんが妄想します:2006/01/05(木) 01:58:40
知らない人ばっかなんだねえ・・・
今ここにいる人は、祭とかあった一時期の盛り上がってた時代はリアルタイムで知らないのかな

みんなどこ行っちゃったんだろう。
みんなシテハンに飽きちゃったのか。
つわものどもが夢の跡。
そこで細々と食いつないでる老兵45。、そして次世代の童たち・・・。

ぷちとまとさんとかマジ懐かしい。

650名無しさんが妄想します:2006/01/05(木) 21:47:33
>>645
サイトが未だ分りません。
メールアドレス連絡しないと参加不可ですよねぇ。
関係ないけど、45。さんは選択性で負担じゃないですか?(いや、なんとなくなんですけど)

651名無しさんが妄想します:2006/01/05(木) 23:13:11
>650
ここにアド晒したら?

652名無しさんが妄想します:2006/01/05(木) 23:16:55
>651
意地悪の匂ひ

65345。:2006/01/06(金) 12:05:03
んじゃここで。よろ

45o@mail.goo.ne.jp

某所の方々適切なアドバイスありがとうございました。

654名無しさんが妄想します:2006/01/06(金) 20:51:52
>>653
サンクス

655名無しさんが妄想します:2006/01/14(土) 08:19:58
過疎化してますが、もしかしてクローズ寸前?

656名無しさんが妄想します:2006/01/14(土) 20:07:29
個人隔離スレだからな

657名無しさんが妄想します:2006/01/20(金) 02:34:53
もともと過疎だったし

658名無しさんが妄想します:2006/01/21(土) 21:45:17
だれもいない‥

659名無しさんが妄想します:2006/02/01(水) 00:59:29
だれもいない‥

660名無しさんが妄想します:2006/02/01(水) 22:08:19
ありゃ〜。さみしいね。

661名無しさんが妄想します:2006/02/05(日) 11:29:25
せめて本スレを盛り上げてくれ

662名無しさんが妄想します:2006/02/19(日) 13:35:06
しーん

663名無しさんが妄想します:2006/03/04(土) 02:05:32
しーーーーん

664名無しさんが妄想します:2006/03/04(土) 20:39:30
保守!

665名無しさんが妄想します:2006/03/09(木) 17:42:46
45。のメール読んでるけどわざわざ選択させる意味あるの?
毎日配信するのは大変だろうなーって思うけど
たまに選択肢とその内容が違うことあると
感じてるのは漏れだけですかね?

666名無しさんが妄想します:2006/03/10(金) 12:12:40
読むのやめればいいじゃん

667名無しさんが妄想します:2006/03/10(金) 17:13:22
>>665
確かに多少モニョル程度に選択肢からずれてることもあるが
それは今までもあったことだから気にするな。

668名無しさんが妄想します:2006/05/05(金) 07:22:20
保守!

669名無しさんが妄想します:2006/06/16(金) 18:49:19
5/5で止まってるから動かそうYO!

670名無しさんが妄想します:2006/09/14(木) 18:53:22
このスレまだ存在してたのかw

671名無しさんが妄想します:2006/10/20(金) 02:35:28
過疎ってて寂しいね

672名無しさんが妄想します:2007/01/30(火) 17:31:10
もう年を越してしまった。。。。

673名無しさんが妄想します:2007/02/16(金) 22:01:31
ここ死亡寸前?
さみしい


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