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他人が書いた小説の一部を批評するスレ

1イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:17
 書いてみたはいいけど、この表現どうなの?会話シーンに自信ないんだけど、ちょっと見てもらいたい・・・。
 そんな悩みを抱えるあなたは、このスレに、書いた作品の一部を載せてみましょう。
 ついでに、執筆上の悩みもガンガンぶちまけましょう。
 
 投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。
 その他は、ライトノベルであれば、ジャンルその他は問いません。

634イラストで騙す予定の名無しさん:2004/12/31(金) 22:27
>>633
実況中継にしかなってない地の文章と、ドタバタにしかなってないセリフが味気無いわあ。
練れ。

635イラストで騙す予定の名無しさん:2004/12/31(金) 23:37
>>633
他人の意見を取り込むということのできない人間に、感想なんて書く気にもなれない。
直前までの書き込みを精読したのか、君は。

636イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/03(月) 00:35
結局、褒めて欲しいだけでしょこの人。
何か言われたらなんだかんだ言って反論するだけだし。

637119です:2005/01/03(月) 01:50
>634
難しいけどがんばります。
>635
取り入れてるじゃないですか。女の子怒ってるでしょ?
>636
じゃあ開き直らせてもらうけど、自分は相手してほしいんですよ。
学生時代の友達とは、もう環境が違いすぎてどんどん疎遠になっていく。
正月に家族が初詣に出かける時も体に差し支えるからと一人留守番。
自分にとってもう十五年以上も家(と病院)の中が全世界。
パソコンは親がそういう自分を憐れんで買ってくれたものです。
少しぐらいはサービスしてくれたって…そんな義理ない?
ああ、そうですね。

638イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/03(月) 15:14
>>637
うん、そんな義理ないね。何当たり前のこと言ってんの?
あんたの境遇なんて知ったことじゃないんだよ。ここはあんたのサイトじゃないんだから。
サービスしてほしいなら、自分のサイトを開いて、馴れ合えるオンラインの友人つくって、お互いにほめ合ってればいい。
少なくともここはそういう場ではない。

639119です:2005/01/03(月) 18:55
はい、反省しました。
これからはロリコンが肯定されていて、
女の子は性的におおらかという世界で書いていきたいと思います。

640イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/03(月) 20:36
こんな書き出しを考えています。
文章が読み易いかどうか、書き出しとして適当かどうか
(つるっと入っていけるか否か)、といった点を批評してください。

 奈美が祖母の家を訪れたのは一〇年ぶりのことだった。
門から玄関まで伸びる磨り減った石畳、滑りの悪い戸。屋内に入れば
客間の見事な欄間が目に入る。米糠で磨かれた板の間は黒く光り、
足を触れれば靴下越しに冷気が伝わる。鴨居を潜ると微かに香る井草の
匂いさえも記憶の中のそれと変わらないような気がした。
 ただ祖母だけが違った。
 頬の肉はたるみ、記憶の中では額に僅かにあっただけの皺が顔全体に
深く刻まれていた。髪も白くなり、少し薄くなっている。
何より、彼女は冷たくなっていた。畳みに敷かれた布団の上で
真白な死装束を着せられて。
 大嫌いだった祖母は死んでいた。

641イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/03(月) 21:30
つるっと入ってはいけるよ。
ただ、文章の硬さと描写がうまく釣り合ってない感じがする。

この硬さにこの描写では物足りない。
なんというか、実感がこもっていないというか。殊に、家屋の
描写のくだりについては、そのじつ説明文でしかない。
祖母の死を際立たせるためにも、奈美の祖母に対する感情を
ほのめかすためにも、溜めをつくるなり、感傷的な目で見るなり
したほうがいいような。
というのも、「大嫌いだった祖母」ってのはそれほどサプライズ
にもアイキャッチにもなっていないので、予測の範囲内なら定石
どおりにきっちり固めたほうがいいのではないかと。

642イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/04(火) 02:51
>>640
一般小説で見かけるなあという印象ではありますが、描写は悪くないと思います。
本当に頭なら、登場人物への読者の意識もニュートラルですから、私は淡々としているのもありだと思います。
ただ、祖母の描写はちょっと、何かが引っかかりました。
何がどうひっかかったのか、はっきりと言えなくて申し訳ないのですが、おそらく、
>ただ祖母だけが違った。
と強調されなくても、10年もたてば老け込んでいて当然という意識があったからかと思います。
亡くなっている描写も、強調してかかれるほどの内容ではないと思ってしまいました。
前半の家の描写に対して、一気に強調する語が増えているから、違和感を覚えたのかもしれません。

あと、特に意図がないのであれば、一〇は十がいいと思いますよ。

643イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/04(火) 08:45
>>640
いきなりの家の描写がうっとおしいので、先に祖母とのショッキングな出会いを演出して、後で落ち着いた頃に家の描写をした方がいい。

644640:2005/01/04(火) 18:11
>>641-643
皆さんありがとうございます。確かに、祖母関連は改善が必要ですね。

描写に関して、「説明文でしかない」と「悪くない」と相反する意見が
あります。わたし自身、描写と説明の違いが明確に整理できていません。
「彼は孤独だ」と書くのが説明で彼が孤独であることを描くのが描写と
どこかで見たことがあります。しかし、孤独であることを描写するために
、「友達がいない」、「手の平を見つめる癖がある」と書いたとして、
それらもまたそれ自身の説明だと思うのです。とすると描写と説明は
連鎖し続け、きりがなくなってしまいます。

「描写」と「説明」。みなさんはどう区別してますか?

645641:2005/01/04(火) 22:04
なんと言おうとわたしのは印象批評でしかないのですが……

説明文と書いたのは、「実感がこもっていない」というところに大きく関係しています。
「磨り減った石畳」、「滑りの悪い戸」とか、いかにもそれらしいけれど、もっと皮膚感覚
に訴えるような書き方ができると思います。古い石畳を歩くときの足の運び方、どうにも
かたくガタガタとうるさく鳴るガラスの引戸、玄関に入ったとたんに鼻に入ってくるその家
独特のにおい etc、そういった実感を得ることができなかったということです。
もちろん、いちいちやっているとしつこくなりすぎるので程度の問題ではありますが、
意図的に情景描写を冒頭にもってきたのであれば、もうすこし上手く印象づけたほうが
いいのではないかと。

あとひとつ大事なこと。641を書いたときにはライトノベルとしてはどうか、というのは考え
ていません。ラノベ文体(というのがあるかどうか、よくわかりませんが)ってのはラノベの
特徴のひとつであって、ラノベかどうかを峻別するものではないでしょうから。

描写と説明については、描写はイメージの喚起、説明は情報の提示と考えています。
たとえば「友達がいない」と書くのではなくて、友達がいないと知らしめるシーンを書く。
放課後いつもひとりで帰っているとか、陰口を叩く相手を一瞥し何も言わずにその場を去
るとか。同窓会の終わり、みんな二次会に繰り出すのにひとりだけ用事があると断り、
「君に告白しようと思ってたんだよ」と打ち明けた彼女がさよならと手を振るのに応えた後、
じっと手を見るとか(あ、これは癖じゃないか)。
それ自体はフィクションである世界を、いかにリアリティのあるものに見せるか、これは
描写にしかできないものだと思います。

646イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/04(火) 23:06
>>644

642です。

冒頭の文章については、641さんのおっしゃるように、においみたいなものでしょうかね、
そういうものが感じられないというのは、確かにあります。
私は、家にはさほど重要性がないからさらっと流しているのだろう、と判断したので、
これでもいいんじゃないかなと思いました。
ただ、私だったら、書く場所を一つ削るか何かして、歩くテンポで見える景色を書くと思います。
この文章は、何となく、通り過ぎてから景色を思い出している、そんなスピードに見えました。

描写と説明の定義についてですが、641さんの回答がしっくりきました。
私も情報と想像の喚起の違いだと思います。
それと、もう一つ私が思う描写というのは、
「視点の主(そのシーンの中心人物)の気持ちが文章から感じ取れるもの」
です。
あまり書くのが得意でないので、極端かつ陳腐で、なんだかなあと思う文章ですが(汗)。
1「彼女の髪は、赤い。」
2「彼女の髪は、地獄の炎の色をしている。」
3「彼女の髪は、紅玉石もかくやという輝きを放っている。」
1は、私が思うところの説明文、2と3が描写です。
髪の色が赤いのはどれも一緒、でも印象が違う(と思います…)。
1もありだと思います。効果的に使うことができます。とにかく「赤」を印象づける場合とか。
でも、1ばかりだと味気ないのではないかしらん。

私の感覚としては、情報プラスアルファの何かが読者に伝わるのが描写、という感じでしょうか。
においや雰囲気みたいな、その場の空気というようなものが。

647イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/06(木) 09:35
>>640

視点キャラが決まっているのならば、その心情を地の文にも反映させるべきだと
思う。
「見事な欄間」「微かに香る井草の匂い」といったプラスイメージの説明は、
奈美が祖母に対して抱いていたマイナスイメージにそぐわない。


削ったら、こんな感じ。

 奈美が祖母の家を訪れたのは一〇年ぶりのことだった。
門から玄関まで伸びる磨り減った石畳、滑りの悪い戸。屋内に入れば
米糠で磨かれた板の間は黒く光り、足を触れれば靴下越しに冷気が
伝わる。鴨居を潜ると湿った空気さえも記憶の中のそれとさして変わら
ない気がした。

648イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/07(金) 22:47
投稿予定の話の冒頭なんですが…
「おぉ?」と興味を惹けるか判断をお願いしたく。

「やあ」
 僕が本を片手に持ち替えて軽く手を上げると、小椋も無言で手を上げてみせる。
 私立英鐘女学院高等部正門前。バス停で本を読みながら授業終了を待っていた僕は、
もちろんそこの生徒じゃない。近所にある、おそらく偏差値が十以上は違うだろう
共学高校の生徒だ。
 本を閉じ、既に歩き始めていた小椋と並ぶ。特に何か会話をするわけでもなく、
ただ、僕達は放課後の時間をひたすら歩く事で消費していた。別に二人で一緒に
歩く必要はこれっぽっちもないけれど、僕は小椋を待つし、小椋もたまに僕を待つ。
 僕達は恋人とかそういう関係ではまったくない。つい二週間前に初対面を果たしたばかりで
今もまだその状態に近く、お互い何も話す事はしないでただ時間の浪費を共にしているだけ。
誰が見ても僕達を計ったり括ったりすることはできないだろう――それは確信だ。

 で、本当のところ僕達の関係が何なのかと言うと。
 殺人志願者と自殺志願者。
 彼女は前者で僕は後者。
 それは二週間前、晴天下の自殺未遂現場にて。

649イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/08(土) 00:20
>>648
まだ弄りようはあるけど、「興味を惹く」という最低限の要求は満たしていると思う。
いいんじゃないかい。

650イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/08(土) 01:43
>>648
ここまでだけで答えていいなら、私は少なくとも好みです。
引っ張りすぎずにネタを明かしてるし、タイミングもいいのではないでしょうか。

651648:2005/01/09(日) 02:48
ありがとうございます。最低限OKなら…。
いじりようあるとのことですが、宜しければご教授下さいませ。
とにかく掴みは大事なので、ここは特に力を入れたく。

652イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/09(日) 18:11
>>651
ん、ご教授ってほどのもんじゃなく、もうちょっと描写入れられるな、と思っただけ。
 
 短編ならまた別なんだけど、長編だと多分このシーンで最低4枚は要ると思う。
つまり、足りない。何が足りないかというと描写。
 648では、二人の関係を「僕」の独白という形で処理してるでしょ。まず、これが描写
にできる。二人が2週間前まで赤の他人であり、特殊な縁で知り合ったことを示すような
描写を入れる。他にも周囲の様子とか彼女の姿の描写とか。
 そこら辺の描写を一段落させ、そこで読者に「ん?」て思わせて、それからおもむろに
「僕達は恋人とかそういう関係では……」と持っていく。で、「本当のところ僕達の関係
は……」でショックを与えて、締める。
 そういう描写を省き、独白だけでストレートに進めているから短い。もうちょっと
増やせるはず。そういう意味で「弄れる」と書いたわけです。

 まあ、どこまで描写するかは個人の好みなんで一概には言えないけど、最初に
ショッキングな情報を与えて興味を持たせる、というのはどの作者もやっているはず。
好きな作者の本で探して、色々研究するといいかも〜。

653648:2005/01/09(日) 19:25
>>652
描写ですか…参考にさせていただきます。
70枚ちょいの短編なのですが、何か効果的な描写を
最低限の字数で入れてみようかと。
書き直しましたらまた投下する予定なので、
宜しければご意見お聞かせ下さればと思います。
ありがとうございました(ぺこり)

654イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 02:09
小説の一部ではなくあらすじと各キャラ紹介なんですが、創作文芸スレで質問
したら長い物はここで貼れと言われたので貼らせていただきます。
三人のキャラの内でどれを主人公にすれば一番読み物として面白くなるか迷っているのです。
批評よろしくお願いします。
でも趣旨から外れすぎだということでしたらスルーには長すぎるかもしれませんが
スルーしてください。
※背景
・温暖化による海水上昇、それに付随する災害、環境汚染で、居住可能な土地が少なくなり限られた土地を海水その他諸々を防ぐ高い塀で囲ってその中に住む形態が主流になった時代。こういう囲いが世界中にありただ「街」と呼ばれる。
・滅び行く人類がかろうじて命をつなぎとめてるというわけではなく、人口こそ減ったものの閉鎖された空間に暮らすため通信技術が、狭い土地で効率よく食料その他の物資を生産するため生命科学(遺伝子操作が主)が発達しかえって現在よりも社会が繁栄している。
・街のシステムを作り今もそれを管理する企業があり、街の外はただの砂漠か汚染地帯か海水侵食されてる場所だから行かないようにと街の人間に触れ回り、ほとんどの人はそう信じているが実は街の外にはたくさんの人間が存在し、企業に対してのレジスタンスをそこここで組織している。
・それは街のシステムからはじき出された人々。ひょんなことから企業の裏の顔を知ってしまった者や使い捨てにされた者、不自然な手段で生み出された者。発展した生命科学を向けてはいけない方向に注いだ結果生み出された人間亜種。
・主流レジスタンスは二つ。一つは人間亜種(長命だったり葉緑体が組み込まれてたり再生能力強かったりほかにもいろいろ)が中心。もう一つは元は一般人だったものの持って生まれた異能で企業から注目され、それゆえはじき出された人々。だがもともとその能力を買われて企業に遺伝子操作陣と戦わせられた者がいるため(現在でもそういう者はいる)この二つは非常に仲が悪い。
・異能ってのがこの世界でまだ未知数な要素なのだが「何らかの手段で標識した物体に、何らかの変化を与える能力」というもの。たとえば右手で触った物体の分子運動をエネルギーを与えて温度を上昇させるとか、血を落とした物体の分子結合を壊す(=分解する。それが水でも酸素と水素に分解してから火種でもありゃ素敵なことに)とか。人間相手にやりゃ軽く殺せる力。
・この二つが取引したり騙しあったりしてる間でどの陣営にも属さない情報屋とか変装得意の隠密行動引き受ける擬態屋とか知識のみを求めるマッドサイエンティストとかも味付け程度に。最後に勝つのはどのレジスタンスだそれとも企業か!?

↑コレを一番うまく見せられると思うキャラはどれか意見をお願いします。いや全部出したらわけわからんようになるのはわかってますんで飽くまで面白そうに見せるってだけ。
どのキャラを主人公に据えたら一番読み物として面白くなるか、それって人の意見を聞かないとどうしてもよくわからないので・・・

655イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 02:10
以下の選択肢の人物はすべて十代半ばです。

・一人目:プロフとプロット
女。外見年齢実年齢−5〜6位。左手で触れたものの分子運動を極限まで小さくする(=温度を下げる)異能の人だが管理企業に飼われるのを拒否し自ら街の外に出ようと試みる。
入れられてた施設を逃げ出すが無論大騒ぎで周囲に厳戒態勢がしかれ余計逃げにくくなる。だが騒ぎを大きくすることが彼女の目的でもあった。
企業の施設が破壊されたとき必ず現れるという武器の塊に、自分も含めた全てをぶち壊してもらうというために。
普通に暮らしていたのにそれは企業によって引き裂かれた。親とも兄弟とも離されて人殺しまでさせられた。
けれど企業に逆らうことは出来ない、そうあきらめていた矢先企業の施設の破壊が相次いで起こった。そこに現れたという化け物の噂を聞いた。
それが何かに火をつけた。
同時期街の警察が犯罪スレスレのことばっかやってる運送屋(〜を運んでくれという形の依頼なら何でもやる。愉快犯的行動多数。しかし妙に義賊っぽくもある)に仕事を依頼。たたけば埃が死ぬほど出そうな研究所があるのだが圧力がかかってて捜査できないので
民間の人間が動かぬ証拠をつかんで警察に持ってきて、しぶしぶ警察が調べた形にしたい。使いの警官は何であんな犯罪者にたのまなアカンのだとぶーたれるが相手は二つ返事で引き受ける。
不死と呼ばれるほどの戦歴を持つくせ外見はふつーのにーちゃんのリーダーと荒事をするには若すぎる助手三人(三人ともに十代)。
しかし彼らは驚異的な手腕で順調に地固めしていく。後一歩のところで研究所一部破壊のお知らせ。無論冒頭の女子がやったこと。
何事があったと運送屋研究所のある街へ急襲かける。
こいつらが無事証拠をつかめるのかとか冒頭の女子とか武器の塊の謎とか企業が臭いことばっかやってるのに圧力がかかって叩けない刑事たちの苦悩とか、そんなのが絡んでラストになだれ込む。

656二人目1/2:2005/01/10(月) 02:12
二人目:プロフとプロット
男。外見年齢実年齢+2〜3。遺伝子操作陣(仮称)所属。遺伝子操作で生まれた互換性100%(他人に臓器移植しても拒否反応が起きない仕様。逆も可)タイプ。
遺伝子操作陣は生まれのせいか自らの体を生物学が絡んだ範囲でいじることを嫌い、やろうと思えばいくらでも生身のものは作れるのに、体の欠落は使い捨てされた人間の技術を集大成して作った筋電義手で補うほどなのだが(まったく関係ないがここまで考えた後鋼と攻殻を知って凹んだ)、小さいころ異能との戦いの場で爆発に巻き込まれ、たまたま近くにいた実験好きのマッド(仮称)にバラバラの体を同じくバラバラだった他の人間(友達とか育ての親だった)とつなぎ合わされ生きながらえたため、企業と異能を憎む気持ちは並ではないのだが、ごく少数を除く周囲の者には白眼視されている。
何とか認められようと無理を言っていろいろな活動に参加し史上最年少で戦闘部隊に組み入れられるが、任務で街に入った際企業でも上層と見られる者に「貴様はm-134型!?」と自分のタイプとはちがう物と間違われる。
その場で殺してしまったのでそれ以上を聞く事が出来なかったが何かわだかまるものがある。独断でそのタイプがなにか、彼は調べ始めることにした。
自分と共通項があるという、最大の失敗作にして最高の傑作と言うそいつは誰なのか。このレジスタンスの創立に深くかかわっていたらしいのに、その時代を知るものはなぜそいつについて口を閉ざすのか。
それはm-134型もまた当時の周囲に憎まれるようなことをしたからなのか。
調べて調べて、ついにレジスタンスの創立者、現トップまでたどり着くが彼も口を開かなかった。

657二人目2/2:2005/01/10(月) 02:13
その後また大きな任務が来た。自然体験施設に見せかけた遺伝子操作の大きな研究をやっている施設を破壊すると言うものなのだが、その場に急襲をかけてみるとその研究者も実験体もすでに運び去られたあとで何も知らない民間人しかいなかった。武装集団にびびる無垢な人々を前に彼は思う。ひょっとしてこれは罠ではないか?ここにいるたくさんの人間が外に出たら自分たちはどう言われるだろう。武装した化け物たちがおそって来た―――。その一言に尽きる。ただでさえ情報操作のうまい企業はそれを最大限に利用して自分たちを攻撃するに違いない。
それを話すと上に理解してくれる人がいたので一斉に懐柔策に出た。幸いずいぶんなついてくれた十歳くらいの女の子がいてそれが相手の態度軟化に一役買ったらしい。目的はここの施設で、人を傷つける意図は一切ないと繰り返し説明するとある程度は納得してくれた。
しかし企業の策略はその上を行った。体験施設のどこかが壊れて鉄砲水が施設内に押し寄せてくるというのだ。これで人が死ねばそれを全て遺伝子操作陣(仮称)に被せるつもりなのだ。
必死で他の人間を逃げ出させるが間に合わない。お前も早く逃げろと先の少女の手をつかむが動こうとしない。彼女は逆に相手の腕をつかんで、企業と遺伝子操(ryについて街の外の人間でなければ知りえないことを確認するように聞く。どんなことがあったか知っていると言ってから、
「でもあの大きなシステムにつぶされて泣いてる人はほかにもいるの。家族と引き離されて、人質にとられて、つらくてもひどいことやらされるの。お願いそれだけは覚えてて。許してなんて言わないから」
それだけ言うと手を振り払って水が来るほうへ走って行ってしまった。追おうとするが仲間に阻止される。
半分も逃げ出せないままとうとう最後の時が来た、と思うが水は一向にこない。
彼は奥まで行ってみた。押し寄せた水は凍り付いてそれ以上進行できないようになっていた。
彼女はどこにもいなかった。
その後あった事全てをトップに報告すると、トップはしばらく黙っていたがなぜM-134が禁忌の名になっているかを話した。
当時すでに異能の人々へ遺伝子操作陣(仮称)は敵対感情を持っていたが身体の再生能力と丈夫さでよく対異能戦に駆り出されていたM-134は身近で彼らと接しほかのものとはまた別の感情を持ったらしい。彼らもまた自分たちと同じではないかといったのだ。
――泣きながら仕掛けてくる奴がいる。死に掛けながらながらむしゃぶりついてくる奴がいる。何で企業にそこまで尽くすのかと思っていたがこないだ死にかけた奴が言うのを聞いてやっと分かった。やらざるを得なかったんだ。そうしないと恋人だか子供だかが殺されるんだそうだ。
そしてもし降伏するなら彼らを仲間に引き入れてもいいのではないかとまで言ったのだという。
それでそれまでともに戦ってきたにもかかわらず現トップや他の仲間と対立し、やがて孤立し、その後軍まで引き入れて激しくなる一方だった戦いの中でついに死んだのだそうだ。
間違われたってことはひょっとしたらお前奴の生まれ変わりなのかなとトップは言う。違う、と少年は言う。生まれ変わりなんてないと思うけれど、もし似たような人間が何周期かで生まれるとするなら、それは多分、まったく違う相手の気持ちも思いやって、その上で行動した彼女が―――。

658イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 02:14
・三人目:プロフとプロット
女。外見年齢=実年齢。肉体的・能力的・社会的にまったく普通。ただし十歳以前の記憶が部分的にしかない。
街の外の企業が作った神話を何の疑いもなく信じていたがあるときひょんな事から街の外に出てしまう。
その先が砂漠でも汚染地帯でも海でもなく、時には畑すらあるのどかなところであり彼女は面食らう。
何よりもそこにいた異様な人々。肌の色が青に近かったり手足がどう見ても無機質で作られていたりする、銃器その他で武装した異形の者たち。
殺気立った様子で言葉を交わしていたがそのうち彼女の姿を見つけて大騒ぎになる。
あいつは!あのときの!何でここに!殺せ!いや待て早まるな捕まえろ!
とんでもない言葉にびびりまくり必死で逃げるが、最後には異様に熱心な少年の活躍で訳も分からずとっ捕まってしまう。
遺伝子操作陣(仮称)たちは荒れに荒れる。あいつは間違いない、あの悪魔だ、いやそれにしてはあまりにも世間擦れしていないし第一反撃しないのがおかしい、でも顔はそっくりだぞ。
五年前遺伝子操作陣(仮称)に多大の被害をもたらした異能の子供と、彼女は瓜二つだったのだ。
とりあえず結論保留の間監禁されるが、別人派の者からいろいろ街の外について説明してもらう。企業はいろいろ悪いことをやっていて、この場所は生み出されたけど使い捨てられた者や街にいられなくなった者が集まって作った集落だと。既成の知識を全てひっくり返すような内容で、それはそれは驚きながら聞いていたのだが、そのうちはっとなる。所々しかない記憶と、なぜか合致するところがある!
どうして、まったくの一般人で、街の外に出るようなことは今まで一度もなかったはずなのに。
そのうち確実に人違いであることがわかり(過去のあれこれでさまざまな識別データがあったのだが、調べてみたら指紋が違った)少年にも謝罪されて和解して、誰にも何も言わないなら街へ戻してやるとまで言ってもらうが、その矢先まったくの一般人であるはずの彼女をなぜか管理企業は重武装で追ってきた。
手先は異能の人々と、援護する非正規の企業子飼いの軍。そのときようやく彼女は遺伝子操作陣(仮称)の武装の必要性を知る。攻撃ではなく防御のためだったのだ。
遺伝子操作された人間ががなぜ作られたか、異能の人々をなぜ企業は集めるか、その二つにかかかわる彼女の利用価値とは何か。
それは彼女の記憶の欠落と、同一視された異能の少女とをあわせて始めてわかるものらしい。
これらの謎を決着させて、全てを知った(というわけでもないが)彼女が街の外の住人になることを選んでエンド。

659イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 03:29
 むー……まずどうでもいいことだが、整理して書いてくれ。内容理解するのに三度読み直した。小説もこの調子だったら、まず投げるぞ。
 それはともかく、どれが良さそうかという話ね。以下、私感です。

本命:三人目(いわくありげな街の少女)
 これを本命に推すのは、読者が一番「この世界」に入りやすい形だから。中の世界の人間が外の世界を見て、カルチャーショックを受けるわけだ。だから当然、彼女はその世界をつぶさに観察することになる。そうすることで、彼女の目を通じて世界を丁寧に示すことができる。これは利点。
 欠点としては、まず主人公が少女という点が読者の受け入れを妨げるかもしれない。外の世界あたりに少年を一人立て、少年少女を交互に出すという形が無難かな。また、少女が無力であるのも辛い。対策は同じ。

対抗:二人目(自分にまつわる謎を探る異能者)
 「謎を解きたい」という動機はキャラを動かしやすいし、また読者にとっても理解しやすい心情。ドラマの形も示されているし、ストーリー的には一番期待が持てる。
 鍵は、主人公の造形と世界の描写かな。それに自信があるなら、こちらでもいいかも。

大穴:一人目(自らを殺したいと願う異能者)
 世界観を呑み込んでしまえば悪い話ではないと思うんだけど、やはり一話目には向かないように思う。主人公の動機が後ろ向きなのは悲劇に仕立てればいいんだけど、その際、読者を置いてきぼりにする危険がある。悲劇の原因がその世界特有のものだから、まずそれを理解して貰えるかどうかがポイントになる予感。
 ただ、主人公を運送屋の方に切り替え、ハッピーエンドに落とすなら、これでもありかな。

 ざっと見て思ったのは、サイバーパンクの例えば古橋や「ウィザーズブレイン」のような世界観提示型のものを書きたいのかな、ということ。なら、正直ストーリーはどれでもいけると思うから、全部書いてみてその中から一番面白く仕上がったものを選ぶ手もあり。没稿も今後のストックになるしね。

 まあ、そんな所です。

660イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 03:35
すまんが理解できなかった。
文章にせず箇条書きで纏める。
特有の名詞を使うなら、別の言葉に置換せず、貫き通す。
そのぐらいしてくれないと、これじゃ何もわからん。

これ、自分用に書いたメモそのまま貼ったんじゃない?

661イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 11:31
ぶっちゃけ欲張りすぎだな。
背景が面白すぎる。

文庫本一冊の分量を前提にするのならば、
普通の男の子が、ネット上でやりとりをしている遠くの「街」の女の子に
会いに行くために旅をして、男の子の成長と変化を物差しにしながら、
驚異の世界をガイドする方向が、いいと思う。

662イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/10(月) 11:56
寝て起きて改めて見たらぐちゃぐちゃだ。お二方すみません。
しかし自分用のメモなんて張るわけないじゃないですか仮にも人様に見せるのに
自分用のなんて昨日打ってたら途中でパソコン様が昇天なすって消えたところだ!
・・・血涙で投稿用に構築しなおしたのが上です。読みやすいよう推敲しなおすべきところ
勢いで張ってしまい本当にすみません。

一人目はまさにその通り運送屋メインのハッピーエンドで落とすつもりでした。でも即予想されるようなオチなら
変えたほうがいいのかな。
あとメル友ネタはリバーズエンド見て自分にゃできないと思いました。どうすりゃいいんだ。

663創作文芸ラノベスレ151:2005/01/10(月) 20:31
>>654
約束したので感想を書く。

特に世界設定が複雑だとは、俺は思わなかったな。
アニメやゲーム、漫画に慣れた世代なら、違和感無く受け入れられると思う。
体制派(大企業)とアウトロー(レジスタンス)という対立の構図も定番。
そういう分かりやすさが、良いのか悪いのかは判断できないけど。

で、内容を読んだけど、本当に書きたいのは二人目なんじゃない?
一人目は二人目の話の派生っぽいし、三人目はまだネタが揃ってない感じ。

もしそうなら、二人目を基本にして、一人目の話を混ぜればいいんじゃないかな。
体制側の能力者か体制側の亜人間がいれば、バトル物の体裁も整うでしょ。

バトル物でなく、どうしても世界設定をテーマにしたいというのであれば、
三人目の話もアリかな。
ただ、このままだと長編小説として、エピソードが少ないと思われ。


ま、自分だったら、今、書きたい物を優先するかな。
全部書きたいのであれば、ネタが揃っている方を書く。
締切も近づいてきてるしね。

664658:2005/01/12(水) 19:25
>>663
わざわざ名乗ってくれてありがとう。
>一人目は二人目の話の派生っぽい
これ実は逆なんだ・・・。一人目に適当な男キャラをあてがおうと思って考えたらこんなんなった。
書き込みが長いのはむしろまとめ切れなくてそうなってしまった。
いろいろ考えたんだけど、バトルメインが苦しいからこそ世界設定に力を入れた感じなので、
三人目で「悪魔と瓜二つ」の特徴をもっと推して、レジスタンス側と主人公側と
交互に視点を変えて読者にだけ主人公と問題の人物が似てるってことが分かるようにして、
それで二つのレジスタンスに追っかけられる前半と、人違いが判明した直後企業が追っかけてくる中盤と、
追っかけられる理由が明かされて外の住人になると言う流れで、どたばた分を増してやってみようと思う。

批評と言うか質問で悪いんだけど、たとえばキャラ設定だけちらっと見たとして、読んでみたいと一番思われそう
なのは三人のうちでどれか教えてください。今後の参考にしたいので。

665創作文芸ラノベスレ151:2005/01/12(水) 21:58
>>664
動機が強い一人目かな。
他の二人の行動原理は、基本的に自分探しなので、
動機の面では弱い印象がある。

666イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/14(金) 18:27
以前萌王用に書いたものの冒頭を、試しに晒してみます。よろしければ批評お願いします。


 イクは、水から出ることの出来ない女の子である。
 彼女は僕が通学の途中に毎日渡る橋の下の川の中に棲んでいる。
 毎朝僕が川にやってくると、川面から首を出し、僕のほうに手を振ってくれる。トレードマークはツインテールの髪の毛。いつも水面下にある小さな体には、一見タンクトップとショートパンツのように見える、おしゃれなセパレートの水着を着ている。これはけーきがプレゼントしたものだという。
 なかなかかわいい子であると近所でも評判だが、いくらかわいくてもまだまだ子供、水着姿にも色気なんかあるわけが無い。正確な年齢は誰にもわからないが、おそらく十歳にも満たないんじゃないか?そうでなければ、なかなか発育が悪いほうになると思うが・・・。
 その日、僕とけーきは学校の帰りにイクのいる川に寄り道した。
 そろそろ夏本番といった風情で、川原には近所の子供達が何人も集まって川遊びに興じていた。そんな中に混じって、イクも楽しそうに泳いでいる。
 「イクー!!」
 けーきが呼ぶと、イクは僕たちのほうに気がついた。
 「あー、秋さーん、けーきー」
 イクは川の深いところから、ばしゃばしゃと見事なクロールで僕達のところへと泳いできた。確実に僕よりも泳ぎは上手いだろう。なにしろ、一年中水の中にいるのだから。
 「そーれっ!!」
 川岸の近くまで来ると、イクはいきなり僕達に向かって水をかけてきた。
 「うわっ、バカ、やめろって!!」
 不意打ちをくらって、僕の制服は少しだが濡れてしまった。イクはそんな反応を楽しむかのように、ツインテールをふりふりさせてはしゃいでいる。まったく、本当に子供なんだから・・・。大体、僕はともかく、けーきは女の子なのに。
 おそるおそるけーきのほうを見ると、水に濡れたスカートが足にぴたりと張り付いて、僕としてはちょっと気まずい状況になっている。

667イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/15(土) 04:37
>>666
「僕」と「けーき」の年齢や関係は、すぐに判らせたほうがいいかも。
あえて説明を遅らせているんなら、すまん。
あと、ツインテールは長さにもよるけど、水に濡れるとつぶれちゃうよな。
妄想度の高い髪形だから大した問題じゃないけど。

668イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/15(土) 16:46
ツインテールという髪型はないという噂がある。

669666:2005/01/15(土) 16:51
>>667
ツインテール・・・盲点でした。
僕とけーきの関係についてはこの後に入ります。今度は666の続きからその辺りまで晒してみます。



 「大丈夫か?」
 と一応声をかけてやると、
 「あーあ、上まで濡れちゃったわよ。でもね、今日は大丈夫なの。ほら」
 そう言うとけーきは、何をトチ狂ったのか、ベルトを外してスカートを脱ぎ始めた。
 「っておい!!」
 僕は度肝を抜かれて慌てたが、けーきはスカートの中に、学校指定のスクール水着を身に付けていた。
 「じゃーん!!今日は帰りにここで泳ごうと思ってたから、下に着てきたの」
 けーきは得意げにそう言いながら、上の制服も豪快に脱いで完全な水着姿になり、川の中へと入っていった。
 「・・・帰りはどうするつもりなんだろう・・・」
 脱ぎ去られたけーきの制服の横で、僕は一抹の疑問に苛まれる。
 けーきこと景城美奈子。苗字から「けーき」というニックネームで呼ばれているが、本人はやや不服らしい。目を引くのは黒いロングヘアー。僕とけーきはそれほど仲がいいわけではないが、他の男子生徒と女子生徒に比べれば少しは親しい間柄だと言える。        
 僕がここに転校してきてまもなくの四月、初めてイクと出会ったときに一緒にいたのが彼女だった。その日初めてイクの姿を目にした僕は、こんな季節にこんな朝早くから子供が川の中で遊んでいるのかと思い、気になって橋の脇から川原へと降りていった。イクは僕の姿を、泳ぎながら怪訝そうにちらちらと見ていた。しばらくして僕の後ろからやってきたけーきの姿を見るとイクは途端に笑顔になり、彼女に手を振った。
 僕は同級生だったけーきによってイクに紹介され、イクのことについていろいろと聞かされた。彼女は三年ほど前からこの川に棲むようになった、川から出ることの出来ない女の子なのだということ。なぜか何も食べなくても平気らしい。水から出ることは出来ないものの、夏場には近所の子供達が泳ぎに来るし、そんな子たちと一緒によく遊んでいるという。街の人たちにも好かれているらしい。が、誰も彼女がどこから来たのかは知らなかった。
 イクはけーきによくなついていた。今イクが来ている水着も、けーきのお下がりだ。
 「妹が欲しかったんだ」
 その時けーきは、そう言った。だからイクが来てからは、イクを妹代わりに思ってよく遊び相手になってやってるらしい。
 「おーい、秋さんもおいでよー!!」
 イクが呼んでいたけど、僕はけーきみたいに用意周到ではない。ついでに言えば、あんまり泳げないし。
 「俺はダメだよ」
 「うえー、泳いでけばいいのにー。つまんないのっ」

670イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/16(日) 00:21
>>668
噂っつーか、髪型の呼称というか用語として『ツインテール』という呼び方は存在しない筈。たぶん。

671最近になってこの板の存在知りました:2005/01/16(日) 14:18
電撃応募用に書いてる奴の冒頭です
よろしければ、批評お願いいたします


 百にも上る火呪が解き放たれ、戦の始まりを彩った。
 符より転じた火炎は術者の念に従い、地の束縛を切って飛ぶ。
 両軍より放たれた火球の群れが、赤く禍々しい大蛇となって放物線を描く。呂玄と慶蘭、対峙する二つの軍は喧嘩する双子のようにほぼ同規模、同陣形を敷いてこの戦いに臨んでいた。正面から対峙していたこともあり、放物線の軌跡は両軍の中央にて交わる。
 一時に火炎の密度が高まった。交差する火球の幾つかは互いに接触し、周囲の火呪を巻き込んで、天を焦がす火炎の大輪が咲いた。
 交差を終えた残りの火球は互いの敵を焼き尽くさんと落ちてゆく。今だ爆炎冷めやらぬ大輪を背に、炎の蛇は地を這うのろまな獲物を飲み込まんと大口を開けたかのようであった。
 飛来する火弾の雨を前に、呂玄軍より銅鑼が高く打ち鳴らされる。続く戦鼓の拍子の下、前面に配置されていた呪符兵の一隊が縦横に動く。
 大多数の兵が鋼の武具に身を包んでいるのに対し、彼等の装いはやや異質だった。緩みを持つ道服めいた衣の上に動きを阻害しない程度の皮鎧を纏い、幾多の色ででたらめに染められた旗を一本掲げた様はとても兵士とは見えない。複雑な文様の描かれた旗を振り、隊伍を組みあげてゆく様は祭りの演隊のようで、見るものによっては滑稽さを感じただろう。
 ただ良く見れば、彼等の動きは無秩序であるようでいて、その実、良く修練を積んだ者にしか不可能な統制を含んでいることが理解できる。無駄を省くならそこには手際が残るもの、迫り来る炎蛇に臆する様子さえ見せず、太鼓の拍子を七拍と数えぬ内に、兵士たちは疾く陣を練り上げた。
 陣が完成するやいなや再び銅鑼が鳴らされる。陣を構成する兵は気勢を上げ、腹に響く重い音の広がりと共に『網』が張り巡らされた。
 軍の前方を覆うように張られたその『網』は、水滴で編まれた水の網であった。静止する水滴は陽光と迫る炎を映してきらめき、戦の緊張に強張る兵士たちの目を射る。
 水網に火呪が到達し、接触した。幾重にも編まれた水網の内で炎蛇は暴れ、瀑布の落ちる滝壺をつらねたような爆音が響く。雲のような水蒸気が立ち上り、『網』と『蛇』の闘いを覆い隠した。
 一瞬の後、揺らめく蒸気を抜けて火球が落下する。水網と蒸気に熱を奪われて大きく勢力を減じながらも、蛇は網を喰い破ったのである。
 悲鳴が上がる。運の無い兵士が至近に着弾を受けて咽を枯らす。より不運に好まれた者は直撃を受け、うめき声一つ上げることなく異臭を放つ物体となって地に伏した。半端に焼かれた者たちが火を消そうと地面の上をのた打ち回る。それに砂をかけて消火を助ける者もいたが、大方の者は彼等の不運よりも自らの不運を思いやって、緊張を新たに己の得物を握り締めた。
 既に両軍の距離は、最初に火呪が放たれた時より半分程に縮小されていた。お互いの息遣いや鼓動が伝わってくるような錯覚。これから殺し合う相手の持つ鋼の色の禍々しさ。張り裂けんばかりの胸中を鷲掴みにする熱。決壊の気配を見せる堤防のように、両軍間の圧力は距離に比して高まっていた。

672 最近になってこの板の存在知りました:2005/01/16(日) 14:26
っと、すいません何を批評してもらいたいのか書くの忘れてました。

主に意見を伺いたいのは、文章的な面です(これだけじゃ、それぐらいしか評価できないとは思いますが)
当方、今までコメディタッチの軽い文章しか書いてこなかったもので
この手の煩雑な文章を上手く書けてるか自信が無く、ご意見承りたく思い参上した次第です

673イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/16(日) 17:10
>>671
すまんが背景(映像的なの)が浮かんでこねぇ。
それと単語一つ一つをパっと解読する事が出来んかも。いや、雰囲気としては良いんだが。
  _
(;゚∀゚)電撃だと微妙じゃね?

674イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/16(日) 22:05
>>666
うーん…今ひとつ萌えどころがわからないのですが。
水から出られない女の子っていうのは変わった設定でよさそうなのですが、
あげられてる分だけだと、その設定がどう活きているのかよくわからないし…。
水に濡れたけーきとか、もうちょっとエロく(笑)描写してくれたら嬉しかったかも。

>>671
この独自用語と漢字の多さは、単語で雰囲気を出そうという意図でしょうか。
逆効果になってしまっているような…ものすごく読みにくかったです。
言葉を理解しながら読むのに集中しないといけないから、上手く情景を想像できませんでした。
言ってることは情報としてはわかるんですけどね。

675イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/16(日) 22:19
>>671
本当に煩雑なだけの文章だ。
緻密かつ圧倒的な文章はもっと暗いうねりに満ちているもの。
無駄を省いて手際を残せ。
>>674
独自用語って水網と火呪くらいじゃん。
むしろ独自用語で雰囲気出そうというには全然足りないレベル。

676674:2005/01/16(日) 22:39
>>675
感想の詳細を語っても仕方ないのですが(^^;)

種類としては三種類(火呪・呪符兵・水網)ですね。炎蛇を入れれば四種類。
文章全体がこの長さですから、種類としては適度であると思います。
ただ、言葉が何度も登場するので、トータルの数が多い。
それに加えて漢字も多いので、
>この独自用語と漢字の多さは、単語で雰囲気を出そうという意図でしょうか。
という感想を抱いた次第です。

>>671
老婆心ながら、三国志(吉川版あたり)を読んでみると参考になるかもしれません。

677イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/16(日) 22:43
>>673-675
批評どうも

自分でも独り善がりな文章かなー、とは思ってたんですが
そのものずばりみたいですね

スキルアップしてる時間も今回はありませんし
元に戻して、一から書き直してみます

ありがとうございました

678666:2005/01/17(月) 19:45
>>674
どうもありがとうございます。
萌え不足ですか。もっと研究しないといけないですね。
イクが水から出られないのは、この後に続くメインストーリーの伏線です。確かにもっと早めに出したほうが良かったかもしれません。

最後に前の後に続く、イクの萌えシーンを晒してみます。


イクはほっぺたをむくむくと膨らませた。そこまで怒らなくても・・・。
 「イク、私が遊んであげるわよ」
 けーきが声をかけてもイクはまだしばらくむくれていたけど、けーきが後ろから抱きしめると機嫌もよくなったみたいで、
 「うんっ!!」
 と元気のいい笑顔になった。色々と妙なところもあるけど、こういう顔を見るとやっぱり普通の女の子なんだなと思う。
 けーきでも胸の辺りまで浸かるほどの深いところで、イクは小さな手で水鉄砲をやったりしてはしゃいでいる。水に潜ったり出たりするたびにツインテールが水を散らしながらぴょんぴょんするのが、見ていて楽しかった。けーきもけーきで、見ているこっちが恥ずかしくなるぐらいに、イク以上にはしゃいでいた。
 そんなけーきに親近感を覚えたのか、他の子供達も次第にけーきの周りに集まり始めた。面倒見のいいけーきは、そんな子供たちとも遊んであげている。水をかけられたり、背中にしがみつかれたり、水着を引っ張られそうになったり。うーん、子供に好かれる人は大変だなあ・・・などと思っていると、
 「秋さん、秋さん」
 いつの間にかイクが僕の足元近くにいた。水深が浅くなっているので、水の外に出られないイクは川底に這いつくばって、サンショウウオみたいな格好になっている。それで僕が吹き出すと、
 「もー、秋さんってばあ!!」
 イクはちょっと身に詰まったような声を上げた。様子から察するに、結構真剣な話を聞いて欲しいような感じだった。
 「ごめんごめん。どうかした?」
 「うん。あのね、あの、あの・・・」
 イクはちょっと後ろを振り返り、
 「内緒の話なんだけど、聞いてくれる?」
 と、不安そうな顔で僕を見上げた。
 「何だ?」
 僕はイクのほうに顔を近づけた。
 「私、いつもは川の中から出られないんだけど、満月の夜だけは違うの。満月が出てる夜の間だけは、地球の重力が減るから、私も水の外に出られるんだよ」
 「え、そうなのか?」
 そんなことは初耳だった。けーきや他の人からも一度も聞いたこと無かったし・・・。でも、イク自身がそう言っているなら、たぶん嘘ではないのだろう。
 「おどろいた?これはね、まだ誰にも言ってないの。秋さんだけだよ」
 イクはどこか得意げにそう言って、にっこりと笑う。うーん、そんな重要なこと、昔から仲良くしてるけーきには教えなくていいのかな?
 「ね、それでお願いなんだけど・・・次の満月の夜に、私と一緒に遊んでくれない?」
 「それって、いつだ?」
 「四日後だよ」
 じゃあ、次の火曜日か。ま、そんなことならお安い御用だ。
 「いいよ。一緒に遊びに行こう」
 僕がそう言うと、イクは大喜びするかと思ったのに、意外なことに、なぜか驚いたような顔をして僕をじっと見上げた。
 「・・・本当?本当に、来てくれるの?」
 「ああ。本当だって。約束するよ」
 ひょっとして、僕ってあんまり信用ないんだろうか・・・と心配していると、イクは今度は照れくさいような顔をして、頬のあたりを真っ赤に染めた。
 「やった」
 イクは小さな声でそう言うと、僕の右手首を掴んで体を引き寄せ、耳元に囁いた。
 「秋さん、大好き」

679イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/17(月) 20:26
>>678
何故か知らぬがイクに萌えられない。
ここで好きって単語使うのは止めて欲しかった(;´Д`)
まだアゲられてる分だからなんとも言えんけど、どういうキッカケから好意を持って、そこから
如何に感情を発展させて行くか、ってのは語れないんかね?
どうも軽く見えて仕方ない。
それとも恋愛感情とはまた別、って事か?
とりあえず4日後の満月の夜に期待。

それと、秋㌧の「いいよ。一緒に遊びに行こう」ってとこでイクが疑うのが微妙に不自然かも。
満潮にだけ出られる、っていう話を信じるかどうかの所で疑うと思ったんだが。
俺なら両方とも疑って、最後に>>僕ってあんまり信用ないんだろうか・・・を入れると思う。
ものっそい細かい個人指定スマヌナorz

680イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/18(火) 00:47
>>678
ん〜…何となく萌えポインツが見えない理由がわかったような。
イクとかけーきとか、ここがかわいいんだぜ!ってところが書かれてないんですよ。
容姿についての描写は、ツインテールの幼い女の子で、セパレートの水着を着ている女の子っていうぐらいですよね。
そのほかも、別に目立ってかわいい動きをしているわけでもなく、台詞も普通です。
どこら辺が萌えどころのつもりで書いていたのか、伝わってこないです。
伝わってっていうか、ほんとにわからん…。

設定については、満月云々で使い道はわかりました。
ただ、>>679も書いていますが、そのあとの流れがちょっと不自然かと。

681666:2005/01/18(火) 19:56
>>679
>>680
どうもありがとうございます。
自分では気付かない欠点がボロボロ出てきますね・・・
イクが秋に好意を抱いた理由ですが・・・すいません、この後にも何も出てきませんor2
確かに安直に過ぎたかもしれません。

萌え描写も不足ということですね。当時の自分ではこれが精一杯でしたor2
けーきはこの後イクに水着のお尻を引っ張られたり、通学路を水着姿で帰る羽目になったりするんですが。

どうやら自分は萌えを描くにはまだまだ未熟ということのようで、今後精進を重ねて行きたいと思います。本当にありがとうございました。

682666:2005/01/18(火) 20:00
最後に、イクが水から出られない理由、満月の夜に秋を誘った理由ですが、
↓こんなんです。先の場面から大分あと、秋とイクが夜の町でしばらく遊んで、イクが秋にキスをしたあとのシーンです。


「さ、そろそろ行こうか、秋さん!!」
「行くって、どこへなんだよ?」
「えー、だってさー・・・」
イクは僕の右手を、小さな両手で包み込むように握ってから、いたずらっぽく笑って言った。

「こんな水の底にいつまでもじっとしてたって、どうしようもないでしょう?」

そしてイクは僕の手を引きながら、ふわり、と、夜空に浮かび上がっていった。


僕の体は、夜空に浮いている。その僕の右手を、イクがやさしく握っている。下を見下ろせば、山裾に広がる家々の光が・・・僕達の町が、足元に見える。イクの顔を見ると、やさしく笑って僕を見つめている。もう虫の声は聞こえない。
「あ・・・泣いてる」
イクが、下を見下ろして言った。
「え、誰が?」
「ふふふ、ないしょ」
イクは舌を出した。もう山すらも小さくなっている。僕達は、一体どこまで昇っていくのだろう?
イクは僕の手を握っていた両手のうち右手を離した。僕はイクとは細い一本の腕だけで繋がれることになり、少し不安になった。イクはそんな僕の心を読み取ったのか、
「大丈夫だよ、私に任せておいて」
と得意げに言った。
もう空気もだいぶ薄くなってきているはずだと思うのだが、少しも寒さは感じなかった。僕とイクの体はどこまでも昇っていき、止まりそうにもない。このまま、宇宙にでも行ってしまうのだろうか?そしたら、息が出来なくなるんじゃないのか?でも、昇っている途中、呼吸はまったく普通にすることが出来た。これはひょっとして、イクにもらったキスの効果だろうか。
「なあイク、これから、どこにいくんだ?」
ようやく、僕はイクに話しかけることが出来た。
「いいところだよ。きっと秋さんも気に入ってくれるよ」
イクは鳥のように両手を広げて、星空の中を天使のように舞っていた。その様子は幻想的でやもすれば儚げであったものの、一緒に夜道を歩いていた時のような頼りなさは微塵も感じなかった。こんな信じられないような体験をしながらも、僕は、イクが隣にいてくれたおかげであまり不安は感じなかった。
イクは、川の中よりもずっとかわいかった。


僕とイクは月にやってきた。
僕達は地球の大気圏を抜けて宇宙空間にまで到達し、そして僕達の頭上でどんどん大きくなっていったクレーターだらけの灰色の球体、月に着陸した。
と言っても上手く文字通りに着陸できたのはイクだけで、僕の方はというと生まれて初めて体を襲った慣れない感触に戸惑い、しりもちをついてしまった。
「あーあー、だめだなー秋さんは」
イクは僕を指差して、呆れたように笑った。そのイクは、月の地面に、しっかりと両足で支えなしで立っていた。

683イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/18(火) 23:57
>>682
「最後」が続きますね(笑)。

イクは月のウサギだったということなんでしょうか。
これ、萌王じゃなくて普通の短編に仕上げた方かと思いました。
せっかく綺麗な話なのに。

空を飛んでから月に着陸するところは、もう少し書いてほしかったです。
あと、「かわいかった」って書いてしまうと、想像の余地がなくなってしまうのではないですかね。

684666:2005/01/20(木) 23:23
>>683
色々とご指摘ありがとうございます。
確かに今考えてみると、枚数の少ない萌王より短編向きに書いたほうがよかったかもしれません。
そもそも自分は萌えを十分理解していなかったようですし。

皆さんに頂いたご指摘を顧みて、もっと読者の側に立った描写を意識して次回の萌王に臨みたいと思います。

685119です:2005/01/22(土) 11:13
冬の朝のさわやかさを表現したくなりました。伝わるでしょうか。

 「じゃあ、行ってくるよ」
 望は自転車の荷台に、豆腐をつめたブリキ缶をのせると、サドルに腰かけ、
ペダルを踏み、朝の冷たい空気の中へと飛び出していった。
 いつも手入れのいきとどいている自転車は、毎朝主人を乗せての仕事がうれ
しくてたまらないようで、風をうけて回る車輪が、朝日にキラキラと輝き、道
路に影絵のような軌跡を残す。
 一気に坂道を滑り下りて、ガードレールにぶつかるギリギリのところでカー
ブを曲がると、そこに小さな竜巻が起こり、すれちがう人は自転車の少年を、
つむじ風か何かのように錯覚するのだ。この素晴らしいスピードは豆腐売りに
しか出せないものである。牛乳配達とも新聞配達とも違う。朝飯の用意をはじ
めた、まな板で葱を刻む音と、味噌の香りのする下町へやって来る、白く四角
い幸福の販売人。
 望は合図に自転車のベルを鳴らし、腰に紐で結びつけたラッパを吹き鳴らす。
 「豆腐だよーっ!」
 すると、あちこちの家々の戸が開いて、顔なじみの奥さんたちが顔を出し、
鍋を片手に、ぞろぞろと望のまわりに集まってくる。
 「おはよう、お豆腐屋さん。今日はいいとこ持ってきてくれた?」
 「うん」
 と、望はそっけなく答えて、おかみさんたちが差し出す鍋に、ブリキ缶から
豆腐を手づかみで取り出し、ひょいひょい放り込むように入れていく。素人目
にはずいぶん乱暴に扱っているように見えるが、そうでない証拠に、鍋の中に
投げ入れられた豆腐は少しも崩れていない。
 「ひとつ二百円」
 おかみさんたちも慣れたもので、自転車のカゴにすえつけた木箱に百円玉を
ふたつ落としていく。二十個あった豆腐は全部売れた。一度だって売れ残った
ことはない。
 木箱の金はちょうど四千円あるのを確かめてから、望は自転車にまたがり、
その場を後にしようとすると、客の一人に呼び止められた。
 「ちょっと! 待って望ちゃん」
 それは他のおくさん連中よりふたまわりは若い、髪の長い女性だった。
 酒屋の長女の保美さんである。望のことは小学校にあがる前から知っている。

686イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/23(日) 01:02
>>685
情報は伝わってくるのですが、情報止まりで、映像になりませんでした。
伝わっているかどうかということについて回答するなら、伝わりませんでしたということですね。
書いてある文章が、説明であって、描写になっていないからだと思います。
イメージを殺さないような書き方にしてみてはどうでしょうか(具体的にどうだとはいえませんが)。

687イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/24(月) 00:01
>>685
冬の朝のさわやかさは感じませんね。
自転車と豆腐屋の描写ばかりだから。
主人公の近辺や忙しさは見えるが、遠景や気温に伴う描写にも気を配らないと。

688イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/24(月) 08:27
>>685

豆腐を載せたまま、そんなに速く走ったら
ウリモノの豆腐がぐちゃぐちゃになるよと思う。

689119です:2005/01/24(月) 09:37
ご指導ありがとうございます。

>686
よく言われることですが、やはり説明を脱していませんか…。
どうすれば描写になるのかよくわからないのです。
自分の場合、小説作法の本なんか読んで、
これが「描写」だというような例文とかを読んでも、
頭の中で映像にならないことがあります。
脳に問題でもあるのでしょうか。
>687
たしかに自転車と豆腐についてしか書いてませんね。
冬の冷気の中を突っ切るイメージを描きたかったのですが、
ポイントをはずしていました。
>688
これも言われて初めてそうだなと思いました。
あれだけ速く走ったのに豆腐は崩れていない、
とでも付け加えたほうがよかったでしょうか。

690イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/25(火) 00:17
とりあえずわかることだけ書きますが、たとえば
>朝の冷たい空気の中へと
これ、説明です。
これ、望が冷たいと感じてる文章じゃないですよね。
作者が、今空気は冷たいんですよって書いてるだけですよね。
「冷たい」では感覚になりません。
「冷たい」を感じている主人公を書く、「冷たい」を読者に感じさせる、それが描写だと思います。
あと、冬の冷気の中を突っ切るイメージを書きたかったということですが、
そのことに言及しているのはここしかないように見受けられます。
これではイメージは伝わらないのでは?

691イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/25(火) 16:22
地球とは別の惑星。
その星に二つある大陸
といっても、実際のところ大陸は一つと言ってもいい。
片方の大陸は、もう片方の大きな大陸の北東に、ぷかりと浮かんだ小さな陸地。
赤道から離れているため、四角い地図だと大きく見えるが、楕円を使った面積が正しく表される地図だと、大陸というより島といった印象だ。
自然、名称などというものはその印象で変わってしまうもので、世間では大きな大陸は大大陸、小さな大陸は小大陸と言われている。
だが、七年前の戦争で、その小大陸を修めているステインが、大大陸の連合軍を倒してしまった。
きっかけは海洋中のメタンハイドレートの埋蔵地の土地所有権についての諍いだった。
国家間で取り決められた立ち入り禁止海域に、たまたま入ってしまった連合加盟国の調査船を、たまたま勝手に示威行動をしに入ったステインの巡視船が、沈めてしまったという。
よくある戦争の理由づけだ。
だがそれが通じるのは戦勝国の場合のみであって、戦敗国がそんな言い訳をして通る道理はない。

戦勝の理由としては、
ステイン独自の技術によって量産された、歩兵用の気化爆弾
安価で、かつ高確率で当たるミサイル迎撃システムを、すでに実用段階にしていた事
初めて船舶の砲に大口径のレールガンを仕込んで、海戦で常勝を誇った事などがある
だが相手は大大陸の半分以上を占める連合国家、それらの技術をいくら上手く活用したと言っても、限界はある。
裏側で戦勝に大いに貢献したという、ハッキング。
それは気まぐれな一人の女性によってもたらされたと言われる。
それと並び、暗殺屋。
連合軍幹部が死んだ施設の幾つかで、監視カメラが光学迷彩特有の歪みを捉えていた。

692イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/25(火) 18:26
>>691
プロットのようには見えんので本編冒頭か。
似たようなの見ても思うんだが、初っ端から世界観説明するのやめとけ。
ラノベ用なら尚更だ…ってかコレ何用なんだ?

693イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/26(水) 20:10:45
>>689
冬の朝の風の中を自転車でつっぱしりたければ、

★ 自転車通学の学生
★ これ以上に遅刻すると必要な単位がピンチかも

↑のような設定にしとけ。

694イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/30(日) 20:45:51
何となく。(状況描写と心理描写が混ざって解りにくいよと言われる)漏れならこんな風に書くかも。
---
 「じゃあ、行ってくるよ」
 望は自転車の荷台に豆腐を詰めたブリキ缶を載せ、サドルについた霜を手で払った。それに跨り、――缶の中の豆腐が崩れないように――ゆっくりと、持ち上げられた後輪のスタンドから下ろす。軍手に着いた霜の膜を払い落とし、機関車の様に湯気をはき出しながら、ゆっくりと漕ぎ始めた。
 キィ、キィ、と一定間隔で耳に届く自転車の声。まるで歓喜の声を上げているかの様だ、というのは整備している者の惚気だろうか。冬特有のキンと響く空気の中、道路にはダイアモンドダストの様な光の瞬きが現れては消え、自転車は誰もいない道を加速する。
---
元々持ってるいいテンポを崩さないように気を配ってみたら崩れるという言い見本だけど。('A`)
状況描写が少々ウザいのは自覚してるんだけど、余り削ると自分でもよくわからなくなるるるるるるるるるるるるるる



…偉そうなこと言いつつ多分自分のがヘタレだ、ご安心めされよ!

695119です:2005/01/30(日) 22:59:35
>690
「冷たい」と感じる主人公を書くことが描写ですか、なるほど…。
>693
主人公は中学生で、朝にひと仕事終えた後、学校に向かうんですが、
最初の段階で年齢とかにも触れておくべきですかね。
でも、例として示してくれてもののほうがわかりやすいかも。
>694
いえ、こういう視点もあるなあと、新たに気づかせられました。
むしろ、そっちのほうが「冷たさ」に関する具体的な描写があります。

問題はこの後、どう話を膨らませていくかだなあ。
皆様、ご教授ありがとうございます。

696イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/31(月) 01:56:51
今書いてる長編の冒頭を曝します。
他人に読んでもらったこと無いんでかなり独り善がりな文になったかも。

 月輪は天を抜いて青白く、今宵は夜陰の勢威も人心を覆うに至らぬと見える。
時は慶応二年春未き、春草挙って萌す夜半の山麓に、一人童子の姿が在った。
親より受けた名は称(たたえ)。物心付いて直ぐ母を亡くし、今は父と二人、この地に樹果を狩って暮す。
既に亥の下刻である。幼子は皆夢を結ぶ刻限とて、称も一度空寝をしてから抜け出してきた。
故在っての奇行ではない。単なる子供の酔狂だ。当て所無くさすらうと、遂には一本の桜の前に辿り着いた。
今だ五分咲きのままである。
「桜がお好きなのですか」
 突然の声だった。顧みた背に女が一人。年の頃二十歳ばかりで、風貌は子供の目にも美しい。
見知った顔である。
 女は、名を薄緋(うすあけ)と言う。称の父に仕える家来――のようなものらしい。委細は知らぬ。
父が教えないからだ。
不思議な娘だった。
称はこの女を、今を引いて二度しか目にした事が無い。
一度は今日日と同じく、夜中に床を抜け出したときの事だった。
薄緋が言うに、心配した父に命じられて称を連れ戻しに来たのだとか。名はその時聞いた。
二度目は、母を埋葬した時の事である。初め薄緋は手伝いに来たのだと思った。
墓穴の掘削というのはそれなりの重作業であるから。
あの細腕に鍬は重かろうと称は案じたのだが、杞憂だった。薄緋は穴など掘らなかった。
鍬を振る父をじっと見詰める称の傍らで、彼女も同じ光景をただ眺めているだけだった。
広がる墓穴、寡黙な父、埋もれてゆく亡骸。
称の肩には白い手がそっと置かれていた。薄緋が何の為に居たのか、称には未だに判らない――。

697イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/31(月) 01:58:23
先程から一尺の間を後ろに控え、女は身動ぎ一つしない。
場に満ちた奇妙な沈黙に耐え兼ねて、称はとうとう口を開いた。
「別に……桜は、好きじゃない」
 そのぎこちない口調が可笑しかったのか、薄緋は小さく笑う。
「好きでもない物を、わざわざ夜中に眺めに来る事もありますまいに」
「花見に来たんじゃあないよ」
「では何をしにいらしたので」
 理由など無かったものが、ふと今になって思いついた。
「母様(かかさま)は桜が好きだったから、枝の一本でもお供えしようかと思って……薄緋?」
 薄緋が哀しげな微笑を浮かべた。確か母様を埋めた時もこんな顔をしていたな、と称は思う。
母の死は薄緋にとって悲しい事なのだろうか。
母が生きていた日の事を、言い換えるなら死につつあった日々の事を、称は今でも覚えている。
褥の上に横たわった母は、一昼夜に十年を老いていった。
髪は抜け落ち、骨は秀で、日毎醜くなる母が遂に目覚めなくなった時、父は悲しむよりまず安堵していた。
死因は判らない。
しかし、母は老いで、老いがもたらす衰弱ではなく老いそのもので死んだのだと、称はそう考えている。
その日の内に母は埋められた。父の作業を眺めていたら、気付かぬ内に薄緋が居た。
ふと振り返った一瞬に目が合った。その時見たのがこの表情だ。何が哀しいのか称には判らなかった。
今もそうだ。
薄緋の顔にはまたいつもの、柔らかな笑みが戻りつつあった。
「枝に手は届きますか? 何なら私が」
「いいよ。そこまでしなくても」
「私の手間などは気になさらないで下さい」
「満開になってないから止めたんだ」
「満開ではなくとも喜ばれると思いますよ」
 薄緋はそう言うと、称の傍らを離れて桜の幹に歩み寄った。手を伸ばす。
掴まれた枝はよく撓って、薄緋の頭まで垂れ下がった。

698イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/31(月) 01:59:14
「咲き切らない桜というのも美しいものです。でも――やはり満開の方が人には喜ばれるのでしょうね」
 薄緋は、何を拘っているのだろう。自分からしてみれば今し方の思い付きに過ぎぬものを。
称はそう思わずにいられない。桜に何か思い入れでもあるのだろうか。
「薄緋も桜が好きなの?」
 答えは返らなかった。
 静寂が二人を囲んだ。
 天空に満ち満ちて絶える事なく思われた月の光も、いつしか羊雲に隔てられて寸刻途絶えた。
夜の帳が何もかもを抱いた。
ただ、在るか無いかの雲間から漏れる僅かな輝線が、射干玉の闇の中、幽かに白いものを照らし出した。
桜の花である。
「称様。この桜」
薄緋が口を開いた。
「私が咲かせて見せましょうか」
「何だって」
 何を言っているのだ、この人は。
膨れ上がった暗がりの所為だろうか。
不意に、称には目の前の女が自分の見知らぬ、全くの他人のように思えてきた。
闇の中、輪郭すらつかめないその陰が、己が隣に添うていた薄緋と同一だとは思えない。
寒気が称の身を握り締めた。
「称様は先程、この花が好きか、とお尋ねになりましたね」
風の音さえ聞こえない。
薄緋の声だけが夜気を震わせる。
聞き覚えは確かにある声。
「お答えします」
 青月を厳しく包んだ雲も、やがて立ち退き始めた。
闇は過ぎ去って行った。再び現われた光景は、しかし安堵をもたらす事無く、ただ驚愕のみを称に与えた。

「私は桜が、嫌いです」

 月光の中浮び上がる花弁の群れ。
 五分咲きだった桜が、満開になっている。
それどころか、その美を存分に誇示した花弁たちは次の瞬間早々と、先を争うように散ってゆくではないか。
春風薫る山の裾野、称の視線の先で、薄緋は一人、満開の桜の傍に佇んでいる。その真上――
十六夜の月を抱く春宵の空高く、風に舞う薄紅色の斑雪は、人肌に触れて溶けもしない。

699696:2005/01/31(月) 02:04:21
以上です。批評して欲しいのは空気が書けてるか、
あと主語を結構省いているので意味が伝わっているかどうか。

700イラストで騙す予定の名無しさん:2005/01/31(月) 06:08:03
>>696
> 女は、名を薄緋(うすあけ)と言う。称の父に仕える家来――のようなものらしい。委細は知らぬ。
から>>697-698の「私は桜が、嫌いです」までが別作品みたいな雰囲気になってる気がする。
そこをうまくできたら、独特の雰囲気が出ていいと思う。


んで意味は伝わってるから大丈夫。

批評初ワナビ歴半年の戯言でした。

701696:2005/01/31(月) 23:28:52
レスどうもです。
>別作品みたいな雰囲気
自分では全然気付いてなかった……これは前半と中盤以降でやや文体が異なるせい、でしょうか?
自分としては中島敦みたいな文体で京極夏彦みたいな雰囲気を出そう、
とか考えてたのですが、結果、文にまとまりが無くなったのかも。

やはり他者の視点というのは重要ですね。皆様どうか引き続きご指南下さいまし。

702イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/01(火) 00:12:10
これラノベですか?
時代物を間違ってここにあげられたのかと思ってしまいました。

意味がとれないところはないようですが、登場人物の顔が浮かびませんでした。
それから、私は読めましたけど、ラノベ読者はルビないとよめないでしょうね。
漢字が多いと、ルビがあっても敬遠されがちですよ。
これ、手で書いてからワープロに起こしたのでしょうか。
ワープロの変換機能に頼って書いてませんか?

あと、結構段落替えのあとの一字あけがされてない場所が多いです。
それは気をつけた方がいいかと。

703702:2005/02/01(火) 00:15:49
あー、アンカー付け忘れた…。
>>702>>696宛です。

704696:2005/02/02(水) 23:04:29
702さん。批評どうもです。

>これラノベですか?
ラノベです。そのわりには地味な冒頭でしょうか。
ただ、どうすれば『派手』になるのかが判らないのです。
派手ならいいと言うものでもないのでしょうが。

>登場人物の顔が浮かびませんでした
書いてる時に勝手に脳内補完してました。
指摘されなかったら全然気付いてなかったと思います。

>漢字
確かに変換機能に頼ってます。
設定が明治初期の伝奇物なので雰囲気を出そうと思ったのですが、
止めた方がいいですかね? 他の批評者さんの意見が聞きたいところです。

>一字空け
書く時はちゃんとしてるのですが、投稿する際に長すぎる文を切ったりしてるうち、
めちゃくちゃになってしまいました。気を付けます。

705イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/03(木) 00:29:12
>>704
私見ですが。
派手である必要はないと思いますよ。独特の雰囲気を出すのはいいことだし。
ただ、山場がないというか。つらーっと話が進んで、「桜が嫌いです」。
…で?という感じで終わってしまうので、その当たりを気にしてみてはどうかと思いました。
それよりも、文体があまりに硬いので、これ本当にラノベか?と思った次第です。

漢字について。
手軽に、気安く読んで楽しめる、それがライトノベルの骨子だと思うのです。
陰陽ノ京なんかもあるし、一概にはいえないのですが、それでも、
「こぞって」なんていうのはひらがなでいいと思いますし、
ぬばたまって、そもそもあまり見ない言葉ですよね。
わからない言葉、読めない言葉が出てきたら、普通は読み飛ばしちゃうと思いますよ。

706イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/03(木) 00:47:21
>>>これラノベですか?
>>ラノベです。
いやいやいや、こんな文章と内容読む子供いないって。ラノベじゃないよ。
とりあえず話合いばかりで動きが無いのはラノベとしては退屈する。
主人公がどんな人かよく分からないので読者としては感情移入出来ない。
入り易さを意識しないと駄目でしょう。

707イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/03(木) 22:39:16
いやでもある程度本好きな層には受け入れられる気がするな。
ていうか俺が読みたい。

708イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/03(木) 23:57:22
ラノベ読者の中で「ある程度本好きな層」が占める割合って、そんなに高くないと思うのね。
それを、商売でやってる出版社が認めるか?っていうと、やっぱり認めづらいじゃん。
実際ああいう文章のラノベって、希少じゃね?

709イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/04(金) 00:56:06
所詮、資本主義国では利益の出ない出版物は認められんさ。
希少ってだけでは売れないだろうしな

710696:2005/02/04(金) 21:10:35
昨日は来れませんでしたが、皆さんレスありがとうございます。
>>705
>…で?という感じ
作者の頭の中では後に続くストーリーがフラッシュバックして
素晴らしい余韻を残す冒頭!みたいな感じになってるのですが
やはり読者には全然伝わってないのでしょうね。
ここで批評してもらうことで、自分がいかに読者を置き去りに
していたか思い知らされます。
漢字についてもルビがあるからいいか、とか考えてましたし。

>>706
>主人公がどんな人かよく分からない
最近ラノベをあまり読んでなかったので感覚を取戻そうかと
二三冊読んでみて愕然としました。
主人公に限らず大抵のキャラが、出てきた瞬間読者がその人物像を
つかめるように出来ているではありませんか。
……つーかそんな基本的なことにも気付いてなかったのかよ、私は……
ラノベ書き失格ですな

>>707
そう言ってもらえる人が一人でもいるだけで励みになります。

>>708
>>709
私としては、ラノベを卒業しそうなんだけど、やっぱりまだ
ラノベ的要素のあるものを読みたい、
という思いのある読者層を狙っていて、
C・NOVELSファンタジアあたりに送ろうかと思っていました。
今の段階では独り善がりの部分が強すぎて読者層を考える以前の問題でしょうが。
あと、こういう文体の作品があるなら参考にしたいのでぜひ教えて欲しいです。

711イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/07(月) 01:29:57
書いているSFの冒頭1場面を晒してみます。
後を読みたくなる文章かどうか、食いつきが心配ですので。
送る賞はまだ決めていません。

――――――――――――――――――――――――――――
 意思の介在しない現象ほど、人の定めた壁を無視できるものはない。道理が通用するのは人に対してのみで、物理現象は国境を渡る鳥のように、貴賎も上下も善悪も貫いてしまうのだ。生じた結果の差は、運で片付けられてしまう。
 そしていまも、人の運を試す現象が起こる。
 少女の世界が赤く染まった。
(え?)
 オープンカーの正面で生じた閃光は、赤から青そして白へと移ろった。太陽を直視するに等しかったから、高貴な少女の目は瞬時にやられていた。浮遊車の後部座席で目をつむり、彼女は混乱した。
(なに?)
 少女はレフォーレ星系第二惑星の入植一〇周年を祝う式典に、主賓の一翼として招かれていたはずだった。新型の惑星緑化技術によって開拓された新天地は、最大の街といえどもビルと呼べるレベルのものは一棟もなく、建物の大半は平屋の一軒家だ。道路は式典に合わせて清掃はされていたものの、周囲の畑から飛んでくる土ぼこりをすべて除くのは無理で、うすく汚れていた。郊外には有機栽培の畑が地平まで広がり、自動機械が作業に当たっている。暦は初夏であったが、第二惑星の首都があるその地域はちょうど秋で、実りの時季だった。都会に疲れた人が憧れる田舎の風景だ。
 式典の最後にあたるパレードは、快晴の陽気を受け、のんびりと進んでいた。余裕を持ったまばらな車列は全長五〇〇メートルほどで、前列に少女の長兄が、真ん中に主賓の母が、後列に少女がいた。

712711:2005/02/07(月) 01:30:44
 道端では入植者たちが、パレードを見物していた。シアム王家の紋章である風吹く丘が、手旗に揺れる。星の人口はわずか一〇万人で、少女の侍女長サリィの情報によると、うち四万人ほどが見に来てくれていた。パレードの要所を追う報道陣が目立つほど、少女にとって観衆は少なかった。より大規模なものをいくらでも経験し、場慣れしていたからだ。そのような呑気な雰囲気の中でいきなり発生した、眩しい火の玉だった。
 見えなくなる寸前の青い輝きが、少女を不安にさせていた。それは彼女の学んだ軍事知識の断片から、遺伝子を集中的に破壊するある兵器を浮かばせたからだ。
「ミーアさま!」
 若い女性の声がして、閃光から少女を守るように抱いてきた。隣の席にいた侍女長のサリィだった。
 サリィが動いた直後には、記念パレードを先導する行進曲の演奏も、旗振る民衆の歓声も、自然肥料の臭いを運ぶ風の音も、すべてが消えた。耳から脳に届いた爆音はほんの一瞬だけである。だがその一瞬はあまりにも巨大で、ミーアの経験したことがない、気が狂いそうな暴力的音響と、痺れだった。
 光ってから音が届くまで、二秒もなかった。さらに爆風が届くまでも、たいした差はなかった。視覚と聴覚を奪われたミーアを支配したのは、衝撃と熱波であった。全身を脳天からつま先まで抜ける震えと熱さに、そして痛みである。どれほどの体感ゲームも遠く及ばない、慈悲の欠片も存在し得ないリアルだった。守っていたはずの、サリィの感触は熱風と共に消えていた。

713711:2005/02/07(月) 01:31:05
 ミーアにとってこれは悪夢でしかなかった。貴い身分ゆえこれまで特別扱いを受け、躾でも叩かれたことさえなかった。だが、現象には通用しない。物理は誰にも平等であり、無差別で絶対なのだ。暴力は激しく、真顔で耐えられるものではなかった。痛さでミーアは悲鳴をあげていた。しかし自身の声も耳に届かない。鼓膜が破れているからだ。
 悪夢はさらに地獄へ進化した。激痛がミーアを貫いたのである。全身にまんべんなく痛打の津波が寄せ、脳髄にまで達して思考が停止した。衝撃で浮遊車から弾かれた、身長一三ニセンチしかない軽い体が、ニ〇メートル以上飛ばされた末に硬い舗装路に打ち据えられたのだ。肺の空気の大半が吐き出されるほどであった。涙がたちまち溢れるのを感じた。地に落ちた後も、あらたな痛みの元がミーアを囲んでいた。その燃える空気を、うかつにも吸ってしまった。縮んだ肺が空気を求め、本能で呼吸してしまったからだ。喉と肺に熱波を呼び込んだことで、死ぬような火傷の痛みが内側から襲ってきた。
 ミーアの幼い意思はこの仕打ちに耐え切れなくて、気を失った。ようやく地獄から開放されたのである――

714711:2005/02/07(月) 01:35:33
・炸裂したのは中性子爆弾です(敵対国によるテロ)。
・ミーア(姫さん)は助かりますが、母親と王太子が死にます。
・ミーアは主人公です。

715イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/07(月) 21:14:12
>>714
冒頭2行目で読む気が失せたが頑張ってみた。


ネーミングでまた失せた('A`)
ところで、オープンカーってのは主人公が乗ってんだよな?
仮にも一翼ならそんな無防備な物に乗らないぞ。
後、中性子爆弾は遺伝子破壊を主に置いちゃいない。主人公微妙な軍事知識だな。
アレは生物殺傷のための水素爆弾だ。
んで全部読むとなんとなーく展開予想できてしまうな…いや、コレは伏線として取っておこう

716無名人:2005/02/07(月) 23:08:11
久しぶりのカキコになります。いつかのゾンビ映画オタクでございます。
ディズニーランド上空を通り過ぎるヘリ部隊を見上げるゾンビの群れから
先をUP致しますので、批評の方、よろしくお願いいたします。

参考スレ
>>244

 交差する二つの剣の上に日章旗と星条旗が描かれた濃緑色の猛禽たち。
 AH−64アパッチ攻撃ヘリ五機と、UH−60ブラックホークヘリ六機の
計十一機は、新木場を右に臨みながら、有明方面へ向かっていた。
 ブラックホークのドアは総て開け放たれ、機内には迷彩服を着込み、自衛隊
と米軍双方の武器を装備した兵士達でひしめいているのがはっきりと見えた。
 三〜四人を除いて、あと全員十代後半の少年・少女達で占められている。
 彼ら初年兵達は、同じグループ同士で固まって話をしたり、武器のチェック
を念入りに行ったりしていた。

 十八歳になったばかりの山本宏樹は、武器のチェックも仲間同士の話の環にも
加わらず、一人壁にもたれて機外を食い入るように見つめていた。
眼下に流れる荒廃した街、路上に次々と現れるおびただしい数のゾンビを凝視
する目には殺気が満ち、M−16ライフルを抱える手は力が入りすぎて震えて
いた。
「大丈夫か?」
 宏樹の真正面で同じ様に座って乾パンを食べていた三十代半ばの男、酒巻直哉
が轟音の中、大声で話し掛けてきた。
「え!? は、はいっ!!」
「怖いのか?」
「いいえ! そうじゃないんです。 ただ…」
 宏樹はそこまで言いかけると、苦痛に耐えるかのように顔をゆがめた。
 その様子に直哉も先を促さなかった。
「ただ…。やつらが憎いだけです」
 暫くして、宏樹はそれだけを吐き出すように言った。
「そうか…」
 直哉の呟きはヘリの轟音にかき消され、宏樹の耳には届かなかった。
「やつらへの復讐を望むなら、まずは生き延びる事を考えろ。俺たちの後ろに
ついて、やる事為す事を一つひとつ見て憶えていけ、いいな」
 そう言って直哉は、乾パンの缶を宏樹の方に差し出す。
「分かりました、有難うございます」
 宏樹は礼を言って手を出すと、直哉は乾パンを手のひら一杯に出したので、
落とすまいと慌てて両手で受け止めた。
二個ほどを口に入れて頬張っていると、軍曹の階級章を付けた五十前の白人
の男、宏樹の小隊長であるジェームズ・アルドリッチの低い声がヘリの轟音
を圧して響く。
「目標まであと十分だ!」
その声に、宏樹は慌てて残りの乾パンを服のポケットに押し込んだ。

717無名人:2005/02/07(月) 23:09:29
東京ビッグサイトの西隣に位置する港湾地区、有明四丁目。
錆び付いたコンテナや大型トラックが路肩を埋め尽くす目抜き通りに、
無数のゾンビが溢れていた。
路上をうろつくゾンビは場所柄を反映して、ヘルメットを被った作業員や
トラックの運転手だった者が殆どだった。
東京フェリーターミナルのビルの上から五機のアパッチが現れて、
一斉にロケット弾をゾンビが群がる目抜き通り目掛けて発射する。
ロケット弾は次々と路上で炸裂、炎が総てを呑み込み、爆風と破片がゾンビ
たちを薙ぎ倒していく。
ロケット弾から逃れたゾンビたち目掛けて、今度は機首に取り付けられた
機関砲が火を噴く。
雨あられと降り注ぐ機関砲弾に、頭が破裂して脳漿を撒き散らし、どてっ腹に
穴を開けられて臓物を路上にこぼしながら、次々とゾンビが倒れていく。
アパッチはターミナルビルから有明埠頭橋へかけて目抜き通りを掃射し、
再び反転して同じ攻撃を繰り返した。

アパッチが持てる弾薬総てを使い切った時、路上には燃え上がる車やトラック
の残骸と、焼け焦げ、ミンチにされた多数のゾンビで埋め尽くされていた。
未だ致命傷を受けずに動いているゾンビも見えるが、先程とは比べ物にならない
ほど減少しており、もはや脅威ではなかった。

今度はブラックホークが有明埠頭橋上空でホバーリングする。
都内からやってくるゾンビの群れを、そのうちの一機が備え付けの重機関銃で
釘付けにしていた。
「ロープを降ろせ!」
 軍曹の命令に、宏樹と直哉はナイロンロープの束を機外へ放り投げた。
「よーし、行け、行け!」
 号令と共に、直哉と火炎放射器を持った四十初頭の自衛隊員が、煙と巻き
上がる埃で霞む地上へ降下した。
彼らの様子は、機内からは分からなかったが、銃火と立ち昇る炎は見えた。
「よーし、小僧ども、お前達の番だ! 行け行け!」
 軍曹の声に、宏樹は真っ先にロープを掴み、地上へとその身を躍らせた。
 
 ブーツが地面に着くのを感じると同時に、宏樹はライフルを構えて走り出した。
 自分に課せられた任務を心の中で確認しながら走っていると、突然左足首を
何かに掴まれて、うつ伏せに倒れた。
「な・何だぁ!?」
 見ると、焼け焦げた下半身のないゾンビが、足に食いつこうとしていた。
「こ・このやろっ!!」
 宏樹は左足でゾンビを蹴りつけ、引き剥がそうとするが、相手は唸り声を
あげながら手を離さない。
 悪戦苦闘している宏樹のところへ、兵士が一人駆けつけて、ゾンビの横腹
を思いっきり蹴りつけた。
 横からの思わぬ一撃に体が一回転し、その拍子にゾンビは手を離す。
仰向けに転がったゾンビを兵士は足で押さえつけると、ライフルの台尻でゾンビの
頭を殴り始めた。
殴り続けるうちに頭の皮が剥がれ、頭蓋骨が露出する。台尻が骨を突き破って脳を
潰すと、ゾンビはようやく動きを止めた。
「宏樹、大丈夫か?」
 兵士がそう言って宏樹の方へ顔を向け、手を差し出す。
 同年代の、柔道部員のようながっしりした体格と、いかつい顔立ちの少年。
同じ部隊の親友、豊田隆であった。
「あ・ああ。隆、有難う」
 差し出した手を宏樹が掴むと、隆は一気に引っ張り上げて立ち上がらせた。

718無名人:2005/02/07(月) 23:10:16
「一、ニ、三!」
 号令と共に乗用車やワゴン車がひっくり返され、即席のバリケードが築かれる。
そのすぐ後ろでは、眼鏡をかけた小柄な少女が、楽しそうに路面に開けられた
穴の中へ爆薬をセットしている。
 その傍らへ爆薬を抱えて、隆と宏樹が駆け込んできた。
「源田、持ってきたぞ」
 源田由紀子と言う名前の少女は、宏樹が差し出した爆薬を受け取ってうなずく
「おれ、もうダメ…」
 隆は息も絶え絶えにへたり込んだ。
「豊田君、あと一つでセット完了だから頑張って」
 由紀子は微笑みながらそう言うと、電気コードを巻いたリールを持って軽快
に駆け出した。
「体は強い方じゃないのに、こういう時だけは元気だよな」
 隆はへたり込んだまま呟く。
「大丈夫か?」
 宏樹はそれに答えず、呼吸を整えながら言った。
「ああ、ちょっと休めば大丈夫だ」
 
「ねえ、誰かこっち手伝ってよ!」
 突然上から降ってきた声に宏樹と隆が見上げると、色白で日本人形のように
端正な顔立ちをした少女が、バリケードの上から二人の方を見詰めていた。
「俺はこっちを手伝うから、まだ休んでていいぞ」
 宏樹がそう言うと、隆は弾みをつけて立ち上がった。
「そういう訳にもいかないだろ、俺は源田を手伝うよ」
 隆が爆薬を拾い上げて由紀子のところへ駆け出すのを見送ると、宏樹は古賀
と呼ばれた少女のほうを振り向いた。
「で、俺は何をしたらいいんだ?」
 古賀美里は宏樹を手招きして、傍らの重機関銃を指す。
「コレ据え付けるのを手伝って」

 可動式の銃座に、二人掛りで重機を設置し、美里が固定するのを宏樹は銃
を支えて助ける。
 美里が作業をしている間、宏樹は外の世界に視線を向けた。
 外装がボロボロに剥げた東京ビッグサイト。
 焼け焦げ、地上に落下して横倒しになったゆりかもめの車両。
 腐食が進み、今に倒壊しそうなレジャーランドの観覧車。
 乗り捨てられた乗用車の列を縫い、こちらを目指してヨタヨタ歩いてくる
無数のゾンビたち。
 眼前の光景に、宏樹の目つきが自然に険しくなっていく。
 怖い表情で外を見詰める宏樹の肩を、美里は軽く揺さぶった。
 次の瞬間、宏樹は腰のホルスターから拳銃を引き抜き、美里の眉間に銃口
を突きつけた。
 ヒッと短い悲鳴をあげ、息を呑む美里。
 宏樹はその悲鳴で我に返り、慌てて銃を仕舞う。
「ご・ごめん…」 
 美里は固まったまま動かない、気まずい空気が二人の間に流れた。
「俺、他の所を手伝うから。休んでてくれ」
 宏樹はそう言って、逃げるようにバリケードから飛び降りて駆け出した。
「あっ、待って!」
 美里の声は、遠ざかる宏樹の耳には届かなかった。

719無名人:2005/02/07(月) 23:11:58
以上になります。
できるだけロメロ作品的な雰囲気を意識したつもりで書きました。

720イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/08(火) 00:43:03
>>711
SFということですから、普段から翻訳物をよく読まれるのでしょうか。
翻訳物によくある文体に見えました。
代名詞を主語にするとか、ものを主語にした受動態なんていうのは、日本語としてはまず見かけないものですよね。
一番最初からそう来られると、ちょっとつらいものが…。
あと、視点がぶれまくってます。
視点がぶれると読んでいて疲れますので、視点は統一していただけるといいかと。

>>716
ミリタリーはよくわからないので、用語は読み飛ばしました。
All You Need Is Killを少し前に読んだせいか、初陣にしては、ずいぶん落ち着いている印象を受けました。
戦場臭さがないっていうか、硝煙のにおいがしないっていうか…。
もうちょっと切迫した戦闘シーンだと、用語がわからなくても楽しめると思うのですが。
そこが残念でした。
書きたいこととか雰囲気は伝わってくるので、もうちょっと軍事用語がわからなくても楽しめるお話だといいなあ(希望)。

721711:2005/02/08(火) 01:00:45
>>715
サンクス。
やはり最初の数行は余分ですな。消す。
オープンカーなんたらと「未来技術による」中性子爆弾は
ここで説明されていない細かい事情が後発で出ます。
展開というかどんな物語(ずばり復讐)かは冒頭で予感させないと
ダメと言われてきたのですが、かえっていけないのかな……
冒頭の「被爆」は最後のどんでん返しにおける伏線となる予定です。


>>716-718
私の好みのせいかもしれませんが、
ゾンビの雰囲気を出したいのか、人間を書きたいのか、
両方とも狙って、印象に残る描写がないように思えます。
冒頭であれば、ひとつのことに集中してみるのが手かな、と。
つまり主要人物紹介に集中するか、あるいはどういう状況かの
描写と、主人公(+せいぜい1人)のみの紹介に努めるか。

722711:2005/02/08(火) 01:02:46
>>720 上
最近、ちょっとそっち系を読書しすぎてました。
日本語の勘を取り戻すべく勉強しなおしてきます。

723711:2005/02/12(土) 21:19:10
>>715
名前で読む気が〜〜が気になっていたのですが、
今日はじめて知りました。ガンダムデスティニーは
見たことないので名前は偶然です。ってツウヨウシネエナ。

724イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/15(火) 04:24:27
 今まで創作活動には縁がなかったんだげっちょ、思う所あって書き始めてみた話の冒頭です。
 批評は勿論、文法の誤り・勘違いとかも指摘してください。

===========================================================================

 バリ、という乾いた音が、深夜のコンビニに響いた。
 紙を裂いたような音と感触に、山崎直人(ヤマザキナオト)は慌てて手元の
雑誌を見やる。
 ページをめくる際に力が入りすぎたのか、グラビアページが真ん中から縦に
破れてしまっていた。大股開きで笑顔を浮かべるアイドルの豊満な体が、ちょ
うど股ぐらから二つに裂けてしまっているその姿は、いささかシュールである。
その光景に直人は、こみ上げてくる笑いを抑えきれず、ついには吹きだしてし
まった。
「あ」
 呟き、慌ててレジへと視線を滑らせる。幸いなことに――というか都合のよい
ことに、店員の姿はない。次いで店内を見回したが、店員はおろか自分以外の客
の姿も見えない。深夜とはいえ、なんとも寂しい光景である。
 少なくとも、今の行為を見咎められはしていないようだ。直人はホッと表情
を緩め、そして無残なアイドルの肢体へと視線を落とした。
 これをどうするべきか。否、どうにもするべきではない。
 逃げよう。
 まずは静かに雑誌を閉じ、そ知らぬ顔でマガジンラックへと戻そう。そして、
店内のどこかに居るであろう店員に気取られることなく、可及的速やかにこの
店を出るのだ。それだけで良い。
 店と、やがてあの雑誌を購入する気の毒な客には済まなく思うが、かといっ
て顔も知らぬ者のために、ろくに興味もない――時間潰しのために読んでいた
雑誌に身銭を切るつもりは一切ない。悪いのはたやすく破れる紙質であり、粗
末な媒体を商品に利用する出版社、そしてそんな商品を閲覧可能な状態に陳列
する店舗だ。むしろ自分は粗雑な管理体制の犠牲者である。
 判決、無罪。帰ってよし。
 完璧な自己弁護の組成に満足した直人は、今しがた考察したプランを最速最
短で実行せんと、雑誌を閉じ、顔を上げて――耳元に囁かれた言葉に硬直した。
「困るんですよねぇ、お客さん」
 冷ややかな声音に、その表情に焦りの色が浮かぶ。皮膚が泡立つ感触。いつの
間に店員が? 疑問を抱く間もなく、直人は弾かれたように振り向いた。
 そして彼の意識は断たれた。
 首と一緒に。

725724:2005/02/15(火) 04:25:01

「……なんつって」
 床に突っ伏した死体を背にひとりごちると、男はレジへと向かって歩き出した。
 べっとりと血に濡れた銀髪をかきあげ、片手の『戦利品』を見やる。驚愕と焦
燥に彩られたその『表情』に、男は満足げに顔を綻ばせる。
「今日はいい日だ。いやマジで」
 男は『戦利品』を目の高さまで掲げ、その双眸を見つめながら微笑んだ。
「これなら6000、いや7000は堅いかぁ? ウッハウハだわなぁ、『死に損ない』殺しは」
 『戦利品』の額を小突きながら、愉快そうに笑い続ける。
 レジにたどり着いた男は、カウンターを乗り越えると、足元に転がる店員の死
体を踏みながら、もう一つの『戦利品』を拾い上げた。
 二つの『戦利品』を掲げた男は、まるでほお擦りでもするかのように顔を近づ
け、むせかえるような血の臭いを胸いっぱいに吸い込んで嘆息した。
「みんなお前らのおかげだよ。ん〜? 聞ッいッてッまッすッかッ、マクフラ
イ?」
 『戦利品』同士の額をクラッカーのように小刻みに叩き合わせてリズムをとり、
男はとても愉快そうに嘲笑う。ひとしきり笑い終えると、男は二つの『戦利品』
を脇に抱え、床に転がる二つの首なし死体をそれぞれ見やり、にんまりと笑った。
「毎度あり」
 生首を抱えた男は、弾む声でそう言って、コンビニを後にした。

726猫丸:2005/02/16(水) 08:44:54
 ここに書き込むのも久しぶりです。ここんとこ受験だったもので。でも
一昨日とある法学部に合格したので、これからは小説も書きまくりたいと思います。

727イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/17(木) 09:07:26
>>724
首切り直後辺りの描写がちょい足りない風味。

出来るだけ簡潔に日常から非日常へ転換させたいのはわかるけど、
情景の情報が足りなくて、首を切られたってのが実感しにくく、いまいち転換に驚けない。

他はわりかし良い感じだと思う。
きどった言葉多いのも、全体に通せばくせのうちだとは思うし

728724:2005/02/20(日) 06:30:47
>>727
はい、そうです。いきなりポンッと転換させたかったんです。
ですが、読み返したら確かにブツ切りというか、情報不足ですね。
最大限情景が伝えられるようにリライトしてみます。

>きどった言葉多いのも
書いてて、自分の読書の中から好きな言い回しを拾って、それを
余り消化せずに切り貼り継ぎ接ぎで書き出してる感がありました。
我ながら感心できる傾向じゃないんで出来れば矯正したいんです
が、クセなのかな……

ありがとうございました。

729イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/23(水) 09:34:57
>>724-725
全体の批評よりも細かい部分を突っつくほうが簡単、というか
おれの文章力じゃ批評なんて無理、ということで細かいところを指摘してみる。

>いささかシュールである。
>深夜とはいえ、なんとも寂しい光景である。
こういうテンプレートで中身のない文はむしろない方がいいのでは。
もし書くならもうちょっと実感がもてるような表現がいいなあ。

 >これをどうするべきか。否、どうにもするべきではない。
 >逃げよう。
いや、どうにかしてるよ。逃げてるよ。逃げてる時点でもう「どうにか」しちゃってるよ。

>冷ややかな声音に、その表情に焦りの色が浮かぶ。
省略した部分を埋めると
(店員の)冷ややかな声音に、(山崎直人の)表情に焦りの色が浮かぶ。
となるわけで。
前半と後半で動作の主体が違うのに、それを省略しちゃってるもんだから状況がかなり取りにくい。
「その表情」=「山崎直人の表情」ってのは前後の文脈から推理しないと分からないし。
文法的にもちょっと危ないかも(俺も大して文法知らないけどね)

前半よりも後半の方がよく書けてると思う。
後半はノッて書いてたのだと予想。

730イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/06(日) 22:15:30
今書いている長編の書き出しです。
全く話の中身に触れていない書き出しなのですが、文章作法の突っ込み等をいただければと思って書き込みました。
宜しく御願いします。
-----------
 祭と云う物に興味はない。いつもの通り道である境内が人間で溢れ、草木の隙間を縫って歩かねば為らぬのだ、寧ろ、煩わしい。数が寄ると小さき物に気を配りもせぬ。
 茂みを抜け、静かな本殿の裏手へ。先客が居た。社の張り出した板の上に、人間が二つ。片方が腰をかけ、片方がその膝に頭を載せて居る。腰をかけた人間は知っている。
チリリと私の首の鈴が鳴ると、腰をかけた人間が、
「おいで」
 手招きをする。私はニャアと鳴く。立てかけてあったリアカーに飛び乗り、板を伝ってかの人間の元へ。躊躇無く膝の上に乗り、手を丸めて落ち着く。乗っている人間の頭が少々邪魔である。大きな手が私でなく、その頭を撫でているのも気に食わぬ。
 もう一度、ニャアと細く鳴く。彼の手は私には来ない。直ぐ横にある顔を見た。人間の女と云う者。目蓋は閉じている。
 挨拶代わりに鼻先を舐めてやった。
 冷たい。
-----------
いくらなんでも短すぎ?('A`)

731イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/09(水) 16:14:38
感じたことをいくつか。

うお、旧仮名かと思ったら違った。
なんか既視感がある。
漢字を多用しているので、この猫にはそれくらいの学はある→なのに
人間を「ふたつ」と勘定するという点。
ひざに頭を乗せているのは男のほうだと、読み進める前から勝手に
決め付けていた→誤読はおれだけか、それともミスリードを誘うつくり
なのか。
ということはこの猫は雌か? 嫉妬しとるのか? 人間の女とこの男を取り
合うのか、とかいらん想像をさせる余地があるのはいいことだと思う。

732イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/13(日) 21:31:11
通りすがりの者です。

誰かが膝枕してる膝に猫も乗る? 不自然のような。
もしかして膝枕がミスリードなら、なおさら中途半端な不自然さ。

細かい文章作法としては、
>チリリと私の首の鈴が鳴ると
の前は一字下げるのでは?
あと、
>茂みを抜け、静かな本殿の裏手へ。先客が居た。
の文章はなんていうのだろう。体言止めじゃないけど、
転調のような効果で使うものだろうと思う。
でもその前の文が短すぎて効果がなく、ただぶつ切り感を受ける。
その直後にまた「かの人間のもとへ」と同じように使っているし。
そういうのは効果的に用いないと、文章力を疑われそうだ。
とくに擬古文調?な文章だから目についてしまう。
これが軽いタッチのコメディ調なら、たぶん気にならないんだろうけど。

733猫丸:2005/03/22(火) 08:38:34
 今書いているラノベの冒頭です。批評よろしくお願いします。

 バス停のある団地から少し歩くと、小さな山が間近に迫ってきた。雨が降っているということもあって、辺りは薄暗く人影もほとんどない。閑静な小道には、雨粒が木の葉を揺らす音だけがしつこく響いている。
 そんな中を犬笠蓮太は、大きなリュックを背負ってぼちぼち歩いていた。隣には、小学生が持つような真っ黄色の傘を持った十二歳そこそこの少女。艶やかな黒髪が腰の辺りまで伸びていて、眼前の風景を見つめる物憂い表情は小柄な体に似合わない大人びた印象を与える。
「いやじゃのう、こんなに雨が降って」
ふと、少女が年寄りくさい口調で言った。
「恵みの雨、とでも考えれば?」
どうでもいいや、とばかりに肩をすくめる蓮太。
「…ナウなヤングなのか年寄りなのか分からん返答じゃな」
「奈々姫は100%年寄りくさいけどね」
二人の足元で溜まった水が撥ねる。奈々姫と呼ばれた少女は濡れた靴を恨めしそうに見つめてため息をつく。




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