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他人が書いた小説の一部を批評するスレ

1イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:17
 書いてみたはいいけど、この表現どうなの?会話シーンに自信ないんだけど、ちょっと見てもらいたい・・・。
 そんな悩みを抱えるあなたは、このスレに、書いた作品の一部を載せてみましょう。
 ついでに、執筆上の悩みもガンガンぶちまけましょう。
 
 投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。
 その他は、ライトノベルであれば、ジャンルその他は問いません。

2イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:38
創作文芸板にも貼り付けたやつです。私としては、書き出しのつもりなのですが・・・。


 北部の城下町ホロコイを首都として、南北に大きく広がるハザル大陸。その東南部
より突き出るケルビ半島の先端部に、〝森の横〟村はある。
 〝森の横〟村はその名のとおり、半島の最先端近くまで続く森のすぐそばに位置
している。場所が場所なだけに大きな道も無く、あるのは地面そのままの小道だけ。
その道も行き交う人が少ないためか、道脇の下草も好きなように伸びている。
 まばらに建つ家は十戸ほどで、人口はおよそ二十人。良くも悪くも、いままで時勢
の影響をほとんど受けてこなかった小村である。
 さて、季節は冬を越したばかりの初春。暖かい陽が照る村はのどかそのもの。森の
色合いも心なしか明るくなり、生き物の微かな気配も感じられる日和。
 物語は、そんなある日の昼下がり、村人の多くがくつろいでいる頃合いから始まる。
村の東端にあるベイマール家。その外壁にもたれて今、一人の少年がまどろんでいた。

3イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:38
創作文芸板にも貼り付けたやつです。私としては、書き出しのつもりなのですが・・・。


 北部の城下町ホロコイを首都として、南北に大きく広がるハザル大陸。その東南部
より突き出るケルビ半島の先端部に、〝森の横〟村はある。
 〝森の横〟村はその名のとおり、半島の最先端近くまで続く森のすぐそばに位置
している。場所が場所なだけに大きな道も無く、あるのは地面そのままの小道だけ。
その道も行き交う人が少ないためか、道脇の下草も好きなように伸びている。
 まばらに建つ家は十戸ほどで、人口はおよそ二十人。良くも悪くも、いままで時勢
の影響をほとんど受けてこなかった小村である。
 さて、季節は冬を越したばかりの初春。暖かい陽が照る村はのどかそのもの。森の
色合いも心なしか明るくなり、生き物の微かな気配も感じられる日和。
 物語は、そんなある日の昼下がり、村人の多くがくつろいでいる頃合いから始まる。
村の東端にあるベイマール家。その外壁にもたれて今、一人の少年がまどろんでいた。

4イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:40
 ごめんなさい!何かの手違いで、二つ貼っついてしまいました!

5イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 17:25
ゲーム攻略本のストーリー解説みたいだな。
固有名詞が出てくるばかりで、説明文口調ということもあって想像力がかきたてられない。
導入にはあってないと思うよ。

6イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 17:31
>>2
創文板ではどんな感想がもらえた?
スレアドきぼん。

7イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/21(土) 13:19
感想ありがとうございます。創文板でも、説明口調って言われました。でも、私の持っている構想の中では、
世界をまたにかけた大きなストーリーの冒頭という位置付けなので、その拠点で
ある村の位置なんかをはっきりさせたかったのです。あと、もっともらしさも出したかったのですが・・・。
 良ければ、皆さんの書いた文章も見せてください。精一杯、批評します。

8イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/21(土) 13:41
ライトノベルなんですよね。だったら、地理的設定よりも先にキャラクターを出す
べきです。キャラクターを出して、その背景としての設定を書くという順番に
すれば、多分隨分印象が変わると思います。
もし設定を重々しく記述することで、神話っぽい感じを出したいのであれば、もっと
堅くて重くてそれっぽい文体にしたほうが良いと思います。

9イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/21(土) 14:04
神話っぽい感じでいくのであれば、太古の昔〜云々とか、伝説曰くといったくだりで纏めるのがよろしいかと思います。
このままだと、単なるTRPGのさわりにしか見えません。
ついでに、やたらと文章が角張っていて、別言語で書かれた原文を翻訳したような感じを受けます。
ある意味、異世界っぽいといえばそうですけど、異世界というよりは英語の翻訳みたいな感じです。

あと、出だしを見る限り、「一昔前のライトノベル」といった印象を受けます。
これは、業界的に完全にアウトです。常に業界は新しいモノを求めています。
今、読者に何が求められているのか、その辺りをきちんと考えていくとよい作品がかけると思います。

10イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/21(土) 14:27
厳しい批評、本当にありがとうございます!特に、翻訳調だと言う批評は、参考になりました。
外国物のファンタジーばかり読んでましたので、その影響かもしれません。
 では、少しばかり<2>の続きを。

 ふと、柔らかい風が吹いた。
 風は、ケンの淡い金髪を揺らし、軽く閉じたまぶたをくすぐっていく。途切れかけた
意識も醒め、ケンは、髪の毛をそっと指で払った。
 ・・・目を開けたい。でも、まぶた越しにも春の光は眩しい・・・。
 少しして、ケンは意を決したように、ゆっくりと目を開け始めた。
 目に映ったのは、まだ緑も薄い下草。背丈も低く、ケンの投げ出した両足をかろうじて
囲っている程度。春が来たんだな、と、ケンは改めて感じた。そして、
 年ごとに、思い出す風景があった。
「あれからもう五年、か。」
小さな呟きとともに、ケンの記憶は、十二歳の春に還っていく。母親と別れ、村の魔道師フギ
とともにやって来た〝森の横〟村。確か、よく晴れた日の昼下がりだった。
 その日のことを、ケンは今でもよく覚えている。村に入るやいなや、髪を短く切った少女が
駆け寄ってきた。少女は当時フギの一人弟子で、歳はケンと同じだった。
 ここから先を、ケンは笑わずには思い出せない。自己紹介もろくにしないうちに、少女は唐突
に言った。
「ねえ、あんた強いの?私と、戦ってみない?」

11イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/21(土) 20:00
私感ですが、適当に指摘。

>>2
「冒頭」だとちょっともたついている感。
 8さんの言う通りキャラを先に書くか、あるいは先にプロローグを張った方がいいかも。

>>10
>途切れかけた意識も醒め、
 うたたねから覚めたということ? わかりにくい表現です。

>そして、年ごとに、思い出す風景があった。
 文章が浮いています。消すか別の場所に入れ替えた方が良さげ。

>「十二歳の春に還っていく」以降
 回想シーンはもう少し膨らました方が吉かと。
 こんな短い文で何度もナレーションを入れるとくどく感じます。

こんなところです、はい。

12イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/22(日) 00:29
冒頭で説明。
回想シーンも主人公の語りによる説明。
これだけ説明ばっかり続くと苦しいです。ラノベとしては読み捨て決定かと。

あと、個人的なことですが、名前がケンて……
ファンタジーっぽい世界をせっかく提示してきたのに、これじゃ萎えますよ。

13イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/22(日) 13:27
批評してください。冒頭です。

 晴れた日の昼間だというのに、気温は約三度。木枯らしは暗い色合
いの川面を波立たせ、ついでに俺の身体をなぶっていく。しかも昨日
には雪混じりの雨が降って、水温は極限まで下がっている。まさに、
釣りをするにはこれ以上ない悪条件といえるだろう。そのうえ、全面
コンクリート護岸された川岸は冷徹なほどに殺風景で、それが寒さを
いっそう際立たせている。
「なあ、今日は止めにしないか?」
見も心も凍え、隣にいる秋華にお伺いを立てる。だけど、秋華は水面
を見つめたまま、頑固に首を振る。そりゃあ、まだ一投もしないうち
に帰るのはどうかと思うけどさ・・・。寒。
「・・・無理はするなよ。」
「うん。」
目線はそのままに力強く頷く秋華。釣りをはじめて半年なのに、根性
だけはキャリア十二年の俺より上だ。もっとも、腕前のほうはひどい
ものだけど。

14イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/22(日) 18:24
>>13
んー、漏れ的にはOKラインを越えている。いいんでないかな?
あ、一ヶ所誤変換が。8行目:見も心も→身も心も、ですね。
原文は大丈夫?

追加で雑感。
もし余裕があるなら、主人公たちの立ち位置とかの描写も入れておいた方がいいかも。
釣りをやってない人間だと「舗装した川での釣り」はうまく絵がイメージできない。
(河原からの渓流釣りとか船や堤防からの海釣りなら、なんとなくわかるんだけど)
下がコンクリートなのか土手なのかとか、手すりやガードレール越しに川に接している
のかなとか、周りに人はいないのかとか、クーラーボックスとか荷物はどこ置いてんの
かなとか、要は主人公たちを正面から見たようなイメージね。そっちのイメージが
湧いてこないんで、その辺もちょこちょこっと書いて欲しいかなと思いますた。

そんなところで。

15イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/23(月) 11:40
批評ありがとうございます。ところで、次の釣り用語は、釣りをしない人にはどのくらい理解できるのでしょう?

 ロッド・リール・ワーム・潮回り・アベレージサイズ・長潮・ライン
スプール・ドラグ・フック

16イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/23(月) 20:59
20代男。釣り経験は知人に誘われて2、3度程度の素人です。

確実に分かるのはロッドとリールくらいで、後は全滅。
他に分かるとしたら、撒き餌、クーラーボックス、ルアーぐらいかな。

この辺、サンプルの多い方がいいだろうし、人の多い本スレでも聞いた方がいいかも。

17イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/23(月) 21:22
>>15
一般的な英語だし、文脈で判断できそう。
むしろ、文脈で判断できるようにしておくべき。

あと、釣りがメインの小説じゃないなら、
釣り描写は適当に流したほうがいいかも。>>14とは正反対の意見だけどナ。
興味のない専門知識が出てくると、途端に読むのがめんどくなる。

18イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/23(月) 21:47
う〜ん。釣り用語の連発には気をつけたほうが良さそうですね。
ところで、漫画「釣りキチ三平」は読んだことがありますか?あれっ
て、釣りをしない人にとってはどうなんですか?それと、「イニ
シャルD」のマシン解説場面は、車に詳しくない人にとってどうな
のでしょう。両方の漫画とも、遠慮なしに用語入れてますが・・・。

19イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/23(月) 22:16
イニシャルDは抵抗なかったよ。
車知識はあまりないけど、車ネタはあのマンガの魅力だしな。

20イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/24(火) 11:41
 たいした速度が出ていないにも関わらず、古ぼけたその列車はひどく揺れた。
 かなりの年を経ているせいか、あるいはレール自体が悪いのか。まるで古い映画に
出てくる第二次大戦中の貨物列車か何かのように、車体はいつまでもぎしぎしと揺れていた。
 そうした機械的な機能面のみならず、内装までがどこか懐かしい色を帯びていた。クッションの
潰れた固い座席、昔の写真のようにセピア色に染まった壁。誰も消す者がいないのか、稚拙な落書き
まで書かれている。網棚も、手すりも、天井隅で唸りながら回る扇風機――扇風機!――も、
何もかもが軽く二○年は時代遅れの代物だった。
 けれども不思議な事に、彼はそれらに対してほとんど不快感を覚えていなかった。それらが
もはや骨董品めいた趣を宿しているということもあるのだが、窓の外の風景が東京では絶対に目に
することのできないものだったからだ。

どげな感じっスかね。酷評希望。プロローグ後の第一章の書き出し。

2120:2004/02/24(火) 11:41
改行うまくいかんかった。読みにくくてスマン。

22イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/24(火) 20:45
第一章の書き出し、ということですね。漏れ的にはおおむねOK。
まあ酷評希望ということで、細かい点を突いてみます。

・……ひどく揺れた。……。……ぎしぎしと揺れていた。
 すぐ近くの行に同じ単語が連続するのは、ちょっと気になる。
・誰も消す者がいないのか〜
 主語不明確。「壁」だろうなとはわかるんだけど、明示しておいたほうが良さげ。
・彼はそれらに対して……。それらがもはや……
 指示代名詞が連続するのはやや野暮ったい。例えば「レトロな車内」とか
 「古びた光景」とか、どちらかを具体的な言い回しにするとすっきりしそう。

 まあ「漏れならこの辺直すだろうなあ」という程度の難癖です。

 あと、ちょっと気になったのは「この車内は「彼」の他は無人」という設定?
 普通、ぐるっと車内を見渡したときは、まず他の乗客の有無が目につくかと思う。
 敢えて書かないことで無人だと悟らせる方法なのかもしれないけど、ここはベタに
 「無人の車内は〜」と入れておいた方が読者に親切かなと思いますた。

 以上です。

23イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/27(金) 16:18
プロローグも見てみたいですね。さて、評価ですが、いいと思いますよ。
でも、「彼は」よりも、「男は」のほうがよさげ。あと、全体を見渡した
ような風景描写があったらよかったです。

24イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/29(日) 14:42
 風景描写と、会話の合い間の書き方を勉強したいのですが、何か
おすすめの作品はありますか?あれば教えてください。ちなみに、
私のレベルは、二年間書いてきて、<2>、<3>、<13>程度
です。

25イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/29(日) 22:33
>>13
執筆歴十年。ワナビのまま。マジおすすめ。の当方なら

「なあ、今日は止めにしないか?」
 隣にいる秋華にお伺いを立てる。だけど秋華は頑固に首を振る。
晴れた日の昼間だというのに、気温は約三度。木枯らしは暗い色合
いの川面を波立たせ、ついでに俺の身体をなぶっていく。
そりゃあ、まだ一投もしないうちに帰るのはどうかと思うけどさ。
 昨日には雪混じりの雨が降って、水温は極限まで下がっている。
釣りをするにはこれ以上ない悪条件だ。
・・・。寒。
 全面コンクリート護岸された川岸は冷徹なほどに殺風景で、
それがいっそう寒さを際立たせている。
「・・・無理はするなよ」
 水面を見つめたまま、力強く頷く秋華。釣りをはじめて半年なのに、根性
だけはキャリア十二年の俺より上だ。腕前のほうはひどいものだけど。

 キャリアが上なら「無理はするなよ」じゃなくてもっとそれらしい言葉を
かけたほうがよさげ。
 悪条件の寒い護岸に連れてこられてる時点で秋華に押し負ける主人公という
構図ができてる。
 だから 主人公はウンチク垂れても秋華に押し切られるという形でキャラを
立たせられるし、2人の関係性もはっきり印象づけられる。

26偏見艦長:2004/03/01(月) 01:02

あんまりラノベっぽくないですが、投稿させて頂きます。
(仲間内で発表しようと思っていた、言わば習作です。
本当に投稿しようと思っている作品を晒すわけにもいかんので……)
ちなみに書き出しの部分です。

--------------------------------------------------------------

際限のない入出力。それは寄せては返す波のように単調で、しかし毎回微妙な
違いがあり、そして決して終わりがない。
今もまた、どことも知れぬ場所から送り込まれた電気刺激に、俺は機械的な
反応を返す。俺は言わば不可視のペンだ。神様の厳格な帳簿をほんの少しだけ、
分からないように改変させてもらうための小ずるいペン。「これ」が「ここ」
にあるという情報を、「あそこ」にあるという風に書き換える。光速の壁を
迂回する、唯一実用的な方法。
ただのペンは思い出など持たない。だから、この思い出をメモリ相手に
語ろうとする俺はただのペンではない。もし俺がただのペンならば、これは
思い出ではなくノイズ、一本のペンがたてる密やかなざわめき、それとも
下らない便所の落書き――

27偏見艦長:2004/03/01(月) 01:03
どうにか正常になりつつある頭が最初に認識したのは、雲を通してうっすらと
明るくなり始めた東の空だった。次いで寒さと、全身の麻痺感覚。酒を飲んだのは
久しぶりだったし、酒を飲んで意識を失ったのは初めてだった。
密造ウィスキーの効き目がノックアウト剤並みという噂は本当だったが、その
味と来ては――いや、正直なところ、酒の味などろくに覚えていない。記憶に
あるのはもぐり酒場のすえた空気。止まり木の上の敗北者たち。彼らに混じって
あおった酒の、接着剤のような臭い。
だが、と、俺――善良な市民ことエーリッヒ・ディヒラー――は思う。
 だが、酔い潰れることができたのだからそれで充分だ。気を失ってしまえば、
少なくとも彼女のことを考えずに済む。
 ハラルトから電話があったのは昨夜のこと。真新しい士官用官舎の、おそらくは
「本物」の木の椅子の上から、イルゼが深淵の彼方に旅立ったことを伝えてきたのだ。
そうか、と俺が言うと、ハラルトは彼女から連絡はなかったかと訊いてきた。
「連絡? どうして?」
 お前に礼が言いたいんだそうだ、というハラルトの答えは、ドライアイスのハンマー
さながらに俺を打ちのめした。受話器を置いてコートを羽織り、雪を踏み分けて
向かった先は貧民街の安酒場。そこで過ごした数時間、脳裏に浮かんだ単語はただひとつ。
完敗、完敗、完敗。俺はあの痩せぎすの、たった一四歳の小娘に負けたのだ。
 いつ店を出たものかは覚えていない。だが、凍死していないところを見ると、
こうしてどこかのビルに背を預けて座り込んでから、どうやら二時間とは経っていまい。
――とは言え、例え昼間であっても、このままこうしていれば公営墓地と称する穴ぼこ
行きになるのは確かだ。身元や軍での階級を示すような品は何も持ってきていないし、
優秀な共和国警察は、行き倒れの身元調査に時間を割くような無駄を省くだろうから。
それもいいさ、と、他人事のような気分で俺は靴を見つめる。爪先に積もった雪が、
まるで風変わりなトゥ・キャップのようだ。
「市民ディヒラー殿は自殺願望がおありか?」

28偏見艦長:2004/03/01(月) 01:03
 雪を踏みしめる音、どこか苛ついたような声音。見上げると、そこにハラルトが
立っていた。階級章の星が、ふた月前より増えている。
 おっしゃっている意味が分かりかねます、ライマン少佐殿。そう皮肉で応じようと
したが、口からかろうじて漏れたのは掠れた囁きだった。舌も唇も凍えきっている。
「聞こえなかったか? 死ぬ気か馬鹿野郎と言ったんだ」
 荒っぽく腕を引っ張られ、俺は呻いた。寒さで麻痺した身体が苦痛を訴える。
ハラルトは俺を強引に立たせると、肩を支えて歩き出した。身体の節々が痛む。
「よく――場所が分かったな」
 小さく咳き込みながら問いかける。喉が酒で焼けている。
「古典的なんだよ。分かりやすい。振られてやけ酒なんてな」
 振られる。イルゼとの関係は、他者からはそんな風に見えたのだろうか。
ハラルトは彼女の憎悪と焦燥を感じなかったのだろうか。ハラルトは続ける。
孤児院時代と少しも変わらぬ辛抱強い話し方で。
「ともかく、イルゼは行った。人狩人を根絶するために。最終的解決ってやつだ。
こいつが反撃の狼煙になるのか、それとも最初で最後の一矢になるのかは知らん。
だが戻ってくることはない。手段がないからな。
――何にせよ彼女のおかげで俺たちは昇進したし、もしかしたら戦争にだって
勝てるかもしれん。結構なことさ」
「ああ、そうだな」
 ハラルトが足を止め、怪訝そうに俺を見る。
「てっきり彼女にご執心とばかり思ってたが」
「冗談」
俺はイルゼに恋してなどいない。その逆だ。彼女は俺を憎み、そして俺は彼女を恐れた。
あの巨大な精神、出来損ないの肉体に押し込められた怒りの巨大さを畏怖した。
――が、彼女に心奪われていたのも、また確かだ。巨大な山や巨大な塔が、
ただ巨大であるというだけで人を惹きつけて止まないように。

29偏見艦長:2004/03/01(月) 01:04
以上です。一部段落のインデントが消えちまってますが、
コピペの際のミスなので気にしないで下さい。

30イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/01(月) 02:26
細かい設定がよく分からんのでコメントし辛いんだが、
その小説世界の「雰囲気」は出てる。
後は冗長な表現が多いか、とも思ったんだが、
それは俺が簡潔に書くタイプだからそう感じるのであって、味の範囲内かも。

31イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/01(月) 15:06
若干抽象的なのを除けばいいと思いますよ。ただ、僕は抽象的
な作品が苦手なほうですから、そう感じるのかも。

32イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/01(月) 15:10
 皆さんの中で、どこかの新人賞の二次、三次、あるいは最終選考
に残ったことのある人はいますか?いたら、その新人賞に関する
アドバイスみたいなのを、差し支えの無い範囲で教えてください。

33イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/01(月) 18:14
>>26
んー、とりあえず二点。

・シーンの場所の確定が遅いかも。
 シーンが始まる「どうにか正常に〜」から「だが、凍死していないところを見ると〜」
の行までがちょっと長い。「この人、どこにいるの?」がはっきりしないと読者としても
落ちつかないんで、少なくとも「路上だよー」ぐらいは分からせてほしいかと。
(ちなみに、漏れはここで「この主人公、下宿のベッドで布団も掛けずに寝てしまった
んだな」と早合点をしてしまいますた(^^)

・ハラルトの描写が欲しいかも。
>見上げると、そこにハラルトが立っていた。
 ここで、せっかく見上げているんで、ついでにハラルトの外見に触れてもいいかと。

 あ、それから。
 この話の背景についてですが、2系統の情報が出ているように感じました。
一方は、「入出力」「電気刺激」「「本物」の木の椅子」等、SF方向の単語。
もう一方は、「密造ウィスキー」「電話」「貧民街の安酒場」等、東ドイツあたりを
舞台にした方向の話。
 まあ、まだ許容内だとは思いますが、どちらに行くか早めに確定して貰った方が
読者としても安心して読めるかな、と思いました。

そんなところで。

34イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/01(月) 18:30
>>24
 「たくさん読んで、気になった本から盗め」としか言いようがないなあ。
 漏れ的に好きな作品を挙げろと言われればあるけど、結局個人の好き好きだし。
 色んな本読んで、その中から感心した描写を分析したり、
 あるいは、相性に合った本を精読するのが一番じゃないかなー。

 あまり参考にならん意見でスマソ。

35偏見艦長:2004/03/02(火) 12:29
批評どうもっす。
文章がくどいというのは全くもってその通りでして、今後の課題ですな。
性格が押し付けがしいせいかも知れません。
いずれまた別の作品も批評をお願いするかと思いますので、
そのときはぜひよろしくお願いします。

>>33
あー。確かに場所を明示するのが遅いですね。
的確な批評をありがとうございます。

話の背景についてはお察しの通りで、地球が氷河期に移行した遠未来の
ドイツの辺りという設定です。
まぁありがちなアフター・カタストロフものです。

36764パクリ:2004/03/15(月) 07:31
席に着いたときから確かにこの式は変な雰囲気だった。
この種の式典に相応しく式場全体を悲しい雰囲気が覆っていたけど、出席者はどこか飢えたオオカミの目をしていた。
式も一段落するといつのまにか、さきほどまで静まり返っていた式場に料理を運ぶウェイターが溢れはじめ、出席者はそのウェイターが配膳した料理を次々と食していた。
式場の奥からはいつの間にか脂っこい匂いと中華料理屋さながらの怒声と調理の音が漏れはじめていた。
先ほどから矢継ぎ早に出てくる中華料理もおよそこの場に相応しいものとは思えず、それは焼餃子、青椒肉絲、八宝菜、回鍋肉、水餃子、乾焼蝦仁、麻婆豆腐、五目炒飯、青島麦酒、雲呑などなど。
一品あたりの量も多く、さらにここ数品は魚香肉絲、酢豚、豚の角煮と豚肉料理が続き豚には食傷ぎみ。
豚の角煮にうんざりした僕は灯夏に向かって、もう食べれないと言った。
え、食欲無いの?と灯夏は残念そうにつぶやいた。信じられないことに灯夏は出された料理をほとんど平らげていた。
呆れるている僕をよそに、おいしいよ? と最後の角煮を箸で掴みを胃に放り込んだ。
やっぺり肉はスタミナの元よね、私はこれを楽しみにしてたんだよね。
胸焼けを覚える。さすがに僕はもういらない。
じゃあ、私が食べてあげると箸を伸ばすのが早いか、僕の小鉢から脂ぎった角煮をひとつつまみ上げ、舐め回すように眺めた。
これがおいしいんだよねえ、と角煮を半分に口に頬張った時の灯夏の目はギラギラ輝いていた。
それでも灯夏は角煮を前に至福の表情を振りまいている。
角煮、そんなに好きだったっけ?と訊ねると、この角煮は特別。さっきも言ったけど肉はスタミナの元だよ、こういう時こそ食べて元気つ
けないと、と口をもぐもぐさせながら言った、行儀悪いな。
灯夏は僕の皿に残っている角煮を次々と自分の口に運んだ。
残りあと一口になったところで、ほら!裕人も食べて元気出そう!と微笑みながら僕の目を見た。
灯夏は給仕された角煮の中でも一段と大きかった最後の角煮を僕の口元まで運んだ。
女の子に食べさせてもらって幸せだね、と灯夏は笑う。
その笑顔に勝てるはずもなく僕は角煮を口にした、ちょっと待ってその箸って灯夏の箸だよね?
さぁ、お茶を飲んだらまた食べるぞ、今日は朝食抜いてきたんだから、まだまだ入るんだと余裕な面持。
これが満漢葬式だということを僕は忘れそうになる。

37イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/15(月) 17:11
 内容はともかく、少し冗長な気がします。怪しげな雰囲気は確かに
伝わってくるのですが・・・。僕としては、食卓を描写するより、参
列している人間を描写したほうがいいと思います。

38晒した香具師ですが:2004/03/21(日) 14:51
富士見で二次だった作品です。当時のまま晒します。
読み返すと余計な説明が多くて描写が足りませぬ。
(略)の部分はいきなり説明文が十行もあったし、自分の文章に酔いっぱなし。


 男は円と十字が重なるのを待たずに、少しだけ人差し指を動かした。電子音と同時
に軽い振動が手に伝わる。
 振動の直接原因となる握り拳ほどの鉄が、軽い拍子を取って目標に食い込んでいく。
発射された二七の鉄塊のうち二二発が命中したところで、相手は行動限界点に達した。
外れた五発はあたりのコンクリート壁を派手に粉砕したが誰も気にかける様子はない。
 はなから廃墟同然なのだから、気にする必要もない。
 相手の脚が崩れるのを確認してから、男は機体を近づけさせた。ふたつの機体が隣
接したところで、端末接触による情報収集を開始する。頭覆型視界装置に数千文字と
いう多量の情報が流れ込んでくる。そのうち二行ほど、数十文字を確認して男はうな
った。
「これが世に言う僥倖ってやつか。まさか見回り人形くんに操室と伝達系の二点組が
ついてるとはな。軍ってのも贅沢なことをするもんだ。納税者に怒られるだろうに」
男はよろこびが空回りして自分に説明していた。気づいてすぐに口をつぐむが、頭の
中ではまだまだ説明文が続いていた。
(略)
 何の気なしに開けた棚から御馳走が転げ落ちてきたわけで、よろこぶのは当然の話
であった。だが明日までこの場でよろこんでいるわけではない。機体同士を厳重に連
結して移動を開始した。足踏み式の加速板にゆっくり重みをのせていった。
 巡航速度に達しようというころに、警告音が鼓膜を突いた。

39晒した香具師ですが:2004/03/21(日) 14:52
「いや、救難信号か。どこから」落ち着いて索敵指示を出した。
 知らずに行けば大隊を相手にするかもしれない。信号はえさで、こちらを釣ろうと
しているのかもしれない。へたを打つと辞世の句も言えずに死ぬことになる。助けに
行って殺されては、意味がない。
 それ以上にダサい、ということもある。根本の考えは簡潔だ。
「赤一、青四。双方識別信号なし。しかも救難信号は青からだとさ。面白いじゃんか」
 口が笑いにゆがんだ。格好悪いのは遠慮するほうだが、厄介ごとは遠慮なしに受け
入れる性格だ。
 男は両足を思い切りよく突っ張った。加速板がいっぱいに踏み倒される。加速に逆
らうもの、慣性が男の身体を支配した。口は苦痛と笑いで複雑にゆがんだ。
 四七秒後、目視で状況を把握した。同系統の駆動兵器が五体、黒い一体は無傷で青
い四体は戦闘不能に近い。ほとんど大破しているといっていい。この状況をどう判断
すればいいだろうか。男にとっては非常によろこぶべき状況だった。
 距離も近づいたところで足を浮かして、動力減速に身を任せた。
 減速に逆らうもの、慣性が男の身体を支配した。男は顔面に血の気が集まるのを感
じたが、感覚を振り払った。
 男は通信を開いた。
「黒い機体、所属を名乗れ。名乗る気がないなら立ち去るか戦うかだ」
 先人にはならっていない通信だった。その上に、いつでも高速徹甲弾を撃ち込める
体勢で黒い機体に近づいている。
 黒い機体は沈黙して、動くことをしない。動力系統の動きさえ感じさせないほどに
静かだった。名乗る気はなさそうだった。
 見切りをつけて、青い機体に通信を開いた。動けない相手に威嚇は必要ない。体勢
は変えずに黒い機体を狙っている。
「青い機体。話せるなら状況を伝えてくれ」

40晒した香具師ですが:2004/03/21(日) 14:53
 青い機体も同じく沈黙している。こちらも名乗る気がないのか、損傷がひどくて通
信できないのか。どちらにしろ無線通信では無理のようだった。
 男は接触通信をこころみて、一番外傷の軽い機体に端末をつなげた。
「青い機体、通信できるか」接触部位が、音波振動を伝える。回線は通じた。しかし
聞こえるのは雑音だけだ。もう一度応答を求めた。「青い機体、通信できるか」
 雑音にかすかな抑揚がついて、次第に規則性を持って伝わってきた。すぐに映像も
入った。二十代後半だろう、輪郭や髪型まではわからないが、鋭く精悍な顔つきで、
意思力あふれる若く有望な指揮官、といったところだ。
 相手が口を動かしていた。男は今まで受け入れていなかった声に、耳を傾けた。
「必要ない。繰り返す。救難信号はこちらの手違いだ。助力は必要ない。聞こえたか」
 予想する最後列の返事であった。言い方からして有無を言わせるつもりがないのも
わかる。男は考えの行き場を失ってしまって、目を泳がせた。
「必要ないって言われてもなあ。こんな面白い現場を見せられて、今さら引き下がろ
うなんてつもりはないんだよな」
 男にとって争いは金のなる木で飯のたね、簡単に手放せる物ではない。厄介ごとを
好む性格である、というのも大きいのだが、やはり世の中にいるからには金の巡りに
めぐり会いたいのだった。
 だからといって、両者から無視されていたのでは進展がない。
「さて、と」男は強引な打開策を実行することにした。
「黒い機体、通信を開くつもりがないなら今すぐに引け。黙っているつもりなら機体
どころかお前の身体にも穴が開くことになる。俺の腕は生白いモヤシとはちがうから
な、みごとな風穴が出来るぞ。機体にはな。お前は挽肉だ」
 男は加速板を踏んで、ゆっくりと黒い機体との距離を詰めていった。駆動兵器の反
応速度ではどうしても弾丸をかわせない距離まで詰められれば、勝ったも同然である。
別に勝ち負けを決めるために戦おうというわけでもないのだが。

以上です。

41478:2004/03/21(日) 16:10
意味はわかるが変な文章が混じっている。
例)軽い拍子を取って。
  根本の考えは簡潔だ。
  先人にはならっていない通信だった。etc

描写すべき部分を説明で逃げている。
例)意思力あふれる若く有望な指揮官、といったところだ

全体に独りよがりな展開が多い。
黒い機体が、青い機体を戦闘不能にした後、なにもしないで
主人公の到着を待っているのは何故?

42イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/21(日) 16:52
説明文削ったら状況が分からないんだが

43イラストで騙す予定の名無しさん:2004/03/21(日) 18:00
んー、個人的には説明調の独り言が気になった。
言葉で指摘するより書いた方が早そうなんで、一ヶ所だけリライトしてみまつ。

「赤一、青四。双方識別信号なし。しかも救難信号は青からだとさ。面白いじゃんか」
 口が笑いにゆがんだ。
 ↓
 グリット状に投射された視界モニターに赤と青の輝点が示される。赤の点が一つに
青の点が四つだ。位置は右側方、距離九○○。識別信号、双方ともになし。
 情報に目を走らせていた男の口が不意に歪んだ。
「へー、面白いじゃんか」
 救難信号は、数で優位に立っているはずの青の機体群から出されていた。

拙文スマソだが、同じ説明でもこんな感じで地の文に落とした方がいいんじゃないかと。

44晒した香具師ですが:2004/03/21(日) 18:43
批評サンクス。
とても参考になりました。
俺は説明厨らしいよ。説明が好きで好きでたまらないらしい。
説明をどうやって描写に昇華させるかが今後の課題かな。

45晒した香具師ですが:2004/03/21(日) 19:00
>41の質問に答えるのを忘れていた。
黒い機体に乗っているのはもうひとりの主人公。
青い機体の奴は付き人で、
どんな人間が救助するか見極める為に待っていた。
と続きます。

46イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:04
投下します、モノローグ、世界設定の順番です。批評お願いします。

47イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:09
 ほんの数日前までは人々の笑顔が絶えることの無かったその部屋も、今では
腐った沼の水のような空気を漂わせていた。
「ああ……」
 その重苦しい空気に耐えかねたように、男はうめき声を漏らした。
 その声を皮切りに、次々と部屋に悲痛な溜息や嘆きの声が上がっては闇に溶け
込んでいった。
 木造のその部屋には家具調度品はほとんど無く、主を無くしたゆり椅子だけが
暇を持て余していた。窓の類も無く外の光はまったく入らず、部屋の中央に頼り
なさげに浮かぶ青い光球だけが照明の役割を果たしていた。
 その青白い光に照らされた数人の男女の顔は一様に死人のように生気が無く全
員の双眸は、部屋の中で唯一生命を主張する光球に向けられていた。
「私たちはいったいどうすればよいのでしょう……」
 女の唇は小刻みに震えていた。
「…祈る他あるまい」
 部屋の奥にたたずむ恰幅の良い老人がうなだれたまま答えを返す。
 その言葉に、あるものは大きく溜息をつきあるものは額に手を当て頭を振る。
皆の心を絶望感が埋め尽くしてゆく。
 再び沈黙が部屋を包み込むかに思えたその時、力強い声が室内に響いた。
「いや、私達にも出来ることがあるはずだ」 全員の視線が一人のスーツ姿の男
に向けられる。年の頃は五十前後、オールバックにまとめた銀髪と、口元に蓄え
た口髭が上品な印象を与えている。
「どう言うことです? リチャード」
 先ほどの女性が訝しげに男に問い掛ける。「向こうの世界の混乱を収束させる
世界が安定すれば創造主の人格も復活するだろう」その言葉に周囲がざわめく、
積極的に賛同する者、困惑する者、反応は様々であったが共通して言えることは
人々の目にかすかながら光が戻っているということだった。
 その様子を見てリチャードは小さくうなづくと、言葉を続けた。
「幸い我々にはいくばくかの力がある。この力を利用すれば……」
「奢るな」
 枯れた野太い声がリチャードの言葉を遮った。
 部屋の奥からゆっくりと老人がリチャードに向かって歩いてゆく。その顔には
先程とはうって変わって抑えきれないほどの感情、怒りの感情が浮かべていた。
「世界を管理しようなどと言う考え方が今の状況を生んだのだ。それが解らぬお
前ではあるまい」
 老人は長身のリチャードを睨み上げる。
「解っている。だが、このままでは世界は確実に止まる。そうなれば全て終わり
だ、それに……」
 言葉を切ってリチャードは周囲を見渡す。老人もリチャードの視線を追った。
全員が二人の動向を固唾を飲んで見守っている。皆、期待と不安をないまぜにし
たような表情をしており、そのすがるような目つきは老人の心を締め上げた。
 動けない老人の耳元でリチャードはそっとささやいた。
「コンラッド、人は、希望を持たずに生きていけるほど強くはない」
 老人、コンラッドはゆっくりと視線をリチャードに戻した。その顔は先ほど
よりも疲労の色を濃くしていたが、瞳には決意の光が宿っていた。
「解った……。有志を募ろう」
「頼む」
「しかし……」 
 しばしためらった後コンラッドは口を開いた。
「かわいい一人娘も巻き込むことになるぞ」「ああ……」
 解っている。そう言うとリチャードはコンラッドに背を向け、出口を目指す。
「どこへ行くんだ」
「家だ」
コンラッドの問いに、振り返ることなく答えリチャードはノブを回す。部屋に
外界のまぶしい光が入り入り込み、コンラッドは思わず目をひそめた。
 「当分娘に親らしい事はしてやれないだろうからな」
 そういい残し、リチャードはコンラッド達の視界から姿を消した。コンラッ
ドは再び周囲を見回した。人々はみな、決意に満ちた表情をコンラッドに向け
た。開いたままのドアから流れ込んでくる澄んだ空気を吸い込み、コンラッド
は皆に号令をかけるべく、口を開いた。
「いくぞ、皆出来る限りの努力をしよう」

48設定:2004/05/15(土) 01:12
設定

基本的に世界は神が作ったという設定。生物から無生物まで全てのものが神と繋
がっており、相互に干渉しあっている。世界そのものが神自身ともいえる。
 神は人間と自分のつながりを故意に薄くし、その結果、人間は自由を得たが、
人々の心の片隅には消えることの無い虚無感、孤独感が生まれ、その結果、人は
その心の隙間を埋めようとするかのようにあらゆるものを搾取し、破壊していっ
た。
 神は人間の行為に心をいため、何とか彼らを諭そうとしたが、世界そのもので
ある神もまた弱っており、失敗する。
 悲しみにくれた神は、その世界と少しずれた次元にもう一つ小さな世界を作り
そこに隠遁した。その際に、神とのつながりを非常に強くした人間を作った
彼らは、つながりの強さからいわゆる超能力や、強靭な身体能力を有していた。
 神は彼らと共に、ゆっくりとした生活を送っていたが、危機に瀕していた世界
を見捨てたわけではなかった。常に世界を見守り続けていたが、もう神には世界
を救うほどの余力は無かった。
 そしてついに世界が崩壊してしまう時が来た。その際神は少しでも世界を延命
させるために、自分の身体や自我を形成するのに使っていたエネルギーを世界に
つぎ込んだ。(つまり同化した)またその際、止めようとした数人も一緒に同化
してしまった。残された小さな世界の人間達は、自分たちの手で世界を正常化さ
せることを決意する。
 方法としては、予知能力に長けた者達が世界にとって有害な出来事を予知し、
それを未然に防いだり、逆に、世界に良い影響を与える様な事象を引き起こした
りする。
 基本的には人間の行動に干渉するわけだが、ここで一つ問題が生じる。人間へ
の干渉の中には、暗殺のようなダーティーな行為も含まれるが、神とのつながり
が強い彼らが直接人を殺したりすると、通常の人間が人を殺した時とは比になら
ないほどの負担が神にかかり、逆効果になってしまう。そこで、協力してくれそ
うな通常の人間を探し出し、実行係としての役目を担ってもらい、自分達はサポ
ートに撤することにした。
 本編は協力者である主人公とそのサポーター、主人公の彼女を中心に展開され
ていく。

49イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:23
面白いよ、上手く書けるかどうかだけど

50イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:31
若干表現が硬いけど、よく書けてる。

しかし…モノローグ?

51イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:40
せっかくなのでもう少し。
>神は人間と自分のつながりを故意に薄くし、その結果、人間は自由を得たが、
>人々の心の片隅には消えることの無い虚無感、孤独感が生まれ、その結果、人は
>その心の隙間を埋めようとするかのようにあらゆるものを搾取し、破壊していっ
>た。
ここが良かった。
あと、特殊能力、物語の中心になる問題、全てが世界観で説明できるのは俺好み。
ただ、マイノリティレポートに似ているところがあるのが欠点ではある。有名だしね。
現実的な問題はこの世界観をどう作品の中で説明するか。
一気に説明すれば分り難いが、小出しにしても一緒。微妙なバランスを保ってくれ。

52イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:41
プロローグだろうか。
設定は面白そうだけど、説明するの大変そうだ。
書き出しの部分で世界観がまったくわからないので、何とかした方がいいと思う。
部屋とか揺り椅子とか書かれても、ファンタジーなのか現代ミステリなのかもわからない。

53イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:44
>>46-48
よかったら、あらすじも晒してみてくれ。
設定とあらすじとプロローグがあれば、
かなり突っ込んだ話ができそう。

細かいことはまた明日にでも書くね。

54設定:2004/05/15(土) 01:44
ご指摘ありがとうございました。すんません、プロローグでした、大丈夫か?俺。
マイノリティリポートですか……。見てみます。

55イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:55
>>47-48
設定はかなり好み。俺もこういうのよく書くから
プロローグもいい感じだけど、色々直すべき点、直した方がいいだろう点がある。
まず、日本語としておかしい部分。これはちゃんと推敲すれば治るだろうから細かくは言わない
>怒りの感情が浮かべていた。 とかね

一つ、特に気になったのは、リチャードの台詞と、コンラッドとの会話
>「向こうの世界の混乱を収束させる。世界が安定すれば創造主の人格も復活するだろう」
人々にざわめきを与えるには少し簡潔すぎる言葉だと思う。この程度のことなら、他の人も考えたんでは?とも思ってしまう。
もう少し細部の説明、具体的な言葉を増やして、もっと力強い台詞にした方がいいかと。静かな力強さというか

コンラッドとの会話も同様で、かなりの怒りの表情を浮かべてたコンラッドが納得するには、
この2人のやりとりでは少し簡素すぎると思う。もう少しボリュームアップを

56イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:55
感想を書きますです。

>設定
面白い素材にはなると思う。だけど、この設定だけだと、なぜ神とつながりの強い人間(別次元の人間)が人を殺すと負担が出るのかがさっぱりわからない。そこの論理を徹底しないと、そもそも話が進まないのだけど、その説明が無いため、そもそも共感できない構造となってしまっている。もう少し設定を練った方がいいんじゃないかな。
あと、この設定だと、残された弱い人間はこの神のことを知っている、ってことになるの? モノローグからだと知っているような知っていないような、そこが釈然としなくて、いまいちわかりずらい物となってしまっているのが難点かな。
おもうにこれだけの設定を始めに説明していくと相当説明口調になってしまうんで、主人公たちの(異世界もの?)行動を描写していきつつ、徐々に明らかになる、と言うほうがいいと思う。

>モノローグ
上記を踏まえてなんだけど、これは冒頭になるのかな? これは個人的な意見なんだけど、もし冒頭ならば、ほとんど説明の無いまま、ただまだ個性の無いキャラクターだけが混在していく様はいたずらに読者を混乱させることになると思うので、登場人物は絞っていって、次第に増えていくのが良いような気がする。
おもうに、このモノローグだけでその(世界観の)きっかけを書き出すには無理があるし、だから全体的に説明口調になってしまっているところが多い。なんか絶望しているんだな、ということはわかるし、世界がどうかなっている、ということもわかるんだけど、それが興味をそそるというよりは、情報量が多すぎて、期待をさせるというより、混乱させる方向に作用する意味合いが強いと思うよ。
向こうの世界ってなに? 収束? 創造主の人格? という次々と起こる疑問に、ただ固有名詞を与えられただけの登場人物の多さが、どちらかというと読む気をなくさせる気がするな。
思うに、三人称ってのは結構難しいんだ。カメラ視点が常に上なだけに、どの場面でどれを描写していいかがわかりずらいし、ある特定の人物の心理描写だけを延々とするわけにも行かない。また風景描写にしても、それがどういう視点なのか、どのような意味を持つのか、というところで、三人称は非常に扱いづらいものだとおもうんだよね。
だから、もしこれがプロローグならば、いきなり矢継ぎ早に世界の謎を畳み掛けるのではなくて、コンラッドなりリチャードなりといった主観から描写していき、それがどういう意味を持つのか、ということを、主人公の心理状態も含めて徐々に明かしていくのが読みやすい方法だとは思うよ。
文章的なことに少し触れると、会話文の口調が思いっきり無個性なのが、いかにも硬い印象を与える。こんあにステレオタイプな反応でいいのかな? やりとりにせよ、世界を救う、という大袈裟な決定をするのだとしたら、こんなにあっさりときまらないでしょう。もしくはあっさりと決まるだけの伏線/素養(キャラのね)があるはず。そこがどうにもひっかかって、先を読もう、という気になれないかな。
地の文もいかにも説明的で、情景描写、という感じがしない。あと、3点リーダーを多用しすぎかな。俺があまり好きではないという個人的な趣味もあるとおもうけど、間を表すのに3点リーダーばっかつかってると安易に見える。動作なり描写なりでうまく間を書いてもらえると雰囲気が出ると思うな。

設定は面白いと思うんで、三人称ではなく、誰かの視点で描いていくのが面白いかな。
個人的には主人公の彼女、という視点で、戦いには直接参加せず、傍観しつつその成り行きに疑問を抱いていく、みたいなのが読みたい。
そうするとありきたりな「世界を救う」話にもならんし、ヒーローモノにもならないからね。
世界を救う物語は正直結構食傷ぎみなのではないかと思うから、つねにそれに抵抗する流れがあると良いと思うんだよね。まあこれは個人的な意見だけど、そうでもないといつまでたってもDQ的RPGの世界観から抜け出れない。

57イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 01:55
>>54
あれ?見たことない?なら見たほうがいいよ。(マイノリティリポートだったな
スティーブン・スピルバーグが監督、トム・クルーズが主演。
プリコフ(預言者)を使用して、未然に犯罪を防ぐシステムを確立した世界が母体。
犯人は犯罪をいずれ犯す、という理由で逮捕される。

5853:2004/05/15(土) 02:09
>>46-48
表現が硬いって書いたのは俺ね。
描写が丁寧すぎるせいかもしれない。
また、句読点が省かれていて読みづらいせいかもしれない。

なんとなく、文章全体がピンボケしてる気がするんだな。
伝えたいことの焦点が絞り切れていない、というか。
リチャードとコンラッドが、書き割りの域を出ていない。
世界観もここからはあまり伝わってこない。
冒頭にもってくるには、少し吸引力が足らないと思うよ。

ただ、十分及第点の文章だと思った。

59イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 02:13
俺のやつもお願いします。
戦闘シーンの一部抜粋


黒い外套をまとった男、アランは銃剣の撃鉄を引いた。
「話のケリはついたようで───いざ、尋常に勝負!」
 ふっとアランの視界から着物を着た男が消えた。
たたたたたたたっ───
足跡が軽快に聞こえ、そして途切れた。
刹那、上空から一閃の刃が襲い掛かる。
「チィ」
大地をえぐる気の塊。それは魔力であって魔力ではないモノ。彼のエモノが鞘から飛び出したとき、それは放たれた。
しゃらぁ……ん
響く鞘鳴り。そしてたんっという地に足を着く音。
片膝をつきながら、頬から垂れる血を拭う。反応があと少しでも遅れていたら殺られていた。
「───秘技・飛燕」
間髪いれず続く男の閃き。アランに襲う一直線の白い光。咄嗟に横に飛び跳ねる。しかし、その光が裂けた。縦と横に。包み込むように線が弧に変化する。上下の弧は交わしたが、左右から迫る弧がアランを捉えた。
が───
どんっ。
 うなる銃声。アランはトリガを引き、その反動で上空に飛んでいた。そのままアランは男を探すが、いない。
「秘技・空牙」
「上か───!」
 キィィィィィ───ン
 反転しながら銃剣で抜刀された直後のエモノを受け止め、弾く。その回転の勢いを殺さず蹴りを放ち、男を叩き落した。
 遅れてアランが地に足をつけたかと思えば、横に大きくステップしながら左手で撃鉄を連続でおろし、右手でトリガを何度も引く。
 カンカンカンカンカン
 鞘から放たれる線が直線、斜め、横と様々に描き、全ての弾丸を斬りおとした。直後、またも男の姿が消えた。
耳を澄ますが今度は足音も聞こえない。
「抜き足か」
 アランはまぶたを下ろし、 微かな変化を感じ取ろうと精神を集中させ、気配を探った。
 ───シュッ
 ───シュッ
 ───シュッ
 空を駆る微かな音が聞こえる。これは実際に聞こえている音ではない。アランの脳裏に浮かぶ、イメージされた音だ。
「───そこだ」
 自分の横に感じた大気の変化に、銃剣を縦に振るう。
 かぁぁ…ん
 これは…違う!男ではない。アクセルが斬ったのはエモノが納められていた黒鞘だった。
 後ろから迫る突風。
「もらった!」
 ずしゃぁっ
 首に入った一太刀。
 何かが飛ぶ。
その飛んだ何かは、男の左肩を後ろから蹴り飛ばした。
 咄嗟に受身をとり、体制を立て直しながら振り返った。
 赤い髪に白いシャツ。そして黒のレザーパンツ。男の目の前には確かに今、斬ったはずのアランが立っていた。
 がしゃん。という重い金属音。そしてゆっくりとそれにかぶさる黒い外套。
「惜しかったな」
 なんて言いながら、アランは襟元のボタンを外しゆるめた。
 首をとったはずが、実際はアランの纏っていた外套だった。

60イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 02:14
「さっすがアラン。オマエさんと殺りあう為に…あの頃の無念を果たす為、現世に戻ったようだぜ」
まだ力を出し切っていなかったアランを見て、極楽丸は生前の燃え滾る闘志が甦っていた。
「生前の記憶を取り戻した…か。さて、第二ラウンドといくか」
「第三ラウンドはないぜ。」
 居合いのためのエモノを投げ捨て、背負っていたもう一本の長いエモノをゆっくりと抜く。一メートル半ほどある、いわば規格外の長さをしたエモノを手にした。
「これでオマエさんは、死というものの恐怖を知ることになるぜ!」
 謳うように男は死の宣告を残し、優雅に大きく構えた。
「秘奥──────」
 アランが懐に踏み込む。
 懐にさえ入り込めば、その長さが仇になる。
 二メートルはある銃剣を扱っていたアランに、そのようなことはわかりきっていた。
 だが。
「───燕返し」
 その考えは覆された。
 真横から円を描くように放たれた一撃。渾身の一撃ともいえるそれは、先ほどの居合いによる速度など比べ物にならないほど鋭く、そして速かった。
 だが、それはアランとて同じ。もっとも得意とする格闘術で対抗する彼の動きも違う。
 瞬時に魔力を手に集め、手の甲で極楽丸の渾身の一撃を弾き返す。
「終わりだ!」
 どのような使い手だろうと、今の一撃を弾かれては一瞬の隙が生じる。
 それを逃すほどアランは甘くはない。時にして秒に満たず。
 残った手で男の腹部を叩きつけようとした瞬間。
「な──────」
 咄嗟に身を引いていた。
 いや、これは引かなければ殺られていた。自分の直感がそう述べている。
「どういうことだ…」
 後退したアランの目には、悠然と佇む着物を着た長刀の剣士がいる。
「やっぱ躱したかぁ。さすがはアラン」
 避けられるのがわかっていたかのように、楽しそうに言う男。
 本当にわかっていたのか…?それとも、避けられるように放ったのか?もしも、避けられるように放っていたのならば…アランは次、繰り出されたら死ぬ。
 刃がまるで二本あるかのように襲う技を見切ることができない。横から放たれた一撃を確かに弾いた。感触もあった。だが、畳み込むかのように上からも迫っていた。二本あるかのようにではなく、二本あったのか?そうでなければ説明がつかない。
 どうすればいい…。
 アランの額から、嫌な滴がしたたり落ちた。


以上です。

61イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 02:23
今日眠いから明日にして

6259:2004/05/15(土) 02:28
自分も寝るので、明日また覗きます。

63イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 02:30
>>59
かなり独善的でよければ感想を書きますです。

まず一読した感じ、緊迫感が全く無い。これは、ダッシュと擬音の多用によって、ただ「らしい」雰囲気をかもし出しつつ、その実肝心なアクションが殆ど描写されていないことに尽きると思う。
なぜダッシュと擬音をここまで多用するのかな。これは俺の好みなのかもしれないけど、ここまでダッシュや安易な擬音に頼ると、かえって緊迫感は半減すると思うよ。ダッシュで表したい間は、動作を描写すればいいのでは? 戦闘シーンなんだから、とにかく軽快なリズムで描写を重ねていかないと、頭に全くその情景が思い浮かばないんだよね。
細かいところ突っ込むと、例えば
> ふっとアランの視界から着物を着た男が消えた。
>たたたたたたたっ───
これ、したで足音って描写してるから無くてもいいし、あっても読みづらいだけだと思うんだけど。
>足跡が軽快に聞こえ、そして途切れた。
>刹那、上空から一閃の刃が襲い掛かる。
>「チィ」
>大地をえぐる気の塊。それは魔力であって魔力ではないモノ。彼のエモノが鞘から飛び出したとき、それは放たれた。
刃が襲いかかったのに気の塊? 統一が取れてないよ。上空から一閃が、としたほうがよいんじゃないのかな。
>しゃらぁ……ん
>響く鞘鳴り。そしてたんっという地に足を着く音。
で、ここでまた擬音で改行されると、スピード感と緊張感が著しく損なわれると思う。
>片膝をつきながら、頬から垂れる血を拭う。反応があと少しでも遅れていたら殺られていた。
すんでのところでかわした、という描写が皆無(多分鞘鳴りが、鞘に当たったということを描写しているんだと思うけど)なので、反応が後少しでも、って言われても説得力が無いんだよね。
そもそも反応がちょっとでも遅れていたら〜なんていう説明文でそのやり取りを済ませてしまうのは安易でしょう。その状況を思い描かせるように描写しなくては。これだと説明文だよ。

こういうやりとりが全体に渡って続くものだから、戦闘しているという緊迫感も情景もさっぱり伝わってこないんだよね。

思うに小説で戦闘描写をするというのは非常に難しいんだと思う。読むときのリズムにも気を使わないといけないし、かといって描写を執拗にすると情景は浮かぶものの緊迫感が薄れる(時間軸が相対的に伸びてしまう)しさ。
緊迫感と描写のバランス、これが難しいんだけど、上手く出来ると文章のリズムとも相まって非常に劇的な戦闘シーンを描けるので、ここは一つ間を取るのにダッシュや擬音に頼らず、それ自身を適時描写していく方法でかいてみるのは如何でしょうか。

ちょっと厳し目に書いたけど、俺の独断なんで、まあ参考程度でよろしくです。

64イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 02:36
>たたたたたたたっ
出来れば擬音は使わないほうがいい。
>足跡が軽快に聞こえ
足音
>一閃の刃
これおかしくない?刃の一閃だろ?
>しゃらぁ……ん
擬音は(ry
>「秘技・飛燕」
好きにすればいいが、これはちょっと…

なんていうか、全体的に擬音多すぎ。それと戦闘描写が分りにくい。
会話のテンポも悪い。
僕がいえることは以上です。

65イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 02:42
>>59
要練習。
文章力そのものに難あり。状況がわかりにくいのと、戦闘の緊迫感が感じられない
あと視点の混乱も見られるような。あと表現の重複
例えば
>本当にわかっていたのか…?それとも、避けられるように放ったのか?もしも、避けられるように放っていたのならば…
アランは次、繰り出されたら死ぬ。
    ↓
A 避けられると予測していたのか…?それとも、わざと避けられるように放ったのか?もしも、後者ならば…
  次に繰り出された時、自分の命は終わりを告げる。
B 本当にわかっていたのか。それとも、避けられるように放ったのか。もしも、後者ならば…次に同じ技が
  繰り出される時が、アランの最期となるだろう。

>そのままアランは男を探すが、いない。
ちょっと変かな?
・そのままアランは男を探すが――いない。とかね。
もっと変えちゃうなら
・すぐさま視線を走らせるが、あの目立つ着物姿が視界に入らない。一体どこに――。
 「秘技・空牙」
 「上か!」  とかね

「エモノ」の多用も。同じものを指すにしても、もう少し表現に幅を。
それに漢字の方がいいかな、とも思う。「得物」

あと、細部の描写がたりないので、戦闘シーンが上手く頭の中に浮かんでこない。
「戦闘シーンのあらすじ」って感じで、各々の文において必要最低限の内容しかないから
説得力がない。

あと、擬音はなるべく省いた方がいい。これは俺の好みだけど。
プロでも使ってる人はいるので、そういう作家になりたいのならば別にいいけど、上達を望むなら
擬音なしで、文章のみで描写できるようになったほうが後々のためにもいいと思う
必要最小限の擬音ならば問題ないと思うが

厳しめだけど許せ

66イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 06:09
(本スレに書こうかと思ったんですが、ちょっと長くなってしまったんで、こちらに)

>>46
>本スレ363
>表現が固い。というご指摘
 んー、まあ本格ファンタジー目指すなら、このくらいの硬さでも別にいいかも。
ただ、柔らかくするなら、ということなら幾つか。

・翻訳体を直す。
 例えば、物を主語にした物主構文。
 ・○○な印象を与えている→○○な印象だった。
 ・沈黙が部屋を包み込む→部屋中の皆が沈黙した
 とか。指示代名詞を多用したり、主語を必ず書く、なんてのも翻訳体の特徴。
 省けるところは省いていくのが日本語の文体だから、ちょっと仰々しく感じる。

・複文→単文
 例えば、冒頭の文なんかも、二つに分けられる。
 漏れなんかは圧縮した文の方が好きだけど、これも崩した方が柔らかくなる。

・語彙
 悲痛→悲しみ、双眸→両の眼、等々……
 低年齢でもわかるような語彙を選ぶと、柔らかくなる。

・感情を描写で。
 その顔には、怒りの感情が〜 →頬は真っ赤に染まり、眉が固く結ばれていた。
 その顔は、疲労の色を濃く〜 →頬はげっそりとくぼんでいたが〜
 拙い例でスマソだが、○○な色が漂って云々というより、その様子を具体的に描いた
 方が柔らかくなる。

 改めて言うけど、別に直せってわけではないです。
 「12月のベロニカ」とか、けっこう硬めの文体で面白い作品というのは幾らでもある。
 ただ、「もし、気になるようなら」ということで幾つか挙げておきます。

長文、失礼。

67イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 08:11
偉そうな悪口雑言になってるんで、気に障ったらごめん。
(眠くて気力がないだけなんだけど)
>59
文章以前に、どこかで観たシーンの連続。だから読んでて退屈。
漫画やアニメ、映画から取るなとはいわないけど、
工夫することを常に考えること。

>57
細かいツッコミだけど、precognition(予見、予知)。
予言者と預言者は違う。後者は神からビジョンを預かった人。

>48
神が世界を救うため超能力者を創った。
読者からすれば一行。
これも「よくある話」、これで意見求められても…。
>47
会議?の意見と雰囲気が、ただの説明文。
55の「この程度のことなら、他の人も考えたんでは?とも思ってしまう」
に同意。

6860の人:2004/05/15(土) 10:18
キャラ紹介とあらすじ晒します。ちなみに、プロローグですが、もう一つ主人公に
殺される人間の視点から書いたプロローブも考えているんですけど、どっちがいい
ですかね?

69キャラ紹介:2004/05/15(土) 10:21
 キャラクター紹介
 岡村 健悟:協力者。大学一年生、サポーターからの申し出に、悪いやつじゃ
なさそうだからと言うアバウトな理由から承諾。性格はいつでも直球勝負でいい
意味で馬鹿。彼女が絡むとただの馬鹿。感覚で行動するタイプ。最近は「殺し」
の仕事ばかりで少し鬱状態にある。
 サイ・ストールマン:主人公のサポーター。年齢十九歳。性別不詳(女)。一
見非常に無気力で、お役所仕事的に仕事をこなしていくが、その実非常に優しい
性格で、無意識のうちに相当無理をしている。覚悟の足りない主人公にいら立ち
を覚えると同時に、素直に自分をぶつけてくる主人公に心地よさを感じている。
 吉村 友美:主人公の彼女、主人公と同じ大学の一年生。休日は福祉活動に当
てることが多い。物腰は穏やかだが芯の強い女性で最近の主人公の変化に不安を
感じているが、さりげなく主人公を励ます。しかしその後主人公のしていること
に気付き始める。

70あらすじ:2004/05/15(土) 10:22
 あらすじ
 協力者になってから三ヶ月。仕事にも慣れてきたが、健悟は軽い鬱状態に
陥っていた。それでもサイに尻を叩かれながら黙々と仕事をこなしていく。
 ある時、仕事場の近くの公園から健悟に指示を出していたサイは、健悟の
彼女である友美と出会う。普通の人間には、暗示によりサイの印象や記憶は
あまり残らないようになっているが、中には暗示がかかりにくい人間もおり
、友美もその手の人間で、その後も何かとサイと関わりをもつことになる。
 その後、ある仕事をきっかけに健悟は鬱状態から脱出し、サイとも打ち解
けるが、その時サイに、自分たちがしていることに気付いてしまった友美の
抹殺命令が下る……。
  
見たいな感じです。最後はハッピーエンドですけどね。ちなみに世界は救わ
れないままです。あと「殺し」といっても直接標的を刺し殺す、とかではな
く、事故を誘発させたり、事故を防ぐことが出来る人間を足止めしたりとか
いった間接的な行為です。

71イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 11:12
>>60
ざっと読みました。では、質問っす。

協力者の岡村君は、軽い気持ちで殺しをしているのですか?
で、「少し鬱」だと、彼は少し怖い奴ですな。
無邪気な性格だから人に操られているのか
殺しが好きorそもそも良心が無いのか
彼の性格付けの方向性を詳しく書くと良いかも。

んで、以下は、>>60氏の話の予想。

この路線で行くのなら
①よほど殺しを続けなければならない理由があり
彼の良心と、仕事への責任感という二つの感情の葛藤を描く
やがて仕事に対する疑問・殺し自体に対する疑問が生まれ
岡村君の態度に躊躇が見え始めた組織が彼を見切り、抹殺を決定する・・・

あるいは
②彼は、殺しへの罪悪感が決定的に欠如している。
しかし、恋人の友美と心のやりとりを交わしていく中で
小さいながらも温かい心の萌芽が出、それにより
多くの人々に向ける一般的な感情を獲得するに到った。
やがて仕事に対する疑問・殺し自体に対する疑問が生まれ(以下①と同じ)

という展開になると予想してみる。
結論は
①それでも殺しは続ける。自分が生きるために、友美と生きるために。
②新たな道を模索していく。心配は要らないさ、何故なら隣には友美がいる。
のどちらかだと考えてみる。でもハッピーエンドっぽいから②の方かな。


「殺す」というのは、直接的でも間接的にも
現実では最大のタブーの一つだから、
説得力のある理由付けと、葛藤を乗り越える課程を魅力的に書かねば
返って薄っぺらくなるので注意。
でも、頑張れっす。

72本分(1/2):2004/05/15(土) 12:26
2chの新人○スレで見つけて参りました。
拙い文章で申し訳ありませんが、ご批評頂けると幸いです。宜しくお願いします。
(記載範囲:最初から一回目の場面転換迄)

------------
 寝覚めの僕は機嫌が悪い。
 大した理由は無いのだが。単位に必須の講義が無ければ二度寝決定だが、残念ながらその必須講義が午前中にあるので地を這ってでも行かねばならぬ。
留年はゴメンだ。
 その後文字通り這い蹲りながら学校を目指した筈だが、

 気がついたら真っ白い部屋の中にいた。
 壁も床も天井も真っ白。そこが壁なのか床なのか見分ける事も出来ぬ白さ。聴覚が“有る程度の広さを持つ場所”だと教え、背中を包む感触が“柔らかい何か”に腰掛けているのだと教えてくれる。
「さっきから何をブツブツ言っておる」
 正面。
 そこには女の子が訝しげな顔をして座っていた。
 大きな目、小さな顔。華奢な体と合わせ、存在自体が人形の様だ。年齢は14、5歳と言った所だろうか? 緑がかった長い黒髪はポニーテールにし、光を弾かぬ黒いワンピースを着ている。体だけがこの場所から欠落しているかに見えた。
 そして違和感。彼女の横に立てかけられている巨大な鎌。
似合わない。
「第三者に説明し、少しでも同意を得て状況を変えようという涙ぐましい努力」
「遠回りな様で俄然ストレートなツッコミじゃな。何回目かは知らぬが、この場にはワシとお主しかおらんよ」
 目を真っ直ぐに見つめられて返された。確かに、幾ら見回しても白の一色のみ。
 溜息を吐く。
 彼女が笑った。何度も見た顔だ。
「そろそろ観念せ」「いやだ」
 言葉を遮って、体全体を使って表現をする。
 彼女は眉をひそめ、
「話を遮るのは無礼じゃぞ」
「なら聞き返すけど」腕時計に目を走らせ、「この三時間に、今のを含めて同じ様な問答を百飛んで三回繰り返してるから答えは分かると思うんだけど、まだ聞く?」
「無論。お主が首を縦に振るまではな。と言うことで我が僕となれ」「いやだ」
 多少の間が空くが彼女はめげようとしない。
「という訳なんじゃが」「いやだ」
「というからには」「いやだ」
「という訳だ!」「いやだ!」

73本文(2/2):2004/05/15(土) 12:27

「何もそんなに拒否せんでもよかろ――」「いやだ! え?」
「何に基づき頑ななまでに拒否するのだ? 悪い話では無かろう?」
 彼女は頬杖をつく。
「人を殺しておいてそれは無いと思うんだけど」
「遅かれ早かれ何時かは死ぬのだ、今死んだ所で大して変わる訳でもあるまい?」
 ――死んだらしい。
 この部屋で気がついた後、既にいた彼女の第一声は『お、死んだな』だった。聞き質して見れば『死ぬよう仕向けた』と衝撃の一言まで飛び出し、その後手渡された写真はグチャグチャになった自分の自転車とダンプカーが写り、その下で扇状に広がる赤いシミ。
「まだ僕は若いんだ! 死ぬには早いし心残りがありすぎる! マトモに彼女だって出来た事ないし、手を繋いだことだって無いんだぞ! それにHDの中身も……」
「あぁ、わかったわかった。まずは落ち着いて座れ。だがお主は現にここにおるぞ」
「ああここにいるな。だからもう出て行く!」
「何処にじゃ?」
「大学行かなきゃ単位が貰えないんだ、お遊びに付き合いすぎたよ。帰るから」
「だから、お主は死んだのだと言っておろう」
「死んだのなら僕は誰さ? ここに居るのだから僕は僕だ!」
 彼女は大きく息を吐き出し、小さく首を振ってから続ける。
「死んだのじゃよ。いや、正確に言えば体はまだ死んではおらんがな。じゃが、お主は――お主等の世界で言う所の幽霊じゃ。そして、物理的な体とは繋がっておらん。お主がここにいると言うことは即ち、死んだと言う事だ」
「じゃあ何か、ここは地獄か?天国か?」
「どちらでもない。現世と幽界の隙間じゃな」
 腰を下ろす。信じられる訳が無いが、信じられるような雰囲気はある。
「死んだとして。僕は生き返れるのか?」
 彼女は黙る。
 たっぷり30回の脈動の間を空け、目を逸らしながら小声で言う。
「……まあ、無くは無い。方法は二通」「ならそれを今すぐ僕に施してくれ」
「そうか。では仕方がないの」
 彼女が鎌を手に取る。テニスラケットでも持っているのかと思うほど軽く持ち上げられたそれ、ギラつく刃が、自分の首に宛われ、めり込み、
「ま、まてまてまて、もう一方ってのを聞いてない――」
「さっき己が拒否したであろう。ワシの僕になる事じゃ。ワシに権限はないが、働き様によっては親方に頼んでやると言おうとしただけの事でな。拒否しているのだから自ずと前者になろう。輪廻転生のサイクルへと還るが良い」
 つぷ、と首に刃がめり込む音。背筋に冷たい物となま暖かい物が流れ落ちる。
「ま、まままま、まって……」
「何だ?」
「僕になって……働くから……上申をお願いします……」
 彼女の顔が輝いた。しまった騙されたかと脳裏を過ぎるが時既に遅し。
「僕一号!」
 満面の笑顔で、びし!と指さして言い放った。

***

1/2の方漢字間違えた上にsage忘れました。ごめんなさい(汗

7459:2004/05/15(土) 13:11
>>63-65
指摘ありがとうございます。
自分では、すっごい上手に書けたと思ってたんですけど
まさか同意見を3つも連続で貰うとは。
自分に酔ってただけかもしれません。

擬音に頼らず、もっと色々読んで力つけようと思います。

75イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 13:41
>寝覚めの僕
寝起きでしょ?
>大した理由は無いのだが。単位に必須の講義が無ければ二度寝決定だが、
「だが」を2回使うのはリズムが悪い。
「大した理由は無いのだが」の意味が分からない。重要なんだろ?
>這い蹲りながら
ん〜、嫌々行くという描写にはあってないような。病人でしょこれは。
>気がついたら真っ白い部屋の中にいた。
こういう風に急に場面を切り替えるなら、
主人公をその場においてスタートを回想シーンにしたほうがいいと思う(個人的意見
>そろそろ観念せ
観念せえ
>幽界
幽界ってあの世のことだったっけ?

前に、死んだ後生き返るって作品書いてるってレスしてた人だね?
そのときも突っ込まれてたが幽白に似てる。
全体的にはもう少し煮詰めたほうがいい。
自分の書きたいところと、そこまで行く過程のところが手に取るように分かる。
自分の書きたいところは良く書けてると思う。

76イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 13:49
72氏へ。死神?女の子の描写のところで、
>体だけがこの場所から欠落しているかに見えた。
体が欠落→ワンピースの中身がないってことか?
思わず、「ハンガーに吊ったワンピースに顔がくっついてる」ような激しく薄っぺらい物体をイメージしてしまいました。
こういう想像するやつもいるってことで。
それから「上申」て言葉が大学生の台詞にありますが、「〜なのじゃ」と年寄りっぽくしゃべっている女の子の方に使わせて、学生はふつうに「頼みます」と言うのが無難では?
あの、学生に「上申」と言わせるのが伏線だったら、まったく問題ないです。

59氏へ。つねに「この話をまったく知らない読者」としての自分を意識に置いて、作者たる自分と相談しながら書くのもいいかもしれません。

77イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 13:52
いまさら死神は……

78イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 14:15
擬音や記号の類は判断に悩むところだなあ。
ワナビ(俺も含む)は好きではない人の方が多そうだけど
ラノベの何割かは多用している作品というのも事実。

直接文章リズムに関わってくるところだから
自分にあってるのなら変に変えない方がいいのかもと思ったりもする。

79イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 14:20
擬音を多用するのは、あかほりと初期神坂ぐらいしか思いつかんが・・・
あかほりはデビューして地位が出来てから多用するようになったし、
神坂はデビュー作が別格だった。

80sage:2004/05/15(土) 15:36
自分も何となく晒してみたくなったので一年位前に書いていた未完成作の一部を貼ってみました。

「で、この石の何を調べろというのかな?」
 小寺教授は不愉快極まりないと言わんばかりに眉間に皺を寄せ、右手に持ったガラスケースを眺めていた。
 ガラスケースの中にはルビーにと思われる小さな宝石が収納されている。
「何を、ではなく、何なのかを調べて欲しいのです。ただし、そのルビーは非常に危険な物であることは確認できているので、直接触れるのはおやめになった方がよろいいかと思います。それともう一つ。こちらの指輪を二・三日預かっていただきたいと思います」
 芹沢は淡々とした口調で用件を伝えた。
 口調は穏やかだが、依頼を断る権利を与えるつもりはないように聞こえる。
「危険ってのはどういう意味かね?」
 小寺教授はガラスケースをテーブルの上に置き芹沢に問い掛けた。
 眉間に浮かぶ皺が、より深みを増している。
 芹沢の後ろで、大男が扉の前に立ち塞がっている。大男のにやついた顔が小寺教授の心象を損ない不愉快さに拍車をかけていた。
 この男達はいつもそうだ。
 芹沢は必要最小限の情報だけを伝え、丁寧な口調のわりには敬意の欠片も感じられない。大男にいたっては、半ば侮辱とも取れる表情で、こちらのやり取りを監視するだけだ。
 彼らの後ろに何らかの組織があるのは分かる。その組織がいかに絶大な権力を持っているかは依頼内容で明らかであったが、だからといって小寺教授には彼らの態度を許容しようなどとは思わなかった。
 口に出して非難することも無かったが――。
「危険というのはですね、小寺教授。その石が血を好む、という事です」
 芹沢は相変わらず他人事のように淡々とした口調のままだ。
「詳しい話は私にも分かりませんが、その石は人を喰うそうです」
「人を喰う? このルビーがかね?」
「にわかに信じられる話でないのは承知していますが、何度か私共の依頼を受けておいでの先生なら、この話が嘘でないという事を納得していただけるかと思います。ちなみに指輪の方も似たような性質を持っているとのことです」
 小寺教授は自身でも知らぬ間に左手で拳を作り、きつく握り締めていた。
 掌に汗がにじむ。
「喰う、と言うのは物理的にかね? それとも比喩表現としてかね?」
 そう問いかけたものの、その答え自体にはあまり興味は無かった。
 今、小寺教授の興味を引いていたのは、寿命が尽きかけて、周期的な点滅を繰り返す蛍光灯だ。彼の位置からは右斜めの天井に見える、備え付けの蛍光灯から放出される光が、やけに眼にに入り、鬱陶しく感じていた。
 昨日までは何も感じなかったものが、先程からはやけにちらついて感じられていた。
 教務課に言って代わりを持って来なければいけないな。などと考え、この研究所内に梯子があるかなとの考えにいたる

8180:2004/05/15(土) 15:39
sage間違い。ダサいことしてスマンです。
なれないことはするもんじゃないな。

82イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 17:56
>直接触れるのはおやめになった方がよろいいかと思います。それともう一つ。こちらの指輪を二・三日預かっていただきたいと思います。
「思います」が連続してるのが…
>眉間に浮かぶ皺が、より深みを増している。
>芹沢の後ろで、大男が扉の前に立ち塞がっている。
「いる」の連続

教授視点の描写と作者の視点の描写が混じって分かりずらい。

83イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/15(土) 18:15
>68

 え? 現実世界の話だったの? てっきりファンタジーでやるのかと思ってた……
 とりあえず、粗筋みた感想。
 おおざっぱな方向は、それでいいんじゃない? 具体的なエピソードがないので
想像しづらいですが、大筋は王道かと。
 キャラはまあ主役の三人……んー、もうちょっと出てくれないとわからないけど、
 その辺はおいおい決めていくのかな?

 71さんの言うとおり、現実世界では命の価値が1ランクアップするから、そこらへん
は注意して書いた方がいいかも。
 そんなところです。

余談。
 「殺し」の問題について、71さんがキャラ造形の方から提案してくれているので、
 漏れは別方向からアプローチ。
 これ、殺され役を、読者から見て本気でむかつかせるように描写できれば無問題。
 そういう奴らを成敗することは、感覚的に「よくやった」と感じてくれるから、
 殺人の問題がエスケープされ、さらにそのことに悩む主人公に対し、
 「んー、俺は構わんと思うけど、まあ本人からすりゃ悩むとこかもなあ」と
 共感してもらえる確率が高くなるよ。
 まあ、そういう手もある、ということで。

8480:2004/05/15(土) 18:26
視点か……。確かに分り難くなってるな。
今度からもう少しそこんとこ意識してみます。

8568:2004/05/15(土) 19:42
ありがとうございます、参考になりました。
ちなみに脳内設定では、最初は嫌なやつばかりが対象だったけど、小さな子供が
対象者となり苦悩、いろいろ吹っ切れて、最後は、他の人にはさせたくない、と
言う理由で、相方と仕事を続けていく。て感じなんですよね。ヒロインが理解を
示すかどうかが悩みどころだ・・・。

8672:2004/05/15(土) 22:10
批評ありがとうございました。m(__)m
死んだ後生き返る〜とは私ではありませんでしたが、読み返してみると確かに幽白に似ていると感じ、
>>76さんのイメージと共に目からウロコと言った感じでした。

指摘を頂いた所を改善し、更なる精進を計りたいと思います。
ありがとうございました。また来ると思いますので、その時は宜しくお願いします。

87イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/24(月) 19:22
辛口の批評お願いします。

 蝉の声がしていた。無限に続く輪唱のように、それは途切れることがなかった。不快ではなかった。真夏の昼下がりの郊外の墓地の、それは必然的な唱和だった。異質なのはぼくたちふたりのほうだった。
 マリが立っていた。ほっそりとした体つきで、まっすぐに立っていた。ぼくはそのかたわらにしゃがみこんで、ただ墓石に手を合わせていた。
 時おりマリの様子が気になって、ぼくは彼女の横顔を下から見上げた。
 彼女は、彼女の姉の眠る墓を見下ろしたまま、みじろぎもしなかった。
 初めてぼくらが出会ったときの、無愛想だった彼女を思い出して、ぼくは急に不安に襲われた。
「ねえ、マリ」
「大丈夫」マリは先回りして答えた。すっと目を細め、ぼくに笑いかけてみせた。
 あれから一年が経つ。まったく、彼女は大人になった。ぼくは16歳で、彼女は15歳で、その差は未来永劫縮まらないはずなのに、すでに追い抜かれてしまったような印象をぼくはうけた。
「わたし、謝らなきゃいけない人がいるんです」彼女は視線を墓石に戻した。
「うん」
「まだ姉が生きてたころ。わたしたち、約束したんです。『最後の最後、わたし意識が完全に途絶えるその瞬間まで、一緒にいようね。双子として生まれて、それまでに一緒に味わったいろんなことを話して、笑いあおうねって。五、四、三、二、一。大晦日みたいにカウントダウンしながら、最後に思い切り笑おうって。いままでありがとう、楽しかったよって』。機械じゃないのに。人間なのに。そんなきれいに死ねるわけがないのに。苦しみながらいくしかないのはわかってるのに。姉はそういったんです」
 淡々と、感情を抑制しながら、彼女は続けた。白く細い指先が、腰の後ろで持っている麦わら帽子のひさしを歪ませていた。
「でも、わたしは笑えなかった。がんばったけど、笑えなかった。口では『あはは』っていってるんです。でも、顔は泣いてた。もう大好きな姉と話すことができなくなるんだって考えると、涙が止まらなかった。わたしは、約束を守れなかった」
 神様は、といいかけ、彼女は言葉を詰まらせた。目に涙の粒がぶわりと膨れ上がり、表面張力をこえてあふれた。
「神様は、なんでこんなことをするの。なんで、双子のうちひとりだけの命を奪ったりするの。わたしたちは、ふたりでひとつだったのに。半身を失って、わたしはいったいどうしたらいいの」
 なんで、なんでと、彼女はつぶやき続けた。
「かわいそうに、とか思ってる?」ぼくは立ち上がった。
「え?」彼女は驚いた顔をした。
「神様は、人間にふたつのことを約束した。生と死。母親の胎内から出る前に死んでしまう胎児がいる。ボランティアに人生を捧げ、地雷を踏んで死んでしまう人がいる。一方で、人殺しのくせに百歳まで生きるやつもいる。ぼくも、こうしてのうのうと16になった。悪人も善人も、あまねく平等なんだ。誰も、不公平は働いていない」
「姉のことも、公平だったっていうんですか?」彼女は唇をとがらせた。
「そうじゃないよ。うまくいえないけど、世の中にはいろんな人がいて、いろんな一生を送ってる。だめなんだ。よくわからないけど、かわいそうだとか思っちゃいけないんだ。それはとても、失礼な考え方だと思う。生まれてくることのできなかった胎児にだって、きっとプライドはあるんだ。きみの姉さんにもね。哀れまれたって、それを嬉しいとは思わないんじゃないかな」
 マリの手をたぐりよせ、握った。そうしないと、どこかへ消えてしまいそうだった。マリも、ぎゅっと握り返してきた。ぼくという存在をたしかめるように、力いっぱい握ってきた。不器用に手を握り合ったぼくらは、子供みたいだった。
「きみは、大人になった。ぼくなんかよりも、ずっと立派な、暖かい心をもった、素敵な女の子になった。だから、笑うんだ。わたしは元気ですって。とても幸せですって。それが、約束を守ることなんじゃないかな。姉さんも、それを望んでるんじゃないかな」
「都合のの、い、いい、考えじゃ、ない、ですか?」しゃくりあげながら、彼女はいった。
「ごめんね、開き直るようで悪いけど、究極的に、ぼくはエゴイストなんだ。ぼくはきみに笑ってほしい。きみを笑わせることが、ぼくの生きがいなんだ」
 マリが、体をぼくの胸に預けてきた。相変わらず手は握り合ったままだったから、ぼくはもう片方の手で彼女の頭を抱え込んだ。
 ふたり、しばらく動かなかった。蝉の声を聞きながら、時が過ぎていくのを感じていた。
 不意に、彼女が頭をあげた。泣き笑いめいた表情で、ぼくを見ていた。顔同士がゆっくりと近づく。逆らえない引力のようなものがあった。

88イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/24(月) 20:36
>感情を抑制しながら
この部分だけ視点がズレてる。「無理に感情を抑制しているように見えた」とかなら分かるけど。

>表面張力をこえてあふれた・半身・胎内・胎児
表現が硬い。雰囲気が壊れる。胎児→子供みたいに言葉を変えたほうがいい。

>ボランティアに人生を捧げ、地雷を踏んで死んでしまう人がいる
このたとえ話は変えたほうがいいかな。すぐに状況を想定できなかった。

地の文が全体的に細切れなのと、…た。…た。…た。の連続で読みにくい。

89イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/25(火) 01:56
>>87
作品の冒頭かな。
どちらにしても「蝉の声がしていた」で改行したほうがいいんじゃない?
台詞にしても文字が続きすぎて読みづらいし。
以下、箇条書き。

文章について──
・「──た。」の連続というのは効果としてわかるけれど、上手に活かせていない。
・言葉の選び方 未来永劫縮、表面張力、半身、エゴイストなど要検討。
・言葉の並べ方 「マリが、体をぼくの胸に預けてきた」とか「淡々と、感情を抑制し
ながら、彼女は続けた」とか(まあ、これは個人の好みか)。
・「無愛想だった彼女」という文章から受ける印象と、実際の彼女の口調が一致し
ない(これも個人的なことかな)。
・マリの台詞と姉の言葉の引用がゴッチャになっている。

内容について──
・セミの唱和に対して、ふたりの存在が異質なのはなぜか?
・「笑いあおうねって」というのは、口で『あはは』と笑うことではなく、笑顔でってこと
じゃないの?
・「悪人も善人も、あまねく平等なんだ」 だれにでも死はやってくる、ということなの
だろうが、主人公の言葉やたとえ方はあきらかに変。彼がうまく伝えられない、とい
う表現でもないだろうし。
・約束を守るために笑うんだ、と言っておきながら「ぼくはエゴイストなんだ」じゃ、本
当にただの身勝手男。
・「ふたり、しばらく動かなかった……時が過ぎていくのを感じていた」 二人とも時の
経過を感じているの?
・(あなた個人に対して)身内の方を亡くされたことはありますか? そのときの気持
ちはどうでしたか? その気持ちとマリの思いはいっしょですか? ちがいますか?
あるいは、マリを支える主人公の思いは? あなたは彼と同じような立場になったこ
とがありますか?

ほかに気になった表現は──
「真夏の昼下がりの郊外の墓地の」、「ただ墓石に手を合わせて」、「墓を見下ろした
まま」(墓は彼女より小さいの?)、「ぼくに笑いかけてみせた」、「まったく、彼女は大
人になった」、「謝らなきゃいけない人が」(姉じゃない別の人?)、「彼女はつぶやき
続けた」(泣いてるんでしょう)、「子供みたいだった」(十代なら子供では)、「きみは、
大人になった……素敵な女の子になった」、「究極的に、ぼくはエゴイスト」、「相変わ
らず手は握り合ったまま」、「泣き笑いめいた表情で」……こんなところかな。

ずいぶん書きましたが、嫌いじゃないです。むしろ好きなタイプです。

90鶴田:2004/05/25(火) 16:54
87です。

>>88
>>89
さん、すばやく詳細なレスありがとうございます。反応が遅れてもうしわけありません。ネットカフェで書いてるもので・・・。
いままで人に小説を読んでもらったことがなかったので、ずいぶんと参考になりました。自分ひとりではやはり独りよがりになってしまうものですね。
ご指摘されたポイントもしごくもっともで、早急に改善したいと思います。

これ自体は個人的に処女作というか、一番最初に書こうと思って書ききれなかったものの一部です。
個人的な話ですが、昔つきあってた彼女が自殺未遂をしたことがあって、そのときに感じた「どうして相談してくれないんだ」とか「どうしたら慰められるんだ」とか、そういう思いをばらばらにしてキャラに振り分けたらこうなりました。
その時、彼女にどうやって接すればいいかわからなくて、それはいまもわからなくて。そのまま書いたらやっぱりキャラ自身もわからないから、けっきょくちぐはぐな印象の話になってしまった。という感じですかね。
笑わせたかったんだけど、泣かせることしかできなかったなあ。人間修行も積まなきゃ・・・。

技術的な部分だと、言葉の選び方がまずい、というのが共通してますね。これは単純に硬いから、やわらかくすればいいんでしょうか?

「ーた。」の連続については、北方謙三さんの小説が好きなもので、どうも影響されすぎですかね。
効果的に書ければいいんだけど、そこまでの実力はまだないみたいです。しばらく使わないようにしてみます。

文字が続きすぎ、というのは改行を多くしたほうがいい、ということですかね?

視点がぶれるのも直したいと思います。

91鶴田:2004/05/25(火) 17:40
もうひとつお願いします。

「オルガンの蓋と鍵盤の間のところ」

 幽霊は眠ることがない。あらゆる瞬間に意識があって、それが無限に連続していく。
 だから幽霊にとっての三十年は、人間にとっては六十年近くにもなる。四六時中起きているからだ。里香は十歳の時に幽霊になって、それから三十年だから、気分はもうおばあさんだ。
 里香が幽霊生活を送っているのは廃村の廃校の音楽室だ。より正確には、オルガンの蓋と鍵盤の間のところに、彼女はいる。
 蓋を開くこと。蓋を閉じること。鍵盤をたたくこと。オルガンの椅子に座ること。それが彼女にできることのすべてだ。
 学校には他にも幽霊がいた。里香のようにひとつのところから動けない者も多かったが、中には自由に校舎の中を歩き回ることのできる者もいた。話し相手がほしい時はダジャレ好きの進藤教頭が来てくれた。本を読みたいときは図書館すべての本を一字一句残らず暗記している、司書の牧子女史が音読してくれた。オルガンに埃が積もれば、掃除が趣味の太一おじいさんがハタキをかけにきてくれた。
 つまり寂しくはなかった。退屈をまぎらわすこともできた。慎ましくもかわりばえのしない、穏やかな時の流れの中に里香はいた。

 普通の人間には幽霊は見えない。だけど、世の中には幽霊と波長の合う人間が時々いる。馬が合うというか、雰囲気的に仲良くなれそうというか。友達ができる時って、だいたいそんなふうじゃないだろうか。
 マサムネと潤子。どちらも十歳で、子供だけど役者だ。
 ふたりに出会ったのは、ある八月の暑い日。
 大勢のスタッフが、学校を舞台にした映画を撮影するために校舎の中を走り回っていた。
 
 


 電撃文庫の短編用に考えているものの冒頭です。学校の怪談みたいなノリで、原稿用紙100枚くらい。
 幽霊は死んだときの記憶を例外なく忘れる、とり戻した時に成仏するという設定を、話の中盤以降で書くつもりです。冒頭では「とりあえず」の説明だけを書きました。
 批評してほしいポイントは、説明としてちぐはぐな印象の部分はないか。冗長な部分はないか。イメージとして、すっと頭の中に入るかどうか。言葉遣いや文章の読みにくさなども指摘してください。お願いします。

92イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/25(火) 19:02
えっと、電撃文庫関係の新人賞で、100枚という規定の賞はないように思うのですが。
100枚だったらコバルトですかね。

93イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/25(火) 20:27
読者はあらすじより物語を求めているもの。
説明でも情感を持ってやらないとただのだらだらとした言葉の羅列では投げる。
>批評してほしいポイントは、説明としてちぐはぐな印象の部分はないか。冗長な部分はないか。イメージとして、すっと頭の中に入るかどうか。言葉遣いや文章の読みにくさなども指摘してください。お願いします。
それ以前の問題。書き直しておいで。

9489:2004/05/25(火) 23:07
> 個人的な話ですが、
余計なことを書いてしまったようです。ごめんなさい。
なんであんなことを書いたかというと、マリの言葉が感情の発露ではな
くて、どうもじぶんの状況説明をしているよう(それはつまり作者が説
明させているということですが)に感じられたので、つい質問しました。

言葉の選び方──
わたしの場合は単純に硬いから、というだけではないです。
たとえば「表面張力」という表現。こういう描写は固さというよりも、
よほどうまくやらないと素人臭さが出るだけじゃないかという感じ。
あるいは、「半身」という言葉はマリの台詞の中に出てくるけれど、は
たして話すときにこういう言葉を実際に使うかどうか、ということ。
作品全体の雰囲気に合うか、場面に合うか、文脈に合うか、キャラクター
に合うか、そういったことを考えてみてのことです。

文字が続きすぎ──
一般的にライトノベルというジャンルでは改行を多用した方がいいそう
です(わたしはそういうのは好きじゃないけど)。
それとはべつに、「蝉の声が……」から続く段落は長すぎです。
蝉の声の描写と、「不快ではなかった」という主人公の感情は、同一パ
ラグラフで並列するものではないでしょう。
また、読み始めようとしてぱっと目に入ってくるのが文章の固まりなの
で、作品に入りにくいということもあります。
地の文でも台詞でも、紙面(画面)上の文字密度が高すぎる、とでも言
いましょうか。

9589:2004/05/25(火) 23:10
で、「オルガンの蓋と鍵盤の間のところ」について。

・「幽霊は眠ることがない。」以下の説明と2行目の「だから幽霊にとっ
ての三十年は……」とがつながらない。眠らないことがどうして人間と
の二倍近くの年齢差になるのか?
・「理香は十歳の時……」が独立していないのはケアレスミス?
・「気分はもうおばあさんだ」 どうでしょう?
・「……歩き回ることのできる者もいた。」 まあ、幽霊が歩いたって
問題ないかな……とりあえず保留。
・廃校なのに教頭先生や司書がいるというのは? と思ったけど、あ、
もしかしてこの人たちも幽霊なのか。そうだとすれば、学校関係者の死
人が多いですね。
・「つまり寂しくはなかった。……里香はいた。」 ここはまずいでしょ
う。説明ではなく描写すべきでは。たとえば寂しくしてるときに教頭が
はげますシーンとか、退屈しているときに司書が物語ってくれるとか。
・「友達ができる……じゃないだろうか」 同感ですが、地の文として
はいただけない。三人称作者視点(こういう表現があるかわかりません
が)なら問題ないでしょうけれど。
・「どちらも十歳で、子供だけど……」 直前で年齢を提示しているの
でくどい。
・「ある八月の暑い日」 「ある」が八月にかかる、日本なら八月は大
概暑い。

とりあえずこんな感じかな。

それから、この説明の中には、シーンやエピソードとして活かせるもの
がたくさんあります。それを説明で終わらせるのはもったいない。93さ
んがいみじくも『あらすじより物語を』と書いておられますが、その通
りだと思います。

96イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/27(木) 09:35
>>91
遅レスだけど。
自分好みのナイスな作品になる予感。
ただ主人公達の印象が、中々入って来れなかったかな。
だから、

「オルガンの蓋と鍵盤の間のところ」
幽霊は眠ることがない。あらゆる瞬間に意識があって、それが無限に連続していく。


マサムネと潤子。どちらも十歳で、子供だけど役者だ。
ふたりに出会ったのは、ある八月の暑い日。
大勢のスタッフが、学校を舞台にした映画を撮影するために校舎の中を走り回っていた。


てな感じに、出だしの一文を書いてから
主人公達を出したほうが読みやすいと思う。
そして、幽霊が出てくる場面で、>>91の幽霊に関する話題を入れていくと。

97鶴田:2004/05/27(木) 17:35
>>92
来年の受付ですが、電撃で長編250〜410枚、短編42〜100枚、という規定の募集がHPにあったので、その短編のほうに送るつもりです。
それとは別にコバルトでも応募してたんですね・・・。読んだことがなかったので気づきませんでした。
そちらに応募するかどうか、時間と相談して考えてみます。有益な情報ありがとうございました。

>>93
うーん、たしかにそうですね。出直します。

>>89
なんだか気をつかわせてしまったようで、こちらこそすいません。
見苦しいところをお見せしました。こういうのって削除することはできないんですかね・・・?

文字密度・・・濃いですね・・・。反省。

ご指摘された部分もなるべく直します。
なんというか・・いま見てみると矛盾が多すぎますね。

>>96
ありがとうございます。
アドバイス、さっそく使わせていただきます。

98鶴田:2004/05/27(木) 19:32
 幽霊を見ることは普通の人間にはできない。だけど、たまに例外もいる。
 そのふたりに出会ったとき、わたしには予感があった。
 馬が合うというか、雰囲気的に仲良くなれそうというか。
 友達ができるときって、だいたいそんなふうじゃないだろうか。
 マサムネと潤子。どちらも十歳で、子供だけど役者だ。
 ふたりに出会ったのはある夏の日。
 廃校を舞台にした映画の撮影のために、大勢のスタッフがかけ回っていた。
 
 その日はとても暑い日だった。
(たぶん、きっと暑いんだわ。三十度は超えてるかも)
 里香はそう思った。暑さも寒さも感じることのできない幽霊にだってそれとわかるほど暑い日だった。
 蝉の輪唱が限りなく続いていた。穴の開いたカーテンから差し込む強い日差しが、宙を舞う埃のひとつひとつを鮮明に浮かび上がらせていた。
 廃村の廃校の、市の職員すらも見回りに来ない音楽室。黒板の脇に古びたオルガンがあった。
 里香はそこにいた。より正確には、オルガンの蓋と鍵盤の間のところだ。
 蓋を開くこと。
 蓋を閉じること。
 鍵盤を叩くこと。
 できるのはそれくらいだった。オルガン以外のものは近くになかったし、離れようとすれば引力のようなものに引き戻された。
 里香はオルガンに背を向けて、窓のほうを向いて座っていた。いつもそうしているようにまっすぐに背筋を伸ばしていた。
 オルガンの付属の椅子は丈が高すぎて、里香の足は床につかない。でもぶらぶらさせるのは行儀の悪いことだから、いつもそうしているようにぴたりと膝をくっつけていた。
 赤いエナメルの靴に、白いレースの靴下に、フリルのついた赤いワンピース。それもいつもの服装だ。
 髪の毛も、いつもどおり背中で水平にカットしている。
 なにもかもいつもどおりで、いつもづくしで、かわりばえしない。そんな生活が何年も何十年も続いていた。それはこれから先も、きっと変わることがない。
 校庭で騒ぎがした。校舎の中にもそれは入り込んできた。複数の人間が話す声。足音。かなづちのようなものが壁を叩く音。それらが一体となって校舎の中を反響した。 
(なにかしら)
 里香はなんとなく首を伸ばした。窓から外を見たかったが、オルガンは窓と反対側にあった。廊下を覗こうにも、角度が悪くて壁しか見えない。
 どうしようもないとわかってはいても、落ち着かなかった。なにせこれだけ賑やかなのはひさしぶりのことだ。
 いてもたってもいられず、はしたなくも椅子の上に立ち上がった。
 いきなり部屋の外で声がした。戸が開いて、人間が入ってきた。
(わー!)
 不意をつかれ、あわててオルガンの中に逃げ込んで蓋を閉めたが、考えてみれば普通の人間には里香を見ることができない。
(まー、これじゃなにも見えないじゃない)
 ひとりで憤慨して、自分の頭をぽかぽか叩いた。
「なんでこんなところに来るのよ」
「はあ?おまえがセリフ合わせしようっていったんだろ」
 男の子と女の子だ。
(しかも子供だ)
 里香の心は弾んだ。
「ここじゃなくたってできるでしょ」
「なんだ、怖いの?」男の子の声にバカにしたような響きが混じった。
「そんなわけないでしょ、くだらない」女の子は冷ややかに即答した。
「私、リアリストなの。十歳といったらもう立派な大人だしね。『幽霊が出るかもしれないから逃げましょう。怖いわ、私』なんていわないわ。本番になったら別だけど。だいたいスタッフの人たちがこれだけたくさんいる中で、しかも昼よ。幽霊も何もないと思う」
「あーあ」男の子はつまらなそうにため息をついた。
「すこしは怖がれよ。おもしろみのないやつ。だいたいロマンってものに欠けてるんだよ。子供のくせに。もっとこう、涙声になったりさ、びくびくしてすこしの音でも怖がってみせたりさ、そういう情緒みたいなのはないもんかね」
「だからいったでしょ、私は大人なの。すくなくともあなたよりはね」
 ふん、と男の子が鼻を鳴らした。
 里香は我慢できずにそろりそろりと蓋を持ち上げた。一センチ、二センチ……隙間から女の子の足が見えた。赤いエナメルの靴に、白いレースの靴下。
「うー」女の子の声がくぐもった。口になにかあてたのかもしれない。
「ここ本当に汚いわね。クモの巣張ってるし、埃が絨毯みたいに積もってるし。これって絶対喉によくないわ。控え室かバスに戻りましょうよ」
 隙間を広げる。女の子は里香と同じフリルのついた赤いワンピースを着ていた。ここまで似ていると、顔のほうはいったいどうなっているのだろう。里香は興奮しながら、いつしか注意をはらうことを忘れていた。

99鶴田:2004/05/27(木) 19:37
長すぎたので続き

「む」男の声が緊張を帯びた。
「おい。その蓋って、最初からそんな中途半端な状態だったか?」
「完全に閉まってたと思うけど。おかしいわね」
 ふたりの注目を浴びて、里香は困ってしまった。まさかこんな目の前で閉じるわけにもいかない。それはさすがに怪しすぎる。
(むむむ、どうしよう……)
 進退きわまって硬直していると、二組の双眸が隙間を覗き込んできた。
 ばっちりと目が合った。
「わー!」
「うおっ?」
「きゃー!」
 三人同時に悲鳴をあげた。不協和音が音楽室に響き渡った。


 書き直しです。改行多めに。「ーた。」はあまり少なくなってない……。
 幽霊的なものについては話の流れの中でおいおい説明していきます。

100鶴田:2004/05/27(木) 19:41
 ああ、ミス。
「む」男の声が緊張を帯びた。→「む」男の子の声が緊張を帯びた。
 です。




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