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他人が書いた小説の一部を批評するスレ

1イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:17
 書いてみたはいいけど、この表現どうなの?会話シーンに自信ないんだけど、ちょっと見てもらいたい・・・。
 そんな悩みを抱えるあなたは、このスレに、書いた作品の一部を載せてみましょう。
 ついでに、執筆上の悩みもガンガンぶちまけましょう。
 
 投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。
 その他は、ライトノベルであれば、ジャンルその他は問いません。

12181163:2006/03/23(木) 07:45:12
書き出しはこんな感じでありました。

 エンディング    

「まだ、罪を認めないつもり?」
 追い詰められた白百合さろめは、そんな状況だった。
 どんな状況だったかというと、釘バットをばるんばるんいわせる美少女に、わけの分からない懺悔を促されるといった状況で、右に幼い美少年、左に和風な美少女。
 艶のある暗闇のなかでキリスト像の輪郭が白い線になって浮き立って、そのキリストは、十字架に磔にされ、茨の冠を被り、カックリと馬鹿のように首を傾げていた。
 虹色のステンドグラス。
 月の光が差し込んで、三つの影を、ゆらりと照らす。
 ――黒の古風なセーラー美少女。
 ――紺の小洒落たブレザー少年。
 ――色鮮やかな打掛服の美少女。
 そしてさろめは、キリスト像を前にして、涙と涎と鼻水で顔をぐしょぐしょにしながら腰を抜かして、恐怖のあまりに、おしっこちびって、ぶるぶる震えて、しかし、それでも反省しない。
 あたりまえ。ごめんなさい、なんていうつもりは微塵もなかった。それで正しかった。さろめはそういう意味では、確かに何も悪いことなどしていないのだから。
「反省? 反省ですって? どうしてアタシが反省しなきゃいけないのかしら?」引き攣った微笑みがイッキに破顔。「ふざけんじゃないわよおおおおおおおおお!」
 さすが、黒百合学園最強のお嬢様。
「如何なる理由があろうと自殺するニンゲンは自殺するニンゲンの勝手! それはアタシのせいじゃない! バカが勝手に死にたいと思いそれで死んだ! いったいなにがご不満なの?」
この状況で、ここまでいえる人間、そうはいない。
 けれど、もしかしたら、その心底の恐怖が彼女を饒舌にさせ、強情にさせていたのかもしれない。
「――怨み、晴らします」
 釘バット美少女は やめてええええええええッ 神に十字を切るように、ソレをふるった。
 じゅばん、
 と、爛れたように破裂して。
 破裂したのはさろめのアタマ。柘榴のように飛び出す目玉、飛び散る脳漿。噴き出す血液、流れる髄液。唯一残った下顎に、舌がべろりと載っていた。
「必殺完了」

12191163:2006/03/23(木) 07:45:30
1                             
 
【天野明福】

 清掃。リリム&リリス礼拝堂を過ぎて、ハレルヤコーラス。くねる銀杏並木にグシャるギンナン。ふざけるな阿呆なにが黒百合学園だ。
 百合のくせに銀杏の木々に囲まれて、むわっと匂う銀杏並木。実に最悪。とりわけこの時期、地面は滅茶苦茶。いったいどうしてギンナンなんか植えるんだ馬鹿野郎。という憤りを禁じえない。
 黒百合はルーテル派のミッションスクール、創立は明治三十四年。プロテスタントだから格式に関してそれほどこだわりがない。なんて思っていたら大間違いで、金持ちばかりを入学させて多額の金銭を搾取するというような校風。
 幼稚舎から大学までの一貫教育が施され、一八年間通い詰めれば純粋培養の腐ったミカンが世に排出されるというわけだ。
 表向きは質素倹約、質実剛健。だが、入学者の門地がその校風と矛盾しているので福音自由だろうがなんだろうが格式が重視される。べつに私はそれを否定しない。
 それにつけても、三つ折ソックスは大変良い。ルーズソックスなどというものは邪道であって、何が邪道というに、あんなもっさりした物を足に巻きつけていたのではエロスというものを殺してしまっており、靴下というのは踝がくっきり浮かび上がるべきだし、そうでなければならない。
 と、彼女の足元に、真っ赤なハンケチが落ち、風に吹かれて私のところに。拾ってみると、白百合さろめ、山吹色の刺繍。
「――ありがとう」
やわらかい微笑み。
 聖母マリアのようだった。
 彼女は一礼し、ブリーツを乱さぬよう、たおやかに立ち去って、
(――なんてゆゆしきことかしら。さろめ様が、あんな汚らわしい豚に)
 なんだあの糞チビは。聞こえよがしに、ロリイタめ。
 日本国憲法において『すべての国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的地位、又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない』とあるわけだが、この条文に「差別する者は死刑」との案件を盛り込むべきである、と、私は強く思った。と、いう冗談を思った。
 古今東西において悪人扱いされるのは、醜い容姿、醜い性格の持ち主である。両方揃っていれば、まずもって「巨悪」である。だが、清く正しい人間の場合においては、容姿が醜くてもこの限りではない。
 それは何故か。
 何故かって、そんなものは決まっている。世の中は、常識に基づく都合のよい人間を、みすみす排除したりはしない。容姿最悪性格最善という人種ほど、社会にとって扱いやすい道具はないのだから。
 いや、むしろ見た目が悪いほうが、その汁は美味いのだ。そう、だから、あえて私はこんなところで豚汁奴隷教職員を装っているのであって、何せ私の正体は 
                                                         

【眩草まりあ】

 わたくし、くらくさまりあ、十五歳、なのですの。
 ああンなんてゆゆしきことかしら。
 ひしゃげて潰れた銀杏が、とってもエグいのですけれど、でも、たまらなく癖になりそうこの匂い。なんだかとってもエロティック。イエス様、不埒なあたしをお許しください。
 ――あら。あすこに。
 でっぷり肥えた豚がおりますの。
 息をふうふういわせながらイチョウ並木を箒をもって闊歩しておりますの。  あン、さろめ様。
 こともあろうに、ボンレスハムがそれを拾って、ありがとう、と、澄んだ声が夕闇の彼方に響き渡って。
 なんてゆゆしきことかしら!
 わたくしは付いていきますの。付かず離れず距離を開け、ブリーツを乱さぬように。いいえ、ストーキングなどではありませんの。
 さろめ様をお守りしなくちゃいけないから。
 そうですの。そうなのですの。
 ぐしゅ、と潰れる感触がして、銀杏が。まるで臓物が飛び出したようになってしまって――。
 ごめんなさい、といいながら、わたくしはオレンジ色に縁取られたさろめ様の影を追いかけますの。愛しい影は、校門の線の向こうに吸い込まれ、愚民どもの影のなかに埋没して、さろめ様の影が踏み荒らされて、どけよ愚民ども! と、追いかけているうちに。
 まったく、
 いつもこうなのですの。
 さろめ様を、ボンレスハムのような欲望の塊からお守りしようと思っても、校門を過ぎるころには泡のように消えてしまわれて。
 こンちくしょう。
 いつしか、ひと気はなくなって、とろけるようなオレンジ色の暗黒が、あたりを闇に包み込み、
 背中がぞわっとした感じ。砂が擦れる土の音。
 あら、あちらのオッサン。
 ――なにゆえに。
 お顔がパンストなのかしら?

12201163:2006/03/23(木) 07:46:17
と、いうわけでして。
十六人が登場して、エピソードは5つ。そのうちの1つが4つのエピソードの元凶という形でした。『死の床に横たわりて』のパロディをやろうとしておりまして、実に恐れ多いことだとは思っていたのですが、今に比べるとあまり思っていませんでした。プロットを破棄してたまるか、こンちくしょう。と、思わずにはいられませんが、やはり技術が圧倒的に足らない。技術をつけた後、また挑戦したいと思います。――辛酸を舐める思い。苦渋であります。

1221イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/23(木) 12:22:55
フォークナーなんて生半なことではパクる事すら出来んと思うよ。
あと、意識の流れだとかああいう感じの事もやりたいのかな。
それだと率直に言ってラノベとしてどうかと思うし技術が圧倒的に不足してるんじゃないかな。

まあ、俺も大概無教養なんで馬鹿なこといってるなと思ったら無視してくれ。

12221221:2006/03/23(木) 12:28:57
そういや、読んでもない本を挙げるのは良くないけど、
視点については阿部和重のシンセミアなんかは参考になるかも。たぶん。

12231163:2006/03/23(木) 12:39:33
>>1221
意識の流れをやりたいのだけど、あそこまでいくと訳が分からなくなるので、
その一歩手前の状態にできないだろうかと思って書いてました。
ラノベにあの方法を持ち込むことはできないだろうか、って感じで。

>まあ、俺も大概無教養なんで馬鹿なこといってるなと思ったら無視してくれ。
教養があるとかないとか、そんなことどうでもいいです。俺もないです。
阿部和重のシンセミアは興味があったんで、買って読んでみます。
わざわざありがとう。

12241208:2006/03/24(金) 16:29:39
>>1208って全然評価されないんだけど、評価出来ないくらい悪いって事でいいのか?orz

1225イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/24(金) 20:25:47
前に同じ事を書いた人が居たけれど、ここは「書き手」の姿勢を問われるところなんだ。

12261208:2006/03/24(金) 22:50:01
つまりそれって評価できるだけの実力があるヤツがいないって事?

1227イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/24(金) 23:26:10
他の奴がどう思ってるかは知らんが、
>ちゃんとした小説として書くつもりはない
なんていう奴の相手はしたくない。

1228イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/24(金) 23:42:34
>>1208
個人的には書こうと思ってたんだけど、会社でみてたのと、ケータイからではしたらば先生がうけつけてくれないのとで見送っていた。
だがあえて書く。

文章にリズムがあって読みやすいね。
ただ、他の人が指摘してるところとも若干かぶるんだが、
「これちょっと思いついた」
ってのが見え見え。本来は着想から始まりそこに肉付けがあって、書き出しになるわけでしょ?
登場する、主人公も、叔父も、眼鏡少女も、本も、どれもこれもとってつけたような印象になる。

これはもちろん、"真面目に書くときはもっと考えて書くよ"って言われればおしまいなんだけど、
あくまでもこの場は"出された文章"を判断する場であって、
その観点から行けば、1次は通ると思うがそれから先は無理だろうと思う。
詰まるところ、肉付けがされていないからオリジナリティが見えない。

個人的には文章のリズムがいいと思うので、ちゃんとできあがった作品を見たいな。>>1208の書いたものなら最後まで読めると思う。

12291208:2006/03/25(土) 00:44:55
>>1228
貴重な意見をありがとう。
書くときには一応物語の流れを頭の中で考えて可能な限り肉付けして書いたんだけど、
やはりまだ記号的過ぎたかもしれない。

文章の書き方が受け入れられたのは嬉しい。実は書いている途中からゴチャゴチャし過ぎて、
「これ混乱しないで読めるかな?」と心配になったが、一応の成功は収めたようだ。
今読み返すと自分で二カ所ほど修正したくなる部分も見つかった。

次はもうちょっとキャラ設定を考えてみる。

1230本スレ698:2006/03/27(月) 02:21:43
 それから六年の歳月が流れた。
 月日の経過に障壁はなく、二人の仲は睦まじいまま。近所の公園に顔を出せば、どこぞの子供も目立つ二人に一緒に遊ぼうと集ってくる。平和な日常何もない日々、時間は笑顔で埋め尽くされた。
「こーえーくん、なでしこちゃんばいばーい」
 夕闇迫るせせらぎ公園。あらゆる遊びに充実を得て、たくさんの友達とばいばいの時間。
「うん。また遊ぼうな」
「また明日遊びましょう」
 神楽撫子の丁寧語に、友達の多くは不思議がった。けれどもそこは幼い特権。細かいことは気にしない。もっとも言葉を教えたのは、脚本母親の監修紅英。美を言葉で表現しよう――紅英の考えに撫子は快諾した。
「紅英さん、私たちも帰りましょう」
 撫子はそう言って歩き出したが、紅英はその場を動かなかった。
 三歩四歩の距離を保ち、西日に照らされて輝く二人。
「どうしました?」
「撫子、この前に話したこと、覚えているか?」
 それは数日前のことである。桜が咲いたら学校というところに行かなければならないと話した。
「はい。もちろんです」
 撫子は学校というものをよく知らされていなかった。『紅英と一緒』の定義が守られている。それならどこでも何でも平気。撫子はそう、信じていた。
「僕、学校に行けなくなった」
 暗いトーンの紅英の声。理解に苦しむ撫子は、きょとんと紅英の瞳を見つめる。
「僕は撫子のお母さんの子じゃないから、学校に入れてもらえないことがわかった」
「そ、それって私のこと嫌いになっちゃったからですかぁ?」
 自分と違うことをするつもりらしき哀しい顔の紅英を見て、撫子は咄嗟にそう思った。
「そうじゃない。今もこれからもずっと、いっぱいいっぱい大好きだ」
「私も紅英さんのこと、大好きです。だからどこにも行っちゃやです!」
「大丈夫。もう家には戻れないけど、桜が咲いたり、せみが鳴いたり、もみじが落ちたり、雪が降ったりした日に会いに行くぞ。約束する」
 公園に響く指きりげんまん。固い絆の出来る瞬間。バックミュージックはカラスの鳴き声。二人の約束。誓った関係。
 ひとりぼっちの暗い夜道。それでも泣かない撫子の強さ。それを見込んで紅英は行く。
 早く桜が咲かないものかと既に撫子は待ち望む。
 必ず戻ると心に誓い、親を捜しに紅英は走る。
 お腹が空いても眠たくなっても、ずうっとずうっと、走り続ける。

1231イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/27(月) 02:55:16
なるほど・・。おもしろいな。
こういう体言止めの多用は少女レーベルで見る気がする。
ここまで多くはなかったけど。
アクセント程度にすると、読みやすくなるかも。
がんばってください。

1232イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/27(月) 05:10:38
 それから六年の歳月が流れた。
 月日が経っても二人の仲が変わることはなかった。
 近所の公園に顔を出せば、二人を見つけた子供達が一緒に遊ぼうと集まってくる。その顔は笑顔に満たされていた。
「こーえーくん、なでしこちゃんばいばーい」
 空はオレンジ色に染まり、子供達は誰からともなく家路につき始める。
「うん、また遊ぼうな」
「また明日遊びましょう」
 撫子の丁寧語に子供達は首を傾げるが、一瞬後にはもう忘れてしまっていた。大きく手を振りながら遠くに駆けていく。
「紅英さん、私たちも帰りましょう」
 たくさんの足跡だけが残った公園の中を撫子は歩き出そうとするが、紅英は動こうとはしなかった。
 数歩の間をおいて、二つの長い影が落ちている。
「どうしました?」
「撫子。この前に話したこと、覚えているか?」
 数日前に、桜が咲いたら学校という所に行かなければならないという話をしていた。
「はい、もちろんです」
 撫子は学校という所をよく知らなかったが、紅英と一緒という安心感が不安を打ち消していた。
「僕、学校に行けなくなった」
 うつむく紅英。撫子はその言葉を飲み込めずに、きょとんとした表情で紅英を見つめた。
「僕は撫子のお母さんの子じゃないから、学校に入れてもらえないことがわかった」
「そ、それって私のこと嫌いになっちゃったからですかぁ?」
 紅英と一緒に居られない。突然襲ってきた不安感に、撫子は泣きそうになる。
「そうじゃない。今もこれからもずっと、いっぱいいっぱい大好きだ」
「私も紅英さんのこと大好きです。だからどこにも行っちゃイヤです!」
「大丈夫。もう家には戻れないけど、桜が咲いたり、セミが鳴いたり、紅葉が落ちたり、雪が降ったりした日には会いに行くぞ。約束する」
 紅英が小指を立てた。撫子もその意味に気がついて、自分の小指を絡める。
 夕空にカラスの鳴き声が溶ける中、二人は指切りげんまんをした。
 そして紅英は、必ず撫子の元に戻ると心に誓い、親を捜す為に歩き出した。
 遠くなっていく足音を背中に感じながら、撫子は桜の木をぼんやりと見つめていた。

そもそもの設定が分からんから、何を変えて良いのか分からんが、とりあえず文面から読み取ったストーリーで
俺が書くとしたらこうかな。という程度。大事な所を削っちゃったらすまん。

1233イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/27(月) 07:23:19
 それから六年。
 月日が経っても二人の仲が変わることはなかった。近所の公園に顔を出せば、自然と子供達が集まってくる。どの顔も笑いで満ち溢れていた。
「こーえーくん、なでしこちゃんばいばーい」
 空はオレンジ色に染まる頃、子供達は誰からともなく家路につき始めた。
「うん、また遊ぼうな」
「また明日遊びましょう」
 撫子の丁寧語に子供達は首を傾げるが、一瞬後にはもう忘れて、大きく手を振りながら遠くに駆けていく。
「紅英さん、私たちも帰りましょう」
 たくさんの足跡だけが残った公園の中を撫子は歩き出そうとするが、紅英は動こうとはしなかった。
 数歩の間をおいて、二つの長い影が落ちている。
「どうしました?」
「撫子。この前に話したこと、覚えているか?」
 二人は数日前に、桜が咲いたら学校という所に行かなければならないという話をしていた。
「はい、もちろんです」
 撫子は学校という所をよく知らなかったが、紅英と一緒という安心感が不安を打ち消していた。
「僕、学校に行けなくなった」
 うつむく紅英。撫子はその言葉を飲み込めずに、きょとんとした表情で紅英を見つめた。
「僕は撫子のお母さんの子じゃないから、学校に入れてもらえないことがわかった」
「そ、それって私のこと嫌いになっちゃったからですかぁ?」
 紅英と一緒に居られない。突然襲ってきた不安感に、撫子は泣きそうになる。
「そうじゃない。今もこれからもずっと、いっぱいいっぱい大好きだ」
「私も紅英さんのこと大好きです。だからどこにも行っちゃイヤです!」
「大丈夫。もう家には戻れないけど、桜が咲いたり、セミが鳴いたり、紅葉が落ちたり、雪が降ったりした日には会いに行くぞ。約束する」
 紅英が右手の小指を立てた。撫子もその意味に気がついて、自分の小指を絡める。
 夕空にカラスの鳴き声が溶ける中、二人は指切りをした。
 そして紅英は、必ず撫子の元に戻ると心に誓い、親を捜す為に歩き出した。
 段々と小さくなっていく紅英の姿を見つめながら、撫子は桜は明日には咲くのだろうかと思った。
 公園の桜のつぼみはまだ固い。

こんなのでどうだろう

>>1230
>神楽撫子の丁寧語に、友達の多くは不思議がった
撫子と子供達は初対面なの? 知り合って長ければ気にならないと思うんだけど。

1234イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/27(月) 10:12:22



     この厨房どもは、一体何をどうしたいんだろ・・・・

1235イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/29(水) 09:04:59
アニメファンが同人書くのと同じようなもんじゃないか?
まあリライトも一応は反応としてギリギリ成立しないでもないかも。
批評としては駄目だけど。

1236イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/29(水) 21:28:25
そもそもライトノベル作家を目指す厨房の巣で何を言っているのやら……
コミケで同人誌を批判するより的外れじゃ無いのか?

1237イラストで騙す予定の名無しさん:2006/03/30(木) 12:53:16
感想、批評の遣り取りは兎も角、
この場で逐一リライト報告すんな、ってことじゃないの?

1238那賀 健比古:2006/03/30(木) 18:47:38
>投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。

私もそれでひんしゅく買った口ですし……

1239イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/05(水) 15:26:31
 >1234 が言いたいのは、多分――リライトしてブラッシュアップした筈の文章が
「大して変わってないじゃん・・・」ショボーンという感想を述べたかったのではないかと

1240イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/05(水) 22:25:49
491 名前:りすかマニア ◆JmZ/qc/LHE [] 投稿日:2006/04/05(水) 20:58:36
今、ダチと競作してる小説で、枢機卿という議会の能力者の性格を掴ませるために書いた例文。
ぶっちゃけ痛いです。

ツンデレ(ツ)、戦闘好き(戦)、熱血(熱)、優しいショタ(優)、残酷なロリ(残)、爺(枢機卿リーダー)、
おしとやかな少女(お)、脇役的少年(脇、ボーイッシュ(ボ)、委員長タイプ(委)、天然系(天)、渋いオッサン(渋)

爺「さて、今日は枢機卿会議じゃが」
天「ねぇねぇ、おじいちゃーん。そんなことより〜」
爺「なんじゃ、天」
天「なんか面白いことないかな〜」
爺「何を言っておる、今は崇高な枢機卿会議じゃぞ」
委「そうですよ、天さん。今はそんなこと話してる場合じゃ……」
渋「まぁ、いいんじゃないの。委ちゃん。天ちゃんも枢機卿に選ばれた能力者の一人だしさ」
委「ですが、渋さん!」
ボ「そうなんだよな〜、委は堅すぎるんだよ」
お「私は委さんに同意かな、折角リディスさんからこの国の未来を決めるように言われてるんだから」
脇「天ちゃん、俺だったら話に乗るよ〜]
ツ「全く、脇はクズの役にも立たないな」
戦「それより、早く会議進めようぜ……。五百年前に封印された奴が、殺される前に復活し、銃を持った師団を皆殺しにしたって言うんだから、興味沸くじゃないの、早く戦いたいぜ」
熱「激しく同意する!! さっさとぶち壊してやりゃいいんだよ」
優「ボクは、戦いはあまり好きじゃないです……。出来れば、和平的解決をしたい」
残「バカか? 優は。うちの師団がバラバラにされたなら、細切れにしてやるのがいいと思うよ。ワタシはね」
爺「まぁ、待て。残。あれから、命令が変更され、保護するということになった。倒すのは急事の時のみじゃ」
残「へぇ、爺は黙ってられるの」
爺「いや、そうは言っておらん。やはり、殺さずに封印された身。下手に好戦的になると、我が身を滅ぼすやもしれんと言っておる」
お「そうですね。おとなしく、保護させてくれればいいんですが……」
天「そんな事より皆〜。今日のノエインはね〜、最終回なんだよ〜。絶対見ようね〜」
皆「……」

1241イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/06(木) 20:19:36
>>1240リライト


爺「十二人全員揃ったようだな――では、始めよう」
天「ねぇねぇ、お爺ちゃん」
爺「ふむ、何か事前に通達すべき事でもあるかね、天」
天「こんなつまんない事より、もっと面白くて、楽しい事ないかな?」
爺「巫山戯るのも大概にしたまえ。天、貴君が枢機卿に名を連ねてより大分経つが、未だにその自覚がないと見える
  力を持つものには、それ相応の責任が伴うものだ。自覚を持たぬものなど、枢機卿の末席を汚す事さえ叶わぬ。
  今の発言は忘れよう。早く、席につきたまえ」
委「爺の仰るとおりです。会議を退屈などとは――天殿、早く席に。今は、そのような事を話している場合ではありません」
渋「爺も委も、些か彼女を侮りすぎではないか? 
  天とて枢機卿に選ばれるだけの実力の持ち主、相応のものは持ち合わせていなければ、ここに列席する事も叶うまい。
  むしろ、奔放な振る舞いこそ、我々にはないもの。何も格式張る事ばかりがこの場の本旨ではない、と思うが?」
委「ですか…礼節を弁える事こそが――」
ボ「委は少し堅すぎるんだよ。別に騒がれたところで、無視してでも話を進めれば良いだけの話だろ」
お「渋様、ボ様。ワタクシ達はリディス様からこの件を一任された身。
  民草を護る事こそが、ワタクシ達の本懐なればこそ、この場には私心を廃して望むべきだと思いますが」
脇「天さん、僕でしたら、話相手に程度にはなりますよ。
  爺、席を外しても構いませんか? 子細は後で教えていただければ」
ツ「脇、貴方の頭の上に乗っているものは飾り?
  席を外す? 何のために、全員に招集がかけられたと思っているの?」
脇「あぁ、その――すみません。考え足らずでした。以後、注意します」
ツ「別に、状況を考えろ、と言っているだけで、貴方が人に優しいのが悪い事だと言ってるんじゃないからね。
  か、勘違いしないでよ」
戦「それよりも、早く本題に入りたいものだ。正直、席を温めているだけでは、な。
  完全装備の一個師団が全滅したと聞く。我らに比せば、烏合の衆と大差ないものではあるが、
  如何な存在がそれだけの被害を生んだのか、非常に興味深い。 叶う事ならば、是非、手合わせしたいものだ」
熱「為合いたい、という事に関しては同感だが、死者を烏合と呼ぶことは許せんな」
戦「御同類が良く言う。死者を悼めと諫めるのならば、貴様のその鼻を衝く香水は何か? 
  染み付いた血臭を誤魔化すためのものであろう? 
  上品な御託を並べる以前に、如何に多くの人間を殺してきたかを思い返してみる事だ」
熱「少なくとも、私が殺してきたのは敵の軍勢だけだ。見境のない貴様とは違う」
優「落ち着いてください。皆さんは血の気が多すぎます。可能ならば、争乱を起こさない解決策を模索すべきでしょう。
  無闇に力を振るうものは、いつか、力に溺れるものです」
残「生温いこと。貴方、頭が臭いましてよ。中身が腐敗しているのでしょうね。
  その頭蓋を捌いてさしあげましょうか? そうすれば、貴方も少しは、正常な思考が出来るようになるかもしれませんわ。
  死には死を。ワタクシ、これは至極、当然な事と思いますけれど」
爺「皆、猛っておるようだが……心せよ。我々に下された命は、件のものの保護である。
  破壊が是認されるのは変事急事のみ。無論、我等全員が召喚されたということは、急事、変事など起こりようはずもない」 
残「身内を殺されているというのに、黙っていろ、と仰るのですね。
  老いているのは身体ばかりかと思えば、その血潮も冷め切っているようですわね。
  御老体は棺に収まって、土中で永眠すべきでは? ――何なら、御身を今からでも八つ裂きにしましてよ」
爺「聞け。件のものの保護は王命である。
  王は兵卒や民衆どころか、件のものの身さえ慮っておられる。
  無論、保護の後に、相応の贖いはさせよう……王命は我等にとって絶対であるのは言うまでもあるまい」
お「えっと、今、議題になってるのは、五百年前の封印から解かれたものの事……なんですよ、ね?
  けれど、一個師団を壊滅さえたような方が、そう簡単に保護出来るようなものでしょうか?」
天「う〜、つまんない〜」
皆「……」

1242イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/08(土) 20:33:03
1シーンにキャラが何人もいる時点で、リライトしようがどうしようが微妙ス

1243イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/08(土) 23:01:42
 だから「リライト」じゃ無く「論評」しなさいな。問題点を指摘して、
その上で改訂版を書くならまだ判るが、いきなり「僕だったらこう書く」
じゃ駄目だろう。
 それに敢えて言うなら、>1240-1241はライトノベル以前に小説では無い。
ただのシナリオ擬きだ。戯曲の形式で書くなら別だが。

1244イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/11(火) 01:22:35
正直>>1240は、そもそも読むと気持ち悪くなってくるんだよなあ。
枢機卿という役職に対して具体的なイメージが無い。間違いなく。
あとその枢機卿が出席して、しかも戦争しますか? って話題なのに
全然緊張感も無いし、意思統一以前に彼等はそもそも過去に一瞬でも
一個の集団として統一されたことがあると思えない。つまり
「彼等が会議を開き、互いに同席している」事自体が異様というしかない。
枢機卿のキャラがどうこういう以前の問題。で、そういうのを置いておくとして、
枢機卿のキャラは出てるんじゃない? 「会議」を開くとか言っておきながら
実質何の話し合いもなく、会議以前に勝手に決めた事を一方的に知らせて、
しかも出席者が誰もそれに文句を言わない辺りは特に。野蛮人を言葉で弄ぶ
世話焼き(っぽく見えて)爺さんって感じ。

1245なりたい:2006/04/12(水) 15:47:43
世界観です。意見お願いします。         
星は生きている。星はすべての生物に精霊を宿し、精霊を通して生気を吸収し、自然現象を起こしていた。人間は長い進化の過程で、逆に星から力を吸収して地水火風の属性を操る〈魔法〉を習得した。
魔法によって疲弊してしまった星は苦しみから逃れるように叫び続ける。星の声を聞いた人々の、星を救う戦いがはじまる。

1246イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/12(水) 16:53:50
現行人類を皆殺しにする怪人達の話でも書く気か?

1247イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/12(水) 22:31:56
なんともいえないな。童話ならいいんだが。
とりあえずその設定だけでは興味を惹かれると言うことはおそらく無いだろう。
その設定ですすめるなら一ひねり・二ひねりぐらいいるんじゃねーかな

1248イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/12(水) 22:55:50
まあ、よくあるグリンピース系の話だ罠。
結局、行きすぎた文明っていくないよね、なんて最悪な展開はヤメレ。
あらすじ読んだ段階でポイされる可能性高し。

ところで、星と惑星は根本的に違うぞなもし。

1249イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/13(木) 14:44:32
設定だけ、プロットだけって論評し辛いんだよね。
その設定なりプロットなりを使って、どんな話を書きたいのかな?
「ロードス島戦記」をカーラの側から書くとでも?

1250那賀 健比古:2006/04/15(土) 01:11:18
「実力あるのに売れてないラノベ作家」
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1135315310/
138 :イラストに騙された名無しさん :2006/01/18(水) 23:09:06 ID:ooFtD71S
田中芳樹はヤバイよな。
思想の粉(特にサヨ系のやつ)は思春期的な優越感をくすぐるからなあ。
「俺はバカな大人と違ってこんなにも現実が見えてるんだぞ」って感じの。
大学紛争とかやってた世代って、今の中高生くらいのメンタリティだったのかな。
どれもこれもはしかみたいなもんなのにね。

 青臭い思想を取り込む事に遠慮は要らないと思います。むしろモラトリアムの優越感をくすぐり、
成功を収める事だって少なく無いかと。
 同様の事はこちらでも指摘されていますし、自覚的に用いるなら良いのでは?


「惑星開発大辞典」
http://members.at.infoseek.co.jp/toumyoujisourin/jindex.htm
「田中芳樹」参照

 こちらでは「現実に」そうした活動をしている「サヨク」や「プロ市民」についての、興味深い
考察も見受けられます。「小林よしのり」氏が「脱正義論」で描写している、永遠に実社会から
離れて社会正義に奉仕する自分に酔いしれていたい社会運動家など。

1251イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/15(土) 12:04:10
>>1245
それ何てFFⅦ?
本編見ない事にはそれしか言えない

1252イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 00:54:33
いままでWEB上でアニパロとかしか書いてきたことが無かったのだが、今回初めて投稿に挑戦してみようと思った

あげるのはプロローグと一章目の一部、いわゆる導入部分です
批評よろしくお願いします

1253イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 00:55:21
砂埃がレンガ造りの家並みを灰色に染めていく。
あたしに良く似たその女性は、旧式のアサルトライフルのチャンバーに薄く積もった埃をふっと軽く息で吹き払うと、そっと安全装置に親指を添えた。
似ている、なんてものじゃない。多分に一卵性の双子であってもここまで酷似した例は稀であったろう。
彼女の年の頃はおそらく17〜20歳くらい。あたしと同じであるならば18歳か。決して大きいとは言えない上背に一見戦場には不似合いな細身の身体。丸い奥二重の眼と…これはあたし自身コンプレックスに思ってはいるのだが…小さくて低い鼻。
何から何まで彼女はあたしにそっくりだった。違うと言えば、肩口で綺麗に切り揃えられた髪と日に焼けた肌、そして「死」を見続けてきた険しい瞳くらいか。
「S-4、ポイントに待機しました。予定時刻に実行します」
 彼女は…いや、もう「あたし」と言っていいだろう。あたしは彼女の目と耳と触覚を通してそこに存在していたのだから…骨伝導マイクを通して「仲間」に報告する。使用した言語はなぜか英語。各方向に展開する「仲間」は計8名。攻撃対象となる家に隠れる「敵」は、衛星で確認しうる限りは4名。
 あたしは今回は揺動役だった。周囲に展開する味方に先んじて正面から突入する、危険な役。突入する時間は他の仲間に対して10秒早いだけだが、その10秒が持つ意味は大きい。
 ドアの横の壁で息を殺しながら、あたしは仲間同士で正確に合わせた腕時計に目を遣る。この作戦で生死の鍵を握るのは隠密性と速さとチームワーク。
 特に速さは重要だった。人間の反応速度は、予測して待ち構えても約0.2秒、不意をついて0.8秒〜1.2秒。
 まさか敵がもたもたと1.2秒も何もできないなんていう僥倖を元に予測を立てるわけにはいかない。0.8秒だ。ドアを破壊してから0.8秒の間に視認し得る全ての対象を行動不能にさせることができなければ、それはすなわちあたし自身の「死」を意味する。
 10秒前、まさか寸前まで時計を凝視しているわけにもいかないのであたしは時計から目を離すとライフルの銃口を扉のロックの要点に向けた。跳弾を避けるため射線は斜めに。
 そして、心の中で残り時間を正確にカウントする。
 …4、3、2、1、
 ピピピッ!ピピピッ!

1254イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 00:56:13
    1

 ピピピッ!ピピピッ!
 無機質な電子音が世界を浸食してゆく。あたしの目蓋を染めるのは、薄いカーテンを貫いてもまだ弱まることのない朝の日差し。
 あたしはゆっくりと目を開いた。白いクロス張りの天井が薄ぼやけた視界に映る。
 妙な浮遊感があった。おそらく超能力とかいうものが本当にあったとして、思いがけずに瞬間移動してしまったらこういった不思議な感覚に囚われるものなのかもしれない。
 いや…もちろん頭のどこかにある理性では、あたしはわかってはいた。これは「寝惚けているだけ」なのだと。
 あたしは頭上に右手を伸ばしてしつこく鳴り続けている目覚まし時計を止めると、ゆっくりと上半身を起こした。最近の目覚ましは簡単に止められないように上の大きなボタンを押して止めてもまたすぐに鳴り出すようにできているけれど、あたしの指先は適格に裏側のメインスイッチの場所を覚えていた。
そして前方の壁…つまりあたしのベッドの足元…にある「イブリース」という名前の和製ロックバンドのポスターをぼんやりと見つめながら、あたしは自分を取り戻す作業を開始することにした。
「う…えっと…」
あたしは…あたしの名前は…えっと、そう、絵梨。うん、東山絵梨で間違いない。絵梨子でも絵梨香でも千絵梨でもない、ただの絵梨!意味をあらためて考えると「梨の絵」ってことになるんでもしかしたらとんでもない名前なのかもしれないけれど、パパとママがこれが可愛いと思って付けた名前であろうから、これでいいのだとも思う。
 あたしの職業は…うん、少なくとも兵隊さんではない。だいたい戦争なんてテレビのニュースやアニメの中にしかない遠い出来事に過ぎない。こう言ってしまうと遠くで命懸けで働いてる自衛軍の人達やたくさん死んでいってる現地の人達に対して不謹慎に過ぎるのかもしれないけど、でも、普通の日本の女の子なんてこんなものだ。そこは許して欲しい。
 …じゃなくて、職業!えっと…うん、高校生!公立崎山高等学校の二年生で歳は18。
 18歳でまだ二年生をやってるって…そこは、ちょっと事情があってね。決して勉強ができなかったとか、そういうのではないです、うん。
 家は一戸建て。二階建てで二階の部屋の一つが今あたしのいるここ。首都から電車で一時間と少しくらいの内陸部にパパとママとの三人暮らし。首都に程近い、とは言ってもここは結構田舎で自転車で30分程も山に向かって走っていけばだだっ広い田園風景とカエルの鳴き声が出迎えてくれる。
 現実感覚を取り戻したあたしは、階段を下って居間に向かうことにした。…「彼女」、あたしに良く似たあの兵士が登場する夢を見たごは必ず夢の世界から現実の感覚に戻るまでに時間がかかった。もちろん他の時でも…例えば朝起きてトイレに向かったと思ったら実はそれも夢だった、みたいな感じの時には同じように現実感を取り戻すのが難しかったりする。しかし、「彼女」の夢のときは100%自分自身の確認作業を必要とした。
 不思議だった。別にあたしは戦争だのなんだのが好きだとか憧れてるとかいうわけじゃない。むしろ…怖い。現実に道端で車に轢かれた猫の屍骸や何かみたいな身近な死の怖さというよりももっと遠い…なんか、抽象的な「死」というものの怖さ。なのに…どうして、どうしてあんな夢を見てしまうのだろう…?しかも、何度も。
 階下から香りが漂ってきた。この甘い濃密な香りは…蒸発したバターの、濃厚な、それ。ママが定番のオムレツを作ってくれているという、その合図。
 あたしはとりあえず今朝の夢に対する疑問よりも空の胃袋の要求を優先させることを決定した。

1255イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 01:01:11
えっと、このあと主人公は事件に巻き込まれ、襲われたり拉致されたり、そうして敵や協力者と出会って流されているうちに自身の「過去」に直面して苦悩し絶望し新たな愛と希望を見つけて戦う、
そういう話の予定です

よろしくお願いしますm(_ _)m

1256イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 02:17:17
誤字は「揺動役」くらいかな。「兵士が登場する夢を見たごは」、ってのは未変換か。
「首都から電車で一時間と少しくらいの内陸部に」と地名の記述を拒否してるのは
奇妙に感じたけど、なんか訳があるんだろうか。
冒頭のハードアクション風から一転して新井素子っぽい語り口は計算してやってるんだろうね。

でも、これだけだと良くある話。奇妙な夢に悩まされてて、それが実は、ってパターン。

描写がほとんどないからアラが目立ちにくいけど、「砂埃がレンガ造りの家並みを」としか
示せないあたりに描写力の不足を感じた。突入する家も、見つめているはずの扉も
時計も具体的な姿が読者に伝わってこない。(夢だから曖昧にした、のならいいけど)

あとは文章がくどい。
「多分に一卵性の双子であってもここまで酷似した例は稀であったろう。」
多分に、はいらない。
「あたしはとりあえず今朝の夢に対する疑問よりも空の胃袋の要求を優先させることを決定した。」
は「とりあえず今朝の夢に対する疑問よりも胃袋の要求を優先させることにした。」
まあ、これは慣れれば良くなるだろうし、好みもあるし。

この調子で通していければ、一次はとおるだろうと思う。

12571255:2006/04/17(月) 09:18:35
>>1256
的確な批評、ありがとうございます。参考にさせていただいて研鑽します

>地名の記述を拒否してるのは
>描写力の不足

曖昧にはしてますが、むしろ資料の無さ…というか、それゆえの自信の無さの現れでしょう
俺は中東にも北関東にも本来は縁がありませんので

>冒頭のハードアクション風から一転して新井素子っぽい語り口は計算してやってるんだろうね。

計算、っていうか硬い表現を微妙に増やしたり減らしたり…
しかし、新井素子先生の名前がでたのは驚きです
模倣してるつもりはありませんが、ン十年前の中学生時代に確かにハマリまくって影響を受けた先生の一人、ですから

>あとは文章がくどい。
癖です。気をつけたいと思います
一人称の場合、「あたし(私・俺・僕)」といった主語の省略を拒否すると、くどくなりますね。でも、省略はほどほどにしてS+Vはできるだけ守りたい
その辺は倒置や受動態で主語を入れ替えることなどで工夫したいと思います

しかし…一人称って、難しい><

12581255:2006/04/17(月) 09:22:15
>この調子で通していければ、一次はとおるだろうと思う。

厳しいですね…。1256さんの評価が、ではなくて、この世界が

たぶん、「クオリティを落とさずにありがちでないものに仕上げてようやくB」といったところですか?
本当にありがとうございますm(_ _)m 頑張ります

1259イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 10:16:34
それも運が良ければ一時通過かな
パクリでも何でもいいからまずは文章を盗む事をしてみては

1260イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/17(月) 23:41:15
確信持てないアレですまないけど、どこまで細かく書けば
読者に残りの部分を汲んで貰えるか、読み手に任せる信頼感覚が
まだフラフラしてるのかと。

口語体なのに一文(=一息での発音)が長いのが冗長の原因かな。
読み手はほとんど反射的に「自分が喋っている」感覚で読んでしまう。
それなのにこっちが息継ぎしたくなっても平気で喋り続けるから、
読み手は不安感というか異物感を喉に抱えてしまう。同様に
喋り文体で結構饒舌かつフランクな感触がするのに、時々不意に
「文章的な」演出を施した文章が現れる。これも違和感の原因かと。
もっと、ほんとに喋りながら書く気で行くのがいいかな?

「そんなに言うならオマエやってみろ」と言ってくだされば、当方なりに
指定された文章のリライトなどもさせていただきますワ。

12611255:2006/04/18(火) 08:20:47
ご指摘の部分に修正加えて、書き進みました
とりあえずはこのまま突っ走って、後に見直そうと思います

今度晒すのは完成してから。…何ヶ月かかるかはわかりませんが

>>1260
ありがと。でもリライトは遠慮させてください

1262イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/19(水) 18:33:59
1245です。 FF7プレイしたことがないのですが、どんな粗筋、世界感なんですか?    よかったら教えて下さい。

1263イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/19(水) 18:44:25
あれ? 送信したはずなのに書かれていない。
もしかしてどこかに誤爆したのか……終わった。

12641263:2006/04/19(水) 18:53:27
容量オーバーだったのかな? まあいいか。
電撃掌編用に書いたものを晒したいと思います。
批評をお願いします。


 ――ミンは天才だ。彼女を知る者は口を揃えて言う。
 ――ミンは貧乏だ。彼女の才を羨む者は、哀れみの中に、暗い愉悦を含ませて、言う。
 ――ミンはバカだ。彼女の保護者である祖母の言葉。きっとこれが、もっとも正しい評価なのだろう。

 わらぶき屋根が立ち並ぶ、人口三桁の小さな村。主な産業は牧畜と農耕。領主に納める税の工面に四苦八苦する、そんな村。
 今日は年に一度の収穫祭。村人が総出で、頭を垂れる麦を刈り取り、腰の曲がった老人や子供が、それらを昔から伝わるレシピに従って調理する。村を駆けめぐる風には、麦を焼く香ばしい匂いと、祭り独特の高揚感が入り交じっていた。
 しかしその高揚感と無縁の人間もいた。
 集落から数百歩ほど離れた場所に建つ一軒家。その家は、集落にあるどの家よりも小さく、どの家よりも古かった。
 家の中では、床に腰掛けた少女が頭を抱えてウンウンと唸っていた。少女の前には、大量の荷物が散らばっている。少女はこの家の主、名前をミンと言う。座れば、床に届くほど長い髪を持つ少女だ。
 王都の誇る、数々の賢人を排出した学舎。そこの特待生であるミンは、長期休暇を利用して故郷に帰ってきていた。
 六歳で学舎に入ったミンからしてみれば、五年ぶりの帰郷である。そんな彼女が、収穫祭だというのに何故家に引きこもっているかというと、
(うう、人の輪に入れない)
 村に滞在できる期間は三日。これは長期休暇のほとんどを移動時間に費やしたためだ。そして今日が三日目。明日の昼には村を発たねばならない。滞在期間と収穫祭が被ったのは存外の幸運だった。ミンの幼い頃の記憶では、収穫祭はもう少し後の時期に行われていたはずだ。今年は麦の生育が早かったのだろうかと、彼女は疑問に思う。
 しかしその祭りも楽しめそうではない。ミンは皮と布でできた大型の鞄に、学舎の制服を仕舞いこみながらため息を出す。五年という月日は、ミンが考えているより長かった。
 どこかぎこちない様子を見せる友人たち。彼らは村で必要とされる技能の大半を習得し、個人で生活する力を身に着けている。
(それに比べてわたしは……。料理はできないし、麦も刈れないし。ああ、なんて役立たずなわたし)
 手に持った布で、はらはらと零れる涙を拭うミン。その布が洗濯したばかりの制服であることに気付いた時にはもう遅い。制服は鼻水と涙でべったりと汚れていた。
 もう一度洗う時間はない。ミンは溢れそうになる涙を堪えて、制服を丁寧に畳む。
 外からは、祭りの開始を知らせる笛の音が響いてくる。

12651263:2006/04/19(水) 18:54:26
(ああ、孤独です。ばっちゃま、どうしてミンを置いて死んでしまったのですか)
 村人から聞くところによると、祖母はミンが王都に発ってから二年後に死んだ。ミンを学業に専念させたい。祖母はそう言って、ミンに己の死を伝えることを拒否した。ミンが祖母の死を知ったのは、帰郷後のことだ。
 ミンは首を捻って家の中を見渡す。テーブルやタンスの配置は、彼女が故郷を発つ前と変わっていなかった。村人が時折掃除をしてくれたため、家自体も痛んだ様子はない。だけどこの家からは、人のぬくもりが感じられない。
 それがミンの涙腺を緩める。この家はもう、ミンと祖母が暮らした家ではないのだ。
 家の外からは人々が騒ぐ気配。祭りはもう始まっている。昔は自分も祭りの輪に入って騒ぎ倒したのにと、ミンは自嘲する。
 せっかく収穫祭とかち合ったのに、家で一人寂しく過ごすミン。彼女は抱えた膝の間に、頭を塞ぎ込ませる。真っ直ぐ伸びた黒髪が床に広がる。すぐそこから聞こえる喧噪が、彼女の心をいっそうわびしくさせる、が。
(すぐそこから?)
 何故、村はずれにあるこの家の側から喧噪が聞こえるのか。首を傾げるミン。答えは扉から入ってきた。
「ミン、いるか?」
「ジャック?」
 軋みを発して開かれた扉。その隙間から顔を覗かせているのは、昔よく遊んだ男の子であるジャック。外には他の子供たちの姿もある。
「なにやってるんだよミン。せっかくお前が帰ってくるのに合わせて収穫祭を開いたっていうのに、肝心のお前が参加しないんじゃ意味ないだろ」
「ジャーック。素直に言っちまいな。ミンと一緒に祭りを楽しみたいって」
「そうだよジャック。ミンが帰ってくること、あんだけ喜んでたでしょ」
「ミン。ジャックってば、ミンの手紙が来たその日から……」
「あー、お前ら黙れ!」
 扉の隙間から次々に顔を出す子供たちに、ジャックは怒鳴り声を上げる。蜘蛛の子を散らすように離れる子供たち。しかし彼らは一定の距離を取って、ジャックとミンの様子を眺めている。
「来いよ、ミン」
 ミンに向かって、手を差し出すジャック。
 ミンはジャックの手は取らずに――泣きながら、彼の体に抱きついた。
「ミミミ、ミン?」
「うう、ありがとう。ジャック」
 はやし立てる周囲の声も耳に入らず、ミンはただ、ジャックの胸の中で涙を流した。

1266イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/20(木) 18:42:47
 掌編ということなら過不足無く書けてると思います。強いていうなら、ミンが感じた
疎外感にもう少しスポットを当てては如何でしょう? 学校を、職場を、故郷を離れて
感じるそれは、勉強、仕事、家事手伝いの出来不出来には有りません。
 むしろ休み時間に話すTVの話題、アフター・ファイブや井戸端会議で感じるだろう、
価値観の違いにこそあるものです。

1267イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/20(木) 19:49:27
>>1264

細かいことを言うなら、床は「腰掛ける」ものじゃなくて「座り込む」ものです
大局には、言うことはあまりありません。主人公の名前を繰り返して読者に印象付ける導入法といい、マクロ(村)からミクロ(主人公)へとパンしていく描写といい、手馴れたものを感じます

ただ…疑問が…

人の輪に入れない
せっかく収穫祭とかち合ったのに、家で一人寂しく過ごすミン

こういった疎外感や寂寥感を感じる時、人は「頭を抱えてウンウンと唸」るものなのでしょうか?
例えば自分に置き換えるなら、俺ならたぶん「虚空を焦点の合わない目で見ている」でしょうし、この状況なら「窓からぼんやりと祭の様子を眺めてる」かもしれません

まあ、「頭を抱えてウンウンと唸」る性格の主人公なのかもしれませんが

12681263:2006/04/20(木) 20:52:17
>>1266

>学校を、職場を、故郷を離れて感じるそれは、勉強、仕事、家事手伝いの出来不出来には有りません。
>むしろ休み時間に話すTVの話題、アフター・ファイブや井戸端会議で感じるだろう、価値観の違いにこそあるものです。

考えてみれば、確かにその通りですね。自分の学生時代、友人は頭の良い奴らばかりでしたが、そのことで疎外感を感じたことはありませんし。

>>1267

>こういった疎外感や寂寥感を感じる時、人は「頭を抱えてウンウンと唸」るものなのでしょうか?

指摘された部分を読み直しました……ものすごく変ですね。

お二人とも、批評していただきありがとうございます。
おかげで自分が抱える問題点がわかりました。

12691267:2006/04/20(木) 21:38:28
多分に1264は、自分の中の物語を客観視して捉えることができるゆえに、上手い描写ができるのだと思う。ある意味優れた資質だな
そして、それは諸刃の剣で、それゆえに俺や1266の指摘につながるんじゃないか?

んで、な

>おかげで自分が抱える問題点がわかりました。
わかるなよ!わかった気になるのが一番怖いぞ!

これからもこういう問題もたくさん出てくるだろうから、わからなくていいから書き上げて、少なくとも3人の友達に読ませて同じように指摘してもらえ!
そして修正と校正に創作と同じくらいの時間をかけろ!

12701263:2006/04/20(木) 22:14:24
>>1269
>わかるなよ!わかった気になるのが一番怖いぞ!

>これからもこういう問題もたくさん出てくるだろうから、わからなくていいから書き上げて、少なくとも3人の友達に読ませて同じように指摘してもらえ!
>そして修正と校正に創作と同じくらいの時間をかけろ!

作品の内容だけでなく、創作における心構えも指摘してくれてありがとうございます。
友達に見せる、か。……良い作品を書くためだ。この際、恥ずかしいなんて気持ちは捨てるか。

1271那賀 健比古:2006/04/21(金) 18:17:54
文学的な人間観察と描写についての指摘、ラノベの範疇に留まらない質の高いやり取りですね。

1272イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/22(土) 20:04:37
 それは、今から約二年前――西暦二千十年のことだった。
 そのころ、俺はまだ高校に入学したばかりで。高校を出た後の人生について、別にたいした夢や希望があるわけでもなく、まあごく普通に成り行きまかせな人生を送っていた。
 そんな人生でも楽しかったし、幸せだった。
 父さんはごく普通の会社員。母さんはごく普通の専業主婦。飼ってた犬はごく普通の柴犬。兄弟も何もいない一人っ子だった俺だから、両親からはちょっと甘やかされていた感じはあるが、その分だけ俺を厳しく育ててくれるひとがいて、なんというか喜ぶべきことだと思うんだけど、俺はごく普通にまともに育っていった。自分で言うのもなんだが。
 だけど。そういう普通の幸せってやつは、案外簡単に崩れるものなんだ、と。俺は嫌というほど思い知ることになったんだ。
 夏の、特に暑い時期だったと記憶している。八月ごろかな。たまに母さんが作るかき氷が美味くて、腹を壊すほど食ってたっけ。
 まあ、そんな時のことだった。
 普通に普通だった俺の普通な人生を、世界ごとまとめてぶち壊す事件が起こった。
 大規模な、そう、それこそ世界規模で悪質なウイルスが蔓延したんだ。
 最初にどこの誰が感染したのか、知ってる奴はいないだろうし、今となってはそんなことに何の意味もないと思う。
 とにかく、最初の誰かさんからどうにかして他のどこかの誰かさんに伝染したその病原菌はまた他の誰かさんに感染して、と。それが凄まじい速度で繰り返されて、あっという間にどこか外国にある一つの町全体の人間を感染者に仕立て上げてしまった。
 そこで始めて、やっと本格的に深刻な事態となって、俺達が住んでいる日本のちょっと田舎が入った町の茶の間にもニュースとして伝えられたわけだ。
 それを、テレビの画面ごしに見るそれを、俺はいったいどういう風に言い表せばいいのか、分からなかった。
 いや、知っていたと思う。分かっていたと思う。
 だけど俺の思考はその答えを出すことを拒否していたんだ、と思う。
 それは、とても理解したくない惨状だったから。現実とはかけ離れた夢や幻の産物のように見えたから。
 俺は箸ではさんでいたジャガイモが落ちてテーブルの上を転がったことにも気付かず、画面の中の地獄を食い入るようにして見ていた。父さんも、母さんも、そうしていた。
 ――そうだ、地獄だ。これが何よりも適切な表現だと思う。

1273イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/22(土) 20:05:13
 ヘリコプターに乗った報道者達のカメラによって上空から映されたそこには、地獄があったんだ。俺が今までに見たこともないような、地獄が。
 町のあちこちでは爆発が連続して、ビルが倒れて瓦礫が山を作っていた。
 ひび割れた道路には車が玉突き事故でも起こしたのか何十台、何百台とスクラップになって放置されていたし、中からは血まみれの腕が力なく飛び出ていたりして、運転者の末路を否応無しに想像させた。
 絶叫が聞こえていた。身震いするような断末魔の悲鳴が。町中から、競うように。
 だけど、そんな中で何より目に付いて、しかも恐ろしい光景があった。
 人が歩いていた。
 たくさんの人が歩いていた。
 地獄の中を、山ほどの数の人が歩いていたんだ。
 だけど、どうにも異常だということは、遠く離れた地にいる俺にだって一目で分かった。
 その時、リポーターだろうか、ヘリの中の誰かが、大きな声でそこを指差した。ほとんど悲鳴じみた声だ。現場にいる彼こそは誰よりも深く恐怖しているのだと思う。
 果たして、何千人――いや、何万人といるかもしれない人々の一部を、カメラは大きく映し出す。
 ああ、やっぱりな、と俺は思った。横では母さんが悲鳴を上げていた。父さんが喉を鳴らす音が聞こえた。
 ゾンビだった。そう、簡潔に言ってしまうと、そこにはゾンビがいたんだ。
 いつか友達といっしょに借りてきたビデオで見たB級ホラー映画とか、何年も前に発売されて大ヒットした有名ホラーゲームだとか、そういうものに登場する、ごく普通の、ゾンビ。
 腕が千切れている男がいた。脳漿が飛び出ている女がいた。臓物を引きずって歩く男がいたし、足がないので這うようにして進む女もいた。
 作業服を着ている奴がいれば、高価そうなスーツを着こなしている奴もいたし、薄汚れたドレスを着ている人もいれば、裸同然の人もいた。
 まったく共通性のないように見える彼らに、だけど共通して言えることが一つある。
 死んでいるのだ。完全に死んでいる。人間が、ああなってまで生きていられるわけがない。動けるはずがない。歩けるはずがないんだ。だというのに、頭が半分ほど吹き飛んでいても、どう見ても心臓があると思われる位置に風穴が開いていても、彼らは動いて、歩いて、進んでいた。
 ゾンビだよ。そう、ゾンビなんだ。
 崩れた町の中を、山ほどの数のゾンビが、群れをなしてただ一つの同じ方向に向かって行進していた。
 それを、はっきりと、ちゃんと理解した瞬間。
 俺は、いま胃の中に詰めこんだものをすべて吐き出していた。
 酸っぱい味が口の中を占領する。腹筋のあたりが痛いくらいに収縮している。
 俺を気遣う父さんの声が、やけに遠くのものとして聞こえた。

12741272:2006/04/22(土) 20:07:21
と、いう冒頭から始まるゾンビ話なんですが、どうでしょうかこれ(´・ω・)
批評をお願いしたいです。よろしくお願いします。

1275イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/22(土) 23:39:03
>>1272-1273
これが出だしだとすると、弱い。
描写が弱いしオリジナリティも感じられないからもっと考え直した方がいい。
アイディア以前の問題じゃないかな。

ウィルスをモチーフにした小説や映画は山ほどあるので、
それらの冒頭がどう始まっているか、一度研究してみることをお勧めする。

12761272:2006/04/23(日) 02:49:19
>>1275
どもです。ご意見ありがとうございます。
書いててどうも「ありきたりだなー」とは感じていたので
やっぱりなー、ということで書きなおす決心がつきました。

何か他に問題ないでしょうか。一人称ってどうも慣れてないもので…

1277イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/23(日) 11:34:34
>>1276
偉そうに書いてしまったついでで、主観だけどアドバイスを。

一人称っていうのは、基本的に「僕」から見た世界しか書けない。
ということは、他人の痛みや感情、あとは世界の情勢なんていうのは、
「僕」というフィルターを通して表現されなければならないわけ。

そうなると、独自の世界を書いたりするときには役立つ一人称も、
冷静に物語を進めないといけない推理やサスペンス物では、
「一人称」そのものをギミックにでもしない限り、
「三人称」のほうが書きやすいということになる。
(名探偵ホームズが主人公の一人称はなく、ワトソンが一人称として語られるのも、
このあたりの理由によるものだと、個人的には考えている)

一人称と三人称の選択そのものにも、意味を持たせた方がいいと思うよ。

12781277:2006/04/23(日) 11:41:48
ごめん、ちと主題がずれたな。
今回の文章の場合、本来なら緊迫しなくちゃいけない場面なのに、
あくまでも「僕」が間にたって地の文を進めているので、
どこか冷めた印象がでてきている。
これは上の通り一人称の弊害でもあるんだけど、やはり書き慣れていない感じが出ている。

何事も経験なので一人称で進めてみるのもいいと思うが、
緊迫したシーンをどう書くかを、
(他人が混乱している状況を書く、とか、「あとで知ったことだが」のように完全に一歩退いて書く、とか)
小道具や、いろんな手法を駆使して書いてみたらいいんじゃないだろうか。

12791272:2006/04/23(日) 20:37:17
>>1277
>あくまでも「僕」が間にたって地の文を進めているので、
>どこか冷めた印象がでてきている。
なるほど・・・
確かに改めて自分で読み返しても、緊迫した感じが伝わってこない。
もっと勢いがいい感じで書いたほうがいいのかなあ。
「僕」の思考をそのまま押し出すような・・・ムズヒ

ずっと三人称で書いてきたものなので、手探り実験状態です。


頑張ってみます。ありがとうございました。

1280イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/24(月) 18:38:50
 冷たい風が、私の頬に遠慮なく吹き付ける。
 頬は冷たく、体は火照って、それでも私は走り続けていた。
 ビルの合間を、飛ぶように進む。足はもう棒のようだったが、止まるわけにはいかない。
 追っ手は、すぐそこまで迫っている。振り切る事はできないにしろ、時間を稼がなければならない。
 いまだ非生体(プロスフェラ)の私は、最下級にさえ劣るのだ。追いつかれれば最後、読師(ヤツ)に勝てるはずもない。
 せめて対等に戦えるようになるその時まで、私は逃げる。人の街を、駆け抜ける――。

 銀色のビルが後ろに跳び退り、流れ過ぎる。
 数十もそれを後にしたころ、急にビルの森が疎(まば)らになった。
 元々それが狙いだったのだから、当然といえば当然だ。
 私という獲物を探す狩人(ヤツ)は、人の匂いから獣(わたし)の臭いだけを探し当て迫り来る。
 だからこそ私は、人の匂いが薄れる都会の外へと向かう。ヤツは、私の思考がいまだ人間の域をぬけていないと侮っている。人の海である都会に私が隠れると思っているのだ。
 しかし、私は既に自分が人外である事を悟っている。そんな愚かな事はしない。
 人外(わたし)は人間の中にいてはならないのだ。
 目を薄め口の端をゆがめる。笑んだつもりだったが、漏れたのはしゅう、という嘆息だけだった。
 かれこれ数時間、休みもせずに走り続けた私の体はすでに疲れ果てている。
 限界が近い。早く、休める場所を見つけなければ。
 乱れた呼吸を、足を止めて何とか整える。見上げると、月が昇り始めていた。
「うっ」
 見慣れた月が、ぐにゃりと歪む。頭から、血の気が引いていくのがわかった。足ががくがくと痙攣して、体を支える力を失う。
「気を緩めたら、すぐにこれか」
 月に向かって一人ごちる。
 霞む月を見上げるように、私の体は倒れ伏していた。

 暫(しばら)く立ち上がろうと努力したが、ペースを崩したこの体は容易に私の命令を受け付けない。
 なんとか首だけを動かして、あたりを見回す。
 人の気配はない。冬も近づく今、わざわざ寒空を歩く『人間』などいないのだ。人は群れをなし、温もりの世界でのうのうと生きる。私も、………。
 ふん、と鼻を鳴らして、私は浮かんでしまった希望に少しだけ腹を立てた。
 人外の私には、人間の暖かさなど必要ない。獣は、常に世界(うつつよ)の外にあるのだ。
 愛玩動物(ペット)でもない限り、人間のぬくもりなど獣にはいらない。
 そう断じてから、私はその気持ちに顔を背けた。
 くるりと、視線を回す。
 目前に、人間が立っていた。なんて迂闊(うかつ)だろう。
 自分の事に気を取られて、私は辺りなど見ていなかったのだ。
 男が、私を見下ろしている。何か疑っているような、奇妙な表情だった。
 男と私の視線が絡み合う。男の黒い瞳が眩しいくらい輝いて、私はそこに吸い込まれていた。
 傍から見れば明らかに不審であろう私に、男は眉根を寄せる。しかし、瞳の輝きは収まらない。その輝きは男の心を写しているのか、それともただの好奇心か。
 男が、口を開く。

     ▼▼

 十五世紀から、現在まで受け継がれてきた儀式が存在する。
 連綿と時代を経て、それでもなお終わらない。
 悪魔に心を売り渡し、人々を脅かす『獣』に裁判(ショブン)を行う。
「判決(断罪)」
 今宵も正義の名の下に、神罰を騙る殺人を。
『魔女裁判(ヘクセン・タンツ)』

    ▼▼

 某、研究学園都市。
 整然と並べられた家々。
 全てが造られたその街に、月だけは超然と夜空に輝いて、道路沿いに二人の男女を浮かび上がらせた。
 女が――少女と言った方が正しいだろう――道路に仰向けで倒れている。
 長い黒髪が放射状に広がって、奇妙に妖艶だった。黒いコートを身に纏(まと)って、革のような質感の服を着ている。
 少女は、先ほどからピクリとも動かない。
 といっても気絶しているわけではなく、眼光鋭く目前の男を見上げていた。
 見上げられている男は、買い物袋をその手にぶら下げ、けだるそうな視線で見返している。
「……救急車でも呼ぶか?」

12811280:2006/04/24(月) 19:15:04
よくある月並みなストーリーの冒頭部分です。ご批評お願いします。

1282イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/25(火) 01:07:53
描写力が不足。具体的には単語の選び方が変だと思う。
冷たい、の次に火照って、とくるから寒いのかどうか判らないし、
飛ぶように、とあるから華麗な動きかと思ったら、足が棒。
「霞む月を見上げるように、私の体は倒れ伏していた。」これ、身体起こしてるの?伏せてるの?
あえて語を対比させて効果を出す、という手法でもないようだから、たぶん、適切な描写が浮かばないんだろう、
と思う。本を読んでない、長文になれてない可能性もあるけど。

ひたすら走って、「勝てなくてもせめて時間稼ぎ」、と悲壮な覚悟を示していながら
「休む場所を見つけよう」、なんでこういう場当たり的な描写が続くのかなあ。

1283イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/25(火) 06:41:52
描写については1282が言ってるので、別の意見を

導入、としてはありきたりっぽくてちょっと弱いかな?
逃亡の部分を一人称にしたのは、読者を引き込むための工夫のつもりだろうけど、その直後に

十五世紀から、〜

という説明に切り替わっているので違和感が強い上に必然性も感じられなくなっている

一人称の導入にこだわるなら、いっそ、逃亡の部分も三人称にして客観的に描写して、その前の部分に一人称で
「主人公が過去を振り返って懐かしんだり、後悔したりみたいな感情表現を主としたプロローグ」
を付け足したほうがいいかと思う

1284イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/25(火) 16:20:08
よくある月並みなストーリーの冒頭部分のご批評ありがとうございました。

1285イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 00:56:41
「お察し発言」とか言ってる時点でそう思ったのは自分なんだから私怨だろ

12861285:2006/04/26(水) 00:57:25
人生初誤爆おめでとう俺 ありがとう俺

128748:2006/04/26(水) 01:02:14
りすかマニアへ。作品を読んでいて、感じたこと。

【舞台設定】

1:世界観はどんなもんよ?
 主人公達が暮らす場所の、文明レベルがよくわからない。
 世界の十五企業とか、車や発電所があるから、現代なのかな、と思っていると、
 唐突に国際サミットで、天上人云々とか出てきて、どんな世界観なのか、混乱する。
 また、天上界から大規模な侵略を受けているなら、
 そうでない国にしても厭世的な空気が漂っているんじゃなかろうか?
 難民とかもいるかもしれないし、仮に日本なら、食料、燃料などの価格が高騰しているかも知れない。
 東京だって、31区とか出来ているなら、かなりの変化があっただろうし、
 そういった前提が一切、説明されないため、世界観に物凄い違和感を感じてしまう。 
 
2:天上界や天上人て何?
 空の上にいる事と言われても、正直、さっぱりイメージが出来ない。 
 天上人、天上界の外観とか、地上を侵略するにしても、どのような手段で行っているのか、とか。
 何故、地上人を奴隷として連れて行っているのか、など具体的像が絶無。
 能力者をぶつけようとするくらいだから、もしかすると、現行の兵器は無効なのかな、と考えたりもしたが、
 そういった事は一切説明されず、ただ、抵抗し、倒す、とだけ言われても、正直、困る。
 敵なら、敵として、もっと極悪非道ぶりをネチネチ描写して、もっと悪っぽい印象を与え、
 尚かつ、能力者が戦う必然性を明記していかないと。

3:企業て何?
 イレギュラーシステムを作った事はわかるが、世界観や天上人などと同様で正体不明。
 企業、企業と繰り返されるだけで、具体的な名称すらないのは如何なものか。
 物語のキモである、能力に関わっている部分だから、幾ら書いても書き足りない、という事もなかろう。
    
4:イレギュラーシステムの謎
 これは脳に埋め込むものだよな?
 しかし、何カ所かでイレギュラーシステムは「人の形をしているけど半分は機械」という記述が出てくる。
 意味がわからない。脳に埋め込むだけで、何で、半分が機械になるのか?
 イレギュラーシステムは脳への処理と肉体の機械化が同時にされてるの?
 そのあたりが、説明不足。
 「二人倒せば、レベル2になる」とか、「どんな乗り物でも操縦出来るようになる」とか、
 幾つか設定はあるようだが、ほとんど活かされていない。
 使わない設定なら、わざわざ、書く必要もないし、下手に書くと、とってつけたように見える。
 乗り物の操縦なんかは、バーストが車を運転する時に明かされたが、
 その時、バーストは実は無免とかいうネタにしておけば、印象づけられたと思う。
 あと、「痛覚遮断機構」や「絶対領域」などは全員が共通してもっている機能なのかもわからない。
 また、重要な役割を持つらしい「波動刻印」の説明が一切されていないから、
 「波動刻印」の効果で、と言われても、ハァ? としかならない。

128848:2006/04/26(水) 01:02:37
4:天地制覇の使徒
  何で、唐突に国際サミットを襲うのか?
  一般人を見下してるのだけはわかるが、それだけでは納得出来ない。
  また、強大な能力を与えるのだから、それを与えた企業側は、
  暴走した時のために、自爆装置なり何なりで、外部から制御する手段を持っている方が自然。
   
5:バトルロワイヤルの意味。
  致命的な質問其の一。
  地上の大部分を侵略されているのに、わざわざ、強力な能力者を殺し合わせる理由とは?
  三大能力を与えるためなら、殺し合う必要もなく、単に競技会を開き、競いあわせれば良いじゃないか。
  外部に強大な敵がいるのに、内輪揉めを起こしていて、どうする。

6:天上界の存在意義。
  致命的な質問其の二。
  敵が天上界である必要性はどこにある?
  別に巨大な軍事国家とかでも、問題はないような…
  現代風の世界観の中(と、俺は判断したが)にあえて、
  おファンタジーなものを引っ張り出してきた理由がわからない。

128948:2006/04/26(水) 01:03:00
【登場人物】

1:主役不明
 主役が誰かわからない。これは、わりと致命的だと思う。
  
2:人数過多
 台詞を一度でも発したキャラが「25人」近くおり、その大半が固有名を持っているあたり、無駄が多い。
 正直、設定としてあっても、固有名詞を出す必要はない、と思う。
 特にイレギュラーシステムとそのOSは名前の語感が似ているのが多くて、混乱した。
 (但し、必ずしも、名前を似せる事が悪い、と言っているのではない)

3:印象薄弱
  外見どころか、年齢、場合によっては性別さえまともに書かれていない事が多く、
  どのキャラクターも具体的な姿をイメージ出来ない。

  また、キャラクターの大半が二言三言喋り、戦い、殺される、というパターンで、消えていくため、
  能力やシチュエーション毎で印象に残る事もない。
  キャラクター同士の絡み、各々のキャラの掘り下げも出来ているとは言い難い。

  水無月 零がゼロとなる事を決意するまでの葛藤、
  バーストがゼロを守ろうと自分から決意した理由、
  花が裏切りるまでの心理変化、
  薫が、突然、目覚めたノアシステムを受け容れるまでの過程
  ナイトメアが自分の能力に対して持つ感情が如何なるものか、等々、

  掘り下げて、キャラを印象づけようと思えば、幾らでも出来る部分はあるのに、
  その大半を、そう決めた、とか、〜であるの一言や一文で済ませてしまっていて薄っぺらく、
  勝手にキャラクターが納得して、大半が自己完結している。
  何というか、感情変化が尽く一瞬で済んでいて、読み手がおいてきぼり。
  作者の都合が良い展開に持っていくための装置としてしか、キャラクターが扱われていないような印象。
  これはキャラクターが多すぎる事に起因している面もあるのかもしれない。
  もっと人数を減らして、少ない登場人物話を回してみると良い、かも。

129043:2006/04/26(水) 01:04:59

4:全体的な説明不足。
  バーストが前半でゼロに対し、殺すなどと言っていた理由。 
  花が何故、薫の家に居候しているのか。
  薫達は何歳なのか? 学校は小学校か、中学か、高校か? 
  母と同居しているのに、薫は何故、家主なのか。
  天地制覇の使徒は、何故、国際サミットを襲撃したのか?
  ジエンドが何故、天上界に嫌気がさしたのか
  また、彼はどうやって、ゼロやバーストに目をつけたのか等々。
  見せるべき過程が欠如しているため、常に行き当たりばったり、
  上にも書いたが、それが、「作者の都合の良い展開」に持って行くために、
  キャラクターが扱われている印象を殊更に助長している。  

5:必然性に乏しいOSの人格。
  OSに人格があるという設定。
  正直、OSに人格があるという設定が少しでも有効に機能したのは、
  薫の中でノアシステムが目覚めた時と、
  最後のジエンド戦で、システムが停止させられ、反応が返って来ない時くらいだと思う。
  それ以外のシーンでは、ただ適当に喋ってるだけの外野の役目しか果たしていない。
  使用者との信頼関係が見えるでもなく、戦闘で人格がある事が役に立つわけでもなく、
  主人が死んだら、その身体を乗っ取って、動き出すでもなく、
  OSの人格は、イレギュラーシステムの暇潰しの雑談相手なのか?
  それなら、イレイザーのシステムのみに人格があるとかにしても問題はないし、
  人格をなくしても、書きようがあるはず。
  OSの人格設定を全廃するだけで、台詞持ちの固有名詞キャラが「十人」は減り、無駄がなくなる。

129143:2006/04/26(水) 01:05:19
【展開】
 :唐突+単調
  前半に日常描写が少しあるだけで、
  後は、敵と遭遇→適当に会話→殺す、だけのワンパターンの繰り返し。
  全体的にも、それと同じ事が言える。

  意外性を意識した、と言っているが、
  予め、まともな布石を打っていないか、見え見えの展開が多く、
  違和感を覚えるか、今更、そんな事言われても。という程度にしか思わない。

  個人的に花の裏切りは意外っちゃ意外だったが、
  事前に内通していたとかの描写もないのに裏切られ、唐突過ぎて、唖然とした。  
  アッシュを刺すシーンにしても、「ごめんね、ごめんね」とか、謝りながらならともかく、
  「ハーレスの後釜だ」とか言っているもんだから、裏切りというより、
  最初から敵だったようにしか見えない。おかげで、薫の命云々も、空々しくしか聞こえない。

129243:2006/04/26(水) 01:06:10
【総評】
 世界観にしろ、人物にしろ、土台がしっかりしていない、という印象が強い。
 主人公達の行動も感情や過程の描写に乏しく、スイッチが切り替わるように、唐突に変化している。 
 結局、作者は他人に向けて書いているつもりでも、自分の方しか見ていない感じ。
 お世辞にも、表現が多様だとは言えないし、文法もおかしいところが多すぎる。
 突き詰めれば、読書量とか、基礎的な部分が絶望的に足りていない、と言われても仕方なし。

 というか、ぶっちゃけ、ゴミ。

 1:わからない、理解出来ない言葉は、使いたいと思っても絶対に使わない。
 2:何かを書く時は知っていると思う表現でも、必ず、辞書を用意し、意味を確認するようにする。
 3:こんなので、本当に良いのか、と常に自問自答を繰り返す。
   とかしてみれ。

 後、批判してばっかりだと、あれなので、最後に良かった点を

【良かった点】
 魚屋で買い物する薫の「マグロの刺身二切れください」の台詞。これは素直に面白かった。大爆笑。
 以前は「使徒」の字に対し、「使途」延々誤用していたが、今回はそれがなくなった。

1293イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 01:08:45
以上。
考えて、物を書け。

1294イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 07:22:31
えっと…避難所の誤爆ですか?

1295イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 09:09:31
違う。誘導来てたんだよ。

1296イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 10:29:51
>>1292
>魚屋で買い物する薫の「マグロの刺身二切れください」の台詞。これは素直に面白かった。大爆笑。
神器の時も4本読んで1フレーズだけ「うわ、このセリフ絶妙」みたいな事があったなぁ。
なんか時々そう言う衝突事故みたいなことが起きるから怖いぜ

1297イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 13:09:59
刺身を二切れ、て単に「さく」て単位を知らないだけじゃ……

1298イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 16:03:21
>>43
論評乙です。
ありがとうございました。

1299イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/26(水) 20:48:30
荒らしが始まったのかと思ったぞ

1300イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/28(金) 10:31:52
冒頭部分です。意見を聞かせてください。


夢の中にいたカームを、鈍い音が現実に呼び戻した。聞き覚えのない妙な音。 寝癖のつきかけた金髪を軽く掻いて体を起こす。一応剣を取り、廊下に出た。
人影はない。何かあれば皇子であるカームの元に報告が来るはずなのだが兵士の姿はない。       「そらみみかな?」   カームは、ぼそっと呟き扉をしめかけたのだが、またも奇妙な音が耳に入った。今度はガラスの割れる音。さすがに空耳には思えず、音のした方へ歩き始めた。単に物を落としただけか、それとも報告に来れない程の異常事態か、カームは前者であることを祈りながら暗い回廊を進んだ。

1301イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/28(金) 12:24:30
続きです。                   進むにつれ、カームの緊張が高まってくる。かすかに聞こえるうめき声。どうやら事態は深刻なようだ。 足音はもちろん、寝巻と床が擦れる音にさえ気を遣い慎重に進んでいく。   闇の中に、炎が浮かんでいた。床には倒れた兵士とランプの破片が映し出されている。         カームが兵士に駆け寄ろうとした時、炎を飛び越え一つの黒い影が現われた。 全身を黒いマントで覆っていて、顔には仮面を付けている。         火に照らされた仮面を見た時、カームの体に寒気が走った。         異様に鋭い八重歯、角張った頬骨、深い闇を映す垂れた目。鬼の面を纏った、恐らく男であろう、その影は静かに剣を構えた。

1302イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/28(金) 16:43:57
緊張とか自体は深刻とか言ってるわりには、読んでてどうも実感が湧かない。
直接の原因としては描写不足が考えられるけれど、
率直に言ってしまえばそれ以前で、全体的に文章がつたないと感じた。

1303那賀 健比古:2006/04/28(金) 19:52:26
携帯から打ったのでしょうか? 先ずは改行をきちんとすべきです。

1304イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/28(金) 20:16:06

侵入者に対して、王子が自ら駆けつけるというのは、どうなんだ?
血気にはやったという解釈もあると思うけど、せめて声をあげて
人数を集めろよ。
王子の護衛の兵士はひとりだけなのか?
「ものども出会え出会え」
これが基本。
時代劇にでてくる悪い奉行の屋敷には、暴れん坊将軍とか
遊び人の金さんとか、かなりの確率で侵入してくる。
そういうケースにおいて、侵入者にひとりで立ち向かう
悪い奉行を、俺は見たことがない。

1305イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/28(金) 23:12:56
典型的な「梗概のような小説」ですね
スピード感の必要なクライマックスの戦闘シーンならこの程度の描写でもいいのですが、序盤はもっと丁寧に書きましょう
読者は背景や世界観や人物像がわからないと入っていけないですから…

興味を持たせるためにこういったシーンから導入するってのは、正しいです
でも、最初は「わかってもらうこと」が大切ですから、描写を惜しまないように

1306イラストで騙す予定の名無しさん:2006/04/29(土) 04:49:58
1300です。       確かに描写不足でしたね。迫力もないような・・・。色々書き足してみます。

1307イラストで騙す予定の名無しさん:2006/05/01(月) 21:55:44
>>1304
一応同意だが、その点については全体を読んでみんことにゃ分からんな。
 例えば小さな遊牧民族の三男坊とかなら身軽な王子もあり得ん話では
 なかろうし、ファンタジーに腕の立ったり魔法が使えたりする奴でかつ
 猪突タイプの性格ならそれもありえん話ではないだろうし。

 どちらにせよ、王道ファンタジーっぽい世界観の話ではよほど文章力に自
 信があるのでない限り、冒頭がありがちというのはマズイと思う。
 アイデアが浮かばなくとも、なにかしら設定、キャラなどに自信のあるも
 のがあれば、しょっぱなで出し惜しみせずに一つくらい出してしまっても
 良いのでは。
 いや、俺も以前やった失敗なのだが。
 最初にいきなりバトルで盛り上げようという考え方は斬新ではないが娯楽
 物語のツボをおさえてはいると思うので、そこをどうにか発展させてみる
 とか。
 
 あと、文章力は正直言ってアマチュアとしてもまだ未熟なレベルと思う。
 とはいえ、文章がわりと未熟で面白い話作るプロもいるし、慣れてみん
 と分からん技術でもあるので諦めることはまったくないよ。
 経験から言うと、好きな小説を読み直して自分なりに分析してみるのが
 良いかと。

 ……俺も人の作品にケチつけてる場合じゃねえorz

13081305:2006/05/01(月) 22:26:08
主語と述語の対応を意識して書いてみればいいんじゃないかな?
んで、くどかったり無いほうが効果的だったりと思える主語を省いてみる、と
それから、固有名詞だけじゃなくて、適度に「彼は」といった代名詞を使ったほうが読みやすい

あと、描写だけど、基本的に一つの章(プロローグ)の中に

いつ、どこで、誰が、何を、どんな風に、どうした。

を表現しきること
そして

いつ:その時代はどんな時代か
どこで:どんな国、または星、または時空のどういう地形または建物か
誰が:それはどんな人物でどんな地位でどんな性格か



まあ、そんな感じで書いてみてください

くどくならないか?とか思うかもしれませんが、小説というのは
書き手が30分かけて書いた文章を、読者は10秒で読むもの
なのです
ガンガレ!

13091305:2006/05/01(月) 22:28:53
追記

いつ、どこで、についてはファンタジーでは詳しい描写は必須ですが、現代劇だったりすると、ある程度は簡略化できまう

1310イラストで騙す予定の名無しさん:2006/05/04(木) 00:39:23
 時代劇に限らず読み手の共通認識を前提にした作品はそうですよね。ライト・ファンタジーでは
普通、エルフとはどんな種族で、魔法とはどんなものかを詳細に説明しないものですし。最初から
そうしたものが存在する、という前提で説明がくどく成るのを避けますから。
 この作品を読んだ場合読者は「王子は腕に覚えが有るか、無くともアグレッシブな性格である」
と見なすでしょうし、同様に「王族の身辺に何者かが忍び込める」のも読み取れます。
 つまり謀略渦巻く王宮なのか、忍び込んだ者の腕がそれ程の実力なのか、或いは治安が悪くて
王族といえども気が休まる暇が無い場所なのか。何れにせよファンタジーでは良くある事ですし、
その点は整合性を求める事は無いと思います。
 むしろその情景を思いついたのであれば、そこから背景を練り込んで設定を整えるべきかと。
この作品を読んだ限りでは、王子はそれなりに腕が立ち、かつ侵入者が有り得るのを認識している
かの様に伺えます。その辺の描写を加えてみては如何でしょう?

1311イラストで騙す予定の名無しさん:2006/05/04(木) 00:53:06
 これと同じ様な事は>1260さんが別の人に書いていますが、彼方では読者に与える情報のについて
取捨選択を説いており、此方ではもっと根本的に「情報を考え、与えよ」と説いています。多分、
考えていないでしょう? その辺りをRPGのロール・マスターのように妄想を膨らませるのが作家
(志望)の醍醐味ですから存分に楽しんで下さい。
 それと改行や句読点、律の配分も創作の内ですからもう少し意識すべきです。

1312ちょっと長いけど、よろしく 1/5:2006/05/04(木) 02:40:17
 夜の街は、喧騒に包まれていた。
 極彩色のネオンの光に浮かび上がる人波は途切れることがなく流れて行く。
 人々は、鬱積したストレスを吐き出す為に、あるいは、退屈な日常を忘れさせてくれる何かを
求めて夜の街を彷徨う。
 通りを飛び交う様々なノイズ、人々の吐き出す熱気に充てられて街は、加熱していた。
 街角を吹き抜ける風は、妙に生暖かい。
 何かが起きる、そんな予感を抱かせる、月の見えない週末の夜。
 だが――
 人々は、知らない。その街の片隅で、人ならざる者と、それを狩る者との戦いが始まろうとし
ている事を……

「ねぇねぇ、何してんの?」
 いきなり背後から声を掛けられて、その背の高い少年は、面倒くさそうに振り向いた。
 そこには小柄な少女が立っていた。
 女子高生だろうか?浅黒い顔に、茶髪、スカート丈の短い制服の上にパーカーを羽織った、
その姿は、まんまコギャルと言った趣だが、その顔は幼く、中学生か、下手をすればその小柄な
体と相俟って小学生に見えた。好奇心を湛えた子猫の様な大きな瞳が印象的な少女だった。
 一方の声を掛けられた少年の方は、少し気の早いタンクトップにGパンといったラフな出で立
ちだが、目を引くのは、タンクトップから伸びたその二の腕の太さだ。
 大げさではなく、声を掛けてきた少女のウエスト程は、ありそうだ。また、タンクトップを押し上
げる、大胸筋や腹筋の発達具合も尋常ではない。
 それだけ、隆々たる肉体を持ってるにも関わらず、ごつく見えず、寧ろスマートに見えるのは
その長身のお陰だろう。180cmを軽く超えて190cmにも届きそうだ。
 成熟した肉体に比べて、顔の方には、まだ少年の面影を色濃く残しており、少年を少年たらし
めていた。
 ボサボサの髪、太い眉毛やまだ若干丸みを帯びた輪郭等は少々野暮ったいが、筋の通った
鼻筋、大きな瞳、そしてその瞳から放たれる強い意思を感じさせる眼光など、近い将来に男前
になるであろう片鱗が見て取れた。
 もっとも、今その顔には、まるで先生から放課後、居残る様に命じられた悪ガキの様な憮然と
した表情が浮かんでいるが――
 そんな、少年にお構い無しに、少女は言葉を続けた。
「ねぇ、暇してるんだったらさ、私に付き合わない?」
「……いや、今取りこみ中だ」
 少年は、憮然とした表情を崩さないまま、素っ気なく言い放った。
「え〜なんでよ、今さっきからずっとその場所に、つっ立ったまんまじゃない」
 少女が指摘した様に、少年は、表通りに面したブティックのショーウインドに持たれ掛かった
まま彼是一時間程、通行人を眺めているだけだった。
「あっ、もしかして誰かまってるの?」
「……まぁ、そんな所だ」
「誰、待ってんの?友達?それとも彼女?」
「誰だっていいだろ、それよりもこんな時間に、女一人でうろついてると、悪い狼に食われちま
うぜ」
「なにそれ、オジサンみたいなこと言わないでヨ、超ダサー、まだ11時ちょい過ぎジャン」
 少年の太い眉毛が、ピクリと動いた。
「兎に角、俺は忙しいんだ、逆ナンパがしたけりゃ、ほか当たれよ」
「バッカじゃないの!折角、この私が声掛けてあげたのに!もしかしてアンタ、ゲイなんじゃない
の?そう言えば服装も、マッチョ系だし、やっぱりゲイなんだ……ウホ!ゲイなんてサイテー、カ
マ掘られてヒイヒイ喘ぐなんてキンモ★〜、近寄らないでよ、この変態!」
 突然、少女は癇癪玉が破裂したかのように、大声で一気に捲くし立てると、唖然とする少年を
尻目に、さっさと行ってしまった。
 すると、何を思ったか少年から5m程離れてから、少女は立ち止まった。そして少年の方を一
瞥すると――
「あっかんべ〜〜」
 ガキかよ!、と少年がツッコミを入れる間もなく、少女の姿は、人波に消えてしまった。
 結局、反論も出来ないまま、一人取り残された格好になった少年は、騒ぎを聞きつけた通行人の
好奇の視線を一身に浴びる。
「バカヤロー、誰がゲイだ。硬派と言えよ硬派と!大体、女が嫌いなんじゃない、お前みたいなチャ
ラついた女が嫌いなんだよ!」
 通行人の痛い視線を無視しながら、少年は口の中で呟いた。

1313ちょっと長いけど、よろしく 2/5:2006/05/04(木) 02:41:39
 あの、少女が立ち去って、どの位の時間が経っただろうか。
 少年は、未だにブティック前にいた。
 ブティックのショーウインドウには、無骨なシャッターが下りていた。流石に、表通りを流れる人波
も、途切れがちになっていた。
「今宵も待ち人は、現れず……か」
 誰に言うでもなく、少年が呟いた。
「それにしても、もう一週間だぜ、人の味を覚えちまったんだ、もうそろそろ血を押さえられなくなる
頃だが……それとも、狩場を変えたの――」
 そこまで言って、不意に少年は、顔を上げた。
 少年の視線の先、行き交う通行人の足元に、一匹の黒猫がいた。
 黒猫は、少年と視線を合わせると、身を翻して駆けて行った。
 弾かれた様に、少年も走り出した。通行人を巧みに躱わしながら、黒猫の後を追う。
 恐ろしく足の速い猫だ。まるで黒い疾風の如く、通行人の間を摺り抜けて行く。少年の足も決して
遅くないのだが、見る間に黒猫との距離が開いていった。
 黒猫は、通りの角で折れてアーケード街に入っていく。数秒遅れて少年もそれに続いた。
 アーケード内の商店は殆どがシャッターを下ろしていた。通行人の姿も見えない。そのお陰で
前方を走る黒猫の姿をはっきりと目視することが出来た。少年と黒猫との距離は三十m程か。
「……フゥ!」
 少年は短く息を吐き出した。次の瞬間、ローギアからいきなりトップギアに入れたかの如く少年
の体は一気に加速した。
 速い!それまでも十分俊足と言えたが、今のスピードは短距離の世界のトップアスリートをも遥か
に凌駕する驚くべきスピードだ。
 ダイナミックなフォームで走る少年の姿は、まるで獲物を狙うしなやかな獣だ。瞬く間に、前方を走
る黒猫との差が縮む。
 少年と黒猫との距離が五m程まで詰まった時、黒猫はアーケード街を抜けて飲食店や居酒屋が
多く立ち並ぶ区画に入った。
 飲食店街には、まだ人通りが残っていたが、少年はスピードを緩めない。
 その時、赤提灯の店から出てきた千鳥足のサラリーマンが少年の行手を遮った。
「…っと!」
 少年はハードルを飛び越える要領でサラリーマンを一跨ぎした。一跨ぎとは言っても、軽々と2
mは飛んでいた。
「おぉ!なんだぁ!……あ痛てぇ」
 いきなり目の前に現れた少年に驚いて、赤ら顔のサラリーマンは尻餅を突いた。
「ゴメンよ!」
 顔だけ向けて謝ると少年はそのまま走り去る。背中越しにサラリーマンの罵声が聞こえたがそ
れを無視した。
 しばらく追跡を続けると、前方を走っていた黒猫が突然止まった。
 少年も急制動を掛けたが、スピードに乗っていた少年の体はすぐには止まることが出来ない。
 ズズズズ――
 スニーカーのソールでブレーキマークを刻みつけながら4メートル程横滑りして、ようやく少年
の体は止まった。ちょうどいい具合に黒猫の傍らだ。
 黒猫は、雑居ビルの間の薄暗い路地の前に、ちょこんと座っていた。
「ここだな、しかし……」
 路地の暗闇の先を見つめる少年の顔が一瞬、強張った。
「ニャ〜ン」
 何時の間にか少年の足元に擦り寄っていた、黒猫が甘えるような鳴き声を上げた。
「ん?そうだな、お前の”使役”は、終わったからな、戻っていいぜ」
「ニャン」
 黒猫は少年の言葉に答える様に鳴いた。すると突然、黒猫の体から青白い炎が噴き上がった。
その青白い炎は、瞬く間に黒猫の全身を包み込む。そして次の瞬間、眩い光を放ちながら爆発
したかの様に四散した。

1314ちょっと長いけど、よろしく 3/5:2006/05/04(木) 02:42:26
 黒猫の姿は、忽然と消えていた。その代わりに一枚の紙切れが黒猫が居た場所に落ちていた。
 少年は、驚いた素振り一つ見せず、然も当たり前のように、その紙切れを拾い上げた。
 縦三十cm横十cm程の短冊状のその紙の表面には、なにやら幾何学模様のような文字がびっし
りと書かれていたが判読不能だった。唯、墨で書かれた「猫」と「探査」の二文字だけは読み取る
事が出来た。
 その紙をGパンの後ろポケットに押し込こみながら、少年はもう一度、路地の方に目を向けた。
 路地に澱む闇が深すぎて、通りからは3m先も見通す事が出来なかった。
 きらびやかな夜の街に、ぽっかりと口を開けた魔窟――。そんな印象だ。
 人間は、本能的に暗闇に恐怖を覚えると言う。路地に澱む闇の深さは、人の侵入を拒むには十分
だった。
 もっとも、この少年は、そんな繊細な神経など持ち合わせていないのか、大胆に、そして無遠慮に
路地の中に足を踏み入れた。
 狭い路地だ。大柄な少年が両手をいっぱいに伸ばすと両サイドの壁に手が付いてしまいそうだ。
 大股で三歩も行くと、もう通りからの光は届かなくなり、墨汁を垂らしたかのような暗黒が少年を包み
込んだ。
 だが、少年は夜目が利くのか、スイスイと路地の中を進んで行く。
 しばらく歩くと、ポリバケツが地面に転がっていた。何処かの不心得者が蹴り倒したのか、蓋が外れ
て中の生ゴミが狭い路地いっぱいにぶち捲けられていた。
 それを無視して更に奥に進むと、不意に少年の足が止まった。
「………やはり、か」
 少年の口から、溜息にも似た呟きが漏れた。
 路地の奥まった場所に何かが横たわっていた。うち捨てられたマネキンか?
 いや、違う。少年の鼻を刺激する臭いがそれを否定していた。狭い路地の中に立ち込めた、吐き気
を催すほど濃密な”血”の臭いが……。
 灰色の壁に彩りを加える飛び散った血痕。地面は、赤い絨毯を敷き詰めたかのように、真紅に染ま
っていた。
 少年は、視線を足元に落とした。そこには切断された右腕が転がっていた。上腕骨が覗く切断面を見
る限り切断したと言うよりも噛み千切ったと言った方が正解だろう。
 少年は、死体の方に近づく。若い女性のようだ。OLだろうか?ブルーのビジネススーツは血が滲んで
黒く見えた。
 最後まで必死に抵抗したのだろう。左手の爪は、小指以外全て剥げていた。その指の間には灰色の
長い毛が挟まっていた。
 視線を死体の上半身に移す。喉笛の辺りにぽっかりと穴が穿っていた。恐らくはこれが致命傷だろう。
そして顔。カッと目を見開き、恐怖と苦痛が綯い合わさったまま凍った表情は、女性の両親が見てもす
ぐには、自分達の娘とは気が付くまい。
 少年は身を屈めて死体に触れた。無論すでに冷たくなっていたが、死後硬直は始まっていなかった。
死体になってそんなに時間は経っていないようだ。
 視線を上げた時、女性の顔が少年の目に入った。死体を見るのは初めてではない。寧ろ商売柄、見
馴れていると言ってもいい。だがそれでもこの女性の顔は当分の間忘れる事は出来ないだろう。
 少年は、そっと女性の顔に手を当てて、見開いたままの目を閉じた。
「……ゴメン。助けられなくて、だが仇は取る……絶対にな」
 搾り出すようにそう言った少年の声は、僅かに震えていた。

1315ちょっと長いけど、よろしく 4/5:2006/05/04(木) 02:43:31
 男は、腹の奥底から突き上げてくる衝動を、必死に押さえ込んでいた。
――食らいたい!食らいたい!食らいたい!!
 先の”食事”から二時間もたっていないのに、激しい飢餓感が男を苛む。だが僅かに残った
男の理性がそれを押し留める。
――今はダメだ、今は……
「ねぇ、どおしたの?顔色悪いよ」
 男と並んで歩いた少女が、男の顔を覗きこんだ。
「いや……なんでもない」
「フ―ン、ならいいけど」
 少女は、興味を失ったかのように男から離れた。
 男は額の汗を拭いながら傍らの少女を見た。つい今先まで見ず知らずだった少女だ。
 街角で二言、三言、言葉を交わしただけで少女は男に付いて来た。名前は確か真理とか言っ
た。だが少女の名前など男には、何の意味も持たない。
 なぜなら少女は男の飢えを、渇きを潤す為の贄にしか過ぎないのだから。この少女の肉を貪り
たい!血を啜りたい!男の本能が、獣としての本能が男の体を駈り立てる。
――だが、ここではダメだ。人目に付くこの場所では……
「なぁ……ちょっと寄って行かないか」
 男が指差したのは市民公園の入り口だった。
「んー、どうしょうかな〜、ちょっとムード有りそうだけど……でも変なのが居たりしない?クスリ
でラリッてるのとか」
「……大丈夫、この公園に人は居ない。」
「なんで分かるの?」
「……臭いだ」
「臭い?なにそれ、あなた犬系の人なんだ」
 そう言うと真理は何が面白いのか、ケタケタと笑いだした。
 男も真理につられて笑顔を浮かべた。その口元には人の歯と言うには余りにも太く鋭い犬歯
が覗いていた。
 そして二人は連れ添って公園の中へ入っていく。その様子を街路樹の上から一匹の白猫が
見つめていた。

 公園の中は、闇と静寂に包まれていた。点在する街灯の周りだけが大海の中の小島のように
浮かんで見える。
 繁華街から近いと言うのに、喧騒から切り離されているのは公園を包む様に植林されている
街路樹が防音壁の役割を果たしているということもあるが、公園自体がかなりの広さ持ってい
る為であろう。
 日中ともなれば、緑を求めて散策する者や近くのオフィス街から昼食をとる為に訪れる者など、
市民の憩いの場所として人通りがあるのだが、日付が替わり、丑みつ時と言ってもいい今の
時間に公園を散歩する物好きの姿は見えなかった。――男と真理以外は。
 二人は、公園の中央にある広場に向かう遊歩道を歩いていた。
「……ねぇ、ちょっとここ、怖くない?」
 真理は、男に寄り添いながら、気味が悪そうに辺りを見渡した。
「………」
 だが男は、真理の問いを無視したまま、どんどんと先に進んで行く。
「蚊や変な虫も多いし」
「………」
「ねぇ、やっぱりここ出ない?私、ここなんかヤだな」
「………」
「ねぇ!聞いてる?」
「………ああ、そうだ、な……出るか」
 それまで無言だった男が漸く答えた。
「じゃあ早く出ようよ!……ホント、ここヤなカンジ!」
 そう言って、背を向けて足早に立ち去ろうとする真理の肩に男が手を掛けた。
「もぅ!ここじゃ嫌だって言ってるでしょ!」
 肩に掛かった男の手を払い除けようと真理は、男の手に自分の手を重ねた。
「!?」
 これが……これが、人の手なのか?剛毛に覆われたこの獣のような手が。
 沈黙の中、息を呑む真理の喉の音と男の荒い息遣いだけが聞こえた。
 真理は、ゆっくりとゆっくりと振り向いた。
 男の顔は、闇に隠れてよく見えなかった。だが男の目が、……禍禍しく、赤く光る目だけが、
闇の中に浮いていた。
 公園に、女の悲鳴がこだました。

1316ちょっと長いけど、よろしく 4/5:2006/05/04(木) 02:51:31
 真理は、走っていた。ただひたすらに走っていた。だが、いくら走っても公園の
出口が見つからない。まるでゴールのない迷路に迷いこんだようだった。
 街灯の下まで辿り着いた所で、真理は、力尽きたかのように座り込んでしまった。
 必死に息を整えようとする真理の耳にあの音が、男の荒い息遣いが聞こえたきた。
 真理は、恐る恐る音の聞こえる方向に顔を向けた。
 男の姿は、見えなかった。だが闇に浮かぶ二つの赤い目だけは、はっきりと見え
た。
 真理は、有らん限りの大声で悲鳴を上げた、喉が焼ける様に痛い。だがそれでも
真理は、悲鳴を上げ続けた。しかし真理の悲鳴は、誰の耳にも届くことはなかった。
 闇の中に浮かぶ二つの赤い目は、ゆっくりと、しかし確実に真理に近づいて来る。
 ようやく街灯の光に照らし出された男の顔は人としての特徴を残していなかった。
 長く尖った耳、前に突きだし大きく切れ上がった口、そして裂けた口から覗く鋭い
歯、いや牙と言うべきか。その顔は、狼そのものだった。
「ね、ねぇ、ジョウダンは、やめようよ……ハロウィンは、まだずっと先なんだから
さぁ」
 震える声で真理は、男に問いかける。だが男からの返事は無い。
 返事の替わりに男が真理の方に右手を伸ばした。剛毛で覆われた指先には黒々と
した鋭い爪が生えていた。
 真理には既に逃げる気力は残っていなかった。ただボンヤリと男の動きを眺めていた。
「……そうよ!これって夢なんだ!夢じゃなきゃこんなこと有る訳ないよ!、目を
覚ますときっとベットの中に居るだ……だったら……だったら、早く私を起こしてよ
ぉ!……ママぁ!」
 真理の願いとは裏腹に男の右手が真理の首筋に近づく。これは紛れも無い現実なの
だ。
 その時――
 唐突に風が鳴った。その唸りは獣の咆哮にも似ていた。
 ヒョオォオオォオオ――
 次の瞬間、男と真理の間に風が…疾風が駆け抜けた。
 男は、風が鳴るのとほぼ同時に後方に仰け反るように跳ね飛んだ。5メートル後方
に男が着地するのと同時に、真理の足元に何かが落ちた。
「キャアァ!」
 真理の眼前に転がった物、それは切断された男の右腕だった。
 男の右腕から流れ出た夥しい鮮血が地面を朱に染める。だがなんとう生命力か、男の右
腕は血に染まりながらも、まだ獲物を求めてワナワナと動いていた。

1317ちょっと長いけど、よろしく 追加:2006/05/04(木) 02:56:39
「フン、大した生命力だな、さすがは人狼だ」
 突然、真理と男、いや人狼以外の第三の人物の声がその場に響いた。真理と人狼
は同時に声がした方向に顔を向けた。
 何時の間に現れたのだろうか、その背の高い人物は、真理のすぐ後ろに立ってい
た。
 真理は、這いつくばって、その人物の足に縋りついた。
「お、お願い!助けてぇ………て、アンタはさっきのマッチョゲイ!?」
「誰がマッチョゲイだ!………て、そう言うお前は、さっきのバカ女か!?」
 真理とその少年は、顔を見合すなり声を上げた。無理もない、つい今先、一悶
着起こした相手とこんな所で顔を合わせる事になろうとは
「だから言わんこっちゃねぇ!、言っただろうが、女がこんな時間に一人歩きする
なってな!」
 少年は、拳を振るわせながら怒鳴るよう言った。
「……アハハ、やっぱり怒ってる?」
 愛想笑いを浮かべながら真理は、首を竦める。
 少年は、無言のまま、座り込んでいた真理の制服の襟首の部分を左手で掴むと、
そのまま持ち上げた。
「うにゃん!」
 真理は、首根っこを摘まれて持ち上がられた子猫のように空中で手足をぷらんぷ
らんとさせた。
 その姿勢のまま少年は、左腕を回して真理を人狼の目から隠すように自分の背後に
下ろした
「八時の方向に……お前から見て左斜め後ろに道があるはずだ、その道を真っ直ぐ
行けば公園を出られる」
 少年は、肩越しに真理を見ながら言った。
「あの……助けてくれるの?」
 真理は少年の顔を見上ながら遠慮がちに言った。この娘にしては珍しく、しおらし
物言いだ。
「男てのは女を守るもんだ、例えそれがどんな性悪女でもな、ホレ、早く行けよ」
 そう言うと少年は、悪ガキのように鼻の頭を指で擦った。
「あ、ありがと!……そんな奴ケッチョンケッチョンのギッタンギッタンにやっつけ
ゃってよ!」
「ヘイヘイ」
 真理が去って行くのを確認してから少年は、人狼の方に顔を向けた。
「よう……ようやく会えたな」
 まるで古い友人に話しかえけるような気安さで少年は人狼に声を掛けた。が、
無論と言うべきか人狼からの返事はない。
 二人は、――と言ってもいいのものか?――7mの距離を置いて対峙していた。
 人狼は、今先から一歩も動いてはいなかった。右腕の傷口からは止めど無く鮮血
が流れ落ちていた異形の顔は、苦痛と憤怒に歪み、剥き出しにした牙の隙間からは
呪詛の言葉にも似た唸り声が漏れていた。そして赤い凶眼から放たれる光には狂気と
殺意を孕んでいた。
 その凶眼を真っ直ぐ正面から見据えながら少年は……笑っていた。
 真理に見せていた悪ガキ然とした表情とは、根本的に違う凄みのある笑みだ。
 その笑みを形容するとすれば、不敵でも、大胆でも、剛毅でもなく、それは”獰猛
な笑み”だった。
「痛いかい?……そりゃ痛いよなぁ、腕が千切れてるだから……だが!テメェに食われた人達の痛
みや苦しみはそんなモンじゃなかったぜ!」
 そこで言葉を一区切りすると、少年は自分の右の拳を左の掌に打ち据えた。
 パン!
「テメェを殺るには、法術も符術も要らん。体術で……俺の拳でぶっとばす!!」

 すみません、長い上に読み難くなってますがよろしくお願いします。




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