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妖怪ショートショート劇場

1妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/26(火) 21:59
過去スレの一発ネタを独断と偏見でPickUp!

2妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/26(火) 22:02
(ラ3−78)
白獅子「グルルルルルル」
十万馬力少年「レ○、いったいどうしたんだ」
つぎはぎ医師「気をつけろ、ア○ム。そいつは既にデ○ズニーに"著作権"を支配されている」
十万馬力少年「そんな、レ○。目を覚ますんだ。同じトキワの仲間じゃないか」
つぎはぎ医師「駄目だ。すでに、侵略帝国配下の洗脳部隊"デ○ズニー"の思うが侭に動く、ただの野獣だ」
十万馬力少年「ああっ。純白の毛皮が汚れた黄土色に変わってゆく・・・」
つぎはぎ医師「もはや、私の神業オペでも元に戻せない」

戦闘終了後

十万馬力少年「畜生、ゆるさないぞデ○ズニー」
ネズミ「ふん。所詮イエローモンキーの被造物。ジャパニメーション妖怪の一体も倒せんとは、役立たずめ」
つぎはぎ医師「お前は誰だっ」
ネズミ「くっくっくっ。僕は米帝洗脳部隊デ○ズニー隊長ミ○キ○マ○ス。
 "著作権奪取"によってやがては貴様らの主として君臨する、アニメ妖怪の元祖だ」

3妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/26(火) 22:04
(ラ3−84)
>日本からも黄色いネズミを送り込んでメリケンのガキを洗脳
ネズミ「ふん。ジャップ色の被造物など、癲癇作戦で息の根を止めてやる」

>22世紀日本の猫型全自動戦略兵器
ネズミ「行け、高いプライドと低い実力のギャップから生まれた東洋妖怪ニダー」
ニダー「分かったニダ。民族分断の恨み、思い知るが良いニダ。
 くらえ、必殺技パクリヌスットタケダケシ光線。貴様はトンチャモンのパクリニダ〜」

>装着者を超人に変える聖なる衣を纏った聖なる闘士
ネズミ「ふん。世界洗脳作戦部隊"拝磔"、お前等の出番だ」
拝磔「OKアメン。必殺、多様性禁止ブラスト〜。セ○ヤは異教的だから悪い番組アメン」

4妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/26(火) 22:05
(ラ3−85)
ネズミ「くっくっくっ。くらえっ"著作権奪取"」
菜食少女「いやぁぁぁぁっ。やめてぇぇぇっ。あたしの中に入ってこないでぇぇぇぇっ」
発明少年「しっかりするんだ、ナデ○ア。デ○ズニーなんかに負けるな」
無名船長「おのれ、デ○ズニー。まさか、国営放送を後ろ盾に持つ我々に手を出すとは」
ネズミ「後ろ盾? ふんっ。貴様らの造物主がエロゲーを作った時点で、とうに見放されてるわ」
発明少年「なんだって。じゃあ、あのときガ○ナ○ク○が簡単に融資を受けられたのも・・・」
ネズミ「その通り、我々の背後の米帝が、得意技"外圧"をつかったのさ」
無名船長「おのれ、デ○ズニー。卑怯者め」
ネズミ「何とでも呼べ。力は正義。侵略は善。それが我等米帝のモットーだ。さあ、とどめの"著作権奪取"」

5妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/26(火) 22:16
(ラ3−255)
全国で多発する謎の少女消失事件。「赤い靴」をはじめ、調査に乗り出した日本中の妖怪達は、
ある奇妙なことに気づく。どうやら少女達はいずれも消える直前、ある大型掲示板サイトを
覗いていたようなのだ。
おとり捜査と称して麦とともにその掲示板にアクセスしたルゥは、不特定多数のスレに書き込まれた
奇妙なレスを見つける。
「朝までから騒ぎ!! 皆さんお待たせです  復活しました!! 女性に大人気 メル友掲示板……」
何気なくリンクをクリックしてしまったルゥ。同時に二人は、パソコンの前から消失した。
一方、別の方面からこの事件を調べていた早坂は、問題のレスの「復活しました!!」という部分から、
60年前にバロウズの面々によって封印されたという、ある妖怪の話を思い出す。
詳細を調べようとバロウズに問い合わせる早坂。だが、向こうの口は、なぜか重かった。
その頃ルゥと麦は、電脳空間の中にいた。周りには、やはり同様に全国から飛んできてしまった、
少女の姿をした五人の妖怪達。
敵は何者なのか。消えた人間達もここにいるのか。そして、帰るすべはあるのか。
外部との交信を試みようとする七人の前に、「逝ってよし!」と叫ぶ猫が立ちはだかる。

グループSNEが送る大人気ホラー・エンターテイメントシリーズ長編第二弾、ついに始動!

「電子網の坩堝(上)」 著:高井信

6妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/27(水) 00:29
(ラ3−815)
「ウワォォォォン」
吠え声と共に、駅前から駆けつけた犬の像が天使の喉笛に噛みつき、食いちぎった。
青山墓地から来た霊団が集団で天使を取り囲み、精気を啜って干からびさせる。
「チェストォォォォッ」
上野から来た銅像が刀を振るう。
旧日本軍の軍装の一団が、銃剣を構えて天使に突撃を開始した。
「英霊部隊30名、靖国より助太刀に参った」
突如、天使の一体が不意に顔面を掻き毟り、顔を腫らして事切れる。
それを、同じく目の上を腫らした女が睨みつけていた。
「な、何だ? 何故こんなにも妖怪達がいるのだ?
ひ、引けっ。一旦引いて、新宿の部隊と合流するのだ」
そう叫んだ天使が、炎に包まれて瞬く間に燃え尽きた。
「井神のタヌキ。貸しを作りに来てやったぜ」
江戸の町で犬の糞並に多いといわれていた稲荷の一族だった。
炎を逃れてなんとか上空へ逃れた天使達は、巨大な生首に一睨みされて砕け散った。
かくして、古来より森羅万象に神を見出す民族の、霊的守護を考慮に入れて設計された都市は、
見事その機能を果たしたのであった。

戦慄のミレニアム外伝 ―東京ハルマゲドン―

原作の戦闘シーンが物足りなかったので。

7妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/27(水) 01:08
(ラ4−40)
いつからここにいるのかももう思い出せなくなった。
生まれる前からこの痛みを、この熱を感じてきたような気すらする。
私は水をつかさどっていたが、だからといって熱に強いわけではない。
この痛みに、耐えられるわけではない。
ふと見ると、白かったはずの羽は肉ごと消えうせ、骨だけが残っていた。
骨には、羽の変わりに、赤黒い炎が巻きついている。
顔や肌も、同じように、醜く変貌していることだろう。
私はもう、元の私ではないのだ。
苦しい、苦しい。
なぜ私は、逆らってしまったのか。
こんなことになるのなら。
カレラノイウトオリニシテイレバヨカッタノニ
セカイヲホロボシテシマエバヨカッタノニ

戦慄のミレニアム外伝−煉獄の中、一人−

8妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/27(水) 01:10
>>7
(ラ4−61)
「お困りのようですね、お嬢さん」
「...誰?」
「アルセーヌ・ルパンと申します。貴女を盗みに来ました」

(ラ4−67)
戦慄のミレニアム外伝・大天使を盗み出せ!〜ガブリエル救出作戦〜

「お困りのようですね、お嬢さん」
「...誰?」
「どうかこの哀れな泥棒に盗まれてはくれますまいか」

 そして、「今はこれが精一杯」と花と万国旗をとりだす
妖怪『ルパン3世』及び煉獄の結界をぶった切ったあとで、
「また、つまらぬ物を切ってしまった」とぼやく妖怪『十三
代目石川五右衛門』(w

 或いは、「拝啓メタトロン様。○月×日△時□分、煉獄
に囚われし『ガブリエル』を頂きに参ります」と天使軍団
に予告状を送りつける怪盗妖怪一同(w

 救出後は天使軍団の目から逃れさせる為に、『赤マント』
朝津(「さようなら、地獄博士」の)が人形化させてたりし
そうだな。



戦慄のミレニアム外伝・大天使を盗み出せ!〜ガブリエル救出作戦〜

9妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/27(水) 01:15
(ラ4−80)
唯一神の滅亡後、脱出する妖怪達。
それを睨みつける瀕死のメタトロン。
「デーモンどもめ、よくも主を…、おのれ、脱出などさせるものか」
攻撃をしようとすると、後から羽交い締めにされる。
「そんな事はさせません」
振り向くと、そこには同じく瀕死のガブリエルが。
「き、貴様生きていたのか。は、離せ」
「私が煉獄の炎に落ちる時、貴方はこう言いましたね。
『我々御使いは、いついかなる時も主と共に在る』と、
ならば、主が滅んだ以上、貴方も殉じなさいっ」
彼女は渾身の力を振り絞り、背後に迫る白い虚無の中にメタトロンの身体を投げ込んだ。
残虐なる天使の断末魔の絶叫は、誰の耳にも届くことなく虚無へと呑みこまれた。

戦慄のミレニアム外伝 ―決戦! 神の国―

10妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/27(水) 21:57
(ラ4−277、280)
付喪神って100年経った器物がなるんだったっけ?
100年で神さんになれるのに、99年で捨てられて、その恨みで妖怪化するって話も聞いたことがあるんだけど。

>付喪神はもともと九十九髪(つくもがみ)と書かれていた。99は100から1を引いたもので、百から一をとると白になることから、九十九髪は白髪を示し、長年の年を経たことを指す言葉となった。
器物は百年たつと魂を持つので新春の前に古い器物を路地に捨てた。この風習が「煤払い」と呼ばれている。
で、捨てられるのに怒った器物たちが、節分の日に自ら妖怪に変化し、京の船岡山の裏を住処とし、町に出ては人や牛馬を襲って宴会を開いていた。最後には護法童子に諭され仏門に入るらしい。
この器物の妖怪たちの行進が百鬼夜行であるという解釈もある。

11妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/27(水) 23:38
(ラ4−461)
ナイト オブ バンパイア(吸血騎士)「第1話 ナイト オブ バンパイア(吸血鬼の夜)」
とある田舎町。最近吸血鬼の噂が広まる。
とあるシスターがお使いで出かけて、夜遅くに町外れを通る。
そこへ若い男が現れ、シスターを呼びとめる。
その男に異様な雰囲気を感じて十字架を付きつけるシスター。
案の定、男は十字架で火傷をし、バンパイアであることが発覚。
彼女は護身用に用意していた聖水・大蒜・十字架等で、
降参を叫ぶ彼を徹底的に痛めつける。
と、そこへまた別の、いかにもなアンデッドが出てくる。
実は、最近の事件の犯人はそいつら。
すでに、シスターの対魔物用の道具は尽きてしまっている。
若いバンパイアは、シスターと取引をする。
十字架を除けて回復の為に血を一口くれれば、彼女を守る。
背に腹はかえられず、条件を呑むシスター。
回復したバンパイアはシスターを抱きかかえて安全な場所まで運び、
それからアンデッドどもを蹴散らす。
戦闘終了後、今度は彼に襲われるのではないかと不安がっているシスター。
若いバンパイアは襲うようなそぶりを見せるが、夜明けが近いと言って去る。
まだ、空には星が瞬き、東の空がやや白んでいる程度である。

やがて、シスターとバンパイアの奇妙な魔物退治のコンビが誕生することになる。

>やっぱりヴァンパイアには獣人のしもべってのが定番だよな。
 猫娘&犬娘のコンビで。

 シスターとの間でジェラシーの炎が噴き上がるのです。

12妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/28(木) 01:59
(卓1−373)
●童心の里
最近町で、奇妙な失踪事件が相次ぐ。
失踪した人間は、悩みを抱えていつ失踪してもおかしくない状態なのだが、
奇妙なことに衣服が全部脱ぎ捨てられていたのだ。
時を同じくして、町で着物姿の子供達が遊んでいるのが見かけられる。
隠れ里に人を誘いこむ妖怪、隠れ座頭。その一人ピーターパンの仕業だった。
「子供の頃はよかった」という思いから産まれた彼は、悩んでいる人間を子供にして、
隠れ里に住まわせていたのだった。

13妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/28(木) 02:01
(卓1−378)
●天才は作られる(タイトルは昔のSFから流用)
活力賦与(特殊版)で自分の高い知力を貸し与え、その間に本当の知力を吸い取る妖怪、脳化け。
彼の食事の結果、一年に一回くらい学校や塾で優等生の白痴化事件が発生していた。
やがてPCの関わる学校でも事件が発生、ふしんに思ったPCが調査を始める。
だが、今度の宿主は脳化けのその性質に気づき、ライバルの知力を吸わせて蹴落とすことを思いつく。
脳化けを退治しようとするPC、しかし脳化けは物質透過で潜んでいる宿主の体を盾にする。

14妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/28(木) 02:04
(卓1−382)
「Dプロジェクトチーム」
人材はローズクルセイダーズから、資金はザ・ビーストから提供された組織、Dプロジェクトチーム。
彼らの新兵器実験は、当然、怪事件を引き起こす。
毎回、マッドサイエンティスト率いる改造妖怪達との戦いが繰り広げられる。
調査を進めるうちにPCは、彼らの新兵器に、妙に見覚えがある事に気づく。
やがて、チームに対立するグループの存在が明らかになる。
変身超人達を中心に、鳴門ほっぺの少年忍者、鏡の魔法少女、狩衣姿の幽霊少年、剛速球を投げる金太郎。
PCに協力を申し出た、トキワと名乗るグループの正体とは?
ついに、チームの本拠地である鏡の中の世界にある、無人の大都会にのり込むPC。
チームの総力をあげた新兵器、究極の改造妖怪がPCに立ちはだかる。
果たしてPCは勝てるのか? そしてそこで出会う、チームに新兵器を供給させられている謎の囚人Dとは一体何か?

15妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/28(木) 11:05
(卓1-861)
空前絶後のお馬鹿ネタ
恋愛シミュレーションゲーム
「ときめき&heartスーリエ・ルージュ」
古い万年筆を手に入れてから、僕の世界は変わった・・・・・。

君は洋大となって、ホテル「スーリエ・ルージュ」に集う妖怪キャラと出会い、恋愛をし、ともに悪の妖怪と戦う。
女王様、お姉様、クール、遊んでる系、ズレてる系、妹系、フィギュア・・・
7人の女性の中から君は誰を選ぶか?
日常で好感度をアップし、悪の妖怪軍団との最終決戦で意中のキャラの支援をする。
はたして、種族を超えた愛は実るのか?

>最後は伝説の隠れ里での告白シーンでシメなのだろうか…

(卓1-874)
ひかり攻略は、彼女の箒乗りの練習に付き合う。
スピードを出すとバランスがとれなくて、ひっくり返って箒からぶら下がってしまうひかり。
自転車の練習の要領で、箒乗りを手伝う。
もちろん、押さえると称して、肩や腰に触り放題(笑)。

麦攻略は彼女の料理の実験台になる。
初めは極めてマズイ洋食を出されても食べること、そのうち毎日弁当を作ってくれるようになる。
休日は料理の勉強と称してレストランへ行き、デート。
戦闘時に彼女が洋大の前では火を使いたがらなくなると、ほぼクリア。

チャイカは戦闘訓練に付き合う。
遠距離に的を置いたり、ストップウォッチ片手に飛行速度を測ったりする。
終了後、彼女をポケットに入れて町に行くと、「普通の女の子」になることに興味を持ちはじめる。
チャイカサイズの流行の服を用意してやると、次第に縮小を解除できるようになってくる。

オーナーは、ひたすら命令を聞く。
いやがらずに言う事を聞いていると、そのうち心を許してかなりプライベートな部分までお願いしてくる。
そのうち、洋大の忠告を聞くようになって来れば、クリア。


(卓1-881)
・女の子の好感度を教えてくれたり、居場所がわかるミニパソをくれる、エニぐま。
・洋太がピンチになると、ギターをかき鳴らしつつ現れ、「お前を倒すのはオレだ。」
 と言って、助けてくれる、石動。
・「男」として「人生の先輩」として、洋太を見守る、寺尾。謙虚ゆえ、見守るだけで、何もしない。
・Hシーンに突入すると、「技能委譲」で、洋太をテクニシャンにしてくれる、ジェラルド。
・ガブリエル早坂
 恋の相談をすると、女の子達の性格や悩みについて教えてくれて、攻略のヒントになります。

(卓1-900)
隠しキャラは寺尾由希ちゃん(「盗まれた町」時点で推定6歳)です。
娘溺愛のムカデ親父と対決してください。

(卓1-909)
当然それぞれのキャラのルートの最後にはラスボスが存在するわけですね。
風花→雷蔵、ルゥ→ワヤン、ひかり→早坂神父
麦→一族のお姉さん方、桐子→エニぐま
由希(隠しキャラ)→寺尾パパ、律子(隠しキャラ)→石動(笑)
ヨーダイ+ジェラルドの実際の戦闘能力考えるとどれも勝ち目ないですね。(W

(卓1-923)
ひかりの箒乗りの練習。
うなじにときめいたり、肩や腰を押さえると・・・。
「あっ。痛いよ。もっとやさしくして、洋大お兄ちゃん」
「あんっ。くすぐったいよ、洋大お兄ちゃん」
箒から転げ落ちたひかりを抱きとめて、そのままもつれる。しばし、そのまま見詰め合ってから、はっと気がついて真っ赤になって離れる。
そのついでに、まだ小さい柔らかいものの感触が楽しめたりする・・・。
・・・いかん。すっかりエロゲーです。

16妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/28(木) 21:57
(卓百1-255)
「チェイサー」(笑)
高速で走り抜ける悪の妖怪。様々な速度自慢の妖怪が捉えようとするが、誰も追いつけない。
そんな中、一人のべとべとさんに白羽の矢が立つ。彼はべとべとさん一族の中でも最速を誇り、日々新幹線のぞみやF1レースで高速追跡の訓練をしている者だった。
そして開始される追跡劇。どうしても後一歩のところで追いつけないべとべとさん。
「ケッケッケッ。キサマは所詮、べとべとさん。ちんたらオレ様の後ろを走ってるのが、お似合いなんだヨォォォォォ」
敵妖怪の挑発で、べとべとさんは封印していたもう1レベルの[高速走行]を使用する。しかし、それは[HP消費10Lv -50%]の限定がついた禁断の技だった。
酷使された両足を紅に染めて追い上げ、ついにタックルして敵妖怪を取り押さえるのに成功する。
「やったぜ、俺はついに、べとべとさん一族の呪縛を打ち破り、追い抜けたぜ」
そう言い残して、力尽きるべとべとさん。

17妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/28(木) 23:53
(卓百1-416)
江戸時代に生まれたからくり人形の妖怪が
「○○さん。
 蛹化と羽化を使って外見をメイドロボにしてみました♪
 似合いますか?」(にっこり)
「どこの世界に歯車と鯨の髭で動くメイドロボが居るかっ!
 毎晩、関節に油をさすのがメイドロボの仕様なのかっ!」
「はぅぅ......」

数日後

「また蛹化と羽化で、ちゃんと中身まで電子化しました。
 今度こそメイドロボです」
「どれどれ.........
 この望遠視力と射程延長のひょう依妖術は一体なんだ!?」
「衛星軌道上のブライアンにハッキングして粒子砲を撃とうかと」w
「ちょっと裏庭に来い......」

18妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/29(金) 01:04
(卓百1-737)
●シナリオネタ
子供を欲しがる生身の妖怪と機械の妖怪の夫婦。
それにつけ込んだローズクルセイダーのマッドサイエンティストが研究目的に協力を申し込む。
生身の妖怪のクローンに、機械の妖怪から摘出した部品を埋めこみ、サイボーグを作り出す。
試作1号機は夫婦に子供として与え、極秘に作った強化タイプを量産し悪事を働く。

19妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/29(金) 01:23
(卓百1-905)
血液が殆ど残っていない無傷の死体が幾つも発見される。
しかも現場はきれいに掃除されてて犯人の手がかり無し。
特殊な吸血方法を持つ妖怪の仕業かと思われたが、犯人と片付けた妖怪は全く別。
実は「死後も美しくいたい」という想いから生まれた妖怪「骨女」の仕業だった。
彼女は妖術[物品感知(死体のみ)]で無残な死体を見つけると、
[修理(死体のみ)]を使って修復し、現場もつい掃除してしまうのだった。
なんとか説得するPC。
「被害者達を無残な姿のままらするのがイヤなら、原因の殺人犯を捉えればいいだろう」
かくして、一転して捜査に協力する骨女。次の被害者が発生すると現場に急行、犯人を捕らえる。

20妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/29(金) 01:24
(卓百1-911)
ジェラルドの力でスーパーシェフとなった洋大をパートナーにして料理コンテストに出場する麦。
食材に人魚の肉が紛れ込んでいて大騒動。

ライバルキャラ登場
 ヒルシュ(独語で鹿肉の意)
ドイツ生まれのかまど神。アウトドア料理対応で水に多少の耐性あり。(水着もOKだ)
食材に限定した”若返り”と”老化”で食材を新鮮にしたり、逆に熟成させたりできる。
穀物な麦と違い食肉な彼女はやっぱボンキュッボンな体型だろう。

21妖怪に化かされた名無しさん:2002/11/29(金) 01:36
>>20の続き
母親に送ってもらった秘伝の薬草をふんだんに使ったフランス料理で参加するひかり。
>送ってもらった薬草の中に誤って子供には不適切な素材が混入してて、大変なことに!
>>味見をしたひかりがアダルトタッチで大人の女性に変身!
  それを見ていた洋大が薬草をちょろまかして麦に…。
>>>大人になったのに胸は子供のままで、将来に絶望してしまうひかり。

料理対決なら横浜の中華街からも参戦させなくては。
神農のやんちゃな末っ子を登場させて、薬膳料理でひかりのハーブ料理と対決とか。
神農は頭が牛なので、彼女は胸がホルスタインということで。

だから、アメリカのレモンパイ・レディーも参戦を!と言ってもネタが
判らないだろうなぁ……。第一日本料理VS西洋生菓子では試合が成立せぬ。
>中華の点心と対決させてみては。

アメリカのリンゴの精アップルシード氏も参戦。

結果は大穴、飛び入りの太った中国妖怪の優勝。
その正体は視肉。
やはり、理想の食料の妖力には、通常の料理技術ではかなわなかったらしい。
しかし、食材を知った途端、審査員が次々に嘔吐。

食材GETの為、山に登るひかり。おともは洋大。面倒くさがる洋大を以前の賭けをネタに強引に引っ張り出す。(実際に欲しかったのはジェラルドのサバイバル技能だが)
二人っきりで山に登ると聞いた途端に自分もついて行くと言い出す麦。
母親から借りた薬草図鑑を頼りに山菜や木の実を探すが、古い図鑑なので写真ではなく絵なのと、フランス原産の種と日本の在来種との微妙な違いなどのため、ちょっとヤバゲな材料が集まってくる。
>ひかりと洋大は一つの賭けをしていた。負けた方が勝った方の言うことをひとつ聞くというやつだ。
 洋大は自分が負けるなんて夢にも思っていなかった、まさか横浜が最下位だとは。


裏の中華街からスーリエルージュに料理修行に来た少女。
試しに料理を指定して作らせてみるが、酷い結果に終わる。
得意料理なら上手にできるというので作らせてみると、飛び切りうまい。
材料を尋ねると、ペロンと服をまくって腹を露出する。
腹にはポッカリと穴が開いてて内臓が無いぞう。
彼女は視肉。究極の美味である自肉を使った料理しか作れないため、修行にだされたのであった。

能力的には、
[たべられる(HP消費)/高Lv][ダメージボーナス無し(重要器官無しのみ)]
[痛覚が無い][再生/瞬間][いやな行動/自肉で料理し自肉あることを強調する]

22妖怪に化かされた名無しさん:2002/12/14(土) 23:38
亀石伝説

むかしむかし、とあるお寺の池に住んでいた亀が夜になると妖力を使って大きくなり、寺を抜け出しては町のの子供を攫って喰っていた。
それを知った寺の住職はこの人喰い亀の妖力を封じ込めるため、大きな亀の石像を作らせて、妖怪退治で名の知られた武者の石像を背負わせた。
それ以来、2度と池の亀が大きくなって悪さをすることは無くなったという。

時は流れて70年代。怪獣ブームの到来と共に子供達の間で噂が広がる。
 「この亀石がガメラになるんだぜ!」
 「悪い怪獣が攻めて来た時には大きくなってやっつけるんだ」
封印の中でまどろみながらそんな話を聞いていた亀石は、段々その気になっていく。
 「ワシって子供の味方、だったっけ?」
そして更に時は流れ世紀末。天使の軍勢が襲来し街は火の海に。
子供たちは祈った、助けを求めた。かつて子供だった大人たちも祈った、子供を守ってくれと願った。
みんながガメラを呼んだ。
その声に応え、封印を破りガメラが現れる。
亀石は動き出す。背に大魔神を乗せて歩き出す。その体がみるみる巨大化していく。

亀がその口を開くと激流が迸る。激流は豪雨となって降り注ぎ、街を覆っていた炎を一瞬で消し去る。
大魔神が咆哮する。その声を聞いた天使たちの動きが止まる。
石の剣は一振りで数人の天使を薙ぎ倒す。
天使が放つ火矢も稲妻も石の皮膚に弾かれ、その動きを止められない。
亀の口が再び開かれ、迸る激流が槍となって天使を貫く。

街のみんなの声援を受けてガメラは天使の軍勢を駆逐していく。
天使を追い払ったガメラはゆっくり寺に戻っていく。その体がぐんぐん小さくなり、元の亀石に戻り再び眠りにつく。

その後、亀石には立派な祠も作られ、街の守り神”ガメラさま”として大事に奉られ、御供えが欠けることもなくなったとさ。
めでたしめでたし。

23妖怪に化かされた名無しさん:2002/12/14(土) 23:43
(ラ4−684)
●妖魔ヶ森の秘宝
若い妖怪達が、長老妖怪の蔵書の中から昔の武将の埋蔵金についての書物を見つける。
場所は、丁度現在の妖魔ヶ森。
人間には発見不能なので、埋蔵金は恐らく今でも残っている。
一攫千金を目論んで探しに行く若い妖怪達。
彼らに妖魔ヶ森の住人達が襲いかかる。
住人達は厳密な縄張りを持っているので、一定以上は追って来れない。
こっちが侵入者であるから、可能な限り戦闘を避けて逃げ出す一行。
万年竹の筍槍や、転がってくる石神、人食い沼など、ほぼ罠のノリで避ける。
ようやく辿りついた宝の岩屋。
しかし、既にそこには埋蔵金は無かった。
番人の亡霊武者は言う。
「ああ、埋蔵金なら売っ払って、この土地の購入代と税金にあててるよ」

妖怪の住む(隠れ里ではない)土地の行政上の扱いについてふと疑問に思ったんで作りました。

24妖怪に化かされた名無しさん:2003/01/16(木) 23:39
(ラ5−278)
諸君 私は料理が好きだ
諸君 私は料理が好きだ
諸君 私は料理が大好きだ

焼き魚が好きだ 味噌汁が好きだ 沢庵が好きだ 煮物が好きだ
精進料理が好きだ 中華が好きだ 仏料理が好きだ 伊料理が好きだ ゲテ物が好きだ
厨房で 車中で 家庭で 野外で 北国で 南国で 
魚介類で 穀物で 野菜で 果物で
この地上で行われる ありとあらゆる調理行動が大好きだ
戦列をならべた 刺し身の盛り合わせが 賞賛と共にお客さんを 歓ばすのが好きだ
空中高く放り上げられた炒飯を 手違いでぶちまけた時など 心がおどる
給食係の操る 安物のおたまが 汁物を盛り付けるのが好きだ
悲鳴を上げて 貧相なバラックから 殺到してきた難民に
すいとんを御馳走した時など 胸がすくような気持ちだった
箸先をそろえた お客さんの横隊が 皿の盛り付けを 蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の外人が 既に冷え切った煮豆を 何度も何度も箸で摘まもうと
している様など 感動すら覚える
燻製用の 干し肉を暖炉の上に 吊るし上げていく様などはもうたまらない
重そうな稲穂達が お百姓さんの振り下ろした鎌とともに
或いは金切り声を上げるコンバインに ばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ
ヨーダイが 生意気にも 「俺、和食は口に合わないんだよなぁ」などと言って
箸を付けようとしない時など 殺意すら覚える
飽食気味の若造に 滅茶苦茶に言われるのが好きだ
割と自信のあった料理が食べ残され 勿体なくて自分で食べる様は とてもとても悲しいものだ
食通を気取る素人に捕まって 蘊蓄を聞かされるのが好きだ
小太りの貴婦人に ありあわせのサバ缶のレシピを訊ねられた時は どうしようかと思った

諸君 私は料理を 連日の料理三昧を望んでいる
諸君 オーナーに付き従うスーリエ・ルージュ従業員諸君
君達は一体 何を望んでいる?
更なる繁盛を望むか? 暇な日のない 三つ星の様な繁盛を望むか?
サービス精神の限りを尽くし 三十年分の閑古鳥を殺す 嵐の様な繁盛を望むか?

主にワヤン「繁盛!! 繁盛!! 繁盛!!」

よろしい ならば厨房の改装だ
我々は満身の力をこめて 今まさに齧り付かんとする握り飯だ
だが この暗い森の奥で 半世紀もの間 堪え続けて来た我々に
ただの繁盛ではもはや足りない!!

大繁盛を!! 一心不乱の大繁盛を!!

我らはわずかに中規模ネット 平均600cpに満たぬ若輩に過ぎない
だが諸君は 一騎当千のプレイヤーだと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 目標666万部の大集団となる
我々を隠れ里へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで 引きずり下ろし 口を開けさせ 飯を食わせよう
連中に米の美味さを 思い出させてやる
連中にお百姓さんへの 感謝の念を思い出させてやる
昼と夜とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ味がある事を思い出させてやる
17レベルの<調理>と超味覚で 世界を食わせ尽くしてやる

征くぞ 諸君

    〜スーリエ・ルージュ企画会議における、パティシェの主張より

25妖怪に化かされた名無しさん:2003/01/17(金) 01:38
恋愛シミュレーションゲーム
「ときめき★スーリェルージュ」再び

>賄いのついでとばかりに、洋大の学校まで手作り弁当を差し入れに行こうとたくらんでる麦タンです。

>ヨーダイが泊まりでバイトして、そのまま学校行く。
 弁当を忘れている事に気づいた麦は
 食べ物を粗末にしてはいけないと、
 弁当片手にヨーダイの学校に向かうのでした。

>そして、律子とはちあわせ。
 麦の事を問い詰める律子。
 麦を引っ張って逃げ出すヨーダイ。
 次の日、いくつかの(クラスメイト)目撃証言あらぬ噂が…。
 さぁ、ヨーダイ。どうやって揉み消す?
 ナイトフォッグは関与できないぞ!(笑)

>出掛けようとする麦を呼び止めるのは、試験休みでスーリエ・ルージュにいたひかりだった。
 「あたしが行ってあげるよ。あたしなら箒でひとっ飛びだから。」
 そう言って、弁当を取り上げようとするひかり。
 さあ、麦はどうする?

>焼く

 いえ、ひかりがヨーダイに弁当を渡すさまを想像して焼餅をデスヨ?

>ひかりが弁当に手を伸ばしてくる。
 麦は反射的にひかりの手を払い除けるように弁当を背中に隠す。
 自分の行動に驚きながらひかりに答える。
  「そんな、私が行きますからいいです。それにこんな明るいうちから空を飛んだら誰かに見られてしまいますよ。」
 見つめ合うひかりと麦。飛び交う火花。
 さあどうなる?

>後ろ手に弁当を持った手が不意に軽くなる。
 驚いて振り向けば弁当を両手でぶら下げたチャイカが。
  「私に任せてください。ステルス・クルーズ・モードなら誰にも見られずに飛んでいけます。」

 予期せぬ第三勢力の参入で、更に混迷を深めるスーリエ・ルージュの明日はどっちだ!?

>ひかり「だったら、あたしだって透明化の魔法薬を使えば、人に見られずに飛んでいけるよ」

>「仕方ないな、俺が行ってやるよ」
 睨みあう少女達の前に現われたのは雷蔵さんでした。
 さも当然の如く、チャイカの手から弁当を取り上げると、鼻歌まじりに自分のバイクへと向かって行きます。
 残された三人は、その後ろ姿を只呆然と見送る事しか出来ませんでした。

>その日、いつものように、スーリエにやって来た洋大を待っていたのは。

 何故か険悪な眼をした麦
 何故か冷たい眼をしたチャイカ
 何故か眼を輝かせ、雷蔵と洋大の顔を交互に見回すひかり

 「いったい俺が何をした!」

 ……こうして、今日もスーリエ・ルージュの夜は更けていくのでした。

>麦「おいしかったですか?」
 ヨ「え?」
 麦「お弁当、おいしかったですか!?」
 ヨ「え、ああ、おいしかった…ですよ?」
 麦「…そうですか」
 空の弁当箱を受け取り、厨房に向かう麦。
 ヨ「??」
 ジェ『ヨーダイ、もうちょっとレディに対する言葉使いは何とかならないのかね?』
 ヨ「何が…」
 ジェ『感謝の言葉、ひとつだけでも相手を気遣う事がウダウダクドクド』
 ナギ『…無様だ』
 ヨ「……」


 ときめき?スーリエ・ルージュ
 何と隠しキャラでナギが人間変身を覚えて登じょPAMPAMPAM!

>隠しキャラは、ときおり街中で遭遇する、赤い靴が印象的な謎の少女です。
 休日の公園。それは洋大と少女だけの秘密の時間。

 「ねえ、お兄ちゃん。今日は何して遊ぶ?」

>オーナー「遅かったわね。今日はいいけど、あんまり買い出しの途中で遊んでちゃだめよん」
 ヨーダイ「ギクッ(…バ、バレている……?)」

>オーナーは成長し過ぎて異人さんに捨てられた赤い靴の女の子です。
 彼女は無意識に自分を子供のまま扱ってくれる相手を求めています。
 それが彼女の我侭な行動の原因です。
 彼女のわがままを聞きつづけてあげるとやがて子供の様に素直になり、
 洋大に甘えてきます。そこで落とせます。

>ヨーダイが睡眠のすばらしさを語るあまり
 「睡眠不要」を解除しようかと悩む麦タン萌え
>人間社会の勉強にと夕奈にもらった少女小説を読んだんです。
 その中のワンシーン、彼氏の腕の中で迎える朝、というのに憧れて眠ることを望むようになったんです。
>もちろん、SEX描写は朝チュンなので、麦タンはそれを信じてただ眠るだけです。
 洋大は蛇の生殺し状態のまま寝不足で朝を迎えます。
>睡眠というものに興味を持った麦は、人間の眠りを観察しようと洋大の部屋に忍び込みます。
 幸せそうに眠る洋大を見てるうちに好奇心を抑えられなくなりベッドに潜り込みます。
 朝、目覚めた洋大が見たものは、触れんばかりに間近にある麦の顔でした。

26妖怪に化かされた名無しさん:2003/04/12(土) 21:45
・花見の席にて
お酒を(主にオーナーに)飲まされて
初飲酒のヨーダイはふにゃふにゃのへにゃへにゃになりました。
ヨ「・・・うう・・・気持ち悪い・・・」
夕奈「ヨーダイさん、大丈夫ですか?」
ヨーダイの頬をぺったりと触ります。
ヨ「・・・冷たくて・・・気持ちイイ・・・」
夕奈は麦に、どうだこういう真似はできまいという顔を向けます。
冬なら負けないのに!血涙を流す麦。
ひかり「こういう事もあろうかと、特製酔い覚ましの薬持って来てます!」
夕奈はひかりに、余計な事をするな凍らせて砕くぞという顔を向けます。
律子「もう、慣れない物を飲むから!ほら、迷惑だから帰るわよ!」
およばれしていた律子の指示に、長年かけて培われたの条件反射によって
ヨーダイはのろのろと立ち上がります。
律子「だらしないんだから・・・」
肩を貸す律子。
血涙を流す妖怪三人組。

ヨーダイの上着から鍵を取り出して玄関を開ける。
家に入るのは久しぶりだなぁと思いつつ、リビングのソファーにヨーダイを寝かせる。
「水…」
はいはいイイ加減にしてよねと記憶をたよりに台所へ。
しかし、氷を入れた水を持ってきたとき、ヨーダイは気持ち良さそうに寝息をたてていた。
コップをテーブルに置き、ヨーダイの横に座る。
まじまじとヨーダイの顔を見る。幸せそうな、ふやけた表情。
酒臭い息がかかる。ヨーダイの口に視線が止まる。すぐ外したが、また戻った。
部屋の時計の音が、さっきより大きくなった気がした。

同時に、時計の音に負けないくらい心臓の鼓動も高くなる。
意識しないようにすればするほど逆に意識してしまう。
ヨーダイの唇。ヨーダイの唇。ヨーダイの唇。ヨーダイの唇。
自分の唇に人差し指を当てて考える。
「今なら、誰も見てないよね……?」

「あれ?りっちゃん、どしたの?」

27妖怪に化かされた名無しさん:2003/04/12(土) 22:05
夏祭りの夜。
麦の普段の着物とは違う浴衣姿に、ちょっとときめく洋大。
縁日では、まだあまり来たことのない麦が、あちこちキョロキョロと見まわして洋大とはぐれそうになる。
洋大「(片腕をさし出して)ほら、つかまれよ。」
麦「(顔を赤らめつつ)え…」
洋大「いや、ほら…、折角のお祭りなのに、この前みたいに迷子になったら大変だからさ」
麦「はい…」
頬を染めて、ややうつむき寄り添うように、両手でそっとつかまる麦。
やや上を向いて頬を染めている洋大。
二人の体温・脈拍急上昇。

縁日で射的の前を通りかかる。
麦「あ、見て見て、洋大さん。あの猫さん、とっても可愛い」
麦が指差すのは射的の景品の一つのヌイグルミ。
射的屋「よっ。兄ちゃん。彼女づれかい? 一つプレゼントにどうだい?」
ジェラルド「折角の機会だ。レディにプレゼントしてみてはどうかね?」
洋大「よーし。じゃあ、挑戦してみるか」
麦のほほえましい誤解やちょっとした頓珍漢なやりとりを経て、洋大が挑戦。
しかし、洋大の射撃の腕は悪かった。
ジェラルド「ふむ。あまり待たせるのもレディに悪い。ここは一つ私が力を貸そう」
実は射撃の達人でもあるジェラルド。
洋大「いや、いいよ。自分で言い出したことだから、自分の力でやらなきゃいけないと思う」
何度も挑戦するが、結局お目当てのものは取れず、代わりに小さなアクセサリーを手に入れる。
麦はうれしそうに微笑んで、身につける。
麦「洋大さん。どうです?」
洋大「うん。似合ってるけど…。ちょっと子供っぽかったかな。ごめん。ヌイグルミが取れなくて」
麦「いいんですよ。洋大さんが一生懸命頑張って、とってくれたんですから」
洋大「麦…ちゃん」
麦「洋大さんの気持ちを受け取れて、とっても嬉しいんです」
麦の笑顔を見つめる洋大。
気がつけば屋台通りの外れ、鎮守の森に少し踏みこんだ所まで来ている。
周囲に人はいない。
穏やかで、しかし真剣な表情で見詰め合う二人。
お互いに愛おしさで胸が一杯になって、どちらからともなく腕を背中に回す。
満天の星の下、二つの影がひとつのなる。
そして見詰め合う潤んだ瞳が近づき、そっと唇が重なる。


洋大「熱っ」


麦をスーリエ・ルージュまで送る洋大。
出迎えたオーナーが、尋ねる。
オーナー「あら、洋大ちゃん。唇火傷したみたいだけど。どうしたの」
洋大「これは、その、イカ焼き食べたらまだ熱くて、火傷しちゃったんすよ」
オーナー「ふーん。あっそう。舌は平気そうなのにね(ニヤニヤ笑い)」

その後ろの藪の中では
真幸(なんだか良い雰囲気になってきましたにゃ)
ワヤ(覗きなんて趣味が悪いト思うんでスガ)
夕姫(ちょっと押さないでよ。よく見えないじゃないの)
寺尾(シッ静かに!見つかっちゃいますよ)
早坂(神よ2人の将来に祝福を・・・)
黒井(やれやれ・・・)

ジェラルドだけがその光景を特等席で見てました

28厚顔無恥:2003/06/13(金) 02:09
人のいるところで
麦「洋大さん。睾丸ってどういう意味ですか?」
洋大「(慌てて麦の口を塞いで物陰に引っ張り込む)む、麦ちゃん。そんな事は人前で言っちゃいけないよ」
>睾丸無知

29妖怪に化かされた名無しさん:2003/06/13(金) 02:10
あるうららかな春の日、洋大と麦は買い出しがてら散歩をしている。
ふと、麦は叢の中に青く小さな花を見付ける。
麦「わぁ、ちっちゃくて可愛い花。ねえ、洋大。この花の名前って何て言うんですか?」
洋大「ああ、それ。春に咲く花で、オオイヌノフグリっていうんだ」
麦「大犬の……(首をかしげて)フグリってなんですか? 洋大」

30妖怪に化かされた名無しさん:2003/07/05(土) 19:01
>麦「洋大さん。睾丸ってどういう意味ですか?」

洋大「・・・・アメリカのプロレスラーのことだよ(汗)」
周りの人「(うまい、洋大くん)」

31妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 09:57
スーリエ・ルージュに高さ1mほどの植木の姿をしている妖怪が泊りに来る。
植物妖怪は、チップとしてどこからともなく幾ばくかの金を取り出し
それを手にした洋大は妖術で操られ、重い植木を運んでの横浜観光に出発する。
途中、他のメンバーが疲労困憊した洋大と交代を申し出るが
「妖怪は操れないのでダメだ」とにべも無く却下される。
食事は水で、洋大にチップを渡してバケツで持ってこさせようとする。
風呂桶で水を出しっぱなしにする事を提案するが、
「浴室は日が当らないのでダメた」と再び却下される。
チェックアウトの朝、植物妖怪は花を咲かせ、実を成らせる。
彼は妖怪「金のなる樹」で、成った実は札束だった。
次の宿泊地まで送って行こうと申し出るが、
「大丈夫、既に迎えを手配した」
待つことしばし、横浜上空を通過するはずだった飛行機が、
港の見える丘公園へ強制着陸を観光しようとする。
「事前にパイロットに現金を渡して操った」

32妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 09:58
スーリエ・ルージュに人魚が泊りに来る。
中華街に観光に来て、泊り先を探しているのを洋大が勧誘してきたのだ。
彼女は現金を持たず、真珠である自らの涙で支払を行っていた。
ところが、彼女はほぼ無感情、肝心の涙がちっとも出てこない。
「洋大君。責任持って泣かせなさい。さもなきゃ、あんたが立て替えなさい」とオーナー。
ドラマや小説等、様々な悲劇を見聞きさせなんとか涙を出させようとするが、どれも失敗に終わる。
何日も失敗続きであせり、ある時掃除のさいに誤って盛大に埃を立ててしまう。
その埃で人魚は咳き込み、涙を流して大量の真珠ができて、洋大は事無きをえる。

33妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 09:58
中華街に来た中国妖怪が、スーリエ・ルージュに泊る。
丁度そのころ、ホテルでは客用に中古のビデオを購入していた。
暇つぶしにそれを見出した中国妖怪。
その中に、初代ウルトラマンがあり、たまたまミイラ怪獣ドドンゴが敵の回で、
不幸なことに、そのお客は麒麟だったりする。
たちまち激怒して、不愉快なものを見せたスーリエ・ルージュや、
そこを紹介した横浜中華街に腹を立てる。
しかも困ったことに、その麒麟は本国と横浜中華街の間で、
非常に重要な事を決定するために来た大使だったのだ。
慌てるスーリエ・ルージュ一同は一計を案じ、横浜中のビデオ屋を回る。
そして、ウルトラマンが最終回でゼットンに破れるシーンを見せて、
なんとか彼のご機嫌を取るのに成功した。
しかし、お客はその続きを見たがったりする……。

34妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 09:59
スーリエ・ルージュに外国のネットワークの大物が泊りに来る。
困ったことに、彼は敵対するネットワークから命を狙われている。
そんな中、横浜観光に出かけた大物を護衛することになる。
あちこち引っ張りまわされ、ひそかな警備の為に気を使いへとへとになる一同。
やがて、観光途中、彼が用を足す為にトイレを探しまわるはめになる。
漏れる寸前でようやくトイレを見つけ、ほっとした一同は、
うっかりトイレに彼一人で行かせてしまう。
と、そこから彼の叫び声が、急いでかけつけると、そこには敵対勢力の妖怪が。
あわてて戦闘態勢をとるが、刺客達はそのまま倒れてしまう。
ネットワークの大物だけあって、それなりに強かった。
では、なぜうめいているかと言うと?
戦いでトイレを使用不能にしてしまい、おまけに動いたせいで、
彼はもはや、限界状態になっているのであった。

35妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 10:00
金欠の数人のノームが、袋をかぶって一体の妖怪に見せかけてスーリエ・ルージュに泊る。
なんかの拍子にぶつかって倒れ、バラバラになってしまって正体が露見する。
金が無いので、ノームは宿代として雑用をしてから帰る。
もし良かったら、と言ってガラクタの入ったバッグを残す。
しかし中身は金銀宝石で作られた一流の細工品。
金銀宝石がありふれた隠里に住み、超一流の職人であるノームからみたらガラクタに見えただけなのだ。
細工品を返却する為に、ノームの乗る妖怪専門の船に飛び乗る洋大。
ノーム達は頑固に返却を拒絶する。
そこで、洋大はその細工品を船賃代わりに船長に渡して、ノームに一等船室の旅をプレゼントする。
船は既に出航してしまって、ボートで港に戻ろうとするも失敗し、漁船に助けられる洋大。

36妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 23:40
「小江戸に降る雪」その1
冷夏の年、埼玉の古老妖怪達は緊急会議を開いていた。
この冷夏は、県西部(社会的な意味で、地形的には中央に近い)の東松山市で、坂上田村麻呂に滅ぼされた邪龍の復活の兆しだったからだ。
しかし古老妖怪達は、古くから現在までその土地で暮らしているが故に縄張り意識が強く、東松山市の古老袖引き小僧は、周辺の比企郡の妖怪達だけでカタをつけると宣言し、他の協力を拒む。
だが、邪龍の眠る寺に終結した妖怪達は、突如現れた妖怪傭兵団に阻まれてしまう。
邪龍復活は自然な物ではなく、ローズクルセイダーズが一人、生命エネルギーであるオルゴンエネルギーを操る、ウィルヘルム・ライヒ博士の仕業だったのだ。
ライヒ博士は、金属や水と親和性が高く、電磁波で容易に汚染されるオルゴンエネルギーの性質を利用して、生命に有害なDOR(デッドリーオルゴンエネルギー)を放射し比企妖怪連合を壊滅状態に追いこむ。
そして、ついに邪龍は復活し、その力で天候は悪化する。

37妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 23:41
「小江戸に降る雪」その2
比企妖怪連合壊滅。この知らせを受けて県全域の妖怪は一致団結して邪龍に対抗することにした。
東側の隣接する入間妖怪連合の古老、川越の袖引き小僧は一計を案じ、蘇った邪龍を川越市内におびき寄せようとする。
川越付近の妖怪は徳川家縁の寺、喜多院に終結する。
県各地の妖怪達も、川越市街に向かって移動を始めた。
同時に、飛行妖怪に邪竜を挑発させて川越市におびき寄せようとした。
飛行部隊の作戦は、予想以上にうまくにいき、作戦は順調かと思われた。
しかし、突如邪魔が入った。
東松山市にいたはずの妖怪傭兵団がいつの間にか川越に移動していたのだ。
妖怪傭兵団に包囲され、絶体絶命の危機を迎える川越妖怪。
そして、県各地の妖怪は傭兵団に阻まれ、足止めをくっていた。

38妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 23:41
「小江戸に降る雪」その3
かつてこの地では川越城築城の際に、この地の龍神に城主の娘を人身御供を捧げたと言う。
以来、龍神は川越城を守護しているという。
川越の袖引き小僧の計画は、その龍神を眠りから覚まして邪龍を討つつもりだった。
その鍵となるものがこの喜多院にあるのだ。
しかし、ライヒ博士側も邪龍を成長させる為のオルゴンエネルギーの源として、かつて喜多院にあったという星の落ちた井戸、明星の井戸に目をつけていた。
地下水脈と繋がったオルゴン供給装置により強化された邪龍は、川越全域の気温を急速に低下させる。
その頃、調査を行っていた妖怪達によって背後関係があきらかになる。
黒幕はザ・ビースト。邪龍の気象操作能力によって世界の食料生産を操ろうと企んでいたのだ。
DOR砲や妖怪傭兵団の猛攻にさらされ、危機に瀕した川越妖怪達。
その時、突如オルゴンエネルギーが枯渇し、DOR砲とオルゴン供給装置が停止する。
いぶかしがるライヒ博士の前に地面から飛び出したのは、傷の手当てを済ませた比企妖怪達だった。
かつて、比企の吉見百穴が天然の冷蔵庫であることに気付いた男が、保存庫用に岩窟を掘りだしたことがあった。
後に、それは岩屋を掘ること自体が目的となり、できた岩屋は男の言葉から「岩窟掘てる」と呼ばれた。
その想いから生まれた妖怪岩窟が、トンネルを掘りぬいて喜多院に到達し、地下水の流れを絶ったのだった。
同族ゆえに縄張り意識から仲たがいをしたいた二人の袖引き小僧は和解し、ともに傭兵団と戦う。
強力な兵器を封じ、助っ人が加わったため、一気に形成逆転する地元妖怪達。

39妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 23:41
「小江戸に降る雪」その4
県各地の妖怪達もようやく川越市内に到達し、このまま勝利かと思われたが、邪龍はすでに成長しきっていた。
周囲の気温を下げ、さらには小江戸川越の空に小雪までちらつきはじめる。
県各地から集まった龍神達も、所詮は蛇の化身。
寒さで弱体化したところを次々に撃破される。
喜多院では妖怪達が、ようやく隠されていた覚醒の鈴を鳴らす。
「境内禁鈴」かつて喜多院には女の大蛇がおり、それを鈴の音が鳴るまで出てこないように封じたと言う。
もし、境内で鈴や鐘をならせばその怒りを買い、嵐とともに女龍の姿で現れるといわれていた。
その覚醒の為の鈴を鳴らし、女龍を覚醒させ、事情を説明する。
川越を支配する龍神、すなわち川越城の堀の主ヤナを目覚めさせる事ができるのは龍神のみ。
だが、そのためには川越城の東北に位置した(現川越市立博物館敷地内)の霧で川越の城や町を守るといわれた霧吹きの井戸から隠れ里に入らねばならず、そこを開く為にはある儀式が必要だった。
川越市内にある、ある程度の広さを持つ水面で、ある種の紋様を描くのだった。
しかし、川越市内の条件に該当するような池やプールは総て妖怪傭兵団が配置されており、それを撃破し儀式をする間に、邪龍によって川越の町は凍結してしまう。

40妖怪に化かされた名無しさん:2003/09/09(火) 23:41
「小江戸に降る雪」その5
しかし、既に霧吹きの井戸は開いていた。
プロジェクトWB。それは有事を想定して、十数年前から密かに行われていた計画だった。
映画やドラマにもなった、男子シンクロナイズドスイミング、それは川越を守護する龍神の覚醒の為の儀式だったのだ。
女龍がそこへ飛びこむとほど無くして龍神ヤナが、川越高校のプールから現れ邪龍へと向かっていった。
強大な龍神の参戦でようやく邪龍は滅び、氷となって砕け、雹となって降り注ぎ、川越市内は平穏を取り戻し、ようやく夏が戻ってきた。
邪龍の崩壊と同時に、ライヒ博士と妖怪傭兵団の生き残りは、持参していたワープ装置を使って何処かにある彼等の基地へと逃れていった。

41悪魔の誕生:2004/01/16(金) 04:15
とある地方に異端の神を祭る村があった。
その神は古代の神にありがちな禍福両面をつかさどる神であった。
しかし村人は禍の面を鎮め、福の面を奉りその力によってもたらされる繁栄を享受していた。
ある時、唯一神を崇める司祭が大勢の兵士を引き連れて村へやってきた。
司祭は神の禍の面のみを声高に主張し、その神殿と偶像を壊し、神官達を処刑した。
司祭の兵とは言っても元々は食い詰めのゴロツキである。
彼らは異教徒征伐の名目で村人を殺戮し、金品を強奪し、畑に塩までまいた。
そのため村は滅び、改宗という名目の奴隷化を受け入れて生き残った人々も、かつての繁栄とは程遠い惨めな暮らしに陥った。
司祭はその異教徒討伐の功績により、聖人の列に名を連ねることとなった。
かつて異端の神であった存在は、長い年月のうちに神の座から悪魔へと引き落とされていった。
しかし人々は忘れない、それがかつては繁栄をもたらす偉大な神であった事を。
その証拠に禍の根源たるその存在は、同時に何かを代償に人々の願いを叶える存在でもあるのだ。

42真紅の軌跡:2005/03/15(火) 23:48:47
闇が全てを呑みこみ、街がうたた寝を始める頃、あたしは目覚める。
エンジンはあたしの心臓。これからの失踪を喜び、鼓動を早くする。
ヘッドライトはあたしの瞳。これからの躍動に期待し、まばゆく輝く。
1秒すらもどかしく、サイドブレーキをはずし、アクセルを下げる。
四つのタイヤがアスファルトを掴み、蹴る。
立ちふさがる夜闇をヘッドライトで切り裂き、突進する。
闇に眠る木々が鮮明に浮かび上がり、見る間に溶け流れて後ろに消えていく。
車体の上を通り過ぎて行く風が、心地よい。
あたしは今、一陣の風となってしている。
一日の内で、唯一あたしが生きているといえる時間。
せせこましい町から離れた、郊外の道を掛け抜ける。
さながらあたしは、一頭の優美な獣。

街灯は流星となり、消えて行く。
風を受け、風と化し、風を追い抜き、

不意にあたしに追いつかれた風が不愉快な音を伝えた。
過剰なクラクションと排気音。途端にあたしは、雌鹿から雌虎へと変わる。
明確な主張もできない主人に成り代わり吼える、クラクションとマフラー。
ちっぽけな自己を過大に顕示するためだけの派手な飾り。
道具の速さを自分の実力と勘違いしていきがる、青二才の一団だ。
今日の獲物はみつけた。さあ、狩りの時間だ。

43真紅の軌跡:2005/03/15(火) 23:49:39
遅い。風と化したあたしにはすぐに追いつける。
でも、すぐに追いつかないのがあたしの流儀。
じきに、追尾してくるあたしに、奴らが気づく。
何人かが振り返り、あたしの姿を確認する。
急にふらつき、足がのろくなる。
引きつった顔で、何度もあたしを確認する。
そして急に速くなる。怯えた兎の如く。
当たり前だ、追尾するのはスクラッブ寸前の赤い乗用車。
割れたフロントガラスの内側には無人の運転席。
それが今のあたしの身体だ。

馬鹿でも、獲物の自覚ができたのだろう。
組んでいた隊列をほぐし、我先にと逃げ出す。
さあ逃げろ逃げろ。逃げるがいい。無駄な足掻きをするがいい。

挨拶は終り。さあ、本番だ。
まず、隊列が崩れて殿を勤めるはめになったのろまの坊やから

鋼の体で後を軽くつついてやる。
バランスを失って倒れ、そのまま滑りつづける。
何事も敗者は、勝者に踏みつけられるものだ。
足の下から、柔らかいものがつぶれる感触がする。
いい気味だ。
今はあたしの体になっている、当時買ったばかりだった愛車と、肉の体をぼろぼろにして壊した罰だ。
今度はあたしが壊してやる。

二人目、全くのろいったらありゃしない。
一息に跳ね飛ばし、踏みにじって行く。
三人目、倒さないように何度課慎重につつく。
何とかなる、そう思わせてから押し倒し、乗越える。

赤く染まったタイヤ、これがあたしの勲章。
真紅の軌跡の長さが、あたしの戦績。
もっともっと伸ばしてやる。すべてのあいつらを狩り尽くすまで。
それかあたしの生きる意味。
さあ、狩りを続けよう。夜明けまではまだ長い。

44妖怪に化かされた名無しさん:2005/03/16(水) 14:30:49
>>43
クリス・ザ・カー思い出した

45屍鬼の奇怪な冒険:2005/03/22(火) 13:19:37
目が覚めた。
顔にかけられていた布きれを取り、上半身を起こして周りを見た。
私と似たような連中がたくさん寝ていた。

明かりがないのになぜか周りがよく見える。なんでだろ。
まあいいや。
とりあえず私はこの部屋から出ることにした。

ドアを開けて、階段を上っていく。
玄関にたどりつくまでに医師や看護士と何度もすれ違った。
でも誰も私のほうを見ようともしない。話しかけてもなぜかみんな無視する。なんでだろ。
まあいいや。

どうやらここは病院らしい。すると私がさっきまでいた部屋は霊安室かな。
そうすると、私は死人…いわゆるゾンビというやつなんだろうか。
なるほど。
どうりで誰もが私を気にしていなかったはずだ。
生者が死者を感知できるはずもない。その逆はあっても。

自動ドアが反応してくれないので、手動のドアから外に出る。
どうも、死者に冷たいのは生者だけでなく機械も同様らしい。
おや?

右腕に包帯をした若い女性が私を見ている。恐怖にひきつった顔で。
どうもこの人間には私が見えているようだ。
横にいる彼氏らしき男は、不思議そうに女性の顔を見ている。こちらは見えていないようだな。
私がすれ違う瞬間、女性は変な声をあげてその場にへたりこんだ。
腰が抜けたのかな。
まあいいや。

太陽がとってもまぶしい。

46屍鬼の奇怪な冒険:2005/04/22(金) 11:47:31
街はどこを見ても人であふれていた。
そして誰もが、病院の連中と同じように私の存在に気づかなかった。
その事実があらためて私の現在の状況を自覚させる。
やることもないし、とりあえずしばらく歩いてみるか。

あてもなくさまよい続けるのにも飽きたし、ちょうど今いる場所は公園だったので
一息つくすることにした。別に疲れてはいないけど。
公園の中央にある、噴水の前の赤いベンチに座る。

ふー

これからどうしたらいいんだろう。
帰る所はあったのか。そもそも私は誰だったのか。
大事な家族はいたのか、愛する恋人はいたのか、親しい友人はいたのか。
どれも憶えてはいない。
本当なら、ショックで泣き叫ぶか、絶望して憤るかするのが正しい反応なのかもしれないけど
そういう気にもなれない。
まあいいや。

空をゆっくり流れていく雲をボンヤリ見ながら、そんなことを考えていると
私の隣に誰かが座った。
…くたびれた背広、髭もじゃの顔、ぼさぼさの頭…
浮浪者という単語が私の脳裏をよぎった。
生前の私なら、たぶんこの不潔そうな男から距離を置いていただのかもしれない。
けど今となってはどうでもいいことだ。
気にせず、また雲の観察に戻る。
はずだった。

「こんにちは」

この男に話しかけられるまでは。

47最後の勤めck:2005/04/26(火) 00:40:27
 こう見えても、俺は元々は撞木だったんだぜ。
 え、撞木を知らないって? これだから、今どきの奴は…。撞木ってのはな、寺にある金を叩く為の道具さ。大抵は丁字型をしているんだけど、俺は違うんだ。なんせ俺は撞木の中で喪一番立派な梵鐘の撞木だからな。
 え、梵鐘を知らないって? 釣鐘のことだよ。つまり俺は、その釣鐘を撞く鐘撞き棒だったわけさ。
 あれは、明治時代のことだった。
 俺はその時、ある寺の釣鐘の撞木をしていた。
 しってるだろう? 俺の仕事を。
 そう、毎日朝夕に時を知らせたり、大晦日に、百八の煩悩を追い払ったりするんだ。特に大晦日の晩は俺の晴れ舞台さ。夜、大勢の人が寺にやって来て、一人一回ずつ、全部で百八回、俺を使って鐘を撞いて行くんだ。自分達の心の中の煩悩を追い出して、きれいな心で新年を迎えようって想いを込めてな。俺はその仕事を誇りに思ってたもんだ。
 ところがさ、とんでもない事が起きちまった。え、何かって? 廃仏毀釈さ。
 あんたも知っているだろう? 明治時代に、国家宗教は神道だからって仏教が虐げられたことを。
 いくつも寺が壊されたり、地蔵さんが捨てられたりしたんだ。
 俺の住む寺もその中の一つだった。
 まずい、このままじゃ捨てられてしまう。俺は焦った。
 幸いな事にこれでも仏具のはしくれだ、多少の法力はある。何日かするうちになんとか夢枕に立つ事ができて、再利用してもらえるように働きかけた。
 おかげで捨てられるのは免れて、しばらくどっかの倉庫に木材として置かれて、やがて他所へ運び出された。

48最後の勤め:2005/04/26(火) 00:46:06
 俺が運ばれた先はマッチ工場だった。
 ひでえもんだろ? ありがたい仏具の一つである俺様を、あっさら燃しちまうマッチなんて使い捨ての道具にしちまうなんてさ。
 例えばさ、なんかもっと長持ちするような道具にしてくれたら、じきにもっと法力を強くして持ち主に繁栄を約束してやれるのによ。
 生憎と法力もきれ、丸太ン棒の身体じゃ今度こそ文字通り手も足も出ないんで、俺はマッチにされちまった。
 おまけに俺で作られたマッチは外国に輸出されちまったんだ。
 ただでさえ不本意な余生だってのに、見も知らぬ異国の地で消し炭になって終っちまうんだぜ。
 で、船に揺られて俺がようやく辿りついたのは、ヨーロッパのとおる街だった。
 俺はその一角で売れ残っちまった。季節は丁度冬で暖炉やストーブを使う季節だってのに、一向に売れない。まったくいやになっちまうよ。
 そうこうしてるうちに、大晦日を迎えちまった。まったく、大晦日を何の役にも立たないまま過ごしちまうなんて、撞木としてのプライドが許さない。
 おまけに、寺がないから除夜の鐘も聞こえやしない。これじゃあ浮かばれない。
 でもよ、俺なんかまだ良い方だ。
 なぜって? 俺を売っている人間の方がもっとひどい境遇だったんだ。
 その子は、十かそこらの年端もいかない少女で、当然ながら家はかなり貧しかった。で、その子の母親は病死しちまってて、残った父親はろくに稼ぎもせずに酒浸りで、何かというとその子を殴るんだ。おまけについ先日、その子の唯一人の味方だった祖母さんもしんじまった。
 その大晦日も、その子は売れ残った俺を売るためにこの寒空にほっぽり出されたんだ。
 おまけに、ただでさえみすぼらしい服は客の同情を引くために一層みすぼらしくさせられてて、その子は寒さに震えていたんだよ。
 その子の脚には父親に殴られて出来た青痣があって、おまけに手足の指は霜焼けで真赤に貼れあがってたんだ。しかも、靴を通りすがりの悪童に取上げられたんでその子は裸足だった。
 まったく泣きっ面に蜂だよ。本当に見てて痛々しかったんだよ。
 時々その子は咳き込んだんだ。ろくなもんが食えずに栄養失調になって、風の通り抜けるあばら家住まいのせいで、その子は風邪をひいてて、この寒空でそれをすっかり拗らせちまっていたんだ。
 俺はその子を助けたいと思った。だけど今の俺はただのマッチ棒にすぎない。今までと同じく文字通り手も足も出ない。俺はこの時ほど自分の無力さを呪った事はなかったね。

49最後の勤め:2005/04/26(火) 00:58:00
 やがて夜も吹けた頃、ほとんど凍死しかけたその子は、せめてもの暖を取ろうとして俺の1本を使おうとした。
 しめた。チャンスだ。俺はそう思ったね。
 手も足も出なくても、道具として使われればいくらかは法力が使える。でも俺には彼女を助ける能力は何もない。俺は火が点くまでの短い間、何かその子のためになる事が出来ないかと必死に考えた。
 そして壁に擦られて火が点くと動じに、ぱっと閃いた。
 俺には撞木としての除夜の鐘の力の一部がある。だから煩悩を追い出す応用で、その子の望んでいるものを心の中から取り出す事ができる。でも生憎とそっからは炎が燃えている間だけ、それを幻として出すくらいしかできないけどな。
 俺は彼女の望みを全部幻にして出した。
 凍えた身体を温めるストーブ。空腹を満たすご馳走。この前のクリスマスに見た、きれいなクリスマスツリー。
 そして最後にその子は俺の残りの束を全部、一度に擦った。
 俺はここぞとばかりに、ありったけの法力を使ってその子の望みを叶えようとしたんだ。
 最後の一番大きな炎の中に浮かんだのは、その子が一番会いたかった、死んだ祖母さんだった。
 今度は幻じゃないぜ。ちゃんとした実体をもった祖母さんだ。相変らず、炎が消えるまでの間だけど。
 それだけだった。たった四つしか、しかもほんの短い間だけしか望みが叶わなかったんだぜ。それなのにその子は、炎の中に浮かんだ祖母さんに抱かれて、満ち足りた幸せそうな表情で、安らかに眠るように逝っちまったんだよ。

50妖怪に化かされた名無しさん:2005/05/08(日) 16:21:00
 ニューエルサレム。そこは光輝あふるる神の楽園。そして絶対の支配者による狂えし理想郷。今そこは硝煙と血臭に満ちていた。
 世界の滅亡を防がんとする妖怪連合軍の進撃が行なわれているのだ。
 幾多の妖怪達が明日のために命を落とし、歪んだ絶対者の元に多くの使徒が散る、その戦の最前線に彼はいた。
 眼鏡に七三分けの髪のしょぼくれたサラリーマン、それが彼の姿だった。元々くたびれていたスーツは自らの血と焼け焦げでボロ屑の如き様相を呈していた。
 飛行妖怪の背にまたがり、ひたすら先陣を切って天使の編隊の只中へと突き進んでいくその行動はさながらカミカゼ。
 人間よりややマシな程度の防御力・耐久力しか持たぬ彼に、強大な妖怪が尋ねた事があった。なぜ戦いに赴き、その切り込み隊に参加するのか、と。
 復讐、彼はまずそう答えた。日本の東京出身の彼にとって神とその僕達は故郷を蹂躙しそこに平和に暮らす人々を虐殺した許し難き仇敵なのだと。
 そしてこうも答える、自分への刑罰だと。悪戯程度の能力しか持ぬ彼は、故郷の惨状に対して何も出来ず、助けを求める人々を苦しんでいる人々を救えなかった。
 だからせめてもの償いの為に、全ての元凶たる唯一神へ一矢報いるために来たのだと。

51妖怪に化かされた名無しさん:2005/05/08(日) 16:21:44
<続き>
 特攻する彼が行なうのは、いつものふざけた動作。両手を頭頂に付け左右の腕で一つづつの輪を作りつつ行なう叫び、「なーんちゃって」。
 人々の意識を虚に突き落とすその能力は、神の使徒に対しても有効だ。自らの主の領域を侵す魔物の軍勢に対し殺気立つ者達は、一瞬にして現状を忘却し周囲を認識できない木偶の棒と化す。
 それは戦場においては極めて致命的な状況だ。分子の構造模型を思わせる整然とした並びの士気の高い軍勢が、瞬く間にただの的と化す。そして正気を取り戻した時には既に致命傷を負い、地へと落ちる時なのだ。
 その有効範囲は遠距離ではなく自分の周囲にしか効かぬために、彼は特攻とも言える無謀な行動をとらざるを得ず、その身体は次第に様々な傷に蝕まれていった。
 しかしその快進撃にも雷を司る天使の一体によって終止符が打たれた。能力も乗騎の翼も届かぬ遥か遠方より飛来した轟音を伴う閃光の一撃を受け、彼の肉体は限界に達した。
 勢いに乗る雷の使徒は自らを一つの雷光と化して妖魔達の軍勢へと突進した。雷そのままの目にも止まらぬ高速と不規則な軌道は、あらゆる攻撃から逃れ得た。
 火炎も冷気も電撃も矢も銃弾も爪も牙も剣も槍も、すべてそれの通過した空間をただ薙ぐばかり。
 ただ一体の翼持つものにより、一人また一人と異形の魔物達が雷に打たれ槍に貫かれ地へと落ちて行き、神へ挑む部隊は混乱を極めた。

52妖怪に化かされた名無しさん:2005/05/08(日) 16:22:21
<続き>
 地に臥した一人である最初に撃たれた彼が、顔を上げ閃光の如く飛びまわる敵をその目に捕らえた。 周囲で動ける者に声をかけその助力で何とか身を起こし、文字通り死力を振り絞り最後の力を開放した。「なーんちゃって」。
 見よ、具現化されたその偽りとおふざけを表す言葉を。揺るぎ無き現実にすら干渉し、厳然とした事実すら偽りと化すその能力を。
 雷光と化した天使はその周囲の空間ごと一瞬前からの事実を虚偽とされ、元の状態へと還っていった。その結果は移動、ほんの僅かな時間分の移動であった。
 しかしその速さによりてその身を護る存在にとっては致命的な一撃でもあった。何故ならば通過した空間を薙ぐはずであった様々な攻撃を全てその身に受ける事となるからである。
 瞬時にその身を粉微塵に砕かれ、今まで一つの軍勢を手玉にとっていた存在はいとも容易く消滅していった。
 その光景を目に焼き付けながら、その身に過ぎる強大な力を行使した彼は改心の笑みを浮かべつつ僅かな塵となって崩れ落ちていった。
 かくして山手線に生まれた1匹の妖怪、なんちゃって小父さんはその命の炎を潰えさせたのである。
<了>

53裸稲荷:2008/02/05(火) 23:55:17
え、名前? 中山 三角(みすみ)よ。
住所? 前はさいたま市浦和区本太の3丁目。ほら京浜東北線脇の27番地に住んでいたけど、今は引っ越しちゃった。
趣味? もちろん、男性ストリップの観賞よ。
と・く・に、だまくらかして、脱がせるのなんてサイコー。
昔の中山道じゃよくやったものよ。
あたしを燻そうなんて火をつけたお馬鹿な男を、逆にその火が燃え広がったって幻覚で熱がらせて、脱がせたりしてからかったものよ。
今の人って、背は高くて肌は綺麗なんだけど、なんかこう、ヒョロっとしててつまんないのよ。
やっぱ、昔の方が背が低くてもがっちりしてて良かったわ…
え、嫌いなもの? モチ、鉄道。
はっきり言って大々々々っ嫌いね。当然でしょ?
うるさいし、揺れるし、人の土地削るし……
それにね、見てよ。この脚。右足が膝からないでしょ?
轢かれちゃったのよ。汽車に。
まだ鉄道とか良くわかんなくって、うっかり線路で昼寝しちゃってさ、汽車が来てそのままチョン、よ。
酷い話よね。汽笛鳴らすなり、止まってくれるなりしてくれてもいいじゃない、ねえ。
だ・か・ら、あたしは復讐に生きることにしたのよ。
とにかく鉄道関係に、事故を起こす事にしたのよ。
例えば幻の陸橋を見せて、車を線路に落としたり、踏切を渡る人に幻を見せて事故らせたり……、そりゃもう、今じゃ信じられないくらい悪さをしたわよ。昭和の頃までね。
でもね、やっぱ結局懲らしめに来た奴がいてね、そいつに散々追っかけまわされたわ。
だって、相手は狸で、汽車に化けて追っかけてくるのよ? わかるでしょ。あたしにとって、どんなに怖いかって
それで、二度と悪さをしないって誓ったのよ。
しかも改心して、いろいろと鉄道関係で悪さしてる連中を懲らしめるのに、一役買ったりした事もあったっけ。二度とあたしみたいに、鉄道で被害にあうヒトが出ないように、ってね。
今? それか縁で、その狸と付き合う事になってね、今度一緒になることになったんだけど……
でもね、どーしても困った事が一つあるのよ。アイツはね、汽車狸なのよ。
ほら、昔話であるでしょ? 夜、汽車に化けて線路を走った狸の話。
つまり、筋金入りの鉄道マニアなのよ。仕事はJR社員で、趣味はNゲージと鉄道写真。そんな結婚生活はいやーーーーーっ。

54冷蔵庫:2011/09/29(木) 23:55:08
あたしは冷蔵庫が嫌いだ。もっとはっきり言えば恐れている。
ドアを開けた途端に、粘液の用のどろりと流れ出して床を這って行く冷気。あたしはそれに足元を撫でられただけで、まるでそれが全身の毛穴から入り込んでくるかのように身も心も凍えそうな程ぞっとして、思わず後退ってしまう。
開かれた冷蔵庫の灯は暖かみを感じさせるはずの黄色なのに、妙に冷たく空々しい。きっと、冷蔵庫の忌まわしい本質を誤魔化しているからに違いない。
忌まわしい本質とは何か?
一旦閉じた冷蔵庫の中は、暗黒に支配された凍てついた場所。そしてそこには墓場のように、無数の生き物の骸が眠っている。
そう、冷蔵庫の中は暗く冷たく屍に満ちた正しく死の世界。
死の雰囲気に包まれたその冥界にも似た場所で、時々思い出したように動き出す冷却器は、まるでたまに目を醒まして辺りを睥睨する冥府の監視者のよう。
あたしは台所にある冷蔵庫にはまだ耐えられる。何故ならそれは有限の長さのコードによってコンセントに繋がれて自由を奪われ、さらには冷却器が何らやましいところがないかのように堂々と音を立てているからだ。
しかし粗大ゴミ置き場にある物は違う、もはやそれは別の存在だ。
何故ならコンセントから外されたと言うことは、もはや有限の長さのコードという戒めから解放され、自由を手にしたと言うことだ。
おまけに冷却器が音を立てないのは、まるで何か重大な秘密を守るために沈黙しているようにさえ思える。
どんな秘密を?
もちろん、自分がもはやだだの物体ではなく意志を持ってかつて自分を酷使した人間に対して復讐を企む存在だと言うことをである。
高校生にもなってこんな妄想に囚われているのは、馬鹿馬鹿しいことだとあたしも思う。冷蔵庫などという物は人間の作り出した便利な家電の一つで、あたしの想像するような代物ではない。
理性ではそう十分判ってはいる。しかし感情は別なのだ。あたしの心の中の冷蔵庫への恐怖は、決して理性では納得せずにこんな妄想を囁き続けている。
何故あたしは冷蔵庫に対してこんなに恐れ、妄想めいた考えを持つのだろう。きっとそれは、小さい頃の忌まわしい思い出のせいだ。
それはあたしがまだ七つか八つの小さかった頃のことだ。
その日あたし達は隠れんぼをしていた。日暮れ近くにあたしが最後に鬼になった時、どうしても見つからない子がいた。それは親友のさっちゃんだった。結局さっちゃんは見つからないまま日が暮れたので、あたしや他の子はそのまま家に帰ってしまった。
次の日さっちゃんは見つかった。遊び場だった空き地の隣のゴミ捨て場にあった、大きな冷蔵庫の中で。
死因は窒息死だった。

55冷蔵庫:2011/09/29(木) 23:56:02
学校の帰り道の事だった。
コーラス部の練習が長引いて既に日は暮れかけていた。
夕暮れの西の空は山の向こうの釣瓶落としの太陽の光で、血を思わせる不吉な深紅に染め上げられていた。おまけにそこに逆光で毒々しいまでに赤く色づいた雲が、得体の知れない魔物のような禍々しい姿をさらしていた。
いつも登下校途中に通る新興の住宅街の真ん中にぽつんと陥穽のようにある、ちっぽけな空き地の前をあたしは通りかかった。
その空き地は木の杭とそれらを繋ぐ三本の針金で作られた柵で、道からは区切られていた。
その柵にはマジックで文字の書かれたベニヤ板が張り付けられていた。もう暗くて読めないが、いつも登下校の途中に見ているので内容は知っている。『立入禁止』と『ゴミを捨てるな』だ。
けれどもそれは、どちらも無視されていた。
何故なら粗大ゴミや不燃物がそこの一角に居座って自己の存在を無言のまま主張し、残りの場所では子供達が歓声によって自分達の縄張りを主張していたからだ。
だけど今は子供達の姿はない。代わりに弱々しい赤い陽光の中には、肌寒い晩秋の風に吹かれて微かに揺れることで自己の存在を主張する枯れたススキがあるだけだった。
空き地を吹き抜けた寒風があたしの足を撫でていくと、頭から冷水を浴びせられたようにぞっとした。
冷気が背筋を駆け抜けたのは、スカートの裾から冷たい空気が入ってきた空じゃない。そこに冷蔵庫があるからだ。
海底のような薄闇に沈んだ空き地のゴミの山のこっち側、丁度柵のすぐ傍であたしの背丈程もある三つの扉の付いた巨体が白く浮かび上がっていた。
一瞬恐怖で身体が凍り付くが、すぐに理性がそれを解凍した。
——しっかりしろ香奈江、来年は高三なんだぞ——
そう自分に言い聞かせて、あたしはその前を通り過ぎようとした。怖いから道の反対側を通って。
その時微かに子供の泣き声が聞こえた気がした。あたしははっとして身を固くした。
——まさか幻聴よ。怖い怖いと思うから有りもしない泣き声が聞こえるんだわ——
しかし泣きじゃくる子供の声は、次第にはっきりしてきた。それと共に何かを叩くような鈍い音が断続的に聞こえてきた。それは確かに空き地にある冷蔵庫の方から聞こえてくる。
「さっちゃん」
思わずそう呟いてから理性が訂正する。さっちゃんのはずはない。
「あけてよー。助けて—」
泣き声は次第に明瞭になり、助けを求める叫びになった。誰かが中に閉じ込められている。多分ここで遊んでいた子供の一人が、誤って中に入ってしまって出られなくなったのだろう。
あたしは恐る恐る冷蔵庫に近づいた。一歩ごとに不安と恐怖が強まるのを感じる。
ようやく柵の前に付くと、そこに鞄を置いて柵の針金の間をくぐり抜けて空き地に入った。そして勇気を奮い起こして冷蔵庫の前に立った。
あたしと同じくらいの背丈の冷蔵庫は、風に揺れる枯れ草の中でまるで墓標のように立っていた。
墓標?
そう思った途端、あたしの感情と想像力は理性を屈服させようとタッグを組んで猛攻を始めた。
この中にいるのはさっちゃんじゃないのか。置いてきぼりにされて窒息死したことを恨んで化けてきたのではないか。ドアを開けると恨めしそうな顔のさっちゃんがいて無言でこっちを睨んでるんじゃないか。それとも土気色のさっちゃんの死体があたしにしなだれかかってくるのではないか。そしてあたしがよく探さなかったことを恨めしげな口調で責め立てるのではないか。
そうか、あたしが冷蔵庫を恐れるのは罪の意識なんだ。
もっと良く探していればさっちゃんは死なずに済んだのに。そういう後悔と自責の念があたしに冷蔵庫を避けさせているんだ。
その時再び聞こえた子供の叫び声が、あたしを現実に引き戻した。
「助けてよー、ママー」
そうだこんな事をしている場合じゃない、早くこの子を助けなきゃ。それがあたしにできる精一杯の償い。
あたしはぶるんと頭を振って恐怖を振り払うと、意を決して冷蔵庫の真ん中の段の一番大きなドア、子供が入れそうなそこの取っ手に手を掛けて一気に引いた。
錆の浮いたドアは軋みつつ、一瞬とも永遠とも思える時間を掛けて開いた。
あたしはその音がさっちゃんの悲鳴のように聞こえて思わず身震いした。
そしてあたしは条件反射でいつものように後ろに飛び退き、中を見ないようにしっかりと目を瞑った。

56冷蔵庫:2011/09/29(木) 23:56:35
学校の帰り道の事だった。
コーラス部の練習が長引いて既に日は暮れかけていた。
夕暮れの西の空は山の向こうの釣瓶落としの太陽の光で、血を思わせる不吉な深紅に染め上げられていた。おまけにそこに逆光で毒々しいまでに赤く色づいた雲が、得体の知れない魔物のような禍々しい姿をさらしていた。
いつも登下校途中に通る新興の住宅街の真ん中にぽつんと陥穽のようにある、ちっぽけな空き地の前をあたしは通りかかった。
その空き地は木の杭とそれらを繋ぐ三本の針金で作られた柵で、道からは区切られていた。
その柵にはマジックで文字の書かれたベニヤ板が張り付けられていた。もう暗くて読めないが、いつも登下校の途中に見ているので内容は知っている。『立入禁止』と『ゴミを捨てるな』だ。
けれどもそれは、どちらも無視されていた。
何故なら粗大ゴミや不燃物がそこの一角に居座って自己の存在を無言のまま主張し、残りの場所では子供達が歓声によって自分達の縄張りを主張していたからだ。
だけど今は子供達の姿はない。代わりに弱々しい赤い陽光の中には、肌寒い晩秋の風に吹かれて微かに揺れることで自己の存在を主張する枯れたススキがあるだけだった。
空き地を吹き抜けた寒風があたしの足を撫でていくと、頭から冷水を浴びせられたようにぞっとした。
冷気が背筋を駆け抜けたのは、スカートの裾から冷たい空気が入ってきた空じゃない。そこに冷蔵庫があるからだ。
海底のような薄闇に沈んだ空き地のゴミの山のこっち側、丁度柵のすぐ傍であたしの背丈程もある三つの扉の付いた巨体が白く浮かび上がっていた。
一瞬恐怖で身体が凍り付くが、すぐに理性がそれを解凍した。
——しっかりしろ香奈江、来年は高三なんだぞ——
そう自分に言い聞かせて、あたしはその前を通り過ぎようとした。怖いから道の反対側を通って。
その時微かに子供の泣き声が聞こえた気がした。あたしははっとして身を固くした。
——まさか幻聴よ。怖い怖いと思うから有りもしない泣き声が聞こえるんだわ——
しかし泣きじゃくる子供の声は、次第にはっきりしてきた。それと共に何かを叩くような鈍い音が断続的に聞こえてきた。それは確かに空き地にある冷蔵庫の方から聞こえてくる。
「さっちゃん」
思わずそう呟いてから理性が訂正する。さっちゃんのはずはない。
「あけてよー。助けて—」
泣き声は次第に明瞭になり、助けを求める叫びになった。誰かが中に閉じ込められている。多分ここで遊んでいた子供の一人が、誤って中に入ってしまって出られなくなったのだろう。
あたしは恐る恐る冷蔵庫に近づいた。一歩ごとに不安と恐怖が強まるのを感じる。
ようやく柵の前に付くと、そこに鞄を置いて柵の針金の間をくぐり抜けて空き地に入った。そして勇気を奮い起こして冷蔵庫の前に立った。
あたしと同じくらいの背丈の冷蔵庫は、風に揺れる枯れ草の中でまるで墓標のように立っていた。
墓標?
そう思った途端、あたしの感情と想像力は理性を屈服させようとタッグを組んで猛攻を始めた。
この中にいるのはさっちゃんじゃないのか。置いてきぼりにされて窒息死したことを恨んで化けてきたのではないか。ドアを開けると恨めしそうな顔のさっちゃんがいて無言でこっちを睨んでるんじゃないか。それとも土気色のさっちゃんの死体があたしにしなだれかかってくるのではないか。そしてあたしがよく探さなかったことを恨めしげな口調で責め立てるのではないか。
そうか、あたしが冷蔵庫を恐れるのは罪の意識なんだ。
もっと良く探していればさっちゃんは死なずに済んだのに。そういう後悔と自責の念があたしに冷蔵庫を避けさせているんだ。
その時再び聞こえた子供の叫び声が、あたしを現実に引き戻した。
「助けてよー、ママー」
そうだこんな事をしている場合じゃない、早くこの子を助けなきゃ。それがあたしにできる精一杯の償い。
あたしはぶるんと頭を振って恐怖を振り払うと、意を決して冷蔵庫の真ん中の段の一番大きなドア、子供が入れそうなそこの取っ手に手を掛けて一気に引いた。
錆の浮いたドアは軋みつつ、一瞬とも永遠とも思える時間を掛けて開いた。
あたしはその音がさっちゃんの悲鳴のように聞こえて思わず身震いした。
そしてあたしは条件反射でいつものように後ろに飛び退き、中を見ないようにしっかりと目を瞑った。

57冷蔵庫:2011/09/29(木) 23:57:09
しかし忌まわしい箱の中からは泣きじゃくる子供は出てこなかった。それどころか泣き叫ぶ声も途絶えて、しんと静まりかえっている。
あたしは恐る恐る目を開いて中を見た。夕暮れの弱々しい光の中でも冷蔵庫の中は十分に見える。しかしそこには何も無かった。あたしの目に映ったのはただ空っぽの冷蔵庫の内壁だけ。
上の冷凍庫や下の野菜貯蔵室には子供の入れるスペースはない。では子供はどこに?
理解不可能の出来事で呆然としているあたしの心の中に、じわりと恐怖がわき上がった。それは白い布に倒した瓶から流れ出すインクのように、私の心を恐怖で染め上げていく。
その途端あたしの眼前で、冷蔵庫のドアがあたしを掠めるように音を立てて勢いよく閉まった。まるで肉食獣の顎のように。
もし、いつもの癖で後ろに下がっていなかったら……
そして風に乗って舌打ちの声が聞こえてきた。まるで何かを悔しがるような。
一体、何を?
理性の問いかけに感情が答えた。
あたしを閉じ込め損なったことに違いない。
一体、どこから聞こえたのだろう?
目の前の白い箱からだ。
あたしは土と枯れ草で服が汚れるのも構わずに、転がるようにして空き地を出ると鞄を引っ掴んで後も見ずに逃げ出した。


あたしは冷蔵庫の前では、二度と心安らぐことはないだろう。なぜならあたしは知ってしまったからだ。
あたしの抱いていた妄想じみた考えは、決して空想の中だけの物ではないということを。あれは自らの内にある冥界に人間を加える機会を虎視眈々と狙っている、邪悪で恐るべき存在だという事を。

58ナイト オブ バンパイア:2024/03/20(水) 02:11:48
>>11の続き。元々は四半世紀くらい前からラストを考えてて、今回「白クロ」のドラマ化で思い出したんで書く。

数十年後、老齢の修道院長となっていたシスター。体が衰えて殆どを寝て過ごす状態。
バンパイアの青年は、その修道院で雑務役として働いていた。他のシスター達と顔を合わせる事がないように、顔などを隠して夜間に働く(参照「ああ無情」)彼は老人と思われていた。
修道院長の容体が悪化したある晩、バンパイアが修道院長の部屋にやって来て、死ぬ前に吸血鬼にならないかと誘う。
「いいのかい? こんなしわくちゃなお婆さんでも」
「キミはずっと魅力的だよ」
「嬉しいわね。でも、あたしからも一つお願いがあるんだけど」
「なんだい?」
「あたしと一緒に、天国の門をくぐってくれないかしら?」

翌朝、修道院長はこと切れていた。しかしその顔はとても安らかで笑顔すら浮かべていた。そしてベッドの傍らには、修道院長のロザリオともに人型をした塵の山があった。


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