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【長編SS】鬼子SSスレ@創作こそ至上【短編SS】

1ヤイカガシ:2020/03/17(火) 04:07:20 ID:soZACVY.0
1 : 名無しさん@避難中 sage 2019/12/30(月) 18:53:51
                 ,,,,,A__A、
               r彡リリリリリリリミハ、
              /:::::::::::::ハ::::::::::::::::,ミ!`了
           [ンリリリリHノ ミテ〒テテヲ ノ    ここは創作発表板です!
      _rrrr、_ノlリリリ=   =リハ川} マ    オリジナル・二次創作問わず
      「::/ ゙̄"ヽ::::i!川人''┌┐''ノリミ川!!J    様々なジャンルの作品を好きな方法で自由に創作し、
     |:/ 注  r-、!リl州>ニ-イ彡ハ川|     発表して評価・感想を貰う創作者のための場所です!
     |:{  意  r〈rミYリi ( Vクリリク;:;ヽリ!、
     |:{  事  }:::ハソ !、;:;:ハ/クィ⌒:;:;}リハ、   こちらのスレで扱っているのは、
     |::,  項 ノ:::|:;r ヘ/;:/:;:;:;:;:;:;イリリ,ハ   萌えキャラ 日本鬼子(ひのもとおにこ)ちゃんです!
     |::ヽ _/_|人 ノ入Y:;*:;:;:;:;ノミリリリ、  みんなで楽しく鬼子ちゃんの作品を創作・発表し、
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関連スレ【飄々と】萌えキャラ『日本鬼子』製作33 【萌え】
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あとはよしなに

41黒幕 ◆1WsTPNJ.62:2020/06/25(木) 01:15:32 ID:823eQz920
『鬼子外伝 -ショウキ- 3章 鬼子登場 』

「……姉三……六角…」

高く澄んだ声で歌うように独りごちると、彼女はその歩みを止めた。
彼女は年若く、美しい女性の姿に見えた。まだ幼さの残る顔立ちから、中高生くらいの年齢を思わせる。

白磁の人形を思わせる白い肌、つややかで腰まで伸びた美しい黒髪。そして、薄紅色のやわらかな唇を持つ女子がそこに立っていた。
少し物憂げな微笑みを浮かべている美しい少女。初めて彼女を見た者は、誰もが彼女の美しい姿に魅了されるだろう。

そしてその少女の御出で立ちは、唐紅(からくれない)に染め上げ、楓柄があしらわれている振袖の着物を風になびかせている。
振袖を飾る帯は紫地に平金糸を横糸に加え、花唐草の模様を織り出したる金襴豪華な錦の帯である。金糸は電灯の僅かな光でも高貴な輝きを放ち、帯の中心にある翡翠の帯留めは、古代の森を思わせる深い緑の色を湛えていた。

しかし、不自然な点も見られた。

少女は何かに警戒しているのか後ろ鉢巻、いや額の右に蝶結びの如くに花結びに締め、額の左には般若の面を飾りのようにあしらっていた。
そして更には、美しい着物の上から襷十字に綾なし、長い棒のような長物を手にしている。

それは、まるで戦支度。これから戦場にでも赴くかの様な雰囲気であった。

その少女が立ち止まり数瞬後、彼女は手にしていた長物を指先で回転させ振り回し始めた。
それはまるで、バトントワリングの演技でもする様な軽やかな動きであった。
長い棒状のモノを、わずか数本の指だけで動かしている。

しかし、回転させているモノは演技用のバトン等といった、短く軽いものなどではない。
夜の澄んだ空気を音を立てて切り裂くそれは、2メートル程の長さがあった。

それは一見、無骨な石器の様なモノにも見えるが、これは金属でできた鉄の棒。いわゆる金砕棒である。
いや、正確にはその金砕棒の先には長大で鋭い刃が付いているので、どちらかというと長刀や薙刀に近い形状の武器というのが正確かも知れない。

この薙刀であるが、柄の部分の直径は凡そ一寸半(45ミリから50ミリ)、刀刃はおよそ二尺(約60センチメートル)、全長は七尺(約210センチメートル)の大長物である。
全てが鍛鉄でできており、その重量は八貫(約30キログラム)もの重量がある代物であった。

恐るべきはこの大長物を軽々と扱う膂力である。その薙刀の本当の重量を知る者が、少女の振る舞いを見たら恐怖するだろう。
約30キログラムの鉄の塊を指先で軽々と操る少女、とても人間業ではなかった。

そして薙刀をひとしきり振り回し終わり、あたりが静寂に包まれる。アーケードの採光窓から月の光が差し込み、少女の全身を照らした。
その時、月の光で少女の本当の姿が顕わにされた。少女が頭部に持つ、容貌的特徴。美しい容貌(かお)と共にそれが浮かび上がる。

この少女の前頭部から二本の角が生えていた。

そう、彼女は人間(ヒト)ではなく、鬼なのだ。

鬼が呟く。

「今夜は、月がきれいですね……」

月に対して言葉をかけ氷の様な微笑を浮かべると、鬼の少女の姿は陽炎の様に揺らめき、闇に消えた。


  *

42黒幕 ◆1WsTPNJ.62:2020/06/25(木) 01:17:46 ID:823eQz920
「『ヤイカボックス』じゃないわ!『チチカラノーツ』よ!」

運動靴をキキキキィと鳴らし、足ブレーキをかける将魔。
地面の石畳風のタイルに手を当て軸にし、身体をよじって方向転換すると逆方向に素早く駆け出す。

三叉路を逆方向に向かってしまったが、すぐに魔希に追いつく。

「注意すること!今回の敵はヤバいかもしれないわ!」
「ヤバかったら、すぐ逃げるなきゃね!」
「だから将魔はバカなのよ!」

バカといわれ、少しショックを受けたような表情をする将魔。
魔希は傷つく将魔など気もとめずにしゃべり続ける。

「いい?本山の法力僧でも、疫鬼を倒すのにはかなり手こずっていたわ!」
「うんうん!」」
「でも、おじい様から貰った『七星剣』を使えば一瞬で疫鬼を消滅させられる」
「うんうんうん!」
「ってことは、ワタシたちは本山の人たちよりも強いから相手が妖(バケモノ)でも倒せる「かも」ってことよ!」
「魔希ちゃん、冴えてるぅー!」

手を合わせ、いえーい!と、ハイタッチをする将魔と魔希。
走りながらも少しはしゃいでいるのが見て取れた。

二人は今日が初陣ということもあり、気持ちが高ぶっていた。
まるで遠足にでも行くような浮ついた気持ちで目的地へ向かっていた。

しかし、このあと二人はすぐに後悔することとなる。自分たちの浅はかな考えに、自らの技量の未熟さに。

「さあ、この街はワタシたちが護るわよ!」

今、地獄の口が開こうとしていた。


  *


ライブハウス『チチカラノーツ』と『ヤイカボックス』は、この商店街に存在すライブハウスである。
これらは共に、地下倉庫改装して作られたライブハウスであり両者共に街の若者には人気のあるハコ(小規模イベントスペース)である。

ただ、現在は感染症対策の為に両施設とも営業を自粛している。

ジャンルとしては、『チチカラノーツ』はニュースクール系を中心としたデス系のライブハウスである。主にプログレッシブ・デスメタルやブルータル・デスメタル、デスコア等のバンドが集っていた。
対して『ヤイカボックス』はポップス系のバンドが集うハコである。


『チチカラノーツ』の付近まで来た将魔と魔希は、物陰に隠れながら慎重に距離を詰めていた。
さきほどまでは感じられなかったが、疫鬼とは違う妖気を感じたからだ。

先ほど聞こえた、歌うような様な声も聞こえてくる。

「……生麦……生米」

飲食店の電飾看板にから静かに覗く二人。すると、歌声とは別の音が聞こえてきた。

ザクッ……ザクッ……

そこには長い髪を振り乱し、笑いながら薙刀を疫鬼を突き刺す少女の姿があった。

「……も…散れ……え散れ……」

その姿に息をのむ二人。

「……将魔、見た?」
「うん。見ちゃった……」
「あの女の人、頭から角が生えていたわね……」
「角が生えている妖(バケモノ)っていうと……やっぱり鬼?」
「疫鬼を棒みたいなもので突き刺していたわ」
「アレがじいちゃんの言ってた鬼子かな?」
「わからないけど、ヤバそうなのは確かね……」
「どうする?照道さんに連絡する?」
「ふふふふふ」

魔希があやしい微笑みを浮かべる。将魔は嫌な予感がした。
魔希がこの顔をした時は、大抵ろくでもないことを考えている時だったからだ。

「これで行きましょう」

そういうと魔希は、『破魔札』といわれる御札を背中の道具箱から取り出した。

この『破魔札』は一見するとただの紙切れにしか見えない。
霊的な文字と、『法輪』という「四諦・八正道」を象った図案が描かれている他は、普通の御札と変わり映えがしない様に見える。

しかし、この『破魔札』には特殊な顔料を使用して摺られており、中に「霊気(オーラ)」が封じ込められている。
この札に術者が更に「霊気(オーラ)」を流し込むか、札が「霊気(オーラ)」や「妖気」と接触すると爆発を起こすのだ。

『破魔札』に使用されている顔料が「霊気(オーラ)」を保持できる限界を超ると、「霊気(オーラ)」が暴走して爆発という仕組みである。
これは「霊気(オーラ)」が使える術者たちが、ダイナマイトの様な使い方をしている呪具だった。

「ちょっと!これどうしたの!??」

魔希が手にした『破魔札』を見て、将魔は驚きの声を上げた。
普通の人間ならばただの御札だが、「霊気(オーラ)」が使える術者にとっては爆発物の様なモノだからだ。

「おじい様の部屋から貰ってきたの」

それはドロボーっていうんだよ、という言葉を我慢し、将魔は頭を抱える。
そんな将魔を余所に、魔希は『破魔札』が爆発しない程度の「霊気(オーラ)」を注ぎ込む。すると『破魔札』は空中に飛び上がった。

これは魔希の得意としている術である。物質に「霊気(オーラ)」を定着させ、操ることができた。

43黒幕 ◆1WsTPNJ.62:2020/06/25(木) 01:18:16 ID:823eQz920

『破魔札』を「霊気(オーラ)」で飛ばし、鬼の「妖気」と反応させて爆発させようというのだ。

「オン」

魔希がそう唱えると、『破魔札』は鬼の少女に向かって弾丸の様に飛んで行った。
これは魔希の得意技である。この距離であればほぼ百発百中。
あっという間に標的を捉え、『破魔札』は鬼の少女と共に爆裂飛散するだろう。

……そう思われた。

『破魔札』は確かに鬼の少女を捉えた。いや、そう見えた。

鬼の少女にぶつかったと思われた瞬間。彼女の姿は陽炎の様に揺らめき、その身体をすり抜けていった。
その数秒後、鬼の少女の姿は蜃気楼のように消え去った。


消えた?いや、最初からいなかったのか?いや、そんなはずはない。
あの少女からは妖気を感じていたし、実際に疫鬼を串刺しにしていた。

あの妖(バケモノ)は感知できるが、存在しないモノなのか?

将魔は刀印を結び、辺りを警戒する。
その時魔希が叫び、小径を指さす。

「将魔、あの妖(バケモノ)は公園よ!」

『チチカラノーツ』の裏手には、小さな公園がある。ライブハウス横の道から公園へ抜けられた。

「なんで公園に?さっきまでここにいたのに!」
「わからないわ、でも妖気は一瞬で公園に移動した……」

次の瞬間、将魔は無意識に公園に向かって走り出していた。


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