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ローファンタジー世界で冒険!避難所
185
:
エスペラント
◆hfVPYZmGRI
:2012/10/28(日) 04:10:09 ID:OCp.4WVQ0
とりあえずエスペラントが行っている行為は日常系のバトルも関係ない平穏な世界は
彼のような存在が頑張っているから毎日何事も無く回っているというのでは?
という事を匂わせたくて主張させて頂きました。
個人的には多世界に影響を齎す事の指し示す事の例としては
クラナドやららきすた等の闘争とは無縁な普通の世界に場違い承知で人外魔境化する前兆として
化け物が現れ始めるという事です
それを毎回阻止しているのが彼と言うわけで
言いたかった事はそれだけです
186
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/10/28(日) 17:51:03 ID:IrXmwBC.0
帰還しますた。フォルテ君はスレストの呪いをかけてしまったようだ。
男心を弄ぶのは大罪なのです。
>>185
つまり一般人が世界の危機じゃー!と騒ぎ始める程になったら相当ヤバイってことよね。
そんな設定で同じ世界を舞台に片やほのぼの日常系、片や超人バトルで
時々ストーリーがリンクしあう姉妹作をやったら面白そうなのに見かけないですね。
客層が違い過ぎて意味がないのかもしれない…!
187
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/28(日) 18:01:55 ID:ZaKzVdfo0
うおお、ちょいとバイトが立てこんでまして
返信できるのは深夜当りかと思われますよー
188
:
エスペラント
◆hfVPYZmGRI
:2012/10/28(日) 22:00:50 ID:OCp.4WVQ0
多元世界なら中二バトルもあれば平凡なほのぼの系の世界とかあるわけですからね
それを脅かす存在が居るという事は、中にはそういう戦う力の無い世界を優先的に支配下に
置こうとする者もいるかもしれないというのも描きたかったという事もあります
まぁ其処まで行くのは本当に異常事態ですけどね、クレヨンしんちゃんみたいに
非日常がたまに起きる世界では、そんなに慌てないでしょうが
当然異能バトルやらがない世界やらは戦う力がないのでそういう対応はできないと思います
だからあっという間に滅んでしまう…というのは想像が容易だと思います
確かに見かけませんよね、個人的にもそれは面白そうだとは思いますが
まぁそれをやろうと思えば此処でもできるのがこのスレの魅力的な点の一つですよ
189
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/28(日) 23:54:20 ID:ZaKzVdfo0
>「……うん、分かったよ!」
「あァ、しゃーねぇな、やってやるさ」
フォルテのウィンクは目の端で捉えており、こちらもまた、相手の言葉に同意するような言葉を吐く。
が、この言葉はフォルテの考えに対する同意であって、修行に対する同意ではなかった。
嘘はついていない、歴戦の傭兵は強かなのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そして、皆が寝静まる夜半の時間。
人一倍体格が良く、また迷惑をかけまくったゲッツは隔離されるように旅館の端の部屋をあてがわれていた。
ゲッツはと言えば、大の字になって鋭い牙を剥き出しにしたまま、大いびきをかいていた。
が、そこは竜人、音には敏感だ。
美少女の声を聞くと同時に布団を天井まで吹き飛ばしながら飛び起きた。
(アレか!? 村を救ってくれたお礼に――ってやつか!?
……いや、しかしなァ、女の子だって俺みたいなごっつい奴の相手はビビるだろう。
此処は一丁紳士的に――)
「こんな夜中にどうしたんだい、お嬢さ――――ってテメェフォルテじゃねーか。
さすがの俺でも騙されねェぞ? ……いや、騙されてねーからな、マジで、いや本気と書いてマジで」
出鼻を挫かれて、なんとも言えない表情を浮かべるゲッツ。
なんとなくしてやたれたような感覚をゲッツは覚えていたが、負けを認めたくはなかった。
ただ、鋼の義手の表面が一瞬小波のように揺れていたのは間違いない。
>「クックククク…! 残念でした、オレだよオレ! 腹いてえwww
>え、そんなにガチで残念がるなよ…! 怒るなって! これでもふざけてるわけじゃないんだからな!
>あのお節介野郎の目を逃れるための変装だよ。
>セーラー服美少女戦士は微妙に服が変わるだけで変身前と変身後が別人と思われてるだろ?
>記号的表現は一種の魔力を持つ――。
>魔的なもので物事を見ている超人ほどこういう一見お粗末な方法には弱いんだ。
>つまり何が言いたいかってーと……脱走してやろうぜ! これより貴方様を誘拐させて戴きます!」
トンデモ理論をブチかましながら、楽しそうなことを提案する友人の姿に、かつての戦場の無茶苦茶を思い出し、俄に心が沸き立った。
ふつふつと、己の中の熱が燃えていくのを感じる。なるほどと、ゲッツは納得をした。
先程から己の中でもやもやとし続けていた感覚の正体を今になって悟る。
そう、それは閉塞感だ。常に自分の道を自分で切り開き、障害を粉砕してきた男は、誰かの敷いたレールを歩くことを何よりも嫌うのだ。
190
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/28(日) 23:54:31 ID:ZaKzVdfo0
というわけで、ニヤリといい笑顔を浮かべた竜人は、ひょいとフォルテを肩に担ぐと、窓辺に向かって歩き出す。
窓枠に足をかけ、空を見あげれば爛々と輝く満月が天蓋には浮かんでいる。
紅の瞳孔がきゅうと収縮し、口元からはひゃはは、と楽しげな笑い声がこぼれだした。
「悪ィが、誘拐すンのは、この俺だぜェ?
……っと、出発前にちょいとやりたいことがあンだ、お前もちょいと付き合いな」
そう言うと同時に、宿の5階から、ひょいと飛び降りるゲッツ。
当然ながらフォルテを担いだままだが、唐突に背中から銀色の翼が飛び出して、ゲッツは飛翔。
天高く飛び上がると、ドイナカ村を見下ろし、村で一番高い建造物、鐘楼を発見。
一息に加速し、鐘楼の最上部にたどり着くと、ゲッツは唐突に生身の右腕の爪を一閃。。
鐘楼の外壁には、赤く魔力の痕跡の残る爪痕が深く刻まれ、同時に鐘楼の表面を微弱な魔力が走った。
ふぅ、と一息終えたような表情を浮かべ、肩に担ぐフォルテに目線を流す。
「いっつも旅先に来るとこうしててな、俺がここに来たっつー爪痕を残すことにしてあんだァ。
生きてくってことは、自分が居たって証拠を残していく事、って思ってるもんでな。
……ッツーわけで、お前もせっかくだし残してかねェか? 伝説の勇者パーティ予定参上、ってよォ?」
ゲッツは、楽しげな笑い声を零しながら、少しだけ自分の人生観を語る。
何かに己の痕跡を残していく事が、生きていくということ。
例えばそれは伝承だろうし、物語だろうし、歴史だろうし、ともすれば墓かも知れない。
要するに、ゲッツが爪を振るったのは、この日確かに己がこの村に存在していたという事を証明する為。
この竜人にも、多少はロマンや風情というものを理解する感情は有るのである。
というわけで、竜人はフォルテにもここに傷を残していくか?と問いかけていた。
どちらにしろ、痕跡を残すにしろ残さないにしろ、この痕は聖都エヴァンジェルへ上空ルートを通って超速5時間空の旅が待っているだろう。
191
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/28(日) 23:55:35 ID:ZaKzVdfo0
>>189
>>190
の代理をお願いしますー!
遅れてしまってすいません……m(__)m
とりあえず、こっからフォルっち&ゲッツ組と超人組でまた別行動、って感じですかね?
192
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/10/29(月) 00:49:31 ID:.hAlpeos0
代理完了ですよー。いえ、こっちもいなかったので。
ほんの冗談だったのに急かしちゃってすみません。
パーティー分岐ですね。面白そうな展開になってきた……!
これRPG化するとしたら強さが違い過ぎてゲームバランスが大変そうだなあ…w
「超人組でボス殴ったら1発で終わるんすけどwww吟遊詩人?常に棺桶だろwww」みたいな
>>188
本編と関係ないところで延々と日常ものやっといていいですか?っていう新規さんが来ても
オレは敢えて止めないぜw
193
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/10/30(火) 00:26:19 ID:fj3RBelQ0
第二章開始でございます。宴会パートは1,5章にしとこう。
あれはWikiのトップページにあるアレですね。
今頃オープニングテーマかよ!と思いつつも挿入せざるを得ませんでした。
いつ女装をやめるか、それが問題だ。後先考えずに思いつきの出オチギャグをやるからこんな事になるのです。
お前いつも器物損壊で騒いでるくせにフツーに落書きしてるじゃないかって!?
ふふふ、この世界の判例は軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反がファンタジー的に見たロマンやオサレ感によって
刑法の処罰の対象となる程度以下に解消される場合があることを認めているのだ!多分!
194
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/31(水) 22:26:31 ID:ixkbFdvc0
明朝。
聖都にほど近い丘に降り立つ影が二つ有った。
一人は、2mを優に越える、竜人種においても体格の大きい部類に入るハイランダー、ゲッツ。
珍しくまともな服――道中で調達したハイランダー族特有の背中の布が外せる茶を基調とした民族衣装を着た竜人は、草原に爪をめり込ませながら停止した。
そして、肩に担いでいたヴィジュアル系の様な格好をしたどう見ても非戦闘員の両声類を地面へと放り捨てる。
乱暴ではあるが、怪我をさせないように加減している辺り、流石かもしれないが、そもそも投げるなという話だ。
「っふぃー。流石に長丁場だったか、まあ空の旅の分振動も少ねェし、農道最速グランプリよかは乗り心地は好かったんじゃね?
ッツーわけで、やって来ました聖なる都、エヴァンジェル!ってか」
丘の上から睥睨するように聖都を見る。
白い壁に覆われ、中心には大聖堂のある美しい都市である。
現在はセレモニーと同じタイミングで開かれた祭の最中であり、断続的に様々な所から花火が打ち上がっている。
遠くから見て尚活気が分かるほど人々に溢れており、ぱっと見ではきな臭い気配などまったくもって感じられない、〝外見の綺麗な都市〟。
ふへぇ、と面倒そうな表情を浮かべながらゲッツは溜息を吐き、ごきりと首をまわして軽く屈伸。
「昔あそこの城壁粉砕したのによォ、完璧に直されてやがるし……。
うっわ、あそこの区画も金有りそうな建物作りやがって!
ま、青春時代を思い出すつもりで、ちょいと行くかァ。なァ?フォルテ」
前に来たことがあるのは間違いないようで、口からは色々突っ込みどころに溢れる言葉ばかりが飛び出していく。
青春時代と言っているものの、どんな青春時代かは正直筆舌に尽くし難い為、今ここでは割愛することとする。
翼は体内に溶けこむように消えていき、上げられていた布を下ろせばマントを着込んでいるような姿となった。
そして、竜人はフォルテを引っ張るようにしながら、聖都の西門――ではなく、東門の方へと歩いて行き、橋を渡っていく。
橋の先にある門には、数人の警備兵が居り、当然のようにゲッツとフォルテも呼び止められる。
「そこの二人、暫し待たれよ。
今は祭りの期間故、いやだからこそ危険分子の侵入は防がねばならぬ。
そちらの吟遊詩人殿は構わぬが、そこの竜人よ、何か身分を証明する物は有るか?」
祭りの期間だからと言ってフリーパスという事はありえない。
どころか、沢山の人が訪れるからこそ、治安の維持の為に警備等も厳しくなってこそ当然というものだ。
呼び止められたゲッツは、とてもいい笑顔を浮かべながら懐をまさぐり、冒険者ギルドのカードと、何かの紙切れを警備兵に差し出す。
暫くそれを見ていた警備兵は、顔を青くしてゲッツに対して複雑な視線を向けると、無言で門を開けた。
「あいよ、ありがとさん。
5年前みたいにはしねェからそんなにビビんなっての、ほれ、手間賃!」
門をくぐりながらケラケラと笑い声を響かせて、ゲッツは警備兵に銀貨を一つ投げ渡す。
豪速球で投げられた硬貨は警備兵の兜に当り、鐘を鳴らすような甲高い音を響かせて空中に舞い上がった。
それを軽く一瞥すると、ゲッツは気にせず大通りへと向けて歩いて行った。
歩いて行ったのだが――、この東区画、あまり活気が無い。
とは言ってもドイナカ村に比べては遥かに人も多いのだが、妙に壁が薄汚れていたり、浮浪者の姿が時折見られる事などがその活気の無い雰囲気の一端だろう。
出店の数も少なく、警備の兵の数もあまり多いようには見られない。端的に言ってしまえば、どこの町や村にも有る、治安の悪い地域、であった。
なぜわざわざこんな所を選んだかは、ここまでフォルテを引きずってきた、勝手に大量のケバブを食べまくっている竜人のみが知る所だ。
195
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/31(水) 22:26:59 ID:ixkbFdvc0
「なー、ゲッツ? なんでこんな治安の悪いところ連れてきたんだよ!
せっかくの祭なんだからさあ、もっとこうパーッっとした所に行くべきだろ!」
「まあ、後でそっちは行くけど、今日の宿予定がここにあるもんでなァ。
昔のダチがこっちに居るつったろ? そいつの店だから、言っちまえば安いし、身を隠しやすいって訳だなァ。
どうせあいつら速攻でこっち来て俺たちみつけんだろ? だから目立つ所に泊まるのはアレだろォが」
ゲッツの友人がやっている店との事だが、この男の友人だ、危険性しか存在しない。
とりあえず気にするなと言いながら地区の細道の奥へとずんずんと進んでいく殲滅師と吟遊詩人。
暫く歩けば唐突に開けた地域に入り、小さいながらも手入れの行き届いた宿が目の前には建っていた。
店構えだけならばちょっと小洒落た、アットホームな店だが、残念ながらこの世界は外見で物事を判別しきれない世界だ。
何が飛び出してきてもおかしくはない。
「ちゃーっす!」
竜人は大声を張り上げながら、力強く店の戸を開けて堂々と入っていく。
店の中に入ってみれば、これまた以外な事にセンスの良い内装の、シックな酒場がお出迎えした。
瞬間、背後のドアがばたん、と閉まる音が響く。
後ろを振り返れば、そこにはバーコートに身を包んだ壮年の男性の姿があった。
長身であり、また体格の割と良いが、丸メガネと柔和な表情が不思議と威圧感を感じさせない。
それよりも不思議な点は、先程まで背後に誰も居なかったであろう点だろう。
そこに居たのはレベルの差は有れど、竜人と吟遊詩人から見れば間違いなく訳の分からない人種の一人だった。
196
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/31(水) 22:27:10 ID:ixkbFdvc0
「んー……、おお、ゲッツ君じゃないかね。
最後に来たのは……、ああ、開店祝いの時以来か。
いやはや、ローファンタジアが崩壊したと聞いて心配していたが、元気そうで何よりだ。
そちらの――お嬢さ、いや……君は初めて見るようだが、ゲッツ君の友達かね?」
ゲッツの背中を強く叩き、嬉しそうな表情を浮かべ話しかける男。
そして、信じられない事として、今の動作でゲッツが地面にうずくまり悶絶していたという点だ。
まあ傭兵部隊等では良くある俗にいう手荒な歓迎である。ゲッツもお返しとばかりに幾つかの銃弾を撃ち込んでいるのだから、おあいこというべきだろう。
但し銃弾は全て壮年の男性をすり抜けて壁にめり込むこともなく男の手の中に握られ、ポケットにしまい込まれていたが。
「初めまして、吟遊詩人殿。
私はボルツ・スティルヴァイ、今はこの酒場ウ・ボイのマスターをしている者だ。
前は、そこでのたうち回っているゲッツ君の居た部隊の隊長をさせてもらっていた。
閑古鳥の泣いている寂れた店だ、ゆっくりしていくと良い。歓迎するよ」
柔和な笑みを浮かべながら、フォルテに右手を差し出す店主のボルツ。
傷だらけの手は固く。戦う男の手というものを強く感じさせる感触がする。
フォルテの手を少し強めに握って歓迎の意を表明すると、ゲッツの尻を蹴っ飛ばし店の端に転がしながら、カウンターに引っ込んでいく。
「おらァ!」
カウンターへ向かうボルツに次は斬撃を叩き込むも、素手で止められ投げ飛ばされるゲッツ。
すとん、と席に座る形で着地したゲッツの目の前には、よく冷えたアブサン酒が出されていた。
パチリとウィンクするボルツと、高笑いを響かせるゲッツ。
どうやらここまでの殺し合いが二人の挨拶だったようだ。
「……さて、このオッサン、半端ねぇドSだが飯と酒と戦いだけは上手いぜ。
街に出るならここで飯ちょいと食ってから行こうぜ。
ッツーわけでボルツのオッサン、寝床二人分用意しといてくれや。あとこいつにミントフラッペな」
「ふふ、久々に会ったが実力には磨きがかかっているようで良かった。
寝床とミントフラッペ、あと多少の軽食を用意しておく。
何か用があってきているだろうが、せっかくの祭だ。積もる話は夜にしようか」
フォルテ用のカクテルもカウンターに出され、ちょっとしたサンドイッチ等の軽食も振舞われる。
値段についての言及は全く無いが、気にする必要はないだろう。
酒もサンドイッチも食べれば美味い。
ゲッツはまた浴びるようにアブサン酒を飲んでいるが、ふと思い出したように口を開く。
目を細めて、フォルテの目を真っ直ぐ見据えるようにした瞳は、嘘を許さない真摯な色だ。
「そういや、ノリでここまで引っ張ってきたが、このまま俺と旅していいのかお前。
俺は俺の矜持と趣味の為に闘うって決めてるが、お前さんは別に戦わなくてもいいわけだ。
エスペラントとアサキムにも聞いたが、お前には戦う理由ってやつ、あんのかね?って思ってよォ」
アブサンを喉に流しこみ、視線も流し、意識を流す。
此処から先はエスペラントも言っていた様に、死の危険が伴う戦いが有るだろう。
決して物見遊山の感覚で行ける道筋でも無く、また覚悟が無ければ何時か脱落してしまうのは目に見えている。
だからこそ、ゲッツは友である相手だからこそ問う。このままついてくる意思と覚悟は決まっているのかと、改めて確認するために。
強がりでも、冗談でもない、フォルテの意思をゲッツはその耳で聞きたがっていた。
197
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/10/31(水) 22:31:01 ID:ixkbFdvc0
>>194-196
までの代理投稿をお願いしますー!
そしてNPCとして新キャラを出しましたので一応こっちにも設定投下です
割りと非常識な戦力ですが、そこは元勇者ということで!
名前:ボルツ・スティルヴァイ
種族:人間(元勇者)
性別:男
年齢:68歳
技能:魔力による物質生成、風と火と毒の属性適性、近接戦闘能力、サバイバル技術、神出鬼没
外見:白髪混じりの黒髪を後ろに撫で付けた、銀縁眼鏡の壮年の男。
顔には右上から左下に一閃の傷跡が引かれており、右目は義眼、口ひげを生やしている。
服装はスラックスにドレスシャツ、ベストというクラシックなものを好み、ハットが似合うダンディな男。
背丈は1m80cmほどであり、シャツを押し上げるほど、密度のある筋肉を持っている。
装備:セッジリーOSS.38魔術弾頭仕様×2、ミスリル製の長剣の柄×2
操作許可指定:名無しも可
設定操作許可指定:名無しも可
―― エンディング後の勇者、その一例 ――
元々はゲッツの所属していた、民間軍事会社の一部隊、〝ジャンクス〟のリーダーを務めていた男。
かつては有る小国において勇者と祭り上げられ、国を襲撃した竜種の群れを一人で迎え撃ち撃退したほどの実力を持つ魔法剣士である。
がしかし、生まれ育った小国の政治的判断により暗殺されかけ、命からがら国を逃げ出し軍事会社に籍をおく事になった。
国を追われた理由は、平和になった国に置いておくにはあまりにも強大過ぎる力を持っていたため、国民たちに危険視されたという理由がある。
本人もその事については苦々しい感情を残しているものの、一応の納得はしており禍根を抱いては居ない。
過去、ゲッツが左腕を失うこととなったとある作戦を最後に部隊を解散し、現在は貯めた金で小さな酒場を経営している。
>>192
>>193
代理投稿ありがとうございますねー。
いつまで規制が長引くのか……オラワクワクしてきたぞ!(号泣)
もうずっと女装してればいいんじゃないかな(提案)
ロマン重視の世界了解ですよー
というかそうじゃないとゲッツが既にお縄についているのは間違いありませんしね
……縄じゃ意味無さそうですがね
198
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/01(木) 01:52:04 ID:JlvG06Q20
代行完了です。キラーパスキター(もちろんいい意味で
お友達が爺さんだったとわw
リーフちゃんも神出鬼没を習得しているのかもしれない……!
199
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/01(木) 23:34:56 ID:J7dxLmsc0
こんな重要なシーンでパソコンがネットに繋がらなくなった\(^o^)/
日曜日までしばしお待ちを<(_ _)>
200
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/01(木) 23:48:17 ID:dt9bv/iQ0
>>199
了解ですよー
パソコンの無事を祈っておりますー
201
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/04(日) 01:24:35 ID:62ySgp/M0
ごめんねごめんね
パソコンは全く無問題でして
イーモバイルの端末切り替えという何ともしょうもない原因でした。
いつも通り繋ごうとして圏外になってた時は謎のみ電波妨害かとまじびびったわ…!
本日新しい端末を確保しましたのであとは設定がうまくいけば大丈夫。
レスは今日のうちにはきっと……!
202
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/05(月) 00:25:07 ID:jq1txya.0
結局月曜日に突入してしまった! 大変長らくお待たせしましたー!
本当に日常もの枠キター!
メル欄では単発と言ってますがまた気が向いた時には是非w
203
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/05(月) 22:25:10 ID:L8IltElI0
ゲッツは、相手に問う。
そして、その問いに真摯に答えようとしてくれている時点で、こいつはやはり信用できる、と理解した。
アブサンを口に流し込みながら、僅かに口角を吊り上げ犬歯をむき出しにして、笑う。
>「オレには夢があるっていったろ? この世界に神曲を送り出す事――それには題材《テーマ》が必要だ。
>最高のテーマに出会ってしまったんだよ。誰も見た事の無い伝説……世界に二つとない唯一無二のテーマにな!」
(――ったく、似てやがる。 伝説を作るのと、伝説になりたい奴。ま、出会っちまったんだ、しゃーなしだな)
喉を震わせて、低音の笑い声を響かせるゲッツ。
その表情は、平時の狂笑や、暴力感溢れる高笑いではなく、本当に普通の笑いだ。
何かとても、嬉しいことがあったような、幸せな笑い。
>「ああもう面倒臭い奴だなあ!
>頼むよ、この世に自分が居たって証拠を残させてくれ。その代わり……」
相手の言葉を、みなまで聞きたかった。
竜人は、闘うこと以外存在しない。相手のように素晴らしい歌を歌うことも出来ない、言葉だって直接的なことばかりが流れ出る。
その戦いだって、まだまだこの世界では上の存在などそれこそ無数に存在しているのだから。
だが、それでも竜人は戦いから身を引こうとは思わない。きっと、フォルテが歌を歌うのも、同じように、魂の叫びが体を動かしているからだと思う。
>「オレがお前を、伝説の勇者にしてやるよ!! そのためなら、戦ってもいい――!」
「っはッ……! ヒヒャハハハ――! いいぜ、そういう熱い言葉は大好きだァ! 上等だぜェ! フォルテ!
テメェの命はオレが守る! テメェと一緒にオレは拳も! 剣もッ! 炎もォ! 鋼もッ! 振るおうじゃねェか!
だからお前は、オレの姿を力を歴史に刻め! オレを謳うテメェの名前と一緒によ、面白おかしくこの世界に爪痕を残していこうじゃねェか!」
竜人は、飾り気のある美しい言葉も嫌いではないが、今のフォルテが口にしたような、心をむき出しにしたような言葉を何よりも好む。
嘘のない、混じりけの無い言葉こそが何よりも心を打ち、魂に灯火をつけるのだ。
哄笑を響かせ、一息にアブサンを飲み干し立ち上がるゲッツ。それと同時に、アサキムがこの店に現れた。
>「見つけたぞ、さあ行こうか」
>「導師様といえど邪魔をするのは無粋というものだよ」
立ちはだかるボルツ、この世界に置いても最強クラスに数えられるであろうアサキムを足止めしようと考え、それを実行に移せる時点で、この男も相当非常識だ。
少なくとも、あのアサキム相手に数秒以上の均衡状態を作り出すことが出来た時点で偉業といっても良い。
動き出すフォルテ、それを見てゲッツもまた歩みを進め出す。強く地面を蹴り、加速を産み。金髪は風に流れて赤と金の混じる軌跡を作る。
>「知り合いなのか!? 丁度いい足止め頼んだ! 逃げるぜゲッツ!」
「ヒャハッ! 任せたぜ、ボルツのおっさんよォ!
っしゃ、逝くぜ、行くぞ、突っ走るぜぁ!」
ゲッツは、フォルテが己の手を取った瞬間、わしづかみにして引き上げて肩に担ぎ上げる。
フォルテを運送するのが日常茶飯事になりつつ有るが、こちらの方が早いのだからしかたがないだろう。
狭い裏路地では翼を広げて飛翔することが困難であるため、加速を得て最速で飛ぶ為に大通りを目指していく、が。
>「あ、そちらのカップルさん? パンは如何です……きゃあっ!」
「カップルじゃねーってのォ! って、悪ィ!」
駆け抜け路地を飛び出した時点で、リンセルと接触。
フォルテの服にバスケットを引っ掛けてしまうものの、今は足を止めている余裕などはなかった。
開けた空間に出たその瞬間、地面を蹴り飛ばし、飛翔しようとする。
だがしかし、その瞬間に衝撃がフォルテを担ぐゲッツに襲いかかった。
視界が揺れ、衝撃に骨が軋み、脳裏に星がちらつく。ローファンタジアの崩壊時点であれば、ここで既に斃されていてもおかしくはない。
だがそれでもフォルテを庇いながら立っていたのは、ゲッツが戦いの中で成長していた故だろう。
>「お分かり頂けましたか?遅いですけど。」
>「ああ。二人を頼むぞ。」
204
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/05(月) 22:25:22 ID:L8IltElI0
「だァれが、お分かり頂けたってェ?
この通り、ひょろひょろ吟遊詩人は別として、最強のイケメン戦士様は見ての通りピンピンだぜこの野郎ァ!」
犬歯をむき出しにしながら、高笑いを響かせるゲッツ。
その気配は、アイン・ソフ・オウルの圧力とは異なる性質の、黒い性質を持った圧。
他の竜人種に比べて〝血が濃い〟ゲッツは、並の竜人よりも遥かにタフで、遥かに再生能力に長ける。
血まみれになり、骨に罅が入ろうと笑い続けていられるのは、その肉体と戦士の誇りが無ければありえなかっただろう。
「やれやれ、相変わらず無茶をするね、ゲッツ君。
まあいい、流石にかの導師アサキム殿と、その相棒のアヤカ殿二人を相手に攻勢に出るのは無謀というものだが。
15分、そこまでならこれ以上彼らを先に進ませぬ事を確約しよう。……老兵だが、まだ剣も心も錆び付いてはおらん」
いつの間にか、アサキムとアヤカ、フォルテとゲッツの間に割りこむように存在していたボルツ。
最初からそこにいたかのような自然さは返って不自然と言うに他ならない現象だろう。
そしてまた、唐突に老勇者の両手には、ミスリル銀で出来た剣の柄が握られている。
一瞬魔力が弾け、風の魔力で形成された不可視の刃が二本生成。そして、手袋から銃口が飛び出し、火炎弾を数十発一息で発射。
目潰しとして相手に着弾する直前に炸裂させ、視界の全てを爆風で覆い隠す。
「ゲッツ君の師匠として、本当の全方位殲滅師の戦い方というものを披露しようか。
剣を握るのは――半年……いや、済まなかった昨日振っていたばかりだったな。
さっさと逃げたまえよ、そこのやんちゃ坊主達は」
ぐっと静かにボルツはサムズアップ。
ゲッツもまたサムズアップをして、鋼の翼を広げて天空に舞い上がる。
フォルテの服に引っかかったバスケットがひっくり返り、スラム街にパンの雨を降り注がせた。
飢えた子どもたちにも、この日の祭のお裾分けだ。
銀と金、赤の竜人は吟遊詩人を拉致するような姿で、大聖堂の方向へと飛翔していく。
楽しそうに哄笑を上げ、縦横無尽に空をかける姿は、なるほど、やんちゃ坊主と言う他なかっただろう。
「さーって、どうせあとちょっとの逃避行だ!
どうせならここで一番高い所行ってやろうじゃねぇか、なぁ!?」
そう叫ぶと、フォルテを肩車して、高く高く飛ぶ。
目指すは、大聖堂の時計塔。風を切り飛翔するゲッツは、謎の魔力の壁のようなものも気にせず粉砕し、時計塔の窓から中へと入り込んでしまった。
「ヒャッハァーっ!到着ってかァ!?」
時計塔最上部、なにもない殺風景な部屋の中は騒然としていた。
――なんと、その部屋の中に、ドナルド達と戦闘した時に現れた神官と同じ格好をした人々が十数人居たのである。
彼らの格好は、白いローブに鏡の仮面、そして胸元には三神教団のロザリオ。
彼らはそれぞれの武器を構え、フォルテとゲッツに対して敵対心を見事に顕としているのだった。
「何者だ貴様!」
「くッ、もしや我々の計画を――!?」
「殺せ、扉を固めろ、さっさと潰せ!」
「これも我らが神の試練か……、だが、真なる神の教えは我らとともに有り!」
「「「「「「「「「「「「我ら、真なる神の教えと共に生きるものである!」」」」」」」」」」」」
武器を構え、今にも襲いかかりそうな神官達を前に、ゲッツはフォルテを下ろして、笑う。
「なーなー、これも伝説に刻んでおいてくれるかァ?
っても、こんな雑魚連中なら対して面白くもねぇか! ギャヒャハハッハハハハハ!」
鋼の腕を武器に変えて、相手達を挑発するようなセリフを吐き出すこの竜人。
だが、警戒と敵意を一人に集中させることで、フォルテに対するマークを逸らす戦略でもあった。
――どうにも、このセレモニー。予想通りにきな臭いことになっているようだ。
205
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/05(月) 22:27:07 ID:L8IltElI0
>>203
>>204
の代理をおねがいしまする!
ってか日常枠キター!
空からパンの贈り物をしながら飛んでったけど正直営業妨害にも程があるようなゲフンゲフン
>>202
復活乙ですー!
というか、大分こっちが確定描写で引っ張り回していますが大丈夫でしょうかー?
206
:
名無しさん@避難中
:2012/11/05(月) 23:37:11 ID:U0ibYmk20
>>203-204
完了しました
207
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/05(月) 23:49:41 ID:L8IltElI0
>>206
ありがとうございます!
208
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/06(火) 21:46:02 ID:Y8ehitms0
当方ゲッツですが、家を少々追い出される為土曜日の深夜までPCを使えない環境になりますので、土曜日まで返信が滞ります
ですので早く展開を進めたい場合はゲッツやボルツを勝手に動かしてしまって構いません
以上、報告でしたー
209
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/06(火) 22:50:31 ID:0d2mDMls0
なんと代理投稿がされている!
ついにこの絶海の孤島にも読者というものが付いたのか……!
>>205
全く問題ありませんよ!
むしろこちらこそのほほんと運搬されててすみませんってぐらい。
>>208
了解です! それは全然構いませんがなんか心配になる理由だな……!
なんといいますか……お疲れ様です。
210
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/10(土) 22:57:24 ID:QkyG1Vt20
ゲッツとフォルテの前には雲霞と立ち塞がる白装束。
皆ある程度以上の練度は有るようで、槍の穂先は振るえること無く突き付けられている。
が、しかし。超人共の戦いを見慣れてしまったゲッツもフォルテも、この現状に危機感を抱く事はない。
現に、今この状況ですら――
>「ならいっそギャグパートにすればいいんじゃね!? 最高に楽しい歌でなあ!
>万歳!聖なる女王様《Hail Holy Queen》!」
「ヒャハハハ! そりゃァいいぜェ!
だったらオレはハートでヒートなビートを刻んでやるかァ!?
まあ、ぶっ叩くのはドラムじゃなくて肉だけどなぁ!」
ゲラゲラゲラと下品な笑い声を響かせながら、ゲッツは物騒な事をさも楽しそうに語ってみせる。
勢い良く左腕を回し、息を深く吸って悠然と準備運動。
>「たまらんかすり傷海老よ おお毬屋 泡擦り笊を塩ビだ おお毬屋
>ジャイアントコーンinジャガビー(チェルシー) Singing風呂敷ジャガビー
>ヘルメット大好きサンターアンダギー さーね さーね さーねレジーナ
>あーれーるーやー!」
>「はっ、何故私は手拍子をしているのだ……!?」
>「釣られるなたわけ!!」
>「そういう先輩は不思議な踊りを踊ってますよ!」
目の前で踊る白ローブ達を見据え、拳を鳴らせば次第に白ローブ達にも恐怖の輪が広がっていく。
逃げ出そうにも踊らされ、目の前には今にも全滅させに掛かるような巨大な竜人。
正直言えば、ご愁傷さまだ。
支援職と前衛職の相性はやはり良いのである、現に今の状況がそうだ。
「――さーって、空中散歩と行こうかテメェらァ!」
床の石が砕け、ゲッツの姿が消える。
体こそ大きいが、かと言って速度が遅いわけではない。むしろ狩猟者としての肉体は高い機動性を持っている。
振りかぶる腕は、平手。
すっぱぁん!ととてもいい音を響かせて、窓ガラスを突き破って白ローブが吹き飛ばされた。
直後、人数分のスパンキング音とガラスが砕ける音と人が吹き飛ぶ音。
要するに、全力ケツドラムでいい音響かせながら白ローブ共を全員纏めて空の旅にご招待。
後は落下して蘇生を待つばかり、かと思ったのだが――。
>「ビャク、手段は問わないから大至急二人をを追ってくれ、さもないと」
>「二人の命が俺の嫁に狩られる。」
窓から吹き飛ばした白ローブがまた窓から戻って壁に叩きつけられてど根性ガエルである。
ついでにどういう事情か窓から入ってきたのはアサキムの嫁、アヤカ。
まるで使徒のように目を赤く光らせて口から白い煙を吐き出している。正直言えば白ローブなど目ではないくらいに恐ろしい光景がそこにあった。
「――――やっべ、やっべって、マジやべーって、何がヤベーって全部やべーって、どうするよヤベェよ」
言語中枢がただでさえ欠陥だらけだというのに更に言葉が崩壊していた。
逃げようにも窓の側にアヤカが居るため窓から逃げることは出来ない。
流石にそろそろ年貢の納めどきかもしれない。尚、新教皇のセレモニーは夜。後数時間だ。
211
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/10(土) 22:57:34 ID:QkyG1Vt20
そして、所は変わってアサキム側。
ボルツとアサキムの戦いは凄まじい惨状と化していた。
流石に超人同士とは言えどレベル差は覆し難くボルツが劣勢。
スーツに乱れが生じ、ところどころから血が滲んでいた。
「厄介、だねぇ。
なんでもあり、とはいやはや、実力が有れば何に特化しようとも意味が無いと言うことを如実に知らされるよ」
毒の魔力で出来た刀身を構えてボルツは苦笑を零す。
時計塔にゲッツ達が入ったのには気がついている。
「……さて、じゃれあいは終わりにしようか。
エスペラント殿もアサキム殿もご婦人方も、後で私の店に来てくれるかね?
ゲッツ君とフォルテ君は私が責任を以て捕獲してくると確約する。どうだい?」
若さ故の過ちは多いにするべきだというのがボルツの持論だ。
だからこそ、ゲッツとフォルテの考えの浅い、暴走行為の後押しをしていたのだが、この国にはとある事情がある。
少なくとも、真面目にエスペラントとアサキムという二人の超人を交えて何かの話し合いをしなければならない程度の。
ボルツの真面目な表情からは冗談の要素は無く、何らかの危機にこの都市もまた陥っている事が分かるだろうか。
212
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/10(土) 22:59:19 ID:QkyG1Vt20
>>210
>>211
の代理投稿をお願いします!
ソロモンよ!私は帰ってきた!
>>209
いやはや、ちょいと母の友人が来てまして部屋がないから明け渡せと言われただけなのですよ
一日1000円で二人分の食費を賄う素敵生活をして参りましたー
213
:
名無しさん@避難中
:2012/11/10(土) 23:53:42 ID:h2eMQZM60
>>212
代行しました
214
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/11(日) 11:41:09 ID:Gtjd50Cc0
>>213
ありがとうございます!
215
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/11(日) 17:15:58 ID:B5sKLe7M0
>>212
ちょwwwオカン自重www
ちなみに。今回の空耳ソングは即席で自ら日本語訳(?)したものです。
そろそろフォルテ君に英語がうまく発音できない説が浮上しそうだ。
なんだか慣れない人が見るとボルツ店長が分身の術してるように見えそうですが
きっと時間軸がこうなってるのです
ボルツがアサキム達を店に招待する
↓
アヤカが転送されてゲッツ&フォルテがボルツに捕獲される
↓(少し後)
リンセルとボルツが商談
216
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/11(日) 20:15:31 ID:Gtjd50Cc0
なんだかんだ有って、アサキムはアヤカを回収し、ゲッツとフォルテは神出鬼没の宿屋店主ボルツの手で捕縛されてしまう。
結局、簀巻きにされてフォルテとゲッツは店の端に転がされることとなった。
尚、ゲッツには腹パンとローキックのおまけ付きだが挨拶である。
>「分かりました。それでは後ほどお届けいたしますね」
「ああ、そうだ。ロルサンジュのお嬢さん。
あそこに君のパンを奪った犯人が居るのだが、済まないが私の古い馴染みとその友人でね。
話を聞く所によると追われている途中で服のフリルに引っ掛けてしまったようだ。
……というわけで、今回の支払いには少し色を付けさせてもらいたいのだが、いいかね?」
リンセルに対して、店の端でボロ雑巾にされている二人を指さして、犯人だと示した。
その上で、一応制裁は加えた事を口にしつつ、支払いに色をつけることでこの事件を示談で済ませようとしているようだ。
余り褒められた行いではないが、大人は汚い。支払おうとチラつかせる硬貨は、籠の分を合わせても有り余る程度には高い値段であった。
そして、エスペラント、静葉、アサキム、アヤカが店にたどり着くと、テーブル席を勧める。
ゲッツとフォルテも椅子にしばりつけて逃げないようにしている辺り、ボルツも鬼畜に見える。
が、その内心としてはここで対策を取っているスタンスを見せることで他の者からの風当たりを弱くする狙いがあった。
ぱちりと意味有り気にフォルテとゲッツに目配せをしてからウィンクを忘れない。
ことり、と皆の席に紅茶を置いてから菓子をサーブする。
全体に茶と菓子が行き渡ったのを確認すると、先程の戦闘など感じさせない元の格好に戻ったボルツもまた席につく。
「……さて、と。アサキム殿は知っておられるようだが、ゲッツ君の元上司のボルツ・ステルヴァイと言う者だ、よろしく頼むよ?」
ゲッツの上司という事は、元傭兵という事だが、粗暴な様子を見せることはない。
友好的な笑顔で、先程戦闘していたアサキム達や、話しかけたばかりのエスペラントと握手をかわしていく。
その手は固く鍛えられたもので、なるほど歴戦の戦士であると思わせる存在感の有る手だった。
「これでも、私は一応元勇者な訳でね、そこそこ世界情勢にもアンテナを張っているのだが。
ローファンタジア崩壊以降、各地で黒い宝石が原因と見られる事件が多発していてね。
この都市もまた、例外ではない。黒い宝石から魔物が生まれたり、結界が侵食されたりダンジョンが作られたり、結構色々なことが起こっているんだ」
情報を集めていたであろうエスペラント等は知っていることだろう。
この都市にも、幾つかの災厄の種は落ち、それらが事件を引き起こしていたのだ。
だがしかし、都市内に混乱が生じている様子が無い。それには間違いなく理由がある。
「それらの事件を解決し、黒い宝石を回収しているのが、次期教皇の派閥、真裏派[しんりは]なんだ。
民衆の不安を払拭してくれたのはいいのだが、色々と背後関係が不透明でね。
宝石も教皇の私兵が回収して、行き場が分からなくなってしまっているのだよ。
……色々ときな臭い気配がしてね、恐らく彼らの気配などから察するに、今日の夜のセレモニーで、何かが起こると思う。
君たちには、それらについて強く警戒しておいて欲しいと思ってこうして話をさせてもらった。
故郷に帰れない私は、ここに骨を埋めるつもりでね。どうか、君たちにこの都市を守ってもらいたい、そう思うんだ」
口髭を整え、片目を眇めて真っ直ぐ皆を見据えるボルツ。
ゲッツはといえば、かつて苦楽を共にした仲間の言葉に、沈黙を保っている。
そして、僅かな間を置いて、ゲッツは超人二人とその相方二人に向き直る。
「――あーっと、なんだ。逃げたのはマジで済まんかった。
リーフが悪ノリで薬盛ったのも、一応オレの方から後で焼き入れとくから許してやってほしい。
んで持って、更に迷惑掛けることになるんだが――、ボルツのおっさんに頼まれたんでな。
オレはとりあえずこの街のきな臭い所吹っ飛ばすまではここにいようと思う。
あんたらが残るか残らんかはあんたらの自由なんだが――、お前らだって黒い宝石回収するのが目的だろ?
宿屋ならボルツに頼めば只で泊まらせてくれると思うし、今日の夜まで修行とかお預けにしてくれれば良いんだが……どうだ?」
珍しく、このゲッツが頭を下げた。
師であるボルツの頼みに、仁義を重んじるゲッツは断る理由を持ち合わせていない。
だからこそ、今後どんな厳しい修行が来ようともやる事を確約しつつ、助勢を頼み込むことにしたのである。
217
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/11(日) 20:17:31 ID:Gtjd50Cc0
>>216
の代理をよろしくお願い致します!
というわけで、そろそろ状況を動かそうかと思いこんな感じにしてみましたー
真裏派の情報については開示したほうがいいですかねー?
>>215
割りとエクストリーム家庭環境なんですよねぇ我が家
フォルっちは英語の内申が2、と……メモっとこう
まあ店長は神出鬼没なので問題無いですええ、そういうことにしておきましょうぜ
218
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/11(日) 22:23:16 ID:ybTyJu6s0
>>217
代理しました!
開示するかどうかはお任せしますですよー。
共通認識にしておきたいなら開示、不確定にしておきたいなら不開示で。
いらん事を言って聞いてはいけない事を聞き出してしまった気がするぞ!
なんかすまんかった……!
大丈夫、5段階評価なら2でも進級できる(キリッ
多分成績分布はこうなってそう
吟遊詩人/精霊楽師に関係ある分野だけ突出してるけど
他が足を引っ張りまくって結局得意な科目はないという残念パターンですね、きっとw
まあまあ→音楽(※いろいろ偏り過ぎ) 国語 生物地学 地歴
だめ→その他殆どの科目
壊滅的に駄目→数学物理
219
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/11(日) 23:11:49 ID:Gtjd50Cc0
《三主教-真裏派-》
三主教の中で、とある事実に気がついてしまった宗教学者を主とする派閥。
各地の伝承や、遺跡の壁画、古代文字の解読、各地の残留魔力の探査などの結果として、現在信仰されている三柱の神は、有る超越存在を認識した人類の畏怖と恐怖と服従が作り上げた偶像であると判明。
その真理にたどり着いてしまった彼らは、ほぼ確実に精神に異常をきたし、真なる神をこの世にまた招くことを目的として行動している。
彼らの信奉する真なる三柱は以下
天蓋を砕くトゥビェニ
大地を熔かすイビャス
海を燃やすギェリム
これら三柱の呼び方はあくまで発音できる形に直された物であり、正しい読み方ではない。
既に正しい発音が失われている言語の為、古文書の解読が急がれている。
歴史の裏を這いずる者たちであり、彼らの存在は常に裏の舞台に有る。
《バイト》
彼らこそが、三主そのものであり、世界を捕食するものである。
彼らはそもそも生物であるかどうかも定かではなく、ともすれば現象とも災害とも取れる。
彼らはディラックの海と呼ばれる、この世界の論理とは全く違う理で満たされた世界を渡りこの世界に現れた。
彼らの存在自体がこの世界にとっての毒であり、彼らは世界を構築するピラミッドの頂点に位置していた捕食者である。
彼らは世界に存在しているだけで世界を腐食させ、世界を無に帰し、傷跡をこの世界に残していく。
そのため、暫定的に付けられた名は、一咬みで世界を捕食しうる力を持つことから、Biteとなった。
>>218
では、一応という事で一部の設定を開示して置きますねー
後でWikiにも追加しておきますよ
いや、別に構わんのですよ、どうせ就職しちまえばこっちのもんですからええ
ゲッツの成績分布とか想像したくもないぞ……!
まとも:体育、倫理(一応神官系)、歴史(戦争に限る)
絶望:それ以外
考えたけどどうしても絶望な剣
220
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/13(火) 23:52:01 ID:0g1kIGiw0
>>219
おおっ、クトゥルフっぽくてかっこいい!
そういやSWでは吟遊詩人レベルが1上がるごとに言語の会話技能が取れるんですよね。
読み書きが出来ずに会話だけ、という事は耳で聞いた音だけで習得しているとしたら……
空耳日本語をドヤ顔で喋ってる嫌な光景が思い浮かんでしまった……!
倫理かー。
邪気眼持ち仲間の友達と教科書を見ながら
物凄い邪気だ……!と大はしゃぎした覚えがwww
もちろん邪気眼を持ってない人にとっては普通の真面目な科目にしか見えないよ!
ところでゲッツ君の経歴をよく見ると
成績以前に小学校を卒業してるのだろうかという疑問が浮上する件!
221
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/14(水) 23:06:19 ID:bObvDeno0
>「それでは、お忙しいようですので私はこれで失礼しますね。
> トリス・エヴァンジェル」
「ああ、今後共よろしく頼むよ。ではまた、トリス・エヴァンジェル」
去っていくリンセルとアリアードを見送るボルツ。
彼女らの産土であるここが危機にさらされていることは、彼女らに話すことはない。
話した所でどうにもならぬし、喝采が欲しいわけでもない。只、この地をこの男は守りたいだけだ。
>「真理派ねぇ。」
「協力を強制する積りは私には欠片もない。
だが、あなた方の助力を、私は願いたい。
……どうか、力を貸してもらえぬだろうか?」
ボルツとゲッツは無言で頭を深く下げる。
師は、追われる身を受け入れたこの都市に報いる為に、この都市を救おうとしているからこそ、必死。
弟子は、朽ちる身を救い上げた師への恩に報いる為に、この都市を救う為に破壊を振るおうとし、それでは足りないと理解しているからこそ、必死。
必死に生きる、超人じみた常人が、超人二人とその相方達の前で深々と頭を下げていた。
>「私は無神論者で正直に言えば宗教は嫌いな方でね、翻弄される弱者がいる以上は私には場合によっては打倒すべき存在だ
>宗教派閥がどうなろうが知った事では無いし、興味もない…がやはり一部のそういった連中のせいで被害を被る
>何の罪も無い者たちを見捨てる事は性分的に出来ないんでね、この都市が絶対に無事これからも平穏になるという保障はできん
>だがやれる事は協力すると約束しよう」
「協力、感謝するよ。エスペラント殿。
……本当を言うと私も出たい所なのだがね、大分耄碌してきている老頭児だ。
現役ほどでもないし、逆に君たちの足を引っ張ってしまいそうでね」
その礼は、心の底からのものである。
そして、その表情に混ざっている物は、苦々し気な感情。
必要と有らば自分でも力になりたいが、力になるには年齢を重ねすぎてしまっているというどうしようもない現実。
だからこそ、この店主は誰かに己の意思を託すしか無い。己の弟子との再会は、代替わりを示す予兆であったのかもしれない。
老兵は只死ぬのではない。経験を次へと繋ぎ、未来を新兵に託すのだ。
「――ゲッツ君、君は何を言おうとどうせ闘うつもりだろう。
だから何も言いはしない。言葉は呉れてやらんが、餞別は呉れてやろうと思う。
私の剣の柄だ。……まあ、君なら何かできるだろう、お守りと思って受け取っておけ」
ミスリル製の剣の柄をゲッツに託すボルツ。
ゲッツは何も言わず、犬歯を剥き出しにした笑顔を浮かべ、ボルツから剣の柄を受け取る。
そして、受け取った瞬間にボルツの顔面に拳を振りぬき、カウンターでゲッツが顔面に拳を喰らい、吹き飛んだ。
「……っは、老頭児名乗るにァまだ早ェと思うがね。
まあ、俺は何と言われても闘うつもりだぜェ? それは、ボルツのおっさんへの恩なんかじゃねェ。
俺は、強いやつと闘うのが好きだからよ。こんな大事件ならそりゃあもう絶望的に強い輩が出てくるに決まってンだ。
だから、俺は俺の為に戦う。……お前の為なんかじゃねぇからな?」
お前の為に闘う、などと言う言葉は傭兵としては気恥ずかしいものだ。
互いにその感情は理解できていたため、建前だけの言葉の応酬を交わすこととなる。
今回の件に参加する物は、ささやかと言っても多額の金銭が報酬としてボルツから支払われることになるだろう。
222
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/14(水) 23:06:29 ID:bObvDeno0
>「アサキム?顔ステンドガラス出てる」
>「あっ。」
>「逃げたことに関しては何も言わんが、お前達は干渉する気はないと言った私たちにも盛ったな
>多少は大目に見てたが、お前達がそういうつもりならば私は今後擁護も庇いもせん
>アサキム、お前の考えを尊重する好きにしろ」
「ああ、今回の件ばっかしは弁解のしようもねぇ。
……フォルテとリーフにゃ俺がガチでヤキ入れとくからこいつらはかんべんしてやって――」
頭を下げるゲッツは、このまま全ての責任を自分が負うことにしようと考えていた。
自分が手を下した部分は極僅かであるにしろ、彼らの行動に乗っかったのはまた事実なのだ。
故に、汚れ仕事と面倒を引き受けるのが仕事であったゲッツは、その僅かの手出しを根拠に自分に責を向けようとした、がしかし。
>「アサキム導師、逃げようと唆したのはオレなんだ。ゲッツは悪くないよ。
>でも元はといえばあなたが何故オレ達なのかの理由も言わずに訳の分からない場所に連れて行こうとしたからなんだよ?
>仕方の無い事ではあるけどね、物事には”語るべき時”というのがあるからさ――
>だけどね。お願い!こいつの頼み聞いてやってほしいな。
>こいつはオレとは違って命より大事にしてる事のためにしか頭を下げないんだから。
>これが終わったら修行でも何でもやってもいいから、な……?」
「って、フォルテ――」
自分の言葉を遮るようにして発せられたフォルテの言葉に、胸を打たれた。
無言でゲッツはフォルテの頭に手を置き、ぐしゃぐしゃと髪をかき回す。
「……ま、なんだ。ガチでサンキュ。
流石にあいつらのお仕置きを俺一人で受けるのは気が気じゃなかった。
お前は殺させねぇし、リーフも殺させるつもりはねェ。お前は安心して後ろで謳うのを仕事にしな」
素直な感謝。
時として頑固な竜人の性質には、全てを背負い込もうとする悪癖がある。
言えなかったこと、出来なかったことを、軽いとも言うが、自由な妖精はやってのける。
一族の誇り、戦士の誇り、誇りに縛られる生き方を自らの意思で選択したとは言えど、その窮屈さで自分を縛る生き方は時として自分の首も締めることとなる。
ある意味、このコンビはいろいろな意味でバランスがとれている、と言えただろう。
>「リーフは? 一緒じゃないの!?」
「おい、ちょいと待ちなァ。
……スペアポケット借りるぜ」
ゲッツはフォルテの持つスペアポケットを勝手に手に取る。
そして袋に手を突っ込み、手を引き抜けばそこには紙片が有る。
それを開き中の文章をゲッツは読み上げた。
「えーっと、要約するとホモヤクザの事務所に連れていかれてるっぽいな。
大聖堂の中に閉じ込められてるっぽいけど、ホモだから貞操の危機とか命の危機は無さそう、だな。
……ま、なんとかなるんじゃね? 悲壮感とか感じられねぇし、この文面」
テーブルの上にメモを放れば、メモの文字がリーフの文字だと分かるだろう。
訳の分からない状況だが、ホモAVだからと言ってこいつらの前では無罪放免で済はしない。
犬歯をむき出しにした竜人の笑みは、ただ荒事の予感しか感じさせなかった。
>「選べ。」
「前者一択。限界とか気にしないで厳しくしな、死ぬくらいでちょうどいい、加減は要らねェよ」
アサキムの提案に、ゲッツは即答する。
限界を越えるとかそういった事を言っている限りは甘えでしか無い。
死ぬ気などといった言葉は死んでからしか意味が無い。
だからこそ、死線をくぐらせるような修行を、とゲッツは要望した。
修行という物は部族の主義としてはそれほど好ましいものではないが、ここで無碍にするのは望ましくない。
ならば、極限に挑むのみ、である。
223
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/14(水) 23:09:43 ID:bObvDeno0
>>221
>>222
の代理投稿をお願い致します!
>>220
クトゥルフを元ネタとしたTCGのクリーチャーを元ネタにしてますからねえ
エルドラージでぐぐってみると面白いかもしれません
そういえばどこぞの卓では全部の言語の会話技能習得を目指しているとか言うキチ卓が……
自分はニーチェが好きでしたねぇ、アメコミ割りと読むんですが、ウォッチメンのロールシャッハがまんまニーチェの言う精神的超人なんですよ
すごく格好いいんで読む機会があったら是非ウォッチメン読んでみて欲しいレベルで面白いです
ゲッツは10歳で家出して傭兵なんで、多分小学校中退という素敵な経歴になりますなぁ
224
:
名無しさん@避難中
:2012/11/15(木) 19:43:47 ID:cimp5MXM0
代行しました
225
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/15(木) 21:57:08 ID:KIrixD0I0
>>224
ありがとうございます!
226
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/15(木) 22:08:20 ID:4WOKBvtA0
TCGはやらないんだけど世界観は面白そうだなあ
小学校中退www素敵すぎるぜ!
http://www58.atwiki.jp/fortestaccato/pages/29.html
前からちんたら作ってた曲があったんだけどうっかりそのまんまな歌詞がついてしまったので載せておいた
ゲッツ君は犠牲になったのだ、作詞の肴という犠牲にな……(中の人が元ネタにしてどーする)
動画サイトの方には英雄になる事を望む少年と英雄譚を謳う事を夢見る少女なんて詐欺紹介文を書いたったwww
まさか発想の元が半裸マッチョと不思議生物なんて誰も思うまい!
227
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/15(木) 23:09:21 ID:KIrixD0I0
>>226
デュエル・マスターズとかマジック・ザ・ギャザリングとかの世界観は割りと面白いですよー
ギャザの場合は一部のストーリーが小説にもなってますしねー
あとゲッツの発想がかなりTCGから引っ張られてきてます
うおおー、なんとまあ詐欺ぃ紹介文を……!マイリスしたぜよ!
作曲とかクリエイティブな事が出来る人はマジ感動なのですよ!
ギターはチョビっと引けるんですけどねえ、全然音楽の才能はからっきしでして
228
:
エスペラント
◆hfVPYZmGRI
:2012/11/17(土) 18:33:16 ID:xi73N.4E0
帝都 トキオ
大陸から離れている巨大な島国。いわば日本をかなり大きくした感じの地形である。
天皇と呼ばれる皇族がシンボルにして統治者であり
国に関しての政治は民主主義に基づき、議会を設けている
実質現実に置いての大戦に入る前である大正時代に殆ど近い政治形態、そして国民の生活環境・状況であるである
故に職業選択の自由もあるしまだまだ文化や様々な分野が発展途上ではあるものの爆発的に広がりを見せている。
一部の専門家はそれを歪だと指摘する声がある。
229
:
エスペラント
◆hfVPYZmGRI
:2012/11/17(土) 19:30:34 ID:xi73N.4E0
島の各所には様々なパワースポットや神秘に満ちた領域が多々存在し、まだ見つけられていない箇所が結構ある。
そこから出現する魔物により、ダンジョン化しているパワースポットもあり
そう言った危険な区域に関しては国の管理下に置かれ、とても強い力が発生している場所には
厳重な警備を施されているものの、一部の許可証を与えられた者や権限がある者は入ることができる。
この国は宗教の自由を掲げているため、国家全体の信教は基本的に中立で個人によってバラバラな事が許されており
お陰で様々な人種や種族果てには完全な人外も堂々と街中を歩いても許される場所であり
そのせいか外からはそういった異形の者たちが帝都を脅かすという事も少なくないが
そういった連中にはこの帝都特有の守護者―デビルサマナーと呼ばれるオカルト専門であり帝都守護を司り任されている
人外を使役し、怪事件を解決し陰謀を打ち破る者達によって日夜平和が守られている。
ちなみにデビルサマナーはモグリ含めて島国中存在するが、基本的には秘密主義かつ存在に関する秘匿性により
国家所属のデビルサマナーは世間では都市伝説並みの噂話に言われているほどであり、隠匿は徹底している。
国柄の性質上信教の中立を求められており、特定の宗教への肩入れ及び干渉は禁じられており
その代わりに国中からのバックアップを受けられる事になっている。
230
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/18(日) 06:24:40 ID:XzwOY.Ug0
>>227
(年齢3桁越えがうようよしてるのを考えればまあ…)→少女←(戸籍上)
ギリギリ嘘ではない……が
もしオープニングテーマにしたら間違いなくオープニング詐欺で大ブーイングになるお!
マイ栗鼠あざーっす!
じゃあギター弾き語りで歌ってみた行ってみよう! ……嘘です調子に乗りました\(^o^)/
>>228
おおっ、ファンタジー恒例の日本もどきですね。
怪人20面相をもっとトンデモにしたみたいな感じかな?
あえてニンジャサムライの世界観ではなくそっちに行ったのが新鮮でいい!
それかニンジャサムライ系の島国も別にあるのかも……w
231
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/19(月) 21:06:57 ID:cCCOu7Ro0
うーむ、置きレスの流れ的にどうするか迷ってるんですが、ここは自分が投下するべきですかねー
エスペラントさんの動きが終わり次第、セレモニー広場の方で一仕事ぶちかます積りなのですが
232
:
エスペラント
◆hfVPYZmGRI
:2012/11/19(月) 21:15:31 ID:/tnmhZ0I0
>>228
まぁ女神転生の新作が出るとの事でなんとなく出してみたくなったんですよ
イメージ的には世界大戦に入る前のif世界とか考えてみたんですが
怪人20面相って確か江戸川乱歩さんの明智探偵の出る作品でしたっけ?
まぁ多分オーバーテクノロジー出ているトンデモ国家なのは間違いないです
別にニンジャサムライの国もあっても良いと思いますが、従来の設定では個人的には面白くないので
せいぜいこの世界での設定が激動の幕末みたいな感じで維新志士と幕府軍側とか別れていたら
面白いかもしれません
>>231
すいません近いうちに投下します
ご迷惑かけて申し訳ない
233
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/19(月) 21:34:56 ID:cCCOu7Ro0
>>232
いえいえ、お気にせずですよー
メガテンは1と2とifしかやってないなあ……、3はやりたいけどマニアクスがプレミアついてて高いという罠……
というか、こういう魅力的な設定作れる辺り尊敬です!
……自分も一部の地域って事で忍殺みたいなアメリカンニンジャスタイルな街でも考えましょうかね、ネオサイタマまんまですが
234
:
エスペラント
◆hfVPYZmGRI
:2012/11/19(月) 22:14:12 ID:/tnmhZ0I0
>>233
いろいろな意味で問題作ですからね
もしシリーズの一つである
ラスボスの名前がアッラーだったら確実にアトラス本社は爆破されてますからねw
私はまぁちょっと人に言うのは憚れる物から入った口の人間なんで
原作プレイされてる方々とかに対して凄い萎縮しちゃうんですよね、まぁ話題に出来ないものなので
此処ではタイトルは言いませんが
なんとなく日本っぽいのを出してみるのもいいかなーと思いまして
普通のサムライニンジャだけじゃなんかテンプレでつまらないよなと思いまして
幕末か大正時代にしようかは迷ったんですが結局は大正時代にしました
設定は葛葉ライドウシリーズの帝都東京まんまですけどねwゲームやった事にないのに
正直に言えばウィキペディア見てビビビと来た物でw
忍殺はあんま詳しくないんですよね
用語が2chのいろんな所で見たり
ニコニコ大百科で軽く見た程度なんですけど
まぁその世界観に合わないですけど諦めた維新志士と幕府軍側みたいな
分裂勢力の中で暗躍しているとか、おもしろいかもしれませんね
235
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/20(火) 00:12:27 ID:/CtEAMm.0
>「ああ、オレは別コースか。ってえぇええええええええええええええ!? マジで!? 別コース!?」
「うっわぁ、ぶっ飛んだ修行プランだなそりゃァ。
……ま、死なないように祈っとくぜ。俺は死なねぇしな」
フォルテの修行も大分地獄だなぁ、と思いつつ、とてもいい笑顔でサムズアップ。
デフォルトで鬼畜でアッパー入ってるが、平時からこんなものな為何ら問題は見当たらない。
どっちにしろ、この案件が終われば竜人も吟遊詩人も地獄を見るのは違いないだろう。
覚悟はできているため、それ以上文句を言うことはあり得なかった。
竜人は恩師から受け取った剣の柄を軽く握りしめて振りぬき、腰のポーチにしまい込む。
アースクエイクを喉に流しこみ、強烈な味に脳天を文字通り揺らしながら、口元には笑みを浮かべた。
これからやってくるであろう鉄火場を思い浮かべ、己の力の発揮場所を楽しみにしていた。
戦いが起きなければ良いとか、力は使わないのが一番だ、等と綺麗事を言うタイプの存在ではない。
力があるのだから力を振るう戦場は望む所であるし、力があるなら全力を出せる機会をこの竜人は何よりも望んでいるのだ。
>「とは言っても君達からの尺度からすれば私の方が既に相当な年だとは思うがね
>貴方を子供扱い出来るほどとは思ってはいないが、頭を上げられよ
>如何に我等が頑張った所で貴方の望む良い結末を迎えられるとは限らない
>もしかしたら最善を尽くしても最悪あのローファンタジアの再来と言われる結果になるかもしれない
>それを努々忘れないで欲しい」
「幾ら勇者であっても、私は結局の所人でしか無い。どこまで行こうと私は〝人間の勇者〟以外には成れそうもないさ。
私は君たちの様な長寿種よりも早く歳をとるし、早く寿命が来るし、容易く死ぬ。
……だが、だからこそ、私達の様な物は、なりふり構わず最善を求める。
君たちが全力を出してこの地を守れなかったとすれば、恐らくこの土地の誰が同じ事をしても同じ結果になるだろうさ」
ボルツは、ゲッツの組むパーティのメンバーについてはある程度の知識を得ている。
その中でも、別格といっていい二人の超人の存在も。
だからこそ、頼むのである。少なくとも、この地に於いて教皇等と同等以上に渡り合える物に、この都市の命運を託したいのだ。
頭を上げ、口髭を整えて柔和な笑みを浮かべるボルツ。
ふと時計を見て、ゲッツの方に向き直るボルツは、視線で合図を送る。
それで全てを察したゲッツは立ち上がり、声を張り上げる。
「……さって、と。
そろそろ、セレモニーの時間だったんじゃねェかね。
何が起こるか全くわからねェ玉手箱がお待ちかねな訳だが、ちょいと遊んでこようじゃァねえか!
つー訳で、祭に出ようぜ! 嫁さん方は別に旦那共とイチャついててもいいんだぜェ? ヒィーヒャヒャヒャヒャァッ!」
高笑いを響かせるゲッツは、いつも通りのハイテンションで、扉を蹴破る勢いで強く開ける。
そして、背後に立つボルツに向けて無言で左手を差し出し、ボルツはその左手に向けて浅く魔剣を振るい、紋を刻んだ。
刻み込まれたひび割れた歯車と螺子の文様を懐かしげに見つめて、無言でゲッツは歩き出す。
ひょい、と肩にフォルテを担ぎ上げるのはいざという時守りやすいという実利的なものだが、もはや様式美だろう。
数分も歩けば、中央広場にたどり着く。
大聖堂、人だかりの奥にあるのは、演説席。そう、教皇が後継の儀を行い、声明を発表する場。
人だかりは興奮ばかりである。なにせ、200年ぶりの教皇の交代だ。
歴史に名を刻まれるような大きなイベントを寿命の内に経験できるのだから、その興奮はひとしおと言ったところである。
「――諸君。静粛に」
副官であろう神官がマイクを通して全体のざわめきを抑えこもうとする。
そして、ここは宗教都市だ。神官の言葉を受ければ、先程までの喧騒が嘘で有ったかのような静寂が場を包む。
大聖堂の正面門から演説台まで引かれた赤絨毯。その赤絨毯を引く理由となった本人が、正面門が開き現れる。
236
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/20(火) 00:16:41 ID:/CtEAMm.0
清冽にして凄烈だ。
その男が与える印象は、まずそれだったことだろう。
涼やかな銀色の瞳に、後ろに撫で付けられた金髪。
皺一つ見当たらないものの、苦労を重ねてきたであろう事が分かる、独特の重みの有る顔。
体格は神官戦士としてよく見られる程度であり、右手には神官杖を握っている。
服装は、華美でありながらも、装飾は最低限という上品な物。
この男が、今代からの教皇、ミヒャエル・リントヴルムⅤ世。
種族は人間、年の頃は40前半と言う、教皇としては異例の若さ。
しかし、前教皇の遺言や、ローファンタジア壊滅以来の執政等から評価を得て教皇に収まった、敬虔なる神の信徒である。
そして、男は歩く。
数千の人々の視線から、一歩も引くこと無く、身を捩ること無く。
一定の速度で、三主の意思の体現者は、只々歩き、壇上にたどり着いた。
「まず、ローファンタジア崩壊事件に付いて、私の身からも弔辞を述べさせて頂く。
信徒ら、黙祷」
壇上に上がり口にしたのは、無数の人名が失われたローファンタジアについての弔辞。
男も目を伏せ、両手をあわせ祈りを捧げ冥福を祈る。
……祈る神が、何なのかは、定かではないが。
「……私が309代教皇を務める事になった、ミヒャエル・リントヴルムである。
この都市に留まらない、種族年齢問わぬ信徒50億人の幸福と平和は、私が守る事を宣言しよう。
そう、今この時、この瞬間より。汝らは我らとともに有り、我らの手を持ってして神の加護を身に受けることとなる」
穏やかかつ、重い笑みには説得力がある。
静かな語り口調には嘘は何一つ混ざっては居ないし、この男は心の底から信徒を救済しようとしている。
そう、奇跡をもってして。
237
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/20(火) 00:16:51 ID:/CtEAMm.0
「――――奇跡を、ご開帳しよう」
副官であろう上級司祭が、台を捧げ持ち教皇の元へと歩いて行く。
その台の上には――、幾つかの漆黒の宝玉があった。
同時に、大聖堂が鼓動し、都市の地下から何かのうめき声が聞こえるような、錯覚が襲いかかることだろう。
異変が、起こりつつ有った。
人の身で、宝玉の力に飲まれること無く、宝玉の力で何かをなそうとする者がここに居る。
ローファンタジア異変並に不味い事が起こる予兆が、広場全体に広がりつつ有る。
同時に、聖堂騎士団達が現れ、教皇の周囲を固め始める。
空気の変化に気づいた国民たちは、恐怖に怯え逃げ出すものも現れれば、教皇の姿に魅入られ動けないものもいる。
教皇が、宝玉を掴んだ。天へと掲げるのは、宝玉を握る左腕。
「呪われた者達が退けられ、無限の劫火に飲まれるその時、
祝福された者達と共に我が名を叫べ
汝らの心が、灰燼の如くに砕かれようとも、絶望の火に飲み込まれようとも
汝ら神の神名の元に跪き、ひれ伏して懇願せよ
――来たれり、終末の時よ、と!」
宝玉が力を膨れ上がらせていく。
同時に、この男の精神も高ぶらされ、常人ならば正気を失い滅びていてもおかしくない状態まで追い込まれる。
だが、それでも宝玉から力を引き出し続けた男は、限界まで引き出しきった上で――膨れ上がった宝玉を握りつぶし粉砕した。
生まれたのは、沈黙。
だが、それは安心ゆえの沈黙ではない、平和ゆえの沈黙ではない。
これからくる絶望の予兆に、全てが停滞するほかなかった為の沈黙であった。
直後、大地が震え、裂けた。
直後、天蓋が砕け、割れた。
直後、湖畔が踊り、燃えた。
天から現れたのは、無数の触手を生やした四角錐の形をした異形。
大地から現れたのは、蟻と蜘蛛を合わせてその上に人の皮膚を張り合わせたような異形。
外部の堀から内部へなだれ込むのは、獅子のたてがみとして蛸の足を生やした異形である。
どれも、この世界の魔物図鑑では観測されていない、新種。
否、人々が忘れ去ってしまうほどの古代に存在していた、人間が認識するのを拒否する異種――旧神の欠片だ。
旧神の欠片達は、広場の人々を襲い、飲み込み、同化し始める。
何とかしてこの状況を打破しなければならないことだろう。
238
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/20(火) 00:23:26 ID:/CtEAMm.0
>>235
,236,237の代理をどなたかお願いします!
というわけで3章?のボス戦をお送りいたしますが、今回の教皇などはNPCですので自由に扱って頂ければ幸いです
基本的なスペックは超ハイスペックな、神聖術と体術、そして今回現れた異形の支配、程度です。
あと、災厄の種がまだ幾つかありますので、それら使って更にヒャッハーしちゃっても全然いいと思いますよー!
今回出てきた奴らについては以下のリンクを見たほうがわかりやすいかもしれません、元ネタとして使用していますので
http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=mtg/tcg/riseoftheeldrazi/flavor3
なお、画像対応は以下です
天蓋を砕くトゥビェニ
http://dl10.getuploader.com/g/JPGPJ/42/tengai.jpg
大地を熔かすイビャス
http://dl10.getuploader.com/g/JPGPJ/41/daiti.jpg
海を燃やすギェリム
http://dl10.getuploader.com/g/JPGPJ/43/umi.jpg
239
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/20(火) 01:28:34 ID:VhTcbA020
酔った勢いで代理完了〆ミ・д・,,ミ スレによってはラスボスでも何ら不思議はないのが三体出て来たwww
そういえばこの人達序章以外いっつも酔っぱらいですねwww
ゲッツ君が19歳のままだったら定番ツッコミネタが一つ増えるところだった!
>>232
世界大戦に入る前のif世界なら近いかも!
怪人20面相は確か第二次世界大戦が起きないまま蒸気機関技術で発展を遂げたスチームパンク風世界観だったんだけど
なんとなく自分の中でトンデモ大正なイメージなのです
……テレビでやってた映画程度しか見てないけどな!
240
:
戦力外お荷物
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/22(木) 19:57:15 ID:qlbylwS20
例によって戦闘放棄してみんなが戦ってる間教皇様と楽しくお喋りするお!
頃合いを見計らいながら続きを投下します。
教皇様がお荷物の正体を知ってるのは凄そうに見えて実は
リーフがホモヤクザに言う→ホモヤクザから報告が上がる
なんてとても単純な経緯だったりして。
241
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/22(木) 21:54:40 ID:KgDgKmeg0
>>239
>>240
代理&投下お疲れ様ですー
……ちょっとインフレさせすぎちゃったかもww
みんなにスリルある戦いを楽しんでもらおうとすると超人組にスペックを合わせざるを得ませんからねー、修行するとドラゴンボールもびっくりになりそうな予感が……
あと出せる絶望級と言うと、BYDOとかアンバーの一族的なのくらいしか思い浮かばないのですよねえ
この世界中世的世界観も含まれているようですし、水事情などの問題で酒のほうが安全って事もありますから、問題無いですよ、ええ!
242
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/22(木) 22:40:14 ID:tHVcgNj60
いえ、好きで戦力外やってますのでお気になさらず!
前作のオカンがオーソドックスな魔法使いクラスで勇者を導く妖精というコンセプトだったんですが
フツーの魔法使いというのがなかなかの曲者で何気に強力すぎて結局自分でラスボス倒したりしてしまったので
今回はわざとお荷物をやるという傍迷惑な試みをやっているのですよw
やってみて気付いたけどお荷物超楽しい。こりゃハマるわ!
でも修行章の後は流石にちょっとはマシになるかも。
というかゲッツ君って強い敵が出てくる程強くなるっていわゆるジャ○プシステム(ry
インフレ万歳! でも序盤でこれだとラスボス戦は一体どうなるんだwww
そういえばエヴァンジェルは正統派中世ファンタジーのような雰囲気ですね。
景観条例か何かでビル禁止されてそうw
243
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/25(日) 22:56:51 ID:KOL4NMZ60
>「創世葬送曲」【クロニクル レクイエム】
「クッッハハハハハハハ――ァ!
何を無意味な、何を無価値な、何を無駄な事を!
届かぬよ、その程度では、その有様では、その絶対性では!
欠片とは言えど、ここに降臨しているのは真なる神の眷属、バイト=ドローンなのだ、甘く見ると痛い目に遭うぞ」
現れた神々の欠片はアサキムの放った千の矢を受け、万の矢を受け、億の矢を受けた。
そしてそれらは確かにダメージを与え、三主の欠片たちに確かに傷を与えていた。そう、間違いなく。
だが、飛び散った触手の破片は肉塊となり、バイト=ドローンのトークンと化す事で却って被害を増やすはめになった。
彼らは現生生物達がこの世に現れる前から生きてきた、文字通りの神代の生物たち、しかし語られぬ禍津神。
天蓋を砕くイビャスのドローンがその無数の触手を蠢かせ、先端を開けば、そこから覗くのは怪しい色をした球体。
光を纏い、圧縮された破壊の力は解き放たれ、天空から数千の光条となって世界を灼く。
子どもたちが過ごした学び舎の壁が溶かされ、皆が洗礼を受けた泉の水が干上がり、明日を生きるパンを求む乞食が燃え落ちる。
世界の終わり[アポカリプス・デイ]が具現されたのならば、文字通りこういう事態を言って間違い無い。少なくとも、これ以上の世界の危機はそうそう起こり得ないことは間違いない。
「ここにあるのは絶望だ、世界の滅びだ。
抗うことを私は止めぬ。憎まれる事を私は厭わぬ。呪われる事を私は呪わぬ。
もはやアイン・ソフ・オウルの残滓に汚染された世界を救うには、劇薬を持って成す以外に術は無いのだから。
誰かがやらねばならぬならば、私がやる! 否、私がやらなければならないのだ!
それでも尚、この世界をぬるま湯の絶望に浸かり続けさせたいのであれば、貴様ら全員我らの手で滅ぼし返してくれるわ!」
朗々と声を響かせる、教皇ミヒャエル・リントヴルム。
この男だけは、真裏派の中でも唯一狂気に飲まれていない男であり、誰よりも信心深く、誰よりも神を信じていないものだ。
誇りと、使命感を持ってこの男はこの行動を決行した。間違いなく、無数の流血と絶望と滅びを覚悟の上で、である。
私利私欲、恐怖によって滅びを撒いたアイン・ソフ・オウルと異なる点はそこ。ある意味、究極的に堅固な柱を持つこの男は、実力でアイン・ソフ・オウルに劣るものの、それ並に厄介な存在であるだろう。
このままエヴァンジェルは絶望に飲まれ、そして異形に食い尽くされるのが定めなのか。
否、否。全く持って否。
ここに居るのは、〝伝説の勇者パーティになるかもしれない可能性が微粒子レベルで存在する〟輩共。
何か、何かがあれば。この現状を打破できるかもしれない。少なくとも、今回は一人一人が突出するスタンドプレイでは如何ともし難い状況だろう。
「――ち、ィ。
半端じゃねぇ厄介さだぜ。……数が多い上に、砕けば増えるし、燃やそうとしようにも燃やせねぇ。
餓鬼爺婆野郎淑女ども全員纏めて後ろに下がってなァ!出来ればさっさとシェルターに逃げ込みやがれ!」
降り注ぐ光条を打ち砕きながら、逃げ惑う民衆に力ある声を響かせ扇動するゲッツ。
地下シェルターに人々は逃げ込んでいき、シェルターになだれ込もうとするイビャスのドローンと互角に殴り合っていた。
肉体を取り込まれかければ、口から火炎を吐き出し自分の肉体ごとドローンを消し飛ばし、吹き飛んだ肉は竜刃で補い、更に相手を押し返す。
ドローンの中心へ鋼の左腕を叩きこみ、同化されかけながらも、中心角の小さな黒い球を引き出し、砕く。
244
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/25(日) 22:58:16 ID:KOL4NMZ60
「……これが弱点かッ!
だったら話は早ェしぶっ殺すだけだ!
こんな無理無茶絶望絶体絶命だが、今の俺は胸糞煮えくり返ってんだ!
今の俺ァてめぇ等1000億万兆人相手にしようが一歩も引く気は無ェなァ!」
皮膚から飛び出した触手を引き千切りながら、ゲッツは駆け抜け、次々とドローンのコアを引きちぎっていく。
しかしながら、その度に肉体は侵食され、ゲッツもまた正気を失い狂気に囚われつつある。
もとより正気から程遠い戦闘狂とは言えど、この状況で長く戦い続けるのは望ましくない。他の人々にとっても、間違いなく。
>「え、あ……ぁ……ぁ……ぁ……ぁ…………………………」
アサキムとゲッツに向けて、ギェリムのドローンがなだれ込んでいく。
それを見て、生身の右腕の大半が触手や粘液と同化しつつある腕を振りかぶり、大地を砕きながら飛翔。
拳を振りぬき、リンセルに向けて落下する触手を叩きのめして、粉砕した。
びちゃりびちゃりと辺りに飛び散るのは肉片と青黒い血液の滝。
腐臭を漂わせるそれらを生身で浴びながら、ゲッツはリンセルの首筋を引っ掴み、安全地帯へ放り投げる。
正気を失っているであろう今のリンセルと、周囲の人々の正気を取り戻す為に、ゲッツは声を発する。
「ガ……ッ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ――――――――ッッ!!」
竜種の咆哮は、神の声に対抗しうるのか。
いや、し得ない。だが、強い意思を持って、人々の為に上げた叫びは、聞こえないはずは無い。
此方に人々が注意を向けた瞬間に、ゲッツは鋼の左腕を塀を乗り越えるドローンの頭に向けて構え、砲撃。
轟音と同時に、ドローンの一体を絶命させ、塀の向こうにそれをたたき落とした。
荒い息を吐き、軟質化した皮膚を引きちぎり、鋼で肉体を補いながら、全体を見回し叫ぶ。
「――塀の方は比較的数が少ないから俺がぶっ潰す!
アサキムは空のやつぶっ飛ばすのやってくれや! 遠距離得意だろォ!? コア狙いながら乱れ打ちなァ!
んで、エスペラント――、どこに居るか分かんねぇけど、地上組頼む! 数が多い上に固くて強い、お前さんの火力ならなんとかなる!」
指示と言える程レベルの高いものではない、と言うよりゲッツが指示をするよりもアサキムやエスペラントがする方が経験的に有利だろう。
だが、少なくとも今の時点でそれらを考える余裕は無く、ゲッツは比較的数が少ないが、サイズの大きいギェリムのドローンを相手取る。
肉体の一部は既に同化されているが、同化部位を引きちぎり、全身傷だらけにしながら、戦っていた。
リンセル達に振り向き、ゲッツは叫ぶ。
「さっさと東のスラムに逃げな!
あっちはボルツのおっさんが撃ち漏らしをどかしてるくらいで、そんなに危険じゃねぇ!」
叫ぶやいなやそうそうに、背中から翼を生やし、左腕を剣に変形させ、ゲッツは数十体のギェリム=ドローンに対して襲いかかっていく。
触手に骨を砕かれれば、骨髄から溢れる鋼で繋ぎあわせ、血を噴出せば竜刃が擬似血液を生成してそれでも戦い続ける。
アサキム相手に瞬殺されない輩を相手にしているのだ、即死していないだけ健闘、否、奇跡と言っても過言ではなかった。
245
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/25(日) 22:58:26 ID:KOL4NMZ60
その奇跡が現れた直後、さらに状況が変化する。
その他にも、この都市に滞在していた百にも迫ろうかという数の冒険者達が震えながらも立ち上がり、動き出したのである。
この絶望を前に闘う者達の姿を見ることで、彼らも勇気づけられたのか。力に差はあれど戦える人々は、4人だけではないのだ。
そして、外縁部等から、数多の騎士たちが集まっていく。聖堂騎士団の精鋭とはいえないまでも、日々この都市を守るために身を粉にして戦ってきた老若男女、この都市を守るのは自分たちだと叫びを上げるように化け物たちに槍を突き立て、メイスを叩きつけ、剣で引き裂く。
「――この都市は、俺たちの故郷でなァ。幾ら神様だろうと、俺の母ちゃん殺したりしたらただじゃおかねぇぞ!」
「自分、聖堂騎士団に所属したのは、弱きを助け、強きを挫く者で有りたかったからであります! 隊長、自分は弱気を捨て、強気に生かせてもらいます!」
「し、死にたくないけどよォ……、ここの大聖堂で相方と結婚するために旅しに来たんだ! こんな所で死んで溜まるか畜生が!」
「外縁部周回部隊、総員構え! 教皇がどうとかは関係ない、私達が仕えるのは、信仰であって、邪神ではないのだ!」
「「「「「こんな所で、死んで溜まるか。負けてたまるか、好き勝手にさせて溜まるかッ――――!」」」」」
戦う理由は人それぞれ。だが、戦線を支える力が確かに付け加えられた。
5人合わせてもゲッツ一人と同等程度かそれ以下だが、それが大量に入れば話は違う。
手数は数多、面で場を護り、面で敵を突き殺す。自分本位な救済を好としない、力強い生き様がそこにはある。
その中で、ゲッツはフォルテの姿を視界に収めた。
普段は付けているヘッドギアを外され、苦しんでいるフォルテ。
それを見て、ゲッツは跳んだ、そして飛んだ。
「――てめぇら、ここは任せたァ!
俺のダチがちぃっとアブねぇっぽいんでなァ!」
空には雲霞と無数のトゥビェニ=ドローンが立ち塞がるも、それらをゲッツは次々と吹き飛ばし、粉砕し広場へと近づいていく。
上空からゲッツは、教皇に叫ぶ。
「てめぇ、俺のダチに手ェ出していいと思ってんのかァ! アァンッ!?
こいつはなァ、神を称える歌なんか謳いやしねぇよ、ってか、それくらいなら神様も馬鹿騒ぎサせるような歌を歌っちま――――」
堂々とした態度、そして力を持つ叫び声も、別格の存在である教皇には何一つ通用しない。
教皇が持つ杖の宝玉は、いつの間にか滅びの種に変わっており、それを掲げれば、直後。
ゲッツの両翼が粉砕し、全身から鮮血を吹き出してゲッツが大地にたたきつけられた。
無慈悲な瞳、氷のように冷たく、鋼のように強硬な意思を秘めた教皇の瞳が、フォルテとゲッツを射抜いていた。
「――この滅び行く定めの世界を救うのは、強き意思、そして人々の繋がりである!
だが、人々に強き意志を持つものなど、そうは居らず、人々はいがみ合い、争うばかりだ!
だからこそ、私は〝絶対悪〟を標榜しよう! 私に敵意を持て! 絶対なる悪を憎め! 恐れよ! そして抗え!
汝らにいがみ合う暇など与えん! 弱き意思を持っていては生きていけぬようにしてやろう!
その為には、汝らに決して滅ぼされぬ、そして汝らを滅ぼさぬも傷つける、絶対不変の力が必要なのだ!」
朗々と響く声、それは一言で言ってしまえばこういうことである。
『みんながいがみ合って居る世界をひとまとめにする為に、そうならざるを得ない存在を作り出す』
それが教皇の考えであり、人々に対する絶望の姿、最悪の神の使いを呼び出した理由。
この男自身が最悪の存在となる事で、総ての悪意を集中させ、人々をまとめ上げ、世界を救おうとしているのだ。
「故にッ……! フォルテ・スタッカート!
謳え、使いに呼びかけ、真なる神自身を呼び出す歌を!
世界平和の為に歌った汝を、私は讃えよう! 汝こそが真の勇者であると!」
フォルテの肩を痛いほどに掴み、謳うことを強要する教皇。
圧倒的有利の中でも、この教皇もまた、神々の使いと戦う人々と違う理由で必死である。
それが正しいのか間違っているのかは、きっと誰にも判断できない。謳うかどうかは、フォルテに託されたのだ。
「ッ、ぐ、ッ、お――!」
地面に体を半ばまで埋め、ゲッツは壇上を睥睨する。
その視線は、もしかするとフォルテと交錯するかもしれない。
ギラギラと刃物のような強い光を宿した、獣性と決意と覚悟を秘めた、心だけでも力を示そうとしている視線と、だ。
246
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/25(日) 23:03:39 ID:KOL4NMZ60
>>243
>>244
>>245
の代理投稿をお願いします!
エスペラントさんが見当たらないので、すこしばかり展開を動かさせて頂きました、無駄に3レスも使ってますね!
>>242
修行章に行く前にゲッツがまた致命傷を食らってるという……、服がなくなるのと血しぶきはお家芸になりつつありますね
フォルっちはなかなか見ないタイプのキャラクターですのでお話しててとっても楽しいのですよー
ゲッツはインフレ対応仕様ながらも自重気味の性能のキャラですからねー、
パワーアップの上限が低いので現状では超人クラスにはたどり着けない感じですね、設定上でボーダーブレイクできる設定はありますし、本筋で伏線撒いてるのでいつか回収できれば……、即回収も勿体無いですしね
アレですね、ヨーロッパの方でも景観を維持するために家のデザインとかも制限されてますし、古き良き城塞都市なんじゃないでしょうかね
247
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/26(月) 02:51:58 ID:h6rY2Obc0
代行しました。ついでに投下しました! 対抗したわけじゃないけど3レスになったぞ!
何故か固くて丈夫な人ほど致命傷を喰らうのはお約束でして……。
教皇はてっきりいあいあになっちゃってる人かと思ってたけどそうきたかー!
ゲーム的に言うと今までダメージが通らん絶望状態で
やっと普通にダメージが通るようになったというところでしょうか。
248
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/26(月) 23:21:43 ID:KzwCgDqc0
今回本文中に歌詞の出典入れるのを忘れてたね
歌いかけて寸止めしたのが「古の森へ―終焉の詩―」
実際に歌ったのが「創世記」でした!
両曲に使われている言語は作者さんの造語らしいので実在しない言語だそうです。
終焉の詩は邪神がハッスルしてる図に合わせると物凄い荘厳な絶望感が出そうで歌わせてみたい誘惑にも駆られたのですが
冗談抜きでこのまま世界終了のお知らせになったらシャレにならんので寸止めですw
ドラムといっても別にロックではなく広義の打楽器の事。民族調の音楽は打楽器が命なのですよ。
関係ないけど「創世記」は前作で多元円環世界への世界群の組み換えの際に詠唱文として使った曲でもあります
249
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/11/29(木) 21:52:22 ID:YW.wdBQ20
ふと気付いたら500kbでマジびびった!
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1354192681/l50
全く関係ないけど勇者ヨシヒコ二部が始まったね
序盤にピンポンダッシュした魔法使いさんを思い出してしまったよw
(あれに出てくる魔法使いの人に似てるから)
250
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/11/30(金) 20:45:56 ID:Und2d5wE0
ちょっと忙しくて、明日辺りにレスができそうですー、すいません!
251
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/01(土) 23:11:23 ID:/gtj2tQI0
>「si! yara tufary tereya 《謳え 創世の詩を》
>cety durtia lofida 《与えられた命》
>shenna sado passe rosaty ya! 《熱き想いと共に燃やして》
>tir asce tu arreta sutyfan amole 《我等を包む全てに愛を奏でよう》
>aa- miseley oh- san affara ha- 《嗚呼 祈れよ 光あれ》」
響き渡る創世の歌、その音はエヴァンジェルの外まで朗々と響き渡っていく。
地に倒れ伏すゲッツは、友の声を聞き、砕けていく肉体に力を込め、圧力に反逆する事を選択した。
爪を地面に突き立て、罅の入っていく鱗に、骨格に炉心からの魔力を込めて、立ち上がる。
「……っは、ははは――、やってくれるぜこの野郎。
てめぇも最ッ高に馬鹿野郎だなァ、ああオイ! くっそ、畜生、マジかよ、おいおいおい――!
こんなん見せられたらヨォ、俺も全力出すっきゃねぇじゃねえか、逝くぜオラァ!」
肺から空気を叩きだし、咆哮のようなクワイアをフォルテの歌に合わせて。
金髪銀腕赤鱗の竜人は、翼を生やして天に舞い上がった。
胸元に刻まれた、fの字の様な十字の傷跡からは、紅い光が漏れ出している。
>だからもう一回、信じてみよう? あなた達が信じた神を!」
歌声により、市民達は彼らの持っていた、敬虔な信仰心を取り戻し始めた。
そう、幾ら醜悪な姿を目の前にさらされようとも、宗教画が存在せずとも。
彼らの心には、神の御姿がきっと描かれていて。その姿を思い浮かべ信じることが出来たなら――。
きっと、こんな絶望など、希望の前には意味を成さない。
「――俺たちの神は、俺の故郷の地に恵みを与えて下さった!」
「生まれは海だったけどヨォ、魚取らせてくれたのは、神様のおかげだったんだよ!」
「俺たちの生きる土地を作ったのは――お前らバケモンじゃない! 俺たちの神は、三主様だ!」
「我らが主、天空の描き手たるイウムよ! 空を晴らし、我らと共に今一度お歩みください――」
「おでは、土から生まれて土へ帰るんだな。おでは、おでのかみさまは、ギイル様なんだな!」
「恵みの雨を。荒廃した世界に、愛を。――もう、これ以上命を失わせないで、海神ツルア様――――」
>「ラサ・アピシアト・ディ・ツルア(聖なる海の主、穏やかな海を司るツルアよ)。
> レザ・イディウス・ディ・ツルア(邪なる海の主、荒らぶる海を司るツルアよ)。
> セイラーン・アヴ・イーニュ(我が祈りに応え、どうか怒りを鎮めたまえ)。
> セイル・アヴィシーム・エルタウ・エルタウ・エルタウ(我らを嘆きの海へ連れて行くのは、思い止まって下さい)」
人々の叫び、祈り。
性別、種族、年齢。それらを調節した、無心の思い、熱心の思い、献身の思い。
それらが、荒ぶる神の魂を鎮め、そして抑えこみ始めた。
とある東方の国では、邪神すらも神殿を作り、祀り上げる習慣があると聞く。
それは、荒ぶる神を奉る事で、神の脅威を沈めようとする所から生まれた習慣だ。
祈り。
これ以上暴れないでくれ、貴方は本当は優しい者だろう。
祈りを捧げます、貴方を讃えます、貴方を鎮めます。
祈りの声を認識する、脳髄という器官をドローンは持っていなかったが、徐々に彼らは動きが鈍り始めた。
252
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/01(土) 23:11:34 ID:/gtj2tQI0
そして、都市区画の端。特に地上を歩むドローンが多い所。そこでエスペラントが戦っていたのだが、戦況は大きく変わりつつ有った。
>『<ヴォルテックス>イグジストッ!』
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
エスペラントの唱えた呪文によって生まれた圧力によって、動きを一瞬止める三柱の神の化身達。
だが、彼らの体から無色のマナが吹き出し、直後に叫びと同時に解き放たれた。
轟音、そして彼らの周囲の空間が、ごっそりと削り取られ彼らによって捕食され、術の拘束も粉砕される。
――滅殺。
それが、バイトの持つ最強の力。
肉体の一部をマナへ変換する事で、あらゆる物体、事象を対消滅させると言う絶対攻撃と絶対防御の技。
だが、この技は使用する度にこの世界に現出しているバイトの本体が弱体化していくという諸刃の剣でもある。
ディラックの海に何体かのバイトは帰って行き、その勢力は、本当に僅かにだが、減らされていた。
>「任された―此処で奮闘せねば僕が来た意味はない
>宇理炎・鉄の火!!」
そして、そこに追加で叩きこまれた絶対の焔。
地上のドローンに燃え移ったその焔は、一気に燃え広がり彼らを焼却。
滅殺によって相殺しあうも、永遠に燃え続ける火炎と、祈りに因る弱体化の前には、彼らも溜まったものではない。
次第に彼らは、本来居た次元にその体を溶かし込み、逃げ出し始めていた。地上に残るドローンはあと僅か。
しかし、そのドローンは地面に沈み込むと同時に、周囲の空間を侵食。だがしかし、エスペラントの火炎はそれを逃すこと無く、止めを刺した。
一方、エヴァンジェル上空のアサキムはと言えば、単純な飽和火力による殲滅をしていた。
>「乱れ撃つ!」
単純だが強力な攻撃に、滅殺による対処も次第に効かなくなっていき、何体かがディラックの海に押し返されていく。
触手を引きちぎられ、網目の隙を塗ってコアを打ち砕かれる。
そして、僅かな間を置いて、統括する機能を持っていたドローンが、ロンギヌスの槍に貫かれた。
声にならない雄叫びを響かせ、統括級ドローンは空に溶けこみ消えていき、彼らの従えるドローンも消えて行く。
253
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/01(土) 23:12:05 ID:/gtj2tQI0
残るのは、水路に満ちるギェリムのドローン。
彼らもまた、力を弱めていき、徐々に動きが停滞しつつあった。
それでも、彼らは知らぬ世界に現れ、肉体を維持するためには存在を喰らい、飲み込まなければ存続していられない。
逃げ惑う人々に対して襲いかかる触手。だが、そこに真紅の刃が突き立ち触手を引きちぎった。
「……あいつらみてぇに、すっげー事を余裕でできる生きもんじゃあねえけどよォ。
今の状態なら、俺だってなんとかなるさ。あいつの歌が聞こえて、俺の誇りが胸にあって、そしてここに戦う理由がある!
だったら、今の俺は、闘う俺の信仰は、神になりてえ俺の思いは! ――届くッ!」
天空からドローンを見下ろしていたのは、ゲッツ=ベーレンドルフ。
背中から伸びるのは、鋼の羽ではなく、真紅の光によって形作られる剣の翼。
胸元に刻まれたfの文字を象る傷からは、真紅の血にも酷似した色の光が漏れだし、ゲッツはそこに右手を伸ばし、光を強く握り締める。
「偽神だがな――一瞬なら、てめえらに届く必殺を見せてやる。
見逃すなよ吟遊詩人! こっから叩きこむ奴見逃したら、一生損するっつーか、語る山場消えっからな!」
空中で声を張り上げて、直後ゲッツは胸元の光を引きぬいた。
溢れだしたのは、文字通り、力と呼称する以外にありえない暴力的な光の奔流だった。
それを手の元に集め、圧縮し、掌握し、そして握縮する。
「――竜刃昇華、滅咆」
息を大きく吸い込み、空中から異形を睥睨する。
そして、口を開き、次の瞬間。水路にあふれる異形たちは粉々に粉砕され、消え去っていく。
何が起きたのか。言うなれば、それは竜の咆哮、竜の吐息。――そう、ブレスだ。
赤い光を伴った衝撃は、次々と水路や通路にあふれる異形の化身達に叩きこまれ、不思議なことに滅殺を受けずに粉砕されていく。
数秒。ほんの1,2秒の咆哮の後に、ゲッツはその翼を消して、地上に落下し、気絶するのであった。
そう、強すぎる力の反動で、体と精神が耐え切れなかったようだ。いくらでも強く慣れるとはいえど、生命としての限界値は有る。
その限界値が、今のゲッツの越えるべき壁であり、修行で立ち向かうべき事象なのだろう。
254
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/01(土) 23:14:02 ID:/gtj2tQI0
神の化身。人々が認められず、人々が向き合うことを恐れた真の神の姿。
それを再度認め、そして祈り、そして向かい。今ここに、人は一つの絶望を乗り越えた。
ローファンタジアの再現は、起きなかったのである。
しかし、一陣の風が吹く。静寂と、一時の平和を乱すような、不穏な風が。
……まだ、総ては終わっていない。いや、ここから全てが始まるのだ。そんな予感が、この地には満ちていた。
そして、一方。
中央広場でフォルテと退治する教皇は、表情を動かすこと無く、ただそこに佇みその光景を観察していた。
人々が己の試練を乗り越え、絶望と対峙し、滅びを退治した光景を見て。男は一言。美しいとだけ、呟く。
その一言に、どれだけの感慨が有ったのかは、きっと彼以外には分からない。
「――フォルテ・スタッカート。
言ったな、貴様は。ずっと孤独のままだと、それでいいのかと。
……ああ、良い。それで構わん、少なくとも、こうして人の可能性を見られただけ、私が命をここで掛けた甲斐が有ったものだ」
教皇は、神の化身を無数に召喚し、大量の滅びの種の力を使い潰して尚正気を保った代償に、肉体がその場で朽ちつつ有った。
初めて、教皇は口元に笑みを浮かべ、フォルテの歌を鼻歌でトレースした。
いい歌だ、と一言呟き。空を見上げる。己の信じていた神の真の姿を知り、絶望の未来に立ち向かう人々をまとめ上げるために、悪を背負おうとした己の人生を、振り返る。
「かつて滅ぼされた、絶対の力を持つ海竜。黄昏の全竜の名を覚えておけ。
魔王が、この世界にまた現れる。頂天魔のそれとは異なる意志によって。
……組織の名は、レヴィアタ――――――」
何かを言い残して、教皇は消えていった。
残ったのは、幾つかの黒い球と、真裏派のロザリオだけ。
淀んだ空は、いつの間にか晴れ渡り、雲の裂け目からは、陽の光が差し込み聖都エヴァンジェルを照らしていた。
あなた達は、勝ったのだ。不穏の気配は残っているものの、今はその勝利に酔い、今後の困難を忘れて喜ぶべきだろう。
――世界の滅びは、ひとまず収束したのである!
広場に、街道に、民家に、孤児院に、教会に、聖堂に。
人々の雄叫びが、喜びの声が。賛美歌として鳴り響く、響き広がっていく。
生きているという喜び、明日が有るという喜び、絶望を吹き払う奇跡を知った喜び。
人々の叫びは、次第に歌詞も無き歌となって、聖都に響きわたっていた――。
255
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/01(土) 23:18:08 ID:/gtj2tQI0
>>251
から
>>254
の代理をお願いしますー
うぐぐぐ……、ストーリーを回そうとする困難さ、思い知りました。
殆ど脳内イメージだけで動かしちゃいけませんね! 次ボスとかやる機会が有りましたらがんばろうと思います!
>>249
次スレ乙ですー、あっちには書き込めないのでこっちで
>>1
乙しておきますね
ちょっと暫く就活などがありますので、あんまりしょっちゅう顔は出せそうにありません
多分、週一か二程度のレスがせいぜいになると思います、すいません
256
:
名無しさん@避難中
:2012/12/02(日) 02:14:57 ID:PF3q0yNc0
>>255
投下しましたです
257
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/02(日) 16:38:34 ID:j1pq4zrg0
名前すら未定のフォルテパパが怪しく思えてきた今日この頃。
開始直後に思いっきり故人アピールしてるあたりが逆に怪しいぞー。
>>255
シナリオボスお疲れさまでした!
0章:真面目→1章:ランランルー→2章:真面目
ボス担当者が丸分かり過ぎるw ドナルド出した奴首洗って出てこぉおおおい!
前作からの続投組へのサービスパネエwww
参加者がセオリー通りに動く正統派揃いなら予定も立てやすいのかもしれませんが
今後とも不思議生物が奇行でご迷惑をおかけするかもしれません。
就活がんばれ、超がんばれー!
昔就職失敗して入院(業界用語)した人が言っても全く説得力が無いけどな!
暇つぶしで参加したつもりがとんだ長編スレでびっくりだったかもしれませんね(前作は連載期間4年(爆)
終わった時に色々あったなあって思うのは長編スレならではです。
ちなみにこの界隈週1〜2ペースって割と普通だったりw
258
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/02(日) 20:41:28 ID:UmrAKN8o0
そうそう、12月に入ったから早めのクリスマスソングですよ
歌詞の「同じこと共に祈る喜び」「信じ合い生まれてくる奇跡」がドンピシャすぎて歌わせてしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=ODg_G60qVIw
普通の芸能人が歌うようなJポップは基本管轄外なのですが
たまに神曲が埋もれてるから油断なりません
259
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/02(日) 20:44:10 ID:UmrAKN8o0
そうそう、12月に入ったから早めのクリスマスソングですよ
歌詞の「同じこと共に祈る喜び」「信じ合い生まれてくる奇跡」がドンピシャすぎて歌わせてしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=ODg_G60qVIw
普通の芸能人が歌うようなJポップは基本管轄外なのですが
たまに神曲が埋もれてるから油断なりません
260
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/02(日) 20:46:18 ID:UmrAKN8o0
あらら、大事な事でもないのに二回言ってしまった
261
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/02(日) 21:00:48 ID:mI/XhTgE0
>>256
代理ありがとうございます!
>>257
>>258
まあ、大抵フラグ立たせ過ぎの輩は生きてる場合が多いですからなあ
とりあえず、次の章はストーリー動かすのはちょびっとお休みしたい気分ですかねえ、また気が向いたらやりますが
むしろストーリーにネタを組み込めない私の頭の硬さがアレなんで、頭に柔軟剤ぶっかけたい勢いですよええ
ライトファンタジーと物語スレを全部ひと通り目を通した自分に隙はなかった……!
こっちもちょくちょく脱ぐと思うので、その時は生暖かく見守ってくだされば幸いです
一応IT系でして、学校の就職率もいいので春が終わる頃には就職できてたらいいですね……、頑張ります!
思えば最初は暇つぶしでしたが、こういう形式も段々慣れてきて楽しくなってきたので、じっくりと付きあわせて頂きますよwww
あと、地味にWikiのメンバー登録の申請とかかけてるので、承認してくれたら有難いですー
262
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/02(日) 23:00:58 ID:UmrAKN8o0
>>261
うおお、14日に申請が来とるー! ゴメンよ!
しかもエラーコード14とか謎のメッセージが出てきて開けんし。何故だー!
webメールが ふははは!大量のダイレクトメールがゴミのようだ!
な状態なんで見るのをサボってました。……ちゃんと見よう、うん。
承認しときました! ついでにファイル削除とかも出来るようにしときました!
ではしばらく進行をやらせていただきますねー。gdgdになったらスマンw
でも次章は修行章なので特にストーリーの主導とか要らないんじゃないかな?
IT系? すごい! 自分は数Ⅲどころか数Ⅱで訳分かんなくなったよ\(^o^)/
入院中に魔法学部wwwと揶揄される先生の元で四大精霊に関する論文という名の作文書いたりしたよ。
こいつは酷い、黒歴史ノートどころの騒ぎじゃないぜ!
思えば最初は主役クラスというよりも序盤の噛ませ悪役(失礼w)みたいな登場シーンでしたねw
フォルテ「ついて来てくれるかな……?」 ( ´∀`)「夏休み終わるから駄目だよ」 フォルテ「大人の事情言うな!」
みたいなやり取りが裏であったとか無かったとか。
263
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/06(木) 23:07:14 ID:HIYITxu20
>「教皇の馬鹿野郎は死んだよ。本当にどうしようもない馬鹿だった。
>なあゲッツ、オレ達勝ったんだよ。寝てないで早くボルツさんに報告してやろうぜ!」
「流石に、糞疲れたァ。
ちょいと、寝かせろよ……ォ」
自分の咆哮で引き裂いた地面の隙間にめり込むようにした異常な体勢ですやすやと寝始めるゲッツ。
この男、先程まで化物と本気で殺し合いをした上で、微妙に神域にたどり着いたというのに数秒後にはこれである。
シリアスを長時間維持すると死んでしまう病気にでもかかっているのだろうか。
だが、周りの歓喜の声と、耳朶を叩くフォルテの歌の前で、ゲッツは珍しく口元を緩めて、穏やかな表情を浮かべていた。
ゲッツが血みどろの戦いを続け、英雄を目指すのは、ひとえに戦いの先にこの様な光景を作るためでもある。
欲しいのは、喜びと称賛であって、怨嗟や憎しみの為に戦っているわけではない。
この戦いの結果は、ある意味ゲッツが望んでいた戦いだった、と言えるだろうか。
>「いやいやいや、思いっきり異教の関係者ですから! ゲッツ、起きろよ!」
フォルテの声もいざ知らず、そのまま眠りの深きに飲まれていたゲッツだが、状況が変わる。
溢れだす殺気、怒気、覇気を感じたのである。
半ばまで地面に埋まっているゲッツが、突如地面を粉砕しながら起き上がり、フォルテを空中にぶん投げた。
>「たっ助けてーーーーーーーーーー!!」
>「うっ、う。うわぁぁぁぁ。」
周りの民衆たちを轢きながら迫っていく、アヤカ。
それを見て、なんとも言えない表情を浮かべる寝起きのゲッツ。
だが、この戦いで身につけた経験は、ゲッツを確実に成長させていた。
「い、い、加減に、しろやァ――!」
ゲッツの咆哮に魔力が加わり、ついでに凄まじい勢いのアヤカが迫る相乗効果で、誰一人怪我はしないが人々が次々と吹き飛ばされていく。
吹き飛ばされていく人々を他の人々が受け止めれば、そこで笑い話と酒を酌み交わす宴会が始まる。
積み重なる無数の現実の壁が有っても、この瞬間だけは人々も全てを忘れて楽しみたかったのである。
そして、アヤカのパンチをまたゲッツは受ける。
ずどん、と砲撃音の様な轟音が周囲に響き渡るも、直後。
ゲッツはその勢いを真正面から受け止めることなく、おとなしく後ろに吹き飛ばされた。
同時に、背中から鋼の翼を呼び出して空中で宙返りして、飛翔。
天高く放り投げたフォルテの首根っこを掴んで、肩に担ぎあげた。
頭上でなにやら騒いでいるフォルテを見上げて、いい笑顔を浮かべたゲッツは。
「な、助けてやったろ?」
と、寝起きで生あくびをしながら言うのであった。
そして、悪ィ、ちょいと一人で行きたい所が有ると一言言うゲッツ。
一旦フォルテを静かな所に下ろすとウ・ボイに向かって飛び去っていくのだった。
己の師と、己の守った街を見るために、天高くから、街を見下ろして――。
264
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/06(木) 23:07:29 ID:HIYITxu20
静かにボルツの店の前に舞い降りた、ゲッツ。
店の周囲が閑散としているのは、中央に人々が集まっているからか。
店の戸を無言で開ければ、カウンターにはいつも通りにバーコートを着たダンディな店主が居る。
「……よ、ボルツのおっさん。帰ってきたぜ」
「ああ、ゲッツ君。
私の依頼を達成してくれて、感謝しているとも。
――駆けつけ一杯、飲んでいくと良い」
作っていたのは、ゲッツのアースクエイク。
最初からここに来ると分かっていたのか、ボルツは作りたてのそれをカウンターに置く。
近づけば、隠し切れない血の匂いがして、ボルツの息が荒い事も分かる。
「死ぬのか、隊長」
「死ぬねえ、部下」
互いに、互いのことを理解している故の、静かな会話。
ゲッツは、それ以上何も言わずにアースクエイクを一息に飲み干し、立ち上がる。
にぃ、と犬歯をむき出しに獣の笑みを浮かべて、皺だらけの老兵と鱗だらけの新兵は拳を合わせる。
無言でゲッツは背を向けて、店の外へと歩き去っていくのだった。最後に一言。
「――ウ・ボイ、ウ・ボイ」
戦へ、戦へ。
師の教えを背負って、己は己の力を発揮する場所へ行く。
それこそが、死にゆく師の為の手向けである。そうゲッツは決めて、振り返らないこととした。
>「街を守った英雄たちに栄誉の杯を! 今日はうちの葡萄酒の樽を全部開けてやるぞ!」
「戦へ、戦へ!
兄弟よ、剣を抜け
われらの死に様を敵に知らしめよ」
>「おー、いつもケチなマスターにしては珍しいな。雪でも降るんじゃねーか」
唯一、ゲッツがまともに覚えた歌。
師が日々口ずさんでいた、勇壮なメロディと歌詞が、下手ながらも豪壮な声によって響いていく。
賑やかさの前でも、どこか荘厳なその声は、その気高い意志は人々の心に聞こえていくだろう。
ゲッツの胸の鼓動が、フォルテの持つモナーを鼓動させているだろうか。
「われらの街は既に火の中
その熱はここまで伝わりくる
敵の咆哮が響き
彼らの怒りは絶頂に達す!」
>「世界で一番美味しいロルサンジュのパンもどうぞ!
> さっき焼き上げたばかりのものを運んで来ましたから、まだ温かいですよ〜」
師とともに歩んだ戦場と、ここから歩き出す戦場。
それを心に描いて、只々歓喜の輪の中へと歩みを進めていく。
歌いながら、哭くことはなく、只々笑って、そして笑いながら。
「われらの胸はその炎のごとく燃え盛り
敵の咆哮は剣の音に打ち消される!
諸君、ズリンスキにキスを
兄弟たちが交わすキスのように!
ズリンスキの門へ
真の英雄たちよ!」
(――ま、気障だが偶にァ悪くねェ、か)
265
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/06(木) 23:07:39 ID:HIYITxu20
己の知る真の英雄の証は、己の懐の中の剣がそれだ。
師を背負い、ゲッツは歩き。
歩いて歩いて、フォルテの元へとたどり着き。
「なァんかよ、楽しそうな歌とか、ねぇか。
死人も怪我人も、そんなの忘れて踊りだしちまうような、よ」
にかり、といつもの様に竜人は笑う。そして、求めていた。
己には謳えぬ、心を踊らせるような歓喜のメロディを、そう――歓喜の歌を歌おうと。
歌が下手な竜人は、あろうことか吟遊詩人にデュエットのお誘いをするのであった。
266
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/06(木) 23:12:09 ID:HIYITxu20
>>263
>>264
>>265
の代理をよろしくお願いしまする!
珍しく歌ってみましたが、歌詞はクロアチアの愛国歌のウ・ボイ、ウ・ボイという歌ですね。
なかなか良い歌ですので聞いてみるといいかもしれません
>>262
承認ありがとうございますー! これで更新の度にコードを入れる必要がなくなるお……
次は修行章でしたなそういや……、ゲッツに修行させると最終的にドラゴンボールになりそうで怖いけど頑張るよ!
一応組織の裏での動きも考えてますので、随所で伏線を張ってみますの。
ゲッツは噛ませっぽい要素が山盛りですからね、マッチョやら馬鹿やら三下笑いやら
このスレは超人に近づけば近づく程まともな人類になっていくスレなのかもしれませんな!
267
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/07(金) 02:48:48 ID:vknbfiy.0
代行&投下完了
なんか打ち切り最終回みたいになったけど打ち切りじゃないお!
エスペラントさんゴメンよ! 思いっきり犠牲にしてしまった…w
今回は何にしようかな→晴れてハレルヤって別バージョンあったのか〜→思いっきり結婚式ソングやん!→じゃ あ そ れ で
しかしあの歌詞の内容はどっちかというと……はいアウトーッ!
ウ・ボイってそういう意味だったのね。
不思議生物が滅多に歌う事がないであろう男声がよく合う歌だー。
音楽wikiのこのスレのページの編集制限解禁しときますね〜
いつの間にか厄災の種を全部集めたら願いが叶うドラゴンボールスレになってたらどうしようw
>リンセルさん
お疲れさまでした〜!
パンは趣味でちょっと焼いたりするから興味深かったよ〜。トリスブレッド美味しそう!
また気が向いたらよろしくね!
268
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/08(土) 10:00:48 ID:L737ta4s0
導師様ごめん! 前のレスを見てもトリップが無いな〜ぐらいにしか思ってなかった。
今まで一回も規制にかかってなかったからWii回線は無敵だと思って油断してたよ!
代理してくれた人とゲッツ君はありがとね。
もしかして規制が解けてこちらに書けるようになってたりしないかな?
駄目なようだったら千夜に避難所作りましょうか。
ここを使い切ったら……と思ってたんですが容量制限がないんだよここ!
269
:
ゲッツ
◆DRA//yczyE
:2012/12/08(土) 19:57:35 ID:/bQ21e360
>>267
>>268
おつおつですよー
歌詞の内容はいろんな方向からとれてニヤニヤできますな!
昔ちょびっとSS書く時のネタにしたり、エロゲの元ネタだったりしたのでそういう方面は調べたことがあるのです
フォルっち折角色々声出せて万能生物だからこういう方面も有りなんじゃないかな!
あと自分は千夜に避難所作るのは賛成ですよー
270
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/08(土) 22:54:30 ID:mAg4TyFM0
向こうに避難所作ったお! 民族大移動をお願いします!
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1354973666/l50
導師様には今まで苦労をおかけしました。
一時的に規制されてるだけだと思ったんだけど甘かったか…
それと向こうでは直リンが出来ないようになってるので
URLを張る時はhを抜かないと「書き込みしました」という画面が出たのに
何故か書き込みできてないという事態になるのでそれだけ留意してください。
こっちの避難所ですが折角創発避難所だし
SSや小ネタを書いたけど千夜の共用スレに晒すのはちょっと……
という時に使いましょうかw
>>269
そう思ったので敢えて今回は歌詞全文抜粋しましたw
なんか話が通じちゃってるー!! おまwwwさらっとカミングアウトすなwww
そうか、セフセフか…いややっぱアウ…間を取ってセウトーッ!な方針でw
271
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2012/12/10(月) 20:37:01 ID:.9ZjWGj.0
折角小ネタ投下用のスレが出来たので誰得な元ネタ集。
実は無関係な昔のスレから色んな単語が引用してありますサーセンwww
各オマージュ元に感謝。
・神魔大帝
【魔法】侵略者を倒せ!【機械】(通称魔法機械スレ)
http://www43.atwiki.jp/nanaitatrp/pages/507.html
世界観は魔法と機械が混在する未来風ファンタジー世界でちょっとここと似てる。
スレ開始時に悪の大ボスとして設定されたけど
実は世界を救おうとしていたツンデレという事になって中盤で仲間になった。
こっちの神魔大帝はハウル風の金髪イケメンだったような。(うろ覚え)
・星霊教団/星の巫女
【鋼鉄】クロス・エイジ //【神話】
http://www43.atwiki.jp/nanaitatrp/pages/503.html
近未来ロボット物+神話ファンタジーという今思えばエヴァの新劇場版を予見したかのようなジャンルでした。
星霊教団は地球環境を再生した機神を信奉する新興宗教。総本山は秋葉原!
その教団の象徴を務める星の巫女が元AKB系アイドル歌手だからだ!
結局人がいなくなって打ち切りになったなあ…残念。
0章で出て来た星霊教団の下っ端集団がAKBもどきだったのはこれの名残ですw
・半妖
こちら"ミルダンティア王都立市街魔術迷宮捜査局"!(通称こちらみ)
http://www43.atwiki.jp/nanaitatrp/pages/516.html
魔法と機械の混在する微妙に中世ベースのファンタジー世界。やっぱりちょっとここと似てる。
人間と星の化身の間に生まれた存在を半妖と呼ぶのはこっちが初出でした。(半妖って普通は半妖怪とか妖魔だよね)
こっちの半妖は禁断の精霊魔法によって精霊術師とその契約精霊との間に生まれる存在。
オカンは水の大精霊でした。父ちゃんは禁断の魔法の副作用で白い犬。カオス。
272
:
名無しさん@避難中
:2012/12/25(火) 23:00:17 ID:CDrDbckQ0
【蘇生事情まとめ】
>握っていた手を離すと、腕が力なく落ちた。そして、その体が光の粒となって消えていく。
>ゲームやアニメでよく見るこの死に方、一見綺麗だが『蘇生不可っすからwww残念!』という残酷な事実を意味するのだ。
1・体が光の粒となって消えた場合は蘇生不可。どういった条件で光の粒が発生するのかは不明。
>その昔、蘇生術は精霊魔術の総本山である星霊教団が独占していた。
>独占なので安売りする必要は無く、逆にお高くとまっていたほうが高級感が出てよろしい。
>そのため当時蘇生してもらうには多額の奉納金を支払わねばならず、実質庶民には手がとどかないものだった。
>しかし、オーバーテクノロジーを駆使して台頭してきた神魔コンツェルンが、超科学による蘇生術を開発してから状況は一変する。
>蘇生術の市場を制した方が世界を制す――。残酷な市場原理は命の値段にも容赦はしなかった。
>堰を切ったように熾烈な値下げ競争が始まり、現在は下がるところまで下がって落ち着いている。
2・ローファンタジアに集中していたと思われる神魔コンツェルンの技術が喪失したのなら、蘇生デフレが変化したかも知れない。
>振り上げられる右の剣は、一閃で並大抵の命ならば蘇生不能な死を与える威力を持つ。
>袈裟斬りが、アマテラスの身を浅く裂き、遥か彼方へと吹き飛ばす。
3・蘇生不可の死を与えられる存在もいる。
4・ローファンタジアやエヴァンジェルで巻き添えになって死んだ人間達が、誰にも蘇らせてもらえなかった理由として有力。
>どんな田舎の村にも星霊教団の教会はあり、蘇生術を習得した者が配備されています。
5・ローファンタジア以外の町や村でも蘇生術の恩恵は受けられる。
>死体損壊どころか原型とどめてなかったからうまくいくか気が気でなかったモナ
6・蘇生は上手くいかないこともある?
>星霊教団による蘇生は、死体の損壊が少ない時は治癒魔法の応用で行われるが
>原型を留めていない時は、残った一部分が持つ記憶を基に再構成するという。
>ならば傷痕が残っているのは、オレ自身が記憶に刻んでおきたいと思ったから……
7・死者の意志が反映されるなら、自殺した場合は蘇生不可?
8・富裕層は死体が消失した時の対策として、髪や爪等の肉体の一部を各地のバンクに分割保管している可能性もある。
273
:
リンセル
◆Ac3b/UD/sw
:2013/01/06(日) 06:05:01 ID:t9z7LuGc0
古風な街並みを保つ宗教都市、エヴァンジェル。
街の各所には、先日の三主神降臨で刻まれた戦火の跡が色濃く残る。
ひび割れた家屋と崩れ落ちた城壁。
自動車も入れないような狭い路地では、傷んだ石畳の上を走る荷車。
縁の砕けた噴水の傍には水溜りが出来ており、工具を持った石工が煉瓦を補修している。
血の色で濁った水路の前では、浄化魔術の使い手たちが幾度も水面に魔術を掛けている。
街のどこにでも復興の光景があった。
しかし、街全体に漂う雰囲気からは復興の活気が感じられない。
市場で商店主たちが声を張り上げ、大聖堂に平日と同じくらいの巡礼者が訪れても。
明朗な笑顔で客と談笑する商店主たちの声には、己を鼓舞する虚勢が感じられる。
大聖堂で膝を折って祈りを捧げる巡礼者の顔からも、不安の色が拭えない。
民衆の心を苛む原因は、三主教の神々が邪神と判明したことにある。
より正確に言えば、今まで信仰の対象としていた三主の神が虚像であったこと。
人々が心の拠り所としていたイウム・ギイル・ツルアの三神は存在しない。
いかに突きつけられた現実を否認しようとも、神の不在証明は為されたのだ。
結果、エヴァンジェルの聖地としての価値は暴落する。
巡礼者の減少という目に見える形で、その影響は早くも街に現れ始めていた。
「パンはいかがですかー! 三主の恵みが詰まったトリスブレッドはー!
このもっちりとした触感! 季節の果物の新鮮な甘味! これこそまさにパン・オブ・ザ・パン!
お昼の友にはパン! 麺でもご飯でもなくパン! 非常時に備えて十個くらいいかがですかぁぁぁぁっ!」
昼下がりの大通りに元気な声が響く。
パン屋見習いの少女、リンセル=ステンシィが巡礼者に呼び込みを掛ける声だ。
しかし、残念ながら売れ行きの方はあまり芳しくない。
巡礼者や遠方から訪れた司祭たちは、三主教の今後について話す為なのか足早に大聖堂へ向かう。
市街地の復旧に勤しむ労働者たちも、パンだけじゃ腹は膨れんとばかりに大衆食堂に吸い込まれて行く。
そのうち声を張り続けるのにも疲れたのか、リンセルは小広場のベンチに座って溜息を吐き始めた。
「はぁっ……ぜんっぜん売れないなぁ。
この調子だとパンの売上は右肩下がり、ロルサンジュも倒産、転落コースまっしぐら。
うぅ、割と冗談じゃなく暗黒の未来が鮮明に描ける……」
頭に浮かび掛けた光景を頭を振って振り払い、リンセルは座り込んでいたベンチから立ち上がる。
そして、新たなターゲットを観光客層に定めると笑顔で猛ダッシュ。
「あっ、そこの人! お姉さん……いえいえっ、美人のお姉さん! 美味しいパンはいかがですかっ!」
274
:
リンセル
◆Ac3b/UD/sw
:2013/01/06(日) 06:12:55 ID:t9z7LuGc0
リンセルが声を掛けたのは、少女と言うには大人びていて、女と表現するにはまだ若い年頃の人間族。
灰色の長い髪をポニーテールにして纏め、切れ長の目には黒い瞳。
ツンと澄ましたような表情と鋭い眼光は、どことなく猫科の猛獣を思わせる。
服装は黒のレギンスにネイビーブルーのカットソー、その上には幾何学的な植物文様のベスト。
民族的な服装を好むエヴァンジェルの住人や巡礼者の中で、カジュアルな服装は明らかに浮いていた。
手に持った長い儀礼杖だけが、辛うじて彼女が巡礼者ではないかとの印象を抱かせる。
「あー、パンは口の中がパサパサすっから、あんま好きじゃないんだよねぇ。
アンタさ、悪いけどボルツ・スティルヴァイの家はどこか知ってるかい?」
リンセルに話し掛けられた女は、即座に手をひらひらとさせながら話題を変えた。
素気無くパンの購入を断られたせいか、リンセルもややムッとした表情で言葉を返す。
「スティルヴァイさんのお店ですか?
知ってますが、生憎と昼下がりの気怠い空気で頭がぼんやりとしてまして。
パンを一つでも買ってもらえれば、なにやら記憶も鮮明になる気がするんですけど」
「アッハハッ……分かった、分かったよ、パン屋さん。
それじゃ、非常時に備えて十個くらいパンを買うから道案内を頼むよ。
こうして他の街に来たのは初めてなもんで、色々と勝手が分かんなくてさ。
街に詳しいガイドがいると、何かとありがたいんだけどね」
「街のガイドは構いませんけど……。
ええと、そのー、スティルヴァイさんは、先日の災害でお亡くなりになってるんですが……」
「ああ、ボルツ・スティルヴァイが死んだことなら知ってるさ。
アタシの故郷じゃ、ちょっとした有名人だからね。
それじゃ、さっそくだけど道案内を頼めるかい?」
そう言って女は歩き始め、リンセルも小走りで後を追い、ほんの何歩かで二人は並び合う。
「あぁ、そうだな、まあ一応名乗っとこうか。
アタシはミリアだ、よろしく」
「私は世界一のパン屋になる予定のリンセル・ステンシィですっ!」
275
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/09(水) 19:20:40 ID:2O4w56MA0
リンセルの案内で、ミリアは曲がりくねった路地裏の細道を進む。
やがて、ぽっかりと開けた空間に出れば洒落た外観の酒場宿が建っていた。
金属縁の木製プレートが壁に設置されており、ウ・ボイと店名が書かれている。
「ここが、かの英雄ボルツ・スティルヴァイの終の住みか……か。
センスは悪かないが、こじんまりって感じは否めないねぇ」
ミリアが獅子の装飾を施されたドアノブを引き、ウ・ボイの扉を開く。
内装も外観同様に洗練された雰囲気だったが、店内の空気は冷めきっていて人の温もりは無い。
現在のウ・ボイは閉店休業中で、散発的に故人を偲ぶ旧友が訪れるくらいである。
しばらくすれば店内の整理も済み、この建物は新たな主を迎えるのだろう。
ミリアが躊躇なく店内に足を踏み入れると、リンセルも続く。
「重荷を解かれた魂は天に導かれ、肉体は大地に還り、別離の涙は海に流れよ。
慈しみ深き三主よ、どうか人生の旅路を終えたボルツ・スティルヴァイに安らかな眠りを」
目を閉じたリンセルは祈りの言葉を口にして、指先で三主教の聖印を切った。
彼女の信仰は篤い方では無い。ましてや非実在の神に捧げる祈り。
そんなものが、何処の誰に届くのだろう?
しかし、長年の習慣からかリンセルは自然に聖句を唱えていた。
その静かに響く祈りを聞いたミリアは、皮肉めいた感じで鼻を鳴らす。
「アンタらはさ、まだ僕たち私たちの考えた神様に祈るのかい?
セレモニーでの三主降臨、前教皇の残した手記、そして真裏派の解体。
諸々の過程で、イウムやらギイルやらツルアなんてのはいないことが判明したんだろ?」
「そ、それはまだ……。
真裏派の人たちが言ってたことだって本当だとは限らない……ですし。
それにそれに、神官の人たちだって神聖魔法を使えますしぃ……」
口籠るリンセルに嗜虐心を煽られたのか、ミリアは意地悪く唇の端を吊り上げて畳みかける。
「マナに精霊に自分自身の精神力、魔術に使えそうなものなんて世の中には色々あんだよ。
他の魔術と同様に、神聖魔法のパワーソースも三主じゃなかったってだけさ」
魔術に疎いリンセルは言い返す事も出来ず、今度は完全に口を閉ざしてしまった。
ミリアは室内に生まれた沈黙を気にした風も無く、持っていた杖を壁に立てかけて部屋の奥へ。
「パン屋さん、悪いんだけどさ、しばらく一人にしてくれるとありがたいんだけどね」
「まさか……遺品漁り!?
そ、そう言えば、あなたからは何となくデンジャラスな雰囲気がひしひしと感じられます!
この所、遠くからの知り合いの方が何度も弔問に訪れていたので、うっかり此処まで案内してしまいましたが!」
階段を昇り掛けたミリアは苦笑。顔の前で右手をひらひら振って否定する。
「いやいや、んなコソ泥みたいな真似なんてしないってば。
単に静かに死者を弔いたいってだけさ。
それに彼の遺品を受け取るのに相応しい奴は、この街やジャンクスの連中だけだ。
アタシも含めて、ボルツ・スティルヴァイの故郷の連中には無い。
唯一、受け取る資格のあったスティルヴァイ家も……途絶えちまったしな」
最後に小さく呟いて、ミリアは二階に消えた。
276
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/09(水) 19:21:09 ID:2O4w56MA0
酒場の二階は宿泊用の施設となっていて、幾つかの客室と主人の私室が並ぶ。
ウォールナットで設えたアンティーク家具、広々として見えるレイアウト。
客室の内装にも主のセンスと審美眼が窺える。
手近な扉を開けたミリアは重厚感のあるテーブルに近づき、その上に置かれた金装飾の写真立てに声を掛けた。
ふしくれた大樹の前で数多くの戦友に囲まれたボルツに。
「初めまして、かね。
アタシはミリア・スティルヴァイ。
知ってるだろうとは思うけど、アンタが国に残した息子、ドニの娘だ」
ミリアは銀色のロケットペンダントを開いた。
中から現れたのは、線の細い男が膝に小さな女の子を座らせている写真。
映っているのは木漏れ日の庭、幼き日のミリアと父。
「アタシの父さんは死ぬ前に言ってたよ。
人間という種がもっと強ければ、アンタが勇者なんてもんに祭り上げられる事もなかった……ってね。
あの国で最後までボルツ・スティルヴァイを本当の勇者として見てたのは、父さんと死んだ祖母様くらいさ」
過去のボルツに向かってミリアは呟く。
ボルツ追放後、彼を追い出した国は報復を恐れた。
故郷に残されたボルツの家族は、人質として出国制限と国家の監視を受ける。
当然ながらボルツも家族の奪還を試みたのだが、国政に携わる議員だったボルツの妻は国外逃亡を拒否。
息子を育てながら竜種に破壊された国土の復興に尽力して、息子の成人を見届けた後に逝去する。
いかに国が緘口令を敷こうとも、ボルツの出国が追放であることは公然周知の秘密。
特に旧世代の人間、竜種の撃滅を間近に目撃した人間はボルツを悪鬼のように恐れていた。
当然、ボルツの評判は芳しからぬものであり、その継嗣も奇異と恐れの目で見られる。
しかし、母方の家に守られていた事もあってか、幸いにも迫害されるような事までは無かった。
成人したドニ・スティルヴァイは妻を迎え、一人娘ミリアを儲ける。
彼の立場が一変して悪くなったのは、ボルツの復権運動を始めてからだ。
「アタシの母さんは、父さんが始めたボルツ復権運動に嫌気が差して家を捨てちまってね。
いわゆる村八分ってヤツで、住民からの白眼視も凄くてさ。
ま、それだけ竜殺しの殲滅師への恐れは根深かったってことだ。
先日の祖父様の死去で、ようやく監視やら出国の制限が解かれたくらいだしな」
ミリアがテーブルの写真立てを指でなぞると、写真に映った傭兵集団の中から一人だけが消えた。
そして、白い魔力光の灯ったミリアの指先は己が首に掛かるペンダントへ。
「アタシは父さんを弔う。
この革命のアイン・ソフ・オウルで、人間全ての生命を革めてね。
人間という種がもっと強ければ、この世界は一握りの勇者なんかに頼らなくて良い。
それを……父さんが正しかった事をアタシが証明してやるよ……」
ペンダント・ロケットの写真の中でミリアを抱えるドニの横。
そこには、目を細めて微笑みを浮かべるボルツがいた。
277
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/09(水) 19:23:31 ID:2O4w56MA0
名前:ミリア・スティルヴァイ
種族:人間(AIN SVPH AVR)
性別:女
年齢:17歳
技能:体液を介した遺伝子操作、呪文魔術(強化・変質系に特化)、自己再生、魔力操作、喰魂
外見:灰色のポニーテール。切れ長の黒い瞳。背丈や体形は平均的。
服装はレギンスにカットソー、ベストという動きやすいものを好む。
装備:マジックスタッフ(魔力を撃ち出し、打撃武器としても使える遠近両用の攻撃魔杖)
操作許可指定:――
設定操作許可指定:――
278
:
フォルテ
◆jIx.3BH8KE
:2013/01/12(土) 22:56:21 ID:CDbCYR5I0
>>272
乙乙〜
何気なく書いた事を改めて考察してみると面白いですね!
まさか序章でいきなり死ぬとは思ってませんでしたw
>>277
GJ! 人類改造計画ですね分かります!
人間至上主義で異種族が迫害されている世界観はよくありますが
異種族が幅を利かせて人間が微妙に肩身狭そうな世界というのは珍しいかもしれませんね
というか放っておいたらそうなるからそれを恐れて牽制した結果がよくあるパターンの方なのかな〜
279
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/21(月) 23:37:06 ID:1hr4zc720
>>278
/本編と食い違う部分に関しては、気にしないでほしい所だね。
/ま、ここは本流とは関わり無き支流のIF世界ってことで。
280
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/21(月) 23:40:36 ID:1hr4zc720
ミリアが階段を降りると、バーカウンターの椅子に座っていたリンセルが駆け寄って来た。
小走りのリンセルはミリアの目前で急停止、栗色の三つ編みを大きく跳ねさせる。
仄かに髪から漏れるハーブの香りは、植物由来の石鹸かシャンプーのものだろう。
(んー、なんか子犬みてーだな……)
「私、さっきからずっと考えたんですが!
祈りは誰に捧げるかなんてことより、そこに込められた想いの方が重要なんだと思います!」
「へぇ、それって神様はいようがいまいがどうでもいいって主張?」
近くのテーブルチェアに座ったミリアが、挑発的な視線でリンセルを見上げた。
この一介のパン屋が思い付いたらしい神学論を論破してやろうとの意図を持って。
アイン・ソフ・オウルとしての智を得たミリアには、論争になっても負けるはずが無いとの自負がある。
自然、顔に浮かべるのは優越の笑み。
「いいえっ、そういうことではなくて!
海で拾った綺麗なシーグラスを見ても、量産品の硝子瓶が削れただけだって言ってしまうのは夢が無いでしょう?
それを誰と拾ったのかとか、誰のために拾ったのかとか、そういう思い出とかメンタルな部分も人間には大切なんです!」
「まぁ、そこまでは否定しないさ。
神がいなくたって、人は死者を悼むだろうしな。
でも、不在が確定した神を実在するとして崇めるのはどうかねぇ?」
「そ、それは……」
「それは?」
「三主の不在は証明できていません!」
「はぁっ? 真裏派は古代文字を解読したり、各地の残留魔力の探査したりで研究結果を集めてたんだろ?
で、その結論としてトゥビェニ・イビャス・ギェリムって邪神らが真の三主だったのが確定。
死んじまった前教皇も、実際に連中の端末を呼び出しちまったじゃないか。
これでイウムやらギイルやらが存在するってのは、考え難いと思うけどねえ?」
「異議ありっ! 邪神が存在したからといって、それが三主の不在とイコールにはなりません!
三主と邪神は同時に存在していた可能性だって考えられます!
三主が存在しない事を証明するのなら、神の世界を隈なく調べて確かめないといけません!
それが行われない内は、三主が存在する可能性だってゼロではないはずです!」
「ふふっ……うっくく……それ、アタシをやり込める為にずっと考えてたのかい?」
「半分はそうですけど、何よりミリアさんの人が大切にしてるものを踏みにじろうって態度は違うと思います」
「……ああ、まぁ悪かったね。無神経でさ。
アンタがわんこみたいに可愛いもんだから、つい意地悪しちゃったって好意的に解釈してくれると有り難いね」
281
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/21(月) 23:41:33 ID:1hr4zc720
ミリアは改めて思い返す。
心は安息の地、自らの拠り所となるものを求めるのだと。
拠り所となるものが無ければ、心は受け続ける苦痛や衝撃に堪え切れずに砕けてしまう。
いかに固い石であろうとも、ハンマーで打たれ続ければ罅割れてしまうように……。
「じゃ、これはお詫びの印って事で」
立ち上がったミリアは何気なくリンセルの細い首筋を引き寄せると、形の良い唇の間に己の舌をねじ込んだ。
リンセルは咄嗟に離れようとしたものの、ミリアの腕が己の腰と首筋に回されて引き剥がせない。
生温かい舌が舌を舐め回し、交わった唾液が互いの喉に流れ込む。
唇の間から漏れる音は息とも声ともつかない。
「ふ? む? むむむーむむむー!」
「……んっ……」
リンセルの拳でドンドンと肩を叩かれた所でミリアは離れ、再び腰を降ろして椅子へと座った。
凄艶とも言える表情のミリアと、羞恥と驚愕で顔を紅潮させたリンセル。
両者の唇が離れると、糸のように伸びた唾液が途切れて床に滴りを落す。
「ぷはぁっ……わ、私のファーストキスが……女の人に……通りキス魔に!
い、いやぁぁぁぁ! 踏みにじられたっ! 大切なものを踏みにじられたぁぁぁぁっ!」
リンセルは頭を抱え込んで蹲った。
282
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/21(月) 23:42:45 ID:1hr4zc720
アイン・ソフ・オウルと化したミリアは、生物の組成を変質させる魔力を持つ。
ミリアの細胞に侵入された人間は脳や臓器、骨、筋肉、血管、細胞、ありとあらゆる部位が変性される。
生物としての形質や生態を変化させないままに、能力の基礎値と上限値が拡張するのだ。
変容はそれだけでは終わらない。
細胞に魔力的なフェロモンの受容器官が作られる事で、本能的にミリアを主と認識してしまう。
母や娘や姉妹、或いは恋人であるかのような親愛の情を感じるのだ。
当然ながら、今しがたミリアからの口づけを受けたリンセルも。
「な、な、な、何がお詫びの印ですかっ!
ミリアさんの国ではそんな風に謝罪するんですか!? 絶対違いますよねっ!」
濡れた顎をごしごしと袖で拭いながら、顔を真っ赤にしたままのリンセルが怒鳴った。
ファーストキスを奪われた為なのだろうか。
床に蹲ったまま、恨みがましい目でミリアを見上げている。
「もちろん、今のは謝罪なんかじゃないさ。
リンセルへの愛を形にしたものに決まってるだろ?」
「えっ……? ええええええええええぇぇぇぇっ!
わた、私はそういう趣味は……だ、だっ、第一、自然の摂理に反して……。
それに出会ったばかりで、お互いの事もよく知らないですし……」
ミリアはくっくっと笑いを堪えながら困惑の言葉を聞いた。
他愛も無い応酬はしばらく続き、その間にもリンセルの肉体は細胞単位で変質を進める。
心の中から不審や警戒が瞬く間に溶け、その跡には親しみが芽吹き、強い愛情として花開く。
さらに十分程も経った頃には、リンセルの心はミリアこそを安息の地と認めていた。
「ところでさ、リンシィは大聖堂にもパンを卸すのかい?」
ミリアがリンセルを呼ぶ名も、いつの間にか愛称に変わっている。
今の二人は、傍から見れば十年来の友人と思える程に仲睦まじく見えるかも知れない。
「ええと、はい。
聖餐で使われるパンは組合が共同で作りますから、ロルサンジュも卸します」
「じゃあさ……」
耳元での密やかな囁きは、まるで恋人同士の語らいとも錯覚する。
何を話しているのかは漏れ聞こえない。
「……はい、やってみますね」
「アタシのリンシィなら、パン作りに関しちゃ何でも出来るさ。
それじゃ、こっちは大聖堂にでも行ってみるとしようかね。
せっかくエヴァンジェルに来たんだから、見ないで帰るのも勿体ないってもんだしな」
微かな床板の軋み、そして閉じられる扉の音。
訪れた二人の客が去ると、束の間だけ覚醒していたウ・ボイも眠りに就く。
283
:
ミリア
◆NHMho/TA8Q
:2013/01/29(火) 21:05:55 ID:J/eSRE7w0
夕刻近づく大広場に尖塔の影が伸びてゆく。
教皇選出の会議に伴って大聖堂への立ち入りは制限されていたのだが、広場を訪れる巡礼者は少なくない。
何日も入れ替わり立ち替わり、誰かが中央に置かれた献花台に赴き、祈りを捧げて去って行く。
エヴァンジェルに蘇生魔術で蘇った者はいなかった。
一応は蘇生魔術を試みた術者もいるのだが、三主の端末は犠牲者を魂もろとも滅殺している。
灰化した者にすら生命の息吹を与える魔術も、魂が消失しては効果を発揮しない。
そして、蘇生を企図する者自体も少なかった。
天と地と海の神を奉じる三主教は、自然崇拝の宗教に感性が近い。
厳格な教義こそないものの、蘇生魔術や機械化等を不自然な延命と見做して好まないのだ。
「………………」
鐘楼から追悼の鐘が鳴り響く中、ミリアは城壁に背を預けて佇む。
眼差しは献花台に集まる人間たちへ。
そのまま、なぜ三主降臨が起こったのかに思考を巡らす。
ミヒャエルの手元に渡ったアイン・ソフ・オウルの種子が、崩壊した精神の指向性を増幅したのだろうか?
しかし、セレモニーで彼が発したという文言を聞く限りでは、三主に精神を崩壊させられていたとも思えない……。
聖都で手短かに聞き集めた情報などでは結論も出ず、ミリアは考えを別の方向へ向けた。
人間という種を造りかえようとする己の願望に。
(一つの王国に王は一人、枝葉を天まで伸ばせる種も一つだけ。
アイン・ソフ・オウル同士の潰し合いに、勢力図が変わるのを嫌う異種族。
どう考えたってアタシ一人じゃ無理だね……もっと力がいる)
このネバーアースには強力な個体が少なくなく、ミリア個人では人間全体の変革など不可能だろう。
遠い異国には竹刀で宇宙戦艦のレーザーを弾く程の剣士すらいるらしく、星霊教団の教主も異界から訪れた神。
高位魔導師に匹敵する程度の魔力では、一地方を制圧できるのかも怪しい。
しかし、集団としての力を得れば、実行できる事は飛躍的に増えるのだ。
数多の信徒を抱え、この世界で最大の組織とも言える三主教を得れば。
(あー、それと直接接触以外の方法を確立しなきゃな。
人類全てとキスして回んのは、流石に効率が悪すぎる。
今のアタシの魔力じゃ難しいかも知れねーし、リンシィが上手くやってくれればいーんだけどな)
「ま、とりあえずは三主教だ。
Vau ritel rikulaim, 不可視の耳は吾に伝える。
Vau ritel finifias, 不可視の瞳は吾に伝える」
ミリアの唇から小さく漏れるのは探査の術。
魔力を細い糸のように伸ばして、術者に視聴の疑似感覚を伝達する魔術だ。
魔術で伸ばされた糸の数はニ十を超え、その全てが大聖堂へ向かって進む。
望むのは五十億の集団の心臓を手中とする事。
必要ならば……戦いをも辞さない。
284
:
司教フランディーノ
◆OzeGYYLSp.
:2013/01/30(水) 00:42:02 ID:bw76v6os0
現在、エヴァンジェルには各地から司教が集い、教皇選出会議を行っている。
災禍に見舞われた大聖堂は一部が損壊しているものの、三主教総本山としての機能は失われていない。
聖堂内部には各派閥の高位司祭たちが勢揃いしており、それは実に数多くの種族から構成されていた。
あちらに白い肌の人間もいれば、こちらには黒い肌の人間。
犬顔の半獣人が長椅子に座り、その横には法服の妖魔、さらに隣は辺境でしか見られないような翼人種。
実に雑多な顔ぶれが集まる礼拝堂の内陣、祭壇の安置された至聖所には各派閥の長が立つ。
「まずは皆様に申し述べたい!
我らが信仰すべき神は確かに存在するのだと」
密やかに、高らかに、様々な声が入り乱れる中で厳粛な面持ちの男が声を張り上げた。
胸まで覆う瑠璃色の長い鬚、厳めしい顔つき、頭部から雄牛の角を生やす筋骨隆々の亜人族。
空気を震わせる雷鼓の一声が、ギイル派の長とも言えるロガーナ族司教、ハージェス・ローレンシアの口から飛ぶ。
「無論のことだが、それは前教皇が就任日に召喚した異形の魔物などではない!」
沈黙の中でハージェスに視線が集まる。
彼は何を言うのか? それを聞く事で何かが始まるのか? それとも終わってしまうのか……?
大聖堂は静かな緊張で包まれ、皆の顔にも期待と不安が色濃く浮かんだ。
「思い返してみよ! 前教皇が真なる三主と呼んだ魔物を!
果たして、彼らが如き禍神が天地海の創造を為したのだろうか?
否! そのようなはずがあるまい! 空と海と大地を創造した偉大なる何者かは別に存在する!
見るが良い、現実に天と地と海は存在するではないか! 偉大な何者かが創り出した美しい世界が!
ギイル、イウム、ツルアという名前は人類が考え出したものなれど、三主に相当する存在はいる。
そして、今もそれぞれの御座から我らを見守っておられるのだ!
天と地と海の間に生きる我らが、世界を創造された御方に畏敬の念を持つのは当然至極であろう!
我らはその大いなる御力をイウム、ギイル、ツルアとして、これまで通りに信仰し続けようではないか!」
前教皇が召喚したのは偽の三主であり、我々は三主を三主として今まで通りに信仰する。
ハージェスは考えた。考えて考えて、この答えに行き着いた。
受難の時に敬虔なる神の使徒が至った答え、これこそが天啓、神の導き! 神は確かに存在するのだ!
そう確信して述べるハージェスの論説は、各地の司祭を概ね満足させたのだろう。
広大な空間に鳴り響く拍手は壁を彩る彫刻群を罅割らせ、天井を支える堅牢な梁をも落とさんばかりだった。
三主信仰の伝統が守られる論理は、信徒にとっても福音だったのだ。
「我々の信仰に大きな楔を打たれた苦難を乗り越える為には、指導力に加えて石の如き堅い信仰が必要です。
私はローレンシア司教こそが次の教皇として相応しいと考えますが、皆様は如何でしょう?」
鳴り響く拍手が音量を下げ始めた瞬間に、教皇位を推薦する言葉が重ねられた。
発言者は四十ニ才の人間族、フランディーノ・セレゼット。
ツルア派の重鎮で、痩けた頬と細い体が驢馬のような印象を与える男だ。
しかし、柔和な微笑みの上で油断なく周囲の顔色を窺う瞳だけは、まるで飢えた狼のようではないか。
「異議無し!」 「異議無し!」 「異議無し!」
フランディーノの推薦に対して、即座にギイル派司教から同意が続く。
さらに少し遅れて、釣られたように賛成の言葉があちこちで沸いた。
「うむ、しかし教皇選出は今までの伝統に則り、教皇選挙にて決めねばならぬ。
前教皇ミヒャエルは、悪しき宝珠が起こす怪異を解決して衆の信望を得た。
しかし、力と偽りの信仰で得た尊崇は脆くも崩れ去った。
伝統と信仰に拠らずに教皇を選んだ轍を踏んではなるまい」
ハージェスが威厳を込めて言った。
満座の期待はロガーナ司教の言葉に余裕を滲ませていた。
教皇の選出は司教全員による無記名投票で行われ、得票数で過半を占めた者が教皇の座に就く。
その候補を見定めるべき会議は、今やハージェス・ローレンシアに趨勢が傾いていた。
実際に選挙が始まれば、彼が第310代目の教皇へ就任する事だろう。
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