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【リレー】第2回創発キャラトーナメントバトル【part3】

1名無しさん@避難中:2011/07/27(水) 01:06:39 ID:WXKLCzWU0
ここは創発のキャラを使ったトーナメントバトルをリレー形式で行うスレです

《まとめ》
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/1023.html

《過去スレ》
リレー小説でトーナメントバトル
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1294915051/
【リレー】第2回創発キャラトーナメントバトル【part2】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1295684382/

《前大会》
第一回創発トーナメント(ルパン「とんでもねぇ大会だぜジゲ〜ン」)
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/276.html

1583回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:38:43 ID:GuYRCsWc0
※ ※ ※

http://dl7.getuploader.com/g/6%7Csousaku/522/DP1.png

http://dl10.getuploader.com/g/6%7Csousaku/523/DP2.png

http://dl10.getuploader.com/g/6%7Csousaku/524/DP3.png

http://dl10.getuploader.com/g/6%7Csousaku/525/DP4.png

※ ※ ※

1593回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:40:02 ID:GuYRCsWc0
氷厳寄生 「……ふん、大きいだけいい的にしかなりませんわ」
氷厳寄生 「いきますわよ念抹ッ! はああああああああッ!!!」
念抹寄生 「ジョヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

ピシッピシッピシッ!!!

氷厳寄生 「エターナルフォースブリザードッ!!!」

ゴオオオオオオオオオオオオッッ!!!

大怪獣 『ガッ……!』
ピキーン!!!

アンテナ 「で、出ましたーッ!『エターナルフォースブリザード』ッ!!!一瞬で相手の周囲の大気ごと凍らせ絶命させる
       まさに一撃必殺の魔法攻撃ですッ! これには巨大な怪獣も参ってしまったかー!!!?」

氷厳寄生 「ふん、あっけない――」

 (クカカカカ……)

氷厳寄生 「――ッ!!!」

 (クカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ)

氷厳寄生 (笑っている……ッ!? そんなッ完全に死んだはずッ!!!)

大怪獣 『 クカカカカカカカカカカカカカカカカカッッッ!!!!!』
バキーン!!!ガラガラガラガラガラガラッ!!!

アンテナ 「き、効いてなかったーッ! 大怪獣、何事もなかったように復活!!!」
氷厳寄生 「あ、ああッ……」

ハルト 「ふふん、じゃあ次はこちらの番だな」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

大怪獣 『 カアアァアアアアアアアアアアア――― 』

アンテナ 「だ、大怪獣から巨大なエネルギーが――――」

大怪獣 『 ガンガオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!』

氷厳寄生 「あああああああああああああああああああああ!!!」
カッ!

1603回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:40:48 ID:GuYRCsWc0


                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
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                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!

観客   「うわああああああッ!!!」

アンテナ 「と、とんでもなく強力な熱線!!! 
       今にも会場が吹き飛びそうな…って大丈夫なのコレーッ!!?」


※ ※ ※

ズズズズズズズズズズズズ……

アンテナ 「な、何とか収まったようですが……」

柏木 「…タフな防御壁ですねえ、最も、衝撃の大半はゲートオブマヨヒガに吸収されたようですが……」

アンテナ 「中の二人は……、あ!土煙の中から見えてきました!」

1613回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:41:25 ID:GuYRCsWc0
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

ハルト  「『誰にも滅ぼされず、全てを滅ぼす者』――」
ハルト  「かつて私は……」
ハルト  「…………」
ハルト  「もういいぞ、消えろ」

大怪獣 『 …… イ……ヤ ダ…… ネ…… 』

ハルト  「…………」

大怪獣 『 ……モット …モット …… 血ノ海ガ見タイ……人ヲ殺シタイッッ!!!』 


ハルト  「 消えろッ!!!」


バシュウウウウッ!!!

 (クカックカカカカカ……… )

ハルト  「…………」


※ ※ ※

ハルト  「………ふん」

氷厳寄生 「ぐッ……ぐうッ!」 グググ

ハルト  「念抹の中に潜り込みブリザードを放つ事である程度ダメージを軽減させたか、
      だが念抹は消し飛び、お前も再生が追い付かないほどのボロ雑巾だ。大ピンチだな」

氷厳寄生 「…まだ…まだですわッ この筆がある限りいくらでも……」

バシッ!!!「あうッ!!!」

ハルト  「これで頼みの綱の筆も失ってしまったな? さあ、どうする?」

氷厳寄生 「ばッ ば……化物ッ!!」
ハルト  「良く言われる。 それと対峙したお前は何だ 人か狗か化物か」

1623回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:42:10 ID:GuYRCsWc0
氷厳寄生 「くッ……さすがは創発の魔王、筆も念抹も失っては もはや勝ち抜きはかないませんが……」

氷厳寄生 「この試合だけは勝たせて頂く!」

ブシューッ!
ビシャァ――ッ

ハルト 「ぬううっ!」

氷厳寄生 「どうですか! この血の目つぶしはッ! 勝った! 死んでくださいッ!」

アンテナ 「ああーッ! 視界を奪われたハルト選手にダイヤ選手の手刀が襲い掛かるーッ!!!」

ドスッ!!!

「「!?」」

氷厳寄生 (抜けない…!! 筋肉で止められた…!?)

ガシッ!

ハルト 「捕まえた、これで見えなくても逃がさない」
ハルト 「殺気を出せばこちらも構える、視界を奪った意味が無いな。
      それに刺すなら首だ…まぁ、ガードしたがな」

アンテナ 「ハルト選手! ダイヤ選手をガッチリとロック! 簡単には抜け出せそうにありません!!!」

氷厳寄生 「ふ…ふふ、何のつもりか知りませんがこの密着状態で『アイスタイム』を使えば――』

ハルト 「―――やってみろ」

ビリリリリリッ!!! ジュウウウウウ!!!

アンテナ 「ハルト選手のシバリング―――ッ!!!」

氷厳寄生 「きゃあああああああああああああああああああッ!!?」

ハルト 「まだまだ上がるぞッ!」

ジュウウウウウウウウウウウウウウウ!!! ボウッ!!!

アンテナ 「ハルト選手さらに白熱化したーッ!!! あ…ダ、ダイヤ選手の体が溶け…ッ」

1633回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:43:16 ID:GuYRCsWc0
ジュウウウウウウウウウウウ!!!

氷厳寄生 「あああああああッ!離しなさいッ!離してッ!あああああああああッ!!!」
ハルト 「お前はよく頑張ったよ……もう、休め」

いかづち 「ダ、ダイヤぁーーーーッッ!!!」

氷厳寄生 「いやああああああああああああああああああああッ!!!」
ボシュウウウウ!!!

ポタッ…ポタッ……

アンテナ 「ダ、ダイヤ選手……消滅……しました……」
柏木 「……終わりですね」
よし子 「……ッ! 勝者…ハルトシュラー……ッ!!!」

ザワザワザワ……ッ

にじ 「そんな…そんな……」
いかづち 「ダ…イヤ……う… うわあああああああッ!!! よくもッ…よくもダイヤをッ!!!」

ダンッ!!!

にっしょく 「いかづち…っ!」
アンテナ 「ああーッ!!! 逆上したいかづち選手!ハルト選手に向かっていったーッ!?」

いかづち 「ああああッ! ライトニングボルトーッ!!!」
ハルト 「…………」

カッ! ドウンッ!!!

いかづち 「かはッ! ち…ちくしょう……」

アンテナ 「あ、あっさりと組み伏せられたーッ!」
柏木 「天神化してますからねえ…雷は効きません」

ハルト 「……安心しろ。ダイヤは死んでいない」
いかづち 「え……ッ!?」

ハルト 「寄生となった氷の精を元に戻すにはな…」

ピシッ

ハルト 「創作への愛情をこめて その氷の精を抱きしめて、溶かしてしまうコトだ」

ピシピシピシッ! パリーンッ!!!

アンテナ 「ああーとッ!!? 先ほどダイヤ選手が溶けて残った氷からッ!!!
       元の姿のダイヤ選手が出てきたーッ!!!」

1643回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:44:19 ID:GuYRCsWc0
ダイヤ 「う、うう……」

いかづち 「ダイヤ…ダイヤッ!!!」
ダイヤ 「きゃ!いかづち…苦しい……」
いかづち 「良かった…ハハハ……」

にじ 「ダイヤ…よかった…無事で…………え?」
にっしょく 「……あらら」

ザワザワザワッ…!!!

ダイヤ 「一体私……って! なっ…なんで私裸なんですかーッ!!!」
いかづち 「は……?」

ワアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

ダイヤ 「い、い、いやああああああああああああああああああああッ!!!」
いかづち 「て、てめえら見るなッ見るなッ!!! 撮ってんじゃねえええええええッ!!!!!」
獣羽鶏 「そうはいかんちきん!!!そうはいかんちきん!!!」

ドカアアアアン!!!!!!
グシャアアアン!!!!!!
バキイイイイン!!!!!!

アンテナ 「あちゃー! いかづち選手と獣羽鶏が暴れだし会場が大混乱です……ってオオオオオッ!!?」

ふぁさッ……

オーロラ 「大丈夫かい?」 キラキラ
ダイヤ 「お、オーロラさ……」

アンテナ 「うおおおおおおおおおッ!!! と、闘技場に!す、す、凄いイケメンが!!降臨しましたーッ!!!」

オーロラ 「はーい!みなさーんちょっと注目ーッ!!!」 キラキラ

―――― ピカッ!!!

アンテナ 「うおッ!まぶしッ!!!……な、なんでしょう今の光は!!?」
柏木 「おーこれは…メンインブラックがよく使う記憶消去光ですねえ」

観客 「「「あれ…?俺達なにをしてたっけ……?」」」

ザワザワ……

1653回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:46:08 ID:GuYRCsWc0
オーロラ 「これでよし……と言ってもボク自身にはこの技が効かないのがアレなんだけど――」
ダイヤ 「あ、あ、あのその…だ、大丈夫ですわ……ってキャッ!」
オーロラ 「じゃ、もどろっか。みんなの所に」 キラキラ
ダイヤ 「は、はい……///」

アンテナ 「おおーッ! ダイヤ選手!! イケメンにお姫様だっこされながら退場です!!! う…うらやましいッ!!!!」

いかづち (い、いいなあ…ダイヤ…いいなあ……)

アース 「チッ」
かまいたち 「ケッ」

ハルト 「ふッ…一件落着か」
倉刀 「ししょお〜〜ッ! お疲れ様でしたッ!」
ハルト 「倉刀…ふむ、少々疲れたな。マックスコーヒーを頼めるか?
      ハチミツとガムシロップアリアリで」
倉刀 「はい!」


※ ※ ※

―ハルトシュラー控室

倉刀 「師匠!マックスコーヒーお待たせ……あれ? それ、ダイヤさんが持ってた方のペンですか?」
ハルト 「ああ、 ……いつまでその姿でいる。正体を現せッ」

バリリリリリリッ!!!

超カスゴミ 「おんぎゃああああああーッ!!!」 ドサッ

倉刀 「えッ…ええッ!? 描いちゃさん!?」
ハルト 「そうだ。あの筆は私が持っているものがオリジナルだからな。
     ペンタブと自身を融合することであの能力を再現していたのだろう」

プスプス…
超カスの人 「う、うごご……ハッ ハアッ! か、閣下ッ!!!」

ハルト 「…………」 (ギロリ)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

超ゴミの人 「ひッ!ひいいッ!!!」

ハルト 「……フッ フフフ、あれでいい。なかなか楽しめたぞ。これからも精進を怠るな、描いちゃ」

描いちゃ 「は、はあ……」


【準々決勝 第二戦目 S.ハルトシュラー vs ダイヤモンドダスト 】
  ――《勝者・ハルトシュラー》

1663回戦 第二試合 ハルトvsダイヤ ◆bEv7xU6A7Q:2012/02/20(月) 21:47:19 ID:GuYRCsWc0
以上投下です。時間かかってごめんなさい…

167名無しさん@避難中:2012/02/20(月) 22:02:23 ID:6iulQHfc0
いろいろとネタ拾ってくれてありがとうと言うべきか豊富なツッコミどころを突っ込むべきか、それ以上に途中のジーク噴いたwww

168名無しさん@避難中:2012/02/20(月) 22:03:40 ID:iVDUC5S20
仕事し過ぎワロタw

169名無しさん@避難中:2012/02/20(月) 22:05:10 ID:I985legk0
カイチャ戦闘員3の口調がイケメソでやヴぁいw

170名無しさん@避難中:2012/02/20(月) 22:24:43 ID:d097ySRY0
何故例のシーンに挿絵が無いのか小一時間問い詰めたいっ!!!



171名無しさん@避難中:2012/02/21(火) 08:25:34 ID:qmP98QPg0
これはダイヤじゃない
べつのなにかだ

172名無しさん@避難中:2012/02/21(火) 12:31:21 ID:/ntrUjXE0


          ,イ圭圭ミ
       /圭圭圭圭i、               , イ圭ミヽ
         i圭圭圭圭圭}            /圭圭圭圭ト、
         |圭圭圭圭圭i         /圭圭圭圭圭圭!
        弋圭圭圭圭ノ          {圭圭圭圭圭圭ノ
           ̄ ̄              弋圭圭圭圭圭'"
                 ______   ` ̄ ̄ ̄ ̄
                  弋圭圭圭圭圭ァ
                 ヾx圭圭圭ノ

173名無しさん@避難中:2012/02/24(金) 23:58:41 ID:CbDFAryIO
age

174名無しさん@避難中:2012/03/22(木) 21:54:06 ID:9zQp8sBkO
期待age

175名無しさん@避難中:2012/04/18(水) 19:30:34 ID:Jk4Gq5/gO
ヒャホオオオオオッ!!!!!!
トーナメントのひょう消しちまったずぇえぇーーーーーーーーい!!!!!!!!!
アビャアアアアアアッ!!!!

176名無しさん@避難中:2012/04/19(木) 22:46:44 ID:USMGdK3E0
oh......

177名無しさん@避難中:2012/04/27(金) 23:08:03 ID:7tYI7XiMO
ぬぽる

178名無しさん@避難中:2012/04/28(土) 03:01:25 ID:9Mhe.OS.0
ガッ

179名無しさん@避難中:2012/06/12(火) 00:21:47 ID:qnM5TedQO
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3083053.jpg

180名無しさん@避難中:2012/06/12(火) 00:26:47 ID:/03zK69c0
すごいことになってるwww

181名無しさん@避難中:2012/06/12(火) 01:09:05 ID:rCCrkAqY0
お縄になってるのがいるぞwww

182名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 18:50:06 ID:5H4kzXHk0


―――《某所・創発地下闘技場・試合会場》―――

「何時間待たせんだコラァ!!」
「まだ試合始まらねーのか!」

 Boooo
Boooo

アンテナ「ただいま運営委員のほうが取り込んでおりまして……今しばらくお待ちください!」

「さっきからずっとそれじゃねえか、いい加減にしろよ!!」
「待たせるんだったらパンツでもみせろオラァ!」

アンテナ「ちょっ……! なに言ってるんですか、とにかく、あと一時の間だけですのでどうかそのまま!! あーーもう、柏木さんもなんとか言ってくださいよ!!」

柏木「いいんじゃないかな」

アンテナ「は?」

柏木「見せればいいじゃない、パンツ。それでこの場が収まるなら」

アンテナ「はあああああああ!??」

「パーンツ!」
「パーンツ!」

 ウオオオオオオオオオオオオオオ!!

あんてな「み、皆さん落ち着いてくださいっ!! 今日は試合を観にきたんでしょう!?」
 えぐっ……

「あんてなたんが言うならしょうがない」
「そうだな、怒りのあまり見たくもないものを見るところだった」

アンテナ「見せようとしてませんから! つーかどういう意味だコラ!!」
柏木「――アンテナくん」
スッ

アンテナ「柏木さん?」


柏木「私には見せてもいいんだよ、パンツ」

アンテナ「何『私だけは君の味方だよ』みたいな笑顔でセクハラ発言してんだこの人ー!!? 畜生試合はやく始まってくれーーーっ!!」

柏木「君はホントからかい甲斐があるな」

 Wai Wai……
Gaya Gaya……

183名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:00:29 ID:5H4kzXHk0


―――《闘技場選手控え室・10分前》―――

『……それで、相手選手はどうやら警察に補導されたみたい』

???「なるほど、それで運営もおおっぴらに対処できないってわけね。まあ、大方あの女の仕業でしょうけど」

『それじゃどうする? 恐らくこのままだと時間には間に合わない、あっちの不戦勝になりそうだけど』

???「予定通り、次の作戦に移るわ。K07の情報によると、リザーバーの選出が検討され始めているみたいだ――」

ももか「かーなたっ、なにしてるの?」
ガラッ

彼方「うおおおおおおっ!? ちょっと急に入ってこないでよ!!!」

ももか「いいじゃん、姉妹の仲なんだしー」

彼方「だからあたしはアンタの妹の彼方じゃねえ!!」

ももか「さーて彼方はお姉ちゃんに隠れてなにをしてたのかなー……っとお札?」
ガサガサ

彼方「駄目だこいつ人の話聞いてない」

『ガガッ……ピー……こちらK02、目標地点付近50メートルまで接近。周囲に人影なし』

ももか「うわああシャベッタァアアア!!」

彼方「ああ、もう勝手に触らないでよ! ――こちらK01、時間がないわ、早速準備をして! K05と06のほうはどうなの!?」

『こっちもOK、係員は他のメンバーがうまく足止めしてるわ』

彼方「よし、それじゃあ手は通り両班突入と同時に一斉攻撃。いいわね?」



ももか「彼方……あなた一体何をやろうとしてるの!?」

 ゴゴゴゴゴ……

彼方「ふふふ、ちょっとした布石よ。次の試合の勝利者が次の対戦相手となる。私の戦いはすでに始まっているのよ!!」

184名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:02:52 ID:uDQNSjEM0
GJwww

185名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:04:06 ID:uDQNSjEM0
おっと続いてた、失礼

186名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:12:23 ID:5H4kzXHk0


―――《すいかさん控え室前》―――

K02・大人彼方「それなりの実力があるとはいえ相手は手負い。3人で一気にカタをつけるわよ!」
K03・高校生彼方/K04・ブレザー彼方「了解!」

―――《パンモロー博士控え室前》―――

K05・中学生彼方「悪いけどこれも私達の野望のため!」
K06・なんとか彼方「しばらくお休みいただくのねん!」


彼方もといK01・和服彼方(やまなし……戦闘能力自体に脅威はみえないにせよ、あの女も恐らく勝つためには手段を選ばないタイプっ……! ならば……『試合に出られるリザーバーの数を減らし』てより強い相手をぶつけさせるっ……!! リザーバーが勝つ可能性もあるが……ワンサイドゲームにならなければ、どちらにせよ次の相手の手の内は割れるっ……!!)

 ざわ……
ざわ……

彼方's『『『全ては我らが乳のために!』』』
ダンッ!!



―――《某所・創発地下闘技場・試合会場》―――


アンテナ「さあ、長らくお待たせしました! えー控えます二回戦第八試合『PBM! の人 VS やまなし』ですが、PBM! の人選手は一身上の都合により出場辞退という事ですので、これよりリザーバーとの代行試合を開始いたします!」

「ヒャッハー試合だー!!」
「なんでもいいからはやくしろオラー!」

 ウオオオオオオオオオオオオオオ!!

アンテナ「では、選手入場です! 都道府県擬人化スレより、やまなし選手!!」

ザッ

山梨「さて、私の対戦相手は誰かしらね?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

和服彼方(ふふふ、良い『泥試合』になるように励みなさい……!)

アンテナ「続きまして、リザーバーからは――」

ザッザッザッ――

――ずてっ
???「ふにゃっ!?」

アンテナ「雑談スレよりDr.パンモロー選手!!」

パンモロー「痛たた……はっ! み、みないでくださいっ!!」

「oh……」
「nice panties.」

和服彼方「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!?」


アンテナ「それでは二回戦第八試合、開始です!!」

よし子「ファイッ!!」

カァァン

187名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:21:57 ID:5H4kzXHk0


和服彼方(どういう事!? まさかあれに返り討ちにあったとでも!!?)

なんとか桃花「おや、そんな怖い顔してトイレでござい? それならお姉ちゃんがついていってあげるでござーい」

和服彼方「ついて来るなっ! ってかお前も私の姉じゃねえ!!」
ダッ


―――《闘技場選手控え室・リザーバーブロック付近》―――


和服彼方「札の呼びかけにも応じない……まさか第三者の介入が」

ドオオオオオン!!!!

中学生彼方「ゲッホゲホ……」

和服彼方「K05! 一体何が起きたの!?」

中学生彼方「K01? それが実は……」


和服彼方「部屋を間違えたァ!!?」

中学生彼方「しかも開けたと同時に思いっきりぶちかましちゃったもんだからさ……」

なんとか彼方「ひえええぇぇぇん!!」
ダッダッダッ

和服彼方「あれはK06!?」


「こっちか!」「いやあそこだ!!」
ドドドドドド……

中学生彼方「ゲゲェーッ! 早速追いついてきたぁ!!?」


戦那羅毘愚兵弐須「「この恨み晴らさでおくべきかァ!!!」」
ドン!!

188名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:32:01 ID:5H4kzXHk0

和服彼方「いやああ※%&の化け物ぉおお!!!」
なんとか彼方「とにかく合流して助けてもらいましょん!!」

和服彼方「そうね、あっちだったらもう任務は遂行してるはず――」

ズドドドドドド……

高校生彼方「いやああぁぁぁ虫ィィ!!」


ドルンドメオン「一度向けた殺意ならば我が首落とすまで貫いてみせよ!」
ババァーーン!!!


和服彼方「なんであんたらまで間違えてるのよ!!?」

高校生彼方「過ぎた事を言ってもしょうがないでしょ! ウチらで最強の天神サマなんだからなんとかしてよ!!」

大人彼方「こちとら鬼子戦でがっつり体力使ってるんだかそう簡単にいかないわよ! ってか見なさいよ、 あのスピード! あの黒光り! アレが飛んできたらどうすんのよ!! 」

中学生彼方「じゃあどうするの!?」

ブレザー彼方「試合がはじまった以上こっから先はもう無駄……とにかく!」

戦那羅毘愚兵弐須「「待てぇい!!」」
ドルンドメオン「さあ覚悟を決められよ!!」

ブレザー彼方「逃げるのよォォォォ!!!」

なんとか彼方「ひィィーんやっぱりィィ!!!」

ドドドドドドドド……

189名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:41:25 ID:5H4kzXHk0

―――《某所・創発地下闘技場・試合会場》―――

オオオオオ……

パンモロー「はわわわわっ!!」

ボボボボボボンッ!!

アンテナ「やまなし選手これは1回戦で見せた桃の大軍団です!!」

山梨「疾きこと風の如し……」
ゴウッ!

パンモロー「わっ! とっ! ちょっ!! 待ってっ!!!」

アンテナ「四方八方から桃が弾丸のように飛んでいくッッ!! Dr.パンモロー選手危なげにかわしていくが!?」


山梨「徐なること林の如し……」
シンッ――

アンテナ「おーーっと、突然攻撃が止みましたがやまなし選手の姿が見えないッ! 周りを取り囲むように並んだ桃が異様な光景を作り出すーーッッ!!」

パンモロー(どこから? いや……あそこ!!)

山梨「侵掠すること火の如し……」
ドガガガガガァッ!!!

パンモロー「全部〜〜〜っ!!?」

アンテナ「全方位からの一斉放火ッッ!!息つく暇すら与えない怒涛のラッシュ! ラッシュ!」
柏木「いや、それだけじゃない!!」


山梨「……そして、動かざること山の如し!」

ズオオオオオオオォォオォッ!!!

ハルト「塵も積もればとは言うが、これは……」

アンテナ「突撃していった桃が集まって巨大な山となったァーーッ!! デカイッ!ガッチリと組み込まれてビクともしないぞォーっ!!」

柏木「さしずめ桃の南アルプス・北岳といったところか。これは厳しいねえ」

発子「全部食えばいいのよ、食えば」

190名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 19:50:16 ID:5H4kzXHk0

オオオオオオオオオオオン……


鍋奉行「しかしなんとまあ容赦のない……」

雑幼女「ふぇー……あの人大人げなさすぎるよぉー……」

パンモロー「むぎゅう……」


いかづち「おいおい、あっちはまだ一発も攻撃してないんじゃないか?」

ダイヤ「あんなの、対戦カードに助けられただけですわ」

にっしょく「トーナメントであるいじょう、うんがからむのもひつぜんです。もちろんそれがすべてではありませんが」

ゴゴゴゴ……

山梨(そう、トーナメントにおける相手との相性は始めのクジで決定でする……『リザーバー試合を除いて』!! 全ては――――)


ドドドドドドドド……


―――《闘技場選手控え室・リザーバーブロック付近・5分前》―――


高校生彼方「壱……」

ブレザー彼方「弐の……」

大人彼方「参っ!!」
ガタァン!!

191名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 20:00:39 ID:5H4kzXHk0

大人彼方「魔剣村正! この一刀で――――えっ!!?」

ザクッ

ドルンドメオン「……奇襲とは面白い」
ポタ……
ポタ……

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

ブレザー彼方「あはは、すみません部屋間違いちゃえましたぁ……」
そろ

高校生彼方「げ、入ってきた時の勢いでドア壊れてるんだけど!?」
ガチャガチャ

ドルンドメオン「ほう、ならば我が開けて進ぜよう!」
ぐぐっ

大人彼方「その長い触角をうねらすなァーーッ!!」


ちゅどーーーーん!!


???「……行ったか?」
ひょこっ

和歌山「ふう、扉ごと吹き飛ばされる思たわー……」

静岡「しかしあれ、ええずら? なんというか、良心が……」

愛知「ええて、ええて。わっちらはちびっとイタズラしたけだがや」

石川「ほんならこれ、戻しておきまっし」
スッ
《ドルンドメオン選手・控え室》《戦那羅毘愚兵弐須選手・控え室》

大阪「大体悪いのは喧嘩ふっかけた向こうやで。ま、一番悪いのはあの女の性根ちゅーか、商魂ちゅーか」


――
――――

――――そう、全ては


山梨『  計  算  通  り  』

ニヤァッ

192名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 20:10:41 ID:5H4kzXHk0

山梨(善く戦う者は勝ち易きに勝つ者なり……悪いけど、このまま一方的に勝たせてもらうわ。残る敵に、手の内が割れる前に、ね!)

パンモロー「むぐっ!?」

ドロォーッ

アンテナ「なんと!! Dr.パンモロー選手にのしかかっていた桃が溶けていくーーッッ!!」

山梨「過熟した桃はジュースに……搾り取る!! 」
ギュオオオオッ

悪魔メイド「これは万事休すデスね」


???「待ていッ!」
シュビッ

山梨「何者っ!?」

パンダ「!」
子パンダ「♪」

PBRX「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、幼女を守れと俺を呼ぶ。正義の紳士、ポニーブレイドRX!!」
バァーーンッ!!


「な……」


よし子「なにやってんだアンターーーっ!!?」

アンテナ「なんという事でしょう! 窮地のパンモロー選手を助けたのはPBMの人ことPBRX選手だぁーーッ!!」

山梨「馬鹿な……何故あなたがここに!?」

PBRX「フフ、三つ編み幼女の危機とあらば、地球の裏側からでも駆けつけますよ」

よし子「いや、まず試合時間に駆けつけろよーーっ!?」

193名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 20:21:44 ID:5H4kzXHk0

マリモス「Oh……正しく騎士の鏡ですね」

遥「すごく帰りたい……」

隆昭「けど、この場合どうなるんだ? 元々はあの人の試合だったわけだけど」

大魔女「んなもん全部ぶっアレせばいいだけの話じゃない」


柏木「ルール上はすでに参加資格を失っているはずなんだが……」


「遅ぇーぞ!!」
「師匠ぉーーー!! 」

ワァァァーーッ

アンテナ「えーっ、ただいま大会運営委員より伝達がきました、『PBRX選手の参加を許可し、本試合を、やまなし選手・パンモロー選手・PBRX選手3人のバトルロイヤル形式とする』との事です……ってこれ良いんですか!?」

柏木「まあ元はお祭りみたいなものなんだから無闇にルールで雁字がらめにする事もない、って所だろうね」


PBRX「やまなしさん、あたなの『ちっぱい』は確かに素晴らしい……しかし、私は幼女を守るもの! 一飯の恩を仇で返すことになろうと、この身体を形作る螺旋構造からは逃れられない!! 」

山梨「それがあなたの戦う意思ですか。それなら、こちらもこちらの意思を貫かせてもらうまで」

PBRX「では、いきますよ! お嬢さん、危険ですから私の後ろに下がっていてください」
ニッコリ

パンモロー(何なのこの人……)


アンテナ「やはりというべきか、これは実質的なハンディキャップマッチになったぞーー!! 試合開始から常に優勢を保っていたやまなし選手ですが、ここにきて形成逆転か!?」

194名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 20:31:21 ID:5H4kzXHk0

山梨「疾っ!!」
バババババッ

PBRX「これは……さしずめ桃の武田軍団といったところでしょうか。しかし!!」
ダッ

滋賀「そのまま突っ込んできゃあた!」

ビシビシビシィッ!!

アンテナ「PBRX選手止まらないッ! 雨あられのように迫る桃を一切気に止めず意に介さず! 弾丸の如く突き抜けるゥゥーーーッ!!」

日本鬼子「これは……吸収と再生を繰り返している!?」

描いちゃったりする人「だがこの速度……私と戦った時よりもはるかに増している!! これが守るべきものを背負った紳士の力か!」


PBRX「やまなしさん、言ったはずですよ、一撃必殺でなければ、この私を倒す事はできないと!」
バシィィッ!!

アンテナ「ついにPBRXがやまなし選手を捉えるッ!!」

PBRX「あなたの能力では私には勝てない!! このままッ! 殴りぬけるッッ!!」
ギュオン

山梨「……へえ、『私の能力』ねえ。それでその『私の能力』を、あなたはどこまで把握してるのかしら?」

PBRX「動きがにぶい……ちがう、にぶいのではない……動けんッ! ば…ばかなッ!?」
ピタァ〜〜ッ

串子「寸止め……いや、様子がおかしい!?」

直りん「ふうん、何か仕込んだわね」

195名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 20:41:06 ID:5H4kzXHk0

PBRX「ぬうっ……あなたの能力は郷土特産品を召喚する能力のはず!!」

山梨「50点。召喚して『自由に操る』という部分が抜けてますよ、パラ田さん 」

PBRX「ハッ――まさか!!」

山梨「ジャム、ゼリー、ワイン……いくら加工されようとその生産地が変わらないのと同じく、私の制御圏内に存在する限り、いくら姿を変えようとその召喚物は私の支配下!」
クイッ

PBRX「ぬうううっ!!」
ギギギ……

山梨「あなた体内に吸収した数々の郷土料理、 そして今しがた付着した桃……吸収率の異なるそれらを、内側と外側から磁石のように時に反発させ、時に連結させる事で血肉を操る!!」

PBRX「うおおおおおおおおっ!!!!」
ギュウンッ

アンテナ「どうしたことか、なんとPBRX選手急に方向転換!! しかも向かった先はーーッッ!!」

ドドドドド……

パンモロー「ひえええええ!!!」

PBRX「お嬢さん、今の私は危険です……なんとか……逃げてください……!!」
ハァ……ハァ……

よし子「この画は完全にアウトだーーーっ!!?」



パンモロー「なになに、どういう状況なのこれ!? コントロール能力? 一体どういう原理で? いや、というかそれより……」

PBRX「うおおおお!!」

パンモロー「近寄らないでぇぇぇ!!」
ブンッ

PBRX「すぱなっ!!」
メコォッ


山梨「敵を共にするは敵を分かつに如かず、確かに私の能力ではあなたを倒せない。だけど、倒すことだけが勝利ではない――!」

196名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 20:51:52 ID:5H4kzXHk0


柏木「ふむ、こういう危ういバランスの三つ巴というのもなかなか面白い」

アンテナ「危うい、といいますと?」

柏木「先ほどまでは、PBRX選手とパンモロー選手は共闘の関係にあったわけだけど、彼女は手を出していなかっただろう?」

アンテナ「巻き込まれる恐れがあるからですか」

柏木「勿論それが一番……しかしそれだけじゃあない。PBRX選手が一方的に味方についているのに対し、パンモロー選手の側には彼を味方にする必然性はない。ルール上両方が敵であるならば、仮にPBRX選手を手助けしてやまなし選手を倒したとして、それが自身の勝利に直接つながるとは限らないからね」


ジークリンデ「――仮に『パンモロー博士を守る』のがあの男の真意であるなら、それはそれで手を出しにくいわね。攻撃をしかける側に回るということは、より攻撃を受けるリスクが高まる。そうなった時、PBRX選手は博士を守りにいくはずだから、やまなし選手からすれば、博士に攻撃を集中させるだけで、2人共を釘付けにできる。そう考えれば、静観して状況を見据えながら消耗を待つ、というのが安全策だったわけだけど、そうもいかなくなった」

ジークフリード「PBRX選手が組する側が入れ替わったから、だよね。……ってことは、今はやまなし選手が圧倒的に有利な立場にある?」

世羅「表面上はね。だけど、今の関係を支えているのは、やまなし選手の能力一点のみ。これがなければ、少なくとも3人が残った状況でPBRX選手の攻撃対象に選ばれる、という事はないのだから、今の状況はパンモロー選手にとって、やまなし選手を攻撃する明確な理由を与えてしまった事になる。やまなし選手がコントロール能力を維持できるか否かで、今回の試合は大きく動くことになるわね」


山梨「逃げ回っていても事態は好転しないわよ? しっかり戦ってもらわなきゃね」

PBRX「ぬうう……三つ編幼女を襲うなど紳士としてあるまじき行為だというのに!!」

パンモロー「ごめんなさいっ!!」

PBRX「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!?」
チーン

アンテナ「こ、これはクリティカルヒットか? いや、しかしPBRX選手立ち上がり……」

PBRX「フォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

アンテナ「再び走り出す!! 効いた効かないというより何故か一層元気になっている気がするぞーーッッ!!」


雑幼女「ねぇねぇ、あのおじちゃん本当に操られてるだけなの?」

悪魔メイド「欲望は抑圧される程に爆発した時が怖いものですシネ」

鍋奉行「ウウム、彼の者に限ってそんな事はない……と思うぞ、多分……」

197名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 21:01:51 ID:5H4kzXHk0


パンモロー(やっぱり、あれからやまなし選手が攻撃してくる様子はない……。けどさっきから、一定の距離を保ったまま、こっちの斜線軸上に必ずPBRX選手が重なるようにわざわざ動いている。であれば、彼女自身はコントロール中は無防備になっている可能性は高い! 問題はどうやってこの人を振り払うか……)

PBRX(不味いですね……日本鬼子戦でのダメージもなんだかんだで残っている。今の私では攻撃の手を緩めるように働きかけるだけで精一杯だ。なにか、他に動かせるものがあれば、やまなしさんの不意を突いて……)

――ピキィーン

PBRX(いや! あるぞ、対抗手段が!! 我が友よ……あなたの与えてくれた力、今こそ使わせてもらいます!!)

ゴゴゴ……

山梨「!?」

PBRX「出ろォォーーーーッ!! ロリブレマスタァーーーーーッッ!!!」

ズゴゴゴ……ドゴォーーーーッ

アンテナ「なんだこれはーーッッ!? PBRX選手の叫び声に呼応するかのように、地中から突如巨大な物体……いや、巨大な三つ編が現れました!」

PBRX「幼女を守れ、トランスフォーム!!」
ガキョガキョガシィーーン


よし子「人型に変形したーーーっ!?」

柏木「そうか、あれが『ロリブレマスター』!! 超紳士力をエネルギーに稼動すると言われるPBMの人専用機!!」

山梨「まさか住人用のロボットまで存在するなんて!!」

PBRX「フフフ……ロリブレマスターはパイロットの脳とリンクし、最適化された攻撃データをリアルタイムで編み出すMeet Army(ミーツアーミー)システムを搭載した最強の矛! やまなしさん、覚悟してもらいますよ!!」

パンモロー「あれ、パイロットって事は勝手に動いたりしないんですね」

PBRX「心配後無用、私のパーソナルデータを基に設計された完全専用機ですからね、操られてしまうような事は絶対にありません!」

パンモロー「じゃあ、どうやって動かすんですか?」

PBRX「えっ」

山梨「えっ」

パンモロー「えっ」

ヒュルルルル……

PBRX「今乗り込めなかったァーーーーーッ!!!」

よし子「呼んだだけかーーーーーっっ!!?」

198名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 21:10:28 ID:5H4kzXHk0


山梨「だっちもねえ……よくも驚かせてくれたわね!」
グイイッ

PBRX「動け私の身体! なぜ動かん!!」

パンモロー「結局こうなるのーーーっ!?」

ズドドドド……

山梨「いいえ、一つだけ変わった事があるわ。それは――」

PBRX「避けてくださいっ!!」
ブン

パンモロー「わっ、とっ……しまった、後ろが!?」

山梨「障害物ができたって事よ! リングのど真ん中にどでかい奴を呼んでくれたお陰でね!!」

アンテナ「これはDr.パンモロー選手ついに退路を断たれたかーーッ!!」


パンモロー(いや……道はまだ一つだけある。だけどこれは逃げるんじゃない、攻めるための道!!)
ダッ

三重「ロ、ロボットのほうに突っ込んでった!?」

奈良「このままだとぶつかってしまうで」



パンモロー「ええいっ」
バサァッ

アンテナ「なにをする気だ!? パンモロー選手の白衣の下からは大量の工具が出現したァーーッッ!!?」


ドドドドド……

199名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 21:21:36 ID:5H4kzXHk0

パンモロー「分解っ!!」
ジャキィッ

PBRX「ホッ……ホァーーーッ!!!」

―――メゴッ


柏木「なんと!」

パンモロー「ふう、間に合った……」

PBRX「…………」
プスプス……

アンテナ「PBRX選手がロリブレマスターに激突したのに対し、パンモロー選手はすりたァーーッ!?」

柏木「よく見るんだアンテナくん、あれはすり抜けたんじゃない……ロリブレマスターの装甲をバラして、その間のわずかな隙間をくぐり抜けたんだ!!」

山梨「あの、一瞬で? 嘘でしょ!? くっ……だが本人がノビてようと関係ない、今度こそ叩き潰すまで!」

パンモロー「そうはいきません、やまなし選手、これが見えますか?」
バッ

マチコ「あれはまさか……ロリブレマスターの!?」

パンモロー「今しがた抜き取りました、エネルギー炉です。絶賛フル稼働中の」

ギュイイイイ……

山梨「それをどうするっていうの……まさか!!」

イイイイイ……
パンモロー「爆発させます」

イイイイイ……

山梨「ヤバいっ!!」

PBRX「ほげ?」


――――――カッ

200名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 21:30:42 ID:5H4kzXHk0


山梨「――――まさかの自爆だなんてぶっとび過ぎだわ……眩しい割に大した威力じゃなかったみたいだけど……」

パチ

アンテナ「凄まじい量の光でしたが、リングの様子はほとんど変わっていま……いや、なんでしょうかあの影は!?」

ズシン……

 ズシン……


遥「自分で……歩いてる!」

リヒター<マスター、あれは彼女の機械人形でしょうか>

アンテナ「なんとッ! リングに立っているのはロリブレマスターではない!! 別の……別の巨大ロボだーーーッッ!!! しかもその肩にはパンモロー選手の姿が!という事は!」

パンモロー「反撃です! 行けぇっ……Girs(ガーズ)A!!」

ガーズ「ガオオオン!!」

ズシィィン……

柏木「GirsA……ブランニア歴743年に発見されたと言われる古代の巨大ロボット! それをロリブレマスターのパーツを使って……再現したというのか!!」


山梨「作り直すって次元じゃないじゃない!! ……まあいいわ。私の目的は始めから、あなたとパラ田さんをぶつける所にあるんだからね!!」

PBRX「まだっ!?」
グニャン

ガーズ「グオオオッ!」
ズズッ

アンテナ「GirsAの巨大な腕が容赦なく振り下ろされるーーーッッ!!」

PBRX「ぎゃああ重い重い、潰れる、すり身になるーーっ!!」

ギギギギ……

ガクン

PBRX(ん? 身体が微妙に軽くなった!? いや、全然軽くないですけど……まさかこれは、コントロールの効力が切れはじめている!?)

パンモロー「GirsAフルパワー!!」

ガーズ「グガァーーッ!」

PBRX「ってこの状況じゃ意味ないですかやだーーー!!!」

201名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 21:41:26 ID:5H4kzXHk0

山梨(いつまで効くか不安だったけど、この様子なら先に潰しきれる。巨大ロボは厄介だけど、動きが遅い上に操り手が丸裸ならピンポイントに撃ち落とす事は不可能じゃない!!)

パンモロー「…………」

PBRX「ふぎぎぎぎ……」

アンテナ「不死身の再生力もこの質量の前では成す術なしかーーーッ!? 支える足がどんどん地面にめり込んでいくーーーッッ!!」

パンモロー(今!)
チラッ

山梨「良しっ!!」

パンモロー「GirsA、山梨選手に……」

ガーズ「グゴゴッ」
ギュオオォォ――

アンテナ「おおっと、巨大ロボットの額が光り輝いたァーーーッ!」

陽太「あれはまさか……」

パンモロー「ビーム発射っ!!!」

山梨「なっ!!」

ガーズ「ガァァッァァァッッズ!!」
ズギュゥゥゥウウウウン


「かはっ……」

「はぁ……はぁ……まさか、今の一瞬を狙うために、わざとパラ田さんにぶつかりにいったなんてね……完全に騙されてたわ」

「なん……で……」

パンダ子パンダ「!?」

アンテナ「ど……」

パンモロー「ぎゅう……」
バタッ

アンテナ「どういう事だァーーーッ!? GirsAの放った光線は確かにやまなし選手に向けて発射されたように見えましたが、倒れたのはなんとDr.パンモロー選手だーーーっ!!」

202名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 21:51:44 ID:5H4kzXHk0


山梨「……悪いわね、あなたに跳ね返ったのは、完全に事故だけど」
キラッ

京都「おやあれは……?」

山梨「我が山梨県の水晶加工技術は日本一! その力をもってすれば、ビームを反射させる事など造作もないことよ!」

ΩΩΩ「な、なんだってーーー!!?」


山梨「さて……順序は変わりましたけど、パラ田さん。改めて、お相手させていただきます。もっとも、今の身体じゃあ満足に拳も振るえないでしょうけど」

PBRX「ええ、確かに、今の私の身体はボドボドだ。ですが……」
ゴォッ

山梨「何、このプレッシャー!! あなたは一体……!?」

PBRX「とっくにお気づきなんでしょう……。今の私は幼女を愛する心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めた悲しみの王子……ポニーブレイドRX!!」
カッ

よし子「いや何も変わってねーーーーっ!?」

はさみさん「いいえよし子、彼の身体をよく見てください!」

 モリッ… モリッ……

SSP「すごいな、まるで筋肉が生きているようだ」

PBRX「やまなしさん。降参するなら今の内ですが、あなたにも戦う意志がある以上強要はしません。ただこれは驕りでも、脅しでもない……今の私は、手加減どころか自分で自分を止める事すらできない」

 モリッ… モリッ……

山梨「まさか細胞の代謝が完全に? いや、コントロールの反応はまだある……何故!?」

 モリッ… 


PBRX「行きますよ!!」
ギュンッ

倉刀「速いっ!」

PBRX「ハッ!!」
ドゴッ!

山梨「ぐうっ」
バッ

PBRX「セイッ!!」
ドガガガッ!!

アンテナ「突進からの浴びせ蹴りっ! やまなし選手の反応を上回るPBRX選手の凄まじいラッシュだーーッッ!!」

203名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 22:10:18 ID:5H4kzXHk0


山梨「ぐふっ……効力が弱くなっていても、まだ自分の意志では完全に動くことなどできないはず……」

PBRX「確かに、私一人の力では、火事場の底力でも大したことはできない。しかしやまなしさん、今の私は一人ではない」

モリッ… モリッ…

  アオッ!

青森「身体が動かないなら、それを動かすだけの筋肉をつければいいのさ。師匠、待たせたな!!」

Woooooo!!!

アンテナ「ここに来てPBRXとしてPBMの人と融合していた青森さんが登場ッ!! 今まで何をしていたんだーー!!?」

青森「おいおい、そりゃあもちろん、身体の自由を確保するためにビルドアップしていたに決まっているじゃないか」
ムキッ!


山梨「まったく、作戦なんて結局は上手くいかないものね。でもまだ諦めないわ……」

PBMの人「ならば」
青森「決着をつけよう!!」
カッ

PBRX「クロックアップ!!」
ギュオオン!!


アンテナ「PBRXに再びフォームチェンジ!! そして再びの高速機動だーーーッッ!!!」

204名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 22:22:01 ID:5H4kzXHk0

PBRX「フン!」
ドヒュウ!

山梨「そう何度も!!」
バッ

柏木「かわしたか!」

山梨「――ぶっさらあれてたまるかっての!」
ズバァッ!!

PBRX「くっ……先の水晶をナイフに加工したわけですか!!」
ポタ……

山梨「こいつでとどめずら!!」
ゴオオッ!

――バシィッ

アンテナ「み……三つ編みで絡め取ったーーー!?」

柏木「むう、あれも彼にとっては武器であるという事か」

PBRX「破ァッ」
パキィィン……

山梨「くっ……流石にもう打つ手なし、ってトコかしらね。まけたわ」
ドサッ

PBRX「そうですか……では、山梨さん、あなたのその髪型を……」
ゴゴゴ……

山梨「は?」

PBRX「三つ編に、させてもらいましょうか」


よし子「へ、変態だーーーーーーーっ!!!」

PBRX「ウォォォ! ミツアミウォォォ!!!」
ドドドド……

山梨「自分を止められないってこういう事ーーーっ!!?」

205名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 22:51:16 ID:5H4kzXHk0


アンテナ「逃げるやまなし選手、追うPBRX選手!! なんだか凄いデジャヴュな展開になってきたぞーー!?」

柏木「ん……しかもやまなし選手の走ってる先は」

山梨「ゲゲェーーッ! さっきのロボ!?」
へなへな

PBRX「イヤッホォォォウ!!!」
バッ

山梨「――っ!」

シン……

山梨「ん?」

PBRX「な……」

ピタァ〜〜ッ

三重「動きが……また止まった?」


PBRX「まさか……またコントロールが戻ったというのですか!?」

青森「違うぜ……止めたのは俺だ」

山梨「なん……だと……!?」

206名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 23:00:40 ID:5H4kzXHk0

青森「師匠、あんたの『ミツアミスト』としての魂はわかるし否定もしない。だが、相手が『ポニーテーラー』なら話は別だ。そう、このやまなっちゃんのようにな!!」

PBMの人「ほう……そうですか。やはり決着をつけなければいけないようですね、ロボスレの永きに渡る戦いの歴史に!!」

ブオオオン

アンテナ「なんだなんだ!? 突如としてPBRX選手がPBMの人と青森さんに分離しましたよ!? っていうかどういう仕組みなんですかあれ!!?」

柏木「ロボスレの二大派閥である三つ編み派とポニーテール派……一度は手を取り合ったかに見えたが、パンモロー選手とやまなし選手、図らずもこの2人が対戦相手であったために、その間に亀裂が生まれてしまったという訳か」

PBMの人「うおおお! 遥さん(小)、遥さん(大)、彼方、悠ママ、クー、ユノーさん、ベル、グギャー、ピング、人稲たん、佐藤さん、セージ、ロリメル、優希ちゃん、アイリス、ロボスレ中の三つ編みっ娘達よ……私に力を分けてくれ!!」

ボケ妹「多いなおい!!!!!!」

まみ「……やっておしまい」

青森「合点承知」

フワッ……

PBMの人「ミーツアミアミアミアミアミアミアミアミアミアアミィ!!」
ドン! ドン!!

青森「ポォーニポニポニポニポニポニポニポニポニポニポニポニポニテェ!!」
ドドン!! ドドン!!

アンテナ「なんという白熱の高速ラッシュ合戦!! っていうかこれ何の試合ですか!!?」

あんてな「凄いこわいです……」


PBMの人「ミツアミッ!」
青森「ポニテッ!!」

ドグァシィン!!


PBMの人「ぐふっ……我が生涯に全編の悔い有り……」
ドシャアアン

青森「ウオオォォォォォォ!!!」

 ポニテ! ポニテ!

ポニテ! ポニテ!

よし子「っていうか全然関係ない人勝っちゃったこれーーーー!!!?」

207名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 23:50:01 ID:5H4kzXHk0

柏木「……うーん、一応確認はとったけど、問題ないそうだ」

アンテナ「えぇー……なんなのこの大会……えぇーっと、という事は本試合はロボット物SS総合スレッドより、青森選手の勝利……って事でいいんですかね?」

「ちょっと待ったァ!!」

青森「!?」

山梨「まだ試合は……終わってないわよ……!!」

青森「いや、でもアンタさっき自分で負けを認めただろ」

山梨「あら……私がいつそんな事言いました? 『まけたわ』とは言ったけど……」
ゴゴゴゴ……


クズハ「地鳴り? あっ……リングが!!」

山梨「『まけ』ておいたのは、南アルプス・富士・三ッ峠、豊かな山々に育まれた! 日本一の生産量を誇る、ミネラルウォーターよ!! 」

ドッパァアアアン!!

青森「いがん、足場がっ!」

山梨「もらったっ!!」
ドカッ

青森「むがごっ……!!」

山梨「知り難きこと陰の如く、動くこと雷霆の如し!!」

青森「ガハッ!! ゴボゴボッ……」

アンテナ「山梨選手、崩れたリングの下から出現した巨大水溜りに青森選手を沈めたーーっ!!」

山梨「そしてダメ押しのワイン醸造!! たーーっぷり飲むずら……なんてね!!」
ドドォーーン


青森「うげーーーっ」
グッタリ

アンテナ「これはひどい!! 」

三重「やまなっちゃん……」

山梨「ほほほ、勝てばいいのよ勝てば! っていうか勝てなきゃ戦なんてはじめっからしないんだから!! ほら、さっさとカウント取りなさい!」

よし子「5……4……3……2……1……試合終了だーーっ!!」

カンカンカァーーーン



《二回戦第八試合(リザーバー戦→変則バトルロイヤル戦)・勝者やまなし》

208名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 23:51:40 ID:5H4kzXHk0
終わりです。長々と占領してすみませんでした

209名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 23:53:54 ID:T8hGQuZM0
人が多いっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゅうねん!

210名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 23:56:57 ID:dedMSoCAO
乙W
カオスな戦いだったw

211名無しさん@避難中:2012/07/16(月) 23:59:13 ID:mMLRtZU60
乙おつ

212名無しさん@避難中:2012/07/17(火) 04:30:01 ID:HczzoY7Q0
なんだこれはwwwwwww

213名無しさん@避難中:2012/07/17(火) 22:07:24 ID:Pr7qtivY0
不戦勝かと思ったら実はこんな事が繰り広げられていたとは……!

214名無しさん@避難中:2012/07/23(月) 19:06:41 ID:Wis4q9Ak0
もう何回目だから遠慮とか考えないことにした
ゲリラ投下だあああああああああああっ!

215第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:08:03 ID:Wis4q9Ak0
「あら、今度は一人なのね。」
「……白々しい。」
和服とソムリエエプロン。
互いに闘いに似つかわしくない服装の二人だが、尋常でない闘気を纏ってリングに立っていた。
三回戦の開始を告げる合図が、審判のよし子から下される。
「始めーっ!」
二人共、すぐには動かない。観客がざわめく中、やまなしが笑顔で対戦相手に話し掛ける。
「ありがとう、あなたの試合、とても参考になったわよ。」
それから、振り返ってセコンドの名を呼ぶ。
「しぞーかっ!」
その様子に和服彼方は呆れ顔でコメント。
「お熱いことですね。」
「こやせってぇ!」
思わず方言が出ちゃうやまなし。しょうがないよね。
「何ー?」
呼ばれた方は特に何も考えずについてくる。
「アレ出すわよっ、アレ。」
何かをごまかそうとしているのか、やまなしは心なしか早口だった。

「アレ、ですか?」
実況席で首をかしげるアンテナさん。しかし、解説の柏木はすべてお見通しのご様子。
「あの二人と言ったらアレしか無いでしょう。」

突然、激しい地鳴りが会場を襲った。
かと思いきや、リングが徐々にせり上がってゆく。
やがて、地下闘技場の天井まで覆おうかというところで、ようやく地面が動きを止める。
“本物”のサイズには到底及ばないが、それでもなかなかの大きさである。
「あなたも日本人ならこれが何かくらい知ってるわよね。」
俯瞰するとどうやら山らしい。上部は雪に覆われている。
もうお分かりだろうか。
山梨と静岡の県境にある、日本一の標高を誇る山。
そう、その名は富士山。
「もちろんですが、しかしこんなものを出してどうしようと言うのですか。」
至って冷静な彼方の問いに、やまなしはにやりと笑う。
「富士山はね、活火山なのよ。」
本人はさらりと言い放ったが、鋭い人間ならばその言葉の奥の意味に容易く気付いた。
「そっ、そんなことするために?」
相方も今更びっくり。
「や、やべえぜ!」
「おいおい、どうするんだよあれ!」
「落ち着いてください! 落ち着いてください! 観客席には安全のためになんかすごいバリアが張られています!」
さすがにこれには彼方も一瞬青ざめたが、客席のパニックぶりを見てむしろ我を取り戻した。
例の召喚札を懐から取り出す。
「試合順決めのくじ運に感謝しないといけませんね。」

216第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:08:33 ID:Wis4q9Ak0
激しい閃光が札からあふれる。
現れたのは、厚手のコートをまとった女性だった。
「ダイ……じゃない! 氷厳寄生です!」
「さっきの試合の時に回収していたようだね。相変わらずしたたかな子だ。」
実況解説コンビの説明の間にも、氷厳は宙に上がり、これから起きようとすることを阻止する体勢に入る。
「こんな不謹慎なこと、わたくしがこの名に懸けて止めて差し上げますわ!」
火口に極寒の怒涛が押し寄せる。
最初はことごとく融かされるのみだったが、やがて氷の力が上回り、そして火口をすっかり固めてしまった。
氷厳の実力に冷や汗をかきながらも、やまなしは笑みを崩さない。
「やっぱり、ついでに呼んでおいて正解だったわ。」
彼方はハッとしてやまなしの視線をたどる。
「あの雲は!?」
その先に、高い山にはできやすいと言われる積乱雲があった。
積乱雲、となれば次に来るモノは自ずと決まってくる。
まばゆい光と共に、“彼女”はその姿を現した。
「ダイヤは元に戻ったんだ、またお前の影響を受ける前に消えてもらうよ!」
相次ぐ急展開に実況席のアンテナさんは興奮を隠せない。
「ここでなんといかづち選手が参戦です! 両者敗退のため実現しないと思われていた天候対決です!」
リングの上に、積乱雲からの雨が零れはじめた。

まず仕掛けたのはいかづちだ。腕から迸る電撃をそのまま氷厳に向けて飛ばす。対する氷厳は幾重にも張った氷の壁でこれを受ける。
こんなものではやはり小手調べにすらならないか。と、いかづちは電光石火で氷厳に近づき、電気を帯びた拳を氷厳に叩き込む。が、その拳は空を切った。
「速っ!? ……って何だこりゃああああ!」
いかづちが体の感触に違和感を覚えて下を向くと、彼女は先ほどまでの露出の多いスーツではなく、フリフリのドレスを纏っていた。
「あんな破廉恥な恰好より、その方がお似合いですわよ。」

「こはおやににるようですね。」
「誰がお母さんですかっ!」
客席の一角ではそんなやり取りが交わされていた。

一方、いかづちにはのんきな仲間達を気にかけている余裕など無い。
(電磁波を放出して、その反射で奴を捉える!)
そして一秒。氷厳は動かない。
二秒。まだだ。
三秒。時間がやけに長く感じる。
四……反射波!
が、いかづちは気付かぬ間に氷柱の大群に取り囲まれていた。
自然界の最高速度を誇る電磁波で探知したはずなのに。いかづちは驚きを隠せない。
「くっ!」
咄嗟に身を丸めるも、飛んできたいくつかの氷柱が体に突き刺さる。
「おーっほっほっほ! 手も足も出ませんわね。」
挑発に対し、いかづちは体に付いた氷柱を電熱で一気に蒸発させ、笑う。
「残念だったな! お前の攻撃は見破ったぜ!」
「な……いえ、強がりはおよしなさい!」

217第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:08:55 ID:Wis4q9Ak0
その頃の地上。
やまなしが軍配を振ると、大量の桃が彼方を襲う。
しかしそれらは上空からの氷のミサイルによっていともたやすく撃ち落される。
「むぅー、なかなか攻撃が通らないわねぇ。」
やっかいなのは、氷厳がいかづちの相手をしながらも更に彼方を守る余裕まであるということだ。
ここは、牽制はしながらも、ただ待つことに徹するのが良さそうだ。
幸い、彼方はあれから一枚も札を使っていない。
「動かざること、山の如し、ね。」

いかづちの周りを迸る電流が勢いを増していく。
「はぁぁぁぁ……!」
「ふん! どうせこけおどしですわ!」
氷厳はまたもや瞬間移動。だが、今度こそはいかづちの手が正確に氷厳のいる方向を捉えていた。
「なっ!」
光が通り過ぎ、轟音がした。
危機一髪、更なる瞬間移動で氷厳はかろうじて脱出していた。
「はぁ……はぁ……。」
「お前はオレ……いや、会場全体をほんの少しの間だけ凍らせて、その間に移動してたんだ。」
いかづちの説明に、解説の柏木が気付く。
「なるほど、我々全員の意識が無いうちに一人だけ移動してたら、我々からは瞬間移動に見えるというわけだね。」
「カラクリさえ分かっちまえば不意を打たれることは無い。攻撃自体は探知より遅いからな。」
氷厳は苦虫を噛み潰したような表情になる。そんな氷厳に、更に追い打ちの言葉が。
「それに今の様子を見るに、この技はそう何度も連発できないようだな。」
「そんなこと……ありませんわっ!」

「あ……れ……?」
彼方は突然、立ちくらみを覚えた。
かと思うと、視界がぼやけ、息遣いも荒くなってくる。
「なに……これ……。」
待った甲斐があったようだ、とやまなしは口元をほころばせた。
「効いてきたようね!」
掌を上向きに広げて雨を受ける。
「これ、何だか分かる?」
「……。」
彼方の方は、もはややまなしが何を言ってるかなんてどうでもよくなってきた。
耐え切れずに膝をつく。
かまわず解説を続けるやまなし。
「ただの雨だと思ってたでしょうけどね、実は――」
やまなしが虚空から一本のボトルを取り出す。
「――白ワインでしたー。」

いかづちは攻撃の手を緩めない。
避けの一手である氷厳の体力も限界に近い。
「これで最後だっ!」
「くっ!」
しかし次の瞬間、いかづちはすんでのところで拳を止めることとなる。
目の前にいたのは、討つべき敵と似て非なる友の姿だった。
「ダイ……」
時間凍結中に自身をダイヤとすり替えた氷厳は、いかづちの真後ろにいた。
いかづちの隙を突き、氷厳は一瞬のうちに大量の氷柱を彼女の背に撃ち込んだ。
それを見たダイヤは青ざめる。
「いかづちっ!? くっ、クロノ・フリ――ズ!」

218第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:09:08 ID:Wis4q9Ak0
ダイヤが叫んだ瞬間、すべてのものは静止した。
ただダイヤ自身と氷厳のみを残して。
「あなたは、私が生み出してしまったモノ。ですから私自らの手で倒させてもらいますわ!」
二人はもともと同じ存在である。故に、本来は強さも等しいのだ。
ただ前の試合では氷厳の攻撃的な性格によって潜在能力が引き出されただけなのであった。
(私にも、覚悟が必要ですわ。)
ダイヤはコートの裾を少し破いた。
「それが何になるって言いますの?」
「超低温は静止の世界。静止したものを無理に動かそうとすると必ず“摩擦”が発生しますわ。」
「……待ちなさい、貴女、なぜ濡れて……!」
「空気のほとんどは窒素と酸素。そして酸素の方がわずかに沸点が高いのです。」
ダイヤの服を次第に濡らしているものは“液体の酸素”。
「つまり、こうするのですわ!」
凍らせたコートの切れ端を腕にこすり付ける。
すると、“摩擦”によって起きた火花が“酸素”によって着火。
簡単に言うと、ダイヤの腕が発火した。
「まさか、そんな、自殺行為ですわ!」
「これが、私の覚悟です。」
炎はすぐに勢いを増し、ダイヤの腕を飲み込むほどになる。
氷厳にはもうこれだけの炎を消し飛ばす余力は残っていない。
薄い氷の壁を何重か張るので精一杯だった。
「さあ、今度は貴女が覚悟する番ですわ!」
業火が壁を無慈悲にぶち割ってゆく。
あと三枚、二、一、
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
二人が火だるまに包まれる……。

219第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:09:26 ID:Wis4q9Ak0
「さ、さっきの一瞬で何が起こったのでしょう! 突然ダイヤ選手が現れ、いかづち選手が攻撃を食らったかと思えば、氷厳寄生がいなくなって、ダイヤ選手が真っ黒焦げになっております!」
「ダイヤ君も自分の役割を果たしたということかねえ。」
「いや、柏木さん意味が分かりません。何しみじみ言ってるんですか。」
ダイヤは氷厳の消滅を確認した後、吹雪で自らの炎を吹き飛ばしていた。
「ギリギリ……でしたわ。」
あと一瞬でも長く氷厳が耐えていれば……。ダイヤは身震いした。
「はっ! そうですわ! いかづちっ!」
「ああ、何とか生きてるよ。」
彼女も電熱で氷柱を融かしたが、傷まではふさげない。
二人はもはや戦闘続行不能。そもそも、氷厳を倒した今、戦う理由も無くなっていた。

「というわけで、後はあなただけよ。」
やまなしが余裕の表情を浮かべて宣言する。
対して彼方は、
「うにょら〜。」
もうべろんべろんである。未成年の飲酒は法律により禁じられていますのでやめましょう。
見ていられなくなったよし子(フルフェイスヘルメット着用)が口を挟む。
「ストップだーっ! これ以上戦わせるわけには」
「だいじょうぶなのら〜!」
彼方はよし子の制止を遮って一枚の札を取り出した。
例のごとく寄生が召喚される。
すると彼方は一転、平然とした口調で語りはじめた。
「BOURBON、吸収した酒の分だけ強くなる寄生です。」
ひょうたんを持った身長三メートル程の天狗が、やまなしをにらみつける。
「これは……まずいわね。」
やまなしはただちにワインの雨を止める。
「でも忘れた? アレを止めてた氷厳はもういないのよ。」
「はっ! やべーっ!」
よし子が猛ダッシュで避難したのを、まるで合図かと思ったように火口が煙を吹く。
次いで轟音が、そして赤い液体が噴出する。
「噴火だーっ!」
マグマはものすごい勢いで斜面を駆け降りる。
一分もしないうちにそれは二人の姿を飲み込んでいった。

220第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:10:12 ID:Wis4q9Ak0
最初に姿を現したのは彼方とBOURBONの方だった。
「まったく、135枚も使わせないでください。雑魚なんで別にいいですけど。」
彼女たちは召喚した多数の寄生を盾に、マグマをやり過ごした。
「あの女、まさか自分の攻撃でくたばってる訳ないでしょうけど……。」
その時、物音と共に透明のロボットのようなものが姿を現した。
アンテナさんが叫ぶ。
「中にやまなし選手が乗っています!」
「どうやら水晶でできているようだね。」

水晶ロボが虚空からナイフを生成し、右手に持って、間合いを詰める。
そして大天狗の懐に潜り込むと勢いよくナイフを振り上げた。
ひらりとかわすBOURBON。それくらい読んでいると言わんばかりにロボは左手のキャノンを突き出す。
至近距離からの桃の射撃! が、これまたBOURBONははらりとかわす。
「酔拳っ!?」
その独特のリズムは非常に読みにくい。水晶ロボは慌てて距離を取る。
「線が駄目なら……面よ!」
ロボは宙に舞った。照明の光が乱反射して美しく会場を彩る。
それから、ナイフを幾本も生み出したかと思えば、BOURBONめがけてすべて投げつける。
ナイフは光の尾を引きながらバラバラのタイミングで地面に突き刺さってゆく。
彼方は訝しむ。全部外れ?
もちろん、そんなわけがない。
四方逃げ場の無くなったBOURBONに今度こそ照準を合わせ、本命の桃の砲弾が飛んできた。
「ガァアアァッ!」
奇声を発してBOURBONは目をこする。視力をやられたようだ。
「チャンスッ!」
やまなしがここぞとばかりに水晶の巨体を駆る。
止めは右ストレートだ。大きく体をひねって……振り抜く!
が、がっちりと掴まれた。流石、地味〜に大量の酒を吸収して強くなっているだけある。
組み合いは水晶ロボの不利。もはやここまでか。
(なーんちゃって。実は自動操縦のチビクォーツくんを背後から忍び込ませていたのよね。……今よっ!)
パリィィン!
「な……! チビクォーツくんがっ!」
やまなしが自信満々で放った小型ロボは、BOURBONの手刀で哀れ粉々に砕け散った。
「見えてなかったし気配も音も無かったはず!」
驚くやまなしに彼方が呆れ顔で伝える。
「あのねえ、あなた私の存在すっかり忘れてたでしょう……。無言でも指示くらい出せるのよ。」
「あ……………………しまったぁぁぁぁ!」
「なんとやまなし選手! 目先の敵の排除に追われ、本来の対戦相手を見過ごすという大失態!」
「ここに来てこんなことになるとはねぇ。」
BOURBONは鼻突きを一発。それだけで見事に水晶ロボは数多の破片へと姿を変えた。
「散々手こずらせてくれましたね。」
「ひっ!」
彼方が宙に踊るやまなしを睨み付けた。次の瞬間、BOURBONがやまなしの鳩尾にキツーい突きをお見舞いする。
すかさずよし子がカウント。
「壁まで吹っ飛んだーっ! ワン! ツー!」
壁にめり込んだやまなしはピクリともしない。
「……ナイン! テン! 試合終了だーっ!」
そして、地鳴りのような歓声が上がる。

221第四試合 無限彼方 VS やまなし ◆KazZxBP5Rc:2012/07/23(月) 19:10:25 ID:Wis4q9Ak0
「かーなーたっ!」
「……。」
「あれあれー? 何書いてんの? おねーちゃんにも見せなさいっ。」
彼方はペンを放り出して溜息をついた。
訪問者・ももかはパラレルワールドでの彼方の姉らしい。あまり認めたくないが。
幾度となく勝手に控室に入ってきては過剰にスキンシップを求めるももかに、もはや彼方は無視を決め込むことにした。
(それにしても、どうしたものかしら。)
先ほどまで必死にノートに書きつづっていたのは、今後の戦略である。
彼方自身の戦力は札による寄生召喚のみで、今の戦いでかなり消費してしまった。
彼方はこの会場でパラレルワールドでの彼方を何人か見つけてきて味方として使っている。
が、彼女たちは彼女たちで今回の対戦前のいらぬ戦いにより余分に消耗していた。
どこで誰をぶつけるか、それが重要だ。
彼方が采配について悩んでいると、突然肩に重さを感じた。
「かなたっ、そんな難しい顔しないでさ、リラックスリラックス。」
「……。」
案の定抱きついてくるももかに、文句の一つでも言ってやろうかと考える。
が、何故か変なことを口走ってしまいそうな気がしたので、やっぱりももかとは口を利かないことにした。


【準々決勝第四試合 勝者 無限彼方】

222名無しさん@避難中:2012/07/23(月) 19:11:51 ID:Wis4q9Ak0
投下終わり

4周年までに終わるといいな(チラッ

223名無しさん@避難中:2012/07/23(月) 19:40:55 ID:9KOVOPII0
乙乙w まさかの山召喚とはwww

224名無しさん@避難中:2012/07/23(月) 20:25:52 ID:VtO60z8Q0
BOURBONって最初誰かと思ったわwww

225名無しさん@避難中:2012/07/23(月) 20:55:17 ID:Wis4q9Ak0
>>224
なぜか英語な気分だったんだw

226名無しさん@避難中:2012/07/24(火) 00:01:43 ID:NCYTIoP.0
富士山召喚とはたまげたw
都道府県勢強力だった

227名無しさん@避難中:2012/07/26(木) 21:13:04 ID:i1OUWVNE0
>>182>>215もおつです。
負けたかー。

http://dl10.getuploader.com/g/6%7Csousaku/715/%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A1.jpg

228名無しさん@避難中:2012/07/26(木) 21:42:44 ID:WKPwX9GU0
あんてなたんがw

229名無しさん@避難中:2012/07/26(木) 21:44:34 ID:ywbUnEAI0
掃除担当www

230名無しさん@避難中:2012/07/27(金) 22:35:04 ID:622YD8SE0
編まれているだと……

231名無しさん@避難中:2012/07/27(金) 23:06:38 ID:6Jxpl2cU0
山を片付けるとは……このあんてなたん、やりおる

232 ヘ ノ: ヘ ノ
ヘ ノ

233わんこ ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:40:18 ID:k4jefN0Q0
お初します。勝手に場つなぎ的なエキストラ・マッチ。

234月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:41:05 ID:k4jefN0Q0

 闘技場地下の控室、簡素なパイプ椅子の上に立ち上がり深夜3時を指す時計を恨みながら、まだ頬の紅い少年が歯軋りをしていた。
 部屋には白い扉にテーブルとソファーだけの無機質な空間。薄暗いといえば言葉は悪いが、無駄を省いたよく出来た箱庭とも言える。
 部屋の中で待ちくたびれたようにボタンのない学ランを脱いだシャツ姿の少年がとうと跳び上がり、二本の足で床に着地すると
片手を振り上げ何かを叫ぼうとしたが、思うところありやめた。

 「おれの……、おれの出番はまだか!煮えたぎる血潮に待てと言うのか!クロノスよ!」

 畏れ多くも時間を司る神に無茶ないちゃもんつける少年は岬陽太という。

 トーナメントに選ばれた。栄誉あることだ。何もかも、誰よりも強いことを見せ付けてやる。意気込んで競技場にやって来た。
 だが、出番は遠い。幾度も秋を過ぎるような思いだ。陽太は殺風景な控室にて、天井からぶら下がるモニタに映し出される
きらびやかなバトルフィールドでの闘いを見ながら、自分の姿を画面の上に重ねていた。

 深夜だ。月の明かりが支配する、誰もがまどろむ時だ。そんな時間に大根が一ふり。

 「月は狂気だ。理性ある人間どもの本能を炙りだし、獣と化し、闘うには他にない時だというのに。
  おれは神に見放されたのか!答えてくれ!魔剣・レィディッシュよ!」

 陽太は言い聞かせるように大根を持ち上げた。

 「日を跨ぐ頃からお前を待たせてすまない」

 モニタにはバトルフィールドの歓声が音もなく広がっていた。

     
 


  Souhatsu Characters    
Tournament Battle
Extra Much



     

 闇を裂くようなビームが闘技場目指して駆け抜ける。やがて光はゆっくりと走ることをやめ、エンジンの音漏らしながら
闘技場の屋根を見上げるようにポケバイは駐車場に止まった。

 「また、戻って来たよ」

 夜の底つく静けさに敬意を表しエンジンの音を止め、被っていたケモノ用のヘルメットを脱ぐ。イヌの耳が飛び出るように
二つの穴が空いているのが特徴的だ。タンクにヘルメットを置くと、闘技場が眼鏡のレンズに浮かんで予期せぬ来客を歓迎してくれた。

 サン・スーシ。

 彼は再びトーナメントに現れた。

235月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:41:30 ID:k4jefN0Q0
 彼は闘技場に入ると沸き上がる地下のメイン会場に見向きもせず、錆び付いた扉を開けて階段をさらに深く降りていった。
 ぐるぐると渦巻きながら階段を一歩一歩踏み締めるサン・スーシは『叩き』にやって来た。叩き叩かれ叩き返され、それでも立ち上がり
相手を叩きのめす。何故か?サン・スーシにその質問は簡単すぎる。きっと「答えなんかすぐにわかるよ」と無垢な少年のような瞳で
答えるだろう。サン・スーシは『叩き』にやって来た。叩き叩かれ叩かれ返され、それでも立ち上がり叩きのめす。そして、白い扉を叩く。

     #

 「誰だ?」

 白い扉を叩く音が部屋に響く。
 突然の来客。
 出番はまだだというのに、不思議ではないか。

 警戒した眼差しで陽太がドアノブに手をかけると、小さな体に電気が走るような気がした。本能というか、闘いを控えた者だけが
感じることが出来る殺気というか。吹き飛ばすように扉を開くと、陽太の目の前……いや、胸に小さな眼鏡のイヌ獣人がリュックを
背負い立っていた。龍と虎、両者が向かい合い、目を牙を光らせるような空気が流れていた。

 「岬陽太くんだね!」
 「おれは、岬月下だ!貴様は。もしや」
 「陽太くんだよね」
 「月下だ!」

 あくまでも陽太は自分のことを「月下」と名乗る。慢性厨二病に罹患した者としては珍しくはない症例……発言だ。
 陽太の脳裏には栄ある創発トーナメント・ザ・1stでのサン・スーシの姿が過ぎった。

 「くっ……」

 創発トーナメント・ザ・1st。

 それはサン・スーシにとって初陣を飾るものだった。準決勝前までにコマを進めたものの、積み重なるダメージの為リタイヤと
なってしまい、サン・スーシの夢がここに潰えた。そんなサン・スーシに憧れた岬陽太。お互いのファイトスタイルを尊敬し、
場所は違えど各々ファイターとして認め合っていた。

 「いつかは闘ってやろうじゃないか」

 しかし、闘いの神の気まぐれか、両者は剣を合わせることなくトーナメントは幕を閉じた。

 「何をしにここにだ?」
 「暇つぶしかな」
 「おれは生憎、暇じゃないんだ。トーナメントを控えていてな」
 「ぼくは今回のトーナメントには惜しくも出場はならなかったんだけどね。神のいたずらかな」
 「神だと……」

 陽太は眉を吊り上げた。

236月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:41:54 ID:k4jefN0Q0
 「おれは神に叛く男だぜ!神のいたずらならば……」
 「そうこなくっちゃ」

 にこっと笑みを浮かべ、サン・スーシはいきなり踵を返し薄暗い廊下を駆ける。陽太は考える間もなくサン・スーシを追いかける。
 夢中で廊下を走る陽太はサン・スーシにおびき寄せられながら階段への扉を開く。ぐるぐるとまるで地の底へと続くような螺旋階段。
足音がこだまするだけの暗闇。メイン会場とは天と地の差。光あれば影ありと、そして天高く舞う者いれば地へと沈む者ありと。
 息を切らしながらサン・スーシを追いかけた陽太が迷い込んだのは、暗闇に包まれた部屋だった。部屋というには広いのかもしれない。
 扉から漏れる廊下からの微かな明かりで電源の箱を手探りで開き、内蔵された大きなレバーを下ろすと部屋は陽太が思っていたよりも
広いことが分かった。煌々と薄い蛍光灯の光が部屋中央を照らし、ずんと四角いリングの存在を示す。色褪せたロープにくすんだ
キャンパス、ペンキが所々剥がれ落ちた鉄骨の脚。誰もみながリングのことを忘れていた証拠だ。

 「ぼくがこのトーナメントに出れなかったことを陽太くんは後悔するかい?」
 「どういうことだ?それにおれは月下……」
 「きみの座をぼくは奪うよ」

 サン・スーシは陽太の側を擦り抜けるとひとっ跳びでリングに上がり、陽太を誘った。
 短パンにタンクトップ姿へといつの間に姿を変えたサン・スーシ。そして、両手には赤いボクシングのグローブ。
 バンッとグローブを合わせて陽太を挑発しながら、小さいからだがリングの上で飛び跳ねていた。

 「きみの出番までここでエキストラ・マッチを行おうじゃないか。そして、ここで勝利した方が……本戦へと進むことが出来る」
 「なに?そんなこと許せるものか」
 「敗者はトーナメントに出る資格などない、よね?」

 リングの上からのサン・スーシは陽太を視覚的にも、心理的にも地を這う者のように見ていた。

 「レギュレーションは単純。どちらかがギブアップ、若しくは立ち上がることが出来なくなるKOを決めることで勝敗を決するんだ」
 「……」
 「どうする?尻尾を巻いてみる?」
 
 答えは早かった。陽太がリングに上がったことで、サン・スーシは拳を合わせる決意をした。

 「決まったね。よし。じゃあ、1ラウンド・時間無制限。ファイト!!」
 「よっしゃああ!これが神の定めた宿命ならば、それに叛いてみせてやるぜ!!!」

237月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:42:17 ID:k4jefN0Q0
 両者、ぐるぐるとリングを廻りながら呼吸を読みあう。隙は見せられない。両拳でカードを固めらながら体を小さく丸める
サン・スーシに対して、陽太は両手を広げ積極的な動きを見せていた。無駄に体力は使うことは出来ないと、最小限に動きをまとめる。
 軽くサン・スーシは拳を前に出して伺いを見る。それでも臆することなく両手を広げる陽太は無鉄砲かもしれない。
 ジャブ程度とはいえ、ガードもせずにパンチを浴びることは試合の主導権を相手に与えるということに等しいからだ。
 それをわざとしているのか、それともムチャをしているのかは別にして陽太はぐるぐるとサン・スーシをおびき寄せる。
そして、右腕を天高く突き上げて叫ぶ。まるで、早くも勝者の雄たけびを上げるかのように。

 「出でよ!魔剣・レイディッシュ!!」

 腕ほどの太さと長さ。天に向かって真っ直ぐに伸びるそれは、暗闇の中に燦然と、純白に輝く……。大根だった。

 それは選ばれし者だけが手に入れることが出来た能力だ。

 陽太の武器は大根だ。いや、ここでは大根と呼ぶにはあまりにも無礼ではないか。何故ならそれは『魔剣』だからだ。
白い『魔剣』を片手に構える姿は幕末の志士たちよりもはるかに勇ましかった。

 「きみの不思議な能力を使ったね。夜になると一度食べたことのあるものを具現化できる、叛神罰当【ゴッド・リベリオン】」
 「こいつさえあれば、お前をぶっ飛ばすことなんか朝飯前だしな!来いよ!」
 「じゃ、本気出すよ」

 サン・スーシはいきなり右ストレートを繰り出すと、陽太はレイディッシュでガードする。硬い大根はサン・スーシの拳にダメージを
与えるが、陽太の腕には少なくとも衝撃を与えていた。陽太はひょいと左手に魔剣を持ち替えた。
 今度はサン・スーシの左フック。同じくガードをしようと陽太は魔剣を振るが、利き手でないためにぐらついた。魔剣を持つ手と
近い位置にサン・スーシの拳が当たったことは幸いだったのかもしれない。なんとか持ち堪えた陽太は利き手に魔剣を預けようと
魔剣をひょいと持ち替えたときのこと。いきなりのことだった。奇襲というべきだろうか。

 サン・スーシの右足が陽太の目の前を横切り、風を切り、魔剣・レイディッシュをただの大根へとリングの外へと弾き出していた。
陽太の意表をついたサン・スーシのハイキックで試合のイニシアチブが大きくサン・スーシに委ねられることが決まった。

 「ぼくを掴むなり、投げるなり、蹴り飛ばすなりしてごらん。きっとぼくは逃げかわしてやるからね」

 と。言い放ったや否や、陽太の顎の先数ミリを拳が音を立ててかする。
 あと少し陽太が顔を前に出していたならば、餌食となってしまいリングの露と化していただろう。
 陽太がガードを構えたのはサン・スーシの突き上げるようなアッパーをかわしてからだった。

238月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:42:36 ID:k4jefN0Q0
 「人間には鍛えてもどうにもならない場所があるんだ。その一つ、顎。ぼくだって、そこを捉えられたらKOされちゃうかもね」
 「じゃあ、してやんよ!KOしてやっか!なんせな、おれにはこいつが!あるからな!」
 「どうかな。ぼくはきみよりも背が小さい。すなわち、ぼくの顎を狙うには攻撃する体勢に無理が生じなければならない」
 
 と。言い放ったや否や、陽太の脛を執拗にローキックで攻め続ける。
 くの字に体を曲げながら、陽太はン・スーシの頭を抱え込み動きを封じると、膝蹴りと共に二人は折り重なった。

 「くそっ……。もう一度、出でよ!レイディッシュ!」

 リングに上がって、二本目の召還。大きく陽太はふらつきながら立ち上がり、再び魔剣を手にする。脳に酸素が届いていなかったの
だろうか。ただで物を作り出すことなど。神に叛くことなのかもしれない。しかし、陽太にはそんな声など届く由もない。

 両者、ともにニュートラルへ。

 再び中段の構えで魔剣の先をサン・スーシの目先に合わせる。ゆらゆらと揺らしながら相手を攪拌させる作戦に出たが、
大きく左右上下に体を動かすことで陽太の戦法を潰そうとしていた。その分、両者は体力を削る。躊躇いは敗北だ。
 陽太はサン・スーシの懐に足を踏み出して入り込むと大きく振りかぶって面を食らわせる。それの報復としてサン・スーシは
捻りこみながらスクリューのように右拳を陽太のみぞおちに食い込ませた。どくんと陽太の内臓が音を立て、体内のあらゆる物を
逆流させながら、陽太は顔を大きく歪ませて尻餅をついた。筋肉の付かない陽太の華奢な体は自分の名誉を守るためにはまだまだ弱い。

 「うぐ……。くっ」
 「これでも手を抜いたほうだよ。なんちゃって」
 「黙れ!ハウス!ハウス!」

 よろめきながら陽太は魔剣を杖にして再び立ち上がったが、誰の目にも劣勢に立たされていることが写る姿だった。
 息が荒い。目の焦点が合わない。肩が大きく揺れる。相手はイヌだ。イヌっころの思い通りなどにはさせまいと応戦するも、
隙を突いて小さなパンチが頬、脇腹に、小さなキックが太ももへと矢のように突き刺さる。じわじわと陽太の体の中から崩壊させようと
幾つもの手が浴びせられ、毒が体内に蓄積されるように積み重なってゆく。相手は小さい。魔剣ならば一刀の元に斬り捨てられると
思っていたのが間違いだったのかもしれない。小回りの利くサン・スーシの体は体全体で陽太に襲い掛かる最終兵器のようだった。
 だが、ここで背中を見せるわけにはいかない。おれは神に叛く男だ。たった今ここで、勝利の女神がサン・スーシの方へと
微笑みかけようとしているのが見えるではないか。

 「食らえ!」

239月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:42:59 ID:k4jefN0Q0
 見事な曲線だった。
 芸術的と言っても過言ではない。
 陽太を中心にぐるりと剣先が弧を描く。
 ホームランバットのように水平に振った魔剣がサン・スーシの脇腹を捉えた。そして、間も空けずに振り戻した魔剣が水平に
リングの上空を斬る。ジャンプで蹴り返そうとしたサン・スーシの脛に当たり、もんどりうって肩からキャンバスへと小さな
イヌの体が叩き付けられた。かなりの衝撃を受けたと見えて、サン・スーシは両拳を顔の前で合わせていた。
 最終兵器、崩れ落ちる。
 そう言っても、誰もが信じるしかないような惨状。
 小さな大の字がリングに描かれている様子を陽太はしかと自分の目に焼き付けていた。

 「……サ」

 一言口にするだけでふらつく。そして、全身全霊を込めて。

 「サ、サ、サウザン・ロック!」

 痛みに耐えながら吐き出す陽太の声が響く。南瓜だ。南瓜が陽太の手へと召還されて、岩石のようにサン・スーシの体に襲い掛かる。
大根よりも頑丈な南瓜はサン・スーシのガードを物ともせずに、両腕へ、脛へ、みぞおちへと幾つも降りかかった。体を小さく丸めた
小さなイヌは背を向けたままリングに横たわり、尻尾をゆらゆらと揺らしていた。
 勝負はあったのか。それとも……。それは杞憂なのか、考えが浅すぎなのか。陽太は魔剣を構えながら思考する。
 すると、サン・スーシはごろごろとリングの上を転がりながらコーナーへと自らの体を隅へと運んだ。トドの赤ん坊のようだ。
いや、そこまで立派な体格ではない。陽太がじりじりとにじり寄っている内に、ロープ最下段に右手をかけて、二段目に左手をかけて、
ゆっくりと、不死鳥が祭壇の炎の中から甦るが如く立ち上がり、そして陽太に向かって戦う意思を示した。

 「これでも利いてないんだよ。なんちゃって」
 「はぁ。はぁ……。甦ったな!魔剣の錆になるにはまだ早いというのか!」
 「ぼくは数学教師だ」
 「だってな」
 「その魔剣、曲線を描いている姿は美しかったよ。ただ、美しいだけじゃ魔剣を味方にしたとは言えない」
 「なんだって?コイツはおれの最高の相棒だぜ!」
 「曲線、円を描くことは数学だ。数学の計算があるから美しく見せることが出来る。ぼくが数学の教壇に立っている理由はそれだ」
 「何言ってるんだよ!ほら!来いよ!」
 「しかし、数学の考え無しに曲線を美しく見せることは、数学に対しての冒涜と取ってもいいかな?」
 「うるせー!さあ!ストレートでもフックでもアッパーでもキックでも来いよ!」
 「きみが悔いる為に、これから円周率の桁だけのマシンガンパンチを繰り出してあげよう!」

 陽太はサン・スーシの瞳に吸い込まれそうになっていた。

 「『ほぼ3』だけじゃ、円周率は片付かないんだよ!」

240月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:43:21 ID:k4jefN0Q0
 右ストレート!
 左フック!
 右ハイキック!
 左アッパー!
 右フック!
 そして、再び右ストレート!

 目に見えぬほどの勢いでサン・スーシのパンチが浴びせられ、陽太は苦悶の顔を見せる。
 しかし、自分にダメージが直接加わることではないように見えるではないか。むしろ、魔剣を手放さないように必死に耐える
陽太の精神力を削っているからかのようであった。どのパンチも魔剣の刀身へと浴びせられている。

 いや……。これは、わざとだ。

 サン・スーシは陽太が魔剣や南瓜を召還するたびに、自らの体力を消耗していることに気付いていた。
 ならば、陽太に力がある限り能力を使わせて、体力が限界に近づけて猛攻撃を仕掛けようではないか、と。
 形あるもの、いずれ崩れる。今ここで魔剣をへし折れば、陽太も袋の鼠だ、と。

 「将を得んとすれば、馬を射よ」
 「くそっ、くそおお!耐えろ!おれの魔剣!」
 
 サン・スーシのグローブからは微かな湯気が登り立っていた。それほどの打撃が陽太、いや魔剣に降りかかっていたのだ。
 体制を整え、サン・スーシが腰を据えて捻りを加えながら会心の一撃を打ち放った。
 
 右アッパー……。

 魔剣・レイディッシュは粉々に砕けながら大地へと戻っていった。

 「うそだろ?うそだと言ってくれ!魔剣よ!!!」
 
 不敵な笑みを浮かべながら、勝利を確信したサン・スーシは未だに震える右の拳を愛した。
 びしびしと伝わる衝撃と手ごたえ。体中に電気が走るような感覚。拳を握り締めれば握り締めるほど体中の血潮が渦巻いて、
トーナメントでの勝利を夢見ること、いや現実となることに酔いしれるのであった。グローブの中で五つの指がみしみしと音を立てる。
 
 いざ。我に歯向かう者へ、鉄槌を下す時。

 陽太の懐へステップを決めて、スナップを利かせて潜り込む。

 丸腰の勇士に、何が出来ようか。両腕を顔の前に揃え、ガードの体制を取る。

 「叛神罰当【ゴッド・リベリオン】!!!出で……よ。レイディッシュ……」

241月下の魔剣〜伝説の犬〜 ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:43:55 ID:k4jefN0Q0
 一瞬のことだった。サン・スーシが陽太との至近距離で左フックを頬に決めようとしたときのこと。
 二人の僅かな間で、魔剣・レイディッシュが甦ったこと。突如現れた真っ白な剣が陽太の手に、胸の前に召還されて天へと伸びた。
 懐に潜り込むサン・スーシの顎を魔剣の剣先が捉え、急襲をまともに受けたサン・スーシは顎を打ち抜かれ微かに口の中を切った。
そして、数学が導き出した美しい曲線を描きながら、薄暗い天を舞って、小さなイヌの体はリングへと沈んでいった。

 手ごたえはあった。痺れるような震えが身震いとなり、やがて快感となる。
 おれ、最強。おれ、最強。
 陽太は何度も口の中で繰り返しながら、ダウンした小さなイヌの体を見下ろしていた。

 「……!!」

 予想だにしない展開。
 おれ、最強。が、音を立ててひびが入る。

 それでも、サン・スーシは立ち上がったのだから。

 「ぼくは」 

 一歩、踏み込む。

 「このくらいでは」

 拳を振りかぶって、照準を陽太の顎へ。

 「倒れない……よ」

 陽太の黒い目にはスローモンーションで赤いグローブが弾丸のように見えた。
 そして、リングに体が沈む轟音とともに、決して表にされない闘いは幕を閉じた。


       #

 夜が明ける頃。控え室ではがたのきたパイプ椅子に腰掛けて、両足をテーブルに乗せ、真っ白な大根を片手にリズムを取る、
闘いを終えたの姿があった。愛しき敗者を讃えるために、互いの命を削った闘いを語り継ぐため。ソファーに寝かされた敗者は
満身創痍の肉体を明日に向けて休ませていた。ごろりと寝返り打つと傷だらけの床に転げ落ちた。

 「陽太くん。ぼくは闘いに悔いはなかったけど、ぼくのアッパーを打ち込めなくて残念だったよ」

 大の字を描いて、頬を腫らしたサン・スーシはぴたっと耳を床に付けた。ここならいくら地に沈んでもカウントは取られない。
心行くまで手を伸ばせ、足を伸ばせと言いたげに陽太は椅子から立ち上がった。

 「まさか、アッパーを出す前に崩れ落ちるとは思わなかったぜ」
 「さすがのぼくも立ち上がるだけでHPが0になっちゃったね。最後まで踏ん張れたらぼくのパンチが入ってて、
  陽太くんの方が再起不能のKOになるはずだったのにな」
 「ぜってーカウンター食らわしてやるから!」

 大根を投げ捨てて、ソファーに置かれた赤いグローブを手にはめた陽太は勇者健在を示すためサン・スーシに向かって拳を構えた。
 面白い。迎え撃とうじゃないかと、サン・スーシは床の大根を拾い上げ、陽太に向かって構えた。


    おしまい。

242わんこ ◆TC02kfS2Q2:2012/08/03(金) 08:44:38 ID:k4jefN0Q0
どうしても書いてみたかったんです。
では失礼しまっす。

243名無しさん@避難中:2012/08/03(金) 23:38:17 ID:NgkB/4bM0
You本戦も書いちゃいなYO!

244名無しさん@避難中:2012/08/05(日) 08:37:11 ID:sTKwS/9I0
息ぴったりだなあw

245 ヘ ノ: ヘ ノ
ヘ ノ

246名無しさん@避難中:2012/08/22(水) 21:30:15 ID:zZ5AC6JYO
chage

247名無しさん@避難中:2012/08/22(水) 21:35:54 ID:MthE1If20
asuka

248名無しさん@避難中:2012/09/09(日) 23:42:46 ID:PldVkoqIO
ヌノレポ

249名無しさん@避難中:2012/09/09(日) 23:45:52 ID:kdxFLPMg0
ガッ

250名無しさん@避難中:2012/11/03(土) 21:31:59 ID:XYEXn5BQO
そして

251名無しさん@避難中:2012/11/03(土) 22:54:45 ID:4hAMjfJk0
伝説へ…

252名無しさん@避難中:2012/11/28(水) 22:43:45 ID:bjaP6gzo0
と思わせて

253名無しさん@避難中:2012/11/29(木) 05:51:11 ID:6XupkHkU0
あげてみようか

254名無しさん@避難中:2013/01/09(水) 01:04:35 ID:.WeQcAiwO
もう2年ぐらいか
ながいな

255名無しさん@避難中:2013/01/16(水) 21:29:14 ID:TVW98W/6O
長くなるかもしれないけれど
書かせてもらいます

256名無しさん@避難中:2013/01/16(水) 23:24:05 ID:f/wcb0GM0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

どっち?

257名無しさん@避難中:2013/01/16(水) 23:30:47 ID:TVW98W/6O
>>256
準々決勝の第1試合です
ちょっとレスが多くなるかもしれません


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