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【シェアード】仁科学園校舎裏【スクールライフ】

328名無しさん@避難中:2013/10/13(日) 22:18:29 ID:vhMo2aVQ0
↑以上で。いろいろすみません

329名無しさん@避難中:2013/10/13(日) 22:29:09 ID:bzExpcwgO
先輩!コントラバスは何人乗りですか!?

…ではなく、投下乙乙!
段々とナギサワさんのことが見えてきてわくわくわくわく!

330わんこ ◆TC02kfS2Q2:2013/10/26(土) 11:41:40 ID:7gHgAyCE0
アーチェリー部・ウェルチ部長と山尾くんで書きました。わおん!

ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/612/welch_yama_Capybara.jpg

実際に撫でるとちくちくするよ!

以下より、どうぞ。

331『ウェルチ部長と山尾くん』 ◆TC02kfS2Q2:2013/10/26(土) 11:42:15 ID:7gHgAyCE0

 「ヤマくん、いつもお菓子ありがとう」
 「あげませんよ」
 「これだけ良い香りがするんだから、わたしを誘ってる他ないと思ったんだけどね」
 「部長の独りよがりです。黙って練習してください」

 部活の後輩のため息を切り裂く勢いで、アーチェリー部の部長はずばんと標的に向かって矢を射った。矢が弾くクリッカーの金属音が
心地よい。さらに、弦音の切れは美しいハープの演奏を聴くよう。しかし、ここはグラウンドだ。音楽室ではないことなど承知。

 至近距離からリリースされたアルミニウムの矢が立て掛けられた畳へと吸い込まれながら突き刺さる。
 畳が立て掛けられたのは部活が自主練の為に立て掛けられたかったから立て掛けられたのだ。……と、フランス人形のような顔して、
アーチェリー部部長・真田ウェルチはのほほんとのたまった。上質な錦糸にも似たポニーテールなアッシュブロンドの髪が眩しい。

 ウェルチ部長はいつもこうだ……と、ヤマくんこと山尾修は額に小粒の汗を垂らした。部活に顔出したらこれだ。

 確かに修はお菓子を手にしている。百均で買った包装セットで彩られた焼き菓子、勘のいいウェルチは修の姿を見なくとも、
お菓子の存在を想像できた。さくさくで、派手さのないビスケットが修の持つビニル袋で踊る。飼い犬が飼い主に似るように、
いつも控え目な修の性格は自分が作ったお菓子にまで移るのだ。

 「やっぱ、上手い子を見ると妬いちゃうよね」
 「何ですか」

 部長の話は気まぐれだ。かんかんと照りつける青空がくるくると変わる夏のように。ただ、今は秋。そろそろいい加減いしてほしい。

 「アーチェリーだよ、アーチェリー。個人競技だからウチの部ってマイペースな子が多いけどね……それでもやっぱ、
  上手い子を目の当たりにすると悔しいし。だから、こうやってこっそり自主練してるわけだけどね」

 なるほど、部長は部長なりの……と修が頷きかけた途端、部長の気まぐれが再発。

 「今日、変な物を見たよ」

 手にしていた弓を地面に向けて下ろしたウェルチは、くるりと背後の修に顔を向けた。
 金色のポニーテールの髪が真っ青な空に弧を描く。アーチェリー部の部長をつとめるだけあって、腕も魅力も確かなもの。
 大人びた外見裏腹に子供にも負けない愛嬌を時折見せるから油断ならないので、修は部長に突っ込むのを止めにした。

 「何ですか」
 「犬が女子高生を拾ってたんだよ」

 部長でなければ即スルー。
 作り話ならば願い下げ。
 修は袋をぎゅうっと握り締めてウェルチの話に仕方なく耳を傾けた。

332『ウェルチ部長と山尾くん』 ◆TC02kfS2Q2:2013/10/26(土) 11:42:36 ID:7gHgAyCE0

 「逆じゃないんですか、普通。女子高生が犬を拾うってふうに」
 「この世で普通に捕われちゃ駄目よ」

 平然とした顔を崩さぬまま本日34本目の矢をセットアップ。近射練習は数をこなせ。千本射ってダメなら万本だ。
 そして、またクリッカーが響く。

 「確かね、ウチの生徒だったわ。制服からして高等部、リボンからして一年生」
 「続くんですか」
 「ダンボール箱にちょこんって入ってすやすや寝てたの。そこに犬が拾いにやって来たわ」
 「メルヘンめいてますよ、部長」

 ウェルチにその突っ込むは効かなかった。弾かれた弦から胸を守るチェストガードにあしらわれた猫のイラストの
デコレーションからもウェルチに潜む幼心がよく分かる。その照れ隠しなのか、ウェルチはお姉さん気取りを忘れなかった。

 「『わおーん』だの『わんわんおー』だの吠えながら、その子は拾い主の犬について行ったわ」

 修は無表情でウェルチの話を聞きつつ、記憶の太い糸を手繰り寄せていた。
 そして、本日35本目の矢が乾いた音を鳴らして放たれる。ウェルチが弦を手放す前に鈍い光りを反射した矢がずばんと畳に
突き刺さる……とは言い過ぎかもしれないが、ウェルチの矢はそんな比喩さえ真実味を帯びるぐらいのキレがあった。

 「さすがですね、部長」
 「作り話じゃないって。お姉さんの言うことは聞きなさいよ」
 「そういうことじゃなくて」
 「で、ヤマくんのお菓子。下さい」

 修の話を振り切ってウェルチは本日36本目の矢を従えた。

 「部長が食べるものじゃないんです」

 その後、ウェルチは合計60本の矢を射って、本日の自主練を終えた。
 「お姉さんの言うことは聞きなさいよ」と修に片付けを手伝わさせ、そそくさと帰宅の準備をした。
 修の姿は犬のようだった。

 制服姿のウェルチは北欧のハイスクールに通う娘にも似ている。
 ポニーテールはそのままに、雪と氷河と神話の国のガイドブックからそのまま飛び出してきた。そんな言葉さえも
恥ずかしげなく与えられる気品がウェルチの周りを囲んでいた。

 「ヤマくん、イートイン出来るベーカリーが出来たんだってね。奢るから行きましょう」
 「ぼく、人と会う約束してるから……」

 きびきびと歩くウェルチのフォルムは清く正しい。姿勢が整って見えるのは部活での賜物だ。

 「そっかぁ。ならば、ヤマくんのビスケット頂きます」
 「あげません」

 ウェルチはニコリと目を潤ませた。

333『ウェルチ部長と山尾くん』 ◆TC02kfS2Q2:2013/10/26(土) 11:43:44 ID:7gHgAyCE0

    #

 「わおーん!ありがとう!ヤマ先輩!わんわんわんわんわんナンバーわん!」

 仔犬も平伏す程の勢いで修に飛び付いたのは修やウェルチと同じ学校の女子高生だった。彼女はくるくると修の周りを廻り、
ときにあまがみ、ときに修の袖を嗅ぐ。修は出来の悪い妹が出来たかのような顔をして、彼女の言動をやんわりと許した。

 くんくん。
 はすはす。
 くんかくんか。

 修の髄まで嗅ぎつくす。

 「ヤマ先輩とビスケットの匂いは同じだっ」

 有り難いのかどうか判断に困るコメント。修は百均で買った包装セットに彩られたお菓子を彼女に差し出した。
 彼女に犬の尻尾があるのなら、クライマックスを迎えた指揮棒のように動いていただろう。

 「ともくん、やったね!」

 彼女はしゃがんでお菓子の袋をともくんに見せた。
 ともくんに生えた尻尾はクライマックスを迎えた指揮棒のように動いていた。

 「わん!」
 「ほら、ともくん。ヤマ先輩にお礼を言いなさい」

 ともくんは人間の言葉を操ることは出来ない。「わん!」という鳴き声や、つぶらな瞳、たわわな尻尾で訴えることしか出来ないのだ。
 なぜならば、ともくんは柔らかな毛並みに包まれたミニチュア・ダックスだから。
 喜びを抑えきれないともくんの口が、がさごそと袋を咥えていた。聴覚でも喉がつばきで鳴りそうでもある。

 「荵さん。これでいいかな。人間が食べるものと違って無塩バターとか使ったり、硬めに焼いたんだけど」
 「ともくんも『美味美味』だって」

 犬に拾われた女子高生・久遠荵はしゃがんでともくんの頭を撫でた。少し、胸が躍る。修は袋から一欠けらのビスケットを拾い、
ともくんの足元にぽんと投げる喜びをかみしめた。ドッグビスケットを作ったのは初めてだ。犬へのプレゼントは言うまでも無い。
 ただ、食べてくれる者が人だろうが犬だろうがお菓子作りが趣味の者ならば喜びは変わらない。目の前であれだけ尻尾を振ってくれて
いるんだから、修はもう何も言うことはないのだ。

 「わたしを拾ってくれたお礼だっ。遠慮なく食べなさい」
 「拾ったって」
 「わたし、今日、ともくんに拾われたんだっ。段ボールの中でうとうとしていたら、起こしてくれたんです」

 修は手を顎に添えてじっとともくんを見つめていると、荵は修の持つ袋からドッグビスケットをひとかけら摘んだ。

    #

 日が傾いた頃、女子高生が犬に拾われた現場をウェルチが通りかかると、すでに段ボールの中身は空っぽだった。
 きっと、いい犬に拾われたんだろう。今頃美味しいものでもおなか一杯に食べているのに違いない、と胸をなでおろす。

 「妬いてるんだろうな。自分のお菓子と比べられるから」

 ウェルチの手の袋に詰まったパン屋のパンのかおりが香ばしく夕暮れを飾っていた。


  おしまい。



カピバラさんは人懐こいです。ネコみたいに擦り寄ってきますw
投下おしまいです。

334名無しさん@避難中:2013/11/04(月) 10:51:34 ID:QPlz7fcIO
先輩! あれ、せんぱーい……

335名無しさん@避難中:2013/11/04(月) 23:01:14 ID:DtnGZdTc0
後輩ちゃんの人、もう来ないのかな。

336ダブルストップ[5]:2013/11/05(火) 01:17:56 ID:dvVPNhTc0

「……ナギちゃんってさぁ」

ニシトちゃんが、呟くように訊いてきた。

「好きな人とかって、いたりする?」


――なんだ、この唐突な質問は。
多少面食らったけれど、いちおう女子高生。そういうこと訊きたい時もある。


「んー、今はいないかなぁ」
答えてから、しまったと思った。案の定、

「『今は』ってことは、前はいたってこと?」
目を輝かせて訊いてくる。


――困ったなぁ。



 この高校に入ってしばらくして、そう言えばちょうど1年前のこのくらいの時季だったと思う。
 クラスの男子に告白されたことがある。

 付き合って下さい、ただそれだけだったけど、わたしはどうしていいのか分からずに、
「あなたのこと良く知らないので、ごめんなさい」
と言って断ってしまった。

――“とりあえず”でも、付き合っておけば良かったのかな?
そうすれば、彼の良さを見つけたり、いつの間にか好きになっちゃったりしたのかな?
そうでなくとも、“付き合う”ことの意味が分かったり、「練習」になったりしたのかな?


 結局、わたしはまだ誰とも付き合ったことはないし、そうなる予定もないままだ。当然、「気になる人」もいない。
 きっと、今のニシトちゃんにとっては先崎くんが「気になる人」なんだろう。

337ダブルストップ[5]:2013/11/05(火) 01:20:37 ID:dvVPNhTc0

「ねえねえ、ナギちゃんの気になる人って誰?」
「あー、いないの、ホントに。ごめん、興味ないわけじゃないんだけど」

――なんで弁解してるんだろう、わたし。

「ええー。でもナギちゃんは、歳上のカッコいいお兄さんとか似合いそう! 25歳くらいの」

――その年齢設定で思いつくのは、眉毛が無かったり人相が悪かったりする “組の若いもん” だけなんだけど……
もちろんその人達とは距離を置きたいと思っているので、恋愛対象になりようもない。

――「恋する乙女」ってのはこんな感じなのかぁ。

 ニシトちゃんを見ていると、およそ自分とはかけ離れた世界のようで、なんだか一気に老けこんだような気になる。

「学祭をきっかけに、付き合うカップル多いんだって」
 ニシトちゃんは楽しそうだ。

 1週間後には体育祭を控えている。その1ヶ月後には文化祭。
 この学校は、体育祭より文化祭の方に力を入れている気がする。

 1年生のときに観た演劇は、圧巻だった。
 それまで演劇なんて興味なかったのだけど、クラスの子が出るからという理由で観に行って、その独特の雰囲気にヤられた。

 “お祭り”なのだから、何が起きてもおかしくない。
 それをきっかけに付き合うカップルが出るのも当然に思える。


 わたしは、自分のこととして考えられない。
 ときめく要素が、何もない。



♪ ♪ ♪

338ダブルストップ[5]:2013/11/05(火) 01:25:40 ID:dvVPNhTc0

 夕飯は銀鱈の粕漬けだった。焼き目が見た目にも美味しそうに焼けていて、身はほろっと柔らかく、
口に入れると甘く香ばしい香りと、じんわりとした旨味がある。

 この粕漬けは小さい頃から食べていた。その頃はあまり好きではなかったけれど、最近こういうのの
美味しさが分かってきた。
 実は結構高いものらしい。この前デパ地下で母の買い物に付き合っていたとき、初めて知った。


「お母さんさ、」

 テーブルの向かいで箸を動かす母に声をかける。
 なに、と目だけを上げてこちらを見る。

――なんで、お父さんと結婚したの。

 言おうとして、言葉が喉の奥でつっかえた。

――なんか、恥ずかしいな……。

 いつも話すように、気軽に聞いてみようとしたけど、なぜか構えてしまう。

「なによ、どうしたの」

 母は、もぐもぐしながら怪訝そうに見ている。

「あ、えっとね……」

――なんて聞こう。ただ聞けばいいだけなのに。

 口ごもっているわたしを見て、母はくすっと笑った。

「そっくりねえ」
「? 誰に?」

 箸を置いて、柔らかく笑う。

「お父さん」


「……」

 目が点になった。

 鏡を見てないから分からないけど、きっとそうなってた。

339ダブルストップ[5]:2013/11/05(火) 01:32:28 ID:dvVPNhTc0

「なにか言おうとしてるんだけど、口ごもっちゃって結局言えないの。
でも、何を言おうとしてるのか分かるのよ、態度でバレバレなの。ホントそっくり。だから可笑しくって」

 母はくすくす笑っている。

――わたしって、お父さんに似ていたんだ……。

 よく考えれば当たり前のことなのだけど、わたしは他人事のように思った。

「お父さんって、若いころどんなだったの?」

 すっ、と言えた。
 言ってから、「あ、言えた」と思った。

 そうねえ、と母は楽しそうにわたしを見ながら、父との馴れ初めを話してくれた。途中途中に挟むわたしの
質問にも、面倒がらず丁寧に答えてくれた。

 それは、母が父との思い出を大切に思っている何よりの証しに思えた。



 わたしはその時初めて、本当の意味で父のことを好きになれたと思う。




.

340名無しさん@避難中:2013/11/05(火) 01:34:25 ID:dvVPNhTc0
↑以上で

望まれた人の投下でなくてすみません・・・

341名無しさん@避難中:2013/11/05(火) 23:29:06 ID:hvntLUE60
父と娘のお話って、いいやん!

342ダブルストップ[6]:2013/11/23(土) 21:05:32 ID:doLwRopE0

「ゆっくりしていけばよろしいのに」
「いやいや、お嬢さんがお帰りになる前に退散しまっさあ。ホント、ついでに寄っただけっすから」

玄関先でガタイのいい職人風のおじさんが、奥に向かって話している。
喉が痛くて熱っぽいので学校を早退してきたわたしは、その場面に出くわした。


玄関先にいるのは、マサキさんだ。
父の“子分”の中では古株で、歳もわりかし食っている。母と同年代くらいだと思う。

「……こんにちは」
低いトーンで顔も見ずに言う。

「おっ、お嬢さん。お帰りなさいませ。奥方、ではあっしはこれで」
マサキさんは、そそくさと去っていった。


「おかえり。早かったのね」
「……」
無言で通り過ぎる。


「具合悪いの?」
「……」
答えず、自分の部屋に入る。

343ダブルストップ[6]:2013/11/23(土) 21:08:10 ID:doLwRopE0

――やな奴だ、わたし。

 不機嫌オーラを全開にしてマサキさんを追っ払い、お母さんを無視して部屋に逃げ込んだ。
 具合が悪いのはたしかだけど、そこまで重症じゃない。


――なんだろうな、さっきのは。

 マサキさんとお母さんが親しく話しているのを見て、なぜだか許せない気持ちになった。

――お母さんを独り占めしたいのかな?

 子供っぽいと思う。けど、マサキさんはお母さんと同年代だ。
 お母さんは、お父さんよりマサキさんと並んだほうが夫婦として見られる。


 そんなこと、あるはずがないけれど。
 想像しただけで吐き気がする。お母さんを嫌いになる。

――なんだろ、この嫌悪感。

 髪をぐしゃぐしゃにかき乱す。

 制服を脱ぎ散らかして、ベッドに潜り込む。

 布団の中で縮こまり、取り留めの無い考えに溺れる。


♪ ♪ ♪

344ダブルストップ[6]:2013/11/23(土) 21:12:13 ID:doLwRopE0

 夢を見ていた。
 体育祭の夢だ。

 昼休みになって、みんな家族の広げるピクニックシートのもとに帰る。
 まるで小学校の運動会のような光景に、わたしは高校生のまま、そこにいる。

 みんな、家族が大勢シートにいるのに、わたしの帰る先はお母さんひとりぼっちだ。
 しかも端の方に居て、そこへ帰るのがなんだか惨めな気分になる。

――あ、またこの夢だ……。

 以前にも見たような気がする。
 夢の既視感、というのがあるのか知らないけど、そういう感じだ。


 シートのところまで来ると、さっきまでは居なかった、“組の人たち”がお母さんと一緒に居た。
 みんな、わたしを受け容れてくれる。褒めてくれたりねぎらってくれたり。
 認められている、という感じがわたしをホッとさせる。


♪ ♪ ♪


――なんで、今頃あんな夢……。

 目が覚めて、溜息をつく。
 くだらないし、呆れる。

 高校生の体育祭に、家族の広げるピクニックシートはありえない。
 小学校の頃ならたしかに、お母さんだけだったけれど、近所の子の家族と一緒になって、みんなと同じく
シートを広げてお弁当を食べた。
 そこにお父さんは居なかったし、組の人も居なかった。

――わたし、寂しいのかな?

 だとしても、アレはありえない。

 気分が悪い。
 さっさと支度して忘れよう。

345ダブルストップ[6]:2013/11/23(土) 21:17:16 ID:doLwRopE0

 時間にはずいぶん早いけれど、家を出た。
 びっくりしているお母さんを横目に、お弁当も持たずに出た。
 途中のコンビニでサンドイッチでも買おう。


 イライラする。

 何に? 自分でもわからない。

 こんなでも、教室に入ればいつも通りだ。ニシトちゃんの笑顔に、同じく笑顔で挨拶する。
 退屈な授業も、他愛ないお喋りも、いつも通り。


 “いつも通り、仲の良いクラス” を装うことは簡単だ。本音を剥き出しにしてしまえば、余計なトラブルを抱え込むことになる。
たとえ表面上でも、和やかなふうにして摩擦を防ぐ。

 みんなそれを無意識にやっている。
 で、そのストレスを気のおけない友達の前で吐き出してすっきりする。
 でないと、やってられない。


 面倒くさいな、といつも思う。
 でも、ある意味 “マナー” や “しきたり” みたいなものだと思っている。

――これって、“嘘をついている” ことになるかな? 

 嘘とは違うと思う。
 でも、“なんか嫌だな”という思いが拭えない。

 それを、見透かすように見ている人がいる。

 例えば、タカハシくんだ。

346ダブルストップ[6]:2013/11/23(土) 21:21:10 ID:doLwRopE0

 タカハシくんも、1年の時同じクラスだった。すれ違えば挨拶くらいする。わたしも彼も部活に所属していないので、
放課後にふらふらしていると彼に遭遇することがある。

 特別親しいわけじゃない。どちらかと言うと、わたしは苦手なタイプだ。
 1年の時はバスケ部だったけど、先輩や同学年(タメ)と揉め事になって辞めたと聞いた。
 不良、というわけじゃないけど、どこか斜(はす)に構えた態度や人を喰ったような物言いは、なんとなく近寄りがたかった。


 タカハシくんは、見抜いている。
 わたしたちが、表面上でだけ仲良くしていること。
 ホントは嫌っているくせに、友達を装って親しげにしていること。

 何を言うでもない。
 ただ、わたしを見る彼の目は冷たい。
 自分の後ろ暗いところを突かれたようで、長く会話していたいと思わない。


♪ ♪ ♪


「ニシトちゃんさぁ、タカハシくんのこと知ってる?」
「バスケ部の? “元・バスケ部”か。あ、ナギちゃんもしかして!」

「とんでもない! やめてよ、もう。ぶっちゃけ、苦手なんだよね。あの人」
「あ、あたしも〜。なんか、上から目線っていうか」
「見下されてる感じするよね」
「正直言って、嫌い」


 タカハシくんの悪口で盛り上がった後、ニシトちゃんは
「ナギちゃん。悪いコト言わないから、あんなのやめといたほうがいいって」
「いや、そんなつもり1ミリも無いし」

 ニシトちゃんはその後、真面目な人が一番だの、グループの中の目立たないキャラにこそイイ男がいるだの、
個人的見解をたっぷり披露したのだった。


♪ ♪ ♪

347名無しさん@避難中:2013/11/23(土) 21:23:40 ID:doLwRopE0

以上で

348名無しさん@避難中:2013/11/27(水) 07:42:47 ID:6C1HxzfU0
ニシトちゃんかわいい。

349名無しさん@避難中:2013/12/27(金) 00:34:14 ID:JguT3Oog0

コンパクトに描くはずがつい長くでかくなるという
http://imefix.info/20131227/121201/rare

350 ◆wHsYL8cZCc:2013/12/27(金) 00:38:35 ID:QvAb36G20
ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

351名無しさん@避難中:2013/12/27(金) 04:58:51 ID:53rJVmjM0
かわいいけど強そう

352 ◆46YdzwwxxU:2013/12/28(土) 04:38:57 ID:4K7OZBow0
なんか心配かけたみたいでごめんなさい。
なんか気が滅入ってやる気ゼロだった。
感想とかは遅ればせながらおいおい……。

久し振りに投下でもしようかなって。

353先輩と氷の張るいつかへ ◆46YdzwwxxU:2013/12/28(土) 04:43:38 ID:4K7OZBow0

「先輩、最近めっきり寒くなりましたが、カイロなどいかがでしょうカイロ」
「いらない」
「私が寒いんです!」
「話の流れおかしくないかな」

 寒い。
 絶対に寒い。
 正面から吹きつける北風の冷気に、俺は学園制服の襟を引き寄せていた。そうする手からもみるみる熱が奪わ
れ、拳の皮が突っ張っていくのが分かる。寒いどころかもはや冷たい。
 ほうと吐いた息が白くなっているのを確かめて、俺はどこか安心にも似た感情を抱いた。これで白くなかった
らと思うと何とも切ないではないか。
 今年初めて実感できた、冬の到来だった。

「おかしい? 今、おかしいっておっしゃいましたっ?」

 このクソ寒いのに、後輩は今朝も元気いっぱいでうざい。普段何を食っていたらこんなテンションでいられる
んだろ……。まさか一般にそうは口にしないようなものを常食しているんじゃないだろうな。何かの幼虫とか。

「おかしくなんて、ありませんよ。よく雪山で遭難した方たちがやってるじゃないですか。ふたりでぎゅーっと
抱き締め合って、お互いの体温を奪い合う、あれ! あれがやりたいです!」
「最悪な表現の仕方だな」
「フッ……愛とは奪い合うもの」
「そういうこと言ってんじゃないんだよ」

 迷走気味で不毛なやり取り。寒さで頭が働かず、ツッコミも覚束ない。おお寒。木枯らしに怯えて、首が襟の
中に引っこむ。
 そんな俺の隣でくるくる動く後輩は、カイロほどではなくても、確かにここらで一番お手頃な熱源だっただろ
う。サーモグラフィーとかで見たらそこだけ浮いてそうだ。……ただでさえ普段の言動で浮いてるのに。

「とにかく、私たちも手と手を取り合えば嬉し恥ずかし赤外線通信で心も体もぽかぽか温かくなるに違いありま
せん。ほら先輩、お手っ!」
「その台詞でお前の手を取るのはMっ気あるやつだけ――」
「ちょ、あなたじゃないですよ、わんわん先輩。……あっ……、やめて、はっ、はなしてっ!」
「!?」

 ちょっと目を離した隙に、どこからともなく合流したわんこ系演劇部員久遠荵が、後輩の手をひしと掴んでい
た。指と指ががっぷり組み合った、いわゆる恋人繋ぎだ。
 訂正する、Mっ気あるやつだけじゃなかった。世の中には色んなやつがいる。差し出された手にむしゃぶりつ
かずにはいられないやつとか。

「よいではないかーよいではないかー野良犬に噛まれたと思って」
「保健委員に、通報しますよっ」

 それって保健委員会の管轄だったのか。初めて知ったぜ。

354先輩と氷の張るいつかへ ◆46YdzwwxxU:2013/12/28(土) 04:44:53 ID:4K7OZBow0

「おはよっ」
「おはよう」

 うーうーもーもー唸りながら、絡みついた指を一本一本引き剥がしに掛かる後輩を尻目に、俺も久遠と軽く挨
拶を交わす。

「どうしたーサッキー・ザッキー? テンション低いねっ」

 やたら愉快なニックネームをちょうだいするが、ツッコんでいくエネルギーがない。

「お前らがハイすぎるんだ」
「犬は喜び庭駆け回るっ」

 わおーん。久遠荵はこの寒さをも楽しむというのか。こたつで丸くなっていたい派の俺とは相容れない。
 ……しかしなるほど、案外、最初からこれくらい開き直って飛び出したほうが、おっかなびっくり外に出るよ
りマシなのかもしれない。ある程度までは心の問題でもある。
 ちょっと感心している横で後輩が息を切らしていた。

「固い、固すぎです……。さすが一度噛みついたら離さないブラックドッグ。……先輩、マッチを、マッチを売
ってください。火で炙ったら逃げてくかも」
「ヒルみたいだな」

 当然ながら、俺のような綺麗な肺をした高校生の持ち物の中に火種などあるわけもない。不思議な事情で持っ
ていたとしても、怖くて後輩にだけは貸せないが。

「ぐぬぬ、……わかりました。私の負けです。降参します。だからわんわん先輩、そっちの手もください」
「うん?」
「にくきゅう! にくきゅう!」
「ぎゃー」

 後輩が久遠の手のひらのツボを圧しまくってどうにか拘束を振りほどき、そのままダッシュで学園の正門を走
り抜ける。

「まてー!」

 背を向けて逃げる者あらば追わずにはおれない肉食獣の習性をいかんなく発揮して、久遠荵も駆け出した。
 白い息に霞んだそんな光景を微笑ましく眺めながら、俺自身も気持ち早足になっていたことに気づく。
 冬の到来である。
 氷が張るのはいつだろう? そんなことを考えた。



 おわり

355先輩と氷の張るいつかへ ◆46YdzwwxxU:2013/12/28(土) 04:46:31 ID:4K7OZBow0
以上です。
じゃあ俺は冬眠するのであとはヨロシク(?)

356名無しさん@避難中:2013/12/29(日) 12:30:47 ID:Srpn1stgO
噛むなwww

357わんこ ◆TC02kfS2Q2:2013/12/29(日) 18:50:30 ID:1jiXFCIc0
>>352
わお!荵だ!
しかし、後輩ちゃんの方が荵よりイヌ力(ちから)強いw

投下します。後輩ちゃん!

358カップルウォッチャーととろの冬 ◆TC02kfS2Q2:2013/12/29(日) 18:58:24 ID:Srpn1stgO

 おはー?近森ととろだよ!

 みんな、今日も素敵なデート日和だね!わたしたち高校生は金も名誉もないけれど、自由と可能性を秘めたお年頃だから、
過ぎ行く毎日を謳歌しなくちゃね!さもなければ、恋愛の神様からの激おこぷんぷんなバチが当たるんだぞ?
 さて。今年もあとわずか!寒くなって久しいし、日も落ちるのも早いけど、想い合う二人が急接近するには、絶好のチャンスだよ。
恋愛だってフリーダム!当たって砕けてイチャコリャしあって、一冬の過ち……いや、正しい恋だよ!ハイスクールをエンジョイだよ!
 そんな二人を陰ながらこっそりひっそりちゃっかり応援しちゃうのは、カップルウォッチャーの指命なんだよね。

 ただ、応援してるだけではもったいない!MOTTAINAI!わたし、近森ととろは二人を美味しくつまみ食いしちゃいますです!
 触れるとやけどしちゃいそうな男子女子を遠くからのぞき見……いやいやいやいやいやいや!つまみ食いするだけですから。
今日もわたしのオペラグラスが火を噴くぜ!

 風は寒いけど、空は鉛色だけど、笹森公園のお子様滑り台の上でのカップルウォッチング、はっじまるよー!

 「何か見えますか」

 おっと、黒咲あかねちゃん。
 演劇部の台本片手に恥ずかしそうにほっぺを赤くしてる様は、待ち合わせの時間迫った女の子みたいだね!
 黒髪ロングにクローバーの髪留め、黒タイツのおみ足は少女からオトナへの中途半端なお年頃を演出してるんだよね?知らないけど。
 そんなあかねちゃん、滑り台の上に登ってきやがれ!わたしのオペラグラスをのぞいてみるかい?
 凍てつく冬のささやかなホットココアだと思って、はい。召し上がりやがれい。

 「どう?恋したくなった?」
 「え……うそ?」

 え……って、それはわたしのセリフだよ?あかねちゃん。オペラグラスから何が見える?

 「ちょ、そんな大胆な……」
 「なに?」
 「見えちゃう……見えちゃうかも」
 「ええ?」
 「わたし……恥ずかしいですっ」

359カップルウォッチャーととろの冬 ◆TC02kfS2Q2:2013/12/29(日) 19:00:03 ID:Srpn1stgO
 待って!なぜ顔を赤くする?あかねちゃん?わたしがのぞき見してたのは、恋愛若葉の男子とゆるっと背伸び女子だよ?
指触れ合うのもためらう時期なのに、いきなりR指定の展開はいくらなんでもビター過ぎます!映倫が許してもわたしは許しません!
 わたしはとんびが油揚げをさらうようにあかねちゃんからオペラグラスを引ったくり、目の前モザイク覚悟でのぞいてみるっ。

 「あれ……いない」
 「うそですっ」

 あかねちゃん!更に顔赤くするなら、なぜうそをつく!
 恥ずかしそうにあかねちゃんは滑り台をつるっと滑っていった。

 「わおっ。ハスキーがやって来たよっ。これで連合犬隊の完成だっ」
 「久遠っ」

 相変わらず、荵ちゃんはわんわんわんわんだね。スマホをいじくりながらわんわんわんわんだっ。
 わんわんわんわんと滑り台を駆け上る姿は雪やコンコと庭駆け回るマメシバだっ。

 「あっ。ととろのお姉さまっ。マフラー暖かそうですねっ。アマガミさせて下さいっ」

 「荵ちゃん、そうは簡単にラブラブなおすそ分けはしてあげないぞ」
 「うーっ、いけっ!ハスキーにボーダーコリー!ととろのお姉さま、雁首揃えて堪忍しろいっ」

 スマホの中の『わんこれ(わんわんこれくしょん)』は三次元には効かないと思うよ……。


 「ふわぁ。サモエドがお年玉持ってきてくれないかなっ」

360カップルウォッチャーととろの冬 ◆TC02kfS2Q2:2013/12/29(日) 19:01:00 ID:Srpn1stgO
 荵ちゃんもあかねちゃんも演劇部の一年生。かわいい後輩なのに、白馬の王子さまの影も形も見えないのは、お姉さん悲しいぞ。
 いつか、荵ちゃんやあかねちゃんがラブラブどきゅんなピンライトを浴びるシーンをのぞき見してやんからね。

 「新年ですね!」

 そう。世間はお正月まっしぐら。おかっぱ黒髪ショートのあの子も滑り台の下からそう叫ぶ。

 「後鬼っ」
 「黒咲さん、上の名前で呼ばないで!」
 「閑花ちゃん静かにっ。ハスキーが逃げちゃうっ」
 「荵ちゃんは上手い事言ったつもりだけど、小さい頃からそう呼ばれ慣れてますから」




 後鬼閑花。人呼んで後輩ちゃん。彼女はハートが強い。

 世間は間もなく大晦日
 なのに、ケンカなんてめっだぞ。
 なのに、みんな……さみしくないの?
 初詣は憧れのあの人と密着するチャンスなのに。
 熱々の屋台のタコ焼きをお互いにあーんしあったり。
 神様に「誰それと結ばれますように」と無茶振りしたり。

 そんな風潮を物ともせずに、閑花ちゃんはスカートを翻しながら滑り台の階段を駆け上がってきた。
 わんわんわんと荵ちゃんは滑り台から飛び降りる。

 「わたしも先輩と年越しにひめはじめです。の、予定です。プリンセススタートです」


 そうね。閑花ちゃんには先崎くんっていう、素敵な王子さまがいるしね。王子さまというより、みどりの黒髪をなびかせた
剣の腕立つ幕末の志士って感じだけど。ツッコミがまるで抜けば球散る、名匠が鍛えた氷の刃のようなんだよね。
 閑花ちゃんと先崎くんとのコンビはこの学園に通う者なら誰しも知っているだろうなあ。この!この!ね!閑花ちゃん!

 「あれ?荵ちゃんと黒咲さんは?」

 きょとんと取り残された閑花ちゃん。気が付いたらわたしとふたりぼっちだよ?

 本当だ。
 マジだ。

 あれだけ騒いでいたわんわん王・久遠荵も黒タイツ・黒咲あかねも姿をくらましている。
 残されているのは演劇部のノートだけ。

 「あれ?メール?……あかねちゃんからだ」
 「ととろ先輩!そんな二人より、わたしの先輩との甘くてミルキィーな年末年始計画を聞いて下さい!
  まず、冬風寒い仁科橋の上で待ち合わせをします。真っ暗な中、川の流れを聞きながら待つ先輩を背後から襲撃します」
 「『オペラグラスで公園の入口方面を見てください』?」

361カップルウォッチャーととろの冬 ◆TC02kfS2Q2:2013/12/29(日) 19:02:29 ID:Srpn1stgO
 あ。
 見えた。

 あかねちゃんだ。
 荵ちゃんだ。
 あかねちゃんは誰かの役を演じてるみたいだ。
 同じく荵ちゃんも誰かの役を演じてるみたいだ。
 声は聞こえないけれど、この学園に通う者なら誰しも知っているようなやり取りを完全完璧に演じてる。

 言わずと知れた……先崎くんと閑花ちゃんだ。

 「新年の刹那は先輩と閑花ちゃんとの鼓動を分かち合いながらスタートです!
  わたしは両手で、先輩は背中でお互いのドキドキを伝えあうんです!当ててんのよ!」

 閑花ちゃんの浮足立つ演説に一秒違わずにシンクロする荵ちゃんの演技。それを先崎くんのツッコミを憑依させたと言っても
過言でないあかねちゃんの切り返し。わたしの目には、どう足掻いても閑花ちゃんと先輩くんのやり取りにしか見えない。
 もしかして、あかねちゃんが持っていた演劇部のノートに、そんなこんななストーリーが書かれているのかもしれないけれど、
それを確かめる術をわたしが持ち合わせているはずはなかった。聞けばいいんだけどねっ。

 遠くで丁々発止なサイレント劇が開演しているのも知らずに閑花ちゃんは桃色の目をしてわたしにラブプロジェクトを話し続けていた。

 「ふと先輩が見せる少年にわたしは大人の舌を教えてあげるんです!『先輩も初めてですか?はい!わたしもです!』って」

 わたし、近森ととろはオペラグラスを手にしながら、閑花ちゃんの年明けに幸多かれと祈ったのだった。


    おしまい。

わけあって携帯で。

おまけの後輩ちゃん。
ttp://download5.getuploader.com/g/sousaku_2/673/shizuka01.jpg

投下おしまい。

362名無しさん@避難中:2014/01/01(水) 02:23:45 ID:zY7eATb20
あけましておめでとうございます!
初投下はもらったぜ!

363SENPAI,STAND‐BY! ◆46YdzwwxxU:2014/01/01(水) 02:26:38 ID:zY7eATb20


「YO! YO!」
「!?」

 放課後になるや、いつもの後輩がやって来た。そこまでなら、まあ、いつも通りなのだが。
 異様だった。
 ……ここまでもいつも通りか。思えば、この娘は毎回登場の度に一味違う異様さを提供してくれているような
気がする。
 毎度のことなのでそれはもうだいぶん慣れたと思っていたのだが、そんな俺でも今日の後輩にはさすがに動揺
を禁じ得なかった。
 劇伴音楽とダンス付きだったのだ。
 彼女が肩に担いでいるのは、ラジオカセットレコーダー、いわゆる“ラジカセ”。カラーは高級感のある光沢
のワインレッド、なかなかのコンパクトさに、丸みを帯びた優美なフォルム。スピーカーからは心臓を突き上げ
るようなサウンドが迸る。
 内心で調子に乗りまくっていることが一目でわかる陶酔の表情。卸したて同然に綺麗な上履きのカカトが、前
後左右の床を小気味よく叩いていく。
 リズムに合わせてゴキゲンに体を揺すりながらだんだん近づいてくる黒髪おかっぱの彼女は、なんか新手の怪
談っぽかった。

「放課後KYOU‐SHITSU(教室)! 気になるAITSU(あいつ)!
 彼女はKOUHAI(後輩)! 俺はSENPAI(先輩)!
 寒い時代だ人心KOU‐HAI(荒廃)! 帰り道とかマジSHIN‐PAI(心配)!」

 YO! YO! YO! HO!
 メロディに乏しい曲を、音韻を踏んだ詞と軽やかなタップが形にしていく。俺としてはあまり馴染みがないジ
ャンルだが、ラップというやつだろう。

「家まで送るYO! 近頃BUSSOU(物騒)!
 悪いですYO! 惚れてしまいSOU!?
 遠慮すんなYO! 俺はSENPAI(先輩)!
 そこまで言うならやっぱりONEGAI(お願い)!
 心の! 壁をTEPPAI(撤廃)!
 ドキドキ! お布団STAND‐BY(スタンバイ)!」

 ラジカセがごとりと床の上に置かれ、自由になった両手が空気を掻き混ぜ始めた。
 二挺の指鉄砲が、落ち着きなく何度も俺に向かって突き出される。
 ……それにしても何というウザさだ。

「Ah〜ふたりー! 恋をしたりー! このまーまー! 朝まーでー!」

 何故かここだけはラップ調ではなく伸びやかに歌い上げていた(ダンスはそのまんまだったが)。

364SENPAI,STAND‐BY! ◆46YdzwwxxU:2014/01/01(水) 02:28:44 ID:zY7eATb20
 YO! YO! YO! HO!

「春は!? あけぼの! YOYO白く! なりゆく山際少しあかりて!
 紫だちたる! く・も・の! 細く! たなびき! たるYO!!」

 ブチッ。
 やっとラジカセが沈黙。後輩がかっこいいポーズをキメる。

「……」
「……」
「……アーハン?」
「……」

 謎のヒップホッパーと化した後輩に、俺は何と言葉を掛けてやるべきか悩んだ。
 ちなみに、この教室にはまだぼちぼち生徒が残っていたが、すぐに興味を失ったようで、自分の帰り支度に戻
っていった。不本意にもセットで扱われがちな俺としてはありがたい。

「先輩、いっしょに帰りましょう」
「何だったんだよ!!」

 テンションを戻して何事もなかったかのように微笑む後輩に、俺は心の底から叫んでいた。

「“ラップやってる女の子はCOOL、カップル成立楽しいSCHOOL”、そういう話を聞いたのです」
「そ、そうか」

 ……COOL(ここでは“かっこいい”の意だろう)であることについて異論を挟みたいわけでは全くない。
 だが、後輩がかっこよさの演出のためにそれをチョイスしたということに何だか漠然とした違和感のようなも
のが残るのだった。歌詞も意味不明だったし。

「ていうか、どうせただのウケ狙いの一発ネタだろうが! 嘘を吐くな、嘘を!」
「ネタぁ!? ひ、ひどいです! あんまりです! 私だって真面目に考えたんです! ……ほんとはそんなに
真面目じゃなかったかもですけど。
 これまで私は先輩にあらゆる手段を使ってコナかけてきました。コケチッシュに、キュートに、ガーリックに、
ロマンチックに、ドラスティックに、そしてセクシーに。でも、どれもうまく行かなかった。――何故か!? 
先輩はかっこいい女の子がタイプだったから! でしょ!?」
「ガーリックじゃないよ」
「話を逸らさないでッ」

 どうやら素で間違えたらしい。

365SENPAI,STAND‐BY! ◆46YdzwwxxU:2014/01/01(水) 02:29:39 ID:zY7eATb20

「ふふっ、閑花ちゃんともあろう者が騙されましたよ。先輩は、おとなしく、献身的で、癒し系の子がタイプな
んだろうと思ってました」
「そう思っててやってた言動があれかよ!」
「これからはかっこいい、さばさば、ふいに鯖味噌が食べたくなってきましたね、いっしょにいると落ち着く、
そんな閑花ちゃんでいたいです」
「まずは連想したことを垂れ流さずにはいられないその口どうにかしろ」
「え? それはちょっと難しい……」
 
 クールでさばさばした後輩など一生見られそうもなかった。

「それはそうと、俺は今日、大切な用事があるから付き合えない」
「奇遇ですね! 私もたった今、先輩に付き合う用事が発生したところです!」
「悪いが俺の用事は一人用なんだ。特定秘密保護ってやつだな」
「YO〜……」

 きっぱりと拒絶すると、分かったのか分かってないのか鳴き声のような返事。
 いや絶対分かってないわこれ。
 しかし、先約があるのは事実ではあるが、作詞作曲振付練習までしたその情熱を考えると、ここで突き放すの
は心苦しい。方向性を激しく間違えていてもだ。
 ……いや落ち着け先崎俊輔。ほだされてはいけない。心を鬼にするのだ。その気もないのに期待させるほうが
残酷というもの。優しさって、何だ?
 俺は鬼だ。女子供も笑って殺せるマシーン。奴らと同じ戦うためだけの生物兵器だ。誰だよ奴ら。意味の分か
らないセルフツッコミのせいで自己暗示をしくじる。長時間磁石に触れ続けた鉄塊が磁力を帯びるように、どう
やら最近は俺の言動もおかしくなりつつあるらしい。
 ほんとうの優しさを貫けず、ついどう埋め合わせしようなどと危ないことを考え始めてしまったところで、む
むむと不満げに唸り声を上げていた後輩のほうが先に我慢の限界を迎えた。

「もういいです! 先輩のバカ! あほ! ヤレヤレ系! 植物性プランクトン!」

 ……もしかして草食系男子と言いたかったのだろうか。
 よく分からんが、馬鹿と阿呆だけは分かった。何だとこのヤロウ。

「……何ですか都合が悪くなると用事、用事って。私と用事だったら、断然、私のほうが大事なはず……」
「都合が悪くなると用事というか、用事で都合が悪いんだけどな」

 拗ねたように目線を伏せてなじるその心情はさすがの俺にもそれなりに理解できる。まだ恋人でも何でもない
という一点さえ度外視すればではあるが。

「そんなに大切な用事が大切なら、私にだって考えがあります……」

 きっ!と鋭く俺に向けられた後輩の涙目は据わっていた。

「明日私といっしょに帰ること、先輩の大切な用事にしてください!」




 おわり

366SENPAI,STAND‐BY! ◆46YdzwwxxU:2014/01/01(水) 02:32:39 ID:zY7eATb20
以上!
今年もよろしくお願いします!
……よく見るとこれ正月全然かんけーねーな
あとごめん一気にはちょっと無理なので二つくらいずつ感想書いてく。


>ダブルストップ
ナギサワさんは女子高生らしい感受性や思慮深さと、大人びているようで世間ずれしきってない感じがよく出ていると思う。
実家がヤクザってのはえらいデリケートな事情だけど、やっぱり親子は親子なんだねぇ。

音楽の教養のまったくない俺にも、何となくはどんな感じになったのか想像できるあたりがすごい。
音楽の表現ってすごい難しいだろうに、よくやる!

先崎www公務員www言われてみるとそんな感じするかも。
ニシトちゃん女の友達っぽくて可愛い。

しかし一番好きなのはコツガイ先輩だったりする。情熱というか、男の子らしい無邪気さがいい。

投下毎じゃなくてまとめての感想になってしまってすまないが。



>>358
ととろのテンションが完璧w
G´sマガジンで連載されてるヒロイン目線のSSみたいだw

最近あかねちゃんの女子力が上がっている気がする。もっとクールビューティ系の人かと思っていたw二つ名が「黒タイツ」w
迫先輩、そろそろ手を出さないとホモだよ。

「ととろのお姉さま」ってなんか……いいな!

「聞けばいいんだけどねっ。」でなんだか世界が広がった感じがした。ここが一番好き。

>>361
こ、これは開脚してるけどスカート等で大事な所が隠れている画像ではないかね!
なんとはれんちな……
もうね……はれんちな……

367名無しさん@避難中:2014/01/17(金) 12:33:54 ID:ECQfsj7UO
ととろのお姉さまー

368名無しさん@避難中:2014/03/01(土) 21:18:37 ID:7hj0ea7w0

 学校の創作部の部室に入ったら、葎っちゃんたちが騒いどるけん何かちゅうたら

 「本板のサーバーが移転した」っちなぁ。

 サーバー?
 鯖より鰹やろ!
 鰹のタタキで真っ白なご飯何杯でもいけるきん!
 わたしの力作絵皿に鰹の盛り合わせでもりもりじゃ!

 はっ。

 忍び寄る影!

 頭だけ魚!

 聞こえる声!

 「鰹とは違うのだよ!鰹とは!」

 何言ってるちや!鰹こそ正義!高知では竜馬と鰹の悪口言うたら叩かれるけにな!

 ……って、誰や!?

 「鰹とは違うのだよ!鰹とは!」

 は……間黒?

 マグロ人間?泳ぐだけの人生さ?

 高知には『カツオ人間』がすでにおるきんな!
 ウソ思うたらググれ!『バ○ィさん』より『カツオ人間』の方がメジャーじゃきん!
 土佐をなめたらあかんぜよ!こっち来ん!タタキにしちゃるきん覚悟せいや!

ttp://dl1.getuploader.com/g/6%7Csousaku/812/shino_katuo.jpg
 

 『カツオ人間』
ttp://matome.naver.jp/odai/2134517710621386501

369名無しさん@避難中:2014/03/01(土) 21:19:28 ID:7hj0ea7w0
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/3274/1327657246/171

 こんばんは!高知の黒潮に育まれてやってきた!
 土佐の陶芸少女こと浅野士乃じゃきん!
 元ネタじゃきん!

370名無しさん@避難中:2014/03/01(土) 21:23:53 ID:kAXBW5BQ0
こわいってばwww

371名無しさん@避難中:2014/04/10(木) 01:33:05 ID:S9dJziQo0
ksks

372名無しさん@避難中:2014/04/12(土) 22:08:50 ID:Rl18IJHM0
黒鉄兄妹。
http://imefix.info/20140412/431201/rare
前回描いた亜子ちゃんの外人レイヤー臭がやばかったのでリベンジを。

373名無しさん@避難中:2014/04/12(土) 22:12:07 ID:nHCvOX8s0
おつおつ。兄ちゃんかこいいなw

374名無しさん@避難中:2014/04/13(日) 12:38:29 ID:v1Se.ZpI0
わぁぁああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

375名無しさん@避難中:2014/04/27(日) 00:50:59 ID:912.X6Ss0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5020288.jpg

376名無しさん@避難中:2014/04/27(日) 00:53:01 ID:PIfRwqzI0
ハードロック彼方ざゃねーかw

377名無しさん@避難中:2014/04/27(日) 01:18:05 ID:dsq3qo2Y0
乗り込むなwwwww

378名無しさん@避難中:2014/04/27(日) 01:19:30 ID:dsq3qo2Y0
ていうか今みたら鶏の亡骸がやばいwwwwwwww

379名無しさん@避難中:2014/04/27(日) 10:14:04 ID:1rgeXXYY0
「なにー!わおー!ケモから乗り込んで来たっ!ほら、おもてなしだっ」

ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/793/shinobu10_2.jpg

380名無しさん@避難中:2014/04/27(日) 18:13:48 ID:MBzXHxko0
>>375
これってどちら様?

381名無しさん@避難中:2014/04/30(水) 13:54:14 ID:TlGMTzWkO
多分これから登場するんだよ。ニワトリ以外……

さて、タロット企画もまたはじめませうか。

382名無しさん@避難中:2014/04/30(水) 20:51:48 ID:I7URM8XY0
>本スレ
うわあああああああああああ
ドヤ顔、舌ぺろ、巨乳、全てがかわいい!
かわいいは、正義!

383名無しさん@避難中:2014/05/03(土) 18:13:18 ID:8FuJKGYsO
ととろ様のどや顔は至高なり

384名無しさん@避難中:2014/05/06(火) 15:29:42 ID:V5b2XL3I0
わんこ氏のおかげでキャラがますます好きになるから
困るよ
まったく罪なお人やよ

385名無しさん@避難中:2014/05/09(金) 20:57:23 ID:kx47F8TE0
>>305
てんつきさんマジ隠者! ……ん?月か。どっちだ!
いつになく表現が詩的というか、歌詞っぽい感じ

>>307
向田久し振りすぎだろw下の名前思い出すのに三秒掛かったぞ! 主人公属性の癖に(故に?)全然出てこないからなッ
しかし出所不明の不審なディスクを読ますとは勇気あるな。
……葱すけならビールス入りとかそういう怪しい臭いは嗅ぎ分けるのかもしれないが。流行りの利尿剤タクシーとか喰らわなそうだもんな。

>>311
あの字ちゃんは出てくるたびに可愛さがアップしている気がするんだ。
千鶴はいい女だ。

>>330
バケネズ……カピバラか。
動物に乗っている女の子って興奮するよね!(!?)
猫とかさりげに可愛い趣味していやがる。実はオオヤマネコとかかもしれんけど。

>>331
お菓子にも人格出るのか……まっじで?
「お姉さんの言うことは聞きなさいよ」とか言われてみたい台詞だなー。
何を隠そう、俺も小学生のみぎり、市販の犬用ビスケットをおやつにしてしまったことがあってね……。
意外とほどよい甘さで美味しいんだよなアレ。

>>368
かつおにはマヨネーズが合うよ。
食べ飽きたころには特に合うよ。

リアル士乃クソワロタ。
パプワくんの敵にこんなモンスターがいた気がする。

>>372
すげー力作w
腕を組んでいる仲良し兄妹というより暴走のあげく妹に逮捕されているように見えるがw
黒鉄兄はほどよいバカっぽ……もとい愛嬌のある懐の深さがいいな。
懐だけに。

>>379
何だ!?
お前らなんて怖くねーぞ!?
掛かって来い!(シュッ!シュッ!)

386名無しさん@避難中:2014/05/09(金) 22:16:37 ID:kx47F8TE0
本スレ>>63
亜子ちゃん……なんつーパワー……
兄貴の顔が濃くて笑う

本スレ>>65
何でだよ!
お前何を狙ってるんだよ!

本スレ>>66
りっちゃん……しばらく見ない間にこんなたくましいボトラーになっちまって……
もう完全にネギで覚えてるのかw
松戸とか意味ねーな。は? 続きって何のこと?

本スレ>>75>>76
文章とイラストが合わさり最強に見える。
たまにはボクシンググローブも悪くないわ。
執拗なまでの水玉模様がポップだ(←ホントはもっと別の表現がしたい)。

本スレ>>83
女の子特有のジレンマか。
俺も亜子ちゃんにボコボコにされたいジレンマ(?)
あまもとさあああああん! 袴っ娘って意外といな
いし、イラストが可愛くてマジ俺得なわけ。吊り目がちなのがいい。

>>87
ととろ目立ってるなw
亜子はなぜブルマーなんだw
しかしこうして見ると最近新入生いないな……

>>91
何故そんなハチャメチャなお題を……って答えちゃうのかよ!
獣耳っ娘学園ファンタジーはじまた。もはやキャットファイトなのかドッグファイトなのか。
吟遊詩人役がこんなに似合うJKもいないなw
レアキャラ烏丸ちゃんの喋り方が妙に新鮮で可愛く見える。先輩の威を借る後輩が何だかすごくらしいw
ロリエットが全部持って行ったけどw

>>118
何だこの可愛い衣装!?
どこかで見たよう……思い出せん!
う……うわあああ!?
こういうネギちゃんも、いいと思います!

387名無しさん@避難中:2014/05/09(金) 23:03:54 ID:kx47F8TE0


本スレ付け忘れちゃったじゃないか……


本スレ>>119
あかねさんは皿うどんの血を引いていたのか……初めて知ったぜッ
「街のご機嫌を窺う」って発想が面白い。
しかしおとしだまはあかんやろ……これでも清純派ァ(大嘘)
にしてもつくづく浮くのが得意な女だ。チェンジリングデイ世界がほっとかないな。オチまでつくしw
――長崎クイズ「長崎には下り坂より上り坂の方が多い。〇か×かッ」――

本スレ>>120
ネギすけ座り方座り方!!
あかねちゃんはむっつりやなぁ

本スレ>>121
この台詞何だか興奮するね!?
それは俺だけじゃあないはず

本スレ>>125
何だかんだでいい兄妹w
「口一杯に広がる白濁の宴」とかもう完全にエ●ゲーのテキストじゃないか!
こんな招き猫うちにも欲しい。幸福が欲しい? いればそれが幸福だちくしょおおおお!

本スレ>>128
クロスじゃなくても自分のキャラだけでもいいんだよ?
ヤンデレのようにいつまでも待ってるよ?

本スレ>>129
や……やめろぉっ!!
そんなことをいうのは
いろいろマズイッ!!
幸せ撲滅の不良三人組、わんわん王たる荵とあかね、強大な黒鉄兄妹、鳥コンビとか、いるしな!!
長期療養してるだけでもっといるんだよ?

本スレ>>131>>133
すまん!!
ちょっと見ないうちにリンク先が死んでた
……もう一回上げてくれなきゃ嘘だぜ?

本スレ>>136
童話とかとリンクさせてくるわんこ氏の手法えげつなくて好き。
な、なんかこいつら乙女してるぞ!?

本スレ>>139
烏丸ちゃんって初出がすぐには思い出せんかった。
葱すけは人間関係に貪欲だなぁ。
これは面白い試み。背景のシンボルが入れ替わってるw
しかし筆で果たし状とか古風な子やね?
まさかその髪に墨(ry



感想遅れて悪かったな
ちょっと死んでたから

388名無しさん@避難中:2014/05/11(日) 11:03:30 ID:EtzVc35wO
わわわ!何と言う!
もう一度、作品群読み返すじぇ!

389名無しさん@避難中:2014/05/11(日) 11:11:26 ID:4lbMo82.0
>>387の129にオラクルも入れよう。
なんか神聖視してしまっていたのか把握とかいう次元にないというか
……言い訳は止めよう。入ってなかったね。ごめんね!

390名無しさん@避難中:2014/05/13(火) 01:14:34 ID:TLx3hoZc0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5057896.jpg

391名無しさん@避難中:2014/05/13(火) 01:38:47 ID:YsMBIooc0
わん!

392名無しさん@避難中:2014/05/13(火) 19:03:50 ID:mwQHlm.MO
わ、わん!

やったね!おぶるまだよ!おぶるま!

393名無しさん@避難中:2014/05/13(火) 19:23:02 ID:1AtfTivU0
やってくれたな!
やってくれたな>>390
ちょっとおすましな表情がいい。
ちなみに油すましは妖怪で、水すましは昆虫だ(製造業の用語でもあるけど)。
実はブルマじゃなくてスク水かもしれない。それは誰にも分からない。

394名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 11:29:30 ID:pWZKMcE2O
後輩「〇〇!〇〇はぶるまが似合うと思うんです!」

問:〇〇を埋めなさい。(配点10点)

395名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 12:02:03 ID:TB0oJpak0
ブルマ似合いそうなキャラ多すぎるからここは大型台で

396名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 17:54:19 ID:5DBtkbNo0
何でや!
もっと似合う男の子おるやろ!

397名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 18:56:25 ID:5iVPsmUI0
      ィ";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙t,
     彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
     イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r''ソ~ヾ:;;;;;;゙i,
     t;;;;;;;リ~`゙ヾ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ    i,;;;;;;!
     ゙i,;;;;t    ヾ-‐''"~´_,,.ィ"゙  ヾ;;f^!   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ト.;;;;;》  =ニー-彡ニ''"~´,,...,,.  レ')l. < おまえは何を言っているんだ
     t゙ヾ;l   __,, .. ,,_   ,.テ:ro=r''"゙ !.f'l.   \____________
      ヽ.ヽ ー=rtσフ= ;  ('"^'=''′  リノ
    ,,.. -‐ゝ.>、 `゙゙゙゙´ ,'  ヽ   . : :! /
 ~´ : : : : : `ヽ:.    ,rf :. . :.: j 、 . : : ト、.、
 : : : : : : : : : : ヽ、  /. .゙ー:、_,.r'゙: :ヽ. : :/ ヽ\、
  :f: r: : : : : : : : !丶  r-、=一=''チ^  ,/   !:: : :`丶、_
  : /: : : : : : : : :! ヽ、  ゙ ''' ''¨´  /   ,i: : : l!: : : : :`ヽ、
 〃: :j: : : : : : : ゙i   `ヽ、..,,__,, :ィ"::   ,ノ:: : : : : : : : : : : :\
 ノ: : : : : : : : : : :丶   : : ::::::::: : : :   /: : : : : : : : : : : : : : : :\

398名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 19:11:54 ID:79Vk9/7M0
拓ちゃんブルマ不可避

399名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 22:43:30 ID:YHQ9THHA0
迫先輩もだなっ

400名無しさん@避難中:2014/05/14(水) 23:01:10 ID:5DBtkbNo0
この方向性でいいのかなぁw

401名無しさん@避難中:2014/05/15(木) 01:17:04 ID:AU7xuzo20
女子はブルマよりスパッツ的なほうが好きw

402名無しさん@避難中:2014/05/15(木) 09:38:41 ID:7P7I5G620
※ブルマ一枚で次々とポージングを決める重量挙げ部の面々

403名無しさん@避難中:2014/05/15(木) 19:20:06 ID:Q72T8pz.0
そこはレオタードがいい

404名無しさん@避難中:2014/05/15(木) 22:11:27 ID:b/8RySfs0
演劇部出番なし。

405 ◆46YdzwwxxU:2014/05/31(土) 00:00:13 ID:pIMw0T3E0
よっし夏が来たな!?

投下だ投下だー!

406先輩、七不思議です! ◆46YdzwwxxU:2014/05/31(土) 00:02:05 ID:pIMw0T3E0
※一応閲覧注意です。有名な怪談都市伝説の概要が含まれています。



「先輩先輩先輩これですこれこれこれ見てください!」
「何だよ今日はまた一段と押し付けがましいな……」

 陽射しが日に日に鋭さを増していく初夏――
 登校したその足で飛んで来たらしい後輩は、やけに興奮した様子で、携帯電話の画面をこれでもかと俺の顔面
に突き出してきた。
 最近とうとう流行りのスマートフォンを買ったらしいが、ペアルック気取りか俺の前では俺のと同型の開閉式
のものばかり使っている。
 もはや窮屈げに思えてしまうと語るディスプレイには、搭載のカメラで撮影したらしい電子の写真。そこでダ
ブルピースして笑っているのは、最近俺とも知り合いになった下級生だった。
 一年、久遠荵。元気な仔犬を思わせる、というか本人が日頃から口癖でわんわん言っているので、もう生物学
的分類もイヌ科でいい気がする、そういう感じの子である。よくないか。

「わん……久遠じゃないか。これがどうした」
「『恐怖! 人面犬』」
「ちょっと何失礼なこと言ってるのお前」

 いくら何でもあんまりだ!

「というわけで夏! サマーなわけですが! 夏といえば怪談ですね! 私と怖いお話いっぱいして、このクソ
暑い夏を乗り切りましょう!」
「なんか……涼しくならなそう」

 “後輩”後鬼閑花のやかましさは栄養満タンのミンミンゼミに匹敵する。受け流してなお暑いのに、まともに
応対していたら熱中症で保健室送りは免れないだろう。

「確かに閑花ちゃんのキュートボイスでくすくす囁かれては、ホラーどころではないかもですね」
「そうじゃなくて全部ギャグにするだろお前!」
「ご存知ない? ホラーとギャグの親和性って高いんですよ?」
「ホラー要素が残ればの話だろそれは!」

 後鬼閑花、通った後にはぺんぺん草も生えない女である。
 もしかしたら別の意味で寒くなるとかはあるかもしれないが、そんな居たたまれない空気の納涼イヤすぎる。

407先輩、七不思議です! ◆46YdzwwxxU:2014/05/31(土) 00:03:52 ID:pIMw0T3E0

「まあまあ。別に何も怪談で涼しくならなくってもいいじゃありませんか。何なら私のお部屋には私専用のうち
わもあります。いい匂いします。先輩もきっと興奮します」
「話題振っておいて、怪談そこまでないがしろにしちゃうのかよ!」

 スマートフォンの前に扇風機買えばいいのにと密かに思うが、よそ様の事情に口は出すまい。……いやまあ、
どうせツッコミ待ちなだけで本当は扇風機とかクーラーとかあるんだろうけど。

「そもそも、私はただこの機会に怪談都市伝説をありったけ集めて、先輩とのピロートークのネタにしようと思
っただけですから」
「ピロートークってそういうんじゃなくね?」
「とにかくご期待ください、次は『怪奇! 口裂け女』を激写してやりますよ。ポマード! ポマード!」

 ……何となく、ろくなことをしないこいつの両頬を俺が引っ張り上げて「あ、口裂け女ここにいたわ」みたい
なしょうもないオチになりそうで、今からやってられない気分になる。

「ポマードッ!」

 後輩はポマードポマードポマードと大声で唱えながら去っていった。
 ……どうでもいいが、口裂け女を追っ払うための呪文を連呼しながらあいつは何を探しに行ったんだろう。



 ※


 翌日。
 再び訪ねてきた後輩は悄然と項垂れていた。もっと正確に言うと、そういう殊勝な態度をしているフリをして
いた。

「『怪奇! 口裂け女』は惜しくも取り逃がしました……。いえ、ほんと、あとちょっとだったんですよ? 今
の私こそが本当の『口先女』。きゃーうまいこと言っちゃいました!? 褒めてくれてもいいんですよ」
「やかましい」

 長台詞の中でテンションをこんな急激に上げ下げされると、地の文での補足描写が追いつかないから止めても
らいたい。

「しかしそこはさすがあなたの後輩、転んでもただでは起きない! 何といっても、口裂け女よりもレアな『殺
戮! 怪人赤マント』の盗撮に成功したのですから」
「さらっと俺をお前の同類にするんじゃない!」

 怪談都市伝説のあるじである現代の妖怪たちを執拗に付け狙うパパラッチ……。後輩は、俺の知らないところ
で、もはや赤マントなど及びもつかぬ怪人物へと変わり果てていた。かなりショックだ。……いや、そんなショ
ックでもないな。普段からわりとヤバかったし。

408名無しさん@避難中:2014/05/31(土) 00:05:34 ID:pIMw0T3E0

「怪人赤マント。先輩なら当然ご存じかとも思いますが、いい機会ですのでこの地方で一番ポピュラーなお話を
おさらいしますと」

 頼みもしないのに、後輩は声をわずか低くしておどろおどろしい語り口で話し始める。こういう演技というか
空気の演出は異様に得意な女なのである。問題は何が何でも笑いに結び付けようとする芸人根性だけだ。

「学校や公衆トイレの個室で紙がなくて困り果てていると、扉の前で『赤巻きぎゃみが欲しいか? 青まっ……
き紙がいいか? それとも黄みゃきぎゃみにするか?』という声がする」
「滑舌悪いな……」
「赤巻紙と答えた者は、鎌で首を切られ血塗れにされて殺される。青巻紙と答えた者は、顔面蒼白になるまで血
を抜き取られて殺される。黄巻紙と答えた者はたちまち黄疸に……それこそ『殺戮! 怪人赤マント』!」
「それって『赤い紙、青い紙』とかいう別の怪談じゃないのか」
「私にはそのへんの事情は分かんないです。あくまでこの地方では、派生バージョンとのミックスになっている
としか」

 ほんとかあ?
 むしろ後輩が最近になってミックスしたんじゃないか? そんなふうに疑わしく思うのは、それだけの信頼と
実績があるからである。むしろ前科と言ってもいい。

「かつては噂話のみで『赤マントがA町にやってきているらしい。三丁目の空き地で野良犬と争っているのを見
た』といったように伝えられ、大いに恐れられたとか」
「変な証言足すな」
「そんな赤マントの噂も、オイルショックの混乱が一段落してトイレットペーパーが潤沢になったあたりから人
々の口に上ることはなくなりました。そのはずでした」

 オイルショックとはたぶんまったく関係ないが、確かにあまり最近の流行りという感じではない。説明しづら
いが、赤マントなんていかにも昭和っぽい話だと思う。

「しかし、それから数十年、この仁科の地に、怪人赤マント再びあらわる! ご覧ください、『殺戮! 怪人赤
マント』、このまがまがしい姿を」

 後輩がようやく自信満々で見せてくれた問題の写真には、確かに赤いマントを翻す覆面の人物が写っていた。
 それはあまり関わり合いになりたくない格好の女だった。
 出来れば絶対に関わり合いになりたくない格好をした女だった。
 獣の耳らしき二つの突起物のあるヘルメット。鼻筋から上をハート型のバイザーに遮られてその面相は不明。
赤マントの下に見え隠れするのは仁科学園高等部女子制服。白い手袋が握るのは女児を対象としたアニメに出て
きそうな魔法の杖。

「おわかりいただけたでしょうか?」
「近森さんじゃんこいつ」

 近森ととろ、またの名をカップルウォッチャー。他人の告白やデートや修羅場を物陰から見物するのが趣味と
いう俺のクラスメイトが、たまにこういう奇抜な変装をしていた。

409名無しさん@避難中:2014/05/31(土) 00:06:21 ID:pIMw0T3E0

「いいえ先輩。足回りが運動靴ですし、頭部の形状も若干異なるようです」
「カップルウォッチャー2号いんのかよ。……これも久遠かな。隣に黒咲さんいる」

 何やってんだあいつも。後輩の中で都市伝説化されすぎだし。

「そんな! 間違いなく怪人赤マントですって! この現代日本で、赤いマント姿で街をうろつくなんてそうは
ありませんよ!」
「それはそうかもしれんが、これはちょっと怪談にはならないな」

 むきになって強弁する後輩をあしらう。
 ちょっと普通じゃない変装をしたデバガメ女がひとり増えただけだ。
 ……それもまあ怪談といえば怪談なような気もするが、中身を知っているだけに怖くも何ともない。

「せっかく激写したと思ったのに……おのれ、わんわん太郎……どこまで私の邪魔をすれば気が済むのか」
「とんだ逆恨みだ」

 怒っていいぞ、わんわん太郎。
 あ、わんわん太郎って言っちゃった。心内文でのことなので、心の中だけで詫びておく。変な名前にしてごめ
んな、わんわんむすめ。
 ……。
 あんま変わらねえ……。

「しかし! まだまだ閑花ちゃんのターンは終わっていません! 絶倫です私!」

 話もひと段落して安心したところ、後輩の妖力のほうはまだ尽きていなかった。

「絶倫です私!」
「聞いてたよ! 無視してるんだよ!」

 もう付き合っちゃえよとか無責任なことを言ってくれるクラスメイトどもに、むしろ俺が「お分かりいただけ
ただろうか」と言いたい。一秒たりとも会話を続けていたくなくなる貫録のウザさ。

「先輩は、仁科学園の七不思議はご存じですか?」

 俺はあからさまにイヤそうな顔をしていたと思うのだが、後輩は何食わぬ顔で継続。

「全部は知らない。真田教諭の親子関係、購買事件、あと防火扉の隙間女、初代学園長の埋蔵金……は違うか、
あとは……ああニッシーがあった、それから理科準備室の開かずの冷蔵庫? ふーちゃん……くらいかな」
「だいたい表七不思議ですね」

 ……表?

「そこでそこでっ、“閑花ちゃんが調べた!仁科学園裏七不思議”っ! 最恐裏ビデオ豪華ラインナップをここ
でずらっと紹介しちゃいます! 永久保存版ですよ! 録画するレディはゴーです?」
「それもう始めちゃってるだろ」

410先輩、七不思議です! ◆46YdzwwxxU:2014/05/31(土) 00:06:59 ID:pIMw0T3E0



●『戦慄! 屋上の幽霊ギター』 不思議度★★★☆☆/恐怖度★★☆☆☆/知名度★★★★★
【概要】放課後の屋上からギターの音が聴こえて来るが、行ってみると誰もいない。曲を最後まで聴くと死んで
しまう。しかしチョココロネをお供えするとその家は栄えるという。

「チョココロネは嘘臭いですかね」
「雑すぎんだろ」


●『逆襲! 妖怪どんぐりババア』 不思議度★☆☆☆☆/恐怖度★★★★★/知名度★★★★☆
【概要】いきなりどんぐりを投げつけてくる。どんぐりに当たると死んでしまう。

「有効な対策も対処法もなし、致死性の飛び道具持ち、気性の荒さと隙がないです」
「意味のわからなさがただただ怖い」


●『脳筋! 重量挙げ部』 不思議度★★☆☆☆/恐怖度★★★☆☆/知名度★★★☆☆
【概要】筋トレの果てに人間を辞めつつあるとか何とか。

「運動部の業の深さッ」
「お前もそろそろ人外じみてきたけどな」


●『邪悪! 三人ミサキ』 不思議度★★☆☆☆/恐怖度★★★★☆/知名度★★★★★
【概要】学園のカップルのもとに現れるという三人一組の悪霊。これに襲われたカップルはたちまち破局してし
まう。カップルを解消に追いこむと、三人のうち一人は成仏するが、別れさせられた男が新たな三人目として加
わるという。

「継ぎ足して作る秘伝のタレみたいな奴らだな……」
「中国四国地方には七人ミサキとかいうそんな妖怪の伝承があるんだとか」
「……そんなの下敷きにしてまで話作らなくていいのに」
「ふふん。まあ眉唾な話ですよ。だって、もしこんな連中が実在するなら、私たちのような熱愛カップルを放っ
ておくわけないからです」
「カップルじゃないからだよな?」


●『怨念! ふーちゃん』 不思議度★★★★★/恐怖度★★★☆☆/知名度★★★★☆
【概要】不思議な力を持っていたことが原因で、クラス全員から陰惨ないじめに遭った少女の怨霊ふーちゃん。
彼女は今も恐怖の噂を密やかに広め、またその力で物を隠したり、トイレットペーパーを水浸しにしたり、掲示
板に落書きをしたりとさまざまな悪さをしているという。

「なんかいきなりマトモになったな。怪談として」
「これは脚色してませんから。がちです」
 ――冤罪よ。
「やっぱり脚色してたんだ……」


●『妖精! しーちゃん』 不思議度★★★☆☆/可愛さ★★★★★(まだ成長中)/知名度★★☆☆☆
【概要】しーちゃん……一体誰なんだ……?

「この可愛さはもはや七不思議! ちなみに私は、閑花ちゃん。あなたの隣にいるの。一生」
「付き纏うな妖怪ッ」


●『怪獣! ニッシー』 不思議度★★★☆☆/可愛さ★★★☆☆/知名度★★★☆☆
【概要】裏山に棲むという謎の生き物。姿については目撃者によって証言が異なるが、毛むくじゃらだというこ
とだけは共通している。やまわろの一種とも、野生化した近所のガキンチョとも言われている。

「あ。しーちゃんでいじった恐怖度のパラメータを元に戻すの忘れてました」
「もう全然怖くないな」


●『魔壁! ネオ・コックリさん』 恐怖度★★★★☆/可愛さ★★★★☆/知名度★★★☆☆
【概要】ある生徒が行ったコックリさんの暴走によって、突如として謎の“壁”が学園を囲う。屋上よりよほど
高く聳え、それを越えることは何人にも不可能だった。運悪く中に閉じ込められた生徒たちは、邪悪な動物霊に
取り憑かれ、最後のひとりになるまで凄惨な殺し合いをさせられるという……。

「コックリさんの夏の最新モデルです。今大人気のバトルロイヤル要素や獣耳しっぽなんかも組み合わせてみた
りしてっ」
「ネオ……」

411先輩、七不思議です! ◆46YdzwwxxU:2014/05/31(土) 00:08:48 ID:pIMw0T3E0

「――いかがでしたでしょうか!?」

 ネオ・コックリさんのパラメータまた間違ってる……。
 不思議度の消えた七不思議ってそれ悲しすぎないだろうか。どうでもいいか。いいな。
 後輩がスマホから見せてくれた謎の動画は、何だかんだで出来が良かった。

「取り敢えず七不思議なのに八つもあるから、しーちゃんとかいうのをクビにしよう」
「あっ、それ、いいっ! いいですっ!」

 何でいきなり興奮してんだコイツと思ったが、すぐに理解が及ぶ。どうやら“しーちゃん”という呼び方がい
たく彼女の琴線に触れたらしい。
 ……これは不覚だ。俺としたことが完全に油断していた。
 かくなる上はこの時間帯の会話じたいを打ち切ることで、このにわかに桃色化してゆくたわけた空気を散らし
てしまおう。

「さて、怪談でだいぶ肝も冷えたことだし、俺はそろそろ教室に……」
「先輩! 怖くなっちゃっても、だいじょうぶっ! しーちゃんにおまかせです! このしーちゃんがおトイレ
にお風呂にベッドの下に! ばっちりごいっしょしますよ!」

 あ、隙間女ここにいたわ。



 ※


 その日。
 俺は家に帰ってから、一度だけベッドの下を覗きこんだ――



 おわり

412先輩、七不思議です! ◆46YdzwwxxU:2014/05/31(土) 00:09:30 ID:pIMw0T3E0
投下終わり終わりー!

……
最初はちゃんと怖い話にしようと思っていろいろ調べましたが、力及びませんでした。
口先女ってふつうに妖怪ウォッチにいたしね……
妖怪ウォッチのアニメ面白いね

わんわんごめんね

413名無しさん@避難中:2014/05/31(土) 08:14:08 ID:DeqQilns0
ツッコミが追い付かんwww

414名無しさん@避難中:2014/06/04(水) 07:56:44 ID:DXtOmjvYO
先輩が擦り切れるw

415わんこ ◆TC02kfS2Q2:2014/06/13(金) 19:44:14 ID:k2M11JbI0
>>412
わんわん太郎!「カップルウォッチャーを継ぐ者たち…の巻」はまだですか。

投下します。
上原梢ちゃん、初めて書いてみた。

416『上原梢のおせっかい』 ◆TC02kfS2Q2:2014/06/13(金) 19:45:28 ID:k2M11JbI0

 おいしっ!おいしい!
 缶詰みかんがおいしい!ジューシーさと控え目な酸味がお口の中で見事に溶け合う奇跡だよ!
 部活の後の疲れた体にあんまいフルーツは格別だよね!

 あっ!わたし、上原梢だよ!仁科学園高等部一年生!薄茶のツインテールがきれいだねってよく言われるよ!
あっ。自慢しちゃった!恋の相談があったらなんでも乗るよ!お金以外だったらね!

 だーけーど、このみかん、まじ美味だし、これ教えてくれた閑花ちゃんぐっじょぶだし!
 学校に来る途中に寄ったコンビニで偶然見つけて、迷ってる暇ないし、思わず買っちゃたんだよね。
でも、後先考えずに買っちゃたから、缶切りないのに気付いてとほほってたら、先輩さんが貸してくれたんだ!
 真面目で公務員ちっくで、眼鏡がきっと似合いそうな男子だよ!そんな先輩さん……白馬の王子様が手を差し延べてくれたんだよ!
閑花ちゃんがほの字なのも頷けるな!
 あっ。閑花ちゃんってのはわたしの親友だね。心友っても言うのかな、いつも恋に一生懸命な子なんだよ。
 だーかーら、わたしも一生懸命応援してるんだけど……なかなか意中の王子様は振り向いてくれないんだなー。
王子様とは先輩さんのことだ!わたしが先輩さんにときめいてどうするー!
 すやすや横で寝ているんだけど、やっぱり閑花ちゃんを見つめてると黒髪きれいだしー、こんないい子、他にはいないよー。
尽くしてくれるから早く振り向けー、先輩ー!

 「せん……ぱい、太いです」

 あれー。閑花ちゃん、寝言かなー。子猫みたいに大人しく夢心地の閑花ちゃん、夢の中でも先輩とちちくりあってるのかな。

 「先輩……は、ふてえ野郎です。おぬし叩き斬ってやるです」

 親友が幸せそうな顔をしている中、わたしもほんのちょっと幸せを摘んだり。
 閑花ちゃん、にくいヤツですなー。わたし、嫉妬しちゃおうかな。

 そうだ。

 わたしは缶詰みかんを摘んでそっと閑花ちゃんの頬に近付けてみた。寝息がわたしの指にふわりとかかる。
 平和な時間に甘んじた無防備な閑花ちゃんをだまくらかすのは赤子の腕を捻るぐらい簡単なんだよ。
 こっちもすこしどきどきだ。触るか触らないかのびみょーな距離を行き来して、そして、ぷにぷにと柔らかいみかんを
閑花ちゃんの頬に当ててみた。そう。この裏技、知ってる人は知っている。知らない人はどきどきだ。答えを明かす前に
うずうずしちゃうから、口より先に手が動く!缶切りのときのこと?そんなことよりどきどきが止まらない!

 ちゅっ!

 「ふわ……うわ?夢、じゃないよね?」
 「あれー。閑花ちゃんおはよう」
 「わたし、今、先輩の夢見てたんだよ。先輩がわたしのほっぺに……ふわあ!言えません!閑花ちゃんの口からは『
  閑花の隙を見せていいのはおれだけだからな』って言う先輩の台詞なんか!」

 あらー。
 顔を真っ赤にした閑花ちゃん、ほんのちょっとだけ幸せな時間を過ごせたよね。
 みかんの感触って、ちゅう!にそっくりらしーよ。
 わたしはまだわかんないけど!
 はかない泡沫の夢だけど、閑花ちゃんが喜ぶ顔が見れて嬉しいし。

 あれー。
 喜ぶどころか、まじ覚醒?
 まじめざめ?まじめざめっす?合体したいってまじめざめっす?

 「よし、梢ちゃん。このまま先輩に甘えてちゃダメです。攻撃こそ最大の防御、先輩に閑花ちゃんからのお返しです!」
 「あの……閑花ちゃん、違うの」
 「先輩!先輩の甘くて酸味の効いたフルーティーな〇〇を下さい!」

 あれー……閑花ちゃんって、考えるより行動派だからなー。
 後先考えろー、わけわかんないよー。


   おしまい。

417わんこ ◆TC02kfS2Q2:2014/06/13(金) 19:47:29 ID:k2M11JbI0
「閑花ちゃん!泳ぎに行こうよ!もちスク水で!」

ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/819/kozue05.jpg

梢ちゃんは夏服が似合うと思います!
投下おわり。

418名無しさん@避難中:2014/06/15(日) 21:32:37 ID:fX2WhXtQ0
テンションたか!
梢は語尾が伸びるのが可愛い。
確かに元気っこは夏服似合うイメージある。

なんとなく高校生っぽい小道具(みかんとか)きれーに絡めてくるところは見習いたい
……缶詰みかんはそんなに高校生っぽくはないかw

しかし先輩はなんで缶きりなんて持ってたんだw
そして安定の下ネタだか何だかよく分からない後輩の台詞w

投下乙でした

419名無しさん@避難中:2014/06/17(火) 21:19:37 ID:AN9CBJwE0
梢と閑花と荵。三人そろえばかしましい。
そこに先輩を投入すれば、もう…。

420名無しさん@避難中:2014/06/17(火) 21:52:58 ID:IAuKY7/s0
幼稚園だな・・・

421名無しさん@避難中:2014/06/17(火) 22:14:19 ID:3hR6JRGo0
先輩の胃に穴が開くw

422名無しさん@避難中:2014/06/17(火) 22:26:33 ID:IAuKY7/s0
和穂もいれよう

・・・四天王やなもう

423名無しさん@避難中:2014/06/19(木) 11:24:34 ID:OAlGJPFwO
JK1年組が一番濃いw
そんな中に埋もれる静奈たん…

424名無しさん@避難中:2014/06/19(木) 18:15:49 ID:jJ2jp3GA0
静奈ちゃんは唯一の癒し

425名無しさん@避難中:2014/06/19(木) 22:20:44 ID:0AkBGzJQ0
静奈「あのー。わたし、キャラ薄いんですかね…。ごめんなさい!」
烏丸「そんなことないです〜。烏丸なんて、もっとひっそりしたいです〜」
あかね「みんな、十分キャラたってますっ。だから、舞台に出ませんか?」
静奈「ええええ?」
烏丸「無理です〜!烏丸には〜」

JK一年黒髪's。我、十分かわいい説を唱える。

426名無しさん@避難中:2014/06/21(土) 07:48:53 ID:CiQR2AeM0
梢・・・親友ポジ
閑花・・・ストーカー
荵・・・わんわん王
和穂・・・とり
静奈・・・恋する乙女
烏丸・・・レアキャラ
あかね・・・営業

こうか

427名無しさん@避難中:2014/06/21(土) 17:44:02 ID:WQR2iXWw0
役職 とり

おかしいだろwwwww


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