したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

切り落とされた首の話

7名無しさん:2021/10/23(土) 22:18:46 ID:S/RA0zHE0
( ゚д゚ ) 「こんな仕事をやっていると、納得できない殺しをしなきゃいけない時がある」

ミルナは懺悔するかのように語り続ける。

( ゚д゚ ) 「食うに困っての強盗で誤って相手を殺してしまった老人」

( ゚д゚ ) 「犯されて孕んだ子を発作的に手にかけた幼き母親」

( ゚д゚ ) 「……そして、他人の罪で殺される人間。今日も俺は無実の男の首を刎ねた」

爪'ー`) 「おいおい、無実の罪って……」

死刑囚は当然、裁判で死刑と決まったから死刑になるのだ。
どうして検事でも裁判官でもないお前が、無実だなんだと言うことが出来るのか。
フォックスの反論に、ミルナは「その通りだ」と返した。

( ゚д゚ ) 「お前の言い分は正しい。だが、そう思ってしまったのだからしょうがないんだ」

( ゚д゚ ) 「いいか、普通、罪を否認する人間は命が惜しくて否認するんだ」

( ゚д゚ ) 「無罪を証明したいのではなく、生きたいから否認する。故に処刑の直前こそが死刑囚の最も取り乱す瞬間になる」

( ゚д゚ ) 「だが、あの男は違った。あの男は死を受け入れ、その上で己の無実を主張した」

爪'ー`) 「そいつが飛び切りの変人だったんだろ。それか既に精神がおかしくなっていたかだ」

( ゚д゚ ) 「そうかも知れないな。だが、もし俺の想像が正しかったなら……」

男の死体について、遺族から首隠しの依頼は無かった。
最期までまで無実を主張した男の潔白を、遺族ですら疑っているのか。
それとも、既に家族など存在しなかったのか。

いずれにせよ、もしも男が本当に無実であったなら、
全てに見放された哀れな男の訴えを、陥れられ、殺された不幸な男の無念を、
せめて自分だけは、男の首を切り落とした自分だけは肯定してやらなければいけない。

胴体側の切断面から規則的に噴き出す血飛沫を見つめながら、ミルナは生まれて初めて正義に背くことを決意した。

爪;'ー`) 「馬鹿真面目が……わかったよ。俺は金が貰えるなら文句は無い」

爪;'ー`) 「ただし、途中で役人にバレても俺は知らぬ存ぜぬを通すからな。お前に渡された中身不明の荷物を運んだだけだ」

( ゚д゚ ) 「わかってる。そのために首桶じゃなく鞄を用意したんだ」

爪;'ー`) 「へっ、どこまでも準備が良いことで……」

翌朝、そこには二日酔いの御者に操られ友人の家を発つ馬車の姿が有った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板