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切り落とされた首の話

43名無しさん:2021/10/23(土) 23:12:35 ID:S/RA0zHE0
思えば自分は、何の信念もなく生きてきた。

幼少期は周囲に期待されるままに振舞った。
落ちこぼれ、堕落し、放蕩息子の烙印を押された後は、
むしろその評価を証明するように、前にも増して刹那的な生活を送るようになった。

周囲に求められるままに生きることは楽だった。
役割とは、役目とは、全て他者から与えられるものだと思っていた。

古い友人は、見捨てられた死刑囚の潔白を信じ、私財を擲った。
自分はそれを馬鹿真面目だと嘲笑し、協力を求める瞳を面倒だと感じていた。

今日出会ったばかりの奴隷は、死者の尊厳を守り、主人を守り、人体の奇跡を起こしてみせた。
自分はこの奴隷に、「死んで生首になる」役目を押し付けようとした。

そして今、すぐ側で死体を晒している科学者の凶行もまた、己の信念に従った結果なのかもしれない。

「役目を全うするために。己が心に従い、正義を為すために動く」
全くその通りだ。
その言葉の通り、自身に役目を課した誇り高い人々の中、
ただ自分だけが、ふらふらと力なく、大きな流れの中で揺蕩っている。

恥を知れ。そう思った。


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