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それは砕けし無貌の太陽のようです
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:
◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:04:48 ID:jePDeZ3M0
「何かあったら、いつでも連絡ください。何時でも私、出ますから。絶対に、出ますから」
扉は、中々開けられなかった。俺は返事をしない。壁を越えて突き刺さる視線。それが、切れた。
遠慮がちに“きぃ”と音立て開いた扉から、外気と風雨の喧騒が入り込む。
それも、一瞬。訪れるは、再び静寂。
腰を上げた。上げられた鍵を、元の姿へ下ろす。下ろす。
のぞき窓から、外を見る。誰も居ない。隣人も、女も。見える限りは。
そして俺は、のぞき穴に顔を接触させた格好のままずりずりと身を崩し、扉を背にして座り込んだ。
座り込んで、取り出した。懐の、携帯。かける先は、履歴の上から三番目。
相手を呼び出す無機質なコール。
そのけたたましくかつ刺々しい音に頭の中を撹拌されながら俺は、天井を見上げる。
天井から吊り下げられたそれを。首をくくったその人を。俺を見下ろすその人を。
砕けた頭部を。無間の洞を。その奥にて仄見える、青白く腐敗した太陽の――その、残滓を。
先生、先生、ぼくは、先生――。
『――人々が、お前の小説を待っているんだから』
……そうだ、書くんだ。ぼくは、書くんだ。
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