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美
1
:
◆f9klpsMBjM
:2021/03/23(火) 13:24:05 ID:JC05D13o0
美!!!
261
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:30:14 ID:8lVb0cJU0
ウッ... オジイチャン.... ウゥ... ニイサン....
ウゥ... < - _・-> ウゥ.... ウッ... [ Д-] サヨナラ....
アナタ.... トウサン..... アナタ.... オジサン....
辺尼を見つけた青年たちは、彼女が瞬く間に年老い、消えていった。
262
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:31:15 ID:8lVb0cJU0
人は死に、産まれ、時には争い、笑い、怒り、泣き、絶望し.....
同じことを繰り返し続けるように辺尼には感じられた。
星は流線型を描くかの如きスピードで空を駆け回った。
全てが加速し、夜と昼がストロボの発光のように繰り返され、その白黒の瞬きが極限に至ると、
全てが透明になった。
それから、透明な世界が長い間続いた。
263
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:32:59 ID:8lVb0cJU0
そして、とある日の夜、時は唐突に進むことを止めた。
人間は最早いなくなった。月明かりだけが、神殿を照らしていた。
天井は剥がれ落ち、床は海水に満たされていた。
島は、長い歳月を経るうちに、神殿を除いて海の底へ消えてしまった。
( 、 *川
辺尼は、遥か昔、この島にやってきたことを思い出した。
泥は、どこにいるのだろう。
あの小舟は、どこに行ってしまったのだろう。
闇に飲み込まれた彼方から、火の灯りが近付いてくるのが見えた。
それは、小舟だった。
先端に洋燈を灯した小舟が、ひとりでにこちらに進んでくる。
('、`*川
264
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:33:45 ID:8lVb0cJU0
小舟は辺尼の足元にやってくると、彼女の脚を洋燈で小突いた。
彼女には心なしか、嬉しそうに思えた。
('ー`*川
チャプチャプ
チャプチャプ
チャプチャプ
チャプチャプ
265
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:34:39 ID:8lVb0cJU0
チャプチャプ
チャプチャプ
ノハ ⊿ ) ....。
( ;、; 川 なんだ、これ...
ノハ ⊿ ) 本当に、すごい
ノハ ⊿ ) 本当に、本当に...すごい
( ;、; 川 まって....
( ;、; 川 こんな気持ち、初めてで
ノハ ⊿ )
ギュッ
( ;、; 川 あ....
.
266
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:35:40 ID:8lVb0cJU0
.
267
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:36:23 ID:8lVb0cJU0
ミセ*゚ー゚)リ 大丈夫?風邪引かないでね
ノパ⊿゚) ありがと
ミセ*゚ー゚)リ はい。辺尼もこれ
('、`*川 ...ありがとう
ノパ⊿゚) どうだった?行ってみて
('、`*川
('、`*川 言葉になんか、できる自信ないけど...
('、`*川 ....私だと思った
ノパ⊿゚)
268
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:37:33 ID:8lVb0cJU0
('、`*川 凄い内容だったけど...全部、私だよ
('、`*川 認める
ノパ⊿゚) ...よかった!
ノパ⊿゚) なんかね...もしこれが何でもなかったらどうしよって...思ってた
('、`*川 ...今の感じはね
('、`*川 ...嘘みたいに、世界が軽いの
('、`*川 脾都、診競...ありがとう
ノパ⊿゚)ミセ*゚ー゚)リ ポー
ノハ* ⊿ ) ...うん。まあでも、褒められるようなことじゃないよ
ノパ⊿゚) ここにいる皆、もう犯罪者な訳だし。さ
('、`*川
('、`*川 ...そうね
269
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:37:59 ID:8lVb0cJU0
('、`*川 でもこれで満足
('、`*川 二度目はない、かな
ノパ⊿゚) ...それもありだね
( ー *川 はは、取締官失格だな...
('、`*川 退職ね、これは...
ミセ*゚ー゚)リ もう、会えなくなっちゃうかな?
('、`*川 ...どうかしら
ノパ⊿゚) 五日後、あたしたちは奏柵を出るよ
('、`*川 ...そう
270
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:38:37 ID:8lVb0cJU0
ノパ⊿゚) あ、これ言ったらヤバかったかな...
('、`*川 安心して。誰にも言わないから
('、`*川 あ
('、`*川 一つ質問、いい?
ノパ⊿゚) ?
('、`*川 あなたたちは、どうして何度も行くの
ノパ⊿゚)
271
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:39:01 ID:8lVb0cJU0
ミセ*゚ー゚)リ ...私は、自分の美が壊れるのが怖くて
ミセ ー )リ 何度も、何度も確認しないと、自分が保てないと思ったから
('、`*川 ...そう
('、`*川 美も、永遠じゃないのね
ミセ ー )リ ううん
ミセ ー )リ 美はきっと、永遠なの
ミセ*゚ー゚)リ 私が、弱いだけ
('、`*川
272
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:39:40 ID:8lVb0cJU0
ミセ*゚ー゚)リ ごめんね。変な話して
('、`*川 ...いいよ。やっと色々わかった
('、`*川 脾都
('、`*川 今日、あなたと行って分かったことが一つある
ノパ⊿゚) ?
('、`*川 ...助けを求めてるのは、あなたも同じね
ノハ ⊿ )
('、`*川
('、`*川 ...多分、一番空っぽなのはあなた
ミセ*゚ー゚)リ っ...
ノハ ⊿ )
('、`*川 ...酷いこと言ったと、思う。傷付けたら、ごめんなさい
ノハ ⊿ ) ...いや
ノパ⊿゚)いいよ。ありがとう
273
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:40:20 ID:8lVb0cJU0
ノパ⊿゚) ...正直、あなたに声かけたのも
ノパ⊿゚) 助けたい、とか以前に辺尼の美に興味あったからだと思う
ノパ⊿゚) あたしは空っぽかもしれない。何も覚えてないんだ
ミセ*゚ー゚)リ ...。
('、`*川
('、`;川 あ〜...やっぱごめんね。前言撤回する
('、`*川 脾都は凄いよ。私を救ってくれた
('、`*川 私にも恩返しさせて欲しい
('ー`*川 だからまた、会いましょう
ノパ⊿゚) そうだね
ミセ*゚ー゚)リ いつか、ね
ミセ*゚ー゚)リ 今日はありがとう。私は見てただけだけど、すごい励みになったよ
('、`*川 そう
ミセ*゚ー゚)リ 私、頑張るよ。いつか...美に負けないようになる
274
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:40:47 ID:8lVb0cJU0
('、`*川 ...そんな凄いの
ノパ⊿゚) うん。みっちゃんは凄いよ
ノパ⊿゚) あたしたち全員を救ってくれたんだ
('、`*川 ...へぇ
ミセ*゚ー゚)リ ...うん
ノパ⊿゚) じゃあね。ここに居ても危ないだろうし、また電話してよ
('、`*川 ええ、また
ノパ⊿゚)ノシ ミセ*゚ー゚)リ ノシ
275
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:41:46 ID:8lVb0cJU0
...余談。
あたしが非記とあの夜見た星空は、辺尼が見ていた夜空とおんなじだった。
月のない、満天の星空。凄いよ。
あたしはあの夜のことを、決して忘れないだろう。
全てが流れのまま動いている。
水が、いつどうなるか、あたしの手に負えるものではない。
だけど、従えなければならない。
遠くない未来、きっとその日が来る。
診競は絶対に、死なせない。死なせないよ。
.
276
:
名無しさん
:2021/04/20(火) 23:42:12 ID:8lVb0cJU0
八,了
277
:
名無しさん
:2021/04/21(水) 21:04:06 ID:cUd.NbXI0
otsu
278
:
名無しさん
:2021/04/22(木) 18:56:17 ID:r4MTxk4g0
これが美なのか....乙です
279
:
名無しさん
:2021/04/29(木) 23:26:36 ID:rhqoT9OI0
更新遅くなっており申し訳ないです...次回は約束していた播院の話になります
280
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:10:37 ID:L4uSg5iE0
投下します
281
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:11:10 ID:L4uSg5iE0
「...あれは、何だお?」
「どれだ?」
「あの、窓の外でキラキラ光ってるやつ。UFOかお?」
「...あれはビルの反射光だよ、文」
「...言われてみれば、確かにそうだお」
「ほら、壁。光が届いてる」
「綺麗だお」
「...ああ」
282
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:15:28 ID:L4uSg5iE0
「...今、何日だお?」
「5月17日だな」
「...あれから、どのくらい経ったのかお」
「...4年」
「そんなにかお。てっきり一週間くらいかと思ってたお」
「...あぁ、1時間前に何考えてたかも思い出せないお。何か大切なことがごっそり抜け落ちてるような....」
「...ごめん」
「おっ、どうして播院が謝るんだお?」
「...文に、酷いことしたから」
「...? 僕に何したってんだお」
「ごめん...本当にごめんなさい...」
「や、やめるお、播院!君は何も悪くないお!」
「...私は、もう播院じゃ、ない」
「....全部、私のせいだ」
.
283
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:17:00 ID:L4uSg5iE0
美
.
284
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:17:34 ID:L4uSg5iE0
今は...奏柵を発つ2日前の朝だ。あたしはみっちゃんと集会場で寝ていて、丁度起きたところだ。一面に布団の海。まだ時間は早いが、皆この時間から一様に活動を始めるのだ。
ミセ -ー-)リ スースー
あたしは朝強い方だけど、みっちゃんはそうではない。朝は同じ布団の中、いつも彼女の寝顔を眺める。人って何故か見られてると目を覚ますじゃない?
彼女はそうではないらしい。あたしが満足するまで、ずっとこうしていられる。
ノパ⊿゚) ジー
出会った頃の彼女は...すごかった。
あたしは芸術はわからない。美術館に行けるお金もないし。でも考えないで感じるものだと何となく理解していて、すると彼女がそういう存在なのだろうかと思ったりもしていた。
理屈なんてないんだ。人は理屈で、世界を地獄に変えたり天国に変えたりする。でも彼女はこちらの状態を無視して本当に「やばい」ものを感じさせてくれたのだ。拒みようがなかった。彼女の声を聞くだけでも。こうして寝顔を覗くだけでも。
それが幸せだった。
285
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:18:27 ID:L4uSg5iE0
でも、今の彼女にはそれが無い。
勿論、彼女がすごいのは分かってるし、そう思うようにしてる。だけど時々頭で考えてるという感じがする。
「無条件さ」がない。
それは、彼女の「美」が変質し始めたのと無関係じゃないんだろう。
不思議で、残酷なこと。彼女の内面は、彼女の肉体の全てに顕現しているのだ。きっとあたしも、皆もそうなんだろう。
昨日、辺尼が言ってたことを思い出す。
あたしは空っぽだ。だからきっと、あたしの肉体に、声に、空虚が滲み出てるんだ。
みっちゃんにも、非記にも、それが分かってるんだろう。
そう考えるたび不安で押し潰されそうになるけど、それすら実際は空っぽなんだろうとか
思うと、入子構造の不安が無限に続いていくような気がして、あたしは考えるのをやめる。
286
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:19:00 ID:L4uSg5iE0
ノハ ⊿ )
トントン
( ´_ゝ`)よっ
ノパ⊿゚) あ
ノパ⊿゚) 亜丹
(; ´_ゝ`)なんか今にも死にそうな顔してたぞ...
ノパ⊿゚) ほんとに?
(; ´_ゝ`)俺が言えたことじゃないけどな。なんか、死ぬ前の弟が頭によぎって...大丈夫か?
ノパ⊿゚) ...うん。まあ
287
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:19:46 ID:L4uSg5iE0
( ´_ゝ`)ならいいんだが...久しぶりだな
ノパ⊿゚) ね
( ´_ゝ`)隣にいるのが、あんたの彼女かい?
ノパ⊿゚) そう
(; ´_ゝ`)まだ寝てたんだな...失礼した
ノパ⊿゚) いや、気にしなくていいよ。そろそろ起こすところだったし
ミセ -〜-)リ う、うーん...
ミセ*゚ー゚)リ パチ
( ´_ゝ`)
288
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:21:51 ID:L4uSg5iE0
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ ひーとの、友達?
ノパ⊿゚) うん
ミセ*゚ー゚)リ ...はじめまして。とりあえず、起きるね
ゴソゴソ...
ミセ*゚ー゚)リ 私は診競。よろしくね
( ´_ゝ`)ああ。俺は亜丹だ
( ´_ゝ`)死ぬつもりで土砂降りの中「行ってた」んだが、脾都に命を助けてもらってな
ミセ*゚ー゚)リ ...そうなんだ
289
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:22:27 ID:L4uSg5iE0
( ´_ゝ`)この前、連絡先交換するの忘れてて
ノパ⊿゚) あ、そーだね
( ´_ゝ`)俺は携帯持ってないんだが...公衆からかけるから、番号教えてもらえるか?
ノパ⊿゚) いいよ。...実は仲間のなんだけどね
ミセ*゚ー゚)リ 辺尼にも教えちゃったね
ノパ⊿゚;) それな...独生に絶対怒られるわ...
カキカキ....
ビリッ
ノパ⊿゚) はいこれ
( ´_ゝ`)感謝する
ノパ⊿゚) あ
( ´_ゝ`)
ノパ⊿゚) あたしら、あと2日で奏柵から出るわ
( ´_ゝ`)...マジで?
290
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:22:50 ID:L4uSg5iE0
ノパ⊿゚) この携帯、あたしが持ってるか分からないね
( ´_ゝ`)...残念だな
ノパ⊿゚) 一応独生に聞いとくよ
ノパ⊿゚) 警察が動き始めててさ。亜丹も危ないかもよ
( ´_ゝ`)...そうなのか
ノパ⊿゚) 一緒に、来る?
( ´_ゝ`)いいのか?
ミセ*゚ー゚)リ 独生に聞いてみないと、わからないよね
ノパ⊿゚) ...そーだなぁ
291
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:23:20 ID:L4uSg5iE0
ノパ⊿゚) とりあえず、独生んとこ来ない?紹介するよ
ミセ*゚ー゚)リ きっと、独生なら歓迎してくれると思うよ
( ´_ゝ`)おぉ....
( ´_ゝ`)なんか、夢みたいだ
ミセ*゚ー゚)リ え?
( ´_ゝ`)ずっと、兄弟だけで生きてきて...弟が死んでからはずっと一人で....でも急にこんな仲間に出会えるなんて
ミセ*゚ー゚)リ ....。
ミセ*゚ー゚)リ 私たちは何もないんだから、助け合ってなんぼじゃない?
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)やべえな...あんたの彼女、天使か?
ノパ⊿゚) 天使だよ
292
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:23:43 ID:L4uSg5iE0
ノパ⊿゚) 独生には、なんて紹介したらいいかな?
( ´_ゝ`)俺はどこにも属してなかったから、名前だけで十分だぜ
( ´_ゝ`)奏柵に来たのも一年前だしな
ノパ⊿゚) え、そうなんだ...どうりで見ない顔だと思った
( ´_ゝ`)あんたらは奏柵出身なのか?
ノパ⊿゚) いや。ちょっと前にVIP市から移り住んできたんだ
(; ´_ゝ`)本当か!?俺もVIP市からだ
ノパ⊿゚) そうなん!...意外だ
ミセ*゚ー゚)リ VIPは広いもんね
( ´_ゝ`)なんか縁を感じるな
293
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:24:10 ID:L4uSg5iE0
プルルルルルル
ノパ⊿゚) あ
ミセ*゚ー゚)リ ...独生からだ
ピッ
ノパ⊿゚) もしもし?
('A`)「朝早くにすまん。起こしたか?」
ノパ⊿゚) いや、大丈夫
('A`)「播院の件なんだが...」
('A`)「今から、話したい。もう時間がなくて」
ノパ⊿゚) いいよ。全然
('A`)「すまない。四威も呼んだぞ。診競も一緒か?」
ノパ⊿゚) うん。あ、
ノパ⊿゚) あと一人、知り合いがいるんだけど
ノパ⊿゚) 一緒に連れてっていいかな?
('A`)「...いいけど、誰だ?」
ノパ⊿゚) 亜丹っていう、奏柵に来たばっかの
('A`)「...聞いたことない名前だな。まあいいだろ」
ノパ⊿゚) ありがと。じゃ、向かうね〜
ピッ
ノパ⊿゚) ...ということで、行こっか
294
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:26:16 ID:L4uSg5iE0
朝の光が、廃墟の一室を柔らかく照らしている。
ガラスのない窓、その向かいの壁には朧げなサインが浮かび上がっている。
サインは形をゆっくりと変え続けていた。
('A`) 皆、朝早く集まってもらってすまない...助かる
ノパ⊿゚)ミセ*゚ー゚)リ( ´_ゝ`) (*゚ー゚)
('A`) ...俺は独生。あんたが亜丹か
( ´_ゝ`)ああ...会いたかったぜ
('A`) ん?知り合いだったか俺ら
( ´_ゝ`)いやノリだが
('A`)
('A`) すまないんだが...少し外しててもらえるか?
( ´_ゝ`)
('A`) あ、いや身内の話でな...聞かれるとまずいっつーか
( ´_ゝ`)おk
295
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:27:26 ID:L4uSg5iE0
(*゚ー゚) 独生、なんで私を呼んだの?
('A`) 何ってそりゃ...あの時全部収めたのお前だからさ
('A`) まだ脾都と診競に説明してなかったし、一緒に過ごすことになるから
('A`) 一度全部説明しなくちゃいけないと思ってな
(*゚ー゚) ...そういうことね
(*゚ー゚) 播院は、嫌がってなかった?
('A`) 彼女が、話したいって言ってた。特に診競に
ミセ*゚ー゚)リ え、私?
('A`) ああ。この話は「美」に関わってるから
('A`) だけど...もし嫌だったら外してもらっていい
ミセ*゚ー゚)リ いや、聞くよ
296
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:28:42 ID:L4uSg5iE0
('A`) ...わかった
('A`) 播院、文
从 ∀从( ω )
297
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:29:05 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 ...播院だ。よろしくな
从 ゚∀从 それで、こっちが文
( ω )...。
ノパ⊿゚) ...?
从 ∀从 事情があって、な
298
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:29:35 ID:L4uSg5iE0
('A`) さて...どこから話すべきか...
从 ゚∀从 私と文、独生は奏柵で生まれて、ずっと一緒だったんだ
从 ∀从 でも皆、私のせいで変わってしまった
('A`) ...俺は、後悔してないよ
从 ∀从 そう。だけど、私は大き過ぎる罪を背負ってしまったんだ
从 ∀从 以前の私も、どこにもいない
从 ∀从 ...私はもう播院じゃない。私は、ジャスミンだ
299
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:30:08 ID:L4uSg5iE0
ミセ*゚ー゚)リ ...ジャスミン?
从 ゚∀从 これは、私の中にある「美」の話なんだ
从 ゚∀从 だから、診競に話したかった
ミセ*゚ー゚)リ っ...
从 ゚∀从 貴女の「美」が凄いことも知ってる。だからこそ、この話を聞いて欲しい
从 -∀从 私は、3人とずっと一緒だった
.
300
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:37:00 ID:L4uSg5iE0
…
物心付いた頃から、私たちは路上で暮らしてた。
私は、人間ではなかった。
女の殻を被った何かだった。
その上、自覚がなかった。
(;'A`) おい、播院、どこだ!?
(; ^ω^)出てくるおーー!!
从 ゚∀从 ...。
(;'A`) あ、おいあれ見ろ文!
(; ^ω^)おぉっ!?
(;'A`) 屋上で何してるんだ?危ないだろ!?
301
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:37:24 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 ...独生か
(;'A`) 降りてこいよ!播院!
(; ^ω^)屋上行ってくるお!
从 ゚∀从 なんで、慌ててるんだ?
(;'A`) なんでって、飛び降りるんだろ!?慌てるに決まってるよ!
从 ゚∀从
从 ゚∀从 ...ごめん
从 ゚∀从 よくわかんない
(;'A`) なんか悩みでもあるのか?教えてくれればよかったのに!
302
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:39:12 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 悩み?
(;'A`) え、違うの!?思い詰めてるから、人って飛び降りるんじゃないのか!?
从 ゚∀从 そうなんだ
(;'A`) ...っ!
(;'A`) 理由は後で聞くから、そこでじっとしててくれ!
从 ゚∀从
タッ
(;'A`) ちょ、
(゜A゜) まっ、....!?
.
303
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:39:48 ID:L4uSg5iE0
ガシッ
(; ^ω^)っぶねぇぉぉぉぉぉぉ!
从 ゚∀从 あれ
从 ゚∀从 ...落ちて、ない
プラン... プラン...
(; ^ω^)今引き上げるお!
304
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:40:16 ID:L4uSg5iE0
(;'A`) マジどうしたんだよ播院
(; ^ω^)そうだお、流石に怒るお?
从 ゚∀从 ...怒る?
从 ゚∀从 怒ってるのか、ふたりとも
(;'A`)(; ^ω^)...!?
(; ^ω^)まさかここまでとは、呆れたお
(;'A`) 本当に、何の理由もないのか?
从 ゚∀从 いや。なんか、飛んだら何か道が開けるかなって....
从 ゚∀从 下にゴミ袋積んでたから怪我もしないかなって、思ったんだが...
305
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:40:41 ID:L4uSg5iE0
( ^ω^)あ、そうなのかお?
从 ゚∀从 ああ
( ^ω^)
(; ^ω^)...いや納得しかかってたけど、やっぱ意味不だお!?
(;'A`) 播院、理由は百歩譲って、危ないことはやめてくれ...
从 ゚∀从 ...分かったよ
306
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:41:40 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 なんで、二人は俺に構うんだ?
( ^ω^)...なんでって、幼馴染だからだお?
从 ゚∀从 ...へえ
从 ゚∀从 俺、この前誰かに言われたよ。人に嫌われる天才って
( ^ω^)...そんなことないお!
从 ゚∀从 そうなの?
( ^ω^)だって、僕らは播院のことが好きだお
( ^ω^)播院は多分、普通の人とは違うんだお...
('A`) 誰か...ってか、いかにも捻余が言いそうなことだな
307
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:42:35 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 捻余?...あぁ、第2区の
从 ゚∀从 確かに、そうだったかも
('A`) ...ま、それはいい
('A`) 播院は、そのままでいいんだよ
从 ゚∀从 ...そうか
(;'A`) あ、でも俺たちがやめてって言ったことは極力守ってほしいかな?
从 ゚∀从 ...分かった
('A`) もし。それがやっていいことなのか、駄目なことなのか分からなかったら、俺たちに聞いてくれよ
从 ゚∀从 うん
('∀`) いい子だ
从 ゚∀从 いい子?
( ^ω^)独生キモいお、播院は同い年だお!
('A`) うるせー!
308
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:43:24 ID:L4uSg5iE0
私たちはそのまま成長した。色々なことが分かってきた。
周囲は親の顔なんて知らない連中ばかりだったからか、心はボロボロに荒んでいった。
独生や文も、不安定な時期が続いてた。貴女達も、きっとそうだったよね。
どっかに盗み入って、殴り合って、捕まって...。
私の周りにも薬物に手を出す奴、先輩に誘われて売人になる奴、いっぱいいたんだ。
けど、
その時の私は、何も感じてなかった。
相変わらず、人間じゃなかった。
(# ^ω^)あーイラつくお!皆僕を蛆虫見るような目で見やがってお!
(# ^ω^)独生!どっか叩きに行くお
('A`) おい文
('A`) 俺たちが蛆虫なのは本当だろ
('A`) ...自ら証明する気か?
309
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:45:02 ID:L4uSg5iE0
(# ^ω^)は...独生...お前...殴っていいかお?
('A`) 俺たちにできんのは、これ以上堕ちないようにすることだ
('A`) それとも、第2区の連中みたいに...蛆虫以下になりたいのかよ
(# ^ω^)う...
(# ^ω^)うるせーお!僕にもプライドはあるんだ、心まで死んでたまるかお!
(#'A`) ...お前な
(#'A`) 頭使えバカ!刑務所行ってどうなるか...ヤバい奴に目付けられて引きずり堕ろされるに決まってるだろ!
310
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:45:43 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 ....。
(# ^ω^)
( ^ω^)播院。起こしてごめんお
从 ゚∀从 いや。大分前に起きてたから平気
('A`) すまん...見苦しかったよな
从 ゚∀从 全然?
('A`) ...そうか
311
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:46:25 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 何の話してたんだ?
('A`) 播院は、知らなくていいよ
从 ゚∀从 えぇ〜聞かせてよ
(#'A`) うるさいな、知らなくていいって言っただろ!?
从 ゚∀从
(;'A`) ハッ
(;'A`) ...ごめん
从 ゚∀从 (あ〜あ...)
从 ゚∀从(俺が喋ると、いつもこうなるんだ...)
从 ゚∀从 ...ごめん
312
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:47:01 ID:L4uSg5iE0
( ^ω^)
( ^ω^)...播院は、ムカついたりしないのかお?
从 ゚∀从 何に?
( ^ω^)僕らは、社会の底辺にいるんだお
( ^ω^)生まれる場所なんて選べないのに、たまたま運が良かった奴らに見下されて、這い上がる機会もくれないんだお...?
( ^ω^)悔しく、ないのかお?
从 ゚∀从 ...悔しい?
从 ゚∀从 ごめん。全然分からないんだ
从 ゚∀从 だから嫌われるのかなって...思うけど
(; ^ω^)...っ
313
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:47:26 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 でも、他人が何言おうと、俺たちはここにいるんじゃないの?
从 ゚∀从 そりゃ、殴られたりしたら俺も痛い。でもそんなことしてないし、飯だって食わせてくれてるじゃん
(; ^ω^)それは、そうだけど....
从 ゚∀从 俺は、悪口言ってくる奴等より、第2区の連中みたいに殴ってくる方が嫌いだ
从 ゚∀从 どっちかっていうとね
从 ゚∀从 ...どうして、文はあいつらとつるむんだ?
(; ^ω^)...。
('A`) 文。播院にはまだ分からないよ
(; ^ω^)不思議と播院の言ってることの方が正しい気も、してくるお...
从 ゚∀从 そうなのか?
314
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:48:09 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 俺...やっぱ何も分かってない
从 ゚∀从 いつか、分かるだろうとか思ってたけど
从 -∀从 一生、このままなんだろうなぁ...
( ^ω^)そんな、ネガティブなこと言うなお
从 ゚∀从 いや、俺は思ったこと言っただけで。全然悲しくないよ
('A`) ...俺は、播院に助けられてる
从 ゚∀从 そうなの?
('A`) ...うん。多分
(;'A`) 変な喩えだけど...窓を開かれる感覚っていうか...お陰で、自分を見失わずに済むんだ
从 ゚∀从 んん?
( ^ω^)あ〜....分からないようでめっちゃ分かるお
从 ゚∀从
315
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:48:36 ID:L4uSg5iE0
私は、女の身体の中に居る宇宙人みたいなものだった。
「殻」に無自覚だから「振る舞い」すらままならなかった。
だから、文や独生が私を見る目に気付けなかった。
私には、それを受容する領域も、如何なる恋愛感情も備わっていなかった。
そんなある日、第2区の連中から決別した捻余達が私達の元にやって来た。
インジェクターを3本持ってね。
( ‘∀‘)おー文、お久だな
( ^ω^)お...何でここに?
('A`) どうしたんだ?一体
( ‘∀‘)仲間に入れてくれねえか?
316
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:49:36 ID:L4uSg5iE0
(;'A`) ....え?
( ´ー`) 馬鹿
(; ‘∀‘)馬鹿とは何だ!
( ´ー`) すまん。こいつは礼儀ってもんを知らないよな
( ´ー`) ...嫌気が差したんだよ。あいつら無茶苦茶やるからさ
('A`) ...まあ。そりゃそうだよな
( ´ー`) だが義理は通す。ブツはあるよ
('A`) ...いらない
( ‘∀‘)そう言うと思った。だけどこれはな、普通の薬物とは全然違うぜ
( ‘∀‘)俺も捻余も、これ一筋にすると決めた
( ´ー`) 知らないのか?インジェクターっていうんだが
('A`) 知ってるよ
从 ゚∀从 ...。
317
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:50:23 ID:L4uSg5iE0
( ´ー`) やってみる価値はあるよ
('A`) 俺は、出来るだけまともに生きたいんだ
( ´ー`) 「ビジョン」を見たほうが、何倍もまともに生きれるよ
('A`) ...信じられないな
(; ´ー`) うーん。まあ、そう言うとは思ってたよ
( ‘∀‘)ま、要らないんだったら俺らが使うけど
( ´ー`) 馬鹿
(; ‘∀‘)んだとー!?
从 ゚∀从 俺、興味ある
(;'A`) 播院
从 ゚∀从 ちょっと聞いたことある。何もリスクがないんでしょ?
( ´ー`) ああ
318
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:50:56 ID:L4uSg5iE0
( ´ー`) ...どうするよ
从 ゚∀从 ねえ、独生、文。これは良いこと?ダメなこと?
(;'A`)( ^ω^)
(;'A`) ...ダメだと思う
( ^ω^)僕は、播院が望むならいいと思うお
从 ゚∀从
从 ゚∀从 えぇ〜...どうすればいいんだよ
从 ゚∀从 なあ、捻余
从 ゚∀从 ...俺は、自分のことも、何にも分からないんだ
( ´ー`) ...だろうなと思ってたよ
从 ゚∀从 これ使えば、何か分かるかな?
319
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:51:26 ID:L4uSg5iE0
( ´ー`) ...分かるよ。約束してもいい
从 ゚∀从 そうか。じゃあ使う
(;'A`) 待て。罠の可能性もあるんだぞ
(; ‘∀‘)いやいや。俺らのこと信じろよ。大体ブツを持ってくるのは最大限のリスペクトじゃないのか?
( ´ー`) 独生に限っては話が違うみたいだよ。俺らの失策だよ
('A`)
( ´ー`) ...ま、立場は俺らの方が下だ。断られる覚悟もできてる
从 ゚∀从 もし、俺らの仲間になれなかったら、どうするんだ?
( ´ー`) ...居場所ねーから、奏柵出るよ
从 ゚∀从 ...やっぱ俺がやる
320
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:52:08 ID:L4uSg5iE0
(;'A`) 播院、
从 ゚∀从 安心しろって
( ´ー`) 交渉成立かな?
( ^ω^)...そうおね、独生
('A`)
('A`) ...分かったよ
( ´ー`) オッケー。これから、よろしくお願いするよ
( ‘∀‘)よろしくな!
その晩、私は初めていった。
私の世界は、凄惨を極めていた。
321
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:53:18 ID:L4uSg5iE0
そこでは、私の一切の記憶が無くなった。
一面真っ白の、無限に続く世界で、見知らぬ誰かに殺され続けた。
逃げても逃げても、どこにも安全な場所はなかった。
殺される度、私の記憶は無くなって、誰かに騙され殺される。
仮に逃げ切れても、食べる物がないから、ついには餓死してしまう。
だけどそんな無限に続く「私の殺戮」の中で、私はどこかで親密さを覚えた。
今思えば、性的な親密さに近かったのだと思う。
私は、殺される私にも、私を殺す誰かにもなれた。ここは言葉では説明しきれない感覚。
私が生み出した、私の殺戮。そう思うと、戻ってきても何か腹の中に温かいものを感じた。初めて、ここに居るんだと思えた。
2人は最初心配してくれた。
私の世界を聞いて、捻余に詰め寄ったりもした。
だけど、時を経る毎にそれが心配に値する事柄ではないのだと理解していった。
文や独生も、行くようになった。
2人の「美」が何だったのか、もう知る由もないけれど。
322
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:54:00 ID:L4uSg5iE0
それでも、私は人間にはなれなかった。
「美」は私の様態を微笑みながら眺め、そして私にそれを上映してくれた。
私は「美」の眼差しに嬉しくなって、「美」を愛でた。その愛に嬉しくなった「美」が、私の非人間性を優しく扱った。そういう無限に続くループが生まれた。
だけど私は、文や独生が何を考えてるのか、私が何を考えているのかも、理解することが出来なかった。
...いつしか私は、私の世界を統べる存在になった。
終わりなき殺戮を繰り返すうち、私は世界を意のままにコントロールする能力を手に入れた。
世界の人々は私を殺すことをやめて、私のことを「森のアンコウ」と呼んだ。
ある時、水を通じて一緒に行くことを捻余から教わった。
そして、私は最悪の思考に至った。
他人の美を、取り込んでしまおう、と。
当時の私には、何が罪か、分かりようがなかった。
それが原罪なのだ。罪は罪を呼ぶ。
323
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:54:41 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 ね、文。俺の世界に来てくれるか?
(* ^ω^)お...いいのかお?
从 ゚∀从 ああ
(* ^ω^)何で、僕なんだお?独生はいいのかお
从 ゚∀从 文なら、やってくれると思ったんだ
(* ^ω^)...おー
( ^ω^)あ、でも独生には伝えたのかお?
从 ゚∀从 なんで伝える必要があるんだ?俺とお前だけの話だろう?
( ^ω^)独生が可哀想だからだお
从 ゚∀从 ...そう。そうか
从 ゚∀从 分かったよ
324
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:55:12 ID:L4uSg5iE0
そうして、私は文を世界に引き入れた。
私は、彼の想いに全く気付かなかった。
.
325
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:57:13 ID:L4uSg5iE0
私は、彼に殺された。
彼が、私を愛していたから。
私は彼の物になった。
だけどそれは長く続かなかった。
私を手に入れられないことを悟ると、文は私に全てをくれた。彼の想いには気付けなかったけれど、
全てをくれると、最初から分かっていた。全てをくれるまでが、私の世界のなり行きに含まれていた。
罪深かった。
私と文は、長く行きすぎていた。帰ってくる兆しがなかったから、独生は私の世界へ入ってきた。
彼も、私を好いていた。
326
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:58:09 ID:L4uSg5iE0
文の全てを得た私は、極度の混乱に陥った。私はもはや世界を制御することができなくなった。
私はその時、女になった。
播院は殺された。その死骸から生まれた女を、文は「ジャスミン」と名付けた。
何もかも求めていた物とは違う。けれど引き返すには遅いと知った。
再び、「私の殺戮」が始まった。
327
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 21:59:01 ID:L4uSg5iE0
私は、自分が女であることを独生によって知った。そして独生によってそれを受け入れようとした。
そしてそれは歪な形で成功した。私は、独生をも壊してしまった。
さも偶然のように感じられた。実際初めは何も意図してなかった。
だけどそれも、分かっていたことだった。分かっていて、やったんだ。
その為の世界だったのだから。
罪悪感でいっぱいになって、女になった私、人間になった私なんて、くたばればいいと思った。
だから世界を壊そうとした。だけどそれは、叶わない夢となった。
...四威が現れたから。
彼女は、白翼の天使として私の世界に入ってきた。そうして、混乱しきった私を、この混沌とした現実へと引き上げた。
それすらも、分かっていたことだったんだ。
全ては私の非人間性から始まって、それに人間になった私が気付いた。
だから罪が、私を人間ではいさせてくれない。私は成り損ないのまま、ただ償いのために生きていくしかないんだ。
328
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:00:04 ID:L4uSg5iE0
从 ∀从 ...私は、目覚めて自分の罪をありありと自覚した
从 ∀从 私は、自らの美を使って他人の美を、人間性を奪ってしまった
从 ∀从 大切な仲間を壊してしまった
( ω )
从 ∀从 独生も、かつての独生じゃなくなった
('A`) ...
从 ∀从 文はもう自分が何者かも、何を考えてるのかも、分からなくなった
从 ∀从 私にできる償いは、文を死ぬまで養うことだけ
从 ∀从 ...これが、私の話
329
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:00:34 ID:L4uSg5iE0
从 ∀从 ねえ、診競
从 ∀从 文を、助けてくれる?
ミセ ー )リ そん、な
ノパ⊿゚) みっちゃん...
ミセ; ー )リ できない、できないよ....!
ミセ; ー )リ 私はもう、ダメなの
从 ∀从 どうして
ミセ; ー )リ 私の「美」はもう、神聖なんかじゃない!誰も助けることなんてできない!
ミセ; ー )リ 本当に、ごめん...!何もできないの
从 ∀从 そう
从 ∀从 こちらこそ、無理言ってごめん
330
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:01:04 ID:L4uSg5iE0
ミセ; ー )リ 失望、したよね
从 ゚∀从 ...大丈夫だよ。私は私の責任を果たさなきゃいけないって、今はっきりわかった
ミセ; ー )リ ...それは違う
从 ゚∀从
ミセ ー )リ きっと、違う道があるよ...今の私では、何も示すことが出来ないけど
ミセ ー )リ 美を失っても、それだけは忘れたくないの。でも忘れそうで、怖い
ミセ ー )リ だから、播院にはそう思ってほしくない
从 ゚∀从
331
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:01:40 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 ...でも私にそんな資格、ないと思う
从 ゚∀从 ...私は自分の美を信じられないんだ。もう
ミセ ー )リ やめて
从 ゚∀从 私の美が皆を狂わせた
ミセ ー )リ 違う
从; ゚∀从 美なんて――
ミセ; Д )リ うるさいッ!
从; ゚∀从
332
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:02:26 ID:L4uSg5iE0
(*゚ー゚) 姉さん
ミセ; ー )リ ...っ!
(;'A`) 播院。そのくらいにしてあげてくれ
ミセ; ー )リ 美はもっと高いところにある。私たちの考えで決めつけられるものじゃないの
ミセ; ー )リ 絶対に、違う...!そんな考え、私は信じない!
从 ∀从 ...私がしたことも
从 ∀从 美の前では、許されるってわけ...?
ミセ; ー )リ
从 ∀从 そうなの?
ミセ ー )リ そうだよ
333
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:03:10 ID:L4uSg5iE0
从 ∀从 じゃあ、文は
ノパ⊿゚) 播院
ノパ⊿゚) ...多分、気付いてるんだと思うけど
ノパ⊿゚) 美はあなたそのものだ
ノパ⊿゚) それを、あなたが歪めたんだ。多分
334
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:03:41 ID:L4uSg5iE0
从; ∀从
ノパ⊿゚) ...あたしも、播院の気持ち、少し分かるよ
从; ∀从 ぁ...
ノパ⊿゚) ...それでも、良いんだよ。美は、あなたを縛り付けるものじゃないから
从; ー从 私は...
335
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:04:12 ID:L4uSg5iE0
从 ∀从 ...ああ
从 ゚∀从 本当に、本当に、全部私のせいか...
(*゚ー゚) 過ぎたことは、しょうがないよ。播院
('A`) ああ。いつまでも後悔したって、先に進めないだろ
('A`) それに、お前は変われたじゃないか
从 ゚∀从
('A`) 何回も言ったけど、俺は後悔してない
('A`) 多分、文もそうだ
('A`) お互い、変わった。だけど俺は今のお前が好きだ。正直な気持ちだ
从 ゚∀从 どく、お...
336
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:05:26 ID:L4uSg5iE0
…
ミセ*゚ー゚)リ ごめん。また迷惑かけたよね
('A`) 全然気にしてないぞ。本気でお前が心配になってきたが...
ミセ*゚ー゚)リ ...っ
ミセ*゚ー゚)リ そう、だよね
ミセ*゚ー゚)リ 多分、近いうちに全部終わっちゃうの
ミセ*゚ー゚)リ 「美」も無くなって、自分も無くなる...
ノパ⊿゚) ...あたしが、何とかする
ミセ*゚ー゚)リ ひーと
('A`) ...任せたぞ
ミセ*゚ー゚)リ ごめん。迷惑かけっぱなしだね...
ノパ⊿゚) みっちゃんがあたし達にしてくれたことに比べたら、大したことないよ
337
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:05:52 ID:L4uSg5iE0
从 ゚∀从 ...これからも、よろしくな
ノパ⊿゚) うん
从 ゚∀从 ... 文にも、優しくしてやってくれると助かる。たまに自我を少し取り戻すんだ
ノパ⊿゚) もちろんだよ
(*゚ー゚) 姉さん、長い間話してなくてごめんね
ミセ*゚ー゚)リ ...ううん。大丈夫よ
ミセ*゚ー゚)リ いつから、播院と知り合いだったの?
(*゚ー゚) 奏柵に来て...非記が先に捻余を紹介してくれたんだ
从 ゚∀从 それから私らと暮らすようになったってわけ
ミセ*゚ー゚)リ そうだったんだ...
338
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:06:35 ID:L4uSg5iE0
('A`) あ
('A`) 亜丹
ノパ⊿゚) ...大分放置しちゃったな
(;'A`) 散々だな...謝らねえと!
339
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:07:06 ID:L4uSg5iE0
…
( ‘∀‘)その小杜ってやつ知ってたぜ...個人的に友達だった
(; ´_ゝ`)マジで!?
( ‘∀‘)ああ。お兄さんが急にどっか行って探してるみたいなこと言っててな
( ‘∀‘)にしても、そっくりだな...そうか。自殺しちまったのか...
( ´_ゝ`)あいつは真面目な性格だったからな...
( ;_ゝ;)俺、弟がいないと何にもできないんだよ。後追い自殺しようと思うくらいにな
(; ‘∀‘)まじかよ、大変だな
340
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:09:15 ID:L4uSg5iE0
( ´_ゝ`)あ
( ´_ゝ`)聞きたい?俺のショボすぎるエピソードの数々
(; ‘∀‘)いやいいわ
(; ´ー`) 身内に天然がまた増えるのかよ....
( ´_ゝ`)天然?
( ´ー`) この馬鹿と脾都。あと昔の播院
(; ‘∀‘)あ、俺は天然じゃねーぞ!言っとくけど!
( ´ー`) それぞれエピソード挙げたら数え切れないよ
(; ´_ゝ`)...脾都、そんなんじゃないだろ?
( ´ー`) いやアホじゃね?不用心過ぎるぞあいつ
( ‘∀‘)あいつはアホかも
(; ´_ゝ`)えぇ...
341
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:09:48 ID:L4uSg5iE0
九,了
342
:
名無しさん
:2021/04/30(金) 22:17:56 ID:mJrKRj..0
乙。。。
343
:
名無しさん
:2021/05/04(火) 07:19:03 ID:VCTTh.qI0
乙!楽しみにしてる
344
:
名無しさん
:2021/05/04(火) 22:18:54 ID:s7z78/Z60
乙
わからない部分を自分で想像してるけど中々追いつけない…!
345
:
名無しさん
:2021/05/25(火) 21:26:29 ID:7RGLWbPk0
更新が遅れていてごめんなさい
じわじわ進めて行くのでよろしくお願いします
私の言葉で説明するならば、美は神に近い概念です
また、感覚です なので厳密にはただ「美」としか言い表せないのですが...
346
:
名無しさん
:2021/05/30(日) 11:19:32 ID:KXf65te.0
待ってる
347
:
名無しさん
:2021/06/02(水) 16:48:16 ID:Qz/v009c0
私の使っていた端末が故障してしまい書きだめとプロットが回収不可能になってしまったので、もう少しかかります (´;ω;`) 申し訳ないです
348
:
名無しさん
:2021/06/02(水) 17:13:06 ID:9bfsm8FY0
マジかッッッ
349
:
名無しさん
:2021/06/29(火) 16:45:50 ID:/sZluw6Q0
作者氏は大丈夫か?続き待ってる
期待あげ
350
:
名無しさん
:2021/07/16(金) 14:34:49 ID:kON9Cn9Q0
生存報告
とりあえず新しい端末で試みてますが、データが回収できるまでしばらくかかります…
それまで短編など書いてみようと思います
351
:
名無しさん
:2021/07/19(月) 20:56:15 ID:C6o8I1Hk0
生存報告ありがとう
ずっと待ってる
352
:
名無しさん
:2021/07/20(火) 13:28:36 ID:VIxxh/Gg0
ゆっくりでいいから待ってるぞ
353
:
名無しさん
:2021/07/23(金) 12:33:36 ID:3wtcBWBI0
待ってるぞ
354
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 17:28:21 ID:qGGwqWoI0
長い間お待たせして申し訳ないです!近々最新話を投下したいと思います
ここからは第二部になります
355
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 17:49:23 ID:ERjMelD.0
!!!
356
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 22:49:49 ID:qGGwqWoI0
休日ですし今から投下します!
357
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 22:53:02 ID:qGGwqWoI0
「脾都」
「いま世界がどうなってるか、知ってるかい」
「いいや、知らなくてもいい。ただ…想像したことはある?」
「…それは違うよ。世界は法則に過ぎない。空間に無限の広がりがあるとはいえ、みんな法則に従っている」
「それに、世界の全ては生活の中にある」
「だから…君は想像したことがあるかい?」
.
358
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 22:53:32 ID:qGGwqWoI0
知らない男の声が聞こえる。
はじめたのは13の時から。
昼過ぎに一回、寝る前に一回
その日は寝付きが悪かった。そんなこと、今までに無かったのに。
診競の青白い手を握っていたが、
気付けば独り、見慣れない闇の中に居た。
光はなく、何も見えないが、大勢があたしを囲んでいる。
彼らは何も言わない。男の声も消えてしまった。
あたしの答えを待ってるの?
.
359
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 22:54:03 ID:qGGwqWoI0
「…そもそも、あなたは誰?」
訊いても、答えることはない。それは期待されていなかった。
彼らに触れようと数歩歩き出す。
しかし幾度歩いても、彼らの元に辿り着くことはできなかった。奇妙にも気配だけが近く感じられた。
あたしが男の質問に答えるまで、何も起きないのだ。
…世界なんて、
360
:
名無しさん
:2021/10/17(日) 22:54:26 ID:qGGwqWoI0
世界なんて、あたしには心底どうでもいい。
診競の他に何も要らない。
あたしは腕組みをして、彼らがどう答えるか待つことにした。
——そのまま、数分が過ぎたように感じられる。
徐に男の声がこう続けた。
「…ああ、そういうことか。君には何も無い」
「君は生活すら持ってないんだったね」
「焦らなくていいよ。僕らはいつも君と一緒にいるし、ひらかれるべき窓もそこにある」
ノパ⊿゚)
「また来なよ」
ノパ⊿゚) あたしがここに来たの?
ノパ⊿゚) 自分の意思で?
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