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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです
222
:
◆gFPbblEHlQ
:2021/03/07(日) 21:24:55 ID:E6U361vo0
投下予告とお知らせです
今月末の27日〜31日くらいに2話分を投下します
4月の投下はまた改めて予告します
新たにツンちゃんまとめを爆誕させました
https://gekitetunchan.blog.fc2.com/blog-entry-25.html
今後しばらく投下も続くので、個人で担える部分はやっておこうという方針です
クールライターさんのまとめに背中を押された形でもあります
4周目以降は自分でまとめ、1〜3周目は引き続きリンクを使わせて貰おうと思っています
ほぼ個人サイト的なものになりますが、閲覧に支障がなければこのまま運用します
223
:
名無しさん
:2021/03/07(日) 21:28:59 ID:E6U361vo0
1周目の頃から乙や感想や支援絵など本当にありがとうございます
まるで凸凹で石ころだらけの道のようなスレですが、綺麗に舗装するべく今後も頑張っていきます
季節ごとに数話投下しておくので、年に1回でもまとめて読んで貰えれば嬉しいです
224
:
名無しさん
:2021/03/07(日) 21:52:12 ID:7rUgwHaY0
おお、こんなサイトデザインもあるのか・・・
225
:
名無しさん
:2021/03/08(月) 05:31:20 ID:m4YbkmyU0
今月中に投下あるんですか! やったー!
226
:
BBH
◆CaOyByoJC6
:2021/03/10(水) 00:00:51 ID:TSNUgTSE0
BBHのリンクページにツンちゃんまとめを掲載してよろしいでしょうか。
227
:
名無しさん
:2021/03/10(水) 00:36:23 ID:evwbwfzo0
オアーッ今月中の投下だと……嬉しすぎる……ありがとうございます……
個人サイト、携帯でもAA綺麗に見れて感動した
228
:
◆gFPbblEHlQ
:2021/03/14(日) 09:02:44 ID:MCkzJeWM0
>>224
あるよーっ!(^ω^)
>>225
やったーっ!(^ω^)
>>226
いいよーっ!(^ω^)
>>227
オアーッ!(^ω^)
229
:
名無しさん
:2021/03/27(土) 09:55:15 ID:XvCFsZPM0
今更ながら全部一気読みした
めちゃくちゃ面白い、支援!
230
:
名無しさん
:2021/03/27(土) 21:49:50 ID:JEV2xlVs0
前の周回は読まなくてもいけるとのことで自分もまだ読めてないけど、大体は読まれてる感じ?
どのみち読むつもりではあるけれども
231
:
◆gFPbblEHlQ
:2021/03/28(日) 20:27:38 ID:GWXSQBmE0
≪1≫
勇者、魔王、超能力者。
凡人、異常者、はぐれ者。
そういった表面的な体裁を気に掛ける者は、王座の九人には一人も居なかった。
.
232
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:33:37 ID:GWXSQBmE0
組織の形骸化により様相を変えた勇者軍、その最大戦力たる王座の九人。
彼らは老若男女を問わないチグハグな集まりだったが、しかし一方で無二の共通点を持っていた。
彼らの共通点とは『主観への違和』。
その感覚を要約すると、彼らは『どうして空は蒼いのか』みたいな引っかかりをずっと抱えていたのだ。
ふとした時、さしたる理由のない違和感を抱くことは誰にでもある。
知性と野性を鑑みれば、これは万人に搭載されている普通の感受性と言っていい。
ただし、そういう曖昧な感覚にハッキリした機微を求める精神性は思春期から壮年期にかけて確実に衰えていく。
なぜ衰えるのか?
そういうものだからだ。
――『そういうものだから』で片付けなければ追いつかないほど、この世界には未知が多いからだ。
気にかけていたらキリがない。いちいち調べて検証してたら寿命が尽きてしまう。魔物とか特に意味不明だ。
だから誰もが受け入れるのだ。もう分かった、世界とはそういうものなのだと。
そうして静かに心は鈍り、自意識は落ち着いていく。
効率的な処理を覚え、所属する枠組みの規範に適応していく。
空は蒼いし夜空は冥いしツンちゃんは夜を往く。そういう世界なので。
そして、これもまた『大人になった』なんて曖昧かつ効率的な形容で済むくだり。
『世の中意外と曖昧なんだな』という言語化に至った瞬間、好奇心は諦めに追いつかれている。
..
233
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:37:13 ID:GWXSQBmE0
――だが、王座の九人は別だった。
素朴実在論とは妥協の共有に他ならないが、彼らはそういう打算を一切受け入れなかったのだ。
小さな頃から心に残り、大人になっても消えない疑問。
社会のルールを理解しつつも、穴だらけの命題を埋める何かを常に探している。
勇者軍は、その何かを見つけられそうな場所として彼らの前に現れた。
妥協をしなくていい環境には、一切の妥協を認めない者達がよく似合う。
両者の相性は火に油を注ぐように完璧で、それゆえ勇者軍は組織として成立できていた。
.
234
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:43:25 ID:GWXSQBmE0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
勇者軍が拠点としている施設は世界各地に点在していた。
その大半は『一切の軍事力は魔王軍討伐にのみ用いる』といった誓約のもと、暗に政治的な御目溢しにあやかっている。
各国家機関とて人間社会に魔物が潜伏している事実は把握していたが、いたずらな公表は社会の大混乱を招いてしまう。
ここらへんの話は余談なので割愛するにせよ、魔物への備えとして勇者軍を容認する動きはそう珍しくなかった。
勇者軍日本支部とでも言うべき拠点は、列島から遠く離れた孤島に設けられていた。
便宜上には存在せず、あらゆる無法を許された島。
軍内部におけるこの島の役割は、激化薬の研究と共に『次世代の戦力』を獲得する事だった。
(-@∀@)「……おお、ここに居たか」
施設内でもとりわけ明るく、大きく開けたフードコート。
そこに現れた白衣&眼鏡の男は、フードコート内の人だかりを見て静かに独りごちた。
人だかりの殆どは病衣の子供達であったが、みんな笑顔でハッピーな感じだったのでよかった。
子供1「じいさん、また授業やってよ!」
爪'ー`)「おお構わないよ。教科は?」
子供1「道徳!」
爪'ー`)「道徳かぁ、それ私も足りてないんだよなぁ」
子供達は、灰色のカーディガンを羽織った老け顔の男を中心にしていた。
男の実年齢は五十代後半であったが、そこから一回り若く見受けられるだけの鋭い気風が彼にはあった。
要約するに、カリスマという言葉が簡潔であろう。
肩下まで伸びる色褪せた長髪。柔らかな物腰に、思慮深くゆっくりと語られる言葉の綾。
椅子に座って子供達と戯れているだけなのに、その光景には語り部と民衆の図画を連想させる機微があった。
それもそのはず、彼は勇者軍最大戦力『王座の九人』において実質的なリーダーを務める人物だった。
.
235
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:46:58 ID:GWXSQBmE0
(-@∀@)「おいフォックス! ちょっといいか!」
白衣の男が大声を上げると、子供達の輪が大きくひび割れた。
その裂け目から視線を返してくるフォックス。
彼は事を察したように軽く頷き、子供達の顔をぐるりと一望した。
爪'ー`)「すまん、仕事の時間だ。私の小言はまたにしよう」
子供2「は?」
途端、子供1から子供14くらいまでが一斉に不満を張り上げた。
年老いた耳にもしっかり響き渡ってくる子供達の声。
フォックスは耳を抑えて苦笑い、ガキどもを懸命に宥めた。
J( 'ー`)し「はいはいみんな、教室に戻りましょうね」
ほどなく、子供達の引率者が床に膝をついて言った。
優しい口調で言いはしたが、彼女の背景には反撃さえ許さない穏やかな圧が見え透いている。
感情に蓋をされた子供達はそれでも顔をしかめたが、それさえ無意味とすぐに悟り、口を閉ざした。
J( 'ー`)し「……それじゃあ失礼します。また相手してあげて下さい」
爪'ー`)「いつでもどうぞ。みんなまたね」
一礼してからフォックスに背を向け、子供達を引き連れていく女性。
エプロン姿の彼女はカーチャン(偽名)と呼ばれる人物で、この施設における諸般の子守を担当していた。
古くから日本支部に在籍し、『次世代の戦力』について多大な貢献をしてきた古株だ。
あと王座の九人だった。
.
236
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:48:21 ID:GWXSQBmE0
(-@∀@)「……いやぁ、つくづく人気者だな。鳩にエサ撒いてる老人みたいだ」
ごっそり人気が消えたのを見計らい、白衣眼鏡マンがようやく近付いてくる。
時たま名残惜しそうに振り返る子供達に手振りを返しながら、フォックスは彼の茶化しに対応した。
爪'ー`)「実際もう老人だよ。青臭い皮肉は喉を通らん」
(-@∀@)「カマトトぶんなって。あと百年は若者だぞ」ドカッ
陽気に言いながら反対側のベンチシートに陣取る白衣眼鏡マン。
瓶底眼鏡に秘めたその瞳――自称老人には眩しすぎたのか、フォックスは溜息混じりに頭を振った。
爪'ー`)「堪らない人生観だな。いつまで生きてる予定なんだか」
(-@∀@)「……死ぬ予定は無いが?」
口早に言い、その言葉尻に「何を仰る」と付け加えるマン。
彼は改まった風に両手を広げて見せると、しばし沈黙してから本題を切り出した。
.
237
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:52:05 ID:GWXSQBmE0
(-@∀@)「で、諸々済んだぞ。魔王軍との交戦シミュレートは完璧だ」
(-@∀@)「準備も万端。あとはリアルに実行するだけ」
爪'ー`)「おお! それはすごい!」
(-@∀@)「……実行するだけ、だが」
当てつけのように言い直し、テーブルにつんのめる白衣眼鏡マンもといアサピー。
前もってフォックスの思惑を予想していたアサピーは、彼が言うべき答えを先に口走った。
(-@∀@)「動かないんだろ?」
爪'ー`)
爪'ー`)「え? あーそうだね。動かないよ」
(-@∀@)「……ハハッ! だと思ったぜ!」
予定調和に声を荒らげ、アサピーは大袈裟に仰け反って見せる。
人を小馬鹿にした仰々しい身振り。その不躾は、彼らをつなぐもの無くして成立はしなかった。
フォックスが老人ならアサピーも老人である。数十年前に勇者軍で出会って以降、付き合いは長い。
.
238
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 20:57:50 ID:GWXSQBmE0
爪'ー`)「なのでアサピー、手が空いてたらスポンサーへの言い訳を頼む。
あれの相手は私には難しい。金だの地位だの、難しいんだ」
(-@∀@)「それもやっといたよ。お前にゃ接待は無理だ」
アサピーは高らかに指を鳴らし、フォックスの杞憂を軽くあしらった。
勇者軍とて人の集まり。その内部勢力は大きく二分されており、各所の確執は中々に度し難い。
しかしアサピーだけは例外だ。彼の立場は少し特殊で、組織内でも特に重大なものだった。
王座の九人と激化薬研究の主任。2つの立場を上手く使えば、彼の意見は誰にも覆せなかった。
(-@∀@)「あちらさんの“““有意義な会議”””が長引くよう、燃料はたっぷり注いでおいたぜ。
先の襲撃で増えすぎた手札をどう使えばいいんだか、今頃大声で議論中だろうよ」
爪'ー`)「はは、それは仕方ないさ。普通そうだよ」
フォックスは足を組み直し、両手を膝に乗せて空笑った。
拍子を数えて跳ねる指先。彼の脳内では、彼自身が思い描いた盤面が次の一手を待ち侘びていた。
爪'ー`)「勇者軍は――特にあっちの、宗教的な人達は日陰暮らしが長いからね。
チャンスの扱いなんて分からないし、初々しくもなる」
トップ
(-@∀@)「……自称勇者軍ながら《勇者》は不在。
バカが仕切るよりはマシだが、やっぱり組織は鈍化するよな」
爪'ー`)「分かってるならお前が仕切るといい。適任だぞ」
(-@∀@)「俺がか? 別に構わねえけど――」
そこで返事を区切り、一瞬真顔になって逡巡するアサピー。
三度フォックスの意図を見抜いたのか、彼は中指で眼鏡を正し、にんまりと笑った。
(-@∀@)「いや待て、今のは冗談として受け取っておく!
臨時であってもゴメンだね、こんな反社会組織の旗持ちなんざよ!」
爪'ー`)「あー」
(-@∀@)「ていうかお前がやれよ。ああいうのはカリスマがやるべきだろ」
.
239
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:02:03 ID:GWXSQBmE0
爪'ー`)「けっきょく人手不足は相変わらずか。いやぁ困ったね」
(-@∀@)「おい話を飛ばすな。お前がちゃんとリーダーやりゃいいんだよ」
爪'ー`)「おかしいなぁ。ブラックなのは思想だけなんだが……」
自棄気味に語りつつ、フォックスは両手を後頭部に運んだ。
資金、人脈、情報などは豊富にあっても、それらを有効活用する為の労働力が彼らには無い。
致命的ではないにしろ、一部の突出した者達で実務を片付けている現状は末端人員ですら弁えている。
だから日本支部のような育成機関もあったのだが、ついぞ組織の円熟は間に合わなかった。
魔王軍との接触を果たした時点で後進育成は打ち切り。
彼らはもう、今ある戦力だけで事を進めるしかなくなっていた。
爪'ー`)(……後進育成が『間に合わなかった』では、ないんだろうな)
勇者軍はまだ万全ではない。よしんば戦争を始めてもキャパオーバーが悪化するだけ。
侵略戦争など夢のまた夢。今はとにかく雌伏に甘んじ、機が熟すのを待つのが正解――。
と、この程度の合理は勇者軍上層部でなくても思い至る。
それでも彼らが見切り発車同然の行動を起こし、魔王軍の所在を特定したのには理由がある。
あの日、あの時、あの場所には、勇者軍が必要とする全てが完璧に出揃っていたのだ。
.
240
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:13:06 ID:GWXSQBmE0
(-@∀@)「……なんだよ、お前まだ気にしてるのか?」
爪'ー`)「まぁ、暇潰し程度には」
(-@∀@)「懐疑的だなぁ。俺もだけど」
爪'ー`)「……ただの偶然がここまで完璧に噛み合う訳がないんだよ。
私でもあれくらいの整合性は用意できる。そして漁夫の利をゲット、勝ち逃げだ」
ハインリッヒ高岡、内藤ホライゾン、魔王城ツンが同時に無防備を晒したあの一夜。
恐らくは秒単位での噛み合わせがなければ成立しない奇跡的な状況。
いつかの二度目を待ち続けるには、あの偶然は余りにも出来過ぎていたのだ。
だから勇者軍は行動を起こした。
リスクとリターンの採算は、辛うじて五分。
(-@∀@)「ちなみに俺もできるぜ。襲撃を仕組むくらい造作もないね」
変なところで張り合うアサピー。
フォックスは素直に受け取って続けた。
爪'ー`)「気掛かりなのはそこだよ。人力で可能だからこそ疑わざるを得ない。
なのに、あの襲撃にはハッキリした勝者が居ないんだ。ただそこだけが腑に落ちない」
爪'ー`)「今回の偶然が何者かの故意だったとして、そいつの目的だけが見当たらない……」
(-@∀@)「……で、裏切り者を探してみたり、他勢力が隠れてないか調べてみたものの」
爪'ー`)
爪;'ー`)「なんにも出てこなかった」
爪;'ー`)「もう完全に手詰まりだ、助けてくれ……!」
わざとらしく声を弱らせると、フォックスは糸が切れたようにテーブルに崩れ落ちた。
(*-@∀@)
その敗北宣言は実に爽快。賢明な人間がやっているので尚更スカッとする。
頼られるのも悪い気はせず、アサピーは最悪の笑みをもって彼の肩をポンポンした。
.
241
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:24:18 ID:GWXSQBmE0
――フォックス自身もほぼ勝ちを確信していたレベルで、先日の襲撃には滞りがなかった。
展開の予測、事前準備、敵勢力の分散など――本当に、何もかもが完璧に進行していたのだ。
にも関わらず、対象の捕獲or殺害にはなぜか失敗。
終わってみれば結果は及第点。かけた期待分のリターンがあったかと言えば、ぶっちゃけ微妙。
後進育成が間に合っていればと思わなくもないが、そのルートは見切り発車の運賃に使ってしまった。
敵前に姿を晒すリスクは全会が承知していた事。
分かった上でなおリターンを追ったのだから、今更それを悔いるのは時間の無駄。
敵の所在を掴めただけでも帳尻は合うのだし、魔王城ツンの実力を計れたのも大きな成果だ。
しかしながら、フォックスの懸念はこの妙に均衡の取れた筋書きそのものにあった。
敵に姿を晒しはしたが、相手の実態を掴めたことで次手への進行はスムーズになった。
向こうも急死に一生を得ると同時に、こちらの狙いと内通者の存在には気付いたはずだ。
ここで損得勘定をするに、両陣営がプラマイゼロないし微プラスというのは奇妙に映る。
それが偶然や奇跡なら尚の事、天秤の傾きがあまりに小さすぎる。
誰かがバランスを取っている。確たる根拠もなく、フォックスはそう思わずに居られなかった。
(-@∀@)「だから偶然なんだっつの。宝くじみてーなもんよ」
爪;'ー`)「ぐぬぬ……」
(-@∀@)「そんなアナタに量子力学。変数と隠れんぼするよか楽しいぜ」
今はとにかくスピードが物を言う。こちらが万全でない以上、魔王軍に本気を出されるとかなり分が悪い。
なのでさっさと動くべきなのだが、フォックスはあえて『待ち』を選んだ。
組織としては完全に愚行。一定の理解を示すアサピーですら、その判断は冗談として受け取っている。
.
242
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:30:23 ID:GWXSQBmE0
爪;'ー`)「……量子力学って、超常時代に一度破れてなかったか」
(-@∀@)「断じて否! ただし異能は考えないものとする!」
(-'@∀@)「って、今のご時世そうなってんのよ。
俺みたいな異能研究者はテロリスト同然の扱いだ。いや参ったね」
爪;'ー`)「今そんななってるのか。今どきのインテリも大変だな」
他人行儀に同調し、フォックスは微笑む。
(-@∀@)「ま、それでも間違ってんのは世間だけどな。
事実を放置し何も考えず、忘れる方が健全だなんて知性の放棄だ」
(-@∀@)「俺だって信じたかない。だが魔物も何も実在してたんだから扱うしかねえだろ。
向き合って考えて、それで少しずつ人智に収納する。時間は掛かるがそれが歴史だ」
アサピーは断言し、走り書きのような愚痴を続けた。
(-@∀@)「なのに世界はこのザマよ。みんなで仲良く既知の有限に留まろうとしてやがる。
未知への好奇心を失った秩序ある世界、そいつは死よりも恐ろしいのだぜ」
爪'ー`)「……悪魔を憐れむ我々は、黙殺を選んだ人々には不気味に見えるだろうな」
(-@∀@)「ああ? まぁサタニズムでもマクスウェルでも構わんが、俺はただ実在を認めてるだけだ。
人間ってのは基本そうだろ? あるものはある。話は全部それからだ」
爪'ー`)「その通念で引っくるめるには、今の世界は風呂敷がデカすぎるな」
(-@∀@)「だから多くは傍観者を気取り、安全を確約されたメタ視点で自他を切り離した。
ある意味それはイデアとの決別だったが、同時に、究極の非生産を意味した」
(-@∀@)「そもそもの話、超能力と勇者と魔王の存在が人知のエントロピー許容量を飽和させちまったんだよ。熱的死、というか燃え尽き症候群って言い方のがポピュラーか。そんなもんが世界規模で起こってんのは面白くないよな」
爪'ー`)
爪;'ー`)「ダメだ降参、もうやめてくれ。付き合えるのはここまでだ。
還暦近いジジイに衒学者のマネをさせないでくれ」
(;-@∀@)「……そんな言うなら陰謀論で頭抱えんのやめろよ」
.
243
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:33:34 ID:GWXSQBmE0
( ・∀・)「……お前ら、もっと気楽に話せないのか?」
爪;'ー`) !
ふと、認知の外からツッコミが入った。
その一声に不意を突かれたのか、フォックスの肩がぴくんと跳ね上がる。
かたやアサピーは頬杖をつき、居心地悪そうに大きく首を傾けた。
(;-@∀@)「あーあ実物まで来ちまったよ。お前が悪魔とか言うからだぞ」
爪;'ー`)「なすりつけるな」
( ・∀・)「邪険にするなって。ほら土産だ、スウェーデンの」
(;-@∀@)「……そんなんガキに配れ。いちいち持ってくんな」
( ・∀・)「配ってきたのに余ったの。数はきっちり合わせたんだがな」
彼は不満気にぼやき、オシャレ特化の小ぢんまりした紙袋をテーブルに乗せた。
アサピー達を前にして気兼ねなく振る舞う彼もまた、王座の九人に名を連ねる1人だった。
彼の名前はモララーと言い、己を『神の代役』と呼んで憚らない、勇者軍的にもやや扱いに困る存在だった。
身形をスタジャンとジーンズで済ませてる神に説得力があるかはさておき、その実力は申し分ない。
.
244
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:34:39 ID:GWXSQBmE0
爪'ー`)「数が合わない? ……あーそれ、先日ちょっと使ったからだな」
( ・∀・)「例の襲撃にか? で、結果は」
爪'ー`)「まぁまぁだな。次に活かせる情報は手に入ったよ」
( ・∀・)「そっか。だったらこいつは手向けに使おう」
呆気らかんに言い、片手の指先に紙袋を引っ掛けるモララー。
そうして土産を回収すると、彼は戯けるように身を翻してテーブルを離れていった。
(-@∀@)「おいモララー! ジョルジュの事も報告してけよ!」
( ・∀・)「相変わらずだー。寝顔はとっくに見飽きてるんだがなー」テクテク
背中越しに受け答え、それで幕引き。
立ち去るモララーをしばし見送りながら、アサピーは気怠そうに姿勢を崩した。
(;-@∀@)「……相変わらずじゃねえ。バイタルの数値を寄越せってんだよ」
爪'ー`)「はは。聞き方を間違えたな」
.
245
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:37:47 ID:GWXSQBmE0
(-@∀@)「――まぁいい、話は済んだ! 帰って寝る」
途端アサピーは勢いよく立ち上がり、白衣のポケットに手をしまった。
(-@∀@)「とにかく会議は引っ張っとくが、お前の意向は士気に関わる。
次は恐らく総取り狙いだ。半端は許されねえからな」
爪'ー`)「分かっている」
フォックスはアサピーの方を向き、なんの感慨もない素朴な声色でぼやいた。
爪'ー`)「壊れた世界の筋道は、正しい誰かが直さなきゃな」
(-@∀@)
(-@∀@)「――くはっ、ハハッ、ハハハハハ!」
(-@∀@)「ヒィ〜〜〜〜ッwwwwwンフッwwwwww」
爪'ー`)
彼の去り際の大爆笑は、フォックス的にはかなり心外だった。
.
246
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:38:25 ID:GWXSQBmE0
#05 ラザロと畜群 その1
.
247
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:45:36 ID:GWXSQBmE0
≪2≫
〜前回から1週間くらい経過〜
魔界への強制送還を賭けた実技試験――その実施まであと僅か。
余暇の全てを特訓に捧げながらも、魔王城ツンの努力は未だ結実には至っていなかった。
ξ゚⊿゚)ξ
正直言ってあんまり成長を感じていない。
まさかここまで成果が出ないとは……いやもう我ながらビックリである。
現実逃避の三人称も事実を浮き彫りにするばかりだった。私はつらい。
从;゚∀从「――おいツンちゃん! 気ぃ抜けすぎだぞ!」
ξ゚⊿゚)ξ !
ところで私は特訓中である。
放課後は毎日ハインさんの屋敷に来ており、殴る蹴るなどの暴行を熱心に教えられている。
とはいえその内容は攻撃より防御に寄っていて、即物的な成長を感じるのはどうにも難しかった。
素直クールと戦った際の捌きだけは見込みがあるらしいが、正直私はビームとか出せるようになりたかった。
ツンちゃんビーム(図1)、相手は死ぬ。
いつか出せるようになりたいな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ξ゚⊿゚)ξ ウォォォ
つ つ"~~"" ('A`) ヒィィ
ノ( ヘヘ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(図1:ツンちゃんビームと民草)
.
248
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:48:09 ID:GWXSQBmE0
〜休憩〜
('A`)「なあツン、最近じゃ魔界でもスウィ〜ツを食えるんだぜ」
('A`)「案外あっちも悪くねえって。地上に居るより楽しかったりしてな?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ハァハァ……休憩にかこつけて心折りにくるのやめろハァハァ……」
屋敷の縁側にブッ倒れると、浅ましい甘言をほざくドクオが水とタオルを差し出してきた。
こんちくしょうは見物ばかりで、私の特訓には少しも助言をしてくれなかった。
特訓内容が対人間に集中しているとはいえ、なんかこうマック女子高生的な一言をくれてもよくないだろうか。
ちくしょう私も嘘松になりたい。しかし現実は非情だった。
('A`)「試験告知からそろそろ半月、流石に日程も決まる頃だ」
('A`)「なのに大して強くなってねえし。むしろ俺のが不安なんだぞ」
ξ;゚⊿゚)ξ「ハァハァ……うるせぇのだわボケカス……」
汗ばんだ体を起こし、ペットボトルの水をガブ飲みする。
私はタオルで顔を抑え、半ば無理矢理に心身を落ち着けた。
ξ; ⊿ )ξ「私だってね、好きでこんなスラダンのゴリみたいになってないのよ」
('A`)「スラダンのゴリて」
ξ; ⊿゚)ξ「私が私でさえなければ、ここまで頑張ってないのだわ……!」
('A`)「分かってるよ意地なんだろ。だからそれは認めてるって」
ξ; ⊿゚)ξ(……だから効くのよ)
.
249
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:49:53 ID:GWXSQBmE0
(´・_ゝ・`)「――自分が居たいと思う場所に居る、その為に頑張る」
(´・_ゝ・`)「邪魔するもんでもねえ。まったくもって健全だろうが。
野暮な正論ほどダサいもんはねえぞドクオ」
脈絡なく不意に現れた男、盛岡デミタス。
盛岡は理解のある彼くんめいた台詞と共に歩み寄ってきて、湯気立つコンビニ袋をドクオに投げ渡した。
(´・_ゝ・`)「内輪の優しさだって時には毒だ。
だからこそ、せめてその優しさが薬として機能するよう言葉を選ぶ」
(´・_ゝ・`)「そんな添削に気を回せてこそ模範的友人関係ってヤツじゃないの? 知らねえけどさ。
ちなみにそいつは差し入れね。肉まん入ってるよ」
('A`)「……ああそう」
理解のある彼くんに正論を投げられ、ドクオは言葉を失ったようだ。
確かにこいつは胸が空く。他人が他人を言い負かしている様を対岸から眺める、実に気分がよい。
かくしてシャーデンフロイデの快感を覚えた私は溜飲を下げ、哀れなドクオに助け舟を出してやった。
ξ-⊿-)ξ「いいのよ盛岡さん、気にしてないわ。
ドクオはいつだって無神経モラハラ根暗野郎だしチンコ小さいし、慣れてる」
('A`)
ξ゚⊿゚)ξ「あ、肉まん食べるから頂戴。全部ね」
ドクオからコンビニ袋を受け取り、中身の肉まん(4個)をもりもりと食べ始める。
運動後の食事はやはり格別。満腹中枢もニッコリであった。
(´・_ゝ・`)「まぁ言動が一番ヤバいのは魔王城ツンだけどな」
ξ゚〜゚)ξ「ナイスジョーク。三日三晩は片腹が痛いぜ」モグモグ
.
250
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:52:43 ID:GWXSQBmE0
(´・_ゝ・`)「……そんで2人とも、今日はもう帰れ。行ってよしだ」
途端、盛岡は語気を強めて勝手な事を言い出した。
どこか表情が硬いような、いやいつも硬かったな。
彼は私達を順に見た後、特訓再開を待つハインさんにも一瞥を送った。
(;'A`)「また急だな。俺は別にいいけど……」
ξ゚⊿゚)ξ「私は、……ハインさん次第?」
まだ日はあるが、そもそも特訓開始が放課後なので日没は近い。
私とハインさんはもう一回戦やる気でいたが、…いやこの表現エロいな。
訂正し、私とハインさんはもう少しだけ特訓を続けるつもりだったが、正直止めても問題は無い。
今日の特訓メニューはやりきってるし、あとはハインさんの判断によるが――。
.
251
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:54:50 ID:GWXSQBmE0
从;゚∀从「盛岡、お前また勝手な……」ザッ
(´・_ゝ・`)「なーんだよいいだろ別に? 特訓も順調そうじゃん」
盛岡の目配せに嫌な予感を覚えたのか、ハインさんが呆れた様子で近付いてくる。
イケオジVS理解のある彼くん、見応えのある嘘松だった。
从;゚∀从「まぁ順調と言えば順調なんだが、特訓にも仕上げってもんが……」
(´・_ゝ・`)「じゃあ今やってくれ。うわぁ見るの楽しみだな凄く」
ハインさんの抗議も虚しく――というか盛岡が一切聞き入れず、話がパワーでゴリ押しされる。
盛岡は私の進路を開けるように身を引き、身振り手振りで発進を促してきた。
ξ;゚⊿゚)ξ(ど、どないすれば)
从;゚∀从
とはいえ勝手に判断はできず、私は無言でハインさんを見遣り対処を丸投げした。
ちなみにこの時の心情を表したものが(図2)である。各位参照してほしい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヽヾ
ξ;゚⊿゚)ξ タスケテー λ......
) ) λ......
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(図2:諸手を上げ、民草に助けを求めるツン)
(補記:ツンの1行目は諸手を表し、3行目は胴体を表し、右記の『λ』は民草を表す)
.
252
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:56:34 ID:GWXSQBmE0
从;゚∀从
从;-∀从「……だから、そういう勝手をやめろってんだ盛岡。
とにかく順を追ってやらせてくれ。下手に急かすなよ」
(´・_ゝ・`)
(´^_ゝ^`)「――ああそっか! 上手ならいいのか、お前みたいに!」
途端、一人合点したように手を打つ盛岡。
それは私にさえ伝わるレベルの道化芝居で、滑稽さの誇示そのものが目的のようだった。
要するに彼はハインさんを小馬鹿にしたのだ。露骨なまでに。
从 ゚∀从「……なぁ盛岡、なんで噛み付く? 俺なんかしたか?」
(´・_ゝ・`)「がぶがぶ」(笑)
从#゚∀从 イラッ
ξ゚⊿゚)ξ(あっこれはマズい)
.
253
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 21:57:44 ID:GWXSQBmE0
≡ξ;゚⊿゚)ξ「うおおおやるぞ特訓をば!!」ダダダダダッ
ヘ(;'∀`)ノ「いいぞツン!! 頑張れうおおおおお!!」
大の大人が荒ぶるや否や、私とドクオは大声を出して誤魔化しにかかった。
ハインさんがキレるのは流石にヤバい。怖いので止めざるを得ない。
私は急いで立ち上がり、全速力で庭に飛び出していった。
ξ;゚⊿゚)ξ「やりましょ特訓!! 仕上げなんだか知らないけども!!」ザッ
庭の半ばで勢いよく振り返り、ハインさんへと叫ぶ私。
頼む、私の金髪キューティクルに免じてくれ……!
从 ゚∀从「……お前の用事、相手は俺だな?」
(´・_ゝ・`)「違ったりして。とにかく済ませてこいってば」
('A`)
(;'∀`)b(……なんかギリ収まったっぽい!!)
ξ;゚⊿゚)ξ(よし、事なかれ!!)
ドクオのハンドサインで無事を確認、ひとまず私も胸を撫で下ろす。
なんでこう喧嘩っ早いんだよ男衆。いっそ一回殴り合った方が友情芽生えるんだろうか。
.
254
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:07:45 ID:GWXSQBmE0
――ハインさんはすぐに落ち着きを取り戻し、私の方に来てくれた。
それでも感情を不完全燃焼させるのはしんどい。ハインさんの嘆息も無理からぬものだった。
从;-∀从「……ツンちゃん、俺あいつ嫌いっぽいわ」
ξ゚⊿゚)ξ(どちらかと言えば私も嫌いだ)
どちらかと言えば私も嫌いだ。でも嫌いじゃない時もあるので心は難しい。
人付き合いとはかくも困難。盛岡はそれを分かって壊しに来るのでたちが悪い。
ハインさんの素を見れたのは収穫だが、やっぱあいつ一度くらい殴られていいと思う。
ξ゚⊿゚)ξ(しかし決して言葉にはできぬ)
ξ゚⊿゚)ξ(負債1000万円の、この身の上では……)
盛岡に対する負い目については前回のオチから察してほしい。
あの財布を思い出すと一瞬で心が枯れていくのだ。ほんともう察してほしい。
1000万円分のぬか喜びを失くした感覚、あまりにも直視に耐え難い。
从 ゚∀从「……まぁ、仕上げっても単純な話よ。
今のツンちゃんに足りないのは成長の実感だけだしな」
調子を戻したハインさんが相変わらずの軽口で話を戻す。
私も同じく我に返り、彼の話に耳を傾けた。
从 ゚∀从「この一週間やってきた特訓だが、ツンちゃん的にはどうだったよ」
ξ゚⊿゚)ξ「回想シーン行きます?」
从;゚∀从「いや一言で済むだろ。というか、俺の特訓自体そんな疲れなかったろ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……そりゃまあ、死ぬほどって感じでは」
从 ゚∀从「そう。だから手応えが足りてねえと思ってな」
ミセリさんのせいで感覚が狂っているかもしれないが、ハインさんとの特訓は確かに退屈気味だった。
激しい運動はほぼ無く、むしろ基本的運動の復習に終始していた気がする。
もちろん負荷は魔物基準だったとは思うが、内容自体は初代Wii Fitくらいシンプルだったような……。
.
255
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:11:31 ID:GWXSQBmE0
从 ゚∀从「仕上げってのは要するにそこ、手応えのチェックなのよ。
んだから大した話でもねえ。自信をつけて、それで終わりだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「えーそれ実績増やす為に卒検甘くするヤツじゃん」
Σ从;゚∀从「いやちげェよ! そういう卑屈さを直したいからやるんだよ!」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ;゚⊿゚)ξ「卑屈!? この私が!?」
从;-∀从「……あのなぁ、あえて言うけど俺って強いの。強かったの。
今でこそ衰えたが、そんでも俺の特訓はキツい方なんだぞ?」
ξ;´⊿`)ξ「でもそれ人間基準……」
从;゚∀从σ「だからそこだよ!! その自分を認めねえ性格をどうにかすんの!!」
大仰な身振りを交えながら訴えかけてくるハインさん。
その形相に気圧されたのか、私も流れで話を聞き入れてしまった。
魔王城ツン、流されやすい女なのかもしれない。
.
256
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:15:02 ID:GWXSQBmE0
ξ;゚⊿゚)ξ「分かったから、とにかくやればいいのよね?
それで結局なにするの? 筆記?」
从 ゚∀从「ああ、そいつは単純だよ」
言いながら、ハインさんは半身を下げて軽く身構えた。
从 ゚∀从「雑談しながら戦うだけ。簡単だろ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……そういう特訓してないのに?」
疑問を覚えて首を傾げると、その瞬間、私の耳元を突風が吹き抜けた。
从 ゚∀从「――そうだ」
そう呟いたハインさんは、既に私の懐に踏み込んでいた。
なんなら、既に初撃すら済ませていた。
ξ;゚⊿゚)ξ …!
先の突風はハインさんの拳が生んだもので、その一撃は私の右耳を掠めるように空を貫いていた。
首を傾げていなければ当たっていたし、そもそもこの初撃は――
ξ;゚⊿゚)ξ(今の、素直クールにやられたのと同じ……!)
進研ゼミめいた気付きを得て、私は息を呑んだ。
.
257
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:17:24 ID:GWXSQBmE0
从 ゚∀从「流石に分かるか。殺されかけた手口だもんなッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ、急に始めなッ――!」
戸惑い慌てる魔王城ツン(ジャージ姿)。
しかし、ハインさんは私の制止を聞き入れなかった。
从 ゚∀从「じゃあ始め! はいスタートな!」ガシッ
ハインさんは有無を言わさずジャージの襟を掴み、片腕だけで呆気なく私を持ち上げた。
ξ;゚⊿゚)ξ「ウワァー乱雑な幕開け!! 流石にちょっと待って!!」ジタバタ
从 ゚∀从「ツンちゃん軽いな! もっと食べた方がいいぜ!」
そう言いながら勢いづけて、ハインさんは全力で私を投げ飛ばした。
――乱暴だがダメージを生むような投げではない。
速度と高さが十分にあり、着地を考える余裕があった。
もつれた体を空中で立て直し、私は玉砂利を蹴散らしながら受け身を取った。
減速するにつれて四足の姿勢に推移、体幹を安定させて完全に勢いを殺しきる。
ξ;゚⊿゚)ξ「……ふぅ」
そうして生まれた間合いはおよそ、…たぶん50メートルくらい。
あんまり遠いと間合い分かんないな。すごい投げられたとだけ伝えたい。
.
258
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:20:12 ID:GWXSQBmE0
从 ゚∀从「今の初動、一週間前なら大慌てで受けてたろ」
从 ゚∀从「そんで理性が追いついたらこうだ。
戦うべきか否か、しかも人間相手に」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
从 ゚∀从「この悪癖、今ならマシになってると思うぜ」
言葉の後、2度の手招き。
かかって来いという意味の、常套句に等しい煽りを見せつけられる。
――心臓が高鳴る。しかし、一旦落ち着きたい。
私は長い息を吐きながらゆるりと立ち上がり、時間稼ぎの話題を彼に投げかけた。
ξ;゚⊿゚)ξ「でも、そんなアドバイス一回だって聞いてないのだわ」
从 ゚∀从「そりゃ言ってもゴネるだろ? 効率悪いし、体に覚えさせた」
ξ;゚⊿゚)ξ !?
从 ゚∀从「慣れだよ慣れ。人間相手に戦い慣れる、これ一番大事」
知らない間に体を開発、しかもそれを実戦で分からせようとは卑猥な魂胆だ。
とはいえ彼の言い分には思い当たる節がいくつもあった。
あの特訓の日々(全カット)が本当に有意義だったのなら、私の予感は的中しているに違いない。
.
259
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:22:03 ID:GWXSQBmE0
この特訓で得られたものは知識ばかり。
肉体的、魔力的なパワーアップはほぼ皆無だが、でなければ分からなかった事も1つだけある。
人間には、およそ魔界には存在しない『弱者の利』のようなものが存在する。
弱者が強者を打倒する――その戦術を、彼らは当然の知識として弁えているのだ。
人間と違い、魔物の個体差には天と地ほどのバラつきがある。
弱肉強食は当然のこと。自然淘汰はより強烈で、強者を倒そうなんて発想は即死を招くだけ。
生き残るならまず逃亡。真の強者を前にした時、私達には『戦う』なんて選択はありえない。
――しかし人間は違う。
生物としての個体差が小さいからこそ、彼らには『弱者が強者を倒す』という展開が起こりうる。
私達にはないそんな貴重な経験を積み重ね、ただひたすらに継承してきた人類史。
確かに彼らは脆弱だが、しかし単なる弱者でもない。
2000年余年の時を経て、彼らはもはや強者を倒し慣れているのだ。
.
260
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:34:01 ID:GWXSQBmE0
ハインさんとの特訓で、私は人間にとっての基本を教わってきた。
その云々が何らかの結実を果たしていたとすれば、それは恐らく『違い』の再確認だ。
特に『弱者の利』。あれを知れたのは最大の収穫と言っていい。
弱者のままで強者を倒す、ただそれだけの為に作られた執念の集合知。
魔界であれば決して実を結ばない『弱さとの共存』という発想。
私に欠けていた知識、技術、心得の数々――。
ξ;゚⊿゚)ξ「……何がどう変わったんだか知らないけど」
人間という生物を私と同じ弱者、ひいては格下だと思っていた自分が嘆かわしい。
彼らと私達とでは基準が違う。常識が違う。世界観が違う。
その程度の前提さえ失念していた私が問題外と扱われるのも、今思えば当然の事だったのだろう。
ξ#゚⊿゚)ξ「そこまで言うなら、加減はしなくていいのよね……!」ザッ
从 ゚∀从「余裕があるならしてもいいぜ。自信つけるのが目的だしな」
ξ#゚⊿゚)ξ「……じゃあ、少し試してみるのだわ」
私は拳を固く握り、弱者の歴史の足を踏み入れた。
.
261
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:37:52 ID:GWXSQBmE0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
从 ゚∀从「――どうだ、体が軽いだろ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ッ!」
手捌きと同時に体を捻り、ハインさんの蹴り上げを受け流す。
拳が来たなら寸で避け、組み技ならば即離脱。
そして反撃――とまではいかないが、体の軽さは確かにヤバかった。
从 ゚∀从「俺たち人間は、五体の運動を型に嵌めて考える!」
从 ゚∀从「だが大抵の魔物には型が無い! 必要が無い!
基本誰もが唯一無二、先手必勝かつ初見殺しが基本だからな!」
从 ゚∀从「この辺の違い、ミセリから教わらなかったか!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「教えてもらってないです!! 1回も!!」
从;゚∀从「それはそれでダメだろ!! あいつバカなのか!?」
私は目をそらした。
.
262
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:44:04 ID:GWXSQBmE0
从;゚∀从「……とにかくパターン覚えるのが大事ってワケよ! 人間は!
セオリーってもんを作って、その上で戦いを成立させてくんだわ!」
从 ゚∀从「体のキレが良くなってんのも、体がそれを覚えたからだ!
ミセリも同じ事をしたかったんだろうが、教え上手は俺の方だったな!」
ξ;゚⊿゚)ξ !
そう言い切った直後、ハインさんの手元から石つぶてが弾き出された。
地面の玉砂利を使われたのだ。私はそれに目を奪われ、一瞬ハインさんの存在を忘れてしまった。
从 ゚∀从「――だからまだ、こういう動きに不意を突かれる」
石礫を避け、ハインさんを思い出したその時。
私達の間には大きく距離が空いていて、彼はどこぞから持ち出してきた刀を腰に据えていた。
攻撃ではない防御の構え。私は、あの構えに見覚えがあった。
ξ;゚⊿゚)ξ(ハインさん、まさかまた真似を……!?)
あれは素直クールが最後に見せた抜刀術だ。
たしか名前は糸桜。あの剣撃は目で追えなかったし、手も足も出なかった。
ξ;゚⊿゚)ξ(くっ、あれはトラウマなのだわ……!)
腰だめに構えるハインさんからは素直クールほどの殺気は感じられない。
私が成長したのか手を抜かれているのか、或いは全てが勘違いか。
いずれせよ、今の私は精神的な変化を問われているはずだ。
特訓前後で変わった部分といえばそれくらいだし、でなきゃ根本的に方針を間違えていた事になる。
――ハインさんの性格からして方針が間違っていた可能性は低い。
だったら私は、今ある手札であれを打破できるという事だ。
現に、やってみせろという気合いがビシバシ伝わってくる。
ξ;゚⊿゚)ξ(……手札はある、解き方は自分で考えろということね)
ξ;゚⊿゚)ξ(だったら私がすべき事はひとつ、考えること……!)
.
263
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:48:19 ID:GWXSQBmE0
从 ゚∀从(……ビビりから来る気質とはいえ、つくづく察しはいいな。
間違いなく長所だ。魔界じゃ当然のスキルだが、こっちじゃ簡単には身につかないからな)
从 ゚∀从(敵に合わせて律儀に飛び込んでこねえのも良しだ。
型に嵌めた分だけ余裕が生まれてる。そのうち自分のペースも掴めるだろう)
从 ゚∀从(ツンちゃん意外と意固地というか、自分への差別意識がかなり強いんだよな。
その辺かなり障害になると思ってたんだが、暗示が噛み合ってきたのか?)
ξ;゚⊿゚)ξ(……あっ、いっそ内藤くんみたいに戦闘放棄してみる?
カウンター技なんか放置で安全じゃん、みたいな……)
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ(でもあれマジでムカつくのよね。絶対やりたくないのだわ)
大きく息を吐き、ゆっくりと魔力を練り上げる。
時間を使い、余裕をもって態勢を整えていく。
赤マフラーも程なく完成。私の体は真紅を纏い、今までにない充足を覚える。
从 ゚∀从(こいつは言わば過去問からの文章問題。
闇雲に書き殴っても意味ねえし、同情で△くれる敵はそう多くねえ)
从 ゚∀从(ここで必要なのは『問題を読み解く』っていう人間側のスキルだ。
魔物パワーでゴリ押しできねえ以上、ツンちゃんにはどうしてもコレが要る)
.
264
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:53:23 ID:GWXSQBmE0
从 ゚∀从(……大器晩成を許さない魔界という環境が、魔王城ツンの素養を腐らせてきた。
その毒気を抜く為だったら荒療治でも大歓迎だ。手段は選ばねえ)
从 ゚∀从(一発勝負の魔界と違って、こっちはトライアンドエラーが前提なんだ。
慣れないとしても慣れてもらう。生き残るにはそれしかない)
从 ゚∀从(とにかく『やって覚えろ』だ。間違えていい、添削は俺がやる。
人の歴史もそこそこ長い。まずは古臭えとこから始めようや)
ハインさんの覇気が際立ち、私を急かすように風を起こす。
なんかこう、毎度思うが生身の人間強くないか?
出てくる相手がみんな素で私より強いの、本当にやめてほしい。
ξ;゚ー゚)ξ「……自信、失くすわね」
わざとらしく自嘲を呟き、今の自分にどこか解放感を覚える。
心に風が通るようだ。失くした分だけ身軽になった、その実感を強く自覚する。
从 ゚∀从「……楽しいか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「タイムカプセルを開ける日を想像したら、ついね」
从 ゚∀从「なら急ぎな。俺はブーンみたいに甘かねえぞ」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ(あいつが私に甘かった事なくない?)
.
265
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:54:45 ID:GWXSQBmE0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
从 ゚∀从「あー終わった終わった」
ξ;x⊿x)ξ ばたんきゅ〜
かくして1時間ほどが経過。
またも全カットされた云々の中で、私は結局ボコボコにされた。
前時代的な敗北演出をしつつ地面に横たわる私、……なんかこれデジャブ感あるわね。
( ^ω^)「お爺ちゃん! すごかったお!」
从 ゚∀从「おおブーン、もう戻ってたのか」
( ^ω^)「退屈な見張りだったお」
仕上げという名の格付けが済んだ頃、縁側組(盛岡&ドクオ)には内藤くんの姿が加わっていた。
彼のすごかったという一言には地の文数十行分の中身が感じられた。
それは筆舌に尽くしがたく、しかしすごいの一言で形容できる日本語の不思議だった。
从 ゚∀从「そんじゃあ今日はこれで終わりな! 悪くない仕上がりだったぜ。
俺が見たかったもんは見れたし、仮免合格ってトコかな」
ξ;´⊿`)ξ「ウス…」
刀の峰で肩を叩きつつ、ハインさんは余裕ぶって私を見下ろした。
ちくしょう何がイケオジだ。どいつもこいつも物理ゴリラなんだよ。
(; 'A`)>「やっぱボコられっか〜」
つ⑩ スッ
(´・_ゝ・`)「だから言ったろ成立しないって。金は貰うけども」
あっちもあっちで不敬極まる賭け事してるし本当に腹立たしい。あとで絶対に分け前を貰う。
.
266
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 22:57:04 ID:GWXSQBmE0
('A`)「そんじゃもう行こうぜ。帰って夕飯だ」
私の分のカバンも持って、解散ムードでのそりと動き始めるドクオ。
帰りを急かす彼に引っ張られ、渋々私も気持ちを切り替える。
ξ;´⊿`)ξ「待って、汗拭いてから帰る……着替えも……」
('A`)「そんなん帰ってからでいいだろ」
やっぱりドクオは無神経だなぁと思った。
私は普通に着替えなどを済ませた。
ξ゚⊿゚)ξ「そんじゃ帰るっす」
从 ゚∀从「おう。ちゃんと休むんだぞ。ブーンもついてってやれ」
( ^ω^)「分かっている」
('A`)「別について来なくていいぞ」
( ^ω^)「仕事だと割り切れ。いい加減に慣れろ」
从 ゚∀从「試験の日取りもそろそろだよな?
決まったらすぐに教えてくれ。最悪の悪知恵、用意してっからよ」
ξ゚⊿゚)ξ「分かったのだわ!」
私は家に帰った。
メシ食って寝た。
.
267
:
名無しさん
:2021/03/28(日) 23:01:43 ID:GWXSQBmE0
眠いので残りは明日にします(^ω^)
268
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 07:45:33 ID:mM927Tdk0
乙
269
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 08:08:12 ID:ax3S0raQ0
今更だけどここsage進行だったか
ほんのり寂しい
270
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:13:44 ID:VyF5mjO.0
乙!ツンちゃんアホじゃないからかちゃんと鍛えれば強くなるんだね
271
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:27:27 ID:Q55tYwuk0
≪3≫
ツンちゃんズが帰った後、ハインは特訓の片付けを気怠げにこなしていた。
引きずるように熊手を使い、しっちゃかめっちゃかに荒れた玉砂利の庭を歩き回る。
从 ゚∀从「……んで、人払いは済んだ訳だが」
从 ゚∀从「これでもまだ口を開かねえのか? 盛岡デミタス」
ざっと一面を均し終えて、ハインは満足気に庭を見渡した。
しかし視界は既に暗く、頼りない夕陽は今にも消えて無くなりそうだった。
从 ゚∀从「どうせだ、晩飯食ってけよ。モツ煮あるぞモツ煮」
(´・_ゝ・`)
盛岡は無言かつノーリアクションだった。
縁側に座ったまま、ハインをまじまじと眺める盛岡デミタス。
それに対するハインもまた、普段通りのまま熊手を持ち上げ、槍投げ選手のように大きく身構えた。
从 ゚∀从「分かった3秒以内に答えろ。でなきゃコレ投げるわ」
――呆気なく、3秒が経過する。
从 ゚∀从「いくぞ〜」
一瞬後、ハインの豪腕が風を切った。
その膂力を一身に受けた熊手は投擲と同時に先端が炸裂。
十分な殺傷能力を持つ槍そのものへと変貌し、盛岡を急襲した。
だが盛岡は微動だにしない。
動けたとしてコンマ数秒の世界、回避は既に不可能だった。
(´・_ゝ・`)「モツ煮はいいな。あとで食っとく」
なので避けず、盛岡は普通に返事をした。
槍は外れて屋敷の中へ。窓と障子と壁を数枚貫き、屋敷の奥で沈黙した。
.
272
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:34:38 ID:Q55tYwuk0
从 ゚∀从
从 ゚∀从「びっ、くり」
的中必至の投擲が理由もなく的を外した。
ハインは露骨に驚いて見せ、困った様子で腰に手を当てた。
从 ゚∀从「俺が外した……というか外させた感じか? あんま見ない能力だな」
(´・_ゝ・`)「『外された』なら可もなく不可もない。俺はそこまで有能じゃない」
(´・_ゝ・`)「俺としては、一目でそこまで察しちゃうお前にビックリだよ」
从 ゚∀从「これでも場数は踏んでるからな。お前みたいな輩も、たまに居る」
(´・_ゝ・`)「でもノーリアクションはダメだろ。もっと大袈裟じゃないと見栄えが」
从;゚∀从「ブッチギリで反応つまんねぇ奴に言われたくねえよ……」
ハインは盛岡の前に行き、特訓中にも使っていた刀を静かに抜いた。
鞘は投げ捨て、納める気はないと暗に示す。
从 ゚∀从「そもそもなんだが、お前は魔物じゃないよな?」
言いながら、彼は盛岡の胸に切っ先を突きつけた。
狙いは心臓。ハインの腕前をもってすれば、たった数センチの加速で骨身を貫ける。
从 ゚∀从
(´・_ゝ・`)
それでも2人は顔色を変えなかった。
平然と、何食わぬ顔で互いを見合っている。
.
273
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:36:00 ID:Q55tYwuk0
从 ゚∀从「なんで人間が魔王軍に居る。目的は?」
(´・_ゝ・`)「魔王城ツンの育成。それに尽きる」
从 ゚∀从「……詳細が気になるねぇ」
刀の切っ先が盛岡の上着に沈む。
スーツの布地が点に歪んで、盛岡の乳首に変な刺激が走った。
(´・_ゝ・`)「えっ?」
言葉を選ばず表現すると乳首責めである。
いかな盛岡も困惑を露わにし、刀とハインを数度見返していた。
.
274
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:41:22 ID:Q55tYwuk0
从 ゚∀从「俺だってツンちゃんには強くなってほしい。
だからこうして手を貸してる。お前に疎まれる覚えはねぇんだがな」
(´・_ゝ・`)「待ってこれ俺の乳首押してる」
从 ゚∀从「茶化すなって。こっちは真面目に聞いてんだぜ?」
(´・_ゝ・`)「じゃあ頼むから1センチだけずらしてくれ、気が散るんだよ。
つーかマジで心臓狙うなら乳首には行かねえだろ普通」
从 ゚∀从「だから適当に誤魔化すんじゃ……」チラッ
从;゚∀从「って、マジですげぇズレてんな」
(´・_ゝ・`)「頼むぜオイ」
心臓は胸の中央辺りにあるらしいぞ。
気付いたハインは切っ先の位置を直し、改めて口を開いた。
.
275
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:42:21 ID:Q55tYwuk0
从 ゚∀从「とにかくだ! お前は俺を怪しんでる、俺はそいつが気に入らない」
从 ゚∀从「お前の用事ってのは大体これだろ?
腹を割ろうぜ、いい加減によ」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「それはできないな」
盛岡は会話を打ち切り、
.
276
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:43:21 ID:Q55tYwuk0
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_
Loading Privilege - Block Buster Breaker
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄
277
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:44:20 ID:Q55tYwuk0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
――日は落ち、すっかり夜になっていた。
ハインを倒した盛岡は、以降1時間ほど泥棒紛いの行動に勤しんでいた。
彼の目当てはとある妖刀。結局それは母屋ではなく、離れの物置小屋に隠されていた。
(;´・_ゝ・`)「あーもう、やっと見つけた……」ポイッ
かくして物置小屋から出てきた盛岡。
彼はお目当ての刀を地面に投げ捨てると、埃にまみれたスーツを懸命にはたき始めた。
金持ちの家は無駄に広くて困る、と咳込みながら愚痴を思う。
( ω ) ザッ…
やがて、そんな油断しきった彼のもとへ太ましい影が近付いてきた。
それに気付くと、盛岡は気さくに手を上げて彼を歓迎した。
.
278
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:46:04 ID:Q55tYwuk0
( ^ω^)「……これか、お前が言っていたモノは」スッ
内藤ホライゾンが、捨てられた刀を拾って柄を持ち上げる。
そうして顔を出したのは、薄紫の夜光を宿した妖しい刀身。
彼は一目で刀を納め、心を鎮めるために大きく息を吐いた。
(´・_ゝ・`)「うん。そいつが 『妖刀・首断ち』 だ。
使い方にもよるんだが、かなり悪用できる」
(; ^ω^)「だろうな。一発で分かった」
たった一目で心中を蠱惑され、他人事のような好奇心に思考がぼやける。
確かにこれは妖刀と呼ぶべき代物だ。安易に使えば自我さえ危ういだろう。
内藤ホライゾンは強く瞑目し、妖刀の魔力を振り払うように頭を振った。
(´・_ゝ・`)「少し手に持っただけで効果ありか。すごいね魔王軍」
(; ^ω^)「……人間が扱うように作られていない。毒気が強すぎるぞ」
(´・_ゝ・`)「そりゃそうよ。ハイン自身これを扱いきれてたとは言えねえしな。
そんだけ強力かつ重要ってワケ。困った舞台装置だ」
.
279
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:48:53 ID:Q55tYwuk0
――妖刀首断ちは、かつてのハインが魔王軍の中ボスを殺して奪ったもの。
その切れ味は絶世の一言であり、本当にすごい。
しかし、妖刀たる所以は武器としての性能だけに留まらない。
魔界で制作されたこの刀には、毒性付与、呪術展開、精神操作という3つの能力が備わっているのだ。
こと『他者の心身を汚染する』という事にかけて、妖刀首断ちは本当に凄い性能を誇っていた。
すごくすごいので本当に大変な一品であり、ハインの切り札的なやつだった。
(´・_ゝ・`)「貸して」
( ^ω^)「ん」
つ╋─
スッ・・・
(´・_ゝ・`)
_ / ,⌒)
\三三三[G ´ ヽ
(_,ノ⌒ヽ_) (石)
↑
妖刀
_______
\ やぁぁー /
 ̄ ̄\| ̄ ̄
(´・_ゝ・`) ヽ ヽ ヽ
(⌒ 'ヽ\,
_(_,⌒)ヽ○○=|二二> Σ二フ
/_,(__) (石)
ボキッ
(図3:妖刀と石)
.
280
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:50:35 ID:Q55tYwuk0
(´・_ゝ・`)
( ^ω^)
( ^ω^)「本当にやっちゃったな」
(´・_ゝ・`)「やるよ。これすげぇ邪魔だもん」
――かくして妖刀は折れた。
その辺にあった(石)に叩きつけられ、真っ二つになった。
呆気なさすぎる最期だった。
かなしい。
( ^ω^)「……で、これをまた復元すればいいのか?」
(´・_ゝ・`)「そうよ。やっておしまい」
( ^ω^)「……」
言葉少なに確認を取るも、内藤ホライゾンは無言で盛岡を注視した。
彼の意思を再確認する為の沈黙は、たった数秒でも十分過ぎる意味を含んでいた。
.
281
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:53:35 ID:Q55tYwuk0
(´・_ゝ・`)「頼むって。そりゃ心細くなるのは分かるけどさ」
( ^ω^)「……そんな感傷じゃない。ただ単に、意味不明なんだ」
( ^ω^)「お前がここまでやる理由が、結局私には分からなかったからな」
つ゚
内々に割り切ったのか、内藤ホライゾンは激化薬を取り出して口に含んだ。
彼の激化能力――『復元』が、2人の間に一縷の光明を描き始める。
( ^ω^)「一応お前に救われた身だ。もう少し、手を貸してもよかったんだが」
不服そうに小声で付け足す。
デレ表現である。盛岡は少しだけ驚いた。
(´・_ゝ・`)「……ああそう」
(´・_ゝ・`)「ならいいじゃん。なに、止めてくれんの?」スッ
内藤ホライゾンを言葉でおちょくり、盛岡は目の前の光明に手を伸ばした。
触れると同時に弾ける光。その内側にあったのは、今しがた破壊したばかりの妖刀だった。
オリジナルの妖刀は邪魔でしかないが、刀の能力には用がある。
盛岡の思惑はすべて順調だった。
.
282
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 22:57:59 ID:Q55tYwuk0
(´・_ゝ・`)
(´^_ゝ^`)「アッハッハ」
それは完全に嘘の笑い。
コメディで使うSEの方が、もっとちゃんと笑う。
(´・_ゝ・`)「あーほんと不愉快だよな、不完全なものってさ」
_,
( ^ω^)「……急に何の話だ?」
(´・_ゝ・`)「ほらそうやって、俺の話が不完全だから眉をしかめる」
盛岡は揚げ足を見せつつ揚げ足を取った。
不毛なタップダンスに付き合う気もないので、内藤ホライゾンはスルーを決め込む。
(´・_ゝ・`)「そもそも人間は間違いや欠落に対する認知が鋭いんだろうな。過剰なまでにさ。
そう感じた瞬間に無意識で補完を行ってしまう。それが的外れな錯視でも」
( ^ω^)
(´・_ゝ・`)「ほらまた黙って聞き入れる。補完があるから意味が通る。間違ってても話は進む。
これってほんと凄いよな。無意識だし、角を立てないし、効果もバッチリだし」
( ^ω^)「待て、いきなり話を進めまくるな。
私はなにも分かってないだけだぞ。ゆっくり頼む」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「えっ、……俺の行動原理を聞きたいんじゃないの?」
(; ^ω^)(そこに着地する流れだったか……?)
遠回りが過ぎるが、何も言うまい。
内藤ホライゾンは諦めて口を閉ざし、盛岡に話を任せた。
.
283
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:00:45 ID:Q55tYwuk0
(´・_ゝ・`)「まーーーーーーーなんだ。アレよアレ」
(´・_ゝ・`)「俺らの相手は、そこら辺を突き詰めちゃった化け物なのよ。
だから、あれの相手をするには『不完全さ』が必要なんだ」
(´・_ゝ・`)「でも人間は『完全』を目指してしまう生き物だ。無理なのに。
まぁ言い方は色々あるけどさ、物事にゴールが欲しいのは誰だってそうだろ?」
(´・_ゝ・`)「そんなんだから厄介なのよ。
だって基本、人間ってのは向こうの味方なんだから」
( ^ω^) …
( ^ω^)「で、そのゴールとやら遠ざける為に、お前は不完全を装っているのか?」
(´・_ゝ・`)「いやお前、そりゃあ――……」
返事半ばで言葉を濁し、そこで、盛岡は長い沈黙を挟んだ。
(´・_ゝ・`)
分かりやすい行動がなくとも無から有への変化は劇的だ。
内藤ホライゾンの双眸には、盛岡デミタスの内なる機微がハッキリと見えていた。
(´・_ゝ・`)「……ある男は、」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「っていうか俺は、あいつに縁を奪われた」
( ^ω^)「すごい身近な言い方に切り替えたな」
(´・_ゝ・`)「別にいっかって思っちゃった」
.
284
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:05:22 ID:Q55tYwuk0
(´・_ゝ・`)「まぁ彼女も顔を剥がれてるし、他の奴らも色々とな」
(´・_ゝ・`)「完璧さの為に補完されて、添削されて、大団円。
そもそも俺らの行動なんて、その結末への逆ギレで全部だぞ?」
盛岡は語りながら妖刀を構え、その切っ先を自分の喉元に突き立てた。
――妖刀首断ちの各能力は斬撃をもって初めて成立する。
故にこの刀で確実な洗脳を行いたい場合、拘束&拷問の用意は最優先で必要だった。
効果を強める為に刀傷を広げ、それで相手を殺しては元も子もない。
そういった塩梅をいい感じにする為にも、妖刀の扱いは色々と繊細なのだった。
(´・_ゝ・`)「……なんかこう、自宅をいきなり大豪邸にされたら困るだろ?」
(´・_ゝ・`)「隣の芝生が青いのはともかく、『お前ん家を真っ青にしてやるぜ!』はキレるだろ?」
( ^ω^)「たしかに」
(´・_ゝ・`)「だからそんだけ。くだらん恩には最大級の仇を返す、それだけ。
危ないからって公園潰されたガキがブチギレてる。俺らは大体、そんな感じよ」
( ^ω^)「いやお前、絶対そんな感じじゃないだろ」
(´・_ゝ・`)
盛岡は肯定も否定もしなかった。
( ^ω^)「……ついでに、前から思ってた事を聞きたいんだが」
( ^ω^)「そういう事情を素直に話して、各勢力に協力を求めるのは駄目なのか?」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「聞きたいか? マッチ売りの少女、盛岡デミタス版」
(; ^ω^)「……いや、すまん」
(´・_ゝ・`)「いいよ。今後はリアル童話マンと呼んでくれ」
.
285
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:12:53 ID:Q55tYwuk0
(´・_ゝ・`)「そんじゃあ後は任せる。残り時間は好きにしていい」
(´・_ゝ・`)「これでお前は一人ぼっちだ。どうだ、清々するだろ?」
( ^ω^)「する」
即答だった。
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「くっそー」グッ
盛岡は僅かに両手を遠ざけてから、勢いをつけて妖刀を引き寄せた。
その切っ先は血肉を溶かすようにするりと喉を貫通し、頚椎を断って向こう側まで突き抜ける。
(;´・_ゝ・`)「……ん゙ふっ」
一瞬で完遂された自刃、あまりに淡白な自殺行為。
ほどなく思考は激痛に溺れ、妖刀の力が彼の心を塗り替えていく。
――盛岡デミタスは死んでも洗脳なんか受け付けない。
それでも効果をもたらすには、いっそ『死ぬほど』でなければ話にならなかった。
(;´・_ゝ・`)
( ^ω^)
すべて承知の上だった。
最後に内藤ホライゾンと視線を交わし、盛岡デミタスは意識を失った。
そのまま膝から崩れ落ち、血潮にまみれて地面に横たわる。
.
286
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:16:27 ID:Q55tYwuk0
( ^ω^)「……こんな奴が、マッチ売りの少女か」
俯瞰的に呟き、内藤ホライゾンは激化能力を解除した。
盛岡の首を貫いた妖刀はそれと同時に消滅し、彼の傷口からは更に血が溢れる。
当然このままでは盛岡は死ぬ。しかしそれでは妖刀を使った意味まで消えてしまう。
そこで必要なのが内藤ホライゾンの復元能力。
彼は盛岡の傍らに膝をつき、致命傷を負った盛岡に復元を施した。
(;´-_ゝ-`) …!
復元能力によって傷を直すと、気絶中の盛岡が目に見えて身じろいだ。
途切れた生気が再び巡り、濁った呼吸が命を繋ぎ始める。
( ^ω^)「これでお役御免だ」
( ^ω^)「言われずとも、あとは自由にやらせてもらう」
かくして自演の片棒を担ぎ終えた内藤ホライゾン役の人。
彼は程なく立ち上がり、自分の舞台に帰っていった。
.
287
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:20:41 ID:Q55tYwuk0
______________________________
━━━√━━━━━━━━━━━━━━━━━#━━━━━━#━━
 ̄ ̄ ̄
,、,,..._
ノ ・ ヽ. ラザロとは、貧乏だったり、死んで蘇ったりする人。
/ ::::: i その名前は 「神はわが助け」 を意味する。
/ ::::: ゙.、 主に鎌倉の鶴岡八幡宮の土産として有名。(wikipedia)
__________
━━━#━━━━━#━━━━━━━━━━#━━━√━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
288
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:22:08 ID:Q55tYwuk0
≪3≫
(; ^ω^)「――! ――――!」
从;-∀从「……ん、あぁ……?」
聞き慣れた声が耳朶に響く。
ハインは目覚め、慌てふためく声に応えた。
Σ(; ^ω^)「あっ起きた! んもう起きるの遅すぎだお!」
_,
从;゚∀从「……あぇ。お前、誰だ……?」
(; ^ω^)「寝惚けてる場合じゃないお! 盛岡が僕らの暗躍に気付いて(ry」
( ^ω^)「でも僕が倒しといたお! 危ないとこだったお!」
从;゚∀从 ・ ・ ・
从;-∀从「駄目だ、なんにも思い出せねえ……」
( ^ω^)「今はとにかく逃げるんだお! はいこれ大事な妖刀!」
つ╋─
从;゚∀从「……それもそうだな! ちょい待て、すぐに用意してくる!」ダッ
≡┌(; ^ω^)┘「僕も手伝うお!」
.
289
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:23:13 ID:Q55tYwuk0
______________________________
━━━√━━━━━━━━━━━━━━━━━#━━━━━━#━━
 ̄ ̄ ̄
少女は座ったまま、死んでかたくなっていて、
その手の中に、マッチのもえかすの束がにぎりしめられていました。
「この子は自分をあたためようとしたんだ……」と、人々は言いました。
でも、少女がマッチでふしぎできれいなものを見たことも、
おばあさんといっしょに新しい年をお祝いしに行ったことも、
だれも知らないのです。だれも……
また、新しい一年が始まりました。
__________
━━━#━━━━━#━━━━━━━━━━#━━━√━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。 , ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ 〜おわり〜
.
290
:
◆gFPbblEHlQ
:2021/03/29(月) 23:33:15 ID:Q55tYwuk0
#1
>>2-65
#2
>>74-117
#3
>>122-160
#4
>>169-212
#5
>>231-266
>>271-289
>>289
は青空文庫のマッチ売りの少女(大久保ゆう訳)から引用しました
このスレでクリエイティブ・コモンズのお世話になるとは…
https://www.aozora.gr.jp/cards/000019/files/194_23024.html
291
:
名無しさん
:2021/03/29(月) 23:46:47 ID:Q55tYwuk0
忘れてましたが次回投下は3月31日です
ツンちゃんのお風呂シーンがあります
>>230
投下で話題流しちゃってごめんNE(^ω^)
作者的には読んでる人が多いような気はしているよ('A`)
292
:
名無しさん
:2021/03/30(火) 06:22:56 ID:UlulrRuU0
乙乙
>>291
なるほどあざます
293
:
名無しさん
:2021/03/30(火) 09:57:45 ID:a6DJMOko0
乙!
294
:
◆gFPbblEHlQ
:2021/03/31(水) 21:00:45 ID:enOHtg6M0
≪1≫
〜ツンちゃんの家〜
ξ゚⊿゚)ξ「ただいま〜」
('A`)「おじゃまします」
ミセ*゚ー゚)リ「おかえりなさい、遅かったですね」トテトテ
ξ゚⊿゚)ξ「ええ。特訓が長引いちゃって」
話の導入をコピペで済ませ、かくして私は家に帰ってきた。
奥のリビングからは美味しそうな夕飯の匂いが漂ってくる。
ミセリさんのエプロン姿も相まってか、この時ばかりは日常的な感慨を覚えてしまう。
.
295
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:08:17 ID:enOHtg6M0
ミセ*゚ー゚)リ「今日の特訓はどうでした?」
ξ-⊿-)ξ「なんか仕上げとか言って散々イジメられたのだわ。
分かりやすい成長もあんま無いし……」
ミセ*゚ー゚)リ「そう簡単に強くなられちゃ私の立場が無いですよ。日進月歩です」
ξ´⊿`)ξ「やむをえないけどアナログなのだわ……」
スニーカーを脱いで床に上がる。新妻ぶっこいてるミセリさんがカバンを受け取ってくれる。
今日は疲れた。さっさと風呂に入りたい。
しかし私は振り返り、何食わぬ顔で帰ろうとしてるドクオを呼び止めた。
ξ゚⊿゚)ξ「待て、帰るな」
('A`)
ξ゚⊿゚)ξ「夕飯、食ってきな」
('A`)「へい……」
ここでドクオを帰してはならない。
特訓期間中、我が家の食卓は常に満漢全席。
私一人ではとても食べ切れない物量が襲ってくる為、ドクオには第二の胃袋として働いてもらう。
ミセ*゚ー゚)リ「もう夕飯できてますからね! 湯船は程々に!」
ξ゚⊿゚)ξ「へーい」トテトテ
否、ここでは絶対に長風呂をキメる。
一旦ドクオに夕飯を任せ、先に食べ始めてもらう事で私への分配を減らすのだ。
かくして私は逃げ込むように脱衣所に入り、汗ばんだ衣服をポイポイと脱ぎ捨てた。
.
296
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:09:43 ID:enOHtg6M0
〜入浴シーン〜
,.._,/ /〉.________
./// //──とつ――─::ァ/|
/// //~'~~ξ゚⊿゚)ξ~~~/ / |
.///_// "'''"'''"'" ./ / |
//_《_》′─────‐ ' / ./
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| /
| .| ./
|__________|/
※ツンちゃんボディは謎の光によって守られています
.
297
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:15:16 ID:enOHtg6M0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ξ´⊿`)ξ「ふぃ〜〜〜〜ぉぅ」ザパー
大きく息を吐き、湯船に沈む。
溢れたお湯が床に流れ、湯気がふわりと立ち上ってくる。
*
ξ*゚⊿゚)ξ ~
ラベンダーの入浴剤を入れたおかげで香りもよい。
花王は神。バブ様様であった。
ξ*-⊿-)ξ(……今日も疲れたけど、前に比べれば余裕あるのよね)
ハインさんとの特訓はせいぜい2〜3時間。
運動量も最低限で、ぶっちゃけ部活の域を出ない。
今でこそ思うが、体力的な部分はミセリさんが十分に鍛えてくれていたのだろう。
「そりゃあんだけやれば体力つくわ」と思わなくもないが、ここは素直に感謝である。
ξ´⊿`)ξ(ミセリさんは先生で、ハインさんはコーチって感じなのだわ。
だったらいい感じにバランス取れてるのよね、きっと……)
.
298
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:22:04 ID:enOHtg6M0
腰を滑らせ、浴槽の縁に背中を預ける。
疲れた〜なんて言えるレベルで特訓が終わる日々には、やはり多少の消化不良感があった。
というか暇が多いのだ。考える時間が増えすぎて、そこで何を考えればいいのかよく分からない。
ξ´⊿`)ξ(でも多分、それが課題なのよね)
ξ´⊿`)ξ(なんというか、考えること自体というか……)
――では、空いた時間で何をすべきか。
そう考えて最初に思い浮かんだのは、さしあたり無い学校の風景だった。
なんでもないような事を優先して考えられる。余裕があるって本当に素晴らしいな。
ξ゚⊿゚)ξ(風呂出て、飯食って、学校のあれこれ済ませて、今日は終わり)
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ(もうやる事ないな)
ξ´⊿`)ξ(早寝でいっか……)ブクブクブク
ちゃんと考えた上でやる事が無いので、寝よう。
私の結論は早かった。
.
299
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:32:53 ID:enOHtg6M0
――しばらく経ってのぼせてきた頃合い。
そろそろドクオが過食で死んでいるだろうし、これ以上待っても逆に夕飯を補充されてしまう。
ここらが潮時というヤツだ。私はゆっくりと湯船を出た。
ξ゚⊿゚)ξ「おっ――」
――床に立った途端、不意に体の力が抜けた。
立ち眩むほどではないが、五体の感覚がわずかに遠ざかる。
ξ;゚⊿゚)ξ「……っと」
私は咄嗟に壁に手をつき、血圧とかが落ち着くのを待った。
脳ミソに血が巡ってくる感覚が、時間をかけてじわりと馴染んでいく。
ξ;゚⊿゚)ξ
ξ;-⊿-)ξ「……ふぅ」
やれやれ、ちょいと風呂場で粘りすぎたようだ。
私は一息ついて調子を戻してから、低めの適温にしたシャワーで体を流し始めた。
ξ;゚⊿゚)ξ(無自覚な疲れが溜まってる、ってヤツなのかな)
ξ;゚⊿゚)ξ(これ本当に早寝した方がよさそうね……)
.
300
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:35:15 ID:enOHtg6M0
そんな正常な思考も束の間、正体不明の謎の光が私の視界を埋め尽くした。
サービスシーンを隠す演出か、あるいは目眩から来るマジのヤツか、その判別をする間は無かった。
.
301
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:37:47 ID:enOHtg6M0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「えっ」
そして光が過ぎた時、私の目前には赤黒い壁があった。
あと重力の向きもおかしい。背中に重力を感じる。
私は両手を壁に当て、ぐっと押し出すように体を持ち上げた。
ξ;-⊿-)ξ(……ああ、倒れたのね)
認知が追いつき、腑に落ちる。
壁だと思ったものは床で、赤黒の正体は自分の血だった。
頭のどこかを切ったのだろう。水気と混ざった血が輪郭を伝って落ち、ぼたぼたと床を跳ねている。
顔を上げると、ひび割れた鏡に自分が映った。
どうやらまぁまぁの高威力で頭突きをかましたっぽい。鏡が砕け散っていないのは不幸中の幸いだ。
ξ;゚⊿゚)ξ(でも結構やっちゃってるな……)
謎の光が過ぎった一瞬、どれほどの惨事が起こっていたのか。
その逡巡に気を取られた私は、つい普段通りの加減で立ち上がろうとしてしまった。
浴槽の縁を頼りに、ぐっと力を入れた瞬間――。
.
302
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:40:18 ID:enOHtg6M0
ξ゚⊿゚)ξ「――あっ」
私はかくんと腰砕け、なにかに後ろ髪を引かれるように大きく仰け反った。
世界が逆に回転し、見慣れた景色が視界を飛び越えていく。
ξ゚⊿゚)ξ(……って)
ξ;゚⊿゚)ξ(いかん! 覚醒ヒロイズムの歌詞を引用してる場合じゃ――!)
ひっくり返って湯船に落ちる。
その直感を覚えていながら、私の体は言うことを聞いてくれなかった。
.
303
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:51:22 ID:enOHtg6M0
〜リビング(数分前)〜
('A`)「やめてくださいしんでしまいます」
ミセ*゚ー゚)リ「だったら消化をするんですよ」
('A`) ?
ツンちゃん第二の胃袋として無限の夕飯に立ち向かうドクオ。
弱音を吐いても通じないので、ドクオはとにかく食べまくっていた。
卓上には山盛りの山盛り料理が大量に並べられており、死を意味していた。
ミセ*´ー`)リ「お嬢様も早く出てこないかなぁ。
冷めても減っても、まぁ作り直せばいいんだけど……」
('A`)
(;゚A゚)(ツン今すぐ戻れ!! 俺の努力が!!)
なんとも微笑ましい食事風景である。
しかしその折、玄関の方から不穏な物音が聞こえてきた。
ドアを何度も叩く音だ。インターホンを押さない辺り、いやが上にも緊張が走る。
.
304
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:55:12 ID:enOHtg6M0
ミセ*゚ー゚)リ「……これ貞子ね。妙に魔力を隠してるけど」スッ
('A`)「……ああ、そうなんすか」
ミセリ判断のもと警戒を解くドクオ。
ひとまず無事ではあるらしく、ミセリにも慌てる素振りはない。
ミセ*゚ー゚)リ「でも何かあったわね。ドクオ、ちょっとお嬢様を呼んで――」
――指示の最中、今度は風呂場の方で音が上がった。
今度は更に物々しい、最後のガラスがブチ破れるような音。
それに続いて異様な水音。ツンが湯船に落ちたのだと、2人はすぐに直感した。
ミセ*゚ー゚)リ
('A`)
ミセ;*゚Д゚)リ「――前言撤回、ドクオはダッシュで風呂場に突撃!」
Σ(;'A`)「えっ!? でも今あいつ全裸なんじゃ」
ミセ;*゚Д゚)リ「超法規的措置よ! 記憶はあとで消せばいいの!」ダッ
(;'A`)「……はいはい了解!」ダッ
一転して顔色を変え、2人は急いで各方に散った。
.
305
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:56:41 ID:enOHtg6M0
〜お風呂〜
|┃三 ___________
|┃ /
|┃ ≡ < おいツン! 大丈夫か!?
____.|ミ\____('A`)_ \
|┃=___ \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃ ≡ ) 人 \ ガラッ
「\
ヽ ) /~)
/ / ( / ブクブクブク.......
,.._,/ /〉.__/ / | |____
./// //──\\/ /―::::ァ/| ←ツン
/// //~~'~~ | | ~~/ /|
.///_// "'''"'''"'" ./ / .|
//_《_》′─────‐ ' / ./
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| /
| .| ./
|__________|/
('A`) ・ ・ ・
(;゚A゚)「ウ”ウ”ァ゙ー!! ツンの犬神家が丸見えだァァーッ!!」
この瞬間、入念な記憶処理が確定した。
.
306
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:59:24 ID:enOHtg6M0
〜玄関の方〜
ミセ;*゚ー゚)リ「貞子、何があったの!?」
川; д川「……ちょっと待って。私も整理できてない」
ミセリが廊下に飛び出すと、見回りから戻ってきた貞子が疲れた様子で待ち構えていた。
貞子に負傷は無いようだったが、彼女が連れ帰ってきた男は明らかに満身創痍だった。
(;´-_ゝ-`) …
玄関マットに倒れていたのは盛岡デミタス。
こちらも同じく無傷だが、どういう訳だか虫の息。
ミセリからして目に見える相違と言えば、喉元にある直りかけの刀傷だけだった。
川; д川「えっと、とにかく色々あったらしいんだけど、内通者が分かったの。
盛岡が起きたら忙しくなるわよ。私達は特にね」
ミセ;*゚ー゚)リ …!
ミセリは一瞬考えて、消去法で内通者を割り出した。
さほど難しい話でもない。ここに不在の関係者は、2人だけだ。
ミセ;*´ー`)リ「ああ、やっぱりあれが相手か……」
川д川「それよりお嬢様は? 今すぐ確かめたい事が――」
<ウウァー!! ツンの犬神家がァァーッ!!
ミセ;*゚ー゚)リ「――お風呂場よ! 急ぎましょう!」ダッ
川; д川「なんか別の意味で嫌な予感が!!」
.
307
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 21:59:45 ID:enOHtg6M0
#05 ラザロと畜群 その2
.
308
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:01:55 ID:enOHtg6M0
| ロ :
| 口 ・
 ̄ ̄ ̄ ̄ ゚ ロ ・
・ : 。 口
ロ ロ
・
口 ゚ ロ []
。
・ ロ ・ : ロ 口 []
□ ・
[] | ̄| 口
。 口  ̄ 。
ξ;-⊿-)ξ「う、うーん……」
『……早く起きなさい。寝てる場合じゃないんだけど』
ξ゚⊿゚)ξ「はい」
ξ゚⊿゚)ξ「……って、どこじゃここは」
目覚めたとき、私は限りない純白の世界に立っていた。
風呂場でひっくり返って、湯船に落ちそうになって――そこから先の覚えが無い。
ξ゚⊿゚)ξ
あー、こりゃダメかも分からんね。
魔王城ツン、死んだかもしれぬ。
.
309
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:06:22 ID:enOHtg6M0
『いっそ、ほんとに死んでた方が楽だったかもね』
ξ゚⊿゚)ξ !
桑島法子に似た声がつんけんした口調で突っかかってくる。
こいつ、脳内に直接……!
『でもそれじゃ困るのよ。残念だけど、もうあなたしか残ってないから』
と思いきや、声はすぐさま弱気になった。
姿の見えない誰かを探し、私は周囲を一望する。
,、,,..._
ノ ・ ヽ 『――………』
/ ::::: i
/ ::::: ゙、_
,i ::::::: / /⌒`ー-、
| ::::::: / / i
! ::::::::../ / ノ
`ー―" "―――――‐ "
ξ;゚⊿゚)ξ「くっ、ここは一体どこなのよ……!」
今なんか巨大な銘菓が見えた気が、いや気のせいだろう。
.
310
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:13:09 ID:enOHtg6M0
時間が経って、そろそろ意識がハッキリしてきた。
見えてる景色に現実味はなくとも、私の五感は確かに機能している。
良くも悪くも、ここは死後の世界ではなさそうだった。
『そんなに慌てなくて大丈夫よ』
『ここ、あなたが長居できる場所じゃないもの』
優しい声が聞こえた後、遠く離れた場所に淡い彩虹が湧き上がる。
やがて彩虹はいい感じにまとまり、人型の実体を形成して動き出した。
<`/>'^ヾヘ/>
ノノ/((ノ´ノ))ヾ
(((ゝd*゚⊿゚)っ 『――はい。これで話しやすいかしら』
リ (_]っl:>
</_ハゝ
(ノノ
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「いやそれ私だが」
<`/>'^ヾヘ/>
ノノ/((ノ´ノ))ヾ
(((ゝd*゚⊿゚)っ 『なによ。あんまり見るんじゃないわよ』
リ (_]っl:>
</_ハゝ
(ノノ
ξ゚⊿゚)ξ ???
いよいよ悪夢めいてきた。
なんなのだこれは、どうすればよいのだ。
.
311
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:17:57 ID:enOHtg6M0
――なんて、困惑に呑まれた直後。
私のような見た目のそれに、大きなノイズと色ズレが奔った。
ついさっき現れたばかりにも関わらず、その実体はすでに崩壊を始めていたのだ。
<`/>'^ヾヘ/>
ノノ/((ノ´ノ))ヾ
(((ゝd*::⊿゚) 『時間も無いし、とりあえず最初の質問に答えておくわ』
リ (_]::::l:>
ξ;゚⊿゚)ξ(早くも4行に……!)
<`/>'''ヾヘ/>
ノノ゚。(ノ´ノ))ヾ
(((ゝd*::⊿゚) 『ここはサブレ時空よ。特権で色々イジられてるけどね』
リ (_]::::l:>
ξ゚⊿゚)ξ
ははーん、なるほど。
ここはサブレ時空だそうです。
<`/>'''ヾヘ/>
ノ。゚((ノ´ノ))ヾ
(((ゝd*::⊿゚) 『……ピンと来ないなら夢オチでいいわ。
リ (_]:::::l:> ここでの記憶、ほとんど持って帰れないんだし』
ξ゚⊿゚)ξ「では帰りたいのですが」
d*::⊿゚)『さっき言ったでしょ。それは時間の問題。すぐ帰れるから安心して』
ξ゚⊿゚)ξ「一気にAA省かれましたね……」
.
312
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:26:06 ID:enOHtg6M0
d*::⊿゚)『――だから急いで用を済ますわ』
バックアップ
d*::⊿゚)『私が選んだ《余剰周回》としての役割、ちゃんとやっておかなきゃね』
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、こんな状況で私に用が……?」アトズサリ
⊂⊂ )
d*::⊿゚)っ『そりゃもちろん。ていうか、来た瞬間から始めてたけど?』
桑島法子ボイスの彼女は残った手指で私の体を示した。
つられて体を見直すと、今度は私の体にノイズが奔りまくっていた。
ξ゚⊿゚)ξ
Σξ;゚⊿゚)ξ「ウワァーー!! なんだこれ!?」
バックアップ
d*::⊿゚)『見ての通り、《余剰周回》のデータをあなたに送ってるのよ。
2度目の出涸らしみたいなもんだけど、まぁ切欠にはなるんじゃない?』
そこまで言われてようやく気付いた。
崩壊していく彼女の体はなんかこう電子的なエフェクトになり、私の体に流れてきていた。
ノイズの原因はまさにそれだ。何が何だか分からないが、私はもうめちゃくちゃだった。
ξ;゚⊿゚)ξ「――キッカケ!? 切欠って何の話よ!?」
d*::⊿゚)『ひとつ分の陽だまりに、ふたつはちょっと入れないのよね』
ξ゚⊿゚)ξ オーイェアハン
ξ;゚⊿゚)ξ「いやあのカルマ歌ってないで止めてくれない!?
なんかデリートされそうなんだけど! ロックマンみたいに!」
d*::⊿゚)『今度会えたらお茶しましょうね。ツンちゃん道場で』
ξ; ⊿ )ξ「そんな知ってる体で話されても――!!」
.
313
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:29:24 ID:enOHtg6M0
d*::⊿゚)『いい? 使えるものは全部使って、望めるものは全て望みなさい。
あなたはあのトゥルーマンを負かしたんだもの。きっと大丈夫、期待してるわ』
ξ;゚⊿゚)ξ「だったら状況説明が欲しいのですが!! かなり切実に!!」
d*::⊿゚)『だから記憶が持たないって言ってるでしょ?
とにかく気にせず受け入れて。ゼノグラシアってそんなもんだし』
ξ;´⊿`)ξ「急にゼノグラシアとか言われても知らんが……」
d*::⊿゚)『……ブーンとドクオによろしくね。それじゃ、頑張って』
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ アッ
◎ ◎ ティウンティウンティウン
◎ ◎
◎ ◎
◎ ◎
◎ ◎ ◎
.
314
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:31:43 ID:enOHtg6M0
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─
Block Buster Breaker
Loading Privilege - Counter Context Confusion
Exceptional Enigma End
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄
315
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:33:46 ID:enOHtg6M0
______________________________
━━━√━━━━━━━━━━━━━━━━━#━━━━━━#━━
 ̄ ̄ ̄
,、,,..._ ブロックバスター
ノ ・ ヽ. 《Blockbuster》は、興行的な大成功を収めた作品を指す用語。
/ ::::: i 主に長編映画に対して使用されるチーズケーキ。
/ ::::: ゙.、 北海道北見市に所在する清月が製造・販売している。(wikipedia)
__________
━━━#━━━━━#━━━━━━━━━━#━━━√━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.
316
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:34:30 ID:enOHtg6M0
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
○
O
。゚ スヤスヤ
ξ´⊿`)ξ
ミセ;*゚ー゚)リ「……お嬢様、ほんとに倒れただけなのね」
川; д川「ビックリするほど健康体……」
――ツンちゃん犬神家事件から数時間後。
かくして寝室に運ばれた魔王城ツンは、一種のスヤスヤ状態に陥っていた。
貞子の診察ではまったく問題なし。そりゃ普通に寝てるだけなので当然であった。
.
317
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:37:59 ID:enOHtg6M0
川д川「これなら朝には起きると思うけど、今夜は大事を取りましょうか。
どうにも事情が変わりすぎた。盛岡の対処もしなくちゃだし……」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*´ー`)リ「……大界封印。なんか久し振りに聞いたわね」
川д川「私も同意見。ハインの狙いもアレらしいし」
ミセ;*゚ー゚)リ「まったく、なんで人間が封印のこと知ってるのよ」
川д川「そこも含めて緊急事態。今は対応を急ぎましょう」
ミセ;*゚ー゚)リ「これじゃあ試験も先送りよね。上がゴネなきゃいいんだけど……」
ツンが寝ているベッドを離れ、2人は小声で話しながら部屋を出ていった――
.
318
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:39:15 ID:enOHtg6M0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
─── ─────────── ─── ── ─…
─────────── … ……
_________
__ __
__
.
319
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:40:02 ID:enOHtg6M0
:::::::::::::::::::::::: | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::: | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 。::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::: | ::::::::::::::............:::::::::::::: :::......:.... /i :.....:..::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::: | :::::.................... . ...:::::::..........┌==┴===┐ :::........:.:
::::::::::::.......... | : ... . .........: : | 2021 :| ::........:...
::::::::::::.......... | | 03/ :::|
::::::....... | ○ | /31 :|
::::::....... |______O_, `ー―――'
|| ○丶、 。゚ .|
||__ノ:;_;;.ヽ___| スピー…
/⊂ξ´⊿`)ξ. /|
ノ⌒~⌒⌒"⌒U~"\/::|
/ .' ゛ .: ゝ ヽ`!' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/,: '´ ,._ 、 ヾ.,j
/ ゛ ヽ., _)
|  ̄  ̄ ̄ . ̄  ̄ ̄.. ̄|| 、,;'
| ||_,ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´
.
320
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名無しさん
:2021/03/31(水) 22:40:57 ID:enOHtg6M0
:::::::::::::::::::::::: | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::: | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 。::::::::::::::::::::::::::
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::::::::::::.......... | : ... . .........: : | 20?? ::| ::........:...
::::::::::::.......... | | ?? / ::::|
::::::....... | ○ | /?? ::|
::::::....... |______O_, `ー―――'
|| ○丶、 。゚ |
ムニャ :||_ノ:;_;;.ヽ____| シュゥゥゥ-…
/ ξ´、`)ξ ゝ:|
ノ⌒~⌒∪⌒U~"\,/::::| ,.;'"~⌒'"~,.;'"~⌒'"~:::::
/ .' ゛ .: ゝ ヽ`!' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.,_,,('" (⌒ヾ:::::::::::
/,: '´ ,._ 、 ヾ.,j ^'ノ⌒ヽ,,._ソ''":::::::::::::::
/ ゛ ヽ., _)” _ _,.,_,人⌒`'"~:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|  ̄  ̄ ̄ . ̄  ̄ ̄.. ̄|| 、,;' ^`"'ー- 'ヘ.,_,.ソ'ヽ(⌒"'::::::::
| ||_,ノ (.., 、:::::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ ヾ,....ソ:
.
321
:
名無しさん
:2021/03/31(水) 22:43:13 ID:enOHtg6M0
:::::::::::::::::::::::: | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::::::::::::::::::::: | :::::.................... . ...:::::::..........┌==┴===┐ :::........:.:
::::::::::::.......... | : ... . .........: : | 2015 :| ::........:...
::::::::::::.......... | | 10/ :::| ,, サァァァー…
::::::....... | ○ | /10 :| (######:::::::::::::::
::::::....... |______O_, `ー―――' \\###:::::::
|| ○丶、 。゚ | __|::::|':##:::::
ンヌァ… :||_ノ:;_;;.ヽ____| く:(::_⊿,####:::
/ ξ´。`)ξ ./ | 〉:::::7:::::####::::::
ノ⌒~⌒~~⌒~~"\ / :::| ,.;'"~⌒'"~,.;'"~⌒'~ハ::::::####:::::::
/ .' ゛ .: ゝ ヽ`!' ̄ ̄ ̄.,_,,('"⌒ :::::::: (⌒ヾ:::::::::::( :'"'⌒'`^~(⌒ヾ、
/,: '´ ,._ 、 ヾ.,j ^'ノ⌒ヽ,,._ソ''":::::::::::::::λ::::::::::,.⌒):::::::::::::::::::
/ ゛ ヽ., _)_ _,.,_,人⌒`'"~:::::::::::'⌒'`^~(⌒ヾ:::::::::::::::::ヽ);;;;;;;,,,
|  ̄  ̄ ̄ . ̄  ̄ ̄.. ̄|| 、,;' ^`"'ー- 'ヘ.,_,.ソ'ヽ(⌒"'::::::::,.ノ'"~`ヾ.,_ソ' ヽ);;;;;;;,,,
| ||_,ノ (.., 、:::::::::::::::::::::::ヽ);;;;;ソ;;,,,,,,):::::::::
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ ヾ,....ソ::::ソ'`"'(,,.、ソー"'-
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