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錬金術師は遂せるようです

58 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 21:20:30 ID:YLCyI6VU0
――それはフランス革命の礎の一つにも数えられる、詐欺事件であった。
先王ルイ十五世より――自身の愛人、デュ・バリーへの贈り物にする
という注文を叶えるべく、宝石商のベーマーが首飾りを作った。
最高級のダイアモンドをふんだんに使ったそれは、
金塊一トンにも匹敵する価値を秘めていた。
ところがルイ十五世は急逝し、首飾りは売り手を失くしてしまった。
高額な首飾りを抱えるベーマーは、マリー・アントワネット王妃に売り込もうとした。
しかし王妃は、首飾りを購入しなかった。
一つ目に、やはり値段が高額であったこと。
二つ目に、王妃とデュ・バリーは敵対関係にあり、
確執を新たに生むことを懸念したこと。
困り果てるベーマーだが、幸か不幸か救いの手が差し伸べられた。
王妃と親しい仲だと自称する、ラ・モット伯爵夫人が彼の前に現れたからだ。
彼女は王妃を説得し、首飾りを買うよう仲介役を買って出ると、ベーマーに申し出た。
喜ぶベーマーは、伯爵夫人に首飾りを託した。
首飾りを手にした伯爵夫人は、ロアン枢機卿に近付いた。
立派な野心を抱える彼は、王妃から目をかけてもらいたいと
常々考えていたが、しかしロアンは王妃から大変に嫌われていた。
名家出身の聖職者というやんごとなき立場でありながら、
筆舌しがたい放蕩家だったのだ。
それでも彼は出世を諦めきれず、何とかして王妃に取り入りたいと願っていた。
そこで伯爵夫人は、王妃へ首飾りを捧げるようロアンに進言する。
金に糸目をつけないロアンは、即座に首飾りを購入し、
伯爵夫人に代金を支払った。
そして彼女に、首飾りを王妃に渡す際、
よくよく自分のことを褒めるよう託けておいた。


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