したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

錬金術師は遂せるようです

12 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 00:57:51 ID:YLCyI6VU0
――アレッサンドロ・ディ・カリオストロ。
十八世紀に活躍したとされるペテン師だ。
ヨーロッパを股にかけ、数々の偽名によって社交界へと潜り込んだ。
胡散臭い商売によって貴族の興味関心を引き、
金品を巻き上げては、貧民に分け与えたとも言われている。
しかし後にマリー・アントワネットを巻き込んだ首飾り事件によって、彼は失脚。
後ろ盾をなくした彼はローマへ逃れるも、
胡乱な術を行なっていたことを理由に裁判にかけられ、獄死した。
胡乱な術とは、降霊術や錬金術だったとされるが、全ては彼の仕掛けた
催眠術や人心掌握術によるペテンだったとされている。
――しかし現代を生きる錬金術師たちは、これらが逆に偽りの歴史だと知る。
何故なら錬金術師同士の社交場では、時々そのような単語を聞けるのだ。
「なにがしの誰が、伯爵のナントカという名物を見つけた」だとか、
「どこそこの結社が、カリオストロのナンタラという名物を再現した」だとか。
無論それが箔付けのエピソードだったという例は、入間も來狂も目にしてきた。
――が眉唾の中にも、砂金の一粒が紛れ込んでいることがある。
故に二人は、妙な嗅覚を身に付けるようになった。
『これは伯爵の成した偉業であり、抹殺された歴史の断片なのだ』という勘を。

( ^ν^)「それで、【乳母のフラスコ】っていうのは?」

目が回ったらしい來狂は、椅子の回転を止めてしばらくしてから答えた。

川 ゚ 々゚)「【王】を移植された、会長の娘のことだよ」

( ^ν^)「ほう?」

怜悧な來狂にも、彼に散々振り回され続けた入間にも、
その単語に思い当たる節はない。
幸いなことに、目を回した來狂はちょっかいを出す気配がない。
何かが引っかかる入間は、勘案する。

( ^ν^)(フラスコ、ねえ)

現代ではフラスコは大手量販店でも購入できる程、身近な存在だ。
だが錬金術が隆盛を極めた過去において、フラスコとは重要な道具の一つだった。
なにせ大いなる業には、フラスコが無くては何も出来ない。
富める術師は水晶製のフラスコを使い、貧しい術師は土製の坩堝を
用いたという話は、入間にとってあまりにも有名な智識だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板