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ξ゚⊿゚)ξお嬢様と寡言な川 ゚ -゚)のようです

65 ◆hrDcI3XtP.:2019/09/19(木) 07:04:02 ID:NAygX1BA0

 ツンは夢を見ていた。それは幼い頃の記憶だった。

 当時ツンは未だ齢十にも満たなかった。その頃は父のティレル卿も城館で生活をしていた。
 従者等に愛でられつつ、時に悪戯をしては叱られつつ、けれどもツンは健やかに育った。

川 ゚ー゚)『――初めまして、ツンお嬢様。クーと申します』

 いつかの年の春に彼女はやってきた。優しい笑みを浮かべ、背の低いツンの視線に合わせて屈む。
 長い睫毛、艶やかな黒髪は絹を思わせ、淡い薫香がした。
 何よりもその美貌は比類なき程で、ツンはまるでお人形さんがきたみたいだ、と思った。

 レディースメイドとしてツンに宛がわれたクー。
 ツンは彼女によく懐いた。それと言うのも優しい性格と、何よりも温かな笑みがあったからだ。
 それを向けられ、或いは触れられるとツンは心臓が熱くなる。
 幼いツンにその理由は分からなかったが、しかしツンは自身の感情を大切なものとして認識していた。

ξ*゚⊿゚)ξ『クー、あそんであそんでっ』

川 ゚ー゚)『ふふっ……はい、喜んで』

 クーは当時から言葉数は少なかったが今よりかは喋るし、感情も素直に出していた。
 ツンの願い事には笑顔で頷き、例えば悪戯をされても叱りつけたりはせず、優しくツンの頭を撫でた。

 ティレル卿はそんな二人の様子を知りつつも許容していた。どころか仲睦まじい関係性に安心をした。
 彼女――クーならばツンのよき理解者となり、その分、親身になって教育や躾をこなすだろう、と。
 そして淑女としてツンを導き――ツンが嫁ぐまで、よく尽してくれるだろうと思った。

川 ゚ -゚)『――お早う御座います、お嬢様』

 ある時からクーは笑わなくなった。声も冷淡で感情を見せなくなった。
 ツンは困惑し、何かあったのかと訊ねたがクーがそれに答えることはなかった。


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