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ξ゚⊿゚)ξお嬢様と寡言な川 ゚ -゚)のようです

50 ◆hrDcI3XtP.:2019/09/16(月) 02:29:25 ID:GTEjhEsE0

 雨の降るロンドン。夜雨に打たれるティレル城では弦を弾く音がある。
 コンサートグランドを撫でつけるように弾くのはクーだった。
 軽やかなハーモニー、そしてメロディから生れ落ちる世界は聴く者の心を澄ます。

 雨粒は窓を叩くのだ。それは彼女の奏でる音楽に身を寄せんとする為だった。
 優しげな囃子を耳にしながらも、しかしクーは指を休めない。

 曲の名はない。即興だった。
 普段から感情を思わせない彼女だが、不思議と音色からは感情が豊かに伝わってくる。

川 - -)「…………」

 瞳を瞑り世界を構築するクー。
 そんな彼女の傍では一人の少女が夢心地のような表情をしてクーを見つめていた。
 少女の名はツン・ティレル。この城館の管理を任されているティレル侯爵の一人娘だった。

 ツンは鍵盤と向かい合うクーを眺めていた。
 その指の動きからペダルを踏む動作の一つ一つに注目する。更に視線はクーの表情にまで向かう。

 まるで絵に描いたような――そう思う程に鍵盤を叩くクーは名画のそれだった。
 見てくれはそもそも佳人だった。しかし普段の鉄面皮が嘘のように彼女の顔には笑みがあった。

 長い睫毛が時折動きを見せる。何を思うのか――本人にしか分からないが、伝う音、そして空気感からツンはクーの機嫌が頗るよいものだと悟る。
 ツンは再度彼女に注目する。クーの長い指が鍵盤を叩く――そのしなやかな指、磁器のような肌の質感、そして艶やかな長い黒髪。

ξ*゚⊿゚)ξ(きれい……)

 美しいと誰もが思うが、アリスは見惚れることすら恥じらう。それ程にシャロの醸す空気は極まっていた。
 頬を赤く染め、蕩けるような瞳でクーを見つめ続けるツンは言葉を失うばかり。しかしツンは心地よさを得た。


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