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ξ゚⊿゚)ξお嬢様と寡言な川 ゚ -゚)のようです

246 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/06(日) 18:06:08 ID:GyYSCP1M0

 佳人は指を鍵盤におく。配置は通常と変わらない。
 足を動かしペダルの感覚を確かめる。踏み込むとその軟さに感慨が浮かぶ。
 指をおき、足を動かす――当然の動作だった。
 だが全ては懐かしく、それは時の経過した現在でも変わることは何一つなかった。

川 - ,-)「…………」

 クーは瞳を伏せる。いつも通りに寡言な彼女だが、しかしこの景色の中、彼女はその頬を緩め、目元は優しげだった。

 彼女は己の宝物に久しく触れていた。
 それはスクエアピアノだった。黒の一色に染め上げられたヴィンテージな外観。弦は軽くペダルも軽い。
 いっそ叩き、或いは踏み込むと笑みが零れるくらいに動きは曖昧だった。

 古い。特別高価な訳でもない。造りは一般的に普及する程度のもので、木材からしてもボディの鳴りは大した程度でもない。
 だが、それが素敵で、それが彼女の全てだった。それでよかった。
 彼女は懐かしさに包まれると、冬の木洩れ日の中、思うがままに指を動かした。

川 - ,-)(――ああ)

 鍵盤の上を舞うように指は自然と動く。
 ペダルの感触には違和感があったが、その違和感があるからこそに彼女は余計に楽しかった。

 即興で奏でる音楽。彼女はアドリブを好む。
 例えば題目があり、曲を求められたらそれに応えることは可能だ。
 だが彼女が自然と指を動かす時には彼女の感性のみが働く。


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