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( ^ω^)文戟のブーンのようです[3ページ目]
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僕はくたびれた合皮の鞄から、色あせた"緑《グリーン》"の折り畳み傘を取り出す。
近くを清掃しているボットを横目に、早々にそれを広げた。
全てのボットは監視業務を兼任していて、
常にこの地下都市に住む市民を見張っている。
偉大なるコンピューター様が管理なされている完璧な社会で、
愚かにも雨に濡れ、
自身の体調を崩す要因を作り出す愚鈍な市民など存在しないのだ。くそったれ。
工業地帯から自身のクリアランスである緑の居住地区に出る。
画一的なデザインのアパルトメントが立ち並んでいるので、
しっかりと標識を見ないと現在自分がどの通りを歩いているのか分からなくなる。
チェス盤の様に整理され尽くした美しい街並みといえば聞こえがいいが、
実際はコピー&ペーストで記号化きった無機質な空間と言わざるを得ない。
更にこの場所をせせこましく感じさせるのは、
屋根の上を走る"輸送道路《トランスハイウェイ》"だ。
自動運転の輸送車が時間を問わず走り回るせいで、
その騒音と排ガスにこの街は常に溺れている。
輸送車も、市民のクリアランスに合わせて色分けされていて、
それぞれに配給される物資が詰め込まれている。
頭上で鳴る、タイヤが荒れたアスファルトを転がる音を聞きながら、
僕はゆっくりとかぶりを振った。
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