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ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです
60
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:58:21 ID:lM/DxnMA0
●「!」
●「ああ、一生忘れないさ。」
●「ときに私のことは師匠と呼んでいいんだぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「正直それずっと思ってたんだけどさ、最初誰かに師匠って呼ばれてたわけ?」
●「え?いやなんというかすごい長生きしてるもんだから人生の先輩としてそう呼んでもらえたらなって思ってね。」
ξ゚⊿゚)ξ「はーいやだいやだ。下等生物という現実を受け止められなくて人間様の上に立とうとそんな呼び方させるなんて。」
ξ゚⊿゚)ξ「それを絶滅して欲しいランキングと厚かましい生物ランキング一位のゴキブリがねぇ。」
ξ゚⊿゚)ξ「鏡って見たことある?」
ξ゚⊿゚)ξ「世の中には身の丈に合った呼び方ってもんがあるだろうがよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「こんなおぞましいことってあるのでしょうかね?」
61
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:58:49 ID:lM/DxnMA0
●「うぅ……」
●「それならほかの呼び方でもいいさ……」
ξ゚⊿゚)ξ「ほかの呼び方ねぇ。」
ξ-⊿-)ξ「うーん」
ξ゚⊿゚)ξ「考えるだけ面倒くさい。」
ξ゚⊿゚)ξ「師匠でいいわ。」
●「おぉ!これからもよろしく頼むよツン!」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえずよろしく師匠。」
●「あとこのケーキなんだが、私には量が多すぎるから冷蔵庫にしまってもらいたいのだが。明日ちょっとづつ食べるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「常識的に考えろ師匠。ゴキブリの食べえたものを人間は冷蔵庫にしまわねえ。」
ξ゚⊿゚)ξ「腐ってもいい全部食え。」
●「なるほどなるほど。」
こうして出会った当初は最悪だった一人と一匹は少しずつ友となっていく。
62
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:59:15 ID:lM/DxnMA0
(´-ω-`)「Zz…Zz…」
(´-ω-`)「うぅん…」
(´-ω・`)「ん?」
(´・ω・`)「おや?」
(;´・ω・`)「あれ?」
(´;ω;`)「嘘だろこれぇ!」
63
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 00:00:23 ID:g8IS/idc0
今日の分は以上となります。
ありがとうございます。
64
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 04:23:19 ID:b1KrJ9SM0
ショボン…
乙
65
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 05:19:30 ID:r5nDT6Sw0
おもしろい
ショボン…
66
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 05:19:51 ID:gYSEqYYc0
何の変哲もない●が段々Gにしか見えなくなってきた、訴訟
67
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 09:25:10 ID:T./7QveQ0
仲は進歩してるけど相変わらずツンがひどい 乙
68
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 11:56:32 ID:t/z4M.b60
>ξ゚⊿゚)ξ「常識的に考えろ師匠。ゴキブリの食べえたものを人間は冷蔵庫にしまわねえ。」
どことっても好きなんだけどここが一番吹き出した
69
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 00:15:01 ID:Ey95h8QA0
しょぼんん……
70
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:46:11 ID:Kqq6vrLI0
川 ゚ -゚)「話は聞いたぞツン、いい出来だったらしいな。」
ξ゚⊿゚)ξ「大したことはしてないって、いつも通りやっただけよ。」
(*゚ー゚)「おかげでこっちは大変よ。」
(*゚ー゚)「うちの上司が『同期が頑張ってるならしぃ君も負けてられないな!』って息巻いちゃって。」
川 ゚ -゚)「このまま突き進めば出世間違いなしじゃないか。昔からの親友として鼻が高い。」
(*゚ー゚)「ツンが役職ついたらその下で伸び伸び仕事したいわ。」
ξ゚⊿゚)ξ「出世とかマジ勘弁。」
そもそのが自分の実力じゃない。あれを作ったのは殆ど師匠だ。この先もあの出来と同じくらい期待されるのは困る。
何よりも出世とか望んでいないのだ。今の仕事量くらいでそこそこの給料さえもらえればそれでいい。
今の生活で十分幸せだし、下手に上の役職で責任や仕事が増えて残業三昧の生活などまっぴらだ。
そんなことを思いながら友人達と昼休憩を過ごしていると、みんな楽しそうでいいなっという恨めしそうな声がかすかに聞こえた。
声の主は探すまでもなかった、上司ショボンだ。
71
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:46:41 ID:Kqq6vrLI0
(´・ω。`)「ハハ、これが若いっていうものか。」
(´゚ω・`)「僕にもあったのかな?」
(´・ω・`)「それより上の住人死なないかな。」
(´゚ω。`)「あいつのせいだあいつのせいで僕は…」
(´。ω゚`)「なぜいつも僕ばかりいつもこんな目に…」
(´゚ω゚`)「こんなのおかしい、そうだおかしいんだ!」
今朝、偉い人たちに呼び出されて会議室へ。そのあと泣きながら部署に戻ってきた哀れな私の上司。
職場のみんなで優しく声をかけてあげたりしたが、その目は焦点が定まらないでいる。
今も部屋の隅でブツブツと独り言を……
(*゚ー゚)(ほんとショボンさん災難だったみたいね)
川 ゚ -゚)(真面目だけが取り柄だった人が一番大事なタイミングであれだもんな)
ξ゚⊿゚)ξ(だから私が上の住人にガツンと言ってあげるって言ったのに)
今はそっとしておいてあげよう、三人でそういう結論に至った。
いい大人なのだからそのうちに気持ちの整理がつくだろう。
決してそろそろ面倒だとかそういうわけではない。
72
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:47:22 ID:Kqq6vrLI0
仕事を終えてうちに帰る。
いつも通り定時帰宅。
うちへ帰るルートもいつも通り。
いつも通りの時間に自分の部屋のドアの前につく。
でもここからは違う。
今までは無言で開けていたドアも今日からは違う。
ξ゚⊿゚)ξ「ただいまー」
●「お帰り、ツン。」
少し懐かしい感じだ。
実家にいたときのようだ。
うちで出迎えがあるのはいいことだ。。
そう思ったとき、少し前のことを思い出す。
しぃの家にクーと二人で遊びに行った時のことだ。
金曜日の仕事終わりに久しぶりに宅飲みしようということでしぃの家になった。
しぃは入社と同時に一人暮らしをしていた。
自分の部屋の前に立つとしぃは
(*゚ー゚)「たっだいまー」
と元気よくドアを開けた。すると中から
▼・ェ・▼「ワンワン!」
と元気よく一匹の犬が出てきた。
73
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:48:40 ID:Kqq6vrLI0
(*゚ー゚)「おりこうさんにしてた―?」
そう言いながら犬の頭を撫でるしぃ。
▼・ェ・▼「くぅん!」
本当にうれしそうだ。
川*゚ -゚)「やっぱ犬だよなー!本当にしぃが飼ってるのが犬でよかったよ。」
川*゚ -゚)「おいでビーグル。」
▼・ェ・▼「わんぉ」
尻尾を激しく振りながらクーに近づく。本当に人懐っこい犬なことだ。
犬の頭を撫でながら
川*゚ -゚)「いい子でちゅねー。」
川*゚ -゚)「はぁあ……犬最高!もししぃが飼っていたのが猫だったら外にぶん投げていたよ。」
(*゚ー゚)「実家で猫も飼ってるんですがそれは。」
川#゚ -゚)「この裏切者め!」
川#゚ -゚)「腹を切れ腹を!」
74
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:49:12 ID:Kqq6vrLI0
(*゚ー゚)「いやいや犬も猫もどっちもかわいいよ。」
(*゚ー゚)「そういうこと言うなら自分で飼えばいいじゃない。」
川 ゚ -゚)「うちのマンション動物飼うの禁止だし、餌とかいろいろ面倒じゃん。」
(*゚ー゚)「お、おぅ」
ξ゚⊿゚)ξ「こっちにおいでリュウゲン。」
そう言うとビーグルは私のほうによって来る。
(*゚ー゚)「そのリュウゲンってなんなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「この子の名前。」
そう言いながら私はビーグルの頭を撫でる。
(*゚ー゚)「うちの子はビーグルって名前なんですが!?」
ξ゚⊿゚)ξ「でも私にとってこの子はリュウゲンなのよ。」
(*゚ー゚)「お、おぅ」
その時の出来事がふと浮かんだ。
75
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:49:41 ID:Kqq6vrLI0
●「?」
●「どうしたんだいツン、玄関で立ったまま固まって。」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、なんでうちは出迎えてくるのがゴキブリなのかなって。」
ξ゚⊿゚)ξ「これがかわいい犬とか猫ならうちに帰りついた瞬間マジ癒されるのに。」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、なんでうちは本当ゴキブリなんだろこれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「この格差。天と地。月とスッポン。たけのこの里ときのこの山。」
ξ゚⊿゚)ξ「いったい誰が仕事の疲れをゴキブリを見ることで癒そうと?」
ξ゚⊿゚)ξ「私は前世でどんな悪いことをしたのでしょうか。」
●「世の中ゴキブリが好きな人間一人や二人いてもおかしくない。」
●「それくらい世界は広いんだぞツン。」
●「さらに私は人間の言葉を話せる。この付加価値はすごいぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「付加価値とかどうでも。絵面的にもどうよ犬猫とゴキブリが競えると思うのかオイ?」
●「せやな。」
76
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:50:23 ID:Kqq6vrLI0
食事の時も、また君は肉ばかりか!バランスよい食事が――とか
スマホをいじりながら食事しない――とやたらうるさいと思えば
テレビを見ながらあそこには昔住んでいて――からの自慢話が始まる。
1人暮らしでご飯時は一人さびしくと思っていたが、こう騒がしいとそう思うことはなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「そういや師匠ってゲームやったことある?」
●「ゲームはしたことないな。というかこの体じゃやりようがね。」
ξ゚⊿゚)ξ「今日仕事中ずっと師匠でもできそうなゲームで、私も知ってるの考えてたわけよ。」
●「そこは真剣に仕事しなよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そしたら私の持ってるゲームでいいのがあったの。これ。」
そう言って一つのソフトを見せつける。桃太郎電鉄だ。
ξ゚⊿゚)ξ「ルールとかはゲームしながら教えてあげるから、やるぞ師匠。」
●「そういうならやってみるか。」
簡単にルールなどを説明していきなり本番。
師匠にかかればコントローラーのボタンを押すこと自体問題ないのだがいかんせん人間に比べたら遅い。
仕方ないので師匠の操作時も私が操作するが指示は師匠がする。
しかし忘れてはいけない、このゲームの本質を。
たとえ親友同士がやってもちょっとしたことでリアルファイト勃発するようなものについ最近仲良くなった程度のものがこれをプレイしたら……
77
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:51:02 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「師匠ザッコ。いくらなんでも弱すぎでしょwww」
ξ゚⊿゚)ξ「CPU二体とも弱い奴なんだけど、それでも最下位って。」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ仕方ないか、所詮ゴキブリですものねぇwww」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリでもゲームの中だけは人間の社長って扱いなんだから感謝しなさいよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリでもなれる社長ってどんな仕事なんだよ。」
●「面白いなゲームって。」
●「立ち回りもだんだんわかってきたぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「はー、往生際が悪いわね。」
ξ゚⊿゚)ξ「本当ゴキブリはしつこい。」
ξ゚⊿゚)ξ「いまさらわかったところで、圧倒的一位の私にかなうものか。」
ξ゚⊿゚)ξ「ネズミ―も今しがたついに手に入れたこの私に。」
●「今サイコロふって14出せばツン、君に私についているこのボンビーをぴったりくっ付けられる。」
●「そうだろう?」
78
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:51:41 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「無駄なあがきをしよるなあ。」
ξ゚⊿゚)ξ「しぶといのは自分の特性だけにしておけ。」
●「特急カードを使う。ツン、サイコロを振ってくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「哀れな奴め、いいだろう。」
そい言って私はコントローラーを操作する。
サイコロが転がる。
出るはずがないこんなゴキブリごときにそんな幸運が――
『14』
ξ#゚⊿゚)ξ「あ゛ぁ」
●「ラッキーパンチってどうやって出すかわかるかい?」
●「諦めないでやるから出るのさ!」ドヤッ
ξ゚⊿゚)ξ「面白ェ…!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「久々に切れちまったよ表にでな。」
そう言って私は玄関を親指で指すとそのまま玄関のドアを開ける。
79
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:52:14 ID:Kqq6vrLI0
●「おやおや、血の気の多いお嬢さんなことだ。」
●「いいでしょう。久しぶりに相手をしてあげますよ。」
●「そして思い出させてあげましょう、私とのレベルの差を。」
カサカサッ
師匠がドアから外に出たとたん
バタンッ
ガチャ
ビーッ ぺタぺタ
私は師匠がドアから外に出たのを見計らって戸を閉めると鍵をかけガムテープで隙間を埋める。
●「え!?ちょっとツンさん!?」
80
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:52:49 ID:Kqq6vrLI0
prrr
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオよ元気にしてたか?」
('A`)「元気にしてたけどさ、急にどうしたの姉ちゃん?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせ今暇だろ、この前やった100人で殺しあって生き残るゲームやろうぜ!」
(;'A`)「電話してきたと思ったらそんなことですかい?!ちょっと待ってよ俺にだって都合が…」
ξ゚⊿゚)ξ「食う寝る糞するしかしない奴がなにするってんだ。」
(;'A`)「姉ちゃんはもう少し人間に対して優しい言葉とか無いの?」
ξ゚⊿゚)ξ「なにを言う我が愚かな弟よ。私は人間に対しては普通の言葉遣いだぞ。」
('A`)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんだドクオ、お前も鏡を見たことないタイプか。」
ξ゚⊿゚)ξ「明日の朝でいい、顔を洗うとき鏡を良く見ろ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そこには化けも(;'A`)「もういいやめて!」
('A`)「わかったやるよ。やればいいんだろ。」
ξ゚⊿゚)ξ「うむ。人の役に立てドクオ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうすれば人間に成れるかもしれない。」
('A`)(ゲームやって人間に成れるって)
81
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:53:28 ID:Kqq6vrLI0
●「……。」
●「まあ通気口から入れるんですけどね。」
カサッ
離れていても愚弟とは電話一本で一緒に遊べる。
そうでなくとも、汚らわしい生物ではあるが友と呼べる奴が一緒に住んでいる。
まだ一人暮らしを始めて日は浅いが寂しいと感じることは一度もない。
それからは報告書などの書類作成は約師匠の力を借りるようにした。
●「おいおいツン、ここの部分は前も注意したことじゃないか。」
●「手伝うのはいいが少しは私から学んでくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「いいことゴキブリさん、現代人はいつも時間に追われているの。」
ξ゚⊿゚)ξ「御託はいいのでさっさとこの続きを考えてください。」
●「それじゃツンのためにならん、一度自分で作ってから私に見せてくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ケチ臭い。ただでさえゴキブリ臭いのにさらにケチ臭いとは。」
ξ゚⊿゚)ξ「殺虫剤より消臭剤を買ってこないとな。」
●「なんとでもいいたまえ。」
仕方なく自分なりに書類を作成する。
82
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:54:07 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「ほらどうだ中々なものだろう。」
とりあえず作ったものを見せる。
●「……。」
●「なんだいこの小学生でも作らない文章のかたまりは。」
●「まったく、ツンは私がいないとダメだな。」
ξ゚⊿゚)ξ「えーそうですかー私は必死にやったんですがー」
●「私が一から教えるからほら、指を動かしなさい。」
ξ゚⊿゚)ξ「はーい。」
ちょろいものだ。
師匠は優しいからダメな人間を決して見捨てたりしないだろう。
だから適当に文字だけ入力したものを見せれば簡単にどうすればいいか教えてくれる。
まったくおしゃべりな奴でほうっておくと延々自慢話や昔の話でうるさい奴だ。
でも確かに頼りになる。頼りにしてるぜ師匠。
83
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:54:43 ID:Kqq6vrLI0
ある日の日曜日
ξ゚⊿゚)ξ「師匠、今日暇?」
●「今日かい?今日はξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリに暇もくそもないよな。」
ξ゚⊿゚)ξ「師匠映画を見に行くぞ!」
●「映画かいいね!でも急にどうしたんだ?今日は予定があるんじゃ?」
ξ゚⊿゚)ξ「本当はしぃと見に行くはずだったんだけど、急にしぃが彼氏とデート行くことになって。」
ξ゚⊿゚)ξ「見たい映画、ホラーなんだけど私ホラー映画は一人で見れないたちだから。」
●「ホラーがダメってどの口が言うんですか!?」
ξ゚⊿゚)ξ「本当失礼ね、普段は女性というものはとか偉そうに語ってるくせに。」
●「私と初めて出会った人間はみんな驚いたり恐怖したりしたものだよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「幽霊とかモンスターが現実にいたとしても私は、たとえ死んでも一発ぶん殴るくらいのことはすると思うのよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「でも映画の場合は登場人物に感情移入しちゃってそういう気が起きなくて怖いわけ。」
●「へー」
●「でもツンも映画見に行くなら彼氏さんでも作って見に行けばいいじゃないか。」
84
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:55:15 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「それもそうね。私は疲れていたのかも。」
ξ゚⊿゚)ξ「まさか友達がドタキャンしたくらいでゴキブリと映画を見に行こうとは。」
ξ゚⊿゚)ξ「どうやら気でも違ったみたいね私。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよね師匠はいじめられっ子の悲劇の主人公で動物だけが友達みたいな位置づけだけど」
ξ゚⊿゚)ξ「私の場合はゴキブリだけが友達の本当の悲劇の主人公だものね。」
●「オーケー、私が悪かった。」
●「それでなんて映画見に行くんの?」
ξ゚⊿゚)ξ「川д川VS【+ 】ゞ゚)VS(・(エ)・)VS母者ってやつ。」
●「詰め込みすぎでは?!」
●「後ろ二つって幽霊でも化け物でもないだろ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでも日本の映画興行収入で新記録出しそうなんだと。」
●「私は認めないね。映画が世の中に誕生したあたりから見てきたがそんなもの認めない。」
●「いいかい私の人生の中で一番の作ひξ゚⊿゚)ξ「その話長いの?」
ξ゚⊿゚)ξ「無駄話してんな。行くぞ。」
●「はい。」
85
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:55:48 ID:Kqq6vrLI0
私は師匠を蓋に小さな穴の開いた瓶に入れるとそれをバックにしまい出かける。
映画館に入り座席に座る。
照明が落ちあたりが暗くなるとそっと瓶から師匠を取り出し肩に乗せる。
やはり絵的にキモイ。
映画が終わりエンドロールが流れる。
86
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:56:14 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿。)ξ「」
●「本当にこれが新記録出しそうな映画なのか?!」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「4体もメインどころ持ってきたもんだからそれぞれの見せ場を作るために本筋の話が薄すぎる。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「その見せ場も4体分だからそれぞれの持ち味を生かし切れていない。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「なによりJホラーで押しているくせに要所要所で挟む寒いギャグはなんだ。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「あと役者も殆どがアイドルじゃないか!演技がひどい棒読みすぎる。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「これが今の映画なのか?!ひどいと思わないかいツン!!」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「し…死んでる……」
87
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:56:41 ID:Kqq6vrLI0
係員に起こされ映画館を後にする。
ξ゚⊿゚)ξ「いやー半分くらいから先記憶がないわー」
●「本当に死んでるかと思ったぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「それで映画はどうだった?面白かったの?」
●「君は見に行ってたんだよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「おう!半分な。最後どうなった?」」
●「かれこれしかじかでね」
ξ゚⊿゚)ξ「なかなか面白そうじゃん。」
●「どこがさ!だってこの映画――」
●「って私は考えるんだけどね。」
ξ゚⊿゚)ξ「いやいや本筋が薄いって私は何事もはうす味が好きね。」
ξ゚⊿゚)ξ「そもそも映画って頭空っぽにして楽しむもんでしょ、頭働かして見るのは面倒すぎ。」
ξ゚⊿゚)ξ「寒いギャグもずっと堅っ苦しいんじゃ疲れるし、どっかで息抜き欲しいじゃん。」
ξ゚⊿゚)ξ「登場人物だって不細工よりイケメンとカワイイ子に限るでしょ。主人公不細工とか見る気失せるわ。」
●「そ、そうかなぁ。そうは思えん出来だが。」
88
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:57:09 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「かぁー本当師匠は堅い。流石ははるか太古に進化を完成させた生きる化石。」
ξ゚⊿゚)ξ「まさに時代遅れ。現代は日々進歩しているのにいまだに昔という殻にこもって老害めいて。」
ξ゚⊿゚)ξ「今、そしてこれか先という新しい考えを諦めている、そう進化を諦めたオワコン生命体。」
ξ゚⊿゚)ξ「遅れてるぜ師匠。」
●「何と言われようと私は自分の意見を変えないさ。これが私なんだから。」
ξ゚⊿゚)ξ「ほーん。」
*(‘‘)*「ママぁ!あのおねえちゃんひとりでおしゃべりしてるよーへんなのぉ。」
イ从゚ ー゚ノi「ダメよ見てちゃ!ああいう人は危ないから!早く帰りましょ。」
*(‘‘)*「はぁーい。」
見知らぬ親子から罵倒されながらその場から一目散に家へ帰る。
うちに帰った後も映画のことで口論。
89
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:57:41 ID:Kqq6vrLI0
師匠は決して自分の意見を曲げない。それはゴキブリのくせに自分という芯をしっかり持っているからだ。
今の世の中、自分という明確な芯を持たず流されるまま生きている人間であふれているというのに。
だから今までも私に面と向かって怒ったり注意したりできたんだ。
それでこそ師匠だな。そういうとこは少しは尊敬してるさ。
これからも長い付き合いになるだろう、そう思っていた。
私は今までの人生で一番大事なことに気づいていなかった。
初めてゴキブリを退治してそれに慣れるまでも、今まで尻に敷かれていた父さんがうちの中で頂点になってそれから堕ちるまでも
初めて付き合ったクックル君と別れる時もそれはあっという間に訪れていたことに。
90
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:58:13 ID:Kqq6vrLI0
師匠と出会って一か月と少し経った頃。
その日は仕事を終えて家に帰るのがいつもより遅かった。
自分の部屋の前に着くとちょっと部屋を片付けるからここで待っててと一言いい残してドアをそっと開けて中に入る。
すぐに戸を閉めて師匠を探す。
●「お帰り、今日は遅かったね。珍しく仕事が長引いたかい?」
そう言う事情が分かっていない師匠。
唇に人差し指を当てて
ξ;゚⊿゚)ξ「シーッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「事情は明日話すから今日は家から出てって。」
そう小声で言う。
●「うん?」
事態を呑み込めないでいるこれは困った、と思ったとたん私の後ろから声が飛んできた。
( ^ω^)「少しくらい部屋が汚くても俺は気にしないから大丈夫だよ。」
そう言って一人の男が入ってくる。
最近出会いそして付き合い始めた私の恋人だ。
91
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:58:59 ID:Kqq6vrLI0
ξ;゚⊿゚)ξ「え、そう……でも今日はあんまり食材無いから大したもの作れないよ。」
( ^ω^)「ツンが作ってくれたものなら何でもおいしく食べるさ!」
( ^ω^)「でもごめんよ、急にツンの手料理が食べたいなんて言い出して。」
ξ゚⊿゚)ξ「なぁにそれくらいどうってこと。ちゃちゃっと作るから待っててね。」
●(そうかツンにも恋人ができたのか)
●(おめでとうツン!)
心の底からの二人のことを祝福した。
それは師匠の本心である。
●(……)
●(そうかそうだよな……今までありがとうツン)
●(君とはもうすぐお別れだね)
これは一人と一匹の物語、もうすぐ終わりを迎える。
92
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:59:34 ID:Kqq6vrLI0
今日は以上です。
いつもありがとうございます。
93
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 14:43:12 ID:dbSQmjzM0
師匠……
94
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 14:58:46 ID:lRFkgQyU0
師匠ぅ……
95
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 18:25:46 ID:lAtn6voI0
( ^ω^)をG好きにすれば別れなくても・・・無理か・・・?
96
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 19:38:59 ID:ModpVdWw0
ツンの言い回し棘が凄くて好き
97
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 23:29:57 ID:YjEk6sEI0
面白い
一番好きだ
98
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:03:34 ID:MZTDFfO.0
ブーンに生姜焼きを振舞うため、腕まくりをし食材を取り出し料理を始める。
その時だった。
(;^ω^)「うぉ?!」
ブーンの短い悲鳴が聞こえた。
急いで駆け寄ってみると、予想外の訪問者に動揺して逃げ遅れた師匠がいた。
ブーンは恐怖のあまりその場にかたまっていた。
仕方ない、潰すフリをして逃がしてやるか――そう考えた時、昔の記憶がよみがえる。
『( ゚∋゚)「虫を素手で潰せる女の人はちょっと」』
嫌な記憶だ。
実はあの出来事はいまだにトラウマなのだ。
ブーンも同じ考え方だったら……そう思うと体は動かなかった。
●(しまった、私としたことが…)
珍しく師匠も動けないでいる。
二人と一匹で呆然と立ち尽くす。
時計の針が進む音だけが聞こえる。
そんな中、意外な人物が一番最初に動いた。
ブーンだった。
近くに落ちていたチラシまとめてを拾うとそれ筒状に丸めた。
(;^ω^)「おぉぉおぉ!」
そう叫びながら師匠に向けて振り下ろす。
99
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:04:13 ID:MZTDFfO.0
●(ぬるい!)
シャッ
バシンッ
(;^ω^)「やったか?!」
私にはしっかりと師匠がそれをかわして逃げていくのが見えた。
しかしブーンはそれに気づいていないようだ。
死骸を確認するために丸めたチラシを持ちあげるが、少し上げたところで止まる。
ξ゚⊿゚)ξ「?」
(;^ω^)「……」
少し考え事をしてから丸めていたチラシを広げて師匠がいた辺りに被せる。
それをまるで今ここにある死骸を処分するかのように包み込むようにして持ちあげ、中身を確認することなくゴミ箱へ。
( ^ω^)b「俺にかかればこんなもんよ!」
嬉しそうに親指を立て上がら勝ち誇る。
しかしその足は震えていた。本当は怖くて仕方なかったのだろう。
本当は仕留めていないが。なにより仕留めたか確認せずいることで万が一の事態を考えないようにしているようだ。
それでもブーンは私にために動いてくれた。虫なんて嫌いで怖い癖に。
それが本当にうれしかった。そんなことしてくれる人は今までの私の人生で1人もいなかった。
そんな時、むかし父さんが言ったセリフを思い出した。
『( ´∀`)「いやいや、男というものはそういう場面で真価を発揮するんだよ母さん。」』
100
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:04:51 ID:MZTDFfO.0
本当にそういう時に真価を発揮する男の人がいるんだ。そう思うと心の底から嬉しさがこみあげてくる。
ξ*゚⊿゚)ξ「ありがとうブーン。」
( ^ω^)「どうってこと!こんくらい。」
そう言うや否や腰が抜けたのかその場に座り込むブーン。
フフフっと私は笑うと料理の続きを始める。
(*^ω^)「うま、うま。」
(*^ω^)「ツンの料理はうまい!」
嬉しそうに食べるブーン。
ξ*゚⊿゚)ξ「当然でしょ。誰が作った料理だと思ってるの?」」
いつにも増して作ったかいがあった。
( ^ω^)「しかしいつからツンは虫が駄目になったんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「へ?」
( ^ω^)「いや殺虫女王って呼ばれてたじゃん。」
ξ;゚⊿゚)ξ「なんでそれ知ってるのよ!」
101
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:05:34 ID:MZTDFfO.0
(;^ω^)「中学高校一緒だったじゃん。」
ξ;゚⊿゚)ξ「あれ?いたっけ?」
(;^ω^)「そ、そりゃまぁその当時はイケてない組だったけどさ。」
ξ゚⊿゚)ξ「あーそういえば居たね!あれだ相撲部の!」
(;^ω^)「帰宅部です。」
ξ゚⊿゚)ξ「Oh…」
そのあと二人で大いに笑った。
ξ゚⊿゚)ξ「なんだあの時、居酒屋で話しかけてきたのは知ってたからか。」
( ^ω^)「知らない人に話しかけられるほど俺は社交性ないよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「私はてっきり面倒なナンパだと思ったはwww」
(;^ω^)「死ぬほど勇気出したからね俺。」
ξ゚⊿゚)ξ「本当それねwww」
ξ゚⊿゚)ξ「かみかみになりながら話しかけてきたから笑いそうになったよwww」
( ^ω^)「笑ってたから君は。そらもう大爆笑してたよwww」
102
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:06:11 ID:MZTDFfO.0
食事も会話も弾む。幸せなひと時だった。
再開した時の話や昔話で盛り上がった後、最初の話に戻る。
( ^ω^)「でも殺虫女王が虫嫌いになってたとは驚いたよ。」
ξ;゚⊿゚)ξ「その呼び名はマジやめて。」
ξ゚⊿゚)ξ「別に、料理前だったから躊躇しただけよ。」
( ^ω^)「でもどこにでもゴキブリはいるんだね、いやになっちゃうよ。」
( ^ω^)「こんないい部屋にも湧くなんて。あんな気持ち悪いの。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね……。」
言葉に詰まった。
私も少し前までは同じ考えだったから。
……いや師匠にあっても正直その考えは変わってない。
実際ゴキブリ見てかわいいって言える人間がいるのか?
いる気がしない。
師匠だから許していたがキモいのは変わらない。
それにこれが人間からしたら当たり前の考えなのだ。
103
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:06:47 ID:MZTDFfO.0
( ^ω^)「本当、火星にでも移住してくれたらうれしいんだけどな。」
ξ゚⊿゚)ξ「珍しく陰湿なこと言うじゃない。」
( ^ω^)「ゴキブリ好きな人なんていないでしょ、ただでさえ同じ星に住んでいるのも勘弁してもらいたいのに。」
ξ゚⊿゚)ξ「もしブーンの家にもいたら?」
( ^ω^)「全力で引っ越すね。想像しただけで鳥肌もんだよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ほう、もし今ブーンの部屋がゴキブリに占領されていたら?」
( ^ω^)「そこは殺虫女王に助けてもらわんと。」
ξ#゚⊿゚)ξ「その呼び方やめい!」
そんな風にイチャイチャしている時だった。
104
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:07:20 ID:MZTDFfO.0
prrr
携帯の着信が鳴り響く。
(;^ω^)「げ!」
ブーンの顔がこわばった。
( ^ω^)「はい、ブーンです。どうされました社長?」
(;^ω^)「え、打ち合わせ?」
(;^ω^)「それって週末じゃ……わかりましたすぐ向かいます。」
( ^ω^)「はぁ…」
そう言って電話を切るとブーンは、残っているご飯を勢いよく口に押し込む。
( ^ω^)「ごめんツン、社長に呼び出されたから会社行ってくる。」
( ^ω^)「ご飯ありがとう、おいしかったよ。またね!」
そう言うとブーンは急いで出て行った。
一人ぽつんと取り残される私。
105
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:07:52 ID:MZTDFfO.0
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、もう。」
ξ゚⊿゚)ξ「……。」
ブーンは住宅設計の仕事をしている。従業員はそんなに多くなく、いつもいっぱいいっぱいのようだ。
食事を終えて片づけを始める。片付けの中、周りをよく見てみる。
師匠は帰ってきていないようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「明日の朝か夕方には帰るでしょ。」
それほど気にせずにその日は眠りについた。
ただ、ブーン仕事に行ってからは本当に静かだった。
そして初めて一人ぼっちの夜でもあった。
一人ってこんなに寂しくて不安なものなのか、そう思ったもの初めてだあった。
翌朝目を覚ますと周りを確認する。師匠はまだ帰ってきていないようだ。
いつものようにに会社へと向かう。
106
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:08:17 ID:MZTDFfO.0
(*゚ー゚)「彼氏さんとは順調なのツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「おかげさまで何とか順調よ。」
川 ゚ -゚)「羨ましいぞ二人とも彼氏持ちで。」
(*゚ー゚)「クーの場合は壺集めの趣味をどうにかしなよ。絶対そのせいで損してるって。」
川 ゚ -゚)「悪いがそれはやめられない趣味なんだ。だからそういうことも受け入れてくる人を探してるのさ。」
川 ゚ -゚)「自分を偽ってまで恋人を作ろうなんて思わないね。」
(*゚ー゚)「先は長そうね。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうそう私の彼、中学高校同じだったみたい。」
川 ゚ -゚)「なんと!名前なんていったっけ?」
ξ゚⊿゚)ξ「内藤ブーン。」
川 ゚ -゚)「あーいたな、野球部でキャッチャーやってたよな?」
ξ゚⊿゚)ξ「それ斉藤またんき。私も全然覚えてなかったw」
107
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:08:50 ID:MZTDFfO.0
(´・ω・`)「やあやあみなさん、今日も元気がよさそうだね。」
ξ゚⊿゚)ξ「あぁ、ショボンおつかれ。」
(´・ω・`)「ツンさん、今度のプレゼンも頼みますよ。我が部署のエースとして。」
(´・ω・`)「これは僕からの差し入れです、皆さんで食べてください。」
そう言ってショボンはブランド物のクッキーを差し出す。
川 ゚ -゚)「サンキュー、ショボン。」
(*゚ー゚)「本当こういうことは気が利くよねショボンは。」
ξ゚⊿゚)ξ「大船に乗った気でいろよショボン、私に任しておけ。」
頼みましたよ、そういってショボンは去っていった。
あの一件以来、部下だろうが何だろうが媚を売るようになった。
今までは死にかけの魚の目をしていたが、今は完全に目が死んでいる。
その日も仕事を終えていつものように帰宅する。
師匠にプレゼンをさっさと作らせるかそう思った。
ただいまー、そう言ってうちに入ると師匠が何かの雑誌を開いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「何読んでんの?」
●「ああ、お帰り。これは旅行の雑誌だよ。」
108
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:09:20 ID:MZTDFfO.0
●「それとおめでとう。優しそうな彼氏さんじゃないか。」
ξ゚⊿゚)ξ「おぅ!昨日は悪かったな。」
ξ゚⊿゚)ξ「なに?師匠旅行に行くの?」
●「旅行というか何というかまあね。」
●「次は海沿いの旅館で潮風を感じながら散歩でもしようかとね。」
ξ゚⊿゚)ξ「かぁーこっちは汗水流さないと旅行なんていけないのに、このゴキブリはしれっと言ってくれる。」
ξ゚⊿゚)ξ「まあいい。旅行の前にプレゼン作んの手伝ってよ。」
●「……。」
●「ツンはいつまでも私がいると思っているのかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「へ?」
109
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:09:49 ID:MZTDFfO.0
●「実は私はそろそろ住処を変えようと思っていたんだよ。」
ξ;゚⊿゚)ξ「なん…だと!」
●「なぁにすぐには行かないさ。ツンが私なしでもプレゼン位できるようになってから出ようと思ってるところさ。」
●「だから私の言うことはノートに書き残しておきなさい。」
ξ゚⊿゚)ξ「ノートに書くとかまた古臭いこと言っちゃって。」
●「古臭くとも昔の人間はそうやってできるようになったんだよ。」
●「たとえ考えが古くとも私はこのやり方が一番だと思うんだ。」
ξ;゚⊿゚)ξ「ぐぅむ。」
●「さあ始めるよ。」
そう言って私は師匠の言ったことをノートに書きこんでいく。
こんな面倒なことは学生時代以来だ。
●「まあまあって出来かな。」
●「でもこれで私が突然いなくなってもそのノートを見れば大丈夫だね。」
ξ;゚⊿゚)ξ「いや、ちょっと……」
師匠の突然の発言に動揺が隠せない。そんな時だった。
110
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:10:26 ID:MZTDFfO.0
prrr
ブーンからの電話だった。
ξ゚⊿゚)ξ「もしもし、どうしたのブーン?」
( ^ω^)「今ツンの家の近くで仕事しててさ、会いに行ってもいいかな?」
ξ゚⊿゚)ξ「いいけど仕事終わってるの?」
( ^ω^)「これから少し休憩になるからちょっとだけだけど。ツンに伝えたいことがあるから。」
ξ゚⊿゚)ξ「いいけどさ、気を付けてきてよ。」
( ^ω^)「うん、じゃあ後でね。」
そうって電話を切る。ものの十分もしないうちにブーンはやってきた。
走ってきたようだ。ついたころには息も絶え絶えであった。
(;^ω^)「はぁはぁ」
(;^ω^)「久しぶりに全力で走ったよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなに大事な要件だったわけ?」
( ^ω^)「そりゃもちろん直接言わないといけないやつさ。」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
111
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:10:59 ID:MZTDFfO.0
( ^ω^)「ツン!……」
(;^ω^)「えっと…その…」
ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?時間ないんでしょ。」
(;^ω^)「いやその…いっしょに…」
( ^ω^)「一緒に暮さないか!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ファッ?!」
突然の申し出に困惑した。いきなり何を言い出すのか。
( ^ω^)「俺はツンと結婚したい。だからまず同棲してお互いのこともっと知りたいんだ。」
( ^ω^)「ツンはこんな俺を受け入れてくれた。居酒屋で再開した時も最初こそ笑ってたけど俺の話ちゃんと聞いてくれた。」
( ^ω^)「デートで頼りないとこ見せても優しく微笑んでくれた。だからもっと君のことが知りたいんだ。」
( ^ω^)「俺はどんなツンでも受け入れるよ。」
ドヤ顔でこんなくさいセリフをよくもまあ言えたもんだ。
だがそんなセリフがうれしかった。
112
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:11:42 ID:MZTDFfO.0
ξ*゚⊿゚)ξ「まったくもう、急すぎない?」
( ^ω^)「人間思い立ったらすぐ行動が一番さ。」
( ^ω^)「もう時間だから仕事戻るよ。」
( ^ω^)「今の答えは今週の日曜日に聞きにくるよ。じゃぁまた。」
そう言い残してブーンは去って行った。
自分の部屋に戻ると師匠が待っていた。いけない、こっちの問題が残っていた。
●「よかったじゃないか、一緒に暮したらどうだ。」
●「彼はいざという時に君を守れる人間だよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「まったくなんでゴキブリ風情が人の恋色沙汰に首を突っ込むのよ。」
●「予定を変えるよ。日曜日に君の返事を聞いてからこの家を出ていくよ。」
●「だからちゃんと返事を考えてあげなさい。」
●「明日はちょっと遠出して次の住処を考えるからもう寝る。お休み。」
113
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:12:16 ID:MZTDFfO.0
そういって師匠は自分の寝床に消えていった。
今日はいろいろとありすぎたので頭が痛い。
私ももう寝よう。そう思い床につく。
だがなかなか眠れない。頭の中でいろいろな考えが浮かんでは消えていく。
どうしたものかな。
正直、ブーンのことは悩んでいない。そんなの『はい』一択だ考えるまでも無い。
問題は師匠だ。あのゴキブリどうでもいいことで悩んでやがって。
ただ考えるつもりはないのだが、勝手に師匠の半生を想像してしまう。
原因は師匠にもわからないが、突然自我に目覚めて人間の言語を習得してしまった。
だが周りの仲間たち(他のゴキブリ)はしゃべりかけても返事などしない。所詮はただのゴキブリだ。
ならば話し相手を求めて天敵である人間に話しかける。当然相手は化けものだと騒ぎ始める。
殺しにも来るだろう。中には私が今まで師匠に投げかけてきた嫌味など比にならないくらいの罵声を浴びせただろう。
それでも懲りずに自分を受け入れてくれる人を探したはずだ。
中にはゴキブリを受け入れるもの好きもいただろう。
でもそれは師匠が生きてきた無駄に長い時間で何人だ?
多くはいない。何年に一度とか何十年に一度とかそんなもんだったろう。
それだけ師匠は孤独な時間を過ごしてきた。
だから自分を受け入れてくれた人にはのべつ幕なしにしゃべり続けたのだろう。あのおしゃべりめ。
だから人の役に立とうと必死だったのだろう。ゴキブリの分際で余計なまねを。
だから新しい門出を邪魔しないためにそいつに恋人が出来ればそっと居なくなったのだろう。
本当は寂しくて辛い癖に。まったく世話の焼けるゴキブリだ。
これだから古臭い生き物は。言っただろう時代は変わる。いつまでも古臭い脳ミソをしてんなと。
師匠、あんたが心の底から新天地を求めて出ていくってんなら止めはしない。
でも出ていく理由が私の邪魔にならないため、なんて糞みたいな理由なら私はあんたを逃がさない。
人間を舐めんなよゴキブリ野郎。私の底力見せてやろうじゃない。
114
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:13:32 ID:MZTDFfO.0
今日は以上です。
いつもありがとうございます。
次の投稿で終わりの予定です。
115
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 16:19:31 ID:B80p39pc0
師匠……
116
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 17:47:24 ID:aBXg61Ag0
乙
117
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 19:51:16 ID:nTNKDaC20
ブーンがイケメンで安心した
しかし師匠はどうするのだろうか……
118
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 22:08:23 ID:BGEDuS020
乙
119
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 22:40:57 ID:Y8mEGYVg0
ショボンが哀れすぎる
120
:
名無しさん
:2018/07/14(土) 15:38:47 ID:53YYFqSY0
どうかショボにも幸あれ……
121
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:02:26 ID:ZHUvospA0
朝起きると、すでに師匠は出て行ったらしく私一人だった。
とはいえ返事を聞いてからと言っていたのだから今日は帰ってくるだろう。
だが時間はそんなにあるわけではない、今日は仕事中にも何かいい案がないか考えるか。
そう思いながら会社へと向かう。
仕事をしながら考えてもどっちつかずで仕事もいい案も浮かばない。
しまいには職場の仲間達から心あらずでどうしたの?と心配される始末だ。
ショボンの奴が今日は大事なプレゼンの日だけど大丈夫なの?とだいぶ取り乱していたが笑顔で親指を立てて任せろ!
とアピールしたらホッとしたのか自分の席へと戻っていった。
そう言えばプレゼンの発表って今日だったっけ?すっかり忘れていた。練習とかイメージトレーニングをした記憶がない。
……まあ、あんなものは勢いでごまかせば何とかなるだろう。今まで通りやればどうということはない。
そんなこんなで気づいたらお昼時間になっていた。しっかり食べて脳細胞を活性化させなければ。
122
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:02:51 ID:ZHUvospA0
川 ゚ -゚)「もう同棲なんて話が出てるのか!?だいぶ早いじゃないか。」
(*゚ー゚)「……。」
ξ゚⊿゚)ξ「本当びっくりしちゃうわ。」
川 ゚ -゚)「でももう返事は決まっているんだろ。」
ξ゚⊿゚)ξ「……まあね。」
川 ゚ -゚)「ヒュー!いよいよツンも結婚が見えてきたな。」
ξ゚⊿゚)ξ「まだ気が早いってもう。」
(*゚ー゚)「……うそよ。」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?」
(*゚ー゚)「なんでツンはもう同棲するのよ!私なんてまだギコ君の家にも上げさせてもらえてないのに!」
川 ;゚ -゚)ξ;゚⊿゚)ξ「おぉ……。」
しぃが癇癪を起こし始めた。初めて見る光景だった。
川 ;゚ -゚)「どうしたしぃ、急に声を荒げて?」
(*゚ー゚)「いい?私のギコ君はイケメンで大手銀行員で将来を約束された勝ち組なのよ!」
川 ;゚ -゚)「お、おぉ…」
123
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:03:15 ID:ZHUvospA0
(*゚ー゚)「でも家に上げてくれるどころか家の場所さえ教えてくれないし、デートの費用は全部私持ち出し!」
ξ;゚⊿゚)ξ「……。」
(*゚ー゚)「いつも私から遊びとか誘っても全然返事くれないのに、いつも突然向こうから誘ってくるし!」
(*゚ー゚)「何なのこの差は!」
川 ;゚ -゚)「きっと気難しい人なんだよ…」
ξ;゚⊿゚)ξ「そうよ忙しいからなかなかそこまで手が回らないのよ…」
(*゚ー゚)「とりあえず見てよ写メ!どうよこのイケメンで高身長でセンスありありな服!」
(,,゚Д゚)
見せてもらった写真には悪そうな顔をしているものの、モデルでもやっているのかというほどの人物が写っていた。
ξ゚⊿゚)ξ「マジイケメンじゃん!うらやま。うちのが豚に見えるんですが。」
(*゚ー゚)「でしょ!?イケメンでスタイルよくて話もうまいんだから!」
しぃは得意げに自慢し始めた。その顔には自信と勝ち組の余裕があった。
(*゚ー゚)「マジ完璧超人なんだからね!」
そう鼻高々にしているしぃの横で一人青ざめている人物がいた。
124
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:03:39 ID:ZHUvospA0
川 ;゚ -゚)「こ…こいつは……」
(*゚ー゚)「どうしたのクー?あまりにもイケメンすぎて惚れちゃった?」
川 ;゚ -゚)「最近一人で飲んでたらナンパしてきたやつだ。」
(;゚ー゚)「は???」
川 ;゚ -゚)「あんまりにもうるさいから連絡先だけ交換してそれ以降無視しまくりだが……。」
川 ;゚ -゚)「確かあの時は高級な美術品の販売員をしてるとか言ってたな。」
(;゚ー゚)「電話番号とか交換した?」
川 ;゚ -゚)「ああ。」
(*゚ー゚)「ちょっと貸して。」
そう言ってしぃはクーのスマホから電話をかける。どうやら彼氏の電話番号で間違いなかったようだ。
125
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:04:06 ID:ZHUvospA0
prrr
ガチャ
(,,゚Д゚)「クーちゃん、やっと電話くれたね!ずっと待ってたよ!やっぱ俺と会いたくなっちゃったでしょ?」
(*゚ー゚)「ねぇ私が誰だかわかる?」
(;゚Д゚)「!?」
(;゚Д゚)「あー、いやすまん、トソン。」
(;゚Д゚)「俺が女癖悪いの知ってるだろ?俺が愛してるのはお前だけだよトソン!」
(;゚Д゚)「これも結婚前の最後のお遊びだからさ!」
(*゚ー゚)「私しぃなんですが?」
(;゚Д゚)「……」
(,,゚Д゚)「ちッ、三分の一を外したか。」
その言葉を最後に電話が切られた。
(*゚ー゚)「……。」
川 ;゚ -゚)ξ;゚⊿゚)ξ「……。」
126
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:04:39 ID:ZHUvospA0
ξ;゚⊿゚)ξ「そ、そのうちいいことあるよ?」
川 ;゚ -゚)「そうそう、ダメ男と縁が切れたんだし良しとしなきゃ。」
(*゚ー゚)「私の勝ち組人生プランが……。」
(*゚ー゚)「仕方ないキープの公務員ジョルジュを本命に格上げするか。」
(*゚ー゚)「つまらない奴だけど、安定性と浮気の心配はないからね。」
川 ;゚ -゚)ξ;゚⊿゚)ξ「そ、それならよかったよ。」
友人の闇を見た気がした。しかしこれはいいヒントだ。
人間というものは誰でも大なり小なり嘘をつく。ならブーンも何とか嘘で師匠のことをごまかせないだろうか?
さてどう騙したものだろうか。そう考えているうちにプレゼンの時間になっていた。
(´・ω・`)「ツンさん、今日も前みたいにたのみましたよ!」
始まる直前、ショボンにそう言われた。あんた私を誰だと思っている。名前を言ってみろよそう返しておいた。
ξ゚⊿゚)ξ「えー、ではこれからわが部署のプレゼンを始めます。」
重役たちに見守られる中スタートする。出だしは我ながら上々の出来だったが、途中で手と口が止まる。
そうだ、師匠のサイズの着ぐるみを作って着せれば外見的な問題は解決できる!プレゼン中にアイデアが下りてきた。
それに私は神の使いであなた達のこれからのサポートをする使命を与えられましたなどと言わせれば……
ダメだ。ゴキブリにそんな役目されるなんて屈辱以外の何事でもない。それは却下だ。
だが着ぐるみの案はなかなかいいのでは?でも私、裁縫とかやったことないしな。
ならプラモみたいのでアイアンマンや平成仮面ライダーよろしくアーマーのように装着させればいいのでは?
男ならそういうもの好きでしょうに。これはなかなかいい案ではないか。今日は神でも降りてきたかな。
127
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:05:02 ID:ZHUvospA0
それは異様な光景だった。プレゼンの途中、突然止まったのかと思ったら独り言をぶつくさ言い始めるではないか。
時折ニヤリと笑いだしたと思えば険しい表情に戻る。
重役たちがいら立ちを隠せずにショボンをにらみつける。あたふたしていたショボンもたまらずにどもりながら、ツンさんと声をかけた。
一瞬、ハッとなったツンは小声で何してたんだっけ?と呟き、面倒になったのか以上ですとプレゼンを終わらせてしまった。
席に戻るときも険しそうに何かの考え事をして戻る。
重役たちはショボンの耳元で後で会議室に来たまえと囁く。当然ショボンはこの世の終わりだという顔になる。
夕方何故か知らないがずっと職場がざわついていたが、私は気にしないで帰宅。
仕事中あれこれ考えてみたが、所詮それは表面を綺麗に繕っているだけだと気付いた。中身のことを考えてみろ、ゴキブリだぞ。
どんなに上っ面だけよくしたところで中身がばれたらすべてが終わる。なんだこのおぞましいものは!となるだろう。
それは正直に話した時よりも恐ろしい結末になる。なぜなら嘘をついて恋人を裏切っていたのだから……
ならば正直に話せば――それでゴキブリを受け入れれる人間がどれだけいるというのだ。そんな単純な話ならこんなに悩んではいない。
この際ペットとしてゴキブリを飼っているというのは。考えるまでもなかったそんな人間存在しない。
結局考えがまとまらないうちに家にたどり着く。
家には師匠が帰ってきていた。どうやら次の住処のめどが立ったらしい。
ああそうとだけ返すとお互いに気まずい雰囲気が漂う。
このままだともうじきお別れだというのにギスギスし始めてしまった。
そのまま時間だけが過ぎてしまった。気づけばもう土曜の夜になっていた。結局いい考えは出なかった、どうしよう。
そんな折にブーンから電話が来た。明日のことについてだった。明日の昼間は仕事なので夕方、私の家を訪れるそうだ。
いよいよ時間がないなやばいぞ、そう焦り出した時に電話だがブーンは異変に気付いた。
128
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:05:26 ID:ZHUvospA0
( ^ω^)「どうしたツン?声に元気がないけど?」
ξ゚⊿゚)ξ「え?いやなんでもないよ。」
( ^ω^)「同棲のことならあんまり深く考えなくてもいいよ。いくらなんでも急すぎだしね。」
( ^ω^)「今すぐでもなくても、時間おいてからでもいいし。」
ξ゚⊿゚)ξ「それは全然悩んでないよ、むしろ今返事してあげよっか?」
(;^ω^)「そういうのは直接返事を聞きたいよ。」
ξ*゚⊿゚)ξ「フフフ、こだわるじゃない。」
( ^ω^)「そういうのは大切にしたいんだ。でも本当に悩み事があったら言ってくれ。」
( ^ω^)「頼りないかもしれないけど、全力で力になるよ。」
ξ*゚⊿゚)ξ「うん、ありがと。」
( ^ω^)「なによりツンが悩み事なんて似合わないからさ。」
ξ゚⊿゚)ξ「それどういう意味よ!」
129
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:05:51 ID:ZHUvospA0
(;^ω^)「いやちょっと気持ち悪いかもしれないけど、昔からツンのこと見てたらさ。」
( ^ω^)「どんなことがあっても堂々としてドンと構えてるツンに憧れてたよ。」
( ^ω^)「だから俺もそんなツンみたいになろうと、少しずつでもよわよわしい自分よ変えようとしたんだ。」
( ^ω^)「正直まだポンコツかもしれないけどね。だから今のツンはツンらしくないっていうか…」
( ^ω^)「そんなツンでも悩むほどのことがあるなら俺は力になりたいんだ。」
ξ*゚⊿゚)ξ「ブーン…」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫だって、大したことじゃないから。」
ξ゚⊿゚)ξ「でもちょっとブーンの力を借りるかもね。」
( ^ω^)「まかせろし!このブーン、ツンのためならこの命惜しくはない!ブーンを信じなさい!」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとwwwくさいのは体臭だけにしてよwww」
( ^ω^)「いくらなんでも臭すぎたwww」
130
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:06:15 ID:ZHUvospA0
それじゃ明日はよろしく、そう言って電話を切った。
自分じゃ頼りないとか言ってるくせに十分頼りになってるじゃない。
くだらないことで悩みすぎた。いつも自分で言っていたじゃない。私は誰だ!ツンだぞ!
なにを回りくどいことをしようとしていたのかあほらしい。
ブーンは私のこと何でも受け入れるって言ってくれた。信じろって言ってくれた。
なら今度は私がブーンを信じる番だ。お互いが信じ切れなきゃこの先やっていかれない。
私は私らしくやるだけなのだ。いつだってそうやってきただろう。直球勝負だ。余計なことは考える必要なんてない。
そんなやり取りの後、師匠が口を開いた。
●「いよいよ明日でお別れだなツン。最初君に会った時はどうなるかと思ったよ。」
どうやら最後にお互いの思い出に浸りながらお別れしたいらしい。
ξ゚⊿゚)ξ「本当ゴキブリって空気読まないわよね。」
ξ゚⊿゚)ξ「長生きしといてまったく空気読めないとか重症だぞ師匠。」
●「あ、いやすまなかった。ただ君とちゃんとお別れしとこうと思ってね。」
ξ゚⊿゚)ξ「私は疲れたからもう寝る。思い出に浸りたいんなら一匹でしてろ。」
●「そ、そうだねそうするよ。お休みツン。」
そう言ってから眠りにつく。
131
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:06:41 ID:ZHUvospA0
日曜日の朝、目が覚めると師匠が頻りに話しかけてくる。
ξ゚⊿゚)ξ「往生際が悪いのう。今日は貴様としゃべるつもりはまだない。」
そう一言で突き放す。師匠はだいぶしょんぼりしているようだ。
いろいろ言いあって考えが変わるのは避けたい。
その後はブーンが来るまでひたすら沈黙が続いた。
夕方、いよいよ約束の時間が迫ってきた。
( ^ω^)「ごめん、お待たせ。」
そう言ってブーンが家に入ってきた。自慢の肉料理をふるまい、先に食事を済ませてから本題に入る。
( ^ω^)「それじゃあ返事を聞きたいんだがどうですかねツンさん…。」
少し自信な無さげにブーンが返事を聞いてくる。
ξ゚⊿゚)ξ「もちろんOKよ。」
(*^ω^)「おっしゃぁああ!」
ブーンはガッツポーズをしながら叫んだ。満面の笑みである。
ξ゚⊿゚)ξ「ただちょっと条件がある。」
( ^ω^)「条件?なんだい?」
132
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:07:07 ID:ZHUvospA0
ξ゚⊿゚)ξ「同棲するならこの部屋にしない?ブーンのアパートって古くて場所もよくないじゃん。」
(;^ω^)「いや…その…」
ちょっと予想外のようだ。しかしブーンにも男としてのプライドがある。自分の女は自分の家で養いたい。
(;^ω^)「た、確かに俺の給料は安いからあんなオンボロアパートが精いっぱいでツンみたいに高給取りじゃないからこんないい部屋借りれないけど…」
( ^ω^)「でも住めば都だよ!いつか必ずここよりいい家をたtξ゚⊿゚)ξ「この部屋の家賃一万円なのよ。今度からブーンが払うようにすればそれでよくない?」
(;^ω^)「へ?一万?」
ブーンに衝撃が走る。それ俺のアパートより安くないか。事故物件か何かか?それに男としてのプライドが……
数秒考える。
( ^ω^)「いいねそうしよう!」
男のプライドなぞ糞食らえ。誰だって安くていい部屋に住みたい。当然だ。
●(どうやら話はまとまったようだね)
●(結局ちゃんとしたお別れはできなかったが遠くから君達の幸せを祈っているよ)
ξ゚⊿゚)ξ「それともい一つ。ブーンに会ってもらいたい奴がいるの。」
( ^ω^)「?」
133
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:07:38 ID:ZHUvospA0
会ってもらいたい人ではなく奴ということは人間以外か?
もしや猫でも買い始めたのかな?ブーンはそう考えた。それはブーンが無類の猫好きであるからだ。
人はいつも自分の都合の良いように物事を考える。
ξ゚⊿゚)ξ「出てこい師匠。まだいるんだろ?」
( ^ω^)(ししょう?珍しい名前を付けたもんだな。)
しかし師匠は一向に出てこない。
●(何を考えてるんだツンは!)
ξ#゚⊿゚)ξ「出て来いってんだろが!コラぁ!」
ドンッドンッ
思い切り床を足の裏でたたき始める。
(;^ω^)「おぉ!?」
あまりの豹変ぶりにブーンが驚く。
構わず怒鳴り散らかすツン。
●(このままじゃまずいだろ)
カサカサッ
観念して師匠が出てきた。
134
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:08:11 ID:ZHUvospA0
(;^ω^)「ひぃっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「たく普段はすばしっこいのにこういう時はちんたらしやがって。」
ξ゚⊿゚)ξ「ほれ、私にしたようにブーンにも自己紹介しろよ。」
(;^ω^)「???」
まったく状況を呑み込めないブーン。ツンと師匠を交互に見ている。
●「しかしだよツン、絶対にまずいと思うよ私は。」
(;゚ω゚)「ふぁっ?!」
ブーンが完全に停止した。若干震えていた体はピタリと止まる。
●「や、やあブーン君。」
一応にこりと挨拶する師匠。
少しの間沈黙が続く。
(;゚ω゚)「ちょっと顔洗ってくる。」
そう言ってブーンは洗面所に向かい顔を勢いよく洗う。
( ^ω^)「いやぁ失敬失敬、一瞬幻聴が聞こえてね。」
( ^ω^)「それでなんだっけ?」
完全に今あったことを無かったことにしていた。現実逃避。時には必要なことだ。
135
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:09:03 ID:ZHUvospA0
●「実は君と会うには二回目なんだが覚えているかい?君が初めてこの部屋に来た時のゴキブリが私だよ。」
(;゚ω゚)「ああああああ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン大丈夫?ちょっと変なだけのゴキブリだから危なくはないよ。」
ξ#゚⊿゚)ξ「おい師匠!もう少しオブラートにできないの!」
●「これが普通の反応だよツン。」
●「では改めましてブーン君。私はちょっと変わったゴキブリさ。」
●「私のことは師匠と呼んでくれ。」
●「妖怪でいう猫又のゴキブリ版みたいなものだと思ってくればいいよ。」
(;゚ω゚)「夢だこれは夢なんだ。」
ξ;゚⊿゚)ξ「これは現実よ!気を確かに持って!」
( ^ω^)「ならツン!俺を殴ってくれ!それでわかるはずだ!」
( ^皿^)「さあ来い!」
歯を思いっきり食いしばる。
136
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:09:36 ID:ZHUvospA0
ξ゚⊿゚)ξ「わかったわ。任せて!」
全身を力を顔面に集中させて衝撃に備え、ツンの前に自分の顔を差し出す。
ξ#゚⊿゚)ξ「オラァ!」
ツン渾身のボディーブローがブーンの腹に突き刺さる。
(;゚ω゚)「おごぉ!?」
その場に崩れ落ちる。すさまじい衝撃がブーンを襲った。
自分は死んだのか?そう思えるほどの威力だった。
すぐさまに痛みがブーンを駆け巡る。
痛い。そうだこれは痛みだ。俺は生きている。痛みによって自分の生を実感した。
( ;ω;)「生きている。俺は生きているぞぉ!」
今までの人生でこんなにも生きていることを実感したことはない。
( ^ω^)「いや違う、そうじゃない。」
夢かどうかの話だった。生きているかどうかの話ではない。
ξ゚⊿゚)ξ「え?!今の弱かった?もう一発いく?」
(;゚ω゚)「ちが!それもっと違う!」
ξ#゚⊿゚)ξ「オラァ!」
137
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:10:07 ID:ZHUvospA0
情け容赦ないツンの渾身のボディーブローがブーンの腹に突き刺さる。
(;゚ω゚)「あばぁ!」
●「君は恋人を殺す気なのか!?」
ξ゚⊿゚)ξ「失敬な!ちゃんと加減していますぅ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ほらねブーン、夢じゃないでしょ。」
(;゚ω゚)「そ、そうだねこれ現実だね。」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンが驚くのはわかるよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「それにこの気持ち悪いゴキブリをどこぞの研究機関に売り払いたい気持ちもわかる。」
ξ゚⊿゚)ξ「でも待って。そうして手に入れたものはこの世のお金で中で最も汚い。」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリ並みに汚いお金よ!そんなの使いたい?」
(;゚ω゚)「いやそんな気は全く。」
ξ゚⊿゚)ξ「そう、ならよかった。」
138
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:10:35 ID:ZHUvospA0
●「ブーン君驚かせて悪かったね。でも大丈夫だよ。これで私はこの家から出ていくから。」
ξ゚⊿゚)ξ「待て。誰が出て行っていいって言ったよ?」
●「いいかいツン!私は君のためを思って行動してるんだよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「やかましい!いつも上から目線でしゃべりやがって!地べたにはいつくばってるくせに!」
ξ#゚⊿゚)ξ9m「今この場で上から物を言っているのは誰だ!」
ξ#゚⊿゚)ξ9m「テメーを見下しながらしゃべってんのは誰だ!」
ξ゚⊿゚)ξ「そもそもゴキブリの立ち位置ってわかってんのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「人間様を天井とするとよぉ。」
そう言って天井を指さす。
ξ#゚⊿゚)ξp「テメーらゴキブリはマントルくらい下なんだよ!」
今度は親指で床を指す。
●「気分を害したというなら謝るよ。ごめん。でも私は君に幸せになってもらいたいから…」
ξ゚⊿゚)ξ「まだわからんか!テメーは所詮私の父さんの少し上、弟ドクオの少し下程度でしかないんだよ!」
(;゚ω゚)(それはあのゴキブリが人間の最下層レベルなのかツンのオヤジさんと弟君がゴキブリレベルなのか)
139
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:11:07 ID:ZHUvospA0
ξ#゚⊿゚)ξ9m「私たち人間はゴキブリに対して殺そうが何しようが許される立場。お前らは一方的にされるがままなんだよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「故に私たちは貴様らからしたら神に等しい存在。どうだ私はあんたにとってどんな存在だ!言ってみろ!」
●「か、神様です。」
ξ#゚⊿゚)ξ9m「誰がゴキブリごときの神じゃ!なんだゴキブリの神って!この世でもっともおぞましい神だぞそんなもの!」
●「もう少し穏やかにしないと…彼氏さんドン引きしちゃうよ?」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫だよブーン。私はあなたに乱暴な言葉は使わないから。」
天使のように微笑みながらブーンにそう告げる。しかしそれとは裏腹にブーンは悟った。
( ^ω^)(これ機嫌が悪い時に俺にも来るやつだ)
ξ゚⊿゚)ξ「要するにお前たちからしたら神に近い存在がここに残れって言ってんだよ!」
●「そんなの無理に決まってるじゃないか…受け入れてもらえないよ…」
ξ#゚⊿゚)ξ9m「だから!テメーごときが悲劇のヒロインぶるんじゃねぇ!」
ξ#゚⊿゚)ξ9m「前に言ったよな鏡見ろって!今すぐ見てこいや!」
ξ゚⊿゚)ξ「現実を受け入れろ。そこにどんな不細工で悍ましくて汚らしい生物がいるかを。」
ξ゚⊿゚)ξ「誰がそんなものをヒロインだと思うよ。誰がそんなもんに同情するよ。」
●「自分でもわかってるさ!自分たちが人間からどう思われてるかなんて!」
140
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:11:40 ID:ZHUvospA0
ξ#゚⊿゚)ξ9m「いい加減分かれ!この私が師匠あんたに出て行ってほしくないから残れって言ってんだよ!」
●「!」
ξ゚⊿゚)ξ「それが私の本音!だから師匠あんたはどうなんだよ!本音を言えよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「それであんたが出ていきたいってんなら止めない。だから外見通りの汚い建前はいらねえ。あんたの本心を聞きたいんだよ!」
●「私の…本心……」
そんなの決まっている。ずっと一緒にいたいさ。
でもそれが無理なことも私は知ってる。
今でも覚えている昔の出来事。
私が初めて打ち解けられた人間ビコーズとの出会いだ。
彼は人間たちの基準で言えば不細工な顔というものだったのだろう。やることもとろくていじめられていたようだ。
でも彼は人一倍優しい心の持ち主だった。当時まだ人間の言葉がしゃべれるようになったばかりの私は今ほどの生存能力はなかった。
天敵に襲われかろうじて逃げ延びていたが、だいぶ弱っていたのだ。
そんな私をビコーズは助けてくれた。そして友達になった。それからは幸せな日々だった。
そんなある日ビコーズが私のことを他の村人たちに紹介しようとあちらこちらで私の話をしたのだ。それがいけなかった。
村人たちはビコーズを化け物の仲間だとして殺してしまったのだ。
私のせいだ。私と出会わなければこんなことには……
ひたすら自分を責めた。
それからは一匹で生きようと何十年かさまよった。だが寂しさには勝てなかった。
141
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:12:07 ID:ZHUvospA0
それからデレという美しい女性と出会った。まさしく慈愛の女神といえる人だった。
彼女といるととても癒された。
彼女と出会って数か月、デレにも恋人ができたのだ。
その彼もとてもやさしい人だった。そんな彼にデレは私を紹介した。
化け物!そう言って彼は二度とデレの前には姿を現さなかった。
デレは気にしないでと言ってくれたが、あの悲しそうな眼は忘れることができなかった。
だからデレに次の恋人ができたときに私はひっそりと姿を消した。
フィレンクトが念願だったケーキ屋をオープンさせたときっも、一緒になって自慢のケーキ開発を手伝った。
でも店の人気や知名度が上がってくるとそっとフィレンクトのもとを後にした。
あの店はゴキブリと一緒になってケーキを作ってるなんて噂が立たぬよう。
モララーは自分に自信のない奴だった。だから一緒に資料作成など手伝った。そのうちに自信を持つようになった。
自信が出てからはあっという間に出世していった。もう私は必要ないね。君に必要なのは人間の仲間だよ。
今までそうやって私は生きてきた。
人間の役に立つのは光栄なことだ。一緒にいて楽しいし幸せだと感じる。
でもずっとはいられない。私と一緒にいても彼らは人間にとっての一番の幸せは得られない。
人間は人間同士で幸せをつかみ取るものだ。それはわかっているつもりだった。
一人で生きているのは寂しい、辛い、苦しい、怖い。
誰かと楽しくおしゃべりしたい。楽しい思い出を作りたい。ゴキブリだって幸せになりたいんだ。
だがそれはこんな私と友達になってくれた人間たちを不幸にしてまで願っていいものではない。
だから今までそうしてきたんだ。それはこれからも――
でもそれはツンの言う通りだ。そうやって建前を作って人間たちに嫌われないようにしているだけなんだ。
本当はこのまま一緒にいたい。寂しい思いなんてもうごめんだ。
142
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:12:40 ID:ZHUvospA0
●「一緒に…いたいさ……」
●「本当はどこにも行きたくない!」
●「でもそうはいかないだろ人間とゴキブリなんて!」
●「!?」
師匠は気づいた。ツンが笑っているのに。
今まで鬼のような形相はいっぱい見てきたが、こんな優しく微笑んでいるツンは初めて見た。
ξ゚⊿゚)ξ「まったくほら見なさい。それがあんたの本音ね。」
ξ゚⊿゚)ξ「外見だけじゃなくて中身もどす黒い欲望まみれじゃん。」
●「でも私が本音を言ったところで……」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ。ブーンを信じて。」
(;^ω^)「!?」
ブーンからしたらまったくもって予想できなかった展開である。
今日はツンの返事を聞きに来たはずなのに気づいたら自分が選択を迫られている。
そしてその内容がゴキブリと一緒に住もうというものだ。
こんな展開誰が予想できるのか。
正直ゴキブリと生活なんて『No』としか……
143
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:13:06 ID:ZHUvospA0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは言ってくれた。どんな私も受け入れてくれるって。俺を信じろって。」
ξ゚⊿゚)ξ「だから私はありのままの自分をさらけ出した。」
ξ゚⊿゚)ξ「今度は私がブーンを受け入れる番。」
ξ゚⊿゚)ξ「無理なら無理でいいんだよブーン。そしたら私は師匠をあきらめる。」
●「ああ、私もそれで大丈夫だ。君の答えを受け入れるよ。」
(;^ω^)「そ、そんなん、む……」
ごめんそんなん無理だって。
(;^ω^)「む……むr
ガブッ
思いっきりブーンが自分の舌をかんだ。とは言え舌がかみ切れるほどではない。それでも血が出てきた。
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ!大丈夫?」
144
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:13:45 ID:ZHUvospA0
(;^ω^)「なあにこれくらい!」
( ^ω^)「それに忘れたのかツン、俺は誰だい?」
( ^ω^)b「内藤ブーンだぞ!」キリッ
( ^ω^)「ゴキブリの一匹や二匹……」
(;^ω^)「一匹くらいなら…ら、らくしょ……ギリギリ大丈夫かな?」
なんとも閉まらない返事だ。
でも危なかった。危うく昔の自分に戻るところだった。
ツンはありのままの自分を見せてくれた。日和って無理だって言う俺を受け入れるって言ってくれた。
なのに俺がそんなツンを受け入れないでどうするんだ。男に二言はない。
それに男はいつだってやせ我慢だろ!
ξ*゚⊿゚)ξ「まったくブーンらしい返事ね。」
膝が笑っているブーンに対して言う。その顔は嬉しそうだ。
●「本当にいいのかいブーン君?」
( ^ω^)「ええっと師匠だっけ?よろしく。」
そいって握手よろしく手を伸ばすブーン。
145
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:14:15 ID:ZHUvospA0
●「!」
●「ああ!よろしくブーン君!」
カサッ
師匠も足一本を延ばす。それをブーンが人差し指と親指でつまむ。
( ゚ω。)「お……」
●「まさかブーン君も私を受け入れてくれるなんて本当にありがとう……ブーン君?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!」
( ゚ω。)「」
●「し…死んでる…」
いきなりゴキブリとの接触は早すぎたようだ。
( ^ω^)「いやぁ、一瞬三途の川が見えたよはっきり。」
ξ#゚⊿゚)ξ「いいこと師匠!今後ブーンの半径二メートル以内に入らないこと!」
●「はい。肝に銘じておきます。」
146
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:14:45 ID:ZHUvospA0
( ^ω^)「まあでもたまに二人だけの時間をくれたら全然問題ないよな。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ、そういう時は下の部屋にでもご厄介になってきなさいよ。」
●「そうさせてもらうよ。」
(;´・ω・`)(なんだろ突然寒気がしてきたぞ)
(;´-ω-`)(まあ僕の人生なんて碌なもんじゃないからな)
(´・ω・`)(どうせよくないことが起きるんだそうに決まっている)
この後ショボンのもとに謎のしゃべるゴキブリが現れ一人と一匹で出世街道を上がっていき、社長にまで登り詰める。
更には世界で有数企業にまで発展させるとは誰も知る由もなかった。
●「まったく出会った時から思ってはいたけど、君は本当にすごいお嬢さんだったよツン。」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたは本当に面倒なゴキブリだったよ師匠。」
●「でもこれからもよろしくツン!」
ξ^⊿^)ξ「ああ!よろしくな師匠!」
こうして一人と一匹の物語は終わりを迎えた。
それは同時に二人と一匹の物語の始まりでもあった。
そしてそれはいずれ三人と一匹になっていくことでしょう。
ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです
おわり
147
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 01:18:46 ID:ZHUvospA0
以上で終わりとなります。
初めての投稿で、誤字脱字があったと思います。
他にもおかしな点があったと思いますが、皆様に応援いただいて何とか完結できました。
本当にありがとうございました。
また何かアイデアがひらめいたら投稿したいと思います。
148
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 02:37:20 ID:bP5h18vE0
ショボンが突然もの凄い救済をうけててワロタ
149
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 02:37:46 ID:bP5h18vE0
面白かったぞ乙
150
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 02:46:18 ID:vzO4RF0Q0
夏?らしくて良いな!!
さてコンバットとブラックキャップ買ってくるか
151
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 03:19:06 ID:ZuVTQtTg0
ショボンが報われて良かった!
152
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 06:07:20 ID:ChFb0gxs0
乙でした!
ブーンが最後まで心イケメンで良かった
153
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 08:46:58 ID:Yi4pfvcY0
面白かった!乙
154
:
名無しさん
:2018/07/27(金) 20:43:41 ID:1RnV3Xxo0
最後までテンポが落ちずに読後感も実に爽快
素晴らしかった!
155
:
名無しさん
:2018/07/28(土) 09:01:12 ID:vv8L63820
なんだこの爽やかさwwwww乙
156
:
名無しさん
:2018/07/31(火) 05:12:29 ID:.4lF88qM0
おつ ツンとG師匠イケメンすぎ
157
:
名無しさん
:2018/07/31(火) 12:54:27 ID:l7O6.iAk0
ショボン………
良かったなー
乙だぜ!
158
:
名無しさん
:2018/08/06(月) 00:55:48 ID:DHpit5yw0
滅茶苦茶良かった!
G師匠が過去の人間達を回想する所好き
乙!
159
:
名無しさん
:2018/08/30(木) 03:01:49 ID:I.Nibk5w0
名作をありがとう
https://i.imgur.com/PtJsG7h.png
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