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ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです
1
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:16:14 ID:c7W46wXw0
これは1人と一匹の物語
今も虫は嫌いだ。昔は大嫌いだった。とりわけ「それ」は死ぬほど嫌いだった。
小さい頃「それ」は恐怖の象徴だった。遭遇したら恐怖で震え上がり、体が動かなくなるほどだった。
そんな私に人生の転機が訪れたのは小学校五年生の夏だった。
夏休み前のある日学校から帰ると、弟のドクオが私のとっておいたプリンを食べていた。
怒った私はドクオをボコボコにしてやった。
その後私は不機嫌ながらもリビングのテレビをつけソファーに腰を掛けながら「ありえない」「人間としておかしい」などとぶつくさ独り言を言っていた。
ドクオはというと私から少し離れた所で涙目になりながら椅子に座りテーブルに置いたままになっている自分が食べてしまったプリンの容器をじっと見つめていた。
それからほどなくしてドクオが席を立ちトイレのほうへと向かっていった。
「あっ!」と言うドクオの驚きの声がしたので何事かと私もトイレに向かった。
するとトイレの前で固まったまま動かなくなっているドクオを見つけた。
そしてよく見るとトイレのドアの前に「それ」はいた。
ξ;゚⊿゚)ξ「……!」
私も恐怖のあまり体が動かなかったが、今は別にトイレには用がないのでゆっくりあとずさりしようとした。その時だった。
(;A;)
2
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:16:59 ID:c7W46wXw0
ついさっき私に怒られボコられ散々な目にあい、ついにはトイレに行こうとたら「それ」と遭遇してしまった哀れなドクオの顔が目についた。
彼は足を震わせながら必死に恐怖と尿意に耐えていた。しかし、涙目だった目からは涙がこぼれていた。
正直怒られたりしたのはドクオのせいだしご愁傷様と思ったが、もしこのまま私がドクオを見捨てたら……
彼は毎年夏が来るたびに思い出すことになる、小学校一年の頃姉にはボコボコにされゴキブリが怖くてトイレに入れず漏らしてしまったと。
そんな惨めな思いは自分の弟にはさせられない、私が助けてやる!そう強く思った。
思ったと同時に体が動いた。リビングに行き新聞紙を丸め右手に持つとと勢いよく「それ」に向かって振り下ろす。
バシンッ
しかし簡単に避けられてしまった。
それでも何度も振り下ろす。
ξ゚⊿゚)ξ「うおおお」
気づけば無我夢中で叫んでいた。
新聞紙の猛攻から余裕の表情で逃れていた「それ」は悠々と私の左側から逃げようとした。
その時自分でも意識せずに反射で左手が動いた。
バンッ
べチョ
左手の手のひらに気持ち悪い感触が……
ξ;⊿;)ξ「お…おぉ…」
私は泣きながら立ち上げり洗面所へと向かった。
3
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:17:30 ID:c7W46wXw0
夕方両親が仕事から帰り家族四人そろって晩御飯を食べている時にドクオがその時の様子を興奮気味に語った。
(*'A`)「その時ね、姉ちゃんがこうバンバンとこうやって。」
J( 'ー`)し「あらあらそれはよかったわねえ。」
( ´∀`)「ドクオには強いお姉ちゃんがいてうらやましいな。」
ξ*゚⊿゚)ξ「べ、別にあんたのためにやったんじゃないんだからね!」
かなり無理をしたがドクオが元気ならそれでいいそう思った。
それが最初のきっかけだった。それからはそんなに時間はかからなかった。
その事件があった週の土曜日の昼頃、そろそろお昼ご飯かなと部屋でくつろいでいた時に
「ぎゃあああ」
という母さんの悲鳴が聞こえた後
「ツンこっちきてぇえ」
母さんの叫びが聞こえた。
慌てて自分の部屋を飛び出しキッチンへと向かう。
腰を抜かした母さんが「それ」を指さし早くやって!と叫び続けている。
ξ;゚⊿゚)ξ「え?」
あの時は無我夢中だったから勢いでできたが正直いまだに怖いのである。
J(; 'ー`)し「ツン早く!あなたならできるでしょ!」
4
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:17:59 ID:c7W46wXw0
うちの家族はみんな虫……とりわけ「それ」がダメだった。
しかたなしにまた新聞紙を丸め応戦してみる。
今回は腰が引けておっかなびっくりであった。
「それ」はそんな私の攻撃を欠伸が出るぜと言わんばかりにかいくぐり私の足元を抜けていこうとした。
ξ;゚⊿゚)ξ「ヒッ」
自分の方に突っ込んでくるものだから思わず一歩下がってしまった。
ぐちゃっ
ξ;⊿;)ξ「あ……」
タイミングが良いのか悪いのか下がった足で踏みつぶしたのだ。
足の裏にまたあの感触が……
J(; 'ー`)し「あ、ありがとうツン。今日はツンの晩御飯はツンの好きなのでいいわよ。」
5
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:18:28 ID:c7W46wXw0
その日の夕飯はカレー、寿司、ラーメンの三点セットだった。
( ´∀`)「くぷぷぷ」
晩御飯の時の父さんはいつになく上機嫌だった。
( ´∀`)「いやあ今日用事さえなければゴキブリ相手に腰を抜かした母さんが見れたのにな。」
J(;'ー`)し「もういいでしょその話は。」
( ´∀`)「いやいやそんな傑作な話はなかなかないよ。くぷぷぷ」
普段母さんの尻に敷かれている父さんは珍しく強気だ。
( ´∀`)「いい年こいた大人が自分の娘に助けを求めるとはね。」
J(;'ー`)し「父さんだってゴキブリはダメでしょ!」
( ´∀`)「いやいや、男というものはそういう場面で真価を発揮するんだよ母さん。」
( ´∀`)「俺だったらババっと仕留めちゃうね。」
( ´∀`)「腰抜かして慌てふためくなんて。」
( ´∀`)「少なくもツンに助けを求めるなんて無様なマネ俺はしないなあ。」
( ´∀`)「くぷぷぷ」
まるでこの家のヒエラルキートップはこの俺だ!と言わんばかりの父さんを見たのは後にも先のもこの時だけだった。
終焉の訪れは早い。
6
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:19:00 ID:c7W46wXw0
次の日、私と母さんとドクオの三人でデパートにショッピングをしに行き、夕方うちの帰りつくとそこには哀れな父さんの姿が……
(;´∀`)「た、た助けて……助けてくだしゃい……」
窓枠に足をかけカーテンレールやエアコンにつかまり床にいる「それ」から少しでも距離を取ろうとあがく父さんを三人は呆然と見ていた。
ξ゚⊿゚)ξ「……。」
もう怖くもなんともなかった。スッと近づくと片手でバンッと一撃で潰しておしまいだった。
そのまま何事もなかったように洗面所で手を洗うと
ξ゚⊿゚)ξ「母さん晩御飯作るの手伝うよ。」
('A`)「あ、ボクも手伝いやりたい。」
J( 'ー`)し「ふふふ、ありがとう二人とも。」
そうして三人で何事はなかったかのようにご飯を作り始めた。
(;´∀`)「あ…うん……」
(;´∀`)「今日は調子悪かったからかな。」
(;´∀`)「いや昨日の疲れがひどいせいだな。」
(;´∀`)「そういうことなんだよみんな。」
父さんのヒエラルキーはもろくも崩れ去った。
7
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:19:24 ID:c7W46wXw0
そのころから私にとって虫……「それ」は恐れなどからくる大嫌いからただ鬱陶しい、うざいだけの嫌いになった。
それからというものうちでは虫が出たら私が駆除する役目になった。
それは学校でも
登山
川;゚ -゚)「アアァ!ツンツンツン!虫ムシむしがぁ!」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、こんなん片手でとって潰してポイよ。」
部活の合宿
ノハ;゚⊿゚)「へ、ヘルプミーマイフレンド!足がいっぱいある虫がおるよぉ」
ξ゚⊿゚)ξ「踏みつぶして終わりよこの程度。」
授業中
(;^ω^)「窓から変な虫が入ってきたお!」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわね。」
パンッ
両手で潰して死骸を外に投げ捨てた。
(;^ω^)「お、おぅ」
あれ以来私は何事にも動じず落ち着いて物事に対処できるようになっていた。
8
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:19:51 ID:c7W46wXw0
そんな私にも大学時代恋人ができた。
( ゚∋゚)「ごめん、待った?」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、私も今ついたとこだから。」
クックル君。高校時代はそこそこ強い野球部でキャプテンをしていて大学でも野球をしている。
体は大きくがっしりしていて顔もこわもてだ。そのうえ常に坊主頭にしている。
外見を見れば怖い人だが性格はすごく優しいのだ。
ファミレスのドリンクバーで子供がふざけて遊んでいて誤ってアツアツのスープをかけられた時も
( ゚∋゚)「大丈夫?怪我とかない?」
( ゚∋゚)「あ、俺は大丈夫ですよこれくらい。Tシャツも安物なので弁償といいいですよお母さん。」
( ゚∋゚)「こういうとこで遊んでいると危ないからこれからは気を付けるんだよ。」
と優しく声をかけていた。それ以外でも困っている人がいれば率先して声をかけ、喧嘩があれば持ち前のパワーを生かし、仲裁に入り場をなだめたりしていた。
本当にいい人に出会えたと私は思っていた。本当に大好きだった。
でもことは突然訪れる。
9
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:20:20 ID:c7W46wXw0
prrr
ξ゚⊿゚)ξ「はいもしもし」
(;゚∋゚)「ごめんツン、バイトまでまだ時間あるよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「あるけどどうしたの?」
(;゚∋゚)「お願いなんだけど殺虫剤うちまで持ってきてもらっていい?」
ξ゚⊿゚)ξ「ふふふ、いいよまっててー。」
(;゚∋゚)「ありがとー助かる。」
顔に似合わずかわいいとこあるじゃない。
でも殺虫剤なんかいらない。たまには私のかっこいいとこ見せてあげる――そう思った。
10
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:20:51 ID:c7W46wXw0
クックル君の部屋のドアを開け、「大丈夫?私が来たよー」と言って中に入る。
中に入ってみると部屋の隅にあるベットの上に立ちなるべく「それ」と距離を取りながら固まっているクックル君の姿があった。
なんだか昔見た父さんの姿を思い浮かべた。
(;゚∋゚)「あ、ありがとうツン。は、早く殺虫剤を。」
そういう彼をしり目に私は「それ」にスッと近寄りいつものようにワンパンで仕留める。
(;゚∋゚)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、これくらい私にかかれば朝飯前よ!」
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃバイトいってくるね。」
そう言い残して私はその場を後にし、バイトに向かった。
(;゚∋゚)「……。」
大学の講義が終わった平日の夕方と土日はレストランでバイトをしていた。
なかなか繁盛している店で平日でも後片付けを終える頃には夜遅くになってしまう。
その日も片付け終えた頃には11時を過ぎていた。
着替えを終えてさあ帰ろうかという時にクックル君から一通のメールが届いた。
「別れよう」
11
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:21:16 ID:c7W46wXw0
たった一言書いたメールを読んで少し悩んだ。
彼は冗談でそういうことを言ったりする人間ではないからである。
なら友達が――そんなの彼が許すはずない。
prrr
急いで電話をかけてみる。
( ゚∋゚)「すまないツン。」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?ちょっとなに急に!」
ξ;゚⊿゚)ξ「本気なの?」
ξ;゚⊿゚)ξ「私何かした?」
( ゚∋゚)「いやちょっと……」
少し沈黙したの後、彼は続けた。
( ゚∋゚)「虫を素手で潰せる女の人はちょっと」
ξ゚⊿゚)ξ「Oh…」
そうして私の初めての恋は終わった。
12
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:21:41 ID:c7W46wXw0
それから私は大学を卒業してそこそこいい会社に入社した。
会社に勤め始めてから一年半ほどで念願の一人暮らしを始めた。
最寄りの駅から徒歩5分オートロックで1LDK、出来てまだ1年ほどしかたっていないマンションだ。
('A`)「いいな姉ちゃん、こんないい部屋借りれて。」
引越しの荷物を運びを終えてドクオが言った。
( ´∀`)「家もこんくらい立派なもんに立て直してもらいたいな。どうだドクオ?」
('A`)「おう!親父の遺産が入ったらそうするよ。」
(;´∀`)「おま…」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、やること終わったら早く帰ってよ。」
(;´∀`)(;'A`)「いや僕ら今日だいぶ頑張ったんですが!」
(;'A`)「こう労いの言葉とかねぇ。」
(;´∀`)「そうそう。」
13
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:22:10 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「私は一分一秒でも早く一人暮らしがしたいの。なぜわからない?」
ξ゚⊿゚)ξ「虫が出れば金玉ついてんのにわれ先に私に助けを求めてくる根性なしがいるし。」
ξ゚⊿゚)ξ「その玉は偽物か!」
ξ゚⊿゚)ξ「加齢臭のきついおっさんはいるし。」
ξ゚⊿゚)ξ「それとその頭ぁ!ハゲてんのバレてんだよ!むさいカツラかぶってんじゃねぇ鬱陶しい!」
ξ゚⊿゚)ξ「夜は隣の部屋から○○たんサイコー?やはり今期は○○が覇権ですな!とかキモイ声が聞こえるし。」
ξ゚⊿゚)ξ「TENGA使って一人で喘いでんもの全部聞こえてんだよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「だから私はずっと一人暮らしを計画してたわけ。」
( ´∀`)('A`)「」
J( 'ー`)し「でも大丈夫?母さん心配よ。」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫だって。そこの二人と違ってご飯作れるし掃除洗濯もやってたでしょ。」
J( 'ー`)し「そういう心配じゃなくてこの部屋で本当に大丈夫なの?」
母さんが心配するのは訳がある。
この部屋の家賃はたったの1万円なのだ。
いくら何でも安すぎる。
14
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:22:39 ID:c7W46wXw0
J( 'ー`)し「絶対何かあるわこんなに安いのは。」
ξ゚⊿゚)ξ「調べたけどここで自殺とかあったわけでもないし幽霊が出るとかも聞かないから大丈夫でしょ。」
J( 'ー`)し「それでこの安さは怪しいと思うのだけど母さんは。」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、何が出ようが私は怖くないね。」
J( 'ー`)し「でも何かあったら連絡しなさいよ。すぐに駆けつけるから。」
ξ゚⊿゚)ξ「うん、ありがとう母さん。」
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあ愚かな弟よ母さんを頼むぞ。あとついでにそこのロートルも。」
( ´∀`)('A`)「……」
そうして家族は帰っていった。
一人になり部屋に静けさが訪れる。
やはり一仕事終えるとだいぶ疲れる。明日は仕事だし早く寝るかな。そう思っている矢先だった。
15
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:23:02 ID:c7W46wXw0
カサッ
カサカサッ
おいおいどっから入ってきた。
それとも荷物に紛れ込んでいたのか?
まあいい、寝る前に一仕事するか。
ゆっくり腰を上げて周りを見渡す。
カサカサッ
ピタッ
標的を見つけた。
向こうもこちらをじっと見ている。
やることはいつもと変わらない。
勝負は一発で決める。一発だ。
「それ」が動くより先に渾身の右をぶちかます。
そういつもの通りに。
バンッ
右の手のひらと床がランデブーした。だが……
ξ゚⊿゚)ξ(む…外したか)
16
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:23:29 ID:c7W46wXw0
なかなかやるじゃない。
久しぶりにちょっと本気を出すかな。
そう思いながら「それ」ともう一度目を合わす。
今度は前傾の姿勢を取りながら構える。
これで終わりだ。そう思いながら思いながら動こうとした瞬間だった。
●「素手でくるとは中々勇ましいお嬢さんだな。」
ξ゚⊿゚)ξ「!」
「それ」がしゃべった。
だがそんなことはどうでもいい。たとえ「それ」がしゃべろうがなんだろうがやることは変わらない。
さっきより速いスピードで右を叩き込む。
バンッ
●「あぶな!」
当たらない
なら当たるまで何度でも
バンバンバンッ
17
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:23:57 ID:c7W46wXw0
●「いやちょっと待って!いったん落ち着こうよ!」
カサカサッ
バンバンバンッ
●「これは穏やかじゃないね。」
ξ゚⊿゚)ξ「貴様何者だ!」
●「私か?私はちょっと変わったゴキブリさ。」
●「私のことは師sh――
バシンッ
●「ちょっと危ないって!」
ξ゚⊿゚)ξ「ちっかわしたか。」
●「えぇこわ…。」
●「こんな穏やかじゃない人間は初めてだよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリ風情がなに人様の言語使ってるんだよ。」
バンッ
●「お願いだから自己紹介させて。」
18
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:24:24 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ(こいつはかなりやるようだな。少し好きにさせて様子を見るか。)
ξ゚⊿゚)ξ(だがこいつがこの部屋を1万円に至らしめた原因なのは間違いない。)
●「さっきも言ったが私はちょっと変わったゴキブリさ。」
●「私のことは師匠と呼んでくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「おいおいテメー頭脳が間抜けか?ゴキブリはしゃべらねーだろうがよ。」
●「だからちょっと変わったって言ってるじゃないか。」
●「妖怪でいう猫又のゴキブリ版みたいなものかな?こう見えてすごい長生きしてるんでね。」
ξ゚⊿゚)ξ「猫又なんて実在しねーよ。何言ってんだテメー。」
●「なかなか攻撃的なお嬢さんだな君は。」
●「しかしそれはいけないな。女性というものはもっと淑やかじゃないと。」
ξ゚⊿゚)ξ「古臭いこと言いやがって、人間様に説教とはいい度胸じゃねえか。」
●「どうどう、なぜ私が君の前に姿を現したか知りたくはないかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「ほう、言うてみい。」
19
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:24:51 ID:c7W46wXw0
●「まあなんというか。」
●「そのな。」
●「私は君と……」
●「そ、その…と、友達になりたいんだ!」ポッ
ξ゚⊿゚)ξ「あぁん?」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
ξ゚⊿゚)ξ「そうかそうか。」
ξ゚⊿゚)ξ「友達になりたいか。」
ξ゚⊿゚)ξ「うん、よしよし。」
ξ゚⊿゚)ξ「それならばもう少し近寄れい。友になりたいのなら距離があっちゃまずいのう。」
20
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 01:25:19 ID:c7W46wXw0
●「!」
●「おう!」
カサッ
ξ#゚⊿゚)ξ「おらぁあ!」
バシンッ
●「本当もう怖いこの娘。」
ξ゚⊿゚)ξ「ちぃ、かわしたか。」
それが私と師匠の出会いだった。
21
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 02:58:44 ID:uZZzLHjQ0
タイトルからして刃牙かな?と思ったら案の定バトル物でなんかワロタ
22
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 03:22:24 ID:tjJYxlqI0
ツンの柄が悪すぎwww
23
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 06:15:43 ID:gQwPjXw.0
熱い展開だな
乙
24
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 10:24:22 ID:Y1dfGU5.0
乙
スゲェ度胸してんな・・・
25
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:01:07 ID:ICaLeaK60
わくてか
26
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:21:57 ID:c7W46wXw0
その後何度も猛攻を仕掛けたがすべてかわされてしまう。
それでも奴は話しかけてきたが面倒になったので布団に包まって無視して寝た。
翌日の朝も、やあ昨晩はよく寝れたかい我が同居人――などと言ってきたがこれまた無視。
そのまま会社に出かける。
ξ゚⊿゚)ξ「あーもう、昨日は本当に信じられない。」
川 ゚ -゚)「どうしたツン。珍しくイライラしてるじゃないか。」
(*゚ー゚)「そういえば昨日は引っ越しって言ってたね、なにかあったの?」
お昼休み珍しく愚痴をこぼしてしまった。
ξ゚⊿゚)ξ「いやー昨日の夜ね、新居でゴキブリが出てさ。」
ξ゚⊿゚)ξ「これがなかなかしぶといのなんの。最悪ったらありゃしないの。」
川; ゚ -゚)「な!あの殺虫女王といわれたツンでも仕留めれないなんて。」
ξ゚⊿゚)ξ「まあゴキブリなんて害はないから別にどうでもいいんだけどね。」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと待って殺虫女王ってなによ!」
(*゚ー゚)「ゴキブリと同居とかマジムリ。私なら三秒で引っ越すわ。」
ξ゚⊿゚)ξ(そのおかげであの家賃なら儲けもんだけどね。)
27
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:22:26 ID:c7W46wXw0
その日も仕事を終え新しい自宅へと帰路につく。
帰りに殺虫剤かなにか買っていこうか考えたが――
夕食の材料などの買い物を済ませ自分の部屋のドアを開ける。
開けた瞬間実家のようにただいまと言いそうになったが、昨日から一人だったことを思い出した。
無言で中に入りドアを閉める。
「おかえり」
ξ゚⊿゚)ξ「!」
思いがけない言葉が聞こえた。
●「お仕事お疲れ様。いつも帰ってくるのはこの時間かい?」
……ああこいつか
まさかこいつからおかえりなんて言われるとは思ってもいなかった。
だが早急に始末しなくては。
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ただいま。」
ξ゚⊿゚)ξ「私ね今日仕事中ずーっと考えてたのよ、あんたのことどうするか。」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ噛みついてきたりするわけでもないしね。ペット感覚で飼ってやろうかなって。」
●「ペットって…。」
●「それでも君と仲良くなれるなら私はそれでも構わないよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。それならはいこれ。今日のあなたの晩飯。」
28
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:22:53 ID:c7W46wXw0
そう言ってビニール袋から『殺虫王ゴキブリ抹殺丸』を取り出し目の前に置く。
この『殺虫王ゴキブリ抹殺丸』とは最近CMで話題の殺虫剤だ。丸い容器の中にゴキブリが好むにおいを出すゼリー状の殺虫剤がある。
そのゼリーを食べるとすぐには死なず、巣に帰ったころに死んでしまうようになっている。
その死んだゴキブリやその糞を他のゴキブリが食べることにより一網打尽に出来る優れモノなのだ。
ξ゚⊿゚)ξ(さあ早く食え!)
●「これCMでやってる最近のやつじゃん。」
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
よく見ると部屋のテレビがついていた。朝は消して出て行ったはずなのに。
ξ゚⊿゚)ξ「貴様まさかテレビを!」
●「ゴキブリってねカブトムシ程ではないけどそれなりに力があるんだよ。」
●「で、私は他のより長生きしてる分ちょっと強いんだ。」
●「テレビのボタンくらいならかなり無理すればなんとかね。」ドヤッ
ξ#゚⊿゚)ξ「昆虫風情が文明の利器を使うとはおこがましい!」
その日も夜遅くまでどんちゃん騒ぎだった。
(´・ω・`)(上の階の人うるさいな)
29
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:23:20 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ「ギギギギギ」
川 ゚ -゚)「昨日より悪化してるな。」
(*゚ー゚)「牛乳飲む?」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴクゴクゴクゴク」
ξ゚⊿゚)ξ「ぷはぁ」
ξ*゚⊿゚)ξ「やはり特濃牛乳は至高ね。」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう、しぃ。おかげで落ち着いたよ。」
(*゚ー゚)「全部飲んでいいとは言ってないんだけどね。カルシウムとれた?」
川 ゚ -゚)「まだ例のゴキブリを仕留めれてないのか?」
ξ-⊿-)ξ「奴は今まで倒してきたやつらとは格が違う。正直私より強い。」
ξ゚⊿゚)ξ「だが確実に仕留めて見せる。勝つのはこの私だ!」
川*゚ -゚)「おお!ツンが殺虫女王と呼ばれていた頃の目に戻った。」
(*゚ー゚)「いや、ゴキブリ相手にそこまでなる?」
そうやっていつも通り騒いでいる昼休み。
おーい、ツン君ちょっといいかい?という声が聞こえた。
声の主は上司のショボンだった。
30
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:23:49 ID:c7W46wXw0
(´・ω-`)「お昼休み中悪いんだけど後でこの掲示物張っていてもらってもいいかな?」
一つ返事で分かりましたと返した。
ドスン
ξ;゚⊿゚)ξ「ファッ!」
想像していた以上の量だった。
(*゚ー゚)「ちょっとショボンさん、これは多すぎでは?」
(´-ω-`)「すまないねぇ。上のほうから僕らの部署に渡すの忘れていたみたいで数か月分たまっててね。」
そう言いながらショボン上司はかなりウトウトしていた。
川 ゚ -゚)「ショボンさんだいぶお疲れのようですが大丈夫ですか?」
(´-ω・`)「それが最近引っ越してきた上の階の住人が毎晩うるさくてね。寝不足なんだよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「それはお気の毒ですね。」
(*゚ー゚)「ショボンさんはそういう時にガツンと言ったほうがいいですよ。いつもオドオドしてるからみんなに舐められるんですよ。」
(;´・ω・`)「そうなんだろうけど、僕はあまり争いごととかは好きじゃないんだよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「なら私がガツンと言ってきましょうか?『貴様のような奴を生んでしまった哀れな親の顔が見てみたい』って。」
(;´・ω・`)「大丈夫だと思うよ。僕の上の部屋は新しい人が来ても一か月たたないで出てくから。」
31
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:24:18 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「へーそうなんですか。」
(´・ω・`)「なんでかは知らないけどみんな逃げるように出ていくみたい。」
(´-ω-`)「だから少し辛抱すればいいんだ。」
(´-ω・`)「そういうわけだからツン君よろしく頼むよそれ。」
敬礼をして了解ですとやる気のない返事をしてから横の友人二人を見る。
川 ゚ -゚)「おっとそろそろ昼休み終わるから仕事に戻らねば!」
(*゚ー゚)「あーあ、そういえば今日中に片付けないといけない仕事があったんだ、やばーい!」
そう言うと二人は休憩室を後にした。
仕方ない一人でやるか。
さっさと終わらせて自分の本来の仕事をしなくては。
そう思いながら掲示板の前に立つ。
掲示物を右足の前に画鋲を左足の前に置く。
32
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:24:43 ID:c7W46wXw0
ξ-⊿-)ξ
目を閉じ全身の力を抜き脱力する。
深呼吸をして呼吸を整える。
ξ゚⊿゚)ξ
カッと目を見開くと同時に全身全霊で腕を動かす。
ξ#゚⊿゚)ξ「イィヤアァアア!」
ダダダダダダ!
わずか数秒足らずで掲示板いっぱいに張り終える。
まだだ……まだ足りない。
この程度では奴にカスリもしない。
ならば人間らしく頭を使った戦い方をするまでだ。
33
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:25:07 ID:c7W46wXw0
うちに帰りつくと
●「お帰り、今日もお疲れだったね。」
奴を無視すると夕食の準備に取り掛かる。
●「おいおい、今日も肉ばかりじゃないかもっと野菜も取らないと。」
●「偏った食生活は体によくないぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ムシャムシャ」
今日はひたすら無視をする。
お風呂に入り体を十分にマッサージしリラックスする。
●「――」
その間もひたすらしゃべりかけてくるが聞く耳は持たない。
そして座禅を組み瞑想する。
ξ-⊿-)ξ
●「なあそろそろ名前くらい教えてくれてもいいじゃないか――
それを皮切りに戦闘を始める。
34
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:25:36 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ「ドォララララァ!」
両腕で張り手を雨のように降らす。
ドドドドドドドドドッ
●「おっと危ない。」
口では危ないと言っているがその表情は余裕であった。
ξ#゚⊿゚)ξ「ならば全力全開じゃぁ!」
スピードを全開にする。
ガガガガガッ
●「ふぅむ。」
しかしそれでも届かない。全てひらりひらりと躱してしまう。
ξ#゚⊿゚)ξ「おのれぇ!」
35
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:26:00 ID:c7W46wXw0
カサッ
●「だからいつも言ってるじゃないか女性というものはだな――
狙い通りだ。
こいつはいつも説教をほざくときは私に少し近づく。
ξ#゚ー゚)ξ「もらったぁ!」
掌底打ちを放つ。
●「!?」
狙いはこいつじゃない。
床に向けて放ったのだ。
その衝撃はすさまじく周りの家具を少し浮かすほどだった。
もちろん奴も。
●「し、しまった!」
36
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:26:25 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ(ゴキブリは飛ぶことができる。しかしそれは蜻蛉や蠅に比べたらごみも当然)
ξ#゚⊿゚)ξ(地面にはいつくばってうろちょろ鬱陶しいなら浮かすまでのこと)
ξ#゚⊿゚)ξ「これで終わりじゃぁ!」
握りつぶそうと右手を伸ばす。
ξ#゚⊿゚)ξ(勝った!)
そう思った瞬間だった。
シュンッ
ξ#゚⊿゚)ξ「!?」
奴が消えた!?
私の右腕はむなしく空を切る。
ξ#゚⊿゚)ξ「ば、馬鹿な!?」
37
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:26:51 ID:c7W46wXw0
●「久しぶりに本気を出したかな。」
後ろから声がした。
見えなかった。それほどの早さだったのだ。
だがこれが今出せる全力だった。
ξ#゚⊿゚)ξ「くそがぁ!」
ドンッ
思い切り床をたたく。
●「お嬢ちゃんは強いよ。」
●「私が出会った人の中では二番目だよ。」
●「ちなみに一番は武蔵だな。」
38
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:27:11 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ「あぁ?」
●「あの有名な宮本武蔵だよ。」
●「彼は素晴らしい人間だったよ。」
●「そうだ彼との思い出を語ってあげよう。」
●「彼との出会いは――
何か言っているようだったがだいぶ疲れた。
ξ゚⊿゚)ξ(今日はもう寝よう)
(;´・ω・`)(本当になんなの上の人)
39
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:27:52 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「はー」
川 ゚ -゚)「おい、どうしたツン?目が死んでるぞ!」
ξ゚⊿゚)ξ「いやこうも負け続けると今まで積み上げてきた自信てものがね。」
ξ゚⊿゚)ξ「はー」
(*゚ー゚)「そんなことで明日のプレゼン大丈夫なの?」
ξ゚⊿゚)ξ「はー」
ξ゚⊿゚)ξ「プレゼン?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ξ゚⊿゚)ξ「あー」
すっかり忘れていた。明日はうちの部署の企画発表だ。このよしあしが査定に響く。
引っ越し終えたらサッと終わらせる気でいたが、奴に気を取られて忘れていた。
40
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:28:19 ID:c7W46wXw0
(;´-ω-`)「ほんと明日は頼むよツン君。」
フラフラとショボンさんがあらわれた。
(*゚ー゚)「だいぶ顔色悪いようですが、大丈夫ですか?」
(;´-ω-`)「大丈夫、きっとあと数日もすれば…」
(;´-ω・`)「そう僕は信じている。だから大丈夫さ。」
ξ゚⊿゚)ξ(そうかあの頼りないショボンさんも必死に戦っているんだ)
ξ゚⊿゚)ξ(私もこんなことで挫けていられないね)
ξ゚⊿゚)ξ「ショボンさん!私も頑張ります!だからショボンさんも頑張りましょう。」
川 ゚ -゚)「おお!ツンが息を吹き返した!」
川 ゚ -゚)「これは勝ったな!」
(*゚ー゚)「いや、なにに?」
(;´-ω-`)「なにはともあれ明日はよろしく頼むよツン君。」
はいっと元気よく返事をしてよろよろと歩いていく上司を見送った。
41
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:28:51 ID:c7W46wXw0
夕方、会社で残業していくより家に持ち帰ってやる方が私ははかどるタイプだ!と自分に言い聞かせて帰宅した。
正直会社で夜遅くまで仕事するなんてナンセンスだ。家でテレビや動画見ながらやるほうがリラックスするしアイデアもでる。
夕食をサッとすませ周りで戯言をぬかす奴は無視して作業にかかる――
ξ゚⊿゚)ξ「ハハ、ワロス。」
テレビを見ながら独り言。
この番組が終わったら本気出す。
それからやり出せばいつもより寝るのが少し遅い時間帯になるくらいですむだろう。
きっとそうだ――そう思った矢先だった。
プツン
突然テレビが消えた。
停電?いや違う。
ξ#゚⊿゚)ξ「貴様何のつもりだ!」
●「駄目じゃないか!今日は仕事を持ち帰ってきているのだろ?」
●「なら先にそっちに集中しなくちゃ!」
42
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:29:18 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「おいおい、仕事もせずに人様の食べカスや残飯をコソコソカサカサ食い荒らしてるだけの生物が」
ξ゚⊿゚)ξ「日頃必死に働いて生きている私に意見を申すというのか?」
ξ#゚⊿゚)ξ「恐れ多いぞ!無礼者!」
●「私は君のことを思って言っているんだぞ!」
ξ゚⊿゚)ξ「私には私のペースってものがある。」
●「そう言ってる割には進んでないじゃないか。」
ξ゚⊿゚)ξ「もうちょっとしたら本気出す。」
●「それダメなパターンのやつだよ。」
●「ちょっと私に見せてみなさい。」
そういうと奴はテーブルの上に置いてあるノートパソコンに飛び乗り私の作っているパワーポイントに目を通し始めた。
おや、今始末する絶好のチャンスじゃないそう思った時
43
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:29:42 ID:c7W46wXw0
●「いいかいここの文章は――」
●「このグラフは――」
ξ゚⊿゚)ξ「おぅ?おぉ!」
奴に言われるがままパソコンを動かす。
カタカタ
そうしているうちに思ったより早く作業が終わった。
●「いやぁよかった。3,4年前にモララ―君という君と似たような仕事をしている人とオンボロアパートに住んでてね。」
●「その時のこうやって一緒にやった経験が生きてよかったよ。」
改めて作ったものに目を通す。
我ながらなかなかいいではないか。
これなら明日は貰ったも当然だ。
そう思いながらノートパソコンに挿してあるUSBメモリを抜きテーブルに置く。薄いグレーのUSBメモリだ。
その時奴が何かに気づいた。
44
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:30:06 ID:c7W46wXw0
●「こっちのUSBメモリはなんだい?」
そう言い触覚を器用に白いUSBに向ける。
ξ゚⊿゚)ξ「あぁ、そっちは友達と旅行のときの写真とか入ってるプライベート用。」
●「へーそうなんだ。」
●「でも形が同じだからちょっと色違うだけだと間違えないかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「はー、これだから虫頭は。」
ξ゚⊿゚)ξ「テメ―の頭の大きさ考えろ。脳ミソが一ミリも無いだろうが。」
ξ゚⊿゚)ξ「人間様はこんなに大きいんだよ。低脳がぁ!」
ξ゚⊿゚)ξ「テメ―と違って間違えるわけねぇだろうがよ。」
●「そ、それならいいんだが。」
45
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:30:34 ID:c7W46wXw0
そうしてその日はいつもより早くに寝た。
それはいつものように死闘を繰り広げていないからだ。
おかげで明日は疲れがなさそうだ。
ただ一つ弊害があった。
(;´・ω・`)(おや、今日はえらく静かだな)
(;´・ω-`)(久しぶりによく寝れそうだ)
(;´-ω-`)(しまったスマホ充電しないとでんち…
Zz…Zz…
46
:
名無しさん
:2018/06/29(金) 22:31:21 ID:c7W46wXw0
今日の分は以上です。
ありがとうございます。
47
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 00:58:14 ID:pOPiFF/g0
乙
ツン怖すぎワロタ
48
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 06:46:01 ID:NxvjoSqQ0
片目瞑るショボンかわいい
しかしツンの暴れようで家は壊れないのか……?
49
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 09:36:56 ID:k4x9jybM0
ツンちゃんこわい
50
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 21:45:22 ID:y3S0kwng0
>口では危ないと言っているがその表情は余裕であった。
G師匠にも表情が!!??
51
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:54:33 ID:lM/DxnMA0
ξ-⊿-)ξ「Zz…Zz…」
……きろ
ξ-⊿-)ξ「むにゃむにゃ…」
おきろ!
ξ-⊿゚)ξ「んぁ?」
●「いいかげん起きるんだ!お嬢さん!」
ξ゚⊿゚)ξ「ふぁあ…なによ朝から…」
久しぶりによく寝たというのに朝から耳元でせっかくの眠りを覚ますものがいた。
●「よかったやっと起きたか!とりあえず時計を見てくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?」
言われるがまま目線を壁に掛けてある時計に合わせる。
ξ;゚⊿゚)ξ「ファッ!?」
いつも起きている時間をとっくに過ぎていた。
今出て仕事に間に合うのか?という時間だ。
52
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:54:57 ID:lM/DxnMA0
ξ;゚⊿゚)ξ「アー!」
けたたましい叫び声とともに急いで着替える。
朝ご飯は食べてられない。なんということだ。
朝は余裕をもって優雅に過ごす。それが私の流儀なのに。
着替えを済ますとすぐさま化粧台の前に座り込む。
●「化粧なんてほどほどですぐ行った方がいいよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「あ―もう、これだからいやね節足動物は。」
ξ゚⊿゚)ξ「すっぴんで出社とか女子力低いこと出来るかっての。」
そういいながら高速で腕を動かし化粧を念入りに行う。
●「それなら言葉使いも頼むよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「あらそうでしょうか?昆虫網ゴキブリ目に対してはあのような対応で十分だとわたくしは考えているのですが。」
化粧を終わらせ急いでテーブルの上のUSBを一つつかみ取りと仕事用のバックに放り込み鬼のような形相で家を飛び出した。
体力には自信があった中学高校はこう見えて陸上部だったのだ。
あの頃の私を思い出せ!きつい練習を思い出すのだ!それを考えればこの程度のこと――
始業時間を10分ほど過ぎたころ自分のデスクに忍び足で近づく。
周りの同僚たちには小さな声でおはようございまあすと申し訳なさそうに挨拶をした。
隣の席の先輩から今日はツンちゃんも遅刻か珍しいと言われ、他にも遅刻した人がいるのか尋ねるとスッと机を指差した。
上司ショボンの机だ。そういえば姿が見当たらない。聞くところによると電話にすら出ないのだという。
ξ゚⊿゚)ξ「上司も遅刻してるみたいだしいいわよねこれくらい。」
赤信号もみんなで渡れば怖くない。
53
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:55:20 ID:lM/DxnMA0
それから今日の日程を確認する。
午前中はいつも通りの仕事をこなし、午後1時からプレゼン発表だ。
落ち着いてやればなんてことはない。私は誰だ?あのツンだぞ!
そう自分に言い聞かせてモチベーションを上げる。
54
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:55:41 ID:lM/DxnMA0
●「仕事に間に合っていればいいんだがな。」
そう言いながらテレビをつけようとテレビに近づいたとき、ふとテーブルの上を見る。
●「おや?」
近づいてよく見てみると薄いグレーのUSBだ。
●(今朝は相当慌てていたからな)
間違いに気づいて戻ってくるだろうか?
あのお嬢さんのことだ気づきとしてもプレゼンの直前だろう。
連絡を取る手段があれば……
人間ではない自分には厳しいことだ。
●(あきらめるな!なんでもいい思い出すんだ)
今までのお嬢さんと記憶を思い出す。
●(そういえばプレゼンには企業名が書いてあった!確か…VIP商社だ)
●(懐かしい、十年あまり前にはそこに住みついていたな)
●(そうなるとここからの道順は……)
考えがまとまると部屋の中から手頃な紐を見つけ、それで自分の体とUSBを巻き付けた。
●「待ってろお嬢さん、すぐに行くからな。」
55
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:56:08 ID:lM/DxnMA0
その日はいつもより早く昼休憩を抜け出して自分のデスクに戻る。
プレゼン発表が始まる前に今一度目を通しておこう。我ながらなかなか勤勉だな。
パソコンにUSBを差し込み中のデータを見る。
ξ゚⊿゚)ξ「懐かしーこれ三年前にゼミの旅行で京都いった時のじゃん。」
ξ゚⊿゚)ξ「おっ!こっちは奈良か。」
大学時代の思い出に浸る。
なるべく長く。
恐ろしい現実から目をそむけるために。
ξ;゚⊿゚)ξ「こんときは飲みすぎたんだよな、はは……」
やばいどうしよう。頭が混乱しているとき、人間というのはとんでもない答えで事態を治めようとする。
ξ゚⊿゚)ξ「まああれだな、どうせ今日まだ上司来てないしいいか。」
しゃあないそんな時もあるさ、そう納得しようとした。
56
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:56:39 ID:lM/DxnMA0
まったくせっかちなお嬢さんなことだ――
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
足元から聞こえた。
目線を足元まで落とす。
薄いグレーのUSBが見えた。
ひょいとつまみ上げる。
●「なんとか間に合ったようだなお嬢さん。」
息も絶え絶えにそいつは言う。
●「結構苦労したが、私にかかればこんなもんよ。」ドヤッ
●「ぜぇはぁぜえぜぇ……」
結んであった紐をほどき右手にUSB左手にそいつを持つ。
ξ;゚⊿゚)ξ「ぐうむ」
今、仕留める絶好の機会ではあるが……
57
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:57:05 ID:lM/DxnMA0
同僚たちのしゃべり声が聞こえてきた。
みんなぞろぞろと戻ってきたのだ。
急いでデスクの引出しをあけるとそこにそいつをぶち込む。
ξ゚⊿゚)ξ「死にたくなければ夕方までそこでおとなしくしてなさいよ。」
そう言いながら引出しを閉める。
●(言われなくても当分休まないとこりゃ動けんな)
プレゼン自体は問題なく終わった。偉い人達からは君若いのにいいプレゼンだったよっと声をかけられた。
自分でも手ごたえを感じた。でも一つ問題があった。問題と言っても私にとっては大したことないが。
結局上司ショボンは来なかったのだ。何があったかは知らないがご愁傷様です。
58
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:57:34 ID:lM/DxnMA0
夕方、周りの様子を見ながらこっそりと引き出しを開けあいつをカバンに入れ会社を後にする。
うちに帰る途中、一軒店による。ケーキ屋VIPだった。
度々テレビや雑誌で取り上げられている超有名店である。
今日大変な一仕事をしっかり決めてきた自分へのご褒美だ。ストレス社会で生き残るためには必要不可欠なことだ。
そこで大好きなチョコレートケーキを買って帰宅。
夕食とお風呂を済ませてお待ちかねのスイートタイム――
すっかり忘れていた。あいつを。
カバンから取り出し床に置く。
●「お疲れプレゼンは完ぺきだったかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「おうよ!私にかかればあれくらいちょろいのなんの。」
●「それはよかった。」
●「お祝いしてやりたいが今日は疲れたからもう寝かしてもらうよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ待て。」
●「?」
59
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:57:57 ID:lM/DxnMA0
そう言うと私は冷蔵庫からさっき買ったケーキを取り出す。
皿に乗せテーブルの上に置く。
そしてもう一つ同じケーキを取り出し皿にのせ床に置く。
●「え?いいのかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「ほら食え。」
ξ゚⊿゚)ξ「昨日今日頑張った報酬だ。」
●「ありがとう!喜んでいただくよ!」
●「ムシャムシャ」
●「おぉこの味はケーキ屋VIPのケーキだね。」
●「あそこには数か月住んでいたな。警備が厳しくなって逃げだしたけどね。」
ξ゚⊿゚)ξ「ほーん。」
どうでもいい自慢話だ。
●「いやあお嬢さんからこんなおいしものがいただけるなんてな。」
ξ゚⊿゚)ξ「お嬢さんじゃねえよ。私の名前はツンだ。」
ξ゚⊿゚)ξ「その少ない脳みそでよく記憶しておけよ。」
60
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:58:21 ID:lM/DxnMA0
●「!」
●「ああ、一生忘れないさ。」
●「ときに私のことは師匠と呼んでいいんだぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「正直それずっと思ってたんだけどさ、最初誰かに師匠って呼ばれてたわけ?」
●「え?いやなんというかすごい長生きしてるもんだから人生の先輩としてそう呼んでもらえたらなって思ってね。」
ξ゚⊿゚)ξ「はーいやだいやだ。下等生物という現実を受け止められなくて人間様の上に立とうとそんな呼び方させるなんて。」
ξ゚⊿゚)ξ「それを絶滅して欲しいランキングと厚かましい生物ランキング一位のゴキブリがねぇ。」
ξ゚⊿゚)ξ「鏡って見たことある?」
ξ゚⊿゚)ξ「世の中には身の丈に合った呼び方ってもんがあるだろうがよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「こんなおぞましいことってあるのでしょうかね?」
61
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:58:49 ID:lM/DxnMA0
●「うぅ……」
●「それならほかの呼び方でもいいさ……」
ξ゚⊿゚)ξ「ほかの呼び方ねぇ。」
ξ-⊿-)ξ「うーん」
ξ゚⊿゚)ξ「考えるだけ面倒くさい。」
ξ゚⊿゚)ξ「師匠でいいわ。」
●「おぉ!これからもよろしく頼むよツン!」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえずよろしく師匠。」
●「あとこのケーキなんだが、私には量が多すぎるから冷蔵庫にしまってもらいたいのだが。明日ちょっとづつ食べるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「常識的に考えろ師匠。ゴキブリの食べえたものを人間は冷蔵庫にしまわねえ。」
ξ゚⊿゚)ξ「腐ってもいい全部食え。」
●「なるほどなるほど。」
こうして出会った当初は最悪だった一人と一匹は少しずつ友となっていく。
62
:
名無しさん
:2018/06/30(土) 23:59:15 ID:lM/DxnMA0
(´-ω-`)「Zz…Zz…」
(´-ω-`)「うぅん…」
(´-ω・`)「ん?」
(´・ω・`)「おや?」
(;´・ω・`)「あれ?」
(´;ω;`)「嘘だろこれぇ!」
63
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 00:00:23 ID:g8IS/idc0
今日の分は以上となります。
ありがとうございます。
64
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 04:23:19 ID:b1KrJ9SM0
ショボン…
乙
65
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 05:19:30 ID:r5nDT6Sw0
おもしろい
ショボン…
66
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 05:19:51 ID:gYSEqYYc0
何の変哲もない●が段々Gにしか見えなくなってきた、訴訟
67
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 09:25:10 ID:T./7QveQ0
仲は進歩してるけど相変わらずツンがひどい 乙
68
:
名無しさん
:2018/07/01(日) 11:56:32 ID:t/z4M.b60
>ξ゚⊿゚)ξ「常識的に考えろ師匠。ゴキブリの食べえたものを人間は冷蔵庫にしまわねえ。」
どことっても好きなんだけどここが一番吹き出した
69
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 00:15:01 ID:Ey95h8QA0
しょぼんん……
70
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:46:11 ID:Kqq6vrLI0
川 ゚ -゚)「話は聞いたぞツン、いい出来だったらしいな。」
ξ゚⊿゚)ξ「大したことはしてないって、いつも通りやっただけよ。」
(*゚ー゚)「おかげでこっちは大変よ。」
(*゚ー゚)「うちの上司が『同期が頑張ってるならしぃ君も負けてられないな!』って息巻いちゃって。」
川 ゚ -゚)「このまま突き進めば出世間違いなしじゃないか。昔からの親友として鼻が高い。」
(*゚ー゚)「ツンが役職ついたらその下で伸び伸び仕事したいわ。」
ξ゚⊿゚)ξ「出世とかマジ勘弁。」
そもそのが自分の実力じゃない。あれを作ったのは殆ど師匠だ。この先もあの出来と同じくらい期待されるのは困る。
何よりも出世とか望んでいないのだ。今の仕事量くらいでそこそこの給料さえもらえればそれでいい。
今の生活で十分幸せだし、下手に上の役職で責任や仕事が増えて残業三昧の生活などまっぴらだ。
そんなことを思いながら友人達と昼休憩を過ごしていると、みんな楽しそうでいいなっという恨めしそうな声がかすかに聞こえた。
声の主は探すまでもなかった、上司ショボンだ。
71
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:46:41 ID:Kqq6vrLI0
(´・ω。`)「ハハ、これが若いっていうものか。」
(´゚ω・`)「僕にもあったのかな?」
(´・ω・`)「それより上の住人死なないかな。」
(´゚ω。`)「あいつのせいだあいつのせいで僕は…」
(´。ω゚`)「なぜいつも僕ばかりいつもこんな目に…」
(´゚ω゚`)「こんなのおかしい、そうだおかしいんだ!」
今朝、偉い人たちに呼び出されて会議室へ。そのあと泣きながら部署に戻ってきた哀れな私の上司。
職場のみんなで優しく声をかけてあげたりしたが、その目は焦点が定まらないでいる。
今も部屋の隅でブツブツと独り言を……
(*゚ー゚)(ほんとショボンさん災難だったみたいね)
川 ゚ -゚)(真面目だけが取り柄だった人が一番大事なタイミングであれだもんな)
ξ゚⊿゚)ξ(だから私が上の住人にガツンと言ってあげるって言ったのに)
今はそっとしておいてあげよう、三人でそういう結論に至った。
いい大人なのだからそのうちに気持ちの整理がつくだろう。
決してそろそろ面倒だとかそういうわけではない。
72
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:47:22 ID:Kqq6vrLI0
仕事を終えてうちに帰る。
いつも通り定時帰宅。
うちへ帰るルートもいつも通り。
いつも通りの時間に自分の部屋のドアの前につく。
でもここからは違う。
今までは無言で開けていたドアも今日からは違う。
ξ゚⊿゚)ξ「ただいまー」
●「お帰り、ツン。」
少し懐かしい感じだ。
実家にいたときのようだ。
うちで出迎えがあるのはいいことだ。。
そう思ったとき、少し前のことを思い出す。
しぃの家にクーと二人で遊びに行った時のことだ。
金曜日の仕事終わりに久しぶりに宅飲みしようということでしぃの家になった。
しぃは入社と同時に一人暮らしをしていた。
自分の部屋の前に立つとしぃは
(*゚ー゚)「たっだいまー」
と元気よくドアを開けた。すると中から
▼・ェ・▼「ワンワン!」
と元気よく一匹の犬が出てきた。
73
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:48:40 ID:Kqq6vrLI0
(*゚ー゚)「おりこうさんにしてた―?」
そう言いながら犬の頭を撫でるしぃ。
▼・ェ・▼「くぅん!」
本当にうれしそうだ。
川*゚ -゚)「やっぱ犬だよなー!本当にしぃが飼ってるのが犬でよかったよ。」
川*゚ -゚)「おいでビーグル。」
▼・ェ・▼「わんぉ」
尻尾を激しく振りながらクーに近づく。本当に人懐っこい犬なことだ。
犬の頭を撫でながら
川*゚ -゚)「いい子でちゅねー。」
川*゚ -゚)「はぁあ……犬最高!もししぃが飼っていたのが猫だったら外にぶん投げていたよ。」
(*゚ー゚)「実家で猫も飼ってるんですがそれは。」
川#゚ -゚)「この裏切者め!」
川#゚ -゚)「腹を切れ腹を!」
74
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:49:12 ID:Kqq6vrLI0
(*゚ー゚)「いやいや犬も猫もどっちもかわいいよ。」
(*゚ー゚)「そういうこと言うなら自分で飼えばいいじゃない。」
川 ゚ -゚)「うちのマンション動物飼うの禁止だし、餌とかいろいろ面倒じゃん。」
(*゚ー゚)「お、おぅ」
ξ゚⊿゚)ξ「こっちにおいでリュウゲン。」
そう言うとビーグルは私のほうによって来る。
(*゚ー゚)「そのリュウゲンってなんなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「この子の名前。」
そう言いながら私はビーグルの頭を撫でる。
(*゚ー゚)「うちの子はビーグルって名前なんですが!?」
ξ゚⊿゚)ξ「でも私にとってこの子はリュウゲンなのよ。」
(*゚ー゚)「お、おぅ」
その時の出来事がふと浮かんだ。
75
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:49:41 ID:Kqq6vrLI0
●「?」
●「どうしたんだいツン、玄関で立ったまま固まって。」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、なんでうちは出迎えてくるのがゴキブリなのかなって。」
ξ゚⊿゚)ξ「これがかわいい犬とか猫ならうちに帰りついた瞬間マジ癒されるのに。」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、なんでうちは本当ゴキブリなんだろこれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「この格差。天と地。月とスッポン。たけのこの里ときのこの山。」
ξ゚⊿゚)ξ「いったい誰が仕事の疲れをゴキブリを見ることで癒そうと?」
ξ゚⊿゚)ξ「私は前世でどんな悪いことをしたのでしょうか。」
●「世の中ゴキブリが好きな人間一人や二人いてもおかしくない。」
●「それくらい世界は広いんだぞツン。」
●「さらに私は人間の言葉を話せる。この付加価値はすごいぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「付加価値とかどうでも。絵面的にもどうよ犬猫とゴキブリが競えると思うのかオイ?」
●「せやな。」
76
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:50:23 ID:Kqq6vrLI0
食事の時も、また君は肉ばかりか!バランスよい食事が――とか
スマホをいじりながら食事しない――とやたらうるさいと思えば
テレビを見ながらあそこには昔住んでいて――からの自慢話が始まる。
1人暮らしでご飯時は一人さびしくと思っていたが、こう騒がしいとそう思うことはなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「そういや師匠ってゲームやったことある?」
●「ゲームはしたことないな。というかこの体じゃやりようがね。」
ξ゚⊿゚)ξ「今日仕事中ずっと師匠でもできそうなゲームで、私も知ってるの考えてたわけよ。」
●「そこは真剣に仕事しなよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そしたら私の持ってるゲームでいいのがあったの。これ。」
そう言って一つのソフトを見せつける。桃太郎電鉄だ。
ξ゚⊿゚)ξ「ルールとかはゲームしながら教えてあげるから、やるぞ師匠。」
●「そういうならやってみるか。」
簡単にルールなどを説明していきなり本番。
師匠にかかればコントローラーのボタンを押すこと自体問題ないのだがいかんせん人間に比べたら遅い。
仕方ないので師匠の操作時も私が操作するが指示は師匠がする。
しかし忘れてはいけない、このゲームの本質を。
たとえ親友同士がやってもちょっとしたことでリアルファイト勃発するようなものについ最近仲良くなった程度のものがこれをプレイしたら……
77
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:51:02 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「師匠ザッコ。いくらなんでも弱すぎでしょwww」
ξ゚⊿゚)ξ「CPU二体とも弱い奴なんだけど、それでも最下位って。」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ仕方ないか、所詮ゴキブリですものねぇwww」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリでもゲームの中だけは人間の社長って扱いなんだから感謝しなさいよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリでもなれる社長ってどんな仕事なんだよ。」
●「面白いなゲームって。」
●「立ち回りもだんだんわかってきたぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「はー、往生際が悪いわね。」
ξ゚⊿゚)ξ「本当ゴキブリはしつこい。」
ξ゚⊿゚)ξ「いまさらわかったところで、圧倒的一位の私にかなうものか。」
ξ゚⊿゚)ξ「ネズミ―も今しがたついに手に入れたこの私に。」
●「今サイコロふって14出せばツン、君に私についているこのボンビーをぴったりくっ付けられる。」
●「そうだろう?」
78
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:51:41 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「無駄なあがきをしよるなあ。」
ξ゚⊿゚)ξ「しぶといのは自分の特性だけにしておけ。」
●「特急カードを使う。ツン、サイコロを振ってくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「哀れな奴め、いいだろう。」
そい言って私はコントローラーを操作する。
サイコロが転がる。
出るはずがないこんなゴキブリごときにそんな幸運が――
『14』
ξ#゚⊿゚)ξ「あ゛ぁ」
●「ラッキーパンチってどうやって出すかわかるかい?」
●「諦めないでやるから出るのさ!」ドヤッ
ξ゚⊿゚)ξ「面白ェ…!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「久々に切れちまったよ表にでな。」
そう言って私は玄関を親指で指すとそのまま玄関のドアを開ける。
79
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:52:14 ID:Kqq6vrLI0
●「おやおや、血の気の多いお嬢さんなことだ。」
●「いいでしょう。久しぶりに相手をしてあげますよ。」
●「そして思い出させてあげましょう、私とのレベルの差を。」
カサカサッ
師匠がドアから外に出たとたん
バタンッ
ガチャ
ビーッ ぺタぺタ
私は師匠がドアから外に出たのを見計らって戸を閉めると鍵をかけガムテープで隙間を埋める。
●「え!?ちょっとツンさん!?」
80
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:52:49 ID:Kqq6vrLI0
prrr
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオよ元気にしてたか?」
('A`)「元気にしてたけどさ、急にどうしたの姉ちゃん?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせ今暇だろ、この前やった100人で殺しあって生き残るゲームやろうぜ!」
(;'A`)「電話してきたと思ったらそんなことですかい?!ちょっと待ってよ俺にだって都合が…」
ξ゚⊿゚)ξ「食う寝る糞するしかしない奴がなにするってんだ。」
(;'A`)「姉ちゃんはもう少し人間に対して優しい言葉とか無いの?」
ξ゚⊿゚)ξ「なにを言う我が愚かな弟よ。私は人間に対しては普通の言葉遣いだぞ。」
('A`)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんだドクオ、お前も鏡を見たことないタイプか。」
ξ゚⊿゚)ξ「明日の朝でいい、顔を洗うとき鏡を良く見ろ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そこには化けも(;'A`)「もういいやめて!」
('A`)「わかったやるよ。やればいいんだろ。」
ξ゚⊿゚)ξ「うむ。人の役に立てドクオ。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうすれば人間に成れるかもしれない。」
('A`)(ゲームやって人間に成れるって)
81
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:53:28 ID:Kqq6vrLI0
●「……。」
●「まあ通気口から入れるんですけどね。」
カサッ
離れていても愚弟とは電話一本で一緒に遊べる。
そうでなくとも、汚らわしい生物ではあるが友と呼べる奴が一緒に住んでいる。
まだ一人暮らしを始めて日は浅いが寂しいと感じることは一度もない。
それからは報告書などの書類作成は約師匠の力を借りるようにした。
●「おいおいツン、ここの部分は前も注意したことじゃないか。」
●「手伝うのはいいが少しは私から学んでくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「いいことゴキブリさん、現代人はいつも時間に追われているの。」
ξ゚⊿゚)ξ「御託はいいのでさっさとこの続きを考えてください。」
●「それじゃツンのためにならん、一度自分で作ってから私に見せてくれ。」
ξ゚⊿゚)ξ「ケチ臭い。ただでさえゴキブリ臭いのにさらにケチ臭いとは。」
ξ゚⊿゚)ξ「殺虫剤より消臭剤を買ってこないとな。」
●「なんとでもいいたまえ。」
仕方なく自分なりに書類を作成する。
82
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:54:07 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「ほらどうだ中々なものだろう。」
とりあえず作ったものを見せる。
●「……。」
●「なんだいこの小学生でも作らない文章のかたまりは。」
●「まったく、ツンは私がいないとダメだな。」
ξ゚⊿゚)ξ「えーそうですかー私は必死にやったんですがー」
●「私が一から教えるからほら、指を動かしなさい。」
ξ゚⊿゚)ξ「はーい。」
ちょろいものだ。
師匠は優しいからダメな人間を決して見捨てたりしないだろう。
だから適当に文字だけ入力したものを見せれば簡単にどうすればいいか教えてくれる。
まったくおしゃべりな奴でほうっておくと延々自慢話や昔の話でうるさい奴だ。
でも確かに頼りになる。頼りにしてるぜ師匠。
83
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:54:43 ID:Kqq6vrLI0
ある日の日曜日
ξ゚⊿゚)ξ「師匠、今日暇?」
●「今日かい?今日はξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリに暇もくそもないよな。」
ξ゚⊿゚)ξ「師匠映画を見に行くぞ!」
●「映画かいいね!でも急にどうしたんだ?今日は予定があるんじゃ?」
ξ゚⊿゚)ξ「本当はしぃと見に行くはずだったんだけど、急にしぃが彼氏とデート行くことになって。」
ξ゚⊿゚)ξ「見たい映画、ホラーなんだけど私ホラー映画は一人で見れないたちだから。」
●「ホラーがダメってどの口が言うんですか!?」
ξ゚⊿゚)ξ「本当失礼ね、普段は女性というものはとか偉そうに語ってるくせに。」
●「私と初めて出会った人間はみんな驚いたり恐怖したりしたものだよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「幽霊とかモンスターが現実にいたとしても私は、たとえ死んでも一発ぶん殴るくらいのことはすると思うのよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「でも映画の場合は登場人物に感情移入しちゃってそういう気が起きなくて怖いわけ。」
●「へー」
●「でもツンも映画見に行くなら彼氏さんでも作って見に行けばいいじゃないか。」
84
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:55:15 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「それもそうね。私は疲れていたのかも。」
ξ゚⊿゚)ξ「まさか友達がドタキャンしたくらいでゴキブリと映画を見に行こうとは。」
ξ゚⊿゚)ξ「どうやら気でも違ったみたいね私。」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよね師匠はいじめられっ子の悲劇の主人公で動物だけが友達みたいな位置づけだけど」
ξ゚⊿゚)ξ「私の場合はゴキブリだけが友達の本当の悲劇の主人公だものね。」
●「オーケー、私が悪かった。」
●「それでなんて映画見に行くんの?」
ξ゚⊿゚)ξ「川д川VS【+ 】ゞ゚)VS(・(エ)・)VS母者ってやつ。」
●「詰め込みすぎでは?!」
●「後ろ二つって幽霊でも化け物でもないだろ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでも日本の映画興行収入で新記録出しそうなんだと。」
●「私は認めないね。映画が世の中に誕生したあたりから見てきたがそんなもの認めない。」
●「いいかい私の人生の中で一番の作ひξ゚⊿゚)ξ「その話長いの?」
ξ゚⊿゚)ξ「無駄話してんな。行くぞ。」
●「はい。」
85
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:55:48 ID:Kqq6vrLI0
私は師匠を蓋に小さな穴の開いた瓶に入れるとそれをバックにしまい出かける。
映画館に入り座席に座る。
照明が落ちあたりが暗くなるとそっと瓶から師匠を取り出し肩に乗せる。
やはり絵的にキモイ。
映画が終わりエンドロールが流れる。
86
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:56:14 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿。)ξ「」
●「本当にこれが新記録出しそうな映画なのか?!」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「4体もメインどころ持ってきたもんだからそれぞれの見せ場を作るために本筋の話が薄すぎる。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「その見せ場も4体分だからそれぞれの持ち味を生かし切れていない。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「なによりJホラーで押しているくせに要所要所で挟む寒いギャグはなんだ。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「あと役者も殆どがアイドルじゃないか!演技がひどい棒読みすぎる。」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「これが今の映画なのか?!ひどいと思わないかいツン!!」
ξ゚⊿。)ξ「」
●「し…死んでる……」
87
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:56:41 ID:Kqq6vrLI0
係員に起こされ映画館を後にする。
ξ゚⊿゚)ξ「いやー半分くらいから先記憶がないわー」
●「本当に死んでるかと思ったぞ。」
ξ゚⊿゚)ξ「それで映画はどうだった?面白かったの?」
●「君は見に行ってたんだよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「おう!半分な。最後どうなった?」」
●「かれこれしかじかでね」
ξ゚⊿゚)ξ「なかなか面白そうじゃん。」
●「どこがさ!だってこの映画――」
●「って私は考えるんだけどね。」
ξ゚⊿゚)ξ「いやいや本筋が薄いって私は何事もはうす味が好きね。」
ξ゚⊿゚)ξ「そもそも映画って頭空っぽにして楽しむもんでしょ、頭働かして見るのは面倒すぎ。」
ξ゚⊿゚)ξ「寒いギャグもずっと堅っ苦しいんじゃ疲れるし、どっかで息抜き欲しいじゃん。」
ξ゚⊿゚)ξ「登場人物だって不細工よりイケメンとカワイイ子に限るでしょ。主人公不細工とか見る気失せるわ。」
●「そ、そうかなぁ。そうは思えん出来だが。」
88
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:57:09 ID:Kqq6vrLI0
ξ゚⊿゚)ξ「かぁー本当師匠は堅い。流石ははるか太古に進化を完成させた生きる化石。」
ξ゚⊿゚)ξ「まさに時代遅れ。現代は日々進歩しているのにいまだに昔という殻にこもって老害めいて。」
ξ゚⊿゚)ξ「今、そしてこれか先という新しい考えを諦めている、そう進化を諦めたオワコン生命体。」
ξ゚⊿゚)ξ「遅れてるぜ師匠。」
●「何と言われようと私は自分の意見を変えないさ。これが私なんだから。」
ξ゚⊿゚)ξ「ほーん。」
*(‘‘)*「ママぁ!あのおねえちゃんひとりでおしゃべりしてるよーへんなのぉ。」
イ从゚ ー゚ノi「ダメよ見てちゃ!ああいう人は危ないから!早く帰りましょ。」
*(‘‘)*「はぁーい。」
見知らぬ親子から罵倒されながらその場から一目散に家へ帰る。
うちに帰った後も映画のことで口論。
89
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:57:41 ID:Kqq6vrLI0
師匠は決して自分の意見を曲げない。それはゴキブリのくせに自分という芯をしっかり持っているからだ。
今の世の中、自分という明確な芯を持たず流されるまま生きている人間であふれているというのに。
だから今までも私に面と向かって怒ったり注意したりできたんだ。
それでこそ師匠だな。そういうとこは少しは尊敬してるさ。
これからも長い付き合いになるだろう、そう思っていた。
私は今までの人生で一番大事なことに気づいていなかった。
初めてゴキブリを退治してそれに慣れるまでも、今まで尻に敷かれていた父さんがうちの中で頂点になってそれから堕ちるまでも
初めて付き合ったクックル君と別れる時もそれはあっという間に訪れていたことに。
90
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:58:13 ID:Kqq6vrLI0
師匠と出会って一か月と少し経った頃。
その日は仕事を終えて家に帰るのがいつもより遅かった。
自分の部屋の前に着くとちょっと部屋を片付けるからここで待っててと一言いい残してドアをそっと開けて中に入る。
すぐに戸を閉めて師匠を探す。
●「お帰り、今日は遅かったね。珍しく仕事が長引いたかい?」
そう言う事情が分かっていない師匠。
唇に人差し指を当てて
ξ;゚⊿゚)ξ「シーッ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「事情は明日話すから今日は家から出てって。」
そう小声で言う。
●「うん?」
事態を呑み込めないでいるこれは困った、と思ったとたん私の後ろから声が飛んできた。
( ^ω^)「少しくらい部屋が汚くても俺は気にしないから大丈夫だよ。」
そう言って一人の男が入ってくる。
最近出会いそして付き合い始めた私の恋人だ。
91
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:58:59 ID:Kqq6vrLI0
ξ;゚⊿゚)ξ「え、そう……でも今日はあんまり食材無いから大したもの作れないよ。」
( ^ω^)「ツンが作ってくれたものなら何でもおいしく食べるさ!」
( ^ω^)「でもごめんよ、急にツンの手料理が食べたいなんて言い出して。」
ξ゚⊿゚)ξ「なぁにそれくらいどうってこと。ちゃちゃっと作るから待っててね。」
●(そうかツンにも恋人ができたのか)
●(おめでとうツン!)
心の底からの二人のことを祝福した。
それは師匠の本心である。
●(……)
●(そうかそうだよな……今までありがとうツン)
●(君とはもうすぐお別れだね)
これは一人と一匹の物語、もうすぐ終わりを迎える。
92
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 12:59:34 ID:Kqq6vrLI0
今日は以上です。
いつもありがとうございます。
93
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 14:43:12 ID:dbSQmjzM0
師匠……
94
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 14:58:46 ID:lRFkgQyU0
師匠ぅ……
95
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 18:25:46 ID:lAtn6voI0
( ^ω^)をG好きにすれば別れなくても・・・無理か・・・?
96
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 19:38:59 ID:ModpVdWw0
ツンの言い回し棘が凄くて好き
97
:
名無しさん
:2018/07/06(金) 23:29:57 ID:YjEk6sEI0
面白い
一番好きだ
98
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:03:34 ID:MZTDFfO.0
ブーンに生姜焼きを振舞うため、腕まくりをし食材を取り出し料理を始める。
その時だった。
(;^ω^)「うぉ?!」
ブーンの短い悲鳴が聞こえた。
急いで駆け寄ってみると、予想外の訪問者に動揺して逃げ遅れた師匠がいた。
ブーンは恐怖のあまりその場にかたまっていた。
仕方ない、潰すフリをして逃がしてやるか――そう考えた時、昔の記憶がよみがえる。
『( ゚∋゚)「虫を素手で潰せる女の人はちょっと」』
嫌な記憶だ。
実はあの出来事はいまだにトラウマなのだ。
ブーンも同じ考え方だったら……そう思うと体は動かなかった。
●(しまった、私としたことが…)
珍しく師匠も動けないでいる。
二人と一匹で呆然と立ち尽くす。
時計の針が進む音だけが聞こえる。
そんな中、意外な人物が一番最初に動いた。
ブーンだった。
近くに落ちていたチラシまとめてを拾うとそれ筒状に丸めた。
(;^ω^)「おぉぉおぉ!」
そう叫びながら師匠に向けて振り下ろす。
99
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:04:13 ID:MZTDFfO.0
●(ぬるい!)
シャッ
バシンッ
(;^ω^)「やったか?!」
私にはしっかりと師匠がそれをかわして逃げていくのが見えた。
しかしブーンはそれに気づいていないようだ。
死骸を確認するために丸めたチラシを持ちあげるが、少し上げたところで止まる。
ξ゚⊿゚)ξ「?」
(;^ω^)「……」
少し考え事をしてから丸めていたチラシを広げて師匠がいた辺りに被せる。
それをまるで今ここにある死骸を処分するかのように包み込むようにして持ちあげ、中身を確認することなくゴミ箱へ。
( ^ω^)b「俺にかかればこんなもんよ!」
嬉しそうに親指を立て上がら勝ち誇る。
しかしその足は震えていた。本当は怖くて仕方なかったのだろう。
本当は仕留めていないが。なにより仕留めたか確認せずいることで万が一の事態を考えないようにしているようだ。
それでもブーンは私にために動いてくれた。虫なんて嫌いで怖い癖に。
それが本当にうれしかった。そんなことしてくれる人は今までの私の人生で1人もいなかった。
そんな時、むかし父さんが言ったセリフを思い出した。
『( ´∀`)「いやいや、男というものはそういう場面で真価を発揮するんだよ母さん。」』
100
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:04:51 ID:MZTDFfO.0
本当にそういう時に真価を発揮する男の人がいるんだ。そう思うと心の底から嬉しさがこみあげてくる。
ξ*゚⊿゚)ξ「ありがとうブーン。」
( ^ω^)「どうってこと!こんくらい。」
そう言うや否や腰が抜けたのかその場に座り込むブーン。
フフフっと私は笑うと料理の続きを始める。
(*^ω^)「うま、うま。」
(*^ω^)「ツンの料理はうまい!」
嬉しそうに食べるブーン。
ξ*゚⊿゚)ξ「当然でしょ。誰が作った料理だと思ってるの?」」
いつにも増して作ったかいがあった。
( ^ω^)「しかしいつからツンは虫が駄目になったんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「へ?」
( ^ω^)「いや殺虫女王って呼ばれてたじゃん。」
ξ;゚⊿゚)ξ「なんでそれ知ってるのよ!」
101
:
名無しさん
:2018/07/12(木) 15:05:34 ID:MZTDFfO.0
(;^ω^)「中学高校一緒だったじゃん。」
ξ;゚⊿゚)ξ「あれ?いたっけ?」
(;^ω^)「そ、そりゃまぁその当時はイケてない組だったけどさ。」
ξ゚⊿゚)ξ「あーそういえば居たね!あれだ相撲部の!」
(;^ω^)「帰宅部です。」
ξ゚⊿゚)ξ「Oh…」
そのあと二人で大いに笑った。
ξ゚⊿゚)ξ「なんだあの時、居酒屋で話しかけてきたのは知ってたからか。」
( ^ω^)「知らない人に話しかけられるほど俺は社交性ないよ。」
ξ゚⊿゚)ξ「私はてっきり面倒なナンパだと思ったはwww」
(;^ω^)「死ぬほど勇気出したからね俺。」
ξ゚⊿゚)ξ「本当それねwww」
ξ゚⊿゚)ξ「かみかみになりながら話しかけてきたから笑いそうになったよwww」
( ^ω^)「笑ってたから君は。そらもう大爆笑してたよwww」
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