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ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです

1名無しさん:2018/06/29(金) 01:16:14 ID:c7W46wXw0
これは1人と一匹の物語

今も虫は嫌いだ。昔は大嫌いだった。とりわけ「それ」は死ぬほど嫌いだった。
小さい頃「それ」は恐怖の象徴だった。遭遇したら恐怖で震え上がり、体が動かなくなるほどだった。
そんな私に人生の転機が訪れたのは小学校五年生の夏だった。
夏休み前のある日学校から帰ると、弟のドクオが私のとっておいたプリンを食べていた。
怒った私はドクオをボコボコにしてやった。
その後私は不機嫌ながらもリビングのテレビをつけソファーに腰を掛けながら「ありえない」「人間としておかしい」などとぶつくさ独り言を言っていた。
ドクオはというと私から少し離れた所で涙目になりながら椅子に座りテーブルに置いたままになっている自分が食べてしまったプリンの容器をじっと見つめていた。
それからほどなくしてドクオが席を立ちトイレのほうへと向かっていった。
「あっ!」と言うドクオの驚きの声がしたので何事かと私もトイレに向かった。
するとトイレの前で固まったまま動かなくなっているドクオを見つけた。
そしてよく見るとトイレのドアの前に「それ」はいた。

ξ;゚⊿゚)ξ「……!」

私も恐怖のあまり体が動かなかったが、今は別にトイレには用がないのでゆっくりあとずさりしようとした。その時だった。

(;A;)

2名無しさん:2018/06/29(金) 01:16:59 ID:c7W46wXw0
ついさっき私に怒られボコられ散々な目にあい、ついにはトイレに行こうとたら「それ」と遭遇してしまった哀れなドクオの顔が目についた。
彼は足を震わせながら必死に恐怖と尿意に耐えていた。しかし、涙目だった目からは涙がこぼれていた。
正直怒られたりしたのはドクオのせいだしご愁傷様と思ったが、もしこのまま私がドクオを見捨てたら……
彼は毎年夏が来るたびに思い出すことになる、小学校一年の頃姉にはボコボコにされゴキブリが怖くてトイレに入れず漏らしてしまったと。
そんな惨めな思いは自分の弟にはさせられない、私が助けてやる!そう強く思った。
思ったと同時に体が動いた。リビングに行き新聞紙を丸め右手に持つとと勢いよく「それ」に向かって振り下ろす。

バシンッ

しかし簡単に避けられてしまった。
それでも何度も振り下ろす。

ξ゚⊿゚)ξ「うおおお」

気づけば無我夢中で叫んでいた。
新聞紙の猛攻から余裕の表情で逃れていた「それ」は悠々と私の左側から逃げようとした。
その時自分でも意識せずに反射で左手が動いた。

バンッ
べチョ

左手の手のひらに気持ち悪い感触が……

ξ;⊿;)ξ「お…おぉ…」

私は泣きながら立ち上げり洗面所へと向かった。

3名無しさん:2018/06/29(金) 01:17:30 ID:c7W46wXw0
夕方両親が仕事から帰り家族四人そろって晩御飯を食べている時にドクオがその時の様子を興奮気味に語った。

(*'A`)「その時ね、姉ちゃんがこうバンバンとこうやって。」

J( 'ー`)し「あらあらそれはよかったわねえ。」

( ´∀`)「ドクオには強いお姉ちゃんがいてうらやましいな。」

ξ*゚⊿゚)ξ「べ、別にあんたのためにやったんじゃないんだからね!」

かなり無理をしたがドクオが元気ならそれでいいそう思った。
それが最初のきっかけだった。それからはそんなに時間はかからなかった。

その事件があった週の土曜日の昼頃、そろそろお昼ご飯かなと部屋でくつろいでいた時に

「ぎゃあああ」

という母さんの悲鳴が聞こえた後

「ツンこっちきてぇえ」

母さんの叫びが聞こえた。
慌てて自分の部屋を飛び出しキッチンへと向かう。
腰を抜かした母さんが「それ」を指さし早くやって!と叫び続けている。

ξ;゚⊿゚)ξ「え?」

あの時は無我夢中だったから勢いでできたが正直いまだに怖いのである。

J(; 'ー`)し「ツン早く!あなたならできるでしょ!」

4名無しさん:2018/06/29(金) 01:17:59 ID:c7W46wXw0
うちの家族はみんな虫……とりわけ「それ」がダメだった。
しかたなしにまた新聞紙を丸め応戦してみる。
今回は腰が引けておっかなびっくりであった。
「それ」はそんな私の攻撃を欠伸が出るぜと言わんばかりにかいくぐり私の足元を抜けていこうとした。

ξ;゚⊿゚)ξ「ヒッ」

自分の方に突っ込んでくるものだから思わず一歩下がってしまった。

ぐちゃっ

ξ;⊿;)ξ「あ……」

タイミングが良いのか悪いのか下がった足で踏みつぶしたのだ。
足の裏にまたあの感触が……

J(; 'ー`)し「あ、ありがとうツン。今日はツンの晩御飯はツンの好きなのでいいわよ。」

5名無しさん:2018/06/29(金) 01:18:28 ID:c7W46wXw0
その日の夕飯はカレー、寿司、ラーメンの三点セットだった。

( ´∀`)「くぷぷぷ」

晩御飯の時の父さんはいつになく上機嫌だった。

( ´∀`)「いやあ今日用事さえなければゴキブリ相手に腰を抜かした母さんが見れたのにな。」

J(;'ー`)し「もういいでしょその話は。」

( ´∀`)「いやいやそんな傑作な話はなかなかないよ。くぷぷぷ」

普段母さんの尻に敷かれている父さんは珍しく強気だ。

( ´∀`)「いい年こいた大人が自分の娘に助けを求めるとはね。」

J(;'ー`)し「父さんだってゴキブリはダメでしょ!」

( ´∀`)「いやいや、男というものはそういう場面で真価を発揮するんだよ母さん。」
( ´∀`)「俺だったらババっと仕留めちゃうね。」
( ´∀`)「腰抜かして慌てふためくなんて。」
( ´∀`)「少なくもツンに助けを求めるなんて無様なマネ俺はしないなあ。」
( ´∀`)「くぷぷぷ」

まるでこの家のヒエラルキートップはこの俺だ!と言わんばかりの父さんを見たのは後にも先のもこの時だけだった。
終焉の訪れは早い。

6名無しさん:2018/06/29(金) 01:19:00 ID:c7W46wXw0
次の日、私と母さんとドクオの三人でデパートにショッピングをしに行き、夕方うちの帰りつくとそこには哀れな父さんの姿が……

(;´∀`)「た、た助けて……助けてくだしゃい……」

窓枠に足をかけカーテンレールやエアコンにつかまり床にいる「それ」から少しでも距離を取ろうとあがく父さんを三人は呆然と見ていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……。」

もう怖くもなんともなかった。スッと近づくと片手でバンッと一撃で潰しておしまいだった。
そのまま何事もなかったように洗面所で手を洗うと

ξ゚⊿゚)ξ「母さん晩御飯作るの手伝うよ。」

('A`)「あ、ボクも手伝いやりたい。」

J( 'ー`)し「ふふふ、ありがとう二人とも。」

そうして三人で何事はなかったかのようにご飯を作り始めた。

(;´∀`)「あ…うん……」
(;´∀`)「今日は調子悪かったからかな。」
(;´∀`)「いや昨日の疲れがひどいせいだな。」
(;´∀`)「そういうことなんだよみんな。」

父さんのヒエラルキーはもろくも崩れ去った。

7名無しさん:2018/06/29(金) 01:19:24 ID:c7W46wXw0
そのころから私にとって虫……「それ」は恐れなどからくる大嫌いからただ鬱陶しい、うざいだけの嫌いになった。
それからというものうちでは虫が出たら私が駆除する役目になった。
それは学校でも

登山

川;゚ -゚)「アアァ!ツンツンツン!虫ムシむしがぁ!」

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、こんなん片手でとって潰してポイよ。」

部活の合宿

ノハ;゚⊿゚)「へ、ヘルプミーマイフレンド!足がいっぱいある虫がおるよぉ」

ξ゚⊿゚)ξ「踏みつぶして終わりよこの程度。」

授業中

(;^ω^)「窓から変な虫が入ってきたお!」

ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわね。」

パンッ

両手で潰して死骸を外に投げ捨てた。

(;^ω^)「お、おぅ」

あれ以来私は何事にも動じず落ち着いて物事に対処できるようになっていた。

8名無しさん:2018/06/29(金) 01:19:51 ID:c7W46wXw0
そんな私にも大学時代恋人ができた。

( ゚∋゚)「ごめん、待った?」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、私も今ついたとこだから。」

クックル君。高校時代はそこそこ強い野球部でキャプテンをしていて大学でも野球をしている。
体は大きくがっしりしていて顔もこわもてだ。そのうえ常に坊主頭にしている。
外見を見れば怖い人だが性格はすごく優しいのだ。
ファミレスのドリンクバーで子供がふざけて遊んでいて誤ってアツアツのスープをかけられた時も

( ゚∋゚)「大丈夫?怪我とかない?」

( ゚∋゚)「あ、俺は大丈夫ですよこれくらい。Tシャツも安物なので弁償といいいですよお母さん。」

( ゚∋゚)「こういうとこで遊んでいると危ないからこれからは気を付けるんだよ。」

と優しく声をかけていた。それ以外でも困っている人がいれば率先して声をかけ、喧嘩があれば持ち前のパワーを生かし、仲裁に入り場をなだめたりしていた。
本当にいい人に出会えたと私は思っていた。本当に大好きだった。
でもことは突然訪れる。

9名無しさん:2018/06/29(金) 01:20:20 ID:c7W46wXw0
prrr

ξ゚⊿゚)ξ「はいもしもし」

(;゚∋゚)「ごめんツン、バイトまでまだ時間あるよね?」

ξ゚⊿゚)ξ「あるけどどうしたの?」

(;゚∋゚)「お願いなんだけど殺虫剤うちまで持ってきてもらっていい?」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふふ、いいよまっててー。」

(;゚∋゚)「ありがとー助かる。」

顔に似合わずかわいいとこあるじゃない。
でも殺虫剤なんかいらない。たまには私のかっこいいとこ見せてあげる――そう思った。

10名無しさん:2018/06/29(金) 01:20:51 ID:c7W46wXw0
クックル君の部屋のドアを開け、「大丈夫?私が来たよー」と言って中に入る。
中に入ってみると部屋の隅にあるベットの上に立ちなるべく「それ」と距離を取りながら固まっているクックル君の姿があった。
なんだか昔見た父さんの姿を思い浮かべた。

(;゚∋゚)「あ、ありがとうツン。は、早く殺虫剤を。」

そういう彼をしり目に私は「それ」にスッと近寄りいつものようにワンパンで仕留める。

(;゚∋゚)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「ま、これくらい私にかかれば朝飯前よ!」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃバイトいってくるね。」

そう言い残して私はその場を後にし、バイトに向かった。

(;゚∋゚)「……。」

大学の講義が終わった平日の夕方と土日はレストランでバイトをしていた。
なかなか繁盛している店で平日でも後片付けを終える頃には夜遅くになってしまう。
その日も片付け終えた頃には11時を過ぎていた。
着替えを終えてさあ帰ろうかという時にクックル君から一通のメールが届いた。

「別れよう」

11名無しさん:2018/06/29(金) 01:21:16 ID:c7W46wXw0
たった一言書いたメールを読んで少し悩んだ。
彼は冗談でそういうことを言ったりする人間ではないからである。
なら友達が――そんなの彼が許すはずない。

prrr

急いで電話をかけてみる。

( ゚∋゚)「すまないツン。」

ξ;゚⊿゚)ξ「え?ちょっとなに急に!」
ξ;゚⊿゚)ξ「本気なの?」
ξ;゚⊿゚)ξ「私何かした?」

( ゚∋゚)「いやちょっと……」

少し沈黙したの後、彼は続けた。

( ゚∋゚)「虫を素手で潰せる女の人はちょっと」

ξ゚⊿゚)ξ「Oh…」

そうして私の初めての恋は終わった。

12名無しさん:2018/06/29(金) 01:21:41 ID:c7W46wXw0
それから私は大学を卒業してそこそこいい会社に入社した。
会社に勤め始めてから一年半ほどで念願の一人暮らしを始めた。
最寄りの駅から徒歩5分オートロックで1LDK、出来てまだ1年ほどしかたっていないマンションだ。

('A`)「いいな姉ちゃん、こんないい部屋借りれて。」

引越しの荷物を運びを終えてドクオが言った。

( ´∀`)「家もこんくらい立派なもんに立て直してもらいたいな。どうだドクオ?」

('A`)「おう!親父の遺産が入ったらそうするよ。」

(;´∀`)「おま…」

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、やること終わったら早く帰ってよ。」

(;´∀`)(;'A`)「いや僕ら今日だいぶ頑張ったんですが!」

(;'A`)「こう労いの言葉とかねぇ。」

(;´∀`)「そうそう。」

13名無しさん:2018/06/29(金) 01:22:10 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「私は一分一秒でも早く一人暮らしがしたいの。なぜわからない?」

ξ゚⊿゚)ξ「虫が出れば金玉ついてんのにわれ先に私に助けを求めてくる根性なしがいるし。」
ξ゚⊿゚)ξ「その玉は偽物か!」
ξ゚⊿゚)ξ「加齢臭のきついおっさんはいるし。」
ξ゚⊿゚)ξ「それとその頭ぁ!ハゲてんのバレてんだよ!むさいカツラかぶってんじゃねぇ鬱陶しい!」
ξ゚⊿゚)ξ「夜は隣の部屋から○○たんサイコー?やはり今期は○○が覇権ですな!とかキモイ声が聞こえるし。」
ξ゚⊿゚)ξ「TENGA使って一人で喘いでんもの全部聞こえてんだよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「だから私はずっと一人暮らしを計画してたわけ。」

( ´∀`)('A`)「」

J( 'ー`)し「でも大丈夫?母さん心配よ。」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫だって。そこの二人と違ってご飯作れるし掃除洗濯もやってたでしょ。」

J( 'ー`)し「そういう心配じゃなくてこの部屋で本当に大丈夫なの?」

母さんが心配するのは訳がある。
この部屋の家賃はたったの1万円なのだ。
いくら何でも安すぎる。

14名無しさん:2018/06/29(金) 01:22:39 ID:c7W46wXw0
J( 'ー`)し「絶対何かあるわこんなに安いのは。」

ξ゚⊿゚)ξ「調べたけどここで自殺とかあったわけでもないし幽霊が出るとかも聞かないから大丈夫でしょ。」

J( 'ー`)し「それでこの安さは怪しいと思うのだけど母さんは。」

ξ゚⊿゚)ξ「ま、何が出ようが私は怖くないね。」

J( 'ー`)し「でも何かあったら連絡しなさいよ。すぐに駆けつけるから。」

ξ゚⊿゚)ξ「うん、ありがとう母さん。」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあ愚かな弟よ母さんを頼むぞ。あとついでにそこのロートルも。」

( ´∀`)('A`)「……」

そうして家族は帰っていった。
一人になり部屋に静けさが訪れる。
やはり一仕事終えるとだいぶ疲れる。明日は仕事だし早く寝るかな。そう思っている矢先だった。

15名無しさん:2018/06/29(金) 01:23:02 ID:c7W46wXw0
カサッ

カサカサッ

おいおいどっから入ってきた。
それとも荷物に紛れ込んでいたのか?
まあいい、寝る前に一仕事するか。
ゆっくり腰を上げて周りを見渡す。

カサカサッ

ピタッ

標的を見つけた。
向こうもこちらをじっと見ている。

やることはいつもと変わらない。
勝負は一発で決める。一発だ。
「それ」が動くより先に渾身の右をぶちかます。
そういつもの通りに。

バンッ

右の手のひらと床がランデブーした。だが……

ξ゚⊿゚)ξ(む…外したか)

16名無しさん:2018/06/29(金) 01:23:29 ID:c7W46wXw0
なかなかやるじゃない。
久しぶりにちょっと本気を出すかな。
そう思いながら「それ」ともう一度目を合わす。
今度は前傾の姿勢を取りながら構える。
これで終わりだ。そう思いながら思いながら動こうとした瞬間だった。

●「素手でくるとは中々勇ましいお嬢さんだな。」

ξ゚⊿゚)ξ「!」

「それ」がしゃべった。

だがそんなことはどうでもいい。たとえ「それ」がしゃべろうがなんだろうがやることは変わらない。
さっきより速いスピードで右を叩き込む。

バンッ

●「あぶな!」

当たらない
なら当たるまで何度でも

バンバンバンッ

17名無しさん:2018/06/29(金) 01:23:57 ID:c7W46wXw0
●「いやちょっと待って!いったん落ち着こうよ!」

カサカサッ

バンバンバンッ

●「これは穏やかじゃないね。」

ξ゚⊿゚)ξ「貴様何者だ!」

●「私か?私はちょっと変わったゴキブリさ。」

●「私のことは師sh――

バシンッ

●「ちょっと危ないって!」

ξ゚⊿゚)ξ「ちっかわしたか。」

●「えぇこわ…。」

●「こんな穏やかじゃない人間は初めてだよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリ風情がなに人様の言語使ってるんだよ。」

バンッ

●「お願いだから自己紹介させて。」

18名無しさん:2018/06/29(金) 01:24:24 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ(こいつはかなりやるようだな。少し好きにさせて様子を見るか。)
ξ゚⊿゚)ξ(だがこいつがこの部屋を1万円に至らしめた原因なのは間違いない。)

●「さっきも言ったが私はちょっと変わったゴキブリさ。」

●「私のことは師匠と呼んでくれ。」

ξ゚⊿゚)ξ「おいおいテメー頭脳が間抜けか?ゴキブリはしゃべらねーだろうがよ。」

●「だからちょっと変わったって言ってるじゃないか。」

●「妖怪でいう猫又のゴキブリ版みたいなものかな?こう見えてすごい長生きしてるんでね。」

ξ゚⊿゚)ξ「猫又なんて実在しねーよ。何言ってんだテメー。」

●「なかなか攻撃的なお嬢さんだな君は。」

●「しかしそれはいけないな。女性というものはもっと淑やかじゃないと。」

ξ゚⊿゚)ξ「古臭いこと言いやがって、人間様に説教とはいい度胸じゃねえか。」

●「どうどう、なぜ私が君の前に姿を現したか知りたくはないかい?」

ξ゚⊿゚)ξ「ほう、言うてみい。」

19名無しさん:2018/06/29(金) 01:24:51 ID:c7W46wXw0
●「まあなんというか。」

●「そのな。」

●「私は君と……」

●「そ、その…と、友達になりたいんだ!」ポッ

ξ゚⊿゚)ξ「あぁん?」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

ξ゚⊿゚)ξ「そうかそうか。」

ξ゚⊿゚)ξ「友達になりたいか。」

ξ゚⊿゚)ξ「うん、よしよし。」

ξ゚⊿゚)ξ「それならばもう少し近寄れい。友になりたいのなら距離があっちゃまずいのう。」

20名無しさん:2018/06/29(金) 01:25:19 ID:c7W46wXw0
●「!」

●「おう!」

カサッ

ξ#゚⊿゚)ξ「おらぁあ!」

バシンッ

●「本当もう怖いこの娘。」

ξ゚⊿゚)ξ「ちぃ、かわしたか。」

それが私と師匠の出会いだった。

21名無しさん:2018/06/29(金) 02:58:44 ID:uZZzLHjQ0
タイトルからして刃牙かな?と思ったら案の定バトル物でなんかワロタ

22名無しさん:2018/06/29(金) 03:22:24 ID:tjJYxlqI0
ツンの柄が悪すぎwww

23名無しさん:2018/06/29(金) 06:15:43 ID:gQwPjXw.0
熱い展開だな


24名無しさん:2018/06/29(金) 10:24:22 ID:Y1dfGU5.0

スゲェ度胸してんな・・・

25名無しさん:2018/06/29(金) 22:01:07 ID:ICaLeaK60
わくてか

26名無しさん:2018/06/29(金) 22:21:57 ID:c7W46wXw0
その後何度も猛攻を仕掛けたがすべてかわされてしまう。
それでも奴は話しかけてきたが面倒になったので布団に包まって無視して寝た。
翌日の朝も、やあ昨晩はよく寝れたかい我が同居人――などと言ってきたがこれまた無視。
そのまま会社に出かける。

ξ゚⊿゚)ξ「あーもう、昨日は本当に信じられない。」

川 ゚ -゚)「どうしたツン。珍しくイライラしてるじゃないか。」

(*゚ー゚)「そういえば昨日は引っ越しって言ってたね、なにかあったの?」

お昼休み珍しく愚痴をこぼしてしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「いやー昨日の夜ね、新居でゴキブリが出てさ。」

ξ゚⊿゚)ξ「これがなかなかしぶといのなんの。最悪ったらありゃしないの。」

川; ゚ -゚)「な!あの殺虫女王といわれたツンでも仕留めれないなんて。」

ξ゚⊿゚)ξ「まあゴキブリなんて害はないから別にどうでもいいんだけどね。」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと待って殺虫女王ってなによ!」

(*゚ー゚)「ゴキブリと同居とかマジムリ。私なら三秒で引っ越すわ。」

ξ゚⊿゚)ξ(そのおかげであの家賃なら儲けもんだけどね。)

27名無しさん:2018/06/29(金) 22:22:26 ID:c7W46wXw0
その日も仕事を終え新しい自宅へと帰路につく。
帰りに殺虫剤かなにか買っていこうか考えたが――
夕食の材料などの買い物を済ませ自分の部屋のドアを開ける。
開けた瞬間実家のようにただいまと言いそうになったが、昨日から一人だったことを思い出した。
無言で中に入りドアを閉める。

「おかえり」

ξ゚⊿゚)ξ「!」

思いがけない言葉が聞こえた。

●「お仕事お疲れ様。いつも帰ってくるのはこの時間かい?」

……ああこいつか
まさかこいつからおかえりなんて言われるとは思ってもいなかった。
だが早急に始末しなくては。

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ただいま。」

ξ゚⊿゚)ξ「私ね今日仕事中ずーっと考えてたのよ、あんたのことどうするか。」

ξ゚⊿゚)ξ「まあ噛みついてきたりするわけでもないしね。ペット感覚で飼ってやろうかなって。」

●「ペットって…。」

●「それでも君と仲良くなれるなら私はそれでも構わないよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「そう。それならはいこれ。今日のあなたの晩飯。」

28名無しさん:2018/06/29(金) 22:22:53 ID:c7W46wXw0
そう言ってビニール袋から『殺虫王ゴキブリ抹殺丸』を取り出し目の前に置く。
この『殺虫王ゴキブリ抹殺丸』とは最近CMで話題の殺虫剤だ。丸い容器の中にゴキブリが好むにおいを出すゼリー状の殺虫剤がある。
そのゼリーを食べるとすぐには死なず、巣に帰ったころに死んでしまうようになっている。
その死んだゴキブリやその糞を他のゴキブリが食べることにより一網打尽に出来る優れモノなのだ。

ξ゚⊿゚)ξ(さあ早く食え!)

●「これCMでやってる最近のやつじゃん。」

ξ゚⊿゚)ξ「!?」

よく見ると部屋のテレビがついていた。朝は消して出て行ったはずなのに。

ξ゚⊿゚)ξ「貴様まさかテレビを!」

●「ゴキブリってねカブトムシ程ではないけどそれなりに力があるんだよ。」

●「で、私は他のより長生きしてる分ちょっと強いんだ。」

●「テレビのボタンくらいならかなり無理すればなんとかね。」ドヤッ

ξ#゚⊿゚)ξ「昆虫風情が文明の利器を使うとはおこがましい!」

その日も夜遅くまでどんちゃん騒ぎだった。

(´・ω・`)(上の階の人うるさいな)

29名無しさん:2018/06/29(金) 22:23:20 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ「ギギギギギ」

川 ゚ -゚)「昨日より悪化してるな。」

(*゚ー゚)「牛乳飲む?」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴクゴクゴクゴク」

ξ゚⊿゚)ξ「ぷはぁ」

ξ*゚⊿゚)ξ「やはり特濃牛乳は至高ね。」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう、しぃ。おかげで落ち着いたよ。」

(*゚ー゚)「全部飲んでいいとは言ってないんだけどね。カルシウムとれた?」

川 ゚ -゚)「まだ例のゴキブリを仕留めれてないのか?」

ξ-⊿-)ξ「奴は今まで倒してきたやつらとは格が違う。正直私より強い。」

ξ゚⊿゚)ξ「だが確実に仕留めて見せる。勝つのはこの私だ!」

川*゚ -゚)「おお!ツンが殺虫女王と呼ばれていた頃の目に戻った。」

(*゚ー゚)「いや、ゴキブリ相手にそこまでなる?」

そうやっていつも通り騒いでいる昼休み。
おーい、ツン君ちょっといいかい?という声が聞こえた。
声の主は上司のショボンだった。

30名無しさん:2018/06/29(金) 22:23:49 ID:c7W46wXw0
(´・ω-`)「お昼休み中悪いんだけど後でこの掲示物張っていてもらってもいいかな?」

一つ返事で分かりましたと返した。

ドスン

ξ;゚⊿゚)ξ「ファッ!」

想像していた以上の量だった。

(*゚ー゚)「ちょっとショボンさん、これは多すぎでは?」

(´-ω-`)「すまないねぇ。上のほうから僕らの部署に渡すの忘れていたみたいで数か月分たまっててね。」

そう言いながらショボン上司はかなりウトウトしていた。

川 ゚ -゚)「ショボンさんだいぶお疲れのようですが大丈夫ですか?」

(´-ω・`)「それが最近引っ越してきた上の階の住人が毎晩うるさくてね。寝不足なんだよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「それはお気の毒ですね。」

(*゚ー゚)「ショボンさんはそういう時にガツンと言ったほうがいいですよ。いつもオドオドしてるからみんなに舐められるんですよ。」

(;´・ω・`)「そうなんだろうけど、僕はあまり争いごととかは好きじゃないんだよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「なら私がガツンと言ってきましょうか?『貴様のような奴を生んでしまった哀れな親の顔が見てみたい』って。」

(;´・ω・`)「大丈夫だと思うよ。僕の上の部屋は新しい人が来ても一か月たたないで出てくから。」

31名無しさん:2018/06/29(金) 22:24:18 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「へーそうなんですか。」

(´・ω・`)「なんでかは知らないけどみんな逃げるように出ていくみたい。」

(´-ω-`)「だから少し辛抱すればいいんだ。」

(´-ω・`)「そういうわけだからツン君よろしく頼むよそれ。」

敬礼をして了解ですとやる気のない返事をしてから横の友人二人を見る。

川 ゚ -゚)「おっとそろそろ昼休み終わるから仕事に戻らねば!」

(*゚ー゚)「あーあ、そういえば今日中に片付けないといけない仕事があったんだ、やばーい!」

そう言うと二人は休憩室を後にした。
仕方ない一人でやるか。
さっさと終わらせて自分の本来の仕事をしなくては。
そう思いながら掲示板の前に立つ。
掲示物を右足の前に画鋲を左足の前に置く。

32名無しさん:2018/06/29(金) 22:24:43 ID:c7W46wXw0
ξ-⊿-)ξ

目を閉じ全身の力を抜き脱力する。
深呼吸をして呼吸を整える。

ξ゚⊿゚)ξ

カッと目を見開くと同時に全身全霊で腕を動かす。

ξ#゚⊿゚)ξ「イィヤアァアア!」

ダダダダダダ!

わずか数秒足らずで掲示板いっぱいに張り終える。
まだだ……まだ足りない。
この程度では奴にカスリもしない。
ならば人間らしく頭を使った戦い方をするまでだ。

33名無しさん:2018/06/29(金) 22:25:07 ID:c7W46wXw0
うちに帰りつくと

●「お帰り、今日もお疲れだったね。」

奴を無視すると夕食の準備に取り掛かる。

●「おいおい、今日も肉ばかりじゃないかもっと野菜も取らないと。」

●「偏った食生活は体によくないぞ。」

ξ゚⊿゚)ξ「ムシャムシャ」

今日はひたすら無視をする。
お風呂に入り体を十分にマッサージしリラックスする。

●「――」

その間もひたすらしゃべりかけてくるが聞く耳は持たない。
そして座禅を組み瞑想する。

ξ-⊿-)ξ

●「なあそろそろ名前くらい教えてくれてもいいじゃないか――

それを皮切りに戦闘を始める。

34名無しさん:2018/06/29(金) 22:25:36 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ「ドォララララァ!」

両腕で張り手を雨のように降らす。

ドドドドドドドドドッ

●「おっと危ない。」

口では危ないと言っているがその表情は余裕であった。

ξ#゚⊿゚)ξ「ならば全力全開じゃぁ!」

スピードを全開にする。

ガガガガガッ

●「ふぅむ。」

しかしそれでも届かない。全てひらりひらりと躱してしまう。

ξ#゚⊿゚)ξ「おのれぇ!」

35名無しさん:2018/06/29(金) 22:26:00 ID:c7W46wXw0
カサッ

●「だからいつも言ってるじゃないか女性というものはだな――

狙い通りだ。
こいつはいつも説教をほざくときは私に少し近づく。

ξ#゚ー゚)ξ「もらったぁ!」

掌底打ちを放つ。

●「!?」

狙いはこいつじゃない。
床に向けて放ったのだ。
その衝撃はすさまじく周りの家具を少し浮かすほどだった。
もちろん奴も。

●「し、しまった!」

36名無しさん:2018/06/29(金) 22:26:25 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ(ゴキブリは飛ぶことができる。しかしそれは蜻蛉や蠅に比べたらごみも当然)
ξ#゚⊿゚)ξ(地面にはいつくばってうろちょろ鬱陶しいなら浮かすまでのこと)

ξ#゚⊿゚)ξ「これで終わりじゃぁ!」

握りつぶそうと右手を伸ばす。

ξ#゚⊿゚)ξ(勝った!)

そう思った瞬間だった。

シュンッ

ξ#゚⊿゚)ξ「!?」

奴が消えた!?
私の右腕はむなしく空を切る。

ξ#゚⊿゚)ξ「ば、馬鹿な!?」

37名無しさん:2018/06/29(金) 22:26:51 ID:c7W46wXw0
●「久しぶりに本気を出したかな。」

後ろから声がした。
見えなかった。それほどの早さだったのだ。
だがこれが今出せる全力だった。

ξ#゚⊿゚)ξ「くそがぁ!」

ドンッ

思い切り床をたたく。

●「お嬢ちゃんは強いよ。」

●「私が出会った人の中では二番目だよ。」

●「ちなみに一番は武蔵だな。」

38名無しさん:2018/06/29(金) 22:27:11 ID:c7W46wXw0
ξ#゚⊿゚)ξ「あぁ?」

●「あの有名な宮本武蔵だよ。」

●「彼は素晴らしい人間だったよ。」

●「そうだ彼との思い出を語ってあげよう。」

●「彼との出会いは――

何か言っているようだったがだいぶ疲れた。
ξ゚⊿゚)ξ(今日はもう寝よう)

(;´・ω・`)(本当になんなの上の人)

39名無しさん:2018/06/29(金) 22:27:52 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「はー」

川 ゚ -゚)「おい、どうしたツン?目が死んでるぞ!」

ξ゚⊿゚)ξ「いやこうも負け続けると今まで積み上げてきた自信てものがね。」

ξ゚⊿゚)ξ「はー」

(*゚ー゚)「そんなことで明日のプレゼン大丈夫なの?」

ξ゚⊿゚)ξ「はー」

ξ゚⊿゚)ξ「プレゼン?」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ゚⊿゚)ξ「あー」

すっかり忘れていた。明日はうちの部署の企画発表だ。このよしあしが査定に響く。
引っ越し終えたらサッと終わらせる気でいたが、奴に気を取られて忘れていた。

40名無しさん:2018/06/29(金) 22:28:19 ID:c7W46wXw0
(;´-ω-`)「ほんと明日は頼むよツン君。」

フラフラとショボンさんがあらわれた。

(*゚ー゚)「だいぶ顔色悪いようですが、大丈夫ですか?」

(;´-ω-`)「大丈夫、きっとあと数日もすれば…」

(;´-ω・`)「そう僕は信じている。だから大丈夫さ。」

ξ゚⊿゚)ξ(そうかあの頼りないショボンさんも必死に戦っているんだ)

ξ゚⊿゚)ξ(私もこんなことで挫けていられないね)

ξ゚⊿゚)ξ「ショボンさん!私も頑張ります!だからショボンさんも頑張りましょう。」

川 ゚ -゚)「おお!ツンが息を吹き返した!」

川 ゚ -゚)「これは勝ったな!」

(*゚ー゚)「いや、なにに?」

(;´-ω-`)「なにはともあれ明日はよろしく頼むよツン君。」

はいっと元気よく返事をしてよろよろと歩いていく上司を見送った。

41名無しさん:2018/06/29(金) 22:28:51 ID:c7W46wXw0
夕方、会社で残業していくより家に持ち帰ってやる方が私ははかどるタイプだ!と自分に言い聞かせて帰宅した。
正直会社で夜遅くまで仕事するなんてナンセンスだ。家でテレビや動画見ながらやるほうがリラックスするしアイデアもでる。
夕食をサッとすませ周りで戯言をぬかす奴は無視して作業にかかる――

ξ゚⊿゚)ξ「ハハ、ワロス。」

テレビを見ながら独り言。
この番組が終わったら本気出す。
それからやり出せばいつもより寝るのが少し遅い時間帯になるくらいですむだろう。
きっとそうだ――そう思った矢先だった。

プツン

突然テレビが消えた。
停電?いや違う。

ξ#゚⊿゚)ξ「貴様何のつもりだ!」

●「駄目じゃないか!今日は仕事を持ち帰ってきているのだろ?」

●「なら先にそっちに集中しなくちゃ!」

42名無しさん:2018/06/29(金) 22:29:18 ID:c7W46wXw0
ξ゚⊿゚)ξ「おいおい、仕事もせずに人様の食べカスや残飯をコソコソカサカサ食い荒らしてるだけの生物が」

ξ゚⊿゚)ξ「日頃必死に働いて生きている私に意見を申すというのか?」

ξ#゚⊿゚)ξ「恐れ多いぞ!無礼者!」

●「私は君のことを思って言っているんだぞ!」

ξ゚⊿゚)ξ「私には私のペースってものがある。」

●「そう言ってる割には進んでないじゃないか。」

ξ゚⊿゚)ξ「もうちょっとしたら本気出す。」

●「それダメなパターンのやつだよ。」

●「ちょっと私に見せてみなさい。」

そういうと奴はテーブルの上に置いてあるノートパソコンに飛び乗り私の作っているパワーポイントに目を通し始めた。
おや、今始末する絶好のチャンスじゃないそう思った時


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