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(´・_ゝ・`)ペアリングのようです(゚、゚トソン
1
:
名無しさん
:2018/01/02(火) 16:02:26 ID:Q.JOBvVs0
彼は、私の主人。
彼は、私の事を名前で呼ぶ。
彼は、大の甘党。
.
353
:
名無しさん
:2018/12/17(月) 19:08:31 ID:9Nd8Flc60
やっぱりこの作品好きだわ
354
:
名無しさん
:2018/12/18(火) 15:07:42 ID:7HMMgovY0
otudesu
355
:
名無しさん
:2018/12/20(木) 21:11:19 ID:VdyFhTzY0
おつ!思わず涙ぐんでしまったよ…
デレ天使…
デミタスもトソンも幸せになって
356
:
名無しさん
:2018/12/22(土) 20:14:43 ID:6XX4amWY0
来てたのか、乙!
デレ良い子だなあ、トソンには幸せになってほしい
357
:
名無しさん
:2018/12/24(月) 11:25:24 ID:MciMOk1I0
乙!話が進んできたなー
358
:
名無しさん
:2018/12/24(月) 14:20:37 ID:rOnlgUJk0
やはり天使(デレ)が出てきたか
乙!
359
:
名無しさん
:2019/01/01(火) 22:46:41 ID:SSN3SK2c0
おつです
読んでてすごく楽しいです
360
:
名無しさん
:2019/01/12(土) 16:51:52 ID:RpNdODkQ0
まってる
361
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:45:35 ID:zgb/ah/k0
番外編投下します
362
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:46:08 ID:zgb/ah/k0
あの頃の小さな幸せを、ふとした瞬間に思い出す。
.
363
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:46:38 ID:zgb/ah/k0
番外編: チョコレートの数だけ強くなれる
.
364
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:47:23 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン トソン。トゥインクル。ツマミになるチョコがけ柿の種とかが好き。
ζ(゚ー゚*ζ シンデレラ。カカオ99%のチョコを食べて絶望したことがある。
.
365
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:48:10 ID:zgb/ah/k0
ガヤガヤと賑やかなスーパーの一角。
季節より少しだけ早めに品物が並んでいるのを見て、ため息をつきそうになる。
(゚、゚トソン「お正月が終わったと思えば豆とチョコのターン」
(゚、゚トソン「小売業界も大変ですね」
(゚、゚トソン「イベント事はなぁ…稼ぎ時な判明、色々面倒だったんですよねぇ…」
前職のことを思い出す。
日本人はイベント事が好きである。
そのイベントに便乗して色々な企画を立てて、金を稼ぎ出す。
企画に合わせたコスチュームを纏い、ゲームをして高い高い酒を頼ませる。
誕生日を始めハロウィン、クリスマス、もちろん2月の大イベントであるバレンタインも例外ではなかった。
「チョコあげるから会いに来てね」と女の子たちは店に誘い出す。
その『釣り餌』であるチョコレートは自分達で用意をしていた。
甘いもののイベントなのに、苦いものを食べたような気持ちになる。
あまり良い思い出ではない。
(゚、゚トソン「ああでも一度だけ……楽しかった時がありましたっけ…」
366
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:49:06 ID:zgb/ah/k0
〜〜〜〜〜〜
ζ(゚ー゚*ζ「トゥーイーンー」
ζ(゚ー゚*ζ「クルちゃん!!」
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん!!チョコ作ろう!」
彼女はいつでも元気だ。
たとえ連勤が続いた朝でも。
私はあまり元気ではなかったが、彼女の笑顔に少しだけ力を貰っていた。
(゚、゚トソン「…お猪口ですか?じゃあ陶芸教室探しましょうか」
ζ(゚ー゚*ζ「違うよー!バレンタイン!のチョコレートのお菓子!」
(゚、゚トソン「バレン……タイン…」
(゚、゚トソン「忌まわしきカタカナイベント第3位ですね…ああもうそんな時期ですか…お客に用意するの大変だから嫌いなんですよねぇ…」
ζ(゚ー゚*ζ「そうなの?私はねぇ、イベント事ってワクワクするから大好き!」
(゚、゚トソン「シンデレラちゃんは良い子ですね…」
ζ(^ー^*ζ「本当?えへへ!」
この笑顔を客どもに見せたら指名ナンバーワンに登りつめるだろうな、と思う。
可愛らしい。何なら私が貢ぎそうになる。危ない。
367
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:49:51 ID:zgb/ah/k0
ζ(゚ー゚*ζ「あのね、たくさんは難しいけど、常連さんとかいっぱい指名してくれる人には手作りのをあげたいなぁって思って」
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん、いつも手作りのお菓子くれるでしょう?あれすっごく嬉しくて、胸がポカポカになるんだぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「だから私も、お客様にポカポカになってもらいたくて…」
(゚、゚トソン「うっ…」
ζ(゚、゚*ζ「ど、どうしたのトゥインクルちゃん!大丈夫?」
(゚、゚トソン「眩しすぎて目が…大丈夫です大丈夫です…」
(゚、゚トソン「シンデレラちゃんに頼まれて断れる人間はいません、是非一緒に作りましょう」
ζ(゚ー゚*ζ「本当?ありがとう!」
368
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:50:30 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「じゃあ簡単なやつ作りましょうね。シンデレラちゃんが怪我とかしないようなやつを…」
ζ(゚ー゚*ζ「頑張るよー!」
(゚、゚トソン「まずはこれ、板チョコを用意します」
ζ(゚ー゚*ζ「しました!」
(゚、゚トソン「湯煎します」
ζ(゚、゚*ζ「ゆせん…」
(゚、゚トソン「チョコをお湯の熱で溶かすことです」
ζ(゚ー゚*ζ「お風呂に入れてあげるんだね!」
(゚、゚トソン「あ、お湯に直接入れちゃダメですダメですそれダメです、五右衛門風呂的な感じで…」
369
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:51:11 ID:zgb/ah/k0
ζ(゚ー゚*ζ「良い匂い〜」
(゚、゚トソン「この溶けたチョコレートの中にクリームチーズを入れます」
ζ(゚ー゚*ζ「チーズだぁ!」
(゚、゚トソン「一緒に溶かして混ぜます」
ζ(゚ー゚*ζ「混ぜるの楽しいね!」
(゚、゚トソン「それは良かった。その中に砕いたナッツ類と洋酒に漬け込んだドライフルーツを入れます」
ζ(゚ー゚*ζ「わぁ!ドライフルーツ大好き!」
(゚、゚トソン「…」
☆゚・*:.。.:ζ(゚ー゚*ζ☆゚・*:.。
@ヾ(゚、゚トソン「……」
ζ(^〜^*ζ"もぐもぐ
ζ(^ヮ^*ζ「美味しい!」
(゚、゚トソン「それは良かった」
370
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:51:48 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「ラップで巻いて筒状にして、冷蔵庫でしばらく固めます」
ζ(゚ー゚*ζ「形が恵方巻きみたいだね!」
(゚、゚トソン「ついでに節分気分にもなれますね」
@ヾζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん、あーん!」
(゚〜゚トソン「んむ」
(゚、゚トソン「…美味しいです」
ζ(゚ー゚*ζ「ね!年の数だけ食べると良いんだよね!」
(゚、゚トソン「豆をですね」
ζ(゚ー゚*ζ「何でお豆さん撒いたりするんだろね?」
(゚、゚トソン「何でですかね?」
371
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:52:33 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「固まりました。これにココアパウダーをまぶして切って、チョコレートサラミの完成です」
ζ(゚ー゚*ζ「わぁい!作れたよトゥインクルちゃん!」
(゚、゚トソン「お菓子名を伝えたら、サラミにチョコレート掛けようとしたのには驚きましたが無事出来て良かったです」
"ヽζ(゚ー゚*ζノ"「よいせ、ほいせ」
(゚、゚トソン「?」
◾️⊂ζ(゚ー゚⊂ζ「はい!簡単なラッピングでごめんね」
(゚、゚トソン「え、っと、あの…これ…は、お客にあげるものでは?」
ζ(゚ー゚*ζ「残りはね!でも、一番にトゥインクルちゃんに渡したかったの」
ζ(^ー^*ζ「友チョコというやつです!」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「ありがとう…ございます…」
ζ(゚ー゚*ζ「こちらこそ、いつも仲良くしてくれてありがとうだよ!」
372
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:53:41 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「お返しを…何が欲しいですか?現金?ブランド物?何でも言ってください」
ζ(゚ー゚*ζ「良いの?じゃあねじゃあね、ホットチョコレートが飲みたいな!」
(゚、゚トソン「そんなもので良いんですか…?」
ζ(゚ー゚*ζ「私、トゥインクルちゃんが作ってくれるあれ大好き!」
(゚、゚トソン「すぐに作りますね」
ζ(゚ー゚*ζ「わーい!チョコレートパーティだね!用意するよ!」
(゚、゚トソン「ありがとうございます」
(゚、゚トソン「小鍋に牛乳を入れて、紅茶のティーパックを煮ます」
(゚、゚トソン「チョコをみじん切りしたものを入れて溶かして」
(゚、゚トソン「コップに移して、ほんの少しブランデーを入れて」
(゚、゚トソン「出来ました」
ζ(゚ー゚*ζ「良い匂いだね〜!」
373
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:54:34 ID:zgb/ah/k0
ζ(゚ー゚*ζ「いただきます!」
(゚、゚トソン「いただきます…」
ζ(゚ー゚*ζ「?食べないの?」
(゚、゚トソン「すぐに無くなってしまうのがなんか…勿体ない気がして」
ζ(゚ー゚*ζ「そしたらね、また一緒に作ろ!それでまたおやつパーティしよ!」
ζ(^ー^*ζ「ね!」
(゚、゚トソン「…」
(゚ー゚トソン「…はい」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら食べて食べて」
(゚、゚トソン「むぐぐ…ん…」
(゚、゚トソン「美味しいです」
ζ(゚ー゚*ζ「ホットチョコレートも美味しいよ〜」
(゚、゚トソン「チョコチョコしてますね」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、本当だねチョコチョコしてる」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、幸せ!」
(゚、゚トソン「あっシンデレラちゃん、全部食べるとお客の分なくなりますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「あっ、そっかぁ」
374
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:56:37 ID:zgb/ah/k0
〜〜〜〜〜〜〜〜
ココアパウダーのほろ苦さと、クリームチーズと混ざったチョコレートの爽やかな甘さを思い出す。
あの時のあの味は、きっとずっと忘れないだろう。
(゚、゚トソン「……懐かしい…」
(゚、゚トソン「今日の主人のおやつ、チョコレートだらけにしましょうかね」
板チョコを手にして、現職の雇用主のことを考える。
下がり眉の主人は、甘いものなら何でも喜ぶ。
チョコレートだらけのおやつタイムもきっと喜びそうだな、と思う。
(゚、゚トソン「そして私はお高めのシャンパンと一緒にペアリングを楽しみましょうかね」
主人の金で買った秘蔵のものがあるのだ。俄然楽しみになってきた。
少しだけ余ったら、あの雑魚の弟分のような奴にくれてやっても良い。
イベント事は嫌いだが、ほんの少し楽しくなってきたのは久しぶりだった。
ついでに節分ではなぜ豆を撒くのか聞いてみようかと考えながら、おやつの材料を買い物カゴに入れた。
特別編:終
375
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:59:00 ID:zgb/ah/k0
以上、特別編でした
ちなみに雑魚はインフルにかかって来店していないのでシンデレラの手作りチョコはもらってません
皆様もハッピーバレンタイン
ありがとうございました
376
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 12:26:27 ID:LxFfe0e20
乙です
雑魚……。
377
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 12:50:11 ID:qe3v8GRM0
シンデレラ可愛い
378
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 17:02:47 ID:6OcaCpGc0
乙ー
379
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 22:44:37 ID:6bt6M.zc0
乙です!
今日バレンタインだから来てたら嬉しいなと思ったら本当に来てて感動です!
シンデレラが眩しい…
雑魚…本当に雑魚…
380
:
名無しさん
:2019/02/15(金) 08:26:46 ID:HYtOvJ.U0
雑魚に幸あれ
381
:
名無しさん
:2019/02/17(日) 21:41:01 ID:VBZECl2Y0
投下来てたのか!乙!
雑魚はやはり雑魚…
382
:
名無しさん
:2019/03/12(火) 19:31:25 ID:hMsmf6U60
次は四月かな?
乙
383
:
名無しさん
:2019/03/21(木) 03:21:48 ID:nGslScPk0
乙ュッ
384
:
名無しさん
:2019/07/04(木) 00:45:15 ID:UKch99wE0
まだかな
385
:
名無しさん
:2019/07/04(木) 02:45:29 ID:TrXRz87w0
作者様、お疲れ様です。
続きを楽しみに待っています!
386
:
名無しさん
:2019/08/07(水) 19:27:41 ID:2Kp9M8WI0
待ってる
387
:
名無しさん
:2019/09/27(金) 12:56:56 ID:oPPekz4Q0
続き待ってます!
388
:
名無しさん
:2019/11/29(金) 00:42:13 ID:vZU/m9Z.0
待ってるよ〜
389
:
名無しさん
:2020/08/06(木) 06:54:03 ID:uXY0qjnQ0
デミタスの長い自粛……
続き待ってます!
390
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 02:36:08 ID:0X68ED960
甘いものお供えしたらデミも出てくるかな
続き待ってます!
391
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 04:41:16 ID:VfqeLqo20
飯描写が本当にウマそう
392
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:09:37 ID:T0GOC9/A0
11 甘酒を点滴に繋ぎたい
.
393
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:10:19 ID:T0GOC9/A0
(´・_ゝ・`) デミタス。屋敷の主人。誰かの主人。絶賛引きこもり中。
(゚、゚トソン トソン。屋敷の使用人。絶賛頭抱え中。
394
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:11:05 ID:T0GOC9/A0
主人が部屋に篭ってから丸一日が経った。
その1日の間、私は何も出来ていない。
そもそも脚立から落ちて目が覚めて、疑問に思っていたことを聞いてみたら主人が引きこもってしまった、という怒涛すぎる展開に、頭も体も心もついていけなかった。
(゚、゚トソン「はー、本当意味わからん…」
キッチンで温めなおした甘酒を飲みながら溜息をつく。
私の貴重な幸せが一つ逃げてしまった。
幸せ
そう、幸せだ。
私は幸せになるために、この館のこと、主人のことを聞いた。
どうやらそれが地雷だったらしい。
.
395
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:11:38 ID:T0GOC9/A0
おやつ抜きと言ったら泣き喚くような、おやつの時間をずらしたら死にそうになっていたあの主人が、1日(私が倒れていたのも合わせると2日だ)甘いものを口にしていない。
まさかまさか中でしん…と思いドアを蹴り飛ばしたら『やめてください』と書かれた紙が隙間から出てきたので、大変なことにはなっていないようだった。
主人の部屋はアホみたいに広く、中にトイレもついているので引き籠るにはうってつけではあるが、食べ物は常備していない。
おやつだけではなく食事も口にしていないのだ。
このまま引き篭もり?立てこもり?を続けられるのは困る。
(゚、゚トソン「どうしたものですかね…雑魚でも連れてくる?いやいやあの雑魚に何かできるとは思えん…というかシンデレラちゃんに告れたかな…」
(゚、゚トソン「んん〜どうしたものか…というかこの甘酒本当に美味しいな…」
この甘酒は蛯沢様から頂いたものらしい。
私が倒れている間に宅配物が届いたそうだ。
今度ぜひ作り方を聞きたい。
396
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:12:12 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「……蛯沢様」
蛯沢様。
蛯沢でぃ様は昔、この屋敷で働いていた。そればかりか主人が小さい頃からお世話になっていたと言っていた。
一度だけ会ったことがある。
色んなものを作っているらしく、そういえばあの時いただいた果物は大変素晴らしかった…
思い出しただけでも涎が…
(゚、゚トソン「ん」
───果物と一緒に頂いたものがあった。
.
397
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:12:39 ID:T0GOC9/A0
ドタドタドタドタ
走って自室に向かった。
私以外の使用人がいなくて良かった。
ガサツな動作にお叱りが入っていただろう。
あまり物を持っていない私の、スカスカの箪笥の2段目を開く。
(゚、゚トソン「これだ…!」
でぃ様から頂いた、『何かありましたら』という一言と住所などが書かれた紙。
一度お礼に主人が撮った写真を送ったことがある。
恐らく、出鱈目な住所ではなくちゃんと住んでいる。
(゚、゚トソン「主人のことをよく知っている人物…」
今の私には大事な大事なアイテムとして、輝いて見えた。
.
398
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:13:15 ID:YGjApy2c0
(゚、゚トソン「お料理するの、久々な感じがしますね」
(゚、゚トソン「そんなことは全くもってないはずなのに2年くらい経った気がします」
(゚、゚トソン「これが少年漫画なら重要なパワーアップイベントでしたね」
(゚、゚トソン「さて、珈琲を淹れます」
(゚、゚トソン「私はそんなに得意なわけではないですが、匂いが好きです。ずっと嗅いでいられる」
(゚、゚トソン「この屋敷には喫茶店とかで見るようなサイフォン式の物もありますが、ぶっちゃけ壊しそうで怖いから触りたくありません」
(゚、゚トソン「普通にハンドドリップで淹れます」
(゚、゚トソン「この珈琲を、でぃ様から頂いた甘酒に入れて混ぜます」
(゚、゚トソン「『き、きみは初めて出逢うね…なんて名前だい?(裏声)』」
(゚、゚トソン「『ワタクシ、甘酒と言います…宜しくお願いしますわ…(高音)』」
(゚、゚トソン「さらにマシュマロをどーん!」
(゚、゚トソン「『あわわ!なんて柔らかくて可愛らしいんだ…(裏声)』
『ちょっと!珈琲さんは私のものよ!(高音)』『ふぇぇん、怖いよぉ〜(ダミ声)』」
(゚、゚トソン「…うーん、何か久々感が拭えないのでトソン料理劇場もうまく出来ませんね」
(゚、゚トソン「しかし品は完成です」
(゚、゚トソン「あともう一品…」
399
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:13:49 ID:T0GOC9/A0
フライパンからジュワジュワという音と、焼けるいい匂いがする。
ぼんやり周りを見る。白を基調とした清潔感のある、広くて大きなキッチン。物も揃っている。
小さなノート。
見つけてしまった、主人に関する大事なもの。
(゚、゚トソン「…貴女に話を聞けたら、1番良いんですけどね」
顔も名前も知らない、ノートの持ち主に想いを馳せた。
.
400
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:14:20 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「しゅーじーんーくーん!!あっそびーまーしょー!!!」
主人の部屋のドアを渾身の力でノックする。
こんな言葉で出てくるとは思っていないし、これで出てこられても嫌だ。
中で物音がしたのを確認して、また大声を出す。
(゚、゚トソン「わたくしトソン、ちょっとお暇をいただきますので!有給使いますので!お給料はください!」
(゚、゚トソン「あっ、ここに一応軽食置いておきますから。罠ではないです。お腹空いたら召し上がってくださいね、罠ではないですので」
(゚、゚トソン「では、いってきまーす!」
「………」
.
401
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:14:49 ID:T0GOC9/A0
返事はなかった。
けれどドアの前に気配を感じたので、良しとする。
何か口にしてくれれば良いなと思い、甘くないパンケーキとベーコン、そして先程淹れたコーヒー甘酒を小さなメモと一緒に置いてきた。
我ながら怪しさ満点だなと思いつつ、屋敷から飛び出す。
(゚、゚トソン「あれ食べる時は部屋から出てくるけど…それ捕まえても根本的な解決には、ならないですよね…」
紙に書かれていたでぃ様の住所は、恐らく遠い。
今から行って話をして、日帰りで戻れるか不安な所だ。
しかし今は行かなければ。
主人と話が出来るヒントを、もらう為に。
(゚、゚トソン「よし、出陣じゃ!」
402
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:15:20 ID:T0GOC9/A0
ガチャリ
(´・_ゝ・`)「……」
(;´・_ゝ・`)「…本当に出かけたのか…」
(´・_ゝ・`)「トソンくんのことだから罠かと思ったけど…」
(´・_ゝ・`)「…いい匂い、コーヒー…?カフェオレかな」
(´・_ゝ・`)「……メモだ」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「こっわ…」
『毒は入ってないです by f(@u<トソン 引きこもり菓子無し主人→(´%+_j+`)』
(´・_ゝ・`)「…ブッ、ククク………怖…これはすごいな…絵は苦手みたいなこと言ってたもんな…」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「はぁ…」
(´・_ゝ・`)「……トソンくん、帰ってくるかな…」
403
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:16:01 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「帰れるかなこれ…」
蛯沢様の家までの経路を調べた。
私はスマホはおろか携帯も携帯していない(必要がない)のでコンビニで簡単なロードマップを買ったのだ。
聞き慣れない土地だとは思ったが、やはり遠かった。
バスに乗って電車に乗って、乗り換え乗り換え、2.3時間。
小旅行並の距離。
こういうことは切り替えが大事だと、かのシンデレラちゃんも言っていた気がする。
(゚、゚トソン「油物にはビールしか勝たん」
電車に揺られながら缶ビールを呷る。
乗ってる人は他にいなかったので、失礼を承知でぐびりと飲んだ。
コンビニで缶ビールとホットスナック、ワンカップと月餅を買って大正解だった。
404
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:16:26 ID:T0GOC9/A0
ガタンガタン
小さく揺れる車体、窓から見える長閑な景色。
お酒の力もあってかぼんやりしてしまう。
あの屋敷は大きい。
多分、沢山の人間が働いていたはず。
何故誰もいないのか。
何故主人は言いたくないのか。
本当に聞いても良いことなのだろうか。
私にだって聞かれたくないことはある。
拒絶されるのが怖かったからだ。
あまり良い過去を持っていなかった。
──もしかしたら、主人も同じなのではないだろうか。
自惚れかもしれない。
けれど、もしかしたら、主人も人に拒絶されたくないのではないか。
私と主人は数ヶ月しか過ごしていない。
それでも、主人がどんな人間かは少しだけだがわかっているつもりだ。
甘党で、何でもできて、サプライズが好きで、イベント事も好きで、謎があって、いい歳こいてわりと頑固で、何かを抱えているくせに重たいことをサラッと言ってきて、
どこか温かくて、優しい。
そんな人だ。
だから私は、もういいと思った。
主人が聞きたかったら私のことを答えようと思った。
私はずるいのだ。
ずるくて良い、知りたかった。
主人のことを、知りたかった。
主人と、話がしたいのだ。
405
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:16:57 ID:T0GOC9/A0
それすらも拒絶されるなら──、
(゚、゚トソン(その時は……)
その時だ。
.
406
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:17:39 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「はあ、なんと立派な門構え」
メモに書かれた住所はここのはずだ。
なるほど、送られてきた野菜や果物はここで作られたのだとわかる。
お家の隣に広い畑があり、庭にも沢山の植物が…
( ・∀・)「おや?」
( ・∀・)「珍しい、覗きの方ですか?」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「あ、ちが…」
違わない事はないけれど違う。
と言おうとして口籠る。
確かに覗いてはいたけれど…
407
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:18:03 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「決してやましい人間ではありません!」
( ・∀・)「皆そういうんだよね…」
( ・∀・)「僕の奥さん美人で素敵だから覗きたくなる気持ちわからなくはないけどね?まぁ冗談は置いておいて、お嬢さん何か御用?」
(゚、゚トソン「あ、あの蛯沢さまいらっしゃいますか」
( ・∀・)「ん?僕、蛯沢さんだよ」
(゚、゚トソン「いえ、蛯沢でぃ様…」
(#゚;;-゚)「アナタ、お家の前で何を騒いでいるんです…」
(゚、゚トソン「あ」
(#゚;;-゚)「あら」
( ・∀・)「ああ、この人、君に用がある覗きの方だよ」
少し想像していた再会とは違った。
408
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:18:40 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「今思えばアポ取っておけばよかったですね…人を訪ねるのは初めてで、すみません」
(#゚;;-゚)「良いの、良いの。こちらこそ人が訪ねてくるのが久しぶりで、うちの人が浮かれちゃってごめんなさいね」
(゚、゚トソン「いえ…」
主人の屋敷も広いが、こちらのお家も広い方だと思う。
私自身、狭いところにしか身を置いてこなかったので少し落ち着かない。
(#゚;;-゚)「それで、どうしたのかしら」
初めて会った時も思った事だが、この人の背筋がピンとなるような空気と、温かい感じが何か懐かしい。
何でも話してしまいそうになる。
(#゚;;-゚)「あら、あらあら」
(;、;トソン「…あれ、何で泣いてるんだろう私」
(#゚;;-゚)「……長旅で疲れたのもあるんでしょう。大丈夫、ゆっくりでいいですよ」
(;、;トソン「ずみばぜん、ありがどうございばす…」
409
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:19:07 ID:T0GOC9/A0
気付かないうちにずっと気が張っていたようで、第三者を前にして緩んでしまったようだ。
ポロポロと溢れる嗚咽とともに、拙いながらもこれまでの経緯を話した。
でぃ様は静かに聞いてくれた。
ああそうか、『お母さん』みたいな安心感があるんだこの人──
.
410
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:19:37 ID:T0GOC9/A0
(#゚;;-゚)「結論から言うと、坊ちゃんが話さないことを、私から言うことは出来ないです」
でぃ様の言葉に、少しだけ呆けてしまった。
変な顔をしてしまったのか、でぃ様は申し訳なさそうな表情でこちらを見ていた。
(#゚;;-゚)「そうよね、ここまで来てくれたのに。話をしないなんて酷よね」
(#゚;;-゚)「ごめんなさい」
(゚、゚トソン「あっ、いえ!ちが」
(゚、゚トソン「……違くて、ちょっとほっとしたんです」
(#゚;;-゚)「…?」
.
411
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:20:10 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「飛び出してきたは良いけれど、きちんと考えてなかったんです。」
(゚、゚トソン「しゅじ…デミタス様がお部屋から出てくるような、何かヒントを得られれば良いなと思ってましたが、確かにでぃ様の口から聞くのは、違う気がします」
(゚、゚トソン「私は、主人の口を割らせる最終兵器のようなものをご存知かどうか、それが聞きたかっただけですので、でぃ様がそういったことで申し訳なく思う必要はないんです!」
(#゚;;-゚)「ふっ」
(#゚;;-゚)「ふふふ…」
(゚、゚トソン「?あの…」
(#゚;;-゚)「良かったわ。坊っちゃんはいい人がそばに居てくださったのね」
(゚、゚トソン(果たしてどうだろう)
でぃ様はころころとそれは楽しそうに笑っていた。
ひとしきり笑い終わって、ちょっとごめんなさいと席を立った。
帰って来たでぃ様の手に、小さなノートとメモがあった。
(#゚;;-゚)「私が教えられるのは、二つだけ」
.
412
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:20:50 ID:T0GOC9/A0
++++++++
(#゚;;-゚)「本当に泊まらなくて良いんですか?」
(゚、゚トソン「すみません、本当めちゃくちゃ超絶泊まりたいです。ご相伴にもおあずかりしたいし、なんなら今すぐにでも寝たいのですが」
(゚、゚トソン「主人があの屋敷に、ひとりぼっちなもので」
(#゚;;-゚)「…また是非来て、その時はお泊まりしていってね」
(゚、゚トソン「はい、絶対」
これほど後ろ髪引かれるのは、お高いお酒買うのをやめた時以来だ。
でぃ様の温かい人柄に、つい甘えてしまいそうになる。
人の作ってくれたご飯も久々すぎるので味わいたかった。
でもダメなのだ。
私はその誘惑を振り切ってでも、帰らないといけない場所がある。
話さないといけない人がいる。
.
413
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:21:23 ID:T0GOC9/A0
( ・∀・)「駅まで送るよ」
(゚、゚トソン「ありがとうございます」
( ・∀・)「僕の奥さん、素敵でしょう」
(゚、゚トソン「はい、とっても」
( ・∀・)「盛岡くんはもう一人のうちの子だと思ってるんだ」
( ・∀・)「今度来るときは、引っ張ってでも一緒に来たら良いよ」
(゚、゚トソン「……はい」
そのためにはまずは部屋から、引っ張りだせねば。
.
414
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:21:57 ID:T0GOC9/A0
++++++++
屋敷だ。
大きい。
立派だ。
帰ってきた。
この門に貼り紙がされていた。
それを見て働こうと思った。
ただそれだけの、単純な繋がりだ。
蛯沢夫妻のように、深い愛情があるわけでも
雑魚のように、強く慕っているわけでもない
ただこの先も、あの人にお菓子を作って美味しいと言われて
楽しく働きたいと思うくらいには、情はある。
充分だろう。
(゚、゚トソン「よっし!やるか!」
屋敷に入ってすぐキッチンへ向かった。
もう夜だ。
何時間もの電車の旅を1日でやるものではない。
なんならもう明日でも良いのでは?と脳内の悪い自分が言ったけど、無視した。
++++++++
415
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:22:42 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「しゅーじーんくーーん!」
(゚、゚トソン「あっそびーまーしょーーーー!!!」
主人の部屋のドアの、右下を蹴り上げる。
フッカフカのスリッパを入ってなかったらヤバかったであろう音と共に、ドアが勢い良く開いた。
(;´・_ゝ・`)「!??」
(゚、゚トソン「とりあえず面倒なんで、色んなあれこれ置いておいて」
(゚、゚トソン「リビング来てください。ケリをつけましょう」
ドアに蹴りを入れただけに、と上手いことを思ったけれど、足の痛みとドキドキとうるさい鼓動のせいで言えなかった。
つづく
416
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:25:29 ID:hd9.FFSw0
本日の投下は以上です
お休み中もコメントくださった方ありがとうございます
デミタスは長い自粛をし、トソンは甘酒のレシピを聞き忘れました
長い間投下できなかったお詫びにトソンのメモを貼っておきます
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2640.png
ありがとうございました
417
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:37:24 ID:mCK7rCOM0
おお、ゆっくり頑張って下さい
418
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:46:39 ID:ZFpzPRp.0
おおお乙
419
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 21:56:47 ID:xc2dbHsw0
更新嬉しい、乙
420
:
名無しさん
:2020/12/03(木) 03:50:52 ID:56ysnCtQ0
復活ありがとうー!
421
:
名無しさん
:2020/12/03(木) 12:53:27 ID:YxAhIiCc0
生きてたのか!
422
:
名無しさん
:2020/12/03(木) 13:41:29 ID:8toF8V6g0
一気に読んでしまった……トソンのメモ微笑ましいな
423
:
名無しさん
:2020/12/03(木) 17:44:11 ID:RVQ/aa7s0
ふと思い出して10か月ぶりぐらいで覗きに来たら…まさかの昨日更新とは!
ずっと待ってました、無理せずゆっくり続きをお願いします!
424
:
名無しさん
:2020/12/04(金) 02:38:56 ID:oN6MBkgg0
こういうことがあるからブーン系はやめらんねぇんだ!
425
:
名無しさん
:2020/12/08(火) 11:17:21 ID:h1EImkwg0
まってたよー!
更新嬉しい!
トソンちゃんがんばれ〜
デミもがんばれ〜
426
:
名無しさん
:2020/12/12(土) 11:28:25 ID:z9St..oc0
続き楽しみ
待ってて良かった
427
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:43:09 ID:4683Z4Wc0
番外編: ザコにもクリスマスはやってくる
.
428
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:43:53 ID:4683Z4Wc0
【クラブAA】
ζ(゚ー゚*ζ「こんばんはー♪久しぶりに会えて嬉しいよ〜!」
(*^ν^)(天使……)
(;*^ν^)つ@「あ、お、俺も……。あの…これ、プ、プレゼント…!」
@ζ(゚ー゚*ζ「え?クリスマスプレゼント?わー!ありがとう!」
@ζ(゚ー゚*ζ「お菓子?かな?嬉しいー!!」
(*^ν^)(女神……)
(;^ν^)「シュトーレン?って言ってた…て、手作り、らしい…」
〆ζ(゚ー゚*ζ シュルシュル「そうなの?美味しそう!さっそくいただくね!」
(;^ν^)「え」
爪'ー`)y- 「失礼しますシンデレラさん、お電話が入ってます」
ζ(゚ー゚*ζ「え?誰だろ…ごめんなさいっ、ちょっと待っててね!」
( ^ν^)「うん」
429
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:44:43 ID:4683Z4Wc0
ζ(゚ー゚*ζ「あれ?フォッさんお電話は?」
爪;'ー`)y- 「お馬鹿、電話なんて嘘!シンデレラちゃんダメよ!持ち込みも金品以外は禁止だし、何より客の手作りなんて絶対口にしちゃダメよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「韮塚さんは変なことするようなお客様じゃないよ」
爪;'ー`)y- 「何かあってからじゃ遅いんだから!」
ζ(゚ー゚*ζ「むー…」
ζ(゚ー゚*ζ「…フォッさんっ!お願い!韮塚さんがああいう風にプレゼントくれるの初めてなのっ」
ζ(゚ー゚*ζ「嬉しい気持ちをせいいーっぱい伝えたいから、お願い!」
爪;'ー`)y- 「んんんんもぉ〜!その顔に弱いの知っててずるいっ!」
爪;'ー`)y- 「何か変な臭いがしたり味がしたらすぐぺっするのよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「うんっ!ありがとうフォッさん!大好き!」
爪*'ー`)y- 「そういうのはお客に言いなさい」
430
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:45:08 ID:4683Z4Wc0
ζ(゚ー゚*ζ「お待たせしてごめんね!」
(;^ν^)「い、いや、忙しい時期だろうし…し、仕方ないっていうか…今指名できただけで嬉しい…し…です…」
ζ(゚ー゚*ζ「…」
(;^ν^)「……?」
(;*^ν^)つ⊂ζ(゚ー゚*ζぎゅー
(;*^ν^)「!???ありがとうございます!?」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、なんかぎゅーってしたくなっちゃった♪あ、お菓子いただくね!」
ζ(゚ー゚*ζもぐ
爪'ー`)y- (大丈夫かしら……)
431
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:45:45 ID:4683Z4Wc0
ζ(゚ー゚*ζ「あ…」
ζ(゚、゚*ζ
ζ(;、;*ζ
(;^ν^)「えっえっえっごごごごめ、ごめんなさい!?どど、どうし…!」
爪#'ー`)y- 「だから言っ…!!」
ζ(;、;*ζ「ち、ちがうの、ごめん…ごめんねびっくりしたよね」
ζ(;、;*ζ「お、美味しいの…それで、何でかすっごく懐かしくて…」
ζ(∩、⊂*ζごしごし
ζ(゚、゚*ζ「…」
ζ(゚ー゚*ζ「…韮塚さん、美味しいお菓子をありがとう」
ζ(゚ー゚*ζ「作ってくれた人にも、お礼言っておいてもらえるかな」
(;^ν^)「……う、うん…」
432
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:46:14 ID:4683Z4Wc0
××××××
爪'ー`)y- 「もー今日は焦ったわよ…本当に何でもなかったのよね?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、ごめんねフォッさん」
爪'ー`)y- 「次からは絶対ダメだからね!あとさっきの一口ちょうだい、今更だけど毒味するわ」
ζ(゚ー゚*ζ「だーめ!これは私のだから!」
爪'ー`)y- 「…わかったわよ…」
爪'ー`)y- 「そういえばシンデレラちゃん、明日お休みよね?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、プレゼント買いに行こうかなぁって」
爪'ー`)y- 「なぁにぃ?お客?それとも王子様見つけた?」
ζ(^ー^*ζ「ひみつ♪」
ζ(゚ー゚*ζ「……懐かしい味だったなぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「元気かなぁ…トゥインクルちゃん」
ζ(゚ー゚*ζ「さて!早く寝て明日は韮塚さんへのお返し買いに行くぞー!」
433
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:47:54 ID:4683Z4Wc0
以上です。短いけどありがとうございました。
ザコはクリスマスデート誘いそびれてるし連日通うお金と度胸はないのでクリぼっちです。
皆様は良いクリスマスを!
434
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:49:42 ID:Dw9GiWIY0
乙乙乙!!!
心温まるクリスマスプレゼントをありがとう
435
:
名無しさん
:2020/12/24(木) 22:54:05 ID:.eQGqZ8c0
おつくり
436
:
名無しさん
:2020/12/25(金) 03:33:45 ID:z3uX09d20
シンデレラちゃん〜
437
:
名無しさん
:2020/12/25(金) 03:34:09 ID:z3uX09d20
シンデレラちゃん〜
438
:
名無しさん
:2020/12/25(金) 17:04:31 ID:Tc5hoQOc0
デレトソ尊い
439
:
名無しさん
:2020/12/25(金) 18:17:40 ID:wx/qAWdM0
更新来てた!おつ!!
440
:
名無しさん
:2020/12/26(土) 01:16:15 ID:fSqkE3Ik0
うおおお聖夜にいいものを見た……
441
:
名無しさん
:2021/02/02(火) 14:00:50 ID:r/5NL4oE0
更新乙!
442
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:22:46 ID:c74JLiP.0
12.朴念仁な隣人は話が長い
.
443
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:23:09 ID:c74JLiP.0
(´・_ゝ・`)デミタス。雇用主のはずだがドアを使用人に蹴られた。
(゚、゚トソン トソン。ドアを蹴りとばした足先が痛い使用人。
.
444
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:23:42 ID:c74JLiP.0
(゚、゚トソン「小麦粉とベーキングパウダー、あと重曹をふるい合わせます」
(゚、゚トソン「こんな粉粉したものが素晴らしいお菓子になるんだから、凄いですよね」
(゚、゚トソン「シナモンも混ぜて置いておきます」
(゚、゚トソン「卵ときび砂糖を混ぜて、オリーブオイルを加えてさらに混ぜます」
(゚、゚トソン「きび砂糖を見ると何故かうっすら桃太郎を思い出しますね、わかるかなこれ」
∬⊂(゚、゚トソン「でぃさまから頂いたコレをひたすら擦り下ろして入れます」
(゚、゚トソン「先程の粉と混ぜ混ぜします」
(゚、゚トソン「180度のオーブンでブンします」
(゚、゚トソン「これが、でぃ様から教わった最終兵器です」
小さなメモを見る。
でぃ様が書いてくれたレシピ。
445
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:24:32 ID:c74JLiP.0
(#゚;;-゚)『私が教えられることはこのレシピと、あとは』
(#゚;;-゚)『坊っちゃんの部屋のドアは、右下を蹴り上げると開く、という事だけですね』
(#゚;;-゚)『何も出来なくて申し訳ないけれど、坊っちゃんをよろしくお願いします』
(゚、゚トソン(ありがとうございます、でぃ様。)
オーブンからいい匂いがしてきて、何故だか無性に泣きそうになった。
.
446
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:25:10 ID:c74JLiP.0
コトン。
焼いたばかりのキャロットケーキをテーブルの上に置く。
熱々の紅茶も。
部屋から引っ張り出した主人を無理矢理リビングへ連れてきて、椅子に座らせた。
あまりの強引さに圧倒されたのか諦めたのか、大人しくしていた主人が、キャロットケーキに気付いて少しだけ口元を緩ませている。
(´・_ゝ・`)「美味しそう…懐かしい匂いだ」
(゚、゚トソン「でぃ様がレシピを教えてくださったんです。にんじんも頂きました」
(´・_ゝ・`)「……そう、でぃさんのとこに行ってたんだ……」
(;´・_ゝ・`)「…えっ、でぃさんのとこに日帰りで行けたの??わりと遠いよねフットワーク軽いね?」
(゚、゚トソン「自分でもそう思います、せっかくでぃ様が泊まっていい、食事も出すからと言ってくださったのを泣く泣く、本気で泣きながら断ったんですよ、主人のために」
(´・_ゝ・`)「それは…申し訳ないことをしたね」
(´・_ゝ・`)「本当に……部屋に閉じこもったりして申し訳ない」
(゚、゚トソン「本当です。…と言いたいとこですが主人にもいろいろあるのでしょうから、まぁ、今日のところは許しますよ」
(´・_ゝ・`)「…はは、本当に君は…」
主人の笑顔を久々に見た気がした。
447
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:25:49 ID:c74JLiP.0
(´・_ゝ・`)「……この屋敷に何があったか知りたい、だっけ」
(´・_ゝ・`)「トソン君が気にするとは思わなかった。お酒しか興味ないんだと」
(゚、゚トソン「あながち間違いではないですね」
(´・_ゝ・`)「はは。…うん、いいよ。そんなに楽しい話ではないけど、聞いてくれるかな」
(゚、゚トソン「……はい」
(´・_ゝ・`)「…あのさ、話、長くなりそうだから、トソン君も座って一緒に食べない?」
主人は観念したようだった。
最終兵器は最強だった。
448
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:26:16 ID:c74JLiP.0
(゚、゚トソン「…でしたら、ペアリングも用意しましょう。丁度主人用に紅茶を淹れましたのでそちらを使います」
カチャリ、カップの上にスプーンを置いて角砂糖を乗っける。
ブランデーを上から少しだけ注いだ。
(´・_ゝ・`)「ねぇ今ポケットからお酒出てこなかった?」
(゚、゚トソン「ここからが素敵なので黙って見ててください」
(´・_ゝ・`)「はい」
ライターで火をつける。アルコールが燃えて、静かに青い火が灯った。
(´・_ゝ・`)「わぁ、綺麗だね」
(゚、゚ドヤン「でしょう。ティー・ロワイヤルと言います」
火が消えるのを見届けて、溶けた砂糖をカップに入れて混ぜる。
スプーンのカチカチいう音だけが、リビングに響いた。
(゚、゚トソン「どうぞ、キャロットケーキも温かいうちに」
(´・_ゝ・`)「やぁ、いい匂いだ。いただきます」
449
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:26:55 ID:c74JLiP.0
でぃ様にもらったメモに書かれていたのは、素朴なキャロットケーキのレシピだった。
グローブやカルダモンなどのスパイスは入っておらず、チーズフロスティングも乗っていない。
それでも人参とシナモンの良い香りが鼻を擽る。
フォークで一口分切り分けると、ゴロリと胡桃が顔を覗かせる。
口に入れるとまだほのかに温かく、ふんわりとした中にある胡桃の食感が楽しい。
人参の優しい甘さに笑みが溢れる。
何日か寝かせてしっとりとさせても美味しそうだ。
ティー・ロワイヤルも続けて一口。
ブランデーの香りが大人な気持ちにさせてくれる。温かい紅茶が喉を通り、ひと息つく。
なんて贅沢な時間だろう。
450
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:27:36 ID:c74JLiP.0
(゚、゚トソン「美味しいですね、流石でぃ様のレシピです」
(´・_ゝ・`)「…でぃさんは、何も話さなかったんだね」
(゚、゚トソン「ええ、主人が話さないことを、自分が話すわけにはいかないと」
(´・_ゝ・`)「でぃさんらしい。……このレシピはね、でぃさんが作ったわけじゃないんだ」
(´・_ゝ・`)「僕、にんじんが嫌いだったんだよね」
主人はぽつりぽつりと、静かに話し出した。
(´・_ゝ・`)「…僕は生意気な子どもだったんだけど」
(゚、゚トソン(なんとなくわかります)
私は、主人の話を邪魔せず聞く事にした。
.
451
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:29:00 ID:c74JLiP.0
++++
母は身体が弱い人で、僕を産んだ時に亡くなった。
母を溺愛していた祖父は身体を壊してずっと寝たきり
僕の小学校入学の前日についに亡くなり、
入婿だった父は祖父の会社を引き継いで多忙の日々。
家に帰ることは少なかった。
昔から働いていた使用人達はよく言っていたよ、僕に近寄ると良くないことが起きるって。
だから僕の面倒を見たがる使用人はいなかったんだ。
でぃさん以外はね。
452
:
名無しさん
:2021/03/02(火) 22:29:21 ID:c74JLiP.0
(´・_ゝ・`)「ねぇ、何でおかずににんじん入ってるの?入れないでって言った!」
(#゚;;-゚)「にんじんは美味しいですよ坊っちゃん、召し上がってみてください」
(´・_ゝ・`)「嫌だ!だいたい僕、でぃ以外が作ったもの食べたくないって言ってるじゃん!」
でぃさんは厳しいところもあるけど、温かくて優しい人だった。
家族より遥かに長い時間を過ごしたし、僕に沢山のことを教えてくれた。
だから変な甘えが出始めた小学校低学年の辺りは、本当に大変だったと思う。でぃさんにとって僕はただの他人だったし。
何よりでぃさんにも家庭があった。
ずっと僕の面倒を見ているわけにもいかなかったんだ。
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