したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

(´・_ゝ・`)ペアリングのようです(゚、゚トソン

1名無しさん:2018/01/02(火) 16:02:26 ID:Q.JOBvVs0







彼は、私の主人。

彼は、私の事を名前で呼ぶ。

彼は、大の甘党。




.

161名無しさん:2018/03/26(月) 23:05:31 ID:6QXsCUSg0

(゚、゚トソン「主役のクリームチーズ様を!」

(゚、゚トソン「砂糖と!」

(゚、゚トソン「ひたすらに混ぜます!」

(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼ

(゚、゚トソン「小麦粉を入れ!」

(゚、゚トソン「ひたすらに混ぜます!」

(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼマゼ

(゚、゚トソン「卵を入れ!」

(゚、゚トソン「そう!ひたすらに混ぜます!」

(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼ

(゚、゚トソン「…筋肉痛って労災出るんですかね」

(゚、゚トソン「秘密のアレを入れて」

(゚、゚トソン「クリームチーズをクリーム状にするという発狂しそうな状態にしたら」

(゚、゚トソン「型に流し入れて…」

(゚、゚トソン「湯煎状態で焼きます」

(゚、゚トソン「冷ましたら完成となります」

(゚、゚トソン「…焼けるまで待ちますかね」

162名無しさん:2018/03/26(月) 23:06:48 ID:6QXsCUSg0

オーブンの前でぼうっとする。焼けるまでの待ち時間は、嫌いではなかった。
生地が膨らむ。途中から良い匂いがしてくる。早く焼けないかなと、待ち遠しくなる。
小さい頃もそうだったな。一度待ちきれなくてオーブンを開けてしまった時は怒られた。

ふと、先程までの主人との会話を思い出す。
主人はわかった上であの感じなのだろうか。
ここで勤めることになった際、主人は私が以前まで何をしていたかを一切聞かなかった。
履歴書さえも出していない。
こんな立派なお屋敷で働かせるのに、何の情報も問わないのはどうなのかと思うが、私的にはとても助かった。

(゚、゚トソン「…もし」

もし、私のことがバレたら。

(゚、゚トソン「ここでは、働けなくなるんですかね」

チーーン

(゚、゚トソン「…おや、焼けましたか」


先のことはわからない。
今はただ、美味しく出来上がったチーズケーキを主人に出すだけだ。

163名無しさん:2018/03/26(月) 23:08:02 ID:6QXsCUSg0


(゚、゚トソン「主人、おまたせしました」

(*´・_ゝ・`)「ああー、良い匂いだね」

チーズケーキを持って颯爽とリビングに入る。
嬉しそうな顔の主人が迎える。様式美。
主人の目が早く早くと訴えている。
待てをしたら噛みつかれそうな勢いだ。少し引く。

(゚、゚トソン「紅茶か悩みましたが、コーヒー淹れますね」

(*´・_ゝ・`)「ありがとう!いただきます!」

お皿をテーブルに置いた瞬間に主人は素早い動きを見せた。
普段部屋に引きこもっているとは思えない速さだ。

まだ柔らかいチーズ生地にフォークが刺さる。
ストンと一口分に切り分けられたそれは、主人の口へ。

164名無しさん:2018/03/26(月) 23:09:12 ID:6QXsCUSg0

(*´・_ゝ・`)「美味しい…ほんのりラム酒の味がするね」

(゚、゚トソン「少しだけ入れました。ラム酒に漬けたレーズン入れても美味しいですよ」

(*´・_ゝ・`)「いいね。それにしても出来立てのチーズケーキ、美味しいな。ふんわりしてる」

(゚、゚トソン「本当は一日冷やして置いた方がもっとキュッとして美味しいんですけどね」

早急に召し上がりたいとのことだったので、出来立てを出した。
出来立てというのは大体美味しい。

(´・_ゝ・`)「いやー、チーズの模型見てたらさ、チーズケーキ食べたくなっちゃって」

チーズの模型。そんな物を目にする機会があるものなのか。
あるのである。主人の『仕事』は奥が深い(らしい)

(゚、゚トソン「今回のお仕事に必要なものなんですか?」

(´・_ゝ・`)「いや、前回絵本を作った時に色々資料として取り寄せてたものなんだ。絵本作家の仕事は無事終わったから片付けててね」

(゚、゚トソン「はぁ」

そういえばつい先日、主人は絵本作家の仕事を終えたばかりだった。
私がここに勤めてから、様々な仕事をする主人を見ている。

165名無しさん:2018/03/26(月) 23:10:18 ID:6QXsCUSg0

(゚、゚トソン「主人は本当に、得意なものばかりですね」

(´・_ゝ・`)「え?」

何気ない私の言葉に、主人は一瞬驚いたような顔をした。

(゚、゚トソン「色んなことできるでしょう。食べものも好き嫌いありませんし」

(´・_ゝ・`)「あー…そうだねぇ…」

お菓子作り(というか料理全般出来ないらしいが)を除けばチートだと思う。
料理も、残された食材は今のところ何もなかった。
綺麗に平らげる主人の食べ方は、作り手としては気持ちのいいものだった。

(´・_ゝ・`)「…僕、昔は苦手なものばかりだったんだよ」

(゚、゚トソン「え?」

主人の言葉に、今度は私が驚く。

(´・_ゝ・`)「人参は本当に嫌いで出る度残していたし…今は食べられるようになったけどね。…それに、信じられないかもしれないけど、僕昔は甘いもの苦手だったからね」

166名無しさん:2018/03/26(月) 23:11:09 ID:6QXsCUSg0

アマイモノニガテ?
甘いもの苦手?
誰が?主人が。主人が?

(゚、゚トソン

(゚、゚トソン「……宇宙人に攫われて嗜好が変わったとかですか…?」

(´・_ゝ・`)「ははは、違う違う」

今はスイーツモンスターとなってしまっているのに。
何があったというのだろう。

(´・_ゝ・`)「──色々あって、食べれるようになって。好きになったんだ」

──人参を?
──甘いものを?
文脈から察するにそのどちらかだろうに、主人があまりにも寂しそうな、何かを懐かしむような目で言うから、何の話か一瞬わからなくなってしまった。

そして、その色々が何なのか、聞くことは出来なかった。


****

167名無しさん:2018/03/26(月) 23:11:12 ID:KVrzDwjU0
支援
こんな時間に飯テロつら

168名無しさん:2018/03/26(月) 23:12:35 ID:6QXsCUSg0


(゚、゚トソン「今日はなんだか色んな話をした気がしますね」

就業時間は終わり。私は今から自由の身である。
キッチンに椅子を持ってきて一人、だらりと座る。

モヤッとすることはある。主人にではない、気になっている事を聞けない自分にだ。
主人が言わない事を聞く事で、自分も何か聞かれてしまう事が怖くて、何も聞けないままだ。

(゚、゚トソン「それを見越した上であんな気になる言い方してるんだとしたら、あの下がり眉引きちぎりたいですね…」

(゚、゚トソン「おっといけないいけない、自由時間とはいえ口が滑りましたね」

(゚、゚トソン「気を!!」

(゚、゚トソン「取り直して!!!」

(゚、゚トソン「お酒タイムだぞ〜!!!」

チーズケーキを作った時点でもう飲むものを決めていた。
用意周到、おまけに美人な自分を褒め倒したい。

169名無しさん:2018/03/26(月) 23:13:38 ID:6QXsCUSg0

片手にはお皿に乗ったチーズケーキ。
もう片方の手には白ワイン。

(゚、゚トソン「あら、優雅なマダムみたいですね?」

(゚、゚トソン「しかもこの気怠げな感じ…銀座のママ感ありますね?」

(゚、゚トソン『いらっしゃい…あら、また来たのね人生の迷子ちゃん(優雅な裏声)』

(゚、゚トソン「ママ…もう、主人がよくわからないよう」

(゚、゚トソン『あらあら、困ったちゃんなのね…(優美な裏声)』

(゚、゚トソン「えーんママ〜〜」

(゚、゚トソン「……ト○ガリだこれ。もしくはス○夫」

(゚、゚トソン「そんな馬鹿なことしてる場合じゃない!今は酒!酒タイムだ!」

(゚、゚トソン「いただきます!!」

170名無しさん:2018/03/26(月) 23:13:39 ID:KVrzDwjU0
読んでるだけでチーズケーキ焼いてる匂い漂ってくるわぁ

171名無しさん:2018/03/26(月) 23:15:28 ID:6QXsCUSg0

カチャン
ぱくり
コクン


主人に出した時よりも、冷蔵庫で冷やした分ひんやりとしていてまろやかさが増しているチーズケーキ。

口の中に広がったチーズの風味に、白ワインが柔らかく混ざる。

(゚、゚トソン「…」

(゚、゚トソン「私、今日このために生きてきたのかもしれません…おーいしーい!」

ラム酒は香りづけに少し入れただけなので、そこまで白ワインと喧嘩していない。

(゚、゚トソン「お口の中がまろやか工場や」

白も赤もロゼも全部好きだが、1番好きなのは白ワインかもしれない。
嘘。その時によって変わる。

(゚、゚トソン「…それにしても、主人にも苦手なものがあったのは驚きです」

(゚、゚トソン「…………私も」

(゚、゚トソン「私も昔は、お酒嫌いでしたね。……すっかり忘れてました」

(゚、゚トソン「…昔のことは飲んで忘れましょう!さー飲むぞ飲むぞ!」

ふと、
人参だらけのご飯を出したらどうなるのだろう。
少しだけ嫌な顔するだろうか。得意になった理由を話すだろうか。

そう考えながら飲むワインと、チーズケーキのペアリングはとても良かった。


.

172名無しさん:2018/03/26(月) 23:18:38 ID:6QXsCUSg0

本日の投下は以上になります。
前回から1ヶ月以上空いててびっくりしました。
関係ないですが作者はラム酒教です。ありがとうございました。

あと『読んでるだけで匂い漂ってくる』は最高の褒め言葉です、ありがとうございます。
他の方の言葉も有難いです。

173名無しさん:2018/03/26(月) 23:19:56 ID:KVrzDwjU0
乙乙
チーズケーキ食べたい乙
デミタスの謎は深まっていく一方だな

174名無しさん:2018/03/26(月) 23:38:20 ID:q7FFNTJM0
トソンは食レポ向いてそう


175名無しさん:2018/03/27(火) 00:55:35 ID:MQ1PX8qI0
乙乙
チーズケーキ食べたくなってきた

176名無しさん:2018/03/27(火) 02:14:36 ID:kIchTjI60
待ってた!乙ー

177名無しさん:2018/03/27(火) 14:32:01 ID:8m9XVWIs0
乙ー
待ってた!
出来立てチーズケーキ食べたくなってきた

178名無しさん:2018/03/27(火) 23:50:05 ID:LraxLGCA0
乙!
待ってましたー!
ほろ苦い過去がありそうでドキドキ

179名無しさん:2018/03/28(水) 19:52:47 ID:X3s0QPUI0
乙!チーズケーキ食べたいな
飯テロ好きだからこのスレの更新があると嬉しくなる

http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2515.jpg

180名無しさん:2018/03/28(水) 20:08:43 ID:mReS7voo0
>>179
読んでたイメージそのまんまのデミタスとトソンだ!

181名無しさん:2018/03/28(水) 20:49:32 ID:3BU4Yhrs0
ビューティフル

182名無しさん:2018/03/29(木) 01:41:23 ID:h0C.at/I0
スイーツもらう代わりに酒をせびられてるようにしか見えない

183名無しさん:2018/03/29(木) 14:27:09 ID:XH8P7EbY0
かわいい…素晴らしい

184名無しさん:2018/03/30(金) 08:51:51 ID:SS5DkhU.0
乙! それぞれここまで来た経緯があるもんな
相手の背景が気になりだしたの良き
チーズケーキ食べたくなった……

185名無しさん:2018/04/05(木) 20:33:52 ID:o7vWRyjw0




彼は謎が多い。

彼は、それを楽しんでいる節がある。





.

186名無しさん:2018/04/05(木) 20:34:26 ID:o7vWRyjw0


晴天。秋晴れ。気持ちの良い天気。
風が少しだけ冷たいが、日差しは暖かい。

(゚、゚トソン「オヤジさん、これとこれとこれくださいな」

「毎度あり!」

(゚、゚トソン「こちらこそありがとうございます」

ガチャンガチャン。
瓶と瓶が擦れ合う音。
これは幸せの音。

(゚、゚トソン「今日も主人の金で良い酒を手に入れました。今夜は月見でこれを…ぐっしっし」

187名無しさん:2018/04/05(木) 20:35:07 ID:o7vWRyjw0

今日は買い出しの日なので外に出ている。
買い物は好きなものを好きなように買って良いと言われているのだ。
なんと有り難い、金持ち。

こうも素晴らしい天気だと気持ちも弾む。
洗濯物はたくさん外に干してきた。乾燥機もあるが、私は外に干したフカフカふわふわのタオルを使うのが好きだ。

(゚、゚トソン「日光浴…」

たまには主人も外に出して干してしまいたいのだが、いかんせん『仕事』に夢中で家はおろか部屋からも出ない。
おやつの時間以外は。

人間、お天道様の光を浴びないと不健康だと思う。
どうすれば外に出せるだろう。

188名無しさん:2018/04/05(木) 20:36:42 ID:o7vWRyjw0

( ^ν^)「おい」

(゚、゚トソン「お菓子で釣るとか…?いや流石に無理かな…」

( ^ν^)「おい、シカトこいてんじゃねぇぞ」

(゚、゚トソン「……はい?」

何か雑魚臭の強い声がすると思えば、20代半ば程の男性が目の前に立ちこちらに向かって話しかけていた。
仲間にしますか?いいえ。
相手にしますか?いいえ。

即座にあしらいモードに設定した私は、男性の横を通り抜けようとした。
しかし足でガードされる。逃げられない。

( ^ν^)「お前、あの屋敷のやつだろ」

(゚、゚トソン「あの屋敷と言われましてもね。はて、どの屋敷ですか」

(#^ν^)「盛岡サンとこの屋敷だよブス!」

雑魚は苛立ちを隠そうともせず、呪文を唱えてきた。

189名無しさん:2018/04/05(木) 20:37:40 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン

(゚、゚トソン「おいコラテメェ今なんつったコラ、あ?つーか盛岡って誰だよそもそもテメェが誰だよ誰がブスだ?あ?」

この絶世の薄幸美女と呼ばれる私、トソン様に向かって呪文を唱えるとは愚かな。
レベル2くらいの雑魚が、ラスボスクラスの私の威嚇に怯んでいる。

(;^ν^)「な、なんだよ……し、知らないフリしても無駄だからな!と、とにかくな!あの人に失礼な事すんなよ!いいな!」

ダダダ…

雑魚は逃げ出した!

(゚、゚トソン「去っていった…なんだあの小物感…」

【(゚、゚トソン ピポパ

【(゚、゚トソン「あ、警察ですか?今、人相も性格も頭も悪そうな男に脅迫されました。はい、場所は韮束酒店の目の前で…」

190名無しさん:2018/04/05(木) 20:38:16 ID:o7vWRyjw0





7.本当だもん、月にうさぎいるもん、うさぎ見たもん




.

191名無しさん:2018/04/05(木) 20:38:52 ID:o7vWRyjw0




(´・_ゝ・`)デミタス。主人。花より団子。でも花も好き。


(゚、゚トソン トソン。使用人。花も団子もつまみにして酒。




.

192名無しさん:2018/04/05(木) 20:39:38 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「ただ今帰りました、よっと」

荷物を台の上に置く。
珍しく主人がおやつ前にリビングに来ていた。

(´・_ゝ・`)「おかえり、少し遅かったね」

(゚、゚トソン「ああすみません、ちょっと警察に事情を説明していて時間を食いました」

私の言葉に主人が瞬時に反応する。
手を小さく震えさせながら、私を指差した。失礼だ。

(´・_ゝ・`)「…トソンくん、ついに酒飲みすぎて何かしでかし…」

(゚、゚トソン「てません。主人、私のことなんだと思ってるんですか」

(´・_ゝ・`)「酒が無いと生きていけない人間」

(゚、゚トソン「その通りですよ!!!畜生!」

193名無しさん:2018/04/05(木) 20:40:25 ID:o7vWRyjw0

荷物を片付けながら、主人に簡単な事の成り行きを話す。
主人は「うんうん、ふんふん」と興味があるのかないのかわからない相槌をうっていた。

(゚、゚トソン「あの小物感、どこかで見たことある気がするんですよね…」

(´・_ゝ・`)「そうなの?」

子供向けのアニメとかに出てくる悪者キャラとかだろうか。
何か、どこか、初めてではないような気がした。

(゚、゚トソン「しかし盛岡がどうとか、何なんですかね最近の不審者は…人違いなら他所でやって欲しいんですけど」

(´・_ゝ・`)「盛岡は僕だけど」

(゚、゚トソン

(゚、゚トソン「えっ」

(´・_ゝ・`)「盛岡デミタス、僕」

(゚、゚トソン「主人、いつの間に改名なさったんです」

(´・_ゝ・`)「産まれてからずっと僕盛岡だよ…」

(゚!゚トソン

(´・_ゝ・`)「そんな衝撃!みたいな顔されても、数ヶ月働いてた使用人が名前も覚えてなかった方が衝撃だからね」

(゚、゚トソン「そういえば宅配便受け取るときによく聞く名前でした…」

194名無しさん:2018/04/05(木) 20:41:06 ID:o7vWRyjw0

そうなると、あの小物感丸出しの不審者は人違いでもなんでもなく、『この屋敷の人間』として私に接触を図ったということになる。

(゚、゚トソン「……もしかして、主人の知り合いでした?」

(´・_ゝ・`)「んん?」

(´・_ゝ・`)「んー、ふふ」

(´・_ゝ・`)「……さぁ、どうだろうね」

いかにも『僕はわかってます』という顔で、主人は小さく笑った。

私に呪文を吐いた人間が誰だかわかっているようだが、それを教える気は無さげ。何故。
何かどこか楽しそうなのも、何故。

(゚、゚トソン「…そうですか」

何に対してかはわからないが、
イラっとした私は判決を下した。

(゚、゚トソン「……主人、今日、おやつ無しです」

(;´・_ゝ・`)「僕に餓死しろと!!?」

195名無しさん:2018/04/05(木) 20:41:41 ID:o7vWRyjw0

何故!暴挙だ!良くないよ!と喚き立てる主人。
その叫びを無視しながら買ってきたお酒を仕舞おうとして。

(゚、゚トソン「あ」

(´・_ゝ・`)「?」

とても良いことを閃いたのだ。

(゚、゚トソン「…わかりました主人。
私も鬼畜生ではありませんのでおやつ抜きは勘弁してあげます。
心優しく寛大であり女神のような美しさと温かさにこうべを垂れて感謝してください」

(´・_ゝ・`)「突っ込みどころしかないけど、お菓子抜きにされたら辛いから感謝します」

(゚、゚トソン「ただ一つだけ、条件があります」

(´・_ゝ・`)「……?」

先程とは打って変わって、今度は私がニヤリと笑う。
主人は不思議そうに眉をひそめて私を見ていた。

****

196名無しさん:2018/04/05(木) 20:42:19 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「さてそれでは恒例のおやつ作りターイム」

ロ(゚、゚トソン「今日はなんと、お豆腐先輩をお呼びしています!」

(゚、゚トソン『きゃー!お豆腐先輩よ!おやつ界では一目置かれているあの先輩よ!(裏声)』

ロ(゚、゚トソン『やぁやぁ、みんなヘルシーに生きてるかい?(低い裏声)』

(゚、゚トソン『きゃー!!先輩の角に頭ぶつけたーい!!(一際高い裏声)』

グシャッ
☆(゚、゚トソン「これをぐっしゃぐしゃに握り潰します」

(゚、゚トソン「白玉粉を混ぜてこねます」こねこね

(゚、゚トソン「耳たぶくらいの柔らかさまで…とよく言いますが」

(><トソン「自分の耳たぶが世間一般の柔らかさなのかがわからないんですよね」

(゚、゚トソン「あとこねてる時に自分の耳たぶを触って比べることもできません」

(゚、゚トソン「なのでここは『硬すぎず柔らかすぎず、ちょっとしばらくずっと触っていたいくらいのぷに感』としましょう」

(゚、゚トソン「……よし、これくらいですね」ぷにぷにぷにぷに

197名無しさん:2018/04/05(木) 20:43:03 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「触り心地の良いこれを」ぷにぷに

(゚、゚トソン「等分にちぎります」ブチィッ!

(゚、゚トソン「お菓子作りは時に猟奇的でなくてはいけません…」

(゚、゚トソン「鍋でお湯を沸かして、沸いたらぷにぷに達をぶちこみます」

(゚、゚トソン「その間に別のお鍋にお醤油!みりん!お砂糖!お水!」

(゚、゚トソン「そして片栗粉さんをぶちこみます」

(゚、゚トソン「…良い匂い」

簡単に出来てしまうため、ついゆったりとした空気が流れる。
とろんと、暖かい色の蜜がキッチン中に優しい匂いを充満させた。

198名無しさん:2018/04/05(木) 20:43:57 ID:o7vWRyjw0


ふぅと時計を見ると丁度10時。早くしなくてはと、
出来上がったものと大事なものを手に、頑張ってリビングのドアを開ける。
ソファにはぐったりとした主人が座っていた。

(゚、゚トソン「主人、生きてますか」

(´・_ゝ・`)「…しにそう……」

(゚、゚トソン「それは大変です。さ、上着を羽織ってお庭へ」

(´・_ゝ・`)「庭……?」

おやつゾンビになりかけている主人は、うわ言のように「おやつ…おやつ…」と呟いている。怖い。
けれど私からお酒を取ったら同じかそれ以上になると自覚している。怖い。

主人を庭に用意していたチェアに座らせる。
夜ごはんは食べたくせに、おやつが無いというだけでこんなに萎れてしまうものなのか。

199名無しさん:2018/04/05(木) 20:44:35 ID:o7vWRyjw0


(゚、゚トソン「ほら主人、今夜は十五夜ですよ」

(´・_ゝ・`)「え?あ、本当だ、綺麗だね」

指を指した先に、まん丸のお月さま。
そして私の手には。

(゚、゚トソン「なのでジャジャン、みたらし団子です」

まん丸串刺しみたらし団子。

(*´・_ゝ・`)「わー!食べていい!?」

(゚、゚トソン「…どうぞ」

みたらし団子を出した途端元気になる主人。満月を見てしまったオオカミ男のようで、若干引いてしまった。

(*´・_ゝ・`)「いただきまーす!あ、まだ温かいね。美味しいなぁ」

(゚、゚トソン「それは良かった」

美味しそうに頬張る主人を見て満足する。
暖かい緑茶を淹れ、主人の前に出した。

200名無しさん:2018/04/05(木) 20:45:17 ID:o7vWRyjw0

外に(といっても庭だが)主人を出す事が出来たのだ。
我ながら良いアイディアだった。

『おやつ抜きにはしない代わり、おやつの時間を夜にずらします』
と言った瞬間の主人の驚いた顔はしばらく忘れないだろう。

(´・_ゝ・`)「トソンくん」

ふいに数本目のみたらし団子を手にした主人が私を呼んだ。

(゚、゚トソン「はい」

(´・_ゝ・`)「ありがとね。トソンくんがこうして教えてくれなかったら、僕はお月見もせずに秋を終えるところだったよ」

(゚、゚トソン「……いえ。次は絶対太陽の光に当てますから」

(´・_ゝ・`)「光合成出来ないよ僕」

小さく笑う主人。どこかあたたかいその笑顔は、少しだけ月に似ていると思う。

201名無しさん:2018/04/05(木) 20:46:11 ID:o7vWRyjw0


ぱくぱくとお団子を楽しむ主人。
『おやつを主人にお出しする』という業務が終わった。

(゚、゚トソン「さて」

(´・_ゝ・`)「さて?」

パチン、と両手を鳴らすと音に驚いたのか主人の肩がびくりと跳ねた。
食べかけのお団子から、みたらしのたれがこぼれそうだ。

(゚、゚トソン「実は私の勤務時間はとっくに終了しております」

(´・_ゝ・`)「そうだね、9時までだもんね一応」

(゚、゚トソン「勤務時間外分は残業代を頂くとして」

(´・_ゝ・`)「別にいいけどね」

(゚、゚トソン「ここからは!私の完全フリータイムです!!!」

゙(´・_ゝ・`) ゙ビクッ

202名無しさん:2018/04/05(木) 20:46:58 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「主人がいようと関係ありません!今日この月を見ながら飲むために良いお酒を買ったので、月見酒を楽しむしかない!FOOO!」

(´・_ゝ・`)「え、まだお酒飲んでないの?飲んでない素面でそのテンション?本当に?すごいね?」

(゚、゚トソン「デレレレレン!に〜ほ〜んしゅ〜(だみ声)」

(´・_ゝ・`)「あ、初期派なんだ」

(゚、゚トソン「最近のはちょっと可愛すぎて…」

私はハイテンションで今日購入した良いお酒を取り出す。
お猪口に注ぐ音にうっとりしていると、主人からの視線を感じた。

(゚、゚トソン「どうかしました?」

(´・_ゝ・`)「それ、お団子をおつまみにして飲むの?」

(゚、゚トソン「はい。みたらし団子も日本酒も、和のものなので合いますよ。良いペアリングになります」

(´・_ゝ・`)「……僕も少し頂いて良いかな」

203名無しさん:2018/04/05(木) 20:47:40 ID:o7vWRyjw0

珍しい事もあるもんだ、と思ったけれど
もうすでに『主人が家の外に出ている』という珍しさ全開の出来事が起きているのだから、今日はそういう日なんだと思うことにした。

(゚、゚トソン「主人、お酒飲めるんですか」

(´・_ゝ・`)「飲めないことはないよ。日本酒はあまり得意ではないんだけど、トソンくんが飲むならせっかくだし」

(゚、゚トソン「あら、あまり得意でない。それなら」

(゚、゚トソン「よいしょっと。しばしお待ちくださいね」

お酒飲む前で良かった。手も頭も足もまだまだ正常に動く。
小走りでキッチンへと向かい、あるものを取りに行った。

(´・_ゝ・`)「……?」

戻ってきた私が色々な物を持っていたので、主人が不思議そうな顔をしていた。

⊂ (゚、゚トソン「ポン酒と」

⊂ (゚、゚トソン「緑茶を」

☆(゚、゚トソン「合体!!」

((´・_ゝ・`))ビクッ

204名無しさん:2018/04/05(木) 20:48:35 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「ガムシロとレモンをちょっと入れて」

(゚、゚トソン「はいどうぞ、日本酒の緑茶割りです。一応カクテルみたいなやつです」

(´・_ゝ・`)「日本酒と緑茶…へー、いただきます」

薄緑色が月明かりで綺麗に透けていた。
キラキラしたそれを、キラキラした目で主人が見、ぐびぐびと飲む。
おお、いけるクチです?

(*´・_ゝ・`)「あ、結構飲みやすい」

(゚、゚トソン「お酒は美味しく楽しむものですから。苦手ならば少し工夫するだけで楽しむことができますよ」

(´・_ゝ・`)「トソンくんはお酒博士だなぁ」

(゚、゚トソン「ふっふっふ」

主人の声がいつもより明るかった。私も少し嬉しくなる。
みたらしだんごにかじりつき、酒を仰いだ。

(゚、゚トソン「うん」

(゚、゚トソン「美味しいですねぇ」

月が綺麗で、だんごは柔らかくて、主人が外に出て、酒は美味しくて。

(゚、゚トソン「良いペアリングです」

だんごと緑茶割り日本酒に夢中になっている主人には、聞こえていなそうだった。

205名無しさん:2018/04/05(木) 20:49:15 ID:o7vWRyjw0


(´・_ゝ・`)「あー美味しかった。ごちそうさまでした」

(゚、゚トソン「おそまつさまでした」

(´・_ゝ・`)「あのさトソンくん」

(゚、゚トソン「はい?」

(´・_ゝ・`)「今日、君が会った不審者くんさ……悪い子ではないから、また会ってもあんまり意地悪しないであげてね」

(゚、゚トソン「奴の態度次第ですねー」

(´・_ゝ・`)「ははは」

主人はとても楽しそうに笑っている。酒のせいもあるかもしれないが、やはり外に出ることによって体が喜んでいるのではなかろうか。

206名無しさん:2018/04/05(木) 20:49:47 ID:o7vWRyjw0


(゚、゚トソン「あの不審者とお知り合いなんですね」

(´・_ゝ・`)「うん。多分だけれど、心当たりあるよ」

(゚、゚トソン「正体を教えてはいただけないと」

(´・_ゝ・`)「もったいぶるような物じゃないんだけど、僕、彼の性格が少し心配でね。友達がいるのかとか」

(゚、゚トソン「はあ」

確かにあの雑魚さ加減だと、友達は少なそうだ。その点はまぁ、人のこと言えないのだけど。

(´・_ゝ・`)「せっかくだから、君と仲良くなって欲しいなぁって。なので彼に関することは、また彼に会ったら直接聞いてみて」

(゚、゚トソン「仲良くはならないでしょうけどね」

(´・_ゝ・`)「あはは」

207名無しさん:2018/04/05(木) 20:50:52 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「そろそろ眠くなってきました」

一升瓶はすっかり空になっていた。
美味しいお酒はスイスイ進んでしまっていけない。

(´・_ゝ・`)「12時近いからね。そろそろお開きにしようか」

(゚、゚トソン「12時でサヨナラって、シンデレラみたいですね……ん?」

シンデレラ。
言葉が、魚の骨のように引っかかった。
なんだっけ。誰だっけ。
………。
あ。

(´・_ゝ・`)「どうかした?」

ぽんと手を鳴らす。一連の不審な動きに主人は不思議がっている。

(゚、゚トソン「いえ、シンデレラ。ああ、そうか、なるほどシンデレラ」

(´・_ゝ・`)「?」



━━謎は、少し解けた。

208名無しさん:2018/04/05(木) 20:51:44 ID:o7vWRyjw0


お月見をして一週間経っていたその日、主人が言っていた『不審者とまた会う』機会がやってきた。
酒の買い出しをしていて、また呼び止められたのだ。

(#^ν^)「おい、お前この間通報しやがっただろ。しばらく職務質問の日々だったんだぞ」

(゚、゚トソン「ああ、どうも先日は」

(#^ν^)「呑気に挨拶してんじゃねぇよ」

(゚、゚トソン「私が通報した事と、貴方が職質されたことは何の関係もないんじゃないですか」

(#^ν^)「うるせえバーカバーカ」

あいも変わらず雑魚丸出しの威嚇をしてくる。確かにこれじゃ友達は……
考えるのをやめた。可哀想になったが、私は持っているカードを切ることにした。

209名無しさん:2018/04/05(木) 20:52:26 ID:o7vWRyjw0


(゚、゚トソン「ところで、シンデレラちゃんはお元気ですか?」

( ^ν^)

( ^ν^)「えっ」

不審者の顔色がどんどん青くなっていく。
汗もダラダラと流して、まぁ大変。しかし私の口は止まらなかった。

(゚、゚トソン「『クラブAA』のシンデレラちゃん」

(;^ν^)「えっ、は…何…」

(゚、゚トソン「貴方がずーーーーっと一途に想い続けて店に通いまくり指名しているキャバ嬢、シンデレラちゃん、お元気ですか?」

(゚、゚トソン「まだ毎日のように足繁く通ってるんですか?」

(゚、゚トソン「まだ緊張しちゃってシンデレラちゃんの前ではきちんと話せなくて最初の30分は無言なんですか?」

(゚、゚トソン「まだドンペリを入れる勇気はなくてワイン止まりですか?」

(;^ν^)「な、な、な、な……ん、でおま…」

210名無しさん:2018/04/05(木) 20:53:16 ID:o7vWRyjw0

(゚、゚トソン「童貞卒業できました…あっ間違えた、同伴誘えました?」

(#^ν^)「〜〜〜〜っ!!?!」

青から土色、そして真っ赤に顔色を変える不審者。カメレオンみたいだなと感心していれば、火山のように噴火した。

(#^ν^)「お ぼ え て ろ よ !!!!!!」

ダダダ…
雑魚は逃げ出した!

(゚、゚トソン「……」

(゚、゚トソン「最高に雑魚い…」

(゚、゚トソン「あっ結局主人とどんな関係があるのか聞けなかった」

(゚、゚トソン「…まぁ、もしまた会えばその時で良いですかね」


なんとなくまた会いそうだなと思う。
けど主人が言うように、仲良くなったりは…しないだろう。


そんなことより今日のおやつと、私のペアリングは何しようか。

考えながら、ゆっくり帰った。

211名無しさん:2018/04/05(木) 20:56:23 ID:o7vWRyjw0


本日の投下は以上になります
ありがとうございました

>>179
素敵な絵をありがとうございます!
モンブランとブランデーが美味しそうで美味しそうで…
そしてトソンが酒をせびる代わりにおやつを…という構図がとても好きです
本当にありがとうございました!

212名無しさん:2018/04/05(木) 21:33:10 ID:9oQdjknk0
乙乙乙
豆腐団子おいしそうだ!!

213名無しさん:2018/04/05(木) 21:59:36 ID:y0eJ6Eec0
ニュー(´;ω;`)

214名無しさん:2018/04/05(木) 22:17:39 ID:C97wZ04.0

雑魚ニュッくん可愛い

215名無しさん:2018/04/05(木) 23:23:17 ID:JVJQZwnc0


216名無しさん:2018/04/06(金) 01:12:10 ID:FCh4e2GA0
不穏なニュッくんかと思えば雑魚だった…

217名無しさん:2018/04/06(金) 08:31:15 ID:BIsftqmk0
おつー!

218名無しさん:2018/04/07(土) 17:37:19 ID:AEPzIHGI0
乙でした!
デミタスとトソンのお月見はなんか二人が楽しそうでとてもよかった!

219名無しさん:2018/06/14(木) 21:36:34 ID:dmiRNOGY0
続き待ってるよー

220名無しさん:2018/06/29(金) 16:51:51 ID:apajkV460





彼は寒いのが苦手。

でもどこか暖かい。






.

221名無しさん:2018/06/29(金) 16:52:37 ID:apajkV460

冬だ。冬が来た。来てしまった。
冬は昔から好きではなかった。寒いのが苦手なのだ。
しかし冬の買い物は好きだった。暖かくなるためのものを買うから。

12月に入った途端、我を忘れたように世間は忙しく寒くなった。
エコバッグの中で、今日の夕飯であるグラタンの具材が誇らしげに輝いている。

グラタンは素晴らしい。
熱々トロリなチーズ、ぷりぷりとした鶏肉、ジュワッとマカロニの穴から溢れるベシャメルソース…おっと、涎が。

(゚、゚トソン「今日は暖かいお酒にしましょう…熱燗、ホットウイスキー、ホットワイン…」

(#゚;;-゚)「あの…」

屋敷の門に手をかけたその時、後ろから声をかけられた。
振り向くと、落ち着いた雰囲気の女性がダンボール箱を抱えて立っている。

222名無しさん:2018/06/29(金) 16:54:03 ID:apajkV460

(゚、゚トソン「はい?」

(#゚;;-゚)「こちらのお屋敷にお勤めなんですか?」

(゚、゚トソン「ええ」

(#゚;;-゚)「…そう、なんですね……そうか…良かった…」

お上品な人のニオイがする。
厳しそうだけれど、どこか優しい感じと、懐かしさ。何だったか。教師、ではない。
そう、シスターだ。
教会のシスターのような雰囲気の人。

私を見て一瞬、彼女は安堵したような顔をした。気がした。

223名無しさん:2018/06/29(金) 16:55:10 ID:apajkV460

(゚、゚トソン「えっと、何かご用が…?」

(#゚;;-゚)「ああ、すみません。突然不躾で」

(#゚;;-゚)「以前こちらで勤めておりまして、だん…ぼ…、…デミタス様にお世話になっていたもので。あのこれ、おすそ分けです。渡していただけますか?」

(゚、゚トソン(ダンボ?)

(゚、゚トソン「構いませんが…あの、しゅ、盛岡様…は家にいらっしゃいますのでお会いになっては」

わざわざ来ていただいたのだ。こんな寒い中門の前で立ち話もと持ちかける。
主人もその方が喜ぶだろう。

(#゚;;-゚)「いえ、主人が車で待っておりますので」

主人。一瞬おやつおばけの雇用主の事かと思った。
しかしこの『主人』は私が言う『主人』とは違う意味のものだろう。
たしかに女性の後ろに車が見えた。視線に気付いたのか、運転席の人物が軽く会釈をする。こちらも会釈を返しておく。

224名無しさん:2018/06/29(金) 16:56:07 ID:apajkV460

女性からダンボールを受け取る。
ズッシリとした重みが、エコバッグの重さと合わさって腕にきた。

(゚、゚トソン(いい匂いがする)

(#゚;;-゚)「お名前、伺っても?」

(゚、゚トソン「都村トソンです。あ、私も伺ってよろしいですか」

(#゚;;-゚)「すみません、こちらから名乗るべきでしたね」

女性は小さなメモを取り出し、何かを書き始めた。
そしてそれを、両手がふさがって受け取れない私のエコバッグにスルリと入れたのだった。

(#゚;;-゚)「えびさわです」

(゚、゚トソン「えびさわさま」

その名前は聞き覚えがあった。

(#゚;;-゚)「蛯沢でぃ、です。それではデミタス様によろしくお伝えください」

225名無しさん:2018/06/29(金) 16:56:49 ID:apajkV460






8.グラタンは冬の恋人






.

226名無しさん:2018/06/29(金) 16:57:23 ID:apajkV460






(´・_ゝ・`)デミタス。主人。暖かい所で冷たいものを食べるのが好き。

(゚、゚トソン トソン。使用人。寒い日に温かいものを呑むのが好き。






.

227名無しさん:2018/06/29(金) 16:58:12 ID:apajkV460

(´・_ゝ・`)「おかえり、随分大荷物だね」

(゚、゚トソン「門の前で蛯沢様から頂きました」

(´・_ゝ・`)「え、でぃさん来てたの?もう行っちゃった?」

(゚、゚トソン「ええ、ご挨拶だけでもと言ったのですが…ご主人を待たせているからと、こちらを渡してすぐ行ってしまいました」

(´・_ゝ・`)「そう…」

挨拶がしたかったのか主人はソワソワとしていた。
やはりもう少し引き止めればよかっただろうか。

(´・_ゝ・`)「とりあえず、重いでしょうそれ。中身なんだろ…置いて開けてみよう」

(゚、゚トソン「はい」

228名無しさん:2018/06/29(金) 16:58:53 ID:apajkV460


ダンボールを開けて主人と二人で覗きこむ。
なんということでしょう。

(゚、゚トソン「パ、パラダイスや…」

開ける前から少し匂いがしていたが、開けた途端香りが広がる。
ダンボールの中には苺、林檎、オレンジ…沢山の果物が入っていたのだ。
素晴らしすぎてめまいがする。

(*´・_ゝ・`)「わぁ、すごいねぇ」

(゚、゚トソン「こんなに立派なフルーツの山々、入院でもしないと貰えないものだと思っていましたよ」

(´・_ゝ・`)「でぃさんこれ全部自分たちで作ったのかな…流石に凄すぎじゃないかな…」

主人でさえ少し圧倒されていた。
私に至っては脳内でパーリーピーポーな自分が踊りまくっている。
髪の毛一本ほどの理性で、なんとか涎を食い止めている状態だ。

229名無しさん:2018/06/29(金) 17:00:14 ID:apajkV460


(;´・_ゝ・`)「トソンくん…うわっどうしたの顔怖いよ」

(゚、゚トソン「ハッ…危ない危ない、もう少しで皮ごと齧り付くとこでした…」

(;´・_ゝ・`)「そんなにフルーツ好きなんだ…ごめんちょっと引いて」

(゚、゚トソン「お高くて自分では買えないもの、が好きなんですよ」

お酒以外のことで君に引く日が来るとはと、主人が小さく言うのが聞こえた。失礼な。

(´・_ゝ・`)「まぁこれだけたくさんあるから消費も大変だろうし…好きなら良かったよ」

(゚、゚トソン「色々作れますねぇ…ジャム、フルーツタルト、フルーツ酒…」

(*´・_ゝ・`)「ああ美味しそう…少し小腹が空いてきたなぁ」

(゚、゚トソン「ではさっそくこの素晴らしいフルーツ達でおやつを作りましょうかね」

(*´・_ゝ・`)「わーい!」

流石におやつではしゃぐ大人は私でも若干引く。
言うと面倒なので黙っておくけれど。

(´・_ゝ・`)「あ、そうだ。ちょっとだけフルーツ分けて貰える?」

(゚、゚トソン「……独り占めですか?」

(;´・_ゝ・`)「違うし顔怖いよ……仕事に使うんだ」

(゚、゚トソン「ああ、今回は『写真家』のお仕事でしたっけ」

(´・_ゝ・`)「そう」

230名無しさん:2018/06/29(金) 17:00:58 ID:apajkV460

家から出ない、引きこもりのような存在の主人が『写真家』なんて出来るのだろうかと疑問だったが、それは愚問だった。

屋敷内の物を影と光を上手く扱って撮ったり、庭の景色を綺麗に撮ったりと、主人の写真は素人の私でも良いと思うような作品だったのだ。

(゚、゚トソン「主人は何でも完璧に出来てすごいですね」

(´・_ゝ・`)「…僕はおやつ作れる方がすごいと思うよ」

(゚、゚トソン「まぁ私ですからね」

(´・_ゝ・`)「一切謙遜しないね…」

(゚、゚トソン「まぁ私ですからね」

(´・_ゝ・`)「うん…」

主人は何とも言えない乾いた笑いを浮かべていた。
『なんでも出来ること』をあまりよくは思っていないようだった。

(´・_ゝ・`)「じゃあ僕、部屋にいるから」

(゚、゚トソン「はい、出来上がったらお呼びします」

231名無しさん:2018/06/29(金) 17:01:31 ID:apajkV460


バタン。
使わないフルーツを冷蔵庫やバスケットなどに入れる。
色とりどりの果物達は、まるで早く食べてと言わんばかりに輝いて見えた。

(゚、゚トソン「ふぅ…1日限定の果物屋さんが開けそうですね」

(゚、゚トソン「ああーいい匂い。お酒に漬けたい。あらゆるお酒に漬けて楽しみたい…」

(゚、゚トソン『私をあのブランデーのプールに入れて!(裏声)』

(゚、゚トソン「ああ苺さん…なんてステキなお誘いを…」

(゚、゚トソン『僕はウォッカに浸かりたい!(バリトンボイス)』

(゚、゚トソン「林檎くんまでそんな…」

(゚、゚トソン「くっ……すまないみんな…今日は…今日だけは…主人優先でおやつを作らないといけないんです…!」

(゚、゚トソン『そんな…!トソンちゃんの大好きなお酒にはなれないの!?(裏声)』

(゚、゚トソン『絶望だ…!(バリトンボイス)』

(゚、゚トソン「明日からは私優先でお酒漬けまくりますから…絶対…!」

(゚、゚トソン『約束だよ…!(バリトンっぽい裏声)』

(゚、゚トソン「フルーツを適度な大きさにぶつ切ります」ダンダンダァン

232名無しさん:2018/06/29(金) 17:02:19 ID:apajkV460


(゚、゚トソン「バナナにはレモン汁をちょこっとだけかけておきましょう」

ブシュッ!

(゚、゚トソン「あっ」

(゚、゚トソン「…夢ならばどれほど良かったでしょう…」

(゚、゚トソン「まぁどっちもフルーツなんでセーフセーフ」

(゚、゚トソン「寒い日といえば〜」

(゚、゚トソン「コタツでみかんみかんみかん!!みかんみかんみかん!!みかんー!!」

(゚、゚トソン「私はコタツで寝酒派ですけどね」

(゚、゚トソン「さて、卵をよくときます」

(゚、゚トソン「卵をとくときのカカカカカッて軽快な音、わりと好きです」

(゚、゚トソン「小麦粉と砂糖をブチ混ぜます」

(゚、゚トソン「いえいいえい」

(゚、゚トソン「さらに牛の乳も入れますよ」

233名無しさん:2018/06/29(金) 17:02:55 ID:apajkV460

(゚、゚トソン「レンチンします」

(゚、゚トソン「今の若い子はレンジでチンするって言わないと聞いたんですがデマですよね?」

(゚、゚トソン「だって私若いですし…ピチピチピッチトソンちゃんですし」

チーン

(゚、゚トソン「チンできました」

(゚、゚トソン「また混ぜてチンしますの繰り返し」

(゚、゚トソン「人生とは…同じことの繰り返しです」

チーン

(゚、゚トソン「チンできました」

(゚、゚トソン「これに!なんと!秘密兵器を!」

(゚、゚トソン「ま!ぜ!ま!す!」

(゚、゚トソン「……」

(゚、゚トソン「…たくさんのフルーツを前に冷静になろうと勤めてますが気を抜くと熱くなってしまいますね、仕方ない」

234名無しさん:2018/06/29(金) 17:03:39 ID:apajkV460

(゚、゚トソン「バター先輩入ります!」

(゚、゚トソン「続いて秘密兵器バニラエッセンスさん入ります!」

(゚、゚トソン「勢いよく混ぜ!!ます!!!」

(゚、゚トソン「あっすっごっいい匂い!すっごっいい匂い!」

(゚、゚トソン「はー…凶悪なまでにいい匂い…この匂いをツマミにブランデーを飲める…」

(゚、゚トソン「……」

(゚、゚トソン「ちょこっとだけブランデーを混ぜましょう、最強になる」

(゚、゚トソン「よし、これをぶつ切りフルーツにかけます」

(゚、゚トソン「レンジはチン、オーブンはブン、じゃあオーブントースターは?」

(゚、゚トソン「ブンチン」

(゚、゚トソン「嘘です。特に何も言いません」

(゚、゚トソン「あっとは出来るのを待つだけ〜」

235名無しさん:2018/06/29(金) 17:04:26 ID:apajkV460


(゚、゚トソン「そういえばグラタン皿探してませんでした」

(゚、゚トソン「この広いキッチンの、食器棚の何処かにはあると思うんですけど…」

(゚、゚トソン「棚の上の方はまだ見れてないので、今度見て見ましょう」

(゚、゚トソン「…今夜のグラタンはなんかそれっぽい高そうな器に入れて誤魔化そ」

チン

(゚、゚トソン「お、出来ましたね」


甘い甘い匂いが鼻をくすぐる。
この湯気を袋に入れてずっと持っていたい。

(゚、゚トソン「主人を呼びますかね」

温かいうちに召し上がってもらわなくては。
少しだけ小走りで、主人の部屋へと向かった。

236名無しさん:2018/06/29(金) 17:05:00 ID:apajkV460


コンコン

(゚、゚トソン「主人、失礼」

(´・_ゝ・`)「あ、もう出来たの?やぁ、何かここまでいい匂いが来てるね」

(゚、゚トソン「冷めないうちにと思って声をかけたんですが…お仕事大丈夫ですか」

(´・_ゝ・`)「うん、でぃさんから貰ったフルーツたくさん撮ったよ。ちょうど一区切りついたところ」

ゴトリと重そうなカメラを机に置いて、主人は腕をぐぐぐと伸ばした。

(゚、゚トソン「すごいカメラですね」

主人が『仕事』に使ったカメラをまじまじと見てしまう。
恥ずかしながら普通のカメラしか知らない私は、これで撮影が出来るのかと怪しんだ。
何せレンズが2つあるのだ。どうするのかまったくわからない。

237名無しさん:2018/06/29(金) 17:05:39 ID:apajkV460


(゚、゚トソン「アンティーク?メトロ?レトロ…クラシック!クラシックですね?」

(´・_ゝ・`)「お祖父様のだからねぇ」

僕よりうんと歳上なんだよ、とカメラを撫でる主人。
お高そうなので私は絶対触らないと心の中でこっそり誓った。

(´・_ゝ・`)「この家にあるもの…というかこの家自体祖父のだから」

(´・_ゝ・`)「食器とかは母のもあるけどね」

(゚、゚トソン「そうなんですね」

(´・_ゝ・`)「僕は何も持ってない。家もカメラも…全部人のだ」

(゚、゚トソン「……」

238名無しさん:2018/06/29(金) 17:06:12 ID:apajkV460

(゚、゚トソン「カメラが主人のでなくても、撮った写真は主人の作品じゃないですか」

(´・_ゝ・`)「え?」

(゚、゚トソン「写真も、絵も、本も、全部主人のものですよ」

主人が『仕事』で作った物の一部はこの家にもある。
私も持っている。家やカメラがどうだろうと、主人の作品は主人の財産だ。

(´・_ゝ・`)「…あははは」

(゚、゚トソン「?」

私の言葉に一瞬呆けた主人が、いきなり笑い出した。
おやつ切れだろうか。私の心配をよそに、主人の表情は明るかった。

(´・_ゝ・`)「いや、うん。そうだったなって思って」

(´・_ゝ・`)「前にも同じこと言われたんだった。だから僕はこうして仕事をしている」

(゚、゚トソン「はぁ」

(´・_ゝ・`)「そうだったそうだった。はー、笑ったらお腹すいたな。早くおやつ食べよう」

239名無しさん:2018/06/29(金) 17:06:54 ID:apajkV460

いそいそとリビングへ向かう主人についていく。

ふと、気づいたことがある。そういえば。

(゚、゚トソン「そういえばこのお屋敷、写真が一枚もないですね」

(´・_ゝ・`)「え?」

(゚、゚トソン「アルバムも見たことないですし」

(´・_ゝ・`)「ああ、前にね。僕が焼いたんだ」

(゚、゚トソン「は」

(´・_ゝ・`)「庭で写真の類を全部火をつけてお芋を焼いたんだけどね」

(´・_ゝ・`)「ちゃんとした炭とかじゃなかったからか、僕がやったからか、あんまり美味しくなかったんだよね。トソンくんは石焼き芋食べたことある?」

(゚、゚トソン「あります…けど……よく火事になりませんでしたね」

(´・_ゝ・`)「あはは、そうだね」

さらっと黒歴史ならぬ芋歴史を語られた。
未だに主人は謎なことが多すぎる。

(´・_ゝ・`)「今日のおやつなんだろうなぁ」

(゚、゚トソン(謎も何も、おやつのことしか考えてないおじさんにしか見えない時もあるけど)

240名無しさん:2018/06/29(金) 17:07:42 ID:apajkV460



リビングについた瞬間、主人は破顔した。
暖房をつけていたから暖かい空気でふやけたのかもしれない。

(*´・_ゝ・`)「なにこれ?すごいね」

(゚、゚トソン「フルーツグラタンです。果物にカスタードクリームをかけて熱々トロトロにするだけなので簡単です」

(*´・_ゝ・`)「そんな素晴らしいものが……冷めないうちにいただきます」

(゚、゚トソン「召し上がれ」

ふんわりと柔らかなカスタードクリームをスプーンで掬い上げると、ゆったりとした湯気が上がった。

まだ冷めてないようで良かった。
中の苺がほろりと崩れ、甘酸っぱい匂いが漂う。

温かいものは何だかホッとする。(洒落ではない)

241名無しさん:2018/06/29(金) 17:08:10 ID:apajkV460


(*´・_ゝ・`)「カスタードが優しい味だね。甘すぎないからフルーツの甘酸っぱさと合ってる」

(゚、゚トソン「チャイも淹れちゃいましたのでどうぞ」

(´・_ゝ・`)「うん、うん?ありがとう」

(´・_ゝ・`)「あ、チャイも美味しいねぇ。僕寒いの苦手だから、こういう温かいものがありがたいよ」

(゚、゚トソン「主人、靴下2枚履きしてますもんね…チャイは生姜とシナモン、ハチミツマシマシですので身体も暖まると思いますよ」

(*´・_ゝ・`)「温かいものはホッとするね」

(゚、゚トソン「セリフ被ってます」

(´・_ゝ・`)「?」

(゚、゚トソン「いえ」

242名無しさん:2018/06/29(金) 17:08:55 ID:apajkV460


(´・_ゝ・`)「はー、美味しかった。ごちそうさまでした」

(゚、゚トソン「お粗末様でした。あ、そうだ主人」

器を片付けながら思い付く。満腹で満足そうな主人がゆったり、視線をこちらにやった。

(´・_ゝ・`)「ん?」

(゚、゚トソン「写真、出来たら頂けませんか?」

(´・_ゝ・`)「いいけど……写真のフルーツ見ながらお酒飲んだりしない?」

(゚、゚トソン「流石の私もそこまでは……あ、昔イカの塩辛の写真見ながらご飯食べたことはあります」

(;´・_ゝ・`)「ええ…」

お金がなかった頃はそれで凌いでいたものだ。懐かしい。

(゚、゚トソン「もうしませんよ。写真立て買ってきて、飾ろうかと思いまして」

(´・_ゝ・`)「それは…まぁ…いいけど…」

(゚、゚トソン「もう燃やさないでくださいね」

(´・_ゝ・`)「…もうしないと思うよ」

小さく口元だけで笑った主人は、じゃあ現像待っててねとまた部屋に戻っていった。

243名無しさん:2018/06/29(金) 17:09:28 ID:apajkV460





(゚、゚トソン「トソンちゃんの!!」

(゚、゚トソン「フリィィィタァイイム」

(゚、゚トソン「こほん。巻き舌がうまく出来ないんですよね私」

(゚、゚トソン「フルィィ…フリルィ…チョゲプリィ…」

(゚、゚トソン「まぁいいか!酒だ酒酒!酒の時間だぞ!」

(゚、゚トソン「また騒ぎすぎると翌朝主人に白い目で見られますからね…大人しく行きましょう」

(゚、゚トソン「今夜は!何と!!」

(゚、゚トソン「黒ビール様をお呼びしました!!!」

(゚、゚トソン「ヒューヒュー!!わーわー!!」

(゚、゚トソン『キャー!あの黒さ…惚れ惚れしちゃう!(黄色い声)』

(゚、゚トソン『フッ…心は熱いがいつでもクールでいるぜ…(イケボ)』

(゚、゚トソン『キャー!!(甲高い声)ゴホッゴホッ』

(゚、゚トソン「こいつを温めます」

244名無しさん:2018/06/29(金) 17:10:01 ID:apajkV460


(゚、゚トソン「寒い日は何でもホッとにすればいいと思ってる?正解だ!!」

(゚、゚トソン「冷え性はとにかく身体の中から暖かくすることが大事です」

(゚、゚トソン「酒はいいですよ…末端にまで血を巡らせてくれます…」

(゚、゚トソン「ホットにした黒ビールに!」

(゚、゚トソン「シナモンスティックと!」

(゚、゚トソン「オレンジを少々ぶっ込みあそばせます!」

(゚、゚トソン「ハチミツとしょうがも少々!」

(゚、゚トソン「ナツメグも入れちゃいましょう」

(゚、゚トソン「そしてフルーツグラタンと!一緒に!」

(゚、゚トソン「いただきまーす!!」

245名無しさん:2018/06/29(金) 17:10:48 ID:apajkV460


(゚、゚トソン ゴクッ

(゚、゚トソン

(゚、゚トソン「っ あー……」

(゚、゚トソン「寒い日に温かいもの飲んで、喉通るのが分かる感じが、とても好き」

(゚、゚トソン「フルーツ美味しいなぁ…こんなに大きい苺初めて食べたかもしれませんね…」

(゚、゚トソン「フルーツとカスタードもいい具合にバランス取れてますね。ビールのほろ苦さとも合います」

(゚、゚トソン「…蛯沢様にお礼言いたいな…以前の秋の幸もお礼出来なかったし…」

(゚、゚トソン「あ」

ゴソゴソとジョッキグラスを片手に探る。
私は片付けがあまり上手ではないので、使ったものをそのまま置いていたりする。

246名無しさん:2018/06/29(金) 17:11:52 ID:apajkV460


(゚、゚トソン「ありました」

エコバッグ。
グビッとビールを飲み込んでグラスを置く。
中に手を突っ込んで、目当てのものを掴んだ。

小さな紙切れ。
走り書きながらに綺麗な字で住所と電話番号が書かれていた。
蛯沢様が去り際、私に託したもの。

(゚、゚トソン「…『何かありましたら こちらへ』…」

(゚、゚トソン「何か…。沢山のフルーツを頂いてお礼をすることは…何かに入りますかね……」

(゚、゚トソン「……明日、主人に写真焼き増ししてもらいましょう」

食べ物は送りにくいが、写真ならば良いのではないだろうか。
顔を見れなかった代わりに、主人の作品を見れば元気であることが伝われば良い。
主人の作品は、人柄を写しているのか、どこか暖かい。

247名無しさん:2018/06/29(金) 17:12:42 ID:apajkV460



(゚、゚トソン「……よし」

(゚、゚トソン「そうと決まれば頂いたフルーツを楽しみますよー!ヒュー!カスタードと林檎美味しいー!!ビールおかわりー!!」



明日また主人に白い目で見られるのは確実だなと思いながらも、
フルーツと本日のペアリングが最高だったので仕方がないのだ。


.

248名無しさん:2018/06/29(金) 17:14:59 ID:apajkV460


本日の投下は以上になります

「続き待ってる」などのコメント、とても嬉しかったです
前回から2ヶ月経ってることに驚きでした
ありがとうございました

249名無しさん:2018/06/29(金) 18:09:27 ID:kYGo9ygw0
乙! 待ってたうれしい

250名無しさん:2018/06/29(金) 20:42:52 ID:0ItUgcvI0
フルーツグラタンがうまそうすぎる


251名無しさん:2018/06/29(金) 21:01:21 ID:Qgoq4B9.0
乙!トロトロ美味そう

252名無しさん:2018/06/29(金) 21:47:56 ID:ucboNuI.0
乙ー

253名無しさん:2018/06/30(土) 10:56:48 ID:zZlyZD5Q0
更新うれしい!乙でした
工程でてっきりプティングかと思ってた
フルーツグラタン今度作ってみる

254名無しさん:2018/06/30(土) 21:15:19 ID:dqq4R3K20
乙乙ー!投下待ってた!
今回もおいしそうなおやつが出てきてうれしい
フルーツグラタン食べてみたい

255名無しさん:2018/06/30(土) 22:09:05 ID:ugEGyL5M0
調理してるところとかや食べてるところとか全部すき

256名無しさん:2018/07/01(日) 17:20:51 ID:TIUYBc2I0
だんぼって何だろな…
写真焼いて焼き芋作るデミタスがちょっと怖いな…

257名無しさん:2018/07/01(日) 17:39:41 ID:TkEYzFic0
旦那様、坊ちゃんかな

258名無しさん:2018/07/01(日) 18:39:48 ID:TIUYBc2I0
>>257
あだ名かと思った
なるほどな

259名無しさん:2018/07/01(日) 19:01:41 ID:aHUr.bAU0
ダンディボーイの可能性

260名無しさん:2018/07/01(日) 19:16:43 ID:0CS8NHwY0
デミタスは福耳だからそれを馬鹿にされているんだよ


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板