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('、`*川魔女の指先のようです
19
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 07:58:14 ID:YAAXsb060
席に移動してトレーを置き、紙袋からサンドイッチを出して早速かぶりつく。
一本のバゲットに挟まったレタスとピクルス、そしてみじん切りにされた玉ねぎが心地のいい歯ごたえを演出し、
トマトとハムは独特の甘みを生み出し、チーズがそれらを束ねる風味を提供した一品は実に食べ応えがある。
マヨネーズの酸味も然ることながら、シーザードレッシングが全体の味を調えている。
実に単純な味付けだが、これがいいのだ。
野菜はティンカーベルで作られた野菜だが、他は全て輸入された安物だ。
だが、素材の良し悪しが料理の味を左右するのはよほどの時でなければあり得ない。
風に疲れ、広い世界を知りたいと願う人間には食材よりも味が何よりも優先して評価される。
食べ応え、味、値段の全てが平均以上の物だった。
ペニーにとって食事は食べ過ぎるという事はない。
食べられる時に食べ、緊急事態に備えるのだ。
ましてやそれが、味について一切の言及を許されない携行軍用食でないのならばなおさらだ。
一般的な女性――モデルのような細身の体形に憧れる女性――が食べる量よりも多いが、ペニーは他人の視線を気にすることなく食事に集中し、完食するに至った。
もっとも、彼女からしたらこの程度の量はなんてことないのだが。
時間を惜しむことなく食事を済ませてから、食後のコーヒーを静かに飲んで休憩することにした。
バイクの旅にはいくつかの楽しみがある。
美しい風景や立ち寄った土地での出会い、郷土料理や未知との遭遇などあるが、食後に味わう非日常感は特に格別だ。
特に、日常的に喧騒の中で生きている人間ほど、その感動は増す。
軍人であるペニーが平和そのものの空気を味わえるツーリングを楽しんでいるのも、こうして非日常を味わうことによって日々のストレスを軽減させる目的がある。
冷房の効いた喫茶店内には一目で同じグループのバイク乗りだと分かる男達がたむろしており、全員が膝に赤色のバンダナを巻いていた。
彼らは食事を終え、次の目的地の話に花を咲かせている。
他にも、狩猟に来ているのかサングラスをかけた厳めしい男がライフルケースを傍らに置き、どこかに視線を向けている。
客の中でも異質な存在感を放っていたのは、フードの付いたローブかマントを羽織る美しい女性だった。
ζ(゚ー゚*ζ
('、`*川
宝石のような碧眼と瑞々しささえ感じられるウェーブのかかった上品な黄金色の髪は、まるで絵画や芸術品を思わせた。
不思議な印象を与える女性はペニーの視線に気づいたのか、軽く微笑みかけた。
ペニーも微笑み、会釈をした。
ティンカーベルには大きく分けて三つの島がある。
西に位置するバンブー島、東に位置するオバドラ島、そして二つの島の中心にある、ここ、グルーバー島である。
バンブー島はウィスキーの蒸留所がいくつもあり、昔から上質なシングルモルト・ウィスキーを生産することで知られている。
その秘訣は大量の泥炭と天然水にある。
泥炭はウィスキー作りに於いて欠かせない存在であり、独特の風味を作り出す要だ。
また、その泥炭を通じて地下に沁み込んだ天然水は必然的に泥炭の香りを内包しており、他に類を見ない最高の相性として世界に知られている。
オバドラ島は自然豊かな島であり、建物もその景観を壊さないよう配置されている。
どの島も橋を使って行き来をすることが可能なため、バイクでも難なく島を探索、堪能することが可能だ。
大きなマグカップに注がれたコーヒーを飲み終えたペニーは、新たな静寂と風を求め、店を後にした。
再び強い日差しに照らされたペニーはヘルメットを被り、バイクに跨る。
キーを差し込んでエンジンをかけた、その時である。
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