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( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです
1
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/09/23(金) 23:19:53 ID:tPVEEtDg0
前スレ
( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1438259918/
支援曲 Answer(すーぱーもぐりん氏より)
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/link.cgi?url=https%3A%2F%2Fyoutu.be%2F-c3XqxQ_j2A
ゆっくりまったりと。2スレ目でもよろしく。
123
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:07:35 ID:MyRZcDlU0
( ∀ )「…………っ!」
ジョルジュの居室は瞬く間に炎に包まれ、夜闇を煌々と照らす。
校舎塔よりも遥かに高い職員居住区の塔。高度百メートルの世界に投げ出され、斜方投射の落下を始めたモララー。その視線の先。
炎によって形成された龍が空を舞う。
胴を曲げ、宙で落下するモララーに、大きく広げた口を向けていた。
_
( ゚∀゚)「高度百メートルの世界で、まだだんまりを決め込むんならお前は終わりさ。俺がお前に敵わないとしてもな」
( ・∀・)「…………」
_
( ゚∀゚)「そうかい。ならくたばれや」
落下するモララーの頭上。楕円形の炎の渦が、轟々と畝る。
それは真っ直ぐ、モララー目掛けて降りた。いや、正確には、伸びた。
夜闇を照らす火柱が落ちる。
モララーは無言で、右手で銃を模る。左手で右手首を掴み、その指先は、火龍を捉えていた。
闘気の収束は火柱の落下よりも速い。世界そのものが、その指先に集っている。
放たれるその膨大な闘気の名は――――
――――龍王気。
124
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:09:02 ID:MyRZcDlU0
火柱が大地を焼き尽くす。熱は波状に拡がり、土煙が舞い上がる。
その遥か上空、首を擡げた火龍。その首と胴が、分かたれていた。
頭を失った龍の胴は、一層激しく燃え上がり、やがて霧のように雲散してゆく。
夜闇の下の第三ブロックに火の雨が降り注ぐその光景は異様で、これが世界の終わりだと告げられても、なんら不思議ではないだろう。
_
( ゚∀゚)「俺はここにいるぞモララァー!!」
首だけの龍が咆哮を上げる。
それに呼応するように、ジョルジュも雄叫びを上げた。
分かっている。
どれだけ煽り立てたところで、モララーはその挑発に乗ってくることはない。
ジョルジュはますます苛立った。
どこであろうと自分の意志は何かを掻き乱す強大な力を孕んでいなくてはならない。
それなのに、あの男はいつでもどんな厄災の渦中でも素知らぬ顔で、鼻歌交じりに飄々と隅の方を歩いている。
ジョルジュにはそれが許せなかった。
自分を、何としてでも認識させてやる。
そんな独りよがりな自意識は、それでも強大な力を孕み、火龍と共に燃え上がる。
125
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:09:54 ID:MyRZcDlU0
その夜、煌々と燃え上がる炎が絶えることは無かった。
.
126
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:10:36 ID:MyRZcDlU0
ドクオのバイクに乗るのは、これで二度目だ。
風を切る音が轟々と、まるでぼくの静脈血が唸りを上げているみたいで、遠い空を見上げると思わず身震いした。
雲一つ無い青空だ。
湿っぽいこの時期にしては珍しい。
あるいは、ある意味ぼくらの門出とも言えるこの日を、天も祝福してくれているのかもしれない。
( ^ω^)「なんて」
太陽に向けて伸ばした腕。陽光が掌をすり抜けて、降り注ぐ。
目が焼けそうなくらい眩しかったから、瞼を下ろしてみる。
途端に平衡感覚が乱れ、ぼくは風に流されているような気分になった。
('A`)「ふらふらすんな。次のサービスエリアで飯にしよう。少し飛ばすぞ」
( ^ω^)「ピザはあるかお?」
('A`)「知らん」
ジャンクなものを食べたい気分だった。
なぜだか、身体が無性にそういうものを求めている気がした。
127
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:11:22 ID:MyRZcDlU0
――
――――
ピザは無かった。
ハンバーガーショップがあったので、それで妥協する。
紙袋いっぱいのハンバーガーを二人で分け、自販機で買ったコーラで流し込む。
('A`)「それピクルス抜きだろ。ちゃんと見てから食えよ」
( ^ω^)「嫌いだったかお? ピクルス」
('A`)「嫌いじゃねえけど、安いハンバーガーに入ってる安いピクルスはなんか違う」
( ^ω^)「ふうん」
彼なりのこだわりがあるらしい。
これは勝手な偏見なのだけれど、ドクオは食事に対して無頓着で、腹に入りさえすればなんでもいい、くらいに言いだしそうな男だと思っていたので、少しだけ驚いた。
ピクルスが無いハンバーガーは酸味が足りなくて、牛肉の生臭さが口の中に広がる。
不味くはない。けれど決して美味しくはない。
ハンバーガーを、ただ食欲を満たす為の糧として見ているのは、彼ではなくてぼくの方なのかもしれない。
('A`)「……うめ」
少しだけ、ドクオの頬が上を向いた。ほんの、少しだけ。
128
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:12:13 ID:MyRZcDlU0
こうして学園の外に出るのは、いつぞやの汚れ仕事の時以来だ。
あの時はただ仕事場に向かって、事を終えて帰宅しただけだったから、学園の外のものを食べるのは、VIPに入学してからこれが初めてということになる。
( ^ω^)「マンション、借りようかなあ」
('A`)「やめとけ。VIPの周りはボッタクリばかりだ。足元見られるぞ」
( ^ω^)「ドクオは借りてるんだっけ?」
('A`)「ああ、月に二百万」
(;^ω^)「んなアホな」
('A`)「嘘だったらいいのにな」
どこか遠い目。
ドクオが罪の無い人間を殺して得た金は、このようにして吸い上げられているらしい。
武力とは、どこまで行ってもその程度のものなのだろうか。
考えても詮無いことなので、ぼくは手元のハンバーガーにのみ、意識を向けた。
( ^ω^)「…………」
美味くもないし、不味くもない。
129
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 12:50:09 ID:MyRZcDlU0
素直家に着いたのは、すっかり日が沈んでしまって、更に一時間ほど経ったくらいだった。
スピードメーターは常に百キロを超える速度を指していたから、ぼくたちはこの半日で途方もない距離を駆けたことになる。
そう考えると、この尻の痛みもごくごく自然なことだった。
( ^ω^)「今から帰りが憂鬱だお」
('A`)「お前は座ってるだけだからいいだろうが」
流石のドクオも、この長旅の疲れが顔色に現れている。
彼の視線を辿ると、このご時世明らかに浮世離れした武家屋敷。
( ^ω^)「なんというか、イメージ通り過ぎて……」
('A`)「逆に引くよな。まあ分かるよ」
この辺りはグールが多い。
ここに来る途中ですら、既にあの食人鬼独特の呻き声がぼくの耳を掠めていった。
そういった背景があるから、近隣の住居は高層マンションが多い。
更に言うならば、セキュリティ面において信頼における建物の需要が高いであろうことは、想像に難くない。
そんな中、むしろ周りがこの家に合わせろと言わんばかりに、堂々と構える屋敷。
グールの気配は、無かった。
130
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 13:49:26 ID:MyRZcDlU0
グールの気配が無い理由など、誰の目から見ても明らかだ。
バイクの排気音が鳴り止む。ぼくに少し遅れてドクオもバイクから降りた。
そして、厳かな造りの門扉を、その前に立ち尽くす男を見る。
( ^Д^)
ぼくたちよりも、年は三つか四つほど上だろうか。
若々しい顔立ち。ぼくの目からすると、比較的男前な容姿に、彼が着込んだタイトなシルエットのスーツはよく似合っている。
('A`)「久しぶりだな。プギャー」
( ^Д^)「……ふん」
不遜に鼻を鳴らした彼は、恐らくバイクに視線を向けていた。
( ^Д^)「かっこつけたもんに乗ってんなあ僕ちゃん。生意気な口の利き方も相変わらずそうで……」
酷く、棘のある口調だ。
軟派な容姿だから、ただの軽口に聞こえなくもないが、怒気を孕んでいるようにも見える。
( ^Д^)「そっちは、お友達?」
('A`)「内藤ホライゾンだ」
( ^Д^)「ああ、はいはい……君が、ね」
131
:
名無しさん
:2016/11/27(日) 14:12:55 ID:3F3.nmvoO
支援ー
132
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 14:43:08 ID:rrebwTac0
値踏みするような視線が飛んできた。
今更それに対して、不愉快な思いをすることもない。
乞食時代にはこの視線の対価に飯を食べていた。
VIPに入っても、事あるごとにこういう視線を浴びてきた。
( ^ω^)「素直さんに呼ばれて参りました。お世話になりますお」
( ^Д^)「…………」
何が気に入らないのかさっぱり分からないけれど、彼は不服そうにまた鼻を鳴らし、編み上げたネズミの尾っぽのような後ろ髪を肩の上で弄りながら、ドクオに視線を移した。
('A`)「なんだよ」
( ^Д^)「…………」
男は何も答えない。
意味深に、ジャケットのポケットに手を突っ込み、首の骨を鳴らす。
( ^Д^)「お前ら、お嬢から何も聞いてねえの?」
ぼくとドクオは互いに顔を合わせ、そしてほぼ同時に首を傾げた。
133
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 14:49:38 ID:rrebwTac0
――
――――
川 ゚ -゚)「友人が来るんだ」
( ^Д^)「へえ」
川 ゚ -゚)「一人はお前もよく知ってるドクオ」
( ^Д^)「僕ちゃんが? 久しぶりっすね」
川 ゚ -゚)「お前はいつぶりになるんだろうな。VIPに入ってから凄く頼もしくなったよ」
( ^Д^)「あーの僕ちゃんが、ねえ。そりゃあ楽しみで」
川 ゚ -゚)「もう一人は内藤ホライゾン。VIPで知り合った奴なんだが……これが面白い奴でな……」
( ^Д^)「お嬢のお眼鏡に敵う奴、ですか。そりゃあ大層な手練れなんでしょうね」
川 ゚ -゚)「さあ、どうだろうな」
134
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 14:56:38 ID:rrebwTac0
川 ゚ -゚)「友人を家に上げるのも久しぶりなんでな。ただ出迎えるのも面白くないだろう?」
( ^Д^)「はあ、なるほどなるほど……お嬢も人が悪い」
川 ゚ -゚)「母さんの娘だからな」
( ^Д^)「……お嬢、この家の敷地内でそういうことは……」
川 ゚ -゚)「母さんはさっき風呂に入った。心配ない」
(;^Д^)「お嬢もVIPに入ってからまた一段と肝が座りましたね……」
川 ゚ -゚)「どうだかな」
川 ゚ -゚)「まあそれはいいさ。出迎えはお前に任せるぞ。私の友人だ。丁重にもてなしてくれ」
( ^Д^)「丁重に」
川 ゚ー゚)「ああ、丁重にな」
135
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 15:10:31 ID:rrebwTac0
――
――――
( ^Д^)「丁重なおもてなしを仰せつかっちまったもんでよ。このまま長旅ご苦労さんと通すわけにもいかねえんだ」
('A`)「ちっ」
ぼくには、彼の言葉とドクオの表情がちぐはぐになっている理由がいまいち分からなかった。
こんな立派な武家屋敷を構える素直家のおもてなしだ。
それはもう大層な、鯛やヒラメの踊り食い。もしくはルビーと見紛うような上等な肉が出てくるか。
どちらにしても、玄関先で食べるには少しばかり品が無い気もする。
('A`)「なにヨダレ垂らしてんだ」
( ^Д^)「余裕だねえ、お客さん。大層腕に自信があると見た」
( ^ω^)「おっ?」
ぼくの視界から、プギャーが消えた。
ほぼ同時に、鳩尾に違和感。
肉が破れ、内臓が飛び出てしまったのではないか。
激痛などとうに通り越した衝撃が爪先まで広がる。
ぼくの視界は、夜空を捉えて目まぐるしく動く。
136
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 15:20:54 ID:rrebwTac0
( ^Д^)「軽いな」
ぼくは、ようやく自分が宙に浮いているのだということに気付いた。
深々と腰を落とし、半身をこちらに向けた構え。
流派がどうだとか、そんなものは関係なくて、確かに迸る殺気がぼくの本能を駆り立てる。
来る――
('A`)「ボサッとすんな!」
ドクオの怒号。
鈍く、湿った発砲音が二発。
視界の端から、プギャーを狙って駆る弾丸の閃きだけが見えた。
決して常人の目では捉えられない軌道。
( ^Д^)「ナチュラルに不意打ちとは悪どくなったもんだな」
(;^ω^)「っ!」
('A`)「…………」
受け身を取りながらも、ぼくはプギャーから視線を切らない。
信じられない、信じたくもない光景が、そこにあった。
自身の頬の側で硬く握る拳。
ぼくの目に、予感に、狂いが無ければ、決してあり得てはならない事が、起きている。
137
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 15:30:03 ID:rrebwTac0
( ^Д^)「俺は大らかだからよ。蚊トンボ飛ばして嫌がらせされたって全く応えねえんだわ」
結んだ手を開く。
二つの銃弾が、彼の手から零れ落ちた。
( ^ω^)「…………」
ぼくの目が狂っていなければ、彼はこの近距離から自分を狙って放たれた弾丸を、見てから掴んだということになる。
銃弾を見切る訓練ならば、ぼくも幾らか積んだ。
だからこそ分かる。ドクオのあの銃は、規格外だ。
どういう構造なのかは知らないけれど、あれを見てから素手で掴むなんて芸当が出来る人間が、VIP学園に何人いるだろうか。
( ^Д^)「俺が素直家の門番だ。この家の敷居を跨ぎたけりゃ、俺を押し退けて行くんだな」
ドクオではなく、彼はぼくの方を見てそう言った。
再び黒銃の啼く音。
狼煙が上がった。
138
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 15:41:30 ID:rrebwTac0
素直の家に三つ設けられている稽古場のうちの一つ。
ただ畳を広げただけの、質素な一室は、血に染まっていた。
o川*゚ー゚)o「お客さんが来たみたいだね」
クーの母親、素直キュートは足元で肉塊同然となっているそれを細い足で踏みつけながら、屈託のない笑みを浮かべた。
肉塊は時折痙攣して、口から血混じりの泡を噴きこぼす。
言葉を捻り出そうするも、喉の奥で木枯らしが鳴るだけで、声は意味を成さない。
o川*゚ー゚)o「まだあと三回残ってるよ。ほら、お友達が来る前に終わらせないと!」
川 )「かっ……はっ……」
キュートは足元で、血だるまになっている実の娘を蹴り飛ばし、朗らかな笑みを浮かべたまま、彼女が立ち上がるのを待った。
139
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 15:54:13 ID:rrebwTac0
川; ゚ -゚)「行きます」
膝が震えているのは、肉体的な疲労のせいだけではない。
彼女の本能が、母親と剣を向けて対峙することを拒絶している。
たとえばモララーと対峙したとして、自分はこのように恐怖するのだろうか。
クーは考えた。だが、そのイメージは目の前の恐怖に掻き消された。
モララーを始め、この世界に存在するまだ見ぬ強者達。
そのイメージを消し飛ばす母親こそ、現時点で彼女が最も恐れている絶対的強者なのだ。
自身が思い描く最強のイメージが、今こうして目の前に立っている。
クーは恐怖と同時に、血沸く闘争心を滾らせていた。
川 )(殺す気で臨まないと、本当に殺される……)
壁に立てかけられた真剣を握り締め、力無く腕を下げる。
今日で何本真剣を折っただろうか。
考えるのも馬鹿らしくなるような些事だった。
140
:
名無しさん
:2016/11/27(日) 16:02:44 ID:lO7ZivrQ0
>>116
エレクチオンッ!
141
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 16:04:57 ID:rrebwTac0
川 ゚ -゚)「月華陣――」
疲労はピークに達している。
こうして動かしている手足も、既に彼女にとっては自分のものではないような、極限の浮遊感の中にクーはいる。
川 ゚ -゚)「薊繚乱!」
刃を、一振り。
その所作は、無数の闘気の刃を伴って、殺戮を振り撒く。
壁が、畳が切り刻まれてゆく。
その幾千幾万もの刃が稽古場を満たす。
o川*゚ー゚)o「うんうん! さっきよりは良くなってきてるよ!」
少女のような笑み。
着物の袖を弛ませながら、真っ直ぐ腕を伸ばし、キュートは開いていた掌を固く結んだ。
クーの視界が、赤く染まる。
142
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 16:13:20 ID:rrebwTac0
無理だ。
どう足掻いても、どうイメージしても決して辿り着けない境地。
何度手折られただろうか。
自分の鍛錬も、意志も、容易くへし折ってしまう刃。
母親を、畏怖の対象としか見られなくなったのは、帝国一の剣士と呼ばれるようになってから。
力を手にして初めて解る。
そして無情に心をへし折ってくる。
o川*゚ー゚)o「ほらクーちゃん。座ってる場合じゃないよ。あと二回!」
川 )「母さ……もう……ムリ……」
o川*^ー^)o「は? 死ね?」
こめかみに衝撃。
クーは意識を手放した。
そしてその数秒後、母親の手によって無理矢理引き戻された。
143
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2016/11/27(日) 16:14:02 ID:rrebwTac0
おわり、しんどいねん
144
:
名無しさん
:2016/11/27(日) 16:22:19 ID:gzoT6kwM0
お疲れ様!
相変わらずのお母さん
145
:
名無しさん
:2016/11/27(日) 16:23:59 ID:gzoT6kwM0
お疲れ様!
相変わらずのお母さん
146
:
名無しさん
:2016/11/27(日) 16:32:21 ID:HSDMejg.0
乙!
147
:
名無しさん
:2016/11/27(日) 16:53:53 ID:Wohz3W7w0
乙!!
スパルタすぎる
148
:
名無しさん
:2016/11/28(月) 17:22:20 ID:zcDKxco60
お母さんでぶっ飛ばされたけどやっぱジョルジュいいな
いい意味で子供っぽくて
149
:
名無しさん
:2017/01/16(月) 05:58:11 ID:5n0yQVi20
あけおめ
続きはようはようクー母ちゃんを作者の元にぶち込もうぜ
150
:
名無しさん
:2017/01/20(金) 00:33:38 ID:tqtzyKIs0
ロリババアつえぇ、
151
:
名無しさん
:2017/01/20(金) 00:34:23 ID:tqtzyKIs0
ロリババアつえぇ、
152
:
名無しさん
:2017/02/24(金) 01:21:01 ID:8eiJeoPk0
クーの母ちゃん強すぎだろ…
モララーに勝てるんじゃね?
153
:
名無しさん
:2017/04/10(月) 20:28:38 ID:ydtkdezA0
そろそろ来ないかな?(´・ω・`)
154
:
名無しさん
:2017/06/10(土) 22:41:02 ID:5kaNEZS60
とても好き
155
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 21:00:42 ID:iVNv6RCA0
自分、紅白のネタが進まないんで今からながら投下いいすか
156
:
名無しさん
:2017/07/24(月) 21:02:21 ID:aLES1qUI0
!!??!!!お、おう!!!
157
:
名無しさん
:2017/07/24(月) 21:03:33 ID:V/rQLvuk0
歓迎する
158
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 21:05:19 ID:iVNv6RCA0
第二十四話「銀翼と雷鳴」
.
159
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 21:13:34 ID:iVNv6RCA0
格上と敵対する時に意識していることはいくつかある。
その中の一つで、ぼくが最も重要視していることは……
――決して、正対しないこと。
相手が銃器を持っている場合の相対方法もこれと同じで、自分の身を相手の直進上から逸らすことで、申し訳程度の、攻防の際のタイムラグを誘う。
それ自体は本当に、ただの気休めだ。
上体を少し引き、半身をプギャーに向ける。
左手は柔剛どちらにも対応出来るよう、眼前に突き出して鉤手。
利き腕の右は固く結び、肩と同じ高さに構える。
どこぞのマニュアルから倣ったわけではない。
鍛錬を積む過程で試行錯誤するうちに、自然と身についた構えだ。
160
:
名無しさん
:2017/07/24(月) 21:15:01 ID:GVyEC2xA0
更新してくれるならそれだけで紅白は成功と言えるだろう俺にとっては
161
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 21:22:52 ID:iVNv6RCA0
( ^Д^)「……ほう」
プギャーが僅かに目を細める。
表情筋の動き一つ取っても、細大漏らさず感覚で捉えることが出来る。
たとえば今のぼくの脳の動きを科学的に分析したとして、恐らく視覚がそれを脳に伝達していると言われるのだろう。
だがそれだけでは説明しきれない感覚の刃が、ぼくのうなじあたりで燻っている。
こういうのを、第六感とでも言うのだろうか。悪い気はしない。
むしろ、心地いい。
( ^Д^)「良い構えだ。凡百のそれではあるが、洗練されてやがる」
今にも鼻歌でも歌い始めそうな、上機嫌な声色。
地を踏みしめる一歩が、やけに遅い。
そこまでを、感覚の刃が捉えた瞬間――
( ^ω^)「……っ!」
162
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 21:33:49 ID:iVNv6RCA0
( ^Д^)「そして何より、いい目をしてる」
コマ送りで流れる闘いの中の時。
それの一部がすっぱりと抜け落ちてしまったみたいだった。
細大漏らさずプギャーの動向を捉えていた筈なのに、瞬きすらしていなかったのに――
気付けば彼の身体はぼくの懐に潜り込んでいて、見上げる切れ長の双眸ははっきりとぼくを捉えていた。
考えるよりも先に受けの構えを取っていたぼく。
どこに打ち込まれるか、予想も出来ない。
覚悟を決めた刹那、腰を引っ張られるような感覚。次の瞬間ぼくの身体は宙に浮いていた。
(;^ω^)「うおっ……!?」
次は受け身の体勢を。考えるまでもなく、衝撃に耐えられる構えを取れるようになった自分に感心する余裕は、さらさら無かった。
揺れる視界の中映り込むプギャーの半身。それを塗り潰す発光。
163
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 21:53:53 ID:iVNv6RCA0
光の次に、音。
篝火を焚いたような音が、囀っている。
それを認識するのと、ぼくが乾いた地面に受け身を取るのはほぼ同時だった。
咄嗟に身を起こし、光の発生源を見る。
真っ直ぐに突き出したプギャーの腕が青白い光を纏っていた。
('A`)「気をつけろブーン」
肩に置かれたドクオの手は、冷たくはなかったけれど、人肌を感じた瞬間背中に鳥肌が立つのが分かった。
('A`)「あいつは電撃を出す」
電気使いとヴァンパイアロード。果たしてどちらの方が突飛な存在か。
それは分からないけれど、少なくともハインを始めとしたこれまで出会った多くの猛者という存在が頭の中にあったお陰で、ドクオの言葉はすんなりとぼくの頭に染み込んだ。
( ^ω^)「またファンタジーだお」
電撃。危ない。当たったら死ぬ。オーケー。
164
:
名無しさん
:2017/07/24(月) 22:01:30 ID:thuQp/kc0
待ってた
165
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 22:06:55 ID:iVNv6RCA0
( ^Д^)「優秀なバディに救われたな、ガキ」
波動を彷彿させる一定の律動で、プギャーの右腕に纏わりついた青白い雷光は囀る。
ちょうど、ドクオのバイクを威勢よく空吹かしするイメージとよく似ている。
明確な威嚇の所作。しかしそれは虚勢などではなく、人が爪の先で、虫を死なない程度に弾くような、無邪気な威嚇。
( ^ω^)「あのさ、ドクオ」
ぼくが語りかけると同時に、プギャーは青白い雷光を全身に纏う。
それによって不自然に舞い上がった前髪。中性的で涼しげな顔立ちのプギャーが残虐非道な暴君のようにも見えた。
('A`)「なんだ」
ちりちり、ぱちぱち、と。
戦慄のオノマトペ。
( ^ω^)「丸腰のぼくが彼に一発お見舞いする方法は……」
('A`)「ねえな」
( ^ω^)「……ですよね」
デレと対峙した時以上の無力感が、どっとぼくの双肩に伸し掛かった。
166
:
名無しさん
:2017/07/24(月) 22:46:30 ID:1bs.tRrw0
マジかよ支援するわ。
167
:
名無しさん
:2017/07/24(月) 22:55:14 ID:jSiR.nyE0
支援せざるを得ないだろ、これは。
168
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 23:12:12 ID:iVNv6RCA0
ブーンとドクオが素直邸に到着してから数時間後。
VIP学園第3ブロックの夜空は煌々と燃え上がっていた。
職員居住区だったこの場所は、施設や寮を残して、教職員の大半は居なくなっていた。
第3ブロックの職員の凡そ半数はジョルジュに殺され、残りは既にVIP学園外に逃走した。
残った職員はほんの数名。学園の運営をその数名で回している現状。
ジョルジュの火で焼き殺されるのと、このまま心身ともに摩耗した挙句過労死するのと、彼らにとってどちらが幸せだろうか。
('、`*川「火龍ファフニール。どうしたもんかねえあの子は」
( <●><●>)「仰々しい。狼煙のつもりか」
VIP学園の全ブロックを巡回するように、火龍ファフニールは上空をうねりながら懸けていた。
炎の胴が揺らめく。目や鼻といったパーツも存在しない龍に視覚があるとは、当然の道理として考えにくい。
それでも日が沈むと同時に上空に現れた龍に、学園の誰もが自身の敵意を気取られているような閉塞感を抱いていた。
('、`*川「あんまり悪目立ちしなさんなよ。多分というかほぼ確実に、あれには索敵能力が備わってるだろうから」
( <●><●>)「ほう」
169
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/24(月) 23:37:12 ID:iVNv6RCA0
( <●><●>)「索敵されようが消し飛ばしてしまえば関係ないだろう」
('、`*川「利口な手段とはいえないわねえ。あたしはこの世のことなら大抵なんでも分かるけど、それにしたって魔術師絡みのことに関してはさっぱりだからねえ」
( <●><●>)「火龍の召喚のメカニズムが解らなかろうがそれを壊せるかどうかには関係ないだろう」
('、`*川「ジョルジュからなにかしらのエネルギー供給が途絶えない限り延々と再生し続けるアレを? それこそアホの極みですわ」
( <●><●>)「その無理を押して打ち破れないようなら、VIPを束ねるなど到底不可能だろう」
('、`*川「……あんた、そんな脳筋的なこと言うタイプだっけ?」
ペニサスは態とらしく肩を竦めて、深い溜息を吐いた。
ワカッテマスは意に介さず、ふてぶてしく鼻を鳴らし、上空の火龍を見上げている。
龍を捉えた双眸は、煌々と燃える炎を映し、揺らめいていた。
170
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 00:20:11 ID:Pkyj08Vc0
うひょー支援
171
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/25(火) 00:40:00 ID:dL5XzqK.0
('、`*川「セントジョーンズ、現存する魔術師の中で最古にして最強の血統。これはあたしの経験則だけど、ああいうイロモノは単純に力で抑え込もうとしたって手痛い反撃を食らうわけですよ。勝ち負けはともかく、そのリスクを進んで背負う必要はないでしょ?」
( <●><●>)「そこまで言うんなら、何かしら妙案があるんだろうな」
('、`*川「まあねえ。いずれこんな日がくるだろうと思って、下調べには余念がなかったですから」
( <●><●>)「……ふん」
少しだけ、ワカッテマスの表情が歪んだのを、ペニサスは見逃さなかった。
('、`*川(ほんと可愛いやつだわね)
ペニサスは彼の所作を、十代半ばの少年の健全な見栄と捉え、口角を上げて微笑んだ。
ワカッテマスに意固地に背を向ける自分の、機械らしからぬ思考すら自覚しつつ、彼女は恋慕の念とは似て非なる感情の芽生えに困惑していた。
('、`*川(誰かにお熱になる自分ってのも、ぞっとしないのよねえ。まあしゃーなしか)
思考を意識的に雲散させ、普段と同じ蓮っ葉のような表情を作り、振り返る。
('、`*川「ねえ」
( <●><●>)「なんだ」
('、`*川「好き」
172
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/25(火) 00:41:04 ID:dL5XzqK.0
疲れた、寝る
多分明日にでも続き書く
気合を出したい
173
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 00:44:33 ID:VEiFq7so0
くそ、こんなところで止めやがって
174
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 00:52:49 ID:NWxdpmV60
ペニサスうううう!
乙、明日が待ち遠しい
175
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 01:06:02 ID:gdYmdPaI0
寸止めかいいいい
176
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 02:56:18 ID:NWxdpmV60
http://iup.2ch-library.com/i/i1833265-1500918789.png
擬人化注意 ( ^Д^)
電撃はロマン
177
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 06:44:04 ID:ilGiBty60
so good
178
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 19:48:39 ID:SkEM5GRI0
プギャーさんまさかのキャラ被り
しかしジョルジュはモララー相手でも死んでないのか
179
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/25(火) 23:16:33 ID:dL5XzqK.0
はい
180
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/25(火) 23:42:07 ID:dL5XzqK.0
ワカッテマスは、何も答えなかった。
ペニサスも、無反応という反応が返ってくることは分かっていたし、それでいいとすら思っていた。
唐突に上空に出現した火龍ファフニール。
それはまさに、不干渉を決め込むモララーを除き、ジョルジュの監視下に置かれたVIP学園の被支配の象徴。
各々が被支配を良しとしないこの場所で、早々に反乱の芽が芽吹くことは、ごく自然の道理。
その反逆の火蓋となるのが、ワカッテマスとペニサスであったということについては、王位の誰もが予想できなかっただろう。
('、`*川「ちょうど、このあたりだわね。うん。ねえ、この地盤をふっ飛ばしてくれる? 出来るだけ目立たないように」
( <●><●>)「難しい注文だな」
ワカッテマスはしゃがみ込み、手のひらをコンクリートに押し当てた。
次の瞬間、ペニサスの背中に槍で貫いたような鋭い衝撃。
凡百の放つ闘気とは一線を画す龍王気。高密度の覇気が刹那のうちに収束する際の感覚だった。
次に雪崩れ込む衝撃はまさに直下型地震のそれで、彼らを中心に、直径凡そ百メートルのクレーターが出来上がった。
抉れると同時に破砕されるコンクリート。彼らの足元に、剥き出しの配線が広がる。
181
:
名無しさん
:2017/07/25(火) 23:45:14 ID:W3XTXLGI0
来た来た支援
182
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 00:09:13 ID:Su.S0p4c0
よっしゃ!待ってたで!
183
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 00:12:04 ID:6DYm.WdU0
( <●><●>)「これは……電力供給用のケーブルか?」
('、`*川「惜しいけど不正解。動力を供給してるのは合ってるけど、流れてるのは電気じゃなくて……」
徐ろにケーブルの中の一本を引き上げ、引きちぎる。
ワカッテマスはそれの断面から溢れ出る不可視の気を感じ取り、眉を顰めた。
('、`*川「気づいたでしょう。あたしらの足元には闘気が流れてる」
( <●><●>)「俺たちがあれだけ調査に躍起になっていた力は、既に自在に流用出来るところまで解析されていたということか」
('、`*川「あたしは最初から全部知ってましたけど?」
( <●><●>)「……」
('、`*川「……嘘だって。分かったのは最近のこと」
184
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 01:02:59 ID:6DYm.WdU0
('、`*川「結局あたしらは大人の掌の上で踊らされてるに過ぎないってことよね」
( <●><●>)「その現状を打破するための闘いだ」
('、`*川「そゆこと」
その返事を待っていたと言わんばかりに、ペニサスは満足げに微笑んだ。
彼女の腰から背中にかけて、ブレザーが破れ、銀翼が突き出る。
それはデレと対峙した際の翼の倍以上の大きさで、背後のワカッテマスから彼女の体躯は見えなかった。
肘の関節部分から指先にかけて、人工皮膚の継ぎ目から配線が露出する。
ちょうど引きちぎったケーブルを体内に取り込むような形で、ペニサスと、学園地下の動力源が接続された。
('、`*川「あの七面倒な火龍はあたしが引き受ける。王位の中で一番闘い方が悪目立ちするのはジョルジュ。それに次いであたしだろうしね」
( <●><●>)「関係あるのかそんなこと」
('、`*川「大アリよ。打ち上げる花火は大きければ大きい方がいいじゃない」
('、`*川(派手にドンパチやらかして応援待ちっていうのは内緒でいいか、うん)
185
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 01:14:07 ID:6DYm.WdU0
('、`*川「あんたは確かに強いけど、その強さを遺憾なく発揮出来る持続力は所詮人間の域止まり。その瞬発力は本命とぶち当たった時にとっときなさいな」
( <●><●>)「……」
ワカッテマスはペニサスがやろうとしていることを即座に理解した。
そしてそれが彼女にとってこの上ない危険を伴うことも。
生唾を飲み込むまでの間に過ぎった様々な感情を飲み下して、ワカッテマスはペニサスの隣に並ぶ。
( <●><●>)「半日……いや、三時間でかたをつける」
('、`*川「頼りにしてるわよん、あなた」
口を閉ざしたまま、ワカッテマスはペニサスの長髪を手の甲で撫でた。
その感触が、人間のそれと何一つ変わらないことに何を思ったか。その表情から窺い知ることは出来ない。
( <●><●>)「お前が火龍を止めている間に俺が奴を探し出して討つ。これでいいな?」
('、`*川「オールオッケーよ」
( <●><●>)「野蛮で単純なプランだ」
ワカッテマスはこの夜、初めて笑った。
186
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 01:31:30 ID:nD2T7WHs0
うおお更新きてる
187
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 02:06:41 ID:6DYm.WdU0
ジョルジュが何処にいるか、ワカッテマスには凡その見当がついていた。
好戦的、野蛮、それでいて豪奢を好む。高いところに上りたがる馬鹿の典型だと、ワカッテマスは内心毒づく。
( <●><●>)(学園長室で間違いないだろう。アテが外れようと、ああいう手合の考えることだ。詰めるのは造作も無い)
やや前のめりに、ペニサスに背を向けた上体。
適度な脱力。それでいて、普段は闇を映す虚ろな双眸に、今は一筋力強い光。
それは前向きな感情ゆえの光ではなく、薄暗く、限りなく黒に近い感情で塗り固めた衝動。
人間の原初とも言える狩猟本能。
王位という他者が決めた序列の上で自分を上回っている相手に対して、ワカッテマスは捕食者としての衝動を滾らせていた。
('、`*川「火龍は無視。あんたは何も気にせず真っ直ぐあちらさんの懐に飛び込みなさい」
( <●><●>)「ああ」
剥き出しになった配線の山を踏みしめて、中腰の姿勢。そして、足に力を込める。
( <●><●>)「信用している」
('、`*川「うん」
ワカッテマスが、地を駆る。
188
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 02:28:02 ID:6DYm.WdU0
矢の如く駆るワカッテマス。時間にして、三秒にも満たない間に、火龍ファフニールは自身の主を脅かす存在を捉えた。
自律駆動する龍に自我があるのか否か、危機を察知する力があるのか否か。
それは主であるジョルジュにしか分からない。
だがこの時火龍は実に生物的に、咄嗟に大口を開けた。
収束する炎。周囲の酸素を巻き込み、その口の中で燃え上がる炎は一層大きな膨らみを見せた。
( <●><●>)「……」
ワカッテマスはそれを視界の端で捉えてなお直進する。
彼の脳内の警鐘は喧しく鳴り響いていた。
それを無視して一息、深く息を吸い込む所作は、自身の防衛本能のリミッターを切るには充分だった。
常に平静である彼が、このように”腹を決める”のは生涯で初めてのことだったが、この時彼にそれを自覚する術は無い。
火龍の口内の炎の膨らみが、ピークを迎えた。
189
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 02:55:16 ID:6DYm.WdU0
('、`*川「さあ、セント・ジョーンズの系譜と現代の人間の技術。魔術と科学の根比べを始めましょうか」
.
190
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 07:06:50 ID:lBbq.MmU0
いいとこで切るな
続きが読みたい!!
191
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 08:38:31 ID:8eJaZfnw0
乙はよ
192
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 09:31:40 ID:BBPNDufo0
すまん、寝落ちしてた
流石にこの量で投下しましたは笑えないので今日もやる
193
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 09:52:50 ID:8F/2xFtw0
字下げの使い方が変わったな
期待してる
194
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 13:05:31 ID:NErLEk3Q0
いいところで切るな
195
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 19:14:15 ID:vTSNQFHU0
ワカ達には生き残ってほしいな
196
:
名無しさん
:2017/07/26(水) 23:26:35 ID:x89gl00.0
でもジョルジュに死んでほしくないなぁ
197
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 23:43:00 ID:6DYm.WdU0
はい
198
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/26(水) 23:53:44 ID:6DYm.WdU0
学園の動力ケーブルと接続されたペニサスの腕は真っ直ぐ火龍に向かって伸びる。
手首の部分の人工皮膚を突き破り、物々しい銃口が露出する。
('、`*川「どれだけ再生しようと、それが永遠に続くなんてあたしは認めませんわよ」
ちょうど火龍の口内に収束した炎と対をなすように、右手の銃口に光が集う。
燃え、薄れゆく夜闇を更に照らすように、そしてその光は、明確な殺傷能力を孕んだ闘気の渦を纏う。
('、`*川「不可思議ファンタジーと言えど、一都市を賄う動力を相手にするのは骨が折れるでしょ?」
その言葉は、火龍ではなく主に向けて放ったもの。
ペニサスは確信していた。
自分とワカッテマスだけでは、この叛逆には少し足りない。
欠けているパーツはほんの小さなもの。だがそのままで王位逆転は成らない。
それでも、この叛逆の最後に立ち、第二王位を継承するのはワカッテマスだと。
199
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 00:05:26 ID:LDMHml0U0
射出。光弾は嘶き、元職員居住寮の外壁を軽々と打ち破る。
真っ直ぐ空を駆るそれは、寸分違わず龍の口に向かう。
火龍の首はワカッテマスに向かっており、自身を脅かすもう一つの脅威の接近に気づかぬまま被弾した。
('、`*川「一発目は当たり。さてさてここからよね」
噴煙立ち込める上空。
ペニサスは火龍ファフニールが実体と非実体の二形態を取ることが出来るのを知っていた。
被弾した形跡を残す上空の煙から、今の形態が実体であることを瞬時に察知。
再び収束する銃口の光。一度目よりその収束速度は高かった。
射出された光は先のような光弾ではなく、火龍目前で拡散し、無数の光の弾丸と化す。
次々と射抜かれてゆく火龍の胴。貫く弾丸はその遥か上空へと昇る。
200
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 00:16:20 ID:LDMHml0U0
('、`*川(非実体……あちらさん、こっちにも気付いたみたいね)
闘気を補填し続け、固定砲台として火龍と対峙するにしても、地盤を焼き尽くされることは避けたい。
ゆえに、ペニサスが次に取った行動は、敢えて火龍の眼前に躍り出ることだった。
('、`*川「第二陣、いってみましょー」
銀翼が開き、内部のブースターが露出する。
動力化された闘気は満ちている。甲高い音を立て、ブースターは光を噴出する。
一瞬で火龍と同じ高度まで持ち上げられたペニサスの身体は風を帯び、各関節付近から金属パーツがせり上がって露出する。
彼女は無意識的にこの形態を避けていた。
未だ残る人間としての本能が、自身を熱持たぬ機械へと貶めることを避けていたのか。
この時点で彼女は、それを自覚していない。
201
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 00:31:23 ID:LDMHml0U0
('、`*川「あんたも難儀なもんよね。火龍? あんな野蛮な男が主じゃあやってらんないでしょ。たまに思わない? 好き放題こき使ってくれやがってって」
火龍の頭はペニサスに向いていた。
ペニサスは火龍に問いかけつつ、視界の端で地上を駆るワカッテマスの背を捉える。
まずは第一段階クリア、と、ペニサスは内心胸を撫で下ろした。
('、`*川「そもそもあんたに自我ってやつはあるんかね。どこから来たの? それとも元々存在しなかった? ジョルジュに作られた存在なのかしらね」
物言わぬ火龍に対して、そのような問いは何の意味も持たないことを、ペニサスは知っている。
自我があると仮定して、少しでも自分へ意識を向けることが出来ればという、気休めのような小細工だ。
それでも火龍の自我の有無自体には興味があった。
自身をサイボーグに改造する過程で、彼女は似たような人造人間を多く作ってきた。
それらは全て所詮意志を持たぬ人形でしかなく、戦闘における緻密な処理に適していなかったので、廃棄した。
それらが残した研究成果の甲斐あって、ペニサスは今こうして人成らざる力を有して闘いの場に立っている、
そのような経歴ゆえ、物言わぬジョルジュの傀儡と、自身が以前廃棄した人形の、無表情を貼り付けた顔が、ペニサスには重なって見えた。
202
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 00:35:13 ID:p839ofj60
来てた!!!! 支援
203
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 00:47:15 ID:LDMHml0U0
更に上空に飛翔。
ペニサスは火龍を煽り立てるように旋回する。
再び火龍は大口を開けて、炎を吐き出す。
('、`*川「いくよヴァルキリー」
背部より四つのユニットが飛び出し、ペニサスの眼前で止まる。
炎はそれらに結ばれる形で発生した不可視の壁に遮られ、雲散した。
楕円状に広がる炎を突き破り、四発の光弾。それにやや遅れて、先程の拡散する無数の光弾。
火龍は瞬く間に龍としての形態を維持出来ぬまで貫かれ、学園上空は炎に覆われる。
炎は踊り狂い、ペニサスを囲い込む。
咄嗟にその場を離脱しようとした彼女だが、既に脱出する道は残されていなかった。
('、`*川「あら」
自身を中心に、三百六十度覆う炎の壁、ぐるりと小さく旋回しながら、逃げ場がないことを悟った彼女は、銀翼を変形させ、分離させた。
204
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 01:25:16 ID:LDMHml0U0
足部から露出したブースターで滞空し、変形させた銀翼を手に取る。
それは大剣の柄の形をしていた。両手で握り、頭上に掲げる。
次の瞬間、柄から光の刃が伸び頭上を覆う炎を突き破った。
('、`*川「ヴァルキリーシステム殲滅ユニット003、魔剣グラム。とくと味わいなさいな」
真っ直ぐ振り下ろす光の刃。
それは目にも留まらぬ速度で伸び、振り切った時点で、地上に届いていた。
魔剣の柄を手放すと、光の刃は粒子となって散り、ペニサスの手から離れた柄は銀翼に変形し、ペニサスの背中に収まった。
真っ二つになった炎の壁の裂け目に向かって直進。
ペニサスが脱出した直後に炎は球状に収束した。
205
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 02:33:14 ID:LDMHml0U0
炎は再び龍の形を形成してゆく。
それを悠長に待つわけもなく、ペニサスは四機のユニットから光弾を一斉掃射する。
が、炎の形成はそれを上回る速度で進み、散らされる以前よりも更に大きな龍と化していた。
('、`*川「ふむ……」
一度や二度で殲滅出来るとは、ペニサスも思ってはいなかった。
もしそうなら、初めからワカッテマスと二人で突破していた。
しかし想定はしていても手を拱いてしまうことには変わりなく、深い溜息を吐く。
('、`*川「一体どういう仕組みなのやら」
彼女の中で大雑把に考えられるのは二つ。
一つ、主であるジョルジュからの、闘気に似た何かしらの動力供給が尽きぬ限り再生し続ける。
二つ、ジョルジュが供給しているのはあくまで火龍という怪物を形成するシステムのみで、それ自体は何かしらの媒体(例えば空気中の酸素)がある限り永遠に再生を続ける。
どちらにしても火龍ファフニールが顕現するという結果は変わらないが、その二択のどちらかによって、ペニサスは自身の立ち回りを大きく変えなければならない。
206
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 03:12:29 ID:LDMHml0U0
('、`*川(前者ならこうやってうだうだやってるだけでいいんだけどねえ。後者だと)
何かを媒体にしているならば、酸素という線は濃厚だろう。
そして同時に、最も厄介な展開でもある。
('、`*川「どうしたもんかね」
都合よく、こういう厄介な相手を殲滅出来る手段を持ち合わせているわけではない。
そこを埋め合わせる可能性を拓く為に、このように敢えて目立つ形で火龍と対峙しているのだが、ペニサスの心中は煮詰まっていた。
('、`*川「モララーは、絶対来ない。流石兄弟、荷が重い。シャキンはうん、ここに来るほど馬鹿ではない。ギコ、あいつは殴るしか脳が無い……」
上空を巡回する火龍を疎ましく思わない王位は、あれが脅威とならないモララーを除いて一人もいないはず。
ペニサスはそう見立てていた。この場に、王位のうちの誰かが確実に現れる。
その確信を抱きつつも、今挙げた者を除いて残った王位の顔を思い浮かべて肩を竦める。
('、`*川「デレと人形。そして真祖サマかあ……」
自分で、出来るところまでやろうと、ペニサスは腹を決めた。
207
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 03:47:16 ID:LDMHml0U0
从 ゚∀从
ζ(゚ー゚*ζ
デレは論外。
あれは狡猾に見えて考えなしの馬鹿だ。
ペニサスはデレがこの場に現れた際のシミュレーションをすぐに止めた。
真祖ハインリッヒ・アルカード
デレと比較して一見すると更に馬鹿に見えるが、そうでもない。
むしろあの冷ややかな瞳の奥に、自分の推測すらも凌駕する野心を孕んでいるようにすら見える。
以前は人物というより、吸血鬼という事象として害意を振りまく厄災でしかなかったが、転機があるとすれば、内藤ホライゾンとの邂逅だろう。
それ以降彼女は良い意味でも悪い意味でも、人間的になった。
そしてその過程を踏んで今、内藤ホライゾンと行動を共にしなくなった彼女は、厄災とも人間ともとれない、得体の知れない何かとなった。
それがペニサスの見解。
元々吸血鬼の特性は、一対一で相手取るには厄介過ぎるものだった。
それに加えて思考の推測すら困難とくれば、ペニサスが眉を顰めるのも当然だ。
('、`*川「…………」
頭の端の方から霞んでいくような不吉な予感を、ペニサスは確かに感じ取っていた。
208
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 03:47:57 ID:LDMHml0U0
ねむいっす
明日もやるんでゆるしてくださいおやすみ
209
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 03:54:14 ID:4GRUS7kQ0
うれしい
210
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 04:34:04 ID:Je3Di/2Y0
おつおつ
211
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 04:35:36 ID:yMKPLcLA0
おつおつ。
212
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 08:57:13 ID:aRyV3RUE0
乙
待ってるぞ
213
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 18:22:11 ID:LRjbVH6I0
サイボーグペニ△
214
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 23:10:41 ID:fSCG./NE0
やっぱ楽しいわ
ジョルジュがんばってー
215
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 23:16:25 ID:LDMHml0U0
既に眠たいがやれるだけやる
216
:
名無しさん
:2017/07/27(木) 23:21:45 ID:Dbo.VHfw0
待ってました
217
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/27(木) 23:40:54 ID:LDMHml0U0
火龍は身を震わせる。
それが何かの前兆であることを察知したペニサスは、大きく後退した。
右手の銃口を向けたまま、龍がどのような動きを見せても即時対応出来るよう、銀翼のブースターを待機状態にする。
そして左目を閉じる。彼女の目に搭載された汎用センサーを起動する所作だ。
熱センサーとしての役割も持つそれで見る火龍は、みるみるうちにその色を濃くしてゆく。
('、`*川(火龍の熱が上がってる……?)
ファフニールを取り巻く待機の歪みは大きくなり、まるで空間そのものが歪んでいるような錯覚を、見る者に与える。
だがそれは変化の序章に過ぎなかった。
次の瞬間、火龍の頭部の、ちょうど目に当たる部分が不自然に窪み、赤い宝石のような瞳が現れた。
不気味な質感の半球でしかなかったそれは瞬く間に、炎の中で艶を纏い、眼球の形を成した。
次の変化は口内だった。
燃え盛る大顎から生えた牙は硬質を纏い、火龍は猛獣のような生々しい殺意を纏う。
変化を見届けたペニサスは龍の初動を許さない。
再び、拡散する光弾が火龍に襲いかかる。
218
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/28(金) 00:03:29 ID:Fj9fIdt60
火龍をすり抜けた光弾が遥か彼方へ直進する。
('、`*川(非実体)
そのわりにこの悪寒の正体は――と考えたところで、ペニサスはローリングした。
元いた場所に向かって伸びた龍の顎は勢い良く閉じ、鋼鉄を打ち鳴らしたような甲高い音が鳴り響く。
('、`*川(実体)
('、`*川「……って区別すること自体ナンセンスだわねこりゃ」
ヴァルキリー自体に補填されていた闘気が少ないことを確認すると、ペニサスは火龍に背を向けてブースターを起動した。
甲高い音と一筋の光を残し、一瞬で離脱したペニサス。
取り残された火龍は自身が取り残されたことを認識すると、実に動物的な咆哮を上げた。
硬いもので硬いものをすり潰すような、耳障りな爆音が学園上空に鳴り響く。
火龍は胴を丸め、自身の首を光の残滓に向け、弾丸のような速度で直進した。
219
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/28(金) 00:25:10 ID:Fj9fIdt60
('、`*川「おっほーーーーー。お速いこと。これでも全開で飛ばしてるんだけ……っど!」
追いかけてくる火龍を視界の端で捉え、追尾する四機のユニットから光線を射出する。
火龍の咆哮が止み、首を中心に文様で形成された炎の光輪が現れる。
次に、先程とは打って変わって低く響き渡る唸り声。
光輪から矢のような炎が無数に発生し、直進する。
光弾と炎の矢は衝突し、学園上空の空が爆ぜる。
煙幕を突き破り、火龍はなおもペニサスの背を追う。
追われるペニサス、進行方向は変えぬまま身を反転させ、右手の銃口に闘気を収束させる。
('、`*川「さっさと堕ちなデカブツ。空中戦ではロックオンされた方が死ぬのがお約束なのよさ」
一際大きな光弾を射出。
ペニサスと火龍との間にある隔たりは縮まっており、その一撃は、避けられる筈もなかった。
220
:
名無しさん
:2017/07/28(金) 00:30:12 ID:tAFq5SC.0
ヒットアンドアウェイな戦い方に切り替えてるのカッコイイ
221
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/28(金) 00:42:37 ID:Fj9fIdt60
光弾と正面衝突した火龍。
それでも直進する速度は落ちない。
再生能力ゆえに手こずることは想定していても、この耐久力は彼女の知るところではなかった。
一際大きな煙幕の向こう側から炎が伸びるのを察知して、それを回避する動作が遅れた。
('、`;川「あっっぶね!」
左手の手首から先が巻き込まれかけ、ペニサスは降り掛かった火の粉を旋回して振り払う。
飛行する高度を下げ、建造物の間に潜り込むが、火龍は自身の体躯がそれを巻き込むことも厭わず突き進む。
その間両者の間で飛び交う光弾と炎の矢は四方八方に悲惨し、各所で爆発を起こす。
この時ペニサスに知る術は無いが、第三ブロックでの火龍と王位の戦闘は、既に学園中に原因不明の騒ぎとして知れ渡っていた。
222
:
ゆゆ
◆AdHxxvnvM.
:2017/07/28(金) 00:57:57 ID:Fj9fIdt60
ペニサスが真っ直ぐ向かうのは最初に火龍を狙撃した地点。
そこまで辿り着くのに十秒とかからなかった。
剥き出しの配線の山を見つけるなり、ペニサスは更に加速し、火龍との距離を開く。
更に高度を下げ、地面すれすれのところで手を伸ばし、千切れたケーブルに手を伸ばす。
('、`*川「頭冷やしな」
瞬時に闘気の補填。更にケーブルを通じて、学園の動力系に呼びかけ、各種装置を起動する。
学園は閉鎖空間ゆえ、天災、人災時の為のスプリンクラー等の性能は世界各国の最高レベルのものと比較しても遜色ない。
周辺ビルのスプリンクラー、および遠方の放水ポンプ等が一斉に起動し、龍の起動目掛けて放水が始まる。
瞬く間に空は水の壁で覆われ、大海嘯が如き水流が降り注ぐ。
刹那、アーチ状になった水をくぐり抜け、ペニサスは高度を上げながら直進する。
ヴァルキリーの闘気残量の確認に入ると、彼女の背後で水の壁が大地を叩く轟音が鳴り響いた。
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