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艦娘がいない鎮守府のようです

434 ◆L6OaR8HKlk:2019/06/08(土) 01:44:09 ID:9//7Mvdo0
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田舎の夏休みというものに縁がない人生だった。両親共々都市部出身の上、アウトドアな趣味も持ち合わせていなかった
キャンプの経験も兵学校の門を叩いてからだ。それから一年の三分の二ほどをテントの下で過ごした
戦時中だ。穏やかな寝起きの筈もない。なんなら宗教狂いのカス共に寝込みを襲われたことすらある
一日一日を生きるのに精いっぱいで、老後には田舎で農業して云々などと、将来の展望を考える暇もなかった
まぁ、どちらかと言えば俺も趣味はインドアな方だ。スマホの電波が頻繁に圏外になるような場所に、わざわざ赴く気も起きなかっただろう


('A`)「フゥー……」


つまり、ここでの生活は田舎初体験とも言える。一週間ほど過ごした感想は


('A`)「飽きるな……」


だった


《ようドク、異常は?》

('A`)「ねえよ。ずっとねえ。カモメが飛んで波が立って、それ以上もそれ以下もねえ」


見張り台から眺める景色は、ただ水平線が広がっているだけだ
最初の三日ほどは双眼鏡を覗いたりしていたが、今となってはパラソルの下でFMを聞きながら図書室に置いてあった漫画本を読んでいる始末だ
これで給料が出るんだからチョロい仕事だ。オバケの類も今のところ俺らを襲いには来ない
湖を抱える廃キャンプ場が近くにあれば、ホッケーマスクの臭い不死身男がお茶でも嗜みに訪れるのだろうか


《適当に切り上げちまえ。おやつ作ったから食いに来いよ》

('A`)「冷たいコーヒーも頼むぜ。濃いめでな」

《はいよ》


フィルター際まで吸ったタバコを、所々錆びついた吸い殻入れに放り込む
『夏休み』も残り三日だが、日中はまだまだ暑い日が続きそうだ。渇いた喉を潤しに行くか


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