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SSスレ「マーサー王物語-拳士たち」第三部

10 ◆V9ncA8v9YI:2021/10/05(火) 02:06:51

場所は変わってアンジュ王国。
こちらでもモーニング同様に、新たな番長のお披露目会を始めようとしていた。
これまで舎弟として下積み期間を過ごしてきた2名が、本日やっと番長になったのだ。
その2名の名前をアヤチョ王が読み上げる。

「カミコとカッサーおめでと〜」
「ちょっとアヤチョ、大事な日なんだからちゃんとフルネームで呼びなさいよ。」
「分かったよカノンちゃん……"カミコ・ドッチーモ"と"カッサー・レッドリップ"、番長として頑張るんだよ。」
「「はい!」」

新番長は2人とも黒髪ロングという面で共通するが、体格が大きく異なっていた。
長身で大人びているカッサーがお姉さん……のように見えるが実際は逆。
小柄なカミコが年上で、大柄なカッサーが年下だ。
しかも4歳差だと言うのだから驚かされる。
更にはこの2人は「双子」を自称しているのだが、余計にややこしくなるのでここでは触れないでおこう。

「カミちゃん!カッサー!やっと番長になれたな!
 前から2人の頑張りを見てるから嬉しいよ。」
「「タケさん!」」

先輩の番長がやってきたのでカミコとカッサーは嬉しがった。
これからは仲間とは言え、憧れの存在と話すことができるのは感慨深いものだ。

「でも気を抜くなよ。本当のお披露目会はここから始まるんだからさ……」

カミコはゴクリと唾を飲んだ。隣のカッサーも緊張した面持ちをしている。
緊張の理由は、今回から導入された公開戦闘が迫っているからに他ならなかった。
2年ほど前のタケ&メイ vs ムロタン&マホが大好評だったため、
一般兵らの前で先輩とバトルする催し物が企画される運びとなったのだ。
今回のマッチメイクはムロタン&リカコ vs カミコ&カッサー。
新人たちにとって大きな壁が立ちはだかっている。

「分かっているとは思うけど、ムロタンもリカコも強いぞ。アイツら、戦闘においてはマジだからな。」
「「はい……」」

数メートル先でムロタンとリカコが準備をしている光景がバッチリと見えていた。
普段の彼女らであれば「かかってこいや〜!」と挑発の1つや2つを飛ばしてくるのだろうが、
今回ばかりは静かに集中していた。
先輩としての力をしっかりと見せつけるために、極限にまで集中しているのだ。
それを見てカッサーの身体が震えてくる。

「ううっ……」
「カッサー、怖いの?」
「何を言っているんですかカミコさん!これは!武者震い!ですよ!うおおおおおおおおおおおお!!」

カッサーは恐怖を押し殺すかのように、自分の身体をバシバシと叩いて雄たけびをあげだした。
そして、いつ戦闘開始の合図が来ても良いように己の武器にまたがっていく。
対してカミコの手には武器が握られていない。
緊張で準備が不足しているのだろうか、それとも何か別の考えがあるのか。

「なんか心配だな……ここは喝を入れるか……」
「やめときなよ。タケ」
「リナプー?」
「あの子たちももう一人前だよ。きっと、なんとかなるって。」
「はは、そうだよね。先輩が信じなくてどうするって話だよな。」

そうこうしているうちに、審判を任されたカナナンによる試合開始の合図が聞こえてきた。

「準備はええか!? 開始っっ!!」
「フォォォォォォォォ!!!」

スタートするや否や、カッサーがロケットスタートで突っ込んでいく。


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