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ハロ異聞録ペルソナ

4名無し募集中。。。:2020/01/07(火) 23:31:17
『亀井絵里の場合』

 明日は皆既日食の日だ。
 そう思うと亀井は気が重くなった。
 その日、先輩の新垣里沙、同学年の道重さゆみと自分の三人で『守護霊様』という遊びをやる約束をしていたからだ。
 新垣にやろうと言われ、思わずいいよと言ってしまったのがきっかけだった。
 隣りで道重も乗り気な様子だった。だから断れなかった。本当はそういうオカルトチックなものは苦手なのに。でも言えない。
 昔から押しに弱いと自分でも自覚していた。ついつい相手の空気に合わせてしまう。周りからは「絵里優しいよね」などと言われるが、褒められている気がしなかった。
 むしろ、人がいい便利な奴と思われているんじゃないか。そんな風に思い詰めて、一年の頃に何ヵ月か不登校になったこともある。
 日食の日、断ろうと決めて家を出た。ドアの前で待ってくれていた道重に、自分の想いを言おうとした瞬間「今日楽しみだね」と言われ、亀井は言葉を呑み込んだ。
 新垣とも合流して亀井は徹底して自分を殺した。こんなちんけな悩みは悩みじゃない。世の中にはもっと苦しんでいる人が沢山いる。
 だから負けてはいけない。心を強く持つんだ。そうしないとまた不登校の沼にはまってしまう。そこから助け出してくれた新垣と道重に申し訳が立たない。
 でも何故だろう。『申し訳ない』と思っている事そのものが嫌だ。そういう自分自身が嫌いだ。守護霊様に頼めば、そんな自分を変えてくれるのだろうか。
 昼休み終わりの屋上。新垣と道重の手を握る。
 守護霊様をやる勇気が少し湧いた。


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