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ハロ異聞録ペルソナ
1
:
名無し募集中。。。
:2020/01/07(火) 23:28:23
千年ぶりの皆既日食の日、モーニング女学院の屋上では数人の少女が「守護霊様」と呼ばれるオカルト遊びを行っていた。
その時は何も起こらなかったが、日が傾きだした頃、学校が異形の空間に包まれる。
それは「受胎」と呼ばれる現象だった。
校内の生徒が狂ったように暴れ出し、姿形まで化物へと変貌してしまう。
そしてそれとリンクするかのように「守護霊様」を行った少女達や、その現場に居合わせた者達にも大きな変化が訪れるのであった。
はたして彼女達は脱出不可能となったこの学園受胎のなか、生き残ることができるのだろうか。
2
:
名無し募集中。。。
:2020/01/07(火) 23:29:27
『高橋愛の場合』
おはようございます! という声に高橋は笑顔で応えた。すると直ぐに別の方向から他の後輩が挨拶してきた。
校門から下駄箱までの間でどれだけ声をかけられるのだろう。数えていればギネス記録だったかもしれない。
教室に入ると同輩までもが、まるでヒーローでも見るような目で自分を見てくる。
高橋はそれが内心嫌だった。
学校の生徒会長で合唱部のキャプテン。校則を遵守し、誰に対しても分け隔てなく接する。それが“高橋愛”なのだと、プレッシャーを掛けられているかのような気になる。
昼食を屋上ですませた高橋は携帯をわざとその場に置い屋上をあとにした。
教室へ戻る途中で昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
高橋は見計らったように「そういえば」という声を漏らし踵を返した。
すれ違う同級生に「どこ行くの? 授業はじまるよ?」と声を掛けられ「屋上に携帯を忘れちゃって」とかえすと、同級生の目が真ん丸になった。
「高橋さんでもそんなドジするんだ」
「まあね」 授業をサボるための口実だと言ったらこの生徒は信じるだろうか。
別に授業が嫌なわけではない。期待されていること以外のことをすれば、敷かれているレールから外れることができる。そんな気がしたからだ。せめてもの抵抗だ。
「先生には適当に言っておくから」と言って教室に戻る同級生に礼を告げ、高橋は屋上へ向かった。
途中、今日は皆既日食の日なのを思い出した。何やら相当珍しい日食で、千年ぶりだとかいう話を朝のニュースで見た気がする。もしかしたら屋上で見られるかもしれない。高橋の心が少し躍った。
そうして屋上にでると彼女は思わず眉を寄せた。
女子生徒が三人いたからだ。
一人は同級生で友人でもある少女。あとの二人は見覚えがない。上履きから察するに二年生だろう。
「なにやってるの? もう授業はじまるよ」
気付くと高橋はそう告げていた。嫌いな自分になっていた。
3
:
名無し募集中。。。
:2020/01/07(火) 23:29:59
『新垣里沙の場合』
今日は待ちに待った皆既日食の日だ。
新垣里沙はその気持ちを胸に留めて家を出た。
通学路につくと仲のいい後輩、亀井絵里と道重さゆみの後ろ姿が見えたので駆け寄って声をかけた。
「おっはよう!」
後輩二人が「おはようガキさん」と返した。先輩後輩の関係だがフランクな間柄だった。
「今日やるんでしょ?」 と亀井絵里が訊ねると新垣は「もち」と言って頷いた。
最近、中高生の間で流行りの『守護霊様』という遊びがある。いわばこっくりさんのようなオカルト遊びなのだが、どうやらこれがまんざらでもないらしいのだ。しかもこっくりさんのようなアンサー型ではなく、こちらの願いを叶えてくれる系というから楽しみで仕方がない。
さらに『日食の日は霊的な力が高まる』という話を聞いたことがあった新垣は、ついにと胸を躍らせていた。
「ガキさんは何をお願いするんです?」 道重さゆみが鏡を見ながら訪ねてきた。
「えー、どうしようかな」 新垣はこめかみを掻きながら迷う素振りをみせる。
が、すでに、というより最初から願いは決まっていた。
そうして校門を抜けると、三人の視線は前を行くひとりの女子生徒に集まった。
その三年生の周りには軽い人だかりができている。
「今日も高橋さん人気だよね」
亀井が言うと道重も頷きながら「パーフェクトってああいう人を言うのかも」と付け加えた。
新垣はそんな二人に気付かれないように奥歯を擦った。
モーニング女学院のスター高橋愛。彼女とは友人だ。
しかし周りからの扱いは全然違う。
最初はそれも仕方のない事だと思っていた。彼女と違い、自分は勉強はできないし運動も並だ。当然ビジュアルが良いわけでもないし、所属しているのは学校カーストの低い演劇部。
生徒会長で全国大会にもでている高橋と校内での立場が違うのは当然だ、と自分に言い聞かしていた。
そんなおり事件が起きた。
クラス内で積み立てていたバス遠足の旅費が紛失したのである。
お金は高橋、新垣を含めた五人の実行委員が管理していた。そして真っ先に疑われたのが新垣だった。直前にお金を持っていたのは高橋にもかかわらず、だ。
もちろん自分は盗ってはいない。それは状況証拠からも明らかだった。にも関わらず何故自分が責められるのだろう。
愛ちゃんじゃないの? 他の三人はどうなのさ。
責める三人と黙る高橋を前に、何を言っても無駄だと新垣は口をつぐんだ。
結局その後すぐ、お金は先生が預かっていた事が判明した。
疑ってかかってきた三人は悪びれる様子もなく「先生は盲点だったね」と笑っていた。
別に期待していたわけではない。けど、一言「ごめんね」があってもいいんじゃないか?
そう強い憤りを覚えるなか、高橋だけは「ガキさんが盗るはずないって思ってたよ」と言ってくれた。
「じゃあ、なんであの時、愛ちゃんは私を庇ってくれなかったの」昼休みが終わった屋上で亀井、道重と手を繋ぎながら新垣はぼそりとそう呟いた。
三人で辺りを見回し、誰もいないか確認する。
さあ、始めるぞというところで屋上の出入り口の開く音がした。
新垣がそちらに顔を向けると高橋愛が立っていた。
ひどく腹がたった。
――願い事は決まっている。自分も高橋愛のようになりたい、と。
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