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ハンガー・ゲーム@ハロプロ

2名無し募集中。。。:2016/08/16(火) 12:34:09
[第1章 生存競争]

森を振り返った。枯れ木を踏んだ音を聞いた気がした。
だが、そこには何もいない。
牧野真莉愛は注意深く周囲を探索した。

背に感じ取った視線は、自身に沸き起こった不安のせいか。
もう昼なのに、背の高い樹木で空を隠され、ほんのりと薄暗い。
小鳥や虫たちのせせらぎが増した気がした。
危険のないしるしだろうが、不吉な予感は振り払えなかった。

小枝がざわめく。唐突に強い臭気が辺りに立ちこめた。
真莉愛は怯んだが、右手首の戦闘装甲に収められているブレードを伸ばした。
奇襲に備えながら慎重に、真莉愛は臭気の元を求めて足を動かした。

大量の新鮮な血の匂いだと経験的に知っている。
見つけた。身を捩りながら果てたふたりの死体があった。
濁った赤い血を踏まないように近寄る。

鈴木愛理と稲場愛香だった。
真莉愛は何倍にも重く感じられる頭を無理矢理に巡らせた。
周囲に人間がいないことを確認して、リストブレードを戻した。
静寂のうちに金属の擦過音が聞こえた。

命の灯火を消したふたり。恐怖にかられつつも、真莉愛は調べるために傍らに蹲った。
次の瞬間、真莉愛はひっと大きく声を出した。
愛理の左手が自分の右手首を掴んでいる。

真莉愛は激しく動揺した。迂闊だった。愛理は死んでいない。
真莉愛の身体を貫こうと、愛理は右手のナイフを素早く突き出した。

胸を反らせ、間一髪でナイフを避けた。
同時に掴まれている右手首を引き剥がし、身体を丸めて後ろに転がった。
「ちっ!」ひどく歪められた顔で、愛理も身体を起こして唸った。


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