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もしもだーさくこと石田亜佑美と小田さくらが賞金稼ぎコンビだったら
20
:
名無し募集中。。。
:2016/07/31(日) 14:36:48
さくらは拳銃に手を伸ばした。耳を澄ましたが物音は聞こえない。
机から立ち上がり、外の様子を知ろうと窓際へ向かう。
カーテンを少し開けて、通りをうかがった。
嵐は勢いを増して、あたり一面が暗やみに包まれている。停電したらしい。
オールド・センダイでは停電に見舞われることは、それほど珍しいことでもない。
懐中電灯に頼らざるを得ず、さくらは机を調べ続けた。
停電のおかげで、懐中電灯を使うのを躊躇する必要はなくなった。
いまごろは全住民が使っているだろう。
さくらは室内を捜索し、隠し金庫がないかどうか確かめた。そうしたものはなかった。
コンピューターからUSB メモリーを抜き出す。
幸いにも停電する前にコピーは終わっていた。
机以外で手がかりがありそうな場所を探すことにした。家主の寝室だ。
箪笥からかかろうとしたところで、背の高い書類棚を見つけて、開けようとすると鍵がかかっていた。
奇妙に思ったさくらは、ピッキング用の工具を取り出した。
解錠に集中力を使う。背後のカーテンはぴったり閉じられている。
外では風がいよいよ荒れ狂っていた。
そのせいでさくらは、家主の車が私道に入ってきたことに気づかなかった。
家主は鍵を玄関の扉に差しこみ、片手で開けた。
屋根にあったタイルが外されたせいで、家のなかに嵐が吹きこんでいることに気づいた家主は、ただちに異状を悟った。
それだけでは確信を持てなかったとしても、上階から聞こえる足音が不審者の侵入を明確に告げていた。
家主は車に戻り、緊急通報した。
奇妙ではあるが、家主がただちに踏みこまず緊急支援を要請したことが、さくらにチャンスを与えてくれた。
家主が戻った物音は、風にほとんどかき消されながらもさくらの耳に入った。
経験が浅いハンターであれば、反射的に窓際に走って外の様子を見ただろう。
さくらはその場に踏みとどまり、ひたすら耳を澄ました。
わずかな時間ではあれ、チャンスであることに変わりはない。
この際、与えられたものは文句を言わずに受け取るしかない。
ハンターは他人が見過ごしてしまうような危険の兆候を読み取り、
常人ならば死んでしまう状況で生き抜く方法を身につけている。
当座しのぎの解決策は、さくらにもあった。
しかし、今回の「仕事」ではそうはいかない。
自分を特定できる可能性は残してはならない。家主を傷つけることは論外だった。
さくらは書類棚の書類をいくらか床に撒き散らした。
さらに箪笥を引き出して逆さにし、空き巣狙いに見せかけた。
通報を受けた側がいつ到着するかは分からないが、この家主の要請となれば全力で救援を送りこむ。
さくらは屋根裏部屋に通じる梯子へ走った。
逃げるときに備えて、梯子も屋根のタイルもそのままにしてある。
家の照明が灯った。一帯の送電が復旧したのだ。
足音が聞こえてくる。同時に車のドアが開けられる金属的な音も聞こえた。
バタンと閉じられなかったことから、警官隊が音を忍ばせて接近していることが分かった。
梯子をよじ登っているとき、玄関の扉が開け放たれる音と、叫ぶ声が響いた。
武器を捨てて出てこいと言っていた。
さくらはもちろんそんな言葉には従わず、タイルを取り外した場所の下まで行くと、傾斜した屋根まで上がった。
暗がりに隠れて、匍匐前進しながら、素早く下の様子を偵察した。
車庫と裏庭のほうへ警官隊が移動している。家を包囲していた。
脱出方法はひとつ。屋根を助走して、私道を挟んだ倉庫の屋根に飛び移る。
造作もないことだ。この程度の距離を飛び越える訓練は何度も繰り返してきた。
わけもない。さくらは目算で距離を計り、自分に強く言い聞かせた。
訓練よりもはるかに長い距離であることは関係なかった。
身を伏せたまま、もうちょっとましな方法がないかと考えようとしたとき、家のどこかの扉が開け放たれる音がした。
続けてスタン・グレネードの爆発音が響いた。
家主たちは時間を空費するつもりはまったくないらしい。
もはや迷う暇はない。さくらは低い姿勢で軒先めがけて疾走した。
一瞬の後、両足が宙を飛び、さくらは少しでも遠くへ行くため両腕を懸命に伸ばした。
倉庫の雨樋をつかみ損ねて、身体が落下を始めた。
もうだめだと思ったそのとき、左手が金属に触れて滑り、右手が金属をどうにかつかんだ。
さくらは曲芸師さながら、ブランコのように揺れながら、倉庫の屋根へよじ登ろうとした。
だが、幸運の女神にはここで見放された。
夜の闇はさくらを完全に隠してはくれなかった。
叫び声と同時に銃声が響いた。
見られていた。しかし、銃弾は見当違いの方向に飛んだ。
暗がりでさくらが飛ぶのに気づいた者はいないようだ。まだ女神に見放されてはいない。
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