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もしもだーさくこと石田亜佑美と小田さくらが賞金稼ぎコンビだったら

10名無し募集中。。。:2016/03/20(日) 22:07:53
どすんと不気味な音と同時に、人間の身体がフロントガラスにぶちあたった。
衝撃でガラスが粉々に砕け散り、亜佑美とさくらは咄嗟に顔を両手で覆った。

悪党の身体は持ちあがり、クルーザーのボンネットを飛び越えた。
血とブヨブヨしたものの切れ端がクルーザーの中へ飛びこんでくる。
亜佑美がバックミラーに目をやると、すでに生命を失ったふたつの死体はグルグルと狂ったように街路上で回転していた。

この衝突のショックは、亜佑美に一瞬、疾走するクルーザーのコントロールを失わせた。
「しっかりつかまって!!」亜佑美は金切り声をあげて、アクセルとブレーキを同時に操作した。
スピンしはじめて道から飛びだしそうな車体をなんとか制御しようと必死に努めた。

ターボクルーザーは歩道に向かってスキッドしていく。
さくらの両目は飛びださんばかりに見開いていた。
目の前にはパーキングメーターが並んでいた。

金属ではなく新開発のプラスチック製のパーキングメーターであることを祈った。
ターボクルーザーはメーターの列に真正面から激突し、コンクリートの土台からメーターをすっぽりと切り取った。
「…プラスチックで助かりましたね…」

「繰り返す」亜佑美が身をかがめて“リンク”に声を送りこんでいた。
「容疑者の車を追跡中。応援を緊急要請。コード3」
本部の指令員からの応答はなかった。

「あのバン、どうなったかな?」
さくらはグリッドを調べた。青い光点は速度をあげて現場から遠ざかっていた。

あの悪党どもは、ドジなハンターのたった1台のターボクルーザーのスピードを落とさせるためだけに仲間を生け贄にした。
とんでもない連中だ。しかも市街地に入ってのゲリラ戦となれば勝ち目はない。

速度を落としていた亜佑美が、ブルルンと勢いよくツイン・タービンを始動させた。
なにがなんでもあのバンに追いつこうと決意を新たにした顔だった。

「バックアップは期待できないよ」亜佑美はさくらを振り向いた。
「わたしも初日から黒星とかごめんですから。あ、右が近道です」
「なんでそんなこと知ってるの?」
「…“出張”で何度か」
亜佑美はブレーキ音をきしませながら鋭く右折した。

「そういや、まだ聞いてなかったな」
「はい?」
「あんたがこの仕事をしている理由」
「ああ」

亜佑美はいきなり急ブレーキを踏み、さくらは危うくダッシュボードに激突するところだった。
「ずいぶん乱暴ですね――」
文句を言いかけたさくらは、目の前を砲弾が飛んでいくのを見た。

間一髪で砲弾を避けたターボクルーザーは、街路の噴煙と炎の中を突き抜けた。
爆発に次ぐ爆発が街路を揺るがし、あたりは爆煙と破片だらけになった。

「ずいぶん嫌われてますね」さくらがしみじみ言った。
「あたしを殺したいやつは、列に並ぶことになるからね」亜佑美は轟音を響かせながら裏通りを走り抜けた。


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