したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

『スウィート・メモリーズ』ロールスレッド

1J ◆4J0Z/LKX/o:2016/09/10(土) 22:14:51 ID:???
遠い昔の話だ。劣等と優越は互いに惹かれあい、
しかし相容れぬ性質は互いにそれを狂わせた。

狂った優越は劣等を捨て、
狂った劣等は優越を求めて心を病んだ。

優越を追えば世界という壁が二人を阻み、
そして劣等は世界を敵に回す事を心に決めたのだ。

境界が形を失い世界が解放されるその時、
”世界の境界線”を巡る決戦が幕を開ける。

甘い記憶を呼び起こし、
心を重ね、解けよ。

亡きものたちを想え。
彼等を偲べ。

28第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 21:50:12 ID:???
『ジョシュア……あたまいたい……』
『おなかいたい…だるい…さむけする…つらい……』

始まりは唐突であった。
ある朝、目を覚ましたジョシュアの……というより、眠るジョシュアにのしかかって鼻を摘まみ、呼吸を阻害して起こしたジョシュアの上に跨るニュクス。
顔色を赤青緑と変えながら、ぐるぐると目を回しそのままぼてんとジョシュアに倒れ込み、ベッドから落ちて動かなくなってしまったのだ。

『うー、……うーん……』

「……よォ、まさか……コイツが病気になるなんてな」
「グリードは疾病とは無縁だって思ってたが……そりゃただの思い込みだな」

ここはジョシュアの病室。退院して間もなく、古傷を開かせて再入院したジョシュアの見舞いに来た越境者達。
見慣れた病室。されど今日はどこか雰囲気もがらりと変わり、ジョシュアの隣で佇むミスカもどこか居心地が悪そうだ。
近くまで寄ればいつも隣の椅子に腰掛けている筈のニュクスが、ジョシュアの隣に併設されたベッドで眠っていることに気が付くだろう。
病室の空気も物々しく、監視カメラは勿論、見張りとしてヘキサエージェントが常駐させられている。
今日の担当はエージェントシックス、何時も通りのストライプスーツのエルミスだ。病室の外の武装警備員の数は二倍以上。

『………まま……いかないで……』

悪い夢を見ているのだろうか、きらりと光る涙の筋一つ。
ナノマシン群体であるが故にバイタルを測り切る事が出来ないのが正確な健康状態の把握の邪魔となるが、されどどう見ても健康な状態ではない。
苦しそうに身じろぎ、唸り声を上げて体表ををしきりにざわざわと波立たせるニュクスを落ち着けるように、ジョシュアはベッドから手を伸ばしてその額に触れるのだが。

29ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 22:00:22 ID:???
>>28
「うぅーん……」

と、唸るニアは所在なさげに落ち着きなく、病室の彼方此方に視線を泳がせていた
それは勿論眠り姫の容態に不安があるからであり、更に言えばナノマシンという存在の仔細を知らぬ事も手伝っているのだ
ニアの体内に知らずの合間に取り込まれ、そしてその中で変容を果たした『マウト・フトゥーロ』
それすらも朧げで、便利な力だとしか認識してないが故の、漠然とした不安

「……むむぅ、困りましたってんですねぇ……」

『アユル』の所にいるアラズァヘッド『ノイン』の変形型ディープメイカーは、その体液に治癒の力を持っている
しかしニアのそれには無論無く、今はただする事は、出来る事はなく沈痛に身を沈めるだけだ

30アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 22:00:25 ID:???
>>28
「おいおいおいおいジョッシュ 一体何があったんだ」
―――ギィ!!

いつものようにジョシュアの見舞いに来ていたアキレスが その尋常でない状態に驚くやら心配するやらで病室にやってきて
寝込むニュクスを診て更に心配する

「アレか? また前みたいにガラスでも飲み込んだか? またベティの抜け殻をプレゼントすればいいのか? よしベティ今すぐ脱げ!!」
―――ギィ!?

ベティの抜け殻はニュクスの好物の一つらしいが さすがに今すぐ脱皮しろと言われても無理な話 驚くようにハサミを振り上げた

31氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 22:00:49 ID:???
>>28
ハイプリエステスの討伐を終え、ふと思い出したことがあった。
そういえば、あのとき傷を開かせたジョシュアの見舞いに行っていなかった、と。
謝るぐらいは、せねば。そう思ってやってきてみれば――

「グリードが何かは知らないが、人外の類だろう?
病気にだってかかるし、死ぬときには死ぬさ」

ジョシュアが預かっているという子供、ニュクスがベッドにて眠っていた。
初はというと、右腕がないままだ。こいつもとなりのベッドに叩き込むべきだろう。
傷口は相変わらず凍らせて凌いでいる。

戦闘後の一件。それで不信感を抱かせたであろうミスカとはできるだけ目を合わせない。合わせられない。
優しそうな少女であった。きっとあの破壊に心を痛めているのだろう。
だからこそ、このバケモノは彼女に話す言葉を持てなかったのだ。

32ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 22:01:41 ID:???
>>28
それが、その噂のグリードってのかい?よく知らないけど
すげー、信号みたいに変わってんじゃん。目がチカチカして吐き気と痙攣の症状が襲ってきた
【お見舞いの品だろう、籠に盛られたフルーツを勝手にモリモリ食べながら、ニュクスの目の前に人差し指を伸ばしてクルクル】
【トンボを捕まえる時にやるアレだ】

…難儀なものだな、あからさまに体調悪そうなのに健康測れないんだって?
こわーい連中がいつもの二倍三倍五倍増しだもんな。ピリピリきてストレスヤバいんじゃない?

全く、何を守るつもりなんだか…。お前か?俺らか?あるいは自分たちか?
【新たな果物を掴んで口に運び、わざと聞こえるように嫌味を吐いてチラチラと警備に視線を向けるソーマタージ】
【以前の戦闘での扱いから、不信感が未だ拭えずにいるのだ】
【目を離していたので、自分が掴んだものが観賞用のススキだと気付かずに口に運ぶ】

33アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 22:07:55 ID:???
>>28
「あらぁ、入院したって聞いたからお見舞いに来てみたのだけどぉ……本人は意外と元気そうじゃない。お花持ってきてあげたのに無駄だったわぁ」

アグラーヤが室内のテーブルによいしょと置いたのは菊の花の鉢植えである。お見舞いの生花、アグラーヤの気持ちのこもった一品。
それなりに元気そうなジョシュアを見れば、意地悪い笑いと舌打ちを漏らし、代わりにベッドを使う少女に視線を移した。

「この子、ニュクスって言ったかしらぁ? あは、保護者も大変ねぇ」

ニュクスの性質を深く理解していない為、アグラーヤは事の重大さがわからない。体調を崩したニュクス、それをジョシュアが保護者として看病し付き添っている以上の光景には見えようはずもない。
もっとも、院内の物々しい警備に何か勘繰らない事もなかったが。

34第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 22:23:42 ID:???
>>ALL
「今の俺達に出来る事なんてねェさ、今は……ゆっくり眠らせてやってくれ」
「ガラスを喰った程度でここまで弱るコトなんてない……死ぬ、なんてこたァねェだろうが…」

不器用な氷結鬼はジョシュアに謝るどころか不安を煽るようなことを口走り、ジョシュア彼女をでこピンの刑に処す。
ニアの持ってきたフルーツ盛り合わせを次々口に運び、その勢いでススキまで咀嚼したソーマタージに尿瓶(空)を投げつけようと。
このまま放っておけばアグラーヤの持ってきた花も、多分ソーマタージに喰われるだろうから。

『…なに、してるの………?』
『だめだよ、そんなことしたら……こわれちゃう』

ぽつぽつと零れるニュクスの、呻き声にも似たうわごとは逐次記録されている。
一人の人間ではなく、研究観察の対象として捕獲された実験動物の、なんと哀しいことか。
朝から続くそれを聞き流していたジョシュアとエルミスであったが、ある単語を耳にして、不意に眉を顰めた。

「……”壊れる”……?」
『やめて……こわさないで、ままを……みんなをこわさないで……』

『……待て、様子がおかしい』
「エルミス……ヤバいぞ、どんどん激しくなって…」

眼をぎゅっと瞑ったまま苦しそうに胸を抑え、ぞわぞわと体表を波立たせるニュクス。その反応が段々と強くなっていることにジョシュアは気が付いた。
エルミスもその異変に気が付き、ニュクスのうわごとに耳を澄ませる。内容はどれも破壊、若しくは死を連想させるものばかりである。

反応はじきに抑えが効かぬ程に強いものとなり、ニュクスは身体を弓なりに反らせて歯を食いしばっている。
肌は完全に黒く染まり、紅い波が胸を中心に全身へと脈動するように広がる。ニュクスは本気で苦痛を感じているのだろう。
少なくとも人間への擬態をやめ、グリードとしての本来あるべき性質を晒す程の。それはまるで過去のジョシュアだ。

『やめ…やめろ………ままを、きずつけないで……』

『くそっ…ドクを呼べっ!!』
「おい!誰でもいいから早く――」
「アラートだ!アラートを鳴ら………!」

『いやだぁああああぁああああっ!!』

一刻も早く本部への連絡を、現状、自分達では対処の方法がないと悟ったジョシュアは端末を手に取った。
破壊し尽くされ、グリードに覆われた都市が鮮明に浮かぶ。それはかつてグリードが地球まで達し青い星を完全に喰らい尽くさんとした時だ。
あれを繰り返してはならない。必要とあってはニュクスを始末する為に、ジョシュアが銃へと手を掛けようとした瞬間。
一瞬にして全員の視界が闇に包まれ、全ての光、音、外界からの刺激がシャットアウトされた。

「………どうなってやがる」

『くっ……全員無事か……?』
『ジョシュアさん…エルミスさん、これは……』

互いの姿も、何も見えずに声を張り上げて互いの位置を探るジョシュア達。
やがて少しずつ視界の靄が晴れ、周囲の様子が明らかとなっていった。
そこは全面が鏡に包まれた部屋のような、あらゆる角度のあらゆる場所に自分達が映し出されている。
まるで四次元超立方体(テッセラクト)。自分たちの周りに映し出される景色は、やがてランダムに変化してゆき、
そこには各々に覚えのある、様々な記憶の場面が映し出されているだろう。まるでそれは記憶の博覧会だ。

35ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 22:31:50 ID:???
>>34
「あぁっ!?」

と、自身の持ってきたススキがソーマタージの口に運ばれれば驚愕
怒りとかそう言うのよりもただ驚いただけだ、だってススキだし
ともあれそれに関してはジョシュアが咎めたのだから良しとしよう、ススキならまた摘んで来ればいいのだから

「……?」
「ちっ、ちょっとぉ……」
「大丈夫だってんで……きゃぁっ!?」

ブラックアウト、後に全てを囲まれた空間
目を白黒させて一先ず剣柄を握り締め、動揺したこころに凪を取り戻す

「無事っ……だと思うんだってんですけどっ……」

ここは、と息を呑んだ
ランダムに映される記憶、何かが起ころうとしている

36アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 22:34:52 ID:???
>>34
「s・・・そうか ベティ脱がなくていいぞ」
―――ギィ!!

やや狼狽しながらもベティに言い ベティは出来るわけないだろうと言わんばかりにハサミを振り上げる
しかし中々にショッキングな夢を見ているのだろう

―――ギッ・・・
ベティも心配そうにハサミを振り上げている

だがその動悸(?)が激しくなると完全に狼狽し あたふたするアキレス
そしてジョシュアが銃を取ろうとして それを反射的に止めようとして

真っ暗な闇に包まれる

「・・・・・・・」
無言 目をパチクリさせながら辺りを見回す
なんかよくわからない部屋の中 様々なジョシュアの姿が映っている

とりあえず今のところ実害はなさそうなので

「・・・・・・」
おめめパチクリな状態で某リンゴ社製スマホを取り出し カメラを起動する

じょうほうのきろくってだいじだよね(棒)

37ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 22:37:35 ID:???
>>34
ゲェッ、雑草!マッズ!グワーッ!
【飲み込んだところで自分が手に持つものの正体に気付き、ブーッと吐き捨てる】
【丁度投げられた尿瓶が頭頂部に当たって砕け、悶絶】

オイオイオイオイ、ヤバいぞ。鎮痛剤なら結構イイから持ってたはず…
【正体が何であれ無害そうな子供が苦しむのはあまり好きじゃない。慌てて懐から注射器を取り出そうとすると、感覚が奪われた】


この隙に変な事する気でしょ!俺自身そう考えてるもん
【すわ停電か?とも思ったがどうもそうではないらしい。ふざけている内に次第に視力が戻っていく】
【頭痛がしそうな謎の空間。これならこわーい連中に囲まれてる方がマシだ。舌打ちが漏れる】

うーん、斜め前から見た俺って素敵。だがこのソーマタージは気に入らない
気に入らないと言えばこの空間も気に入らない。みんな生きてるー?アローハー、アッハローハー?
【軽口を叩きながらも、始まる映像に思わず目を背ける。他人のものでも記憶を見ると自分の事を思い出してキツい】

38氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 22:38:56 ID:???
>>34
「イテッ……ふっ、ふふふっ。この様子だとキミは元気そうだ。
心配して損したよ」

クリティカル!吸血鬼に3ダメージ!
しかしまあ、こちらは元気そうでなによりだ。
こちらは、だが。

「壊れる……?何が起きてるんだ?彼女の中で?」

こちらは、様子がおかしかった。
破壊、死。おそらく病人が口走る言葉ではない。
言葉から始まった異変は、外見にまで現れている。
人に寄り添う人外。それが昨日までの彼女だった。
だが、たった今評価が改められた。
同族殺しの拳銃に手を伸ばす。
――最悪になる前に、カタを付けよう。
そして、闇に呑まれた。

「……なんだ?どうなっている?
おそらく、ニュクスのせいだろうが、これは……」

気付けば、何も見えなかった。
声だけが聞こえる。
さらなる変化が、起こる。

「これは……ボクらの過去か?
ニュクス……キミはボクらに何を見せたい?」

この現象の原因がニュクスにあると推察している初。
だが、これは不可思議過ぎた。
このような現象は数多の人外を殺した初も知らない。
これから、何が起こるのだろう?
無知はどうしようもなく吸血鬼を不安にさせた。

39アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 22:43:01 ID:???
>>34
「ちょっと、コレまずいんじゃないのぉ……?」

尋常でないニュクスの様子にさしものアグラーヤも身構える。そしてベッドに駆け寄ろうとした瞬間、何の予兆もなくアグラーヤの視覚と聴覚は塗り潰されたように機能しなくなった。
内心湧き上がる感情は焦りだ。しかしそれを精神力で抑え冷静に状況の把握に努める。もしこれが何者かによる攻撃か何かであれば、ここで感情の暴走させることは美味しくないのだから。

「……とりあえず、無事よぉ。誰かこの状況、説明できる……?」

ジョシュアの呼び掛けに答えつつ、答えのわかりきった質問を投げかける。その問いに対し満足するものも得られぬまま状況は進展。
再び光を得た視界を埋め尽くすのは自らを映す鏡であった。

「なによこれぇ……? ちょっと、やめなさいよ……! っ……!? やめろっ!!」

やがて映し出されるのは自らの記憶だろうか。
それは遡り――燃え盛る街の中、死体の山の上に佇む少女が映し出されれば目の前の鏡に電撃を飛ばした。

40第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 22:49:05 ID:???
「全員生きてんな……引っ付いて離れんな、コイツは……マズい」

ジョシュアは咄嗟に一番近くにいた越境者の袖を引っ張って近くへと寄せて抱く。どうやらエルミスだったようだ、殴られた。
ミスカも同じようにしてエルミスにくっつき何かあった時に、例えば先ほどのように闇に包まれた時、互いに引き離されないように備える。

この現象を記録しようとしたアキレスがカメラを起動するも、何も映らず、音も記録されない。
おそらくテッセラクトが存在するということは、ここは少なくとも4次元以上の世界。
人間が絵を描けるように四次元存在が三次元存在である越境者を存在させることは可能だが、三次元存在である越境者が四次元を記録する事は叶わないようだ。
それは平面の中で立体を描くことが不可能であることと同じ。この現象を記録に残す術はない。記憶という、魂という三次元という括りに縛られないものを除いては。

アグラーヤがこの空間を打ち破る為に、目の前の虚像に向かって電撃を飛ばした。
虚像が切り替わり、そこに佇むのはジョシュア。セーフハウスでビバレッジを呑みながら銃の分解をしている所。
アグラーヤが電撃を飛ばせば、ジョシュアは驚いて手を滑らせ、スライドの部品で手の甲を切ってしまった。
それを見たジョシュアは冷や汗を浮かべながら、アグラーヤへと左手の甲を見せる。そこには先ほど、虚像の中でジョシュアが負った場所にある古い傷の痕。
そこから推察できるのは、この空間があらゆる時空の、あらゆる世界とつながっているという事だ。
やがてそのうちの一つが大きく歪みを生じさせ、越境者達を飲み込めば。

「……あァ、なんてこった……ここは……」

近未来世界、グリード侵攻時の地球――

様々な場所から砲火が飛び交い、ビルが傾き、地上は破壊された車と、うごめくグリード達が埋め尽くしている。
上空ではISACの超巨大戦艦、”USSヴァルキリー”と”USSハルピュイア”が今にもその巨体を衝突させんと、傾いて煙を吹いていた。
彼の二隻以外にも、グリードに取り憑かれた戦艦は数多あり、そのうちの一つが超高層ビルへと激突、
爆発炎上し、破片を降らせながら二つのビルの上に堕ちた。遅れてガラスの破片が降り注ぎ、ジョシュアはそれを近くのビルに隠れてやり過ごす。
されどその程度の雨よけ程度では、防げぬほどの”雹”が墜ちるのを見れば、ジョシュアは血相を変えて回れ右、思い切り駆け出した。

「クソ、クソ、クソ、クソッ!!」
「戦艦だ!!戦艦が墜ちて来やがるッッ!!」

先程二つのビルに跨るようにして引っ掛かった戦艦、エンジン側のビルがその重みに耐えかねて中折れし上部が倒壊。
支えを失った戦艦はエンジンを全力で噴射しながらも、次第に地面へと向かって滑り落ち始めていた。
そして戦艦が位置するのは、越境者達の真上である。こんな場所で立ち止まっていては瞬く間に潰されてしまうだろう。

前を見れば丁度、ビル群を100m程駆け抜けた場所に先程のような時空の歪が見えた。
落下する戦艦から逃れるには人間の脚力では遅すぎる。ならば逃げ込むしかないだろう。

41ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 22:57:37 ID:???
>>40
なんなんだ此処は……。いやマジで、なんなんだ、此処は
【古傷を見せるジョシュアの様子に、冗談を飛ばす気も失せる】
【色んな場所に通じているというのか?そもそもこんな事を引き起こしたニュクス──グリードとは何なのだ?】


ああクソッ!今日は厄日だ!!
【忙しく変わる風景に、戦火に心を奪われる暇も無い】
【翻したコートでガラス片を咄嗟に防ぐ。幾つかは貫き背中を、腕を傷つけるが、構ってられない】

来るぞ!!
【堕ちてくる戦艦に、周囲の越境者達に叫ぶと、視界に入った再びの歪みへ駆け込む】
【この先がどうなっているのかは分からないが、ワケも分からぬまま死ぬのも真っ平御免だ。飛び込む様にして時空の歪みの中へ入ろうとする】
ええいままよ!こんな状況では言いたくなかった!

42ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 23:01:40 ID:???
>>40
「……ほへぇ……」

誰に引っ付いたのだろう、呆然とそれに魅入るニアには分からなかったしその必要も無いように思えた
果たして如何様にしてこの空間は個々の記憶という、極めて漠然とした存在にアクセスをしているのだろう
そして何の目的があり、それを多様に映し出し、更にはそれに対する彼我の接触を可能にしているのだろう
これはある意味、過去への接触、時の越境だ
そんな事をニアとしてニアらしく、文章ではなく取り留めのない単語や空想の羅列として思い浮かべて直後に怖気

「えっ、ちょっと、ちょっとぉっ!」
「アレってこっちに触れるんですよねっ!?」

巨大戦艦の撃墜に巻き込まれそうになりながら顔を引き攣らせる
転びかけながら逃げ込むのはジョシュア達に促された時空の歪みのその狭間

43氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 23:01:50 ID:???
>>40
記憶の中には、当然“始まり”もあった。
不愉快だ、止めろ

「……止めろ」

父が、母が、血祭りに上げられる。
この後、ボクも噛まれる。
この力は気に入っている。だが――
この始まりだけは、許せなかった。

そして、歪みが起きる。
始まりから目が離せなかった初は、知らぬ間に巻き込まれ――

「―――ッ!!」

地獄に、立っていた。
人の叡智が、人外に食らいつくされる。
終わりだ。一つの世界の終わりを、見せつけられた。

ガラスの破片を近くの物陰でやり過ごす。
だが――

「堕ちてくるのか――あそこが深淵に繋がっていなければいいがねッ!!」

どうしようもない、災害が降ってくる。
逃げねば。
ガラスの破片が頬を裂くにも構わず、歪みへと全速力で飛び込む。
ここに留まっても、戦艦を避けられても、
在るのは死だけだ。

44アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 23:02:00 ID:???
>>40
さて カメラを用意しながら 何か面白おかしい場面でも出てこないかなと待ち構えてみるが 肝心のカメラがうんともすんとも言わない

「あれ? 壊れたかな?」
スマホを叩いたりしているうちに歪みに飲み込まれる

「え? あ? あ・・・」
なんかえらいことになってるし なんかジョシュアのいた戦艦がフルボッコにされているし
その戦艦が落ちて来るし・・・


「いやいやいやいやいや!!! それはないだろうそれは!!」
降り注ぐ瓦礫から逃げ出さんとデモンレッグ起動を試みる

そして少し向こうの方に歪みが現れれば

「イヤッフゥ!!」
勢いそのままに なんのためらいもなく歪みに飛び込もうとする

45アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 23:05:36 ID:???
>>40
「なぁにこれ……どういうことなの? リンクして……?」

ジョシュアの傷跡を見れば目の前に浮かぶ数多の疑問、その解決の糸口すら掴めぬままに事態は加速度的に進んでゆく。越境者たちの都合などはまるで意に介さず、唐突に広げられた景色は幻想の様な、しかしこのリアリティは紛れもない現実だ。

「……チッ! 冗談でしょお!? あぁ、もおっ!!」

空が落ちてくる。そう形容出来るほどの絶望的な光景に、本日二度目の舌打ちが漏れた。
走り出したジョシュアの背中を追う様にアグラーヤもまた走り出す。身体のラインに沿った動きにくそうなゴシックドレスの裾を掴みながらの全力疾走。
目指すは凡そ100メートル先にある空間の歪みだ。恐らくそこに無事に辿り着いた頃にはアグラーヤは息も絶え絶えといったところだろう。

46第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 23:18:09 ID:???
空間の歪に思い切り飛び込んだジョシュア達。バランスを建て直せば、再びそこはテッセラクトの中。
最後にアグラーヤとミスカが飛び込んで、戦艦が墜落し爆炎が迫った所で虚像は別のものへと切り替わった。
ほんの少し切り取られた爆風と、小石の破片が一行を打つ。

ジョシュアはあの光景に見覚えがあった。ハルピュイアとヴァルキリーの衝突。
越境者は遅れて駆け付けたUSSワールシュタットと共にグリードの指令塔を破壊し、両者の衝突を防いだ――
その光景のほんの片隅の背景、遠くで沈んだ船のうちの一つの真下に自分達は存在したのだ。

「……クソッタレ!なんだコイツは…タダの越境じゃねェ……こんなの初めてだ!」
「クソ、お次は何だァ……!?」

再びテッセラクトに崩壊が生じ、ジョシュアらはその裂け目から吐き出される。
まばゆい輝きを放つ視界、されどそれを照らすのはやはり、地獄の業火。

近未来世界、人工島”ネオ”――

二つの勢力が互いに衝突し合い、互いの思想の為に命を奪い合った熾烈な戦い。
越境者達もその争いの中に身を置いた。今は境界線を跨ぐこともなくなってしまった者達も、数多くいた。

「……あー…、ファック……」
「タェンティースの顎を砕いた場所だ、あそこで殺してりゃよかった……」

戦場の真ん中、木々の生い茂る中州にジョシュアらは位置していた。
巨木の下、上には大きなレールガンを構え、近未来的なアーマーに身を包んだスナイパーが一人。
茂みから戦場を見渡せば、兵士たちの屍が積み重なった平原。塹壕地帯の中央を挟んだ先に歪が見える。
そこは迫撃砲の射程内であり、塹壕に籠る兵士達からも常に見張られている。
ただ走るだけでは、蜂の巣も必至。

「畜生がッ……銃さえありゃ……」
『……ダメだ、ジョシュア…ここは恐らく過去の世界…俺達は過去へと遡っていっている…』
『下手に干渉すれば歴史が変わる……下手を打てば俺達の存在が消滅するぞ……っ』

「チッ……じゃあ俺たちがやるこたァ一つ、思いっきりダッシュすりゃいいんだろ……!?やってやるよ……!」
「来るぞ……駆け抜けろッッ!!おいアキレス…お前の力が必要だ……!」

息を切らしたミスカと、彼女が許せばアグラーヤもをひょいと抱えて、ジョシュアは越境者達に注意を促す。
弾幕を掻い潜るには最低限、アキレスの霧を目くらましとして常に放つ必要があった。
ミスカはツタの壁を構成し、一行が駆け抜けるための道に防壁を建てる。各々の能力をフル活用すれば、おのずと活路は開けるはずだ。

47ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 23:27:49 ID:???
>>46
「……やっぱり、刻の越境っ……?」

その景色は記憶にはないが、半人から聞いた事がある
人工島での戦、半人はここで体を失い次の世界でゴーレムの力を得る事になったのだと

「じ、じゃあっ、こっちからは何も手出し出来ないって事じゃないってんですかっ!」

地球の裏の蝶の羽が起こした風が、表に於いては大嵐となり得る
突拍子もない話ではあるが、今としては妙なリアリティがあった

「どこ向かえば良いってんですかっ!?」
「……六輪っ……!!」

タイドメイカー6本を生やし、ニアを軸として車輪の様に回転させ機動
それは怪物めいて注意を惹き付け、更にやや上にニアが位置している為に致命傷は受け辛い
ジョシュア達の指示を仰ぎ、その方向へと一気に転がり突き進むであろう

48ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 23:29:22 ID:???
>>46
なんで戦場にばっか呼び出されるんだ!?ビーチとか観光地とかには出してくれないのかよ!?

次はなんだろな?深海からの脱出か?宇宙空間チキチキ平泳ぎ大会か?エエッ!?
このままあの時まで、あの百三十八年前のあの瞬間まで戻して哀れなソーマタージを生まれる前に殺してくれるよう一緒に祈ってくれないか!?
【苛立ちを隠そうともせず怒鳴り、戦火を走り抜けるソーマタージ】


【壁や目眩しを作ることは出来ないが、サイボーグの頑強な身体と、能力によるちょっとした鎧で盾になることは出来る】
【殿を務め、背後から来る弾をなるべく受け止めようとしながら走る。走る】

あああああ畜生!!今撃ったやつ!次会ったらテメェ地獄の果てまで追い詰めて三度殺してやる!!絶対だ!
【背中から夥しい白い血を流しながら、ソーマタージは叫ぶ。今のところは割りと平気そうだ】

49氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 23:30:35 ID:???
>>46
「ボクらに人類の破滅を見せつけてるのか…?
壊れるって、もしや――」

考察の時間は、ない。
裂け目から吐き出されたそこも地獄だったからだ。
地獄で、これ以上深く考察すれば、死ぬであろう。

「腕が万全なら、一人ぐらい担げたが……ッ!」

今の初には右腕がない。
右腕さえあれば、一人ぐらい担いで移動もできただろう。
さらには、レールガンという膨大な熱も放つ兵器は相性が悪すぎる。
だが、やらねばなるまい。

右腕だったところから氷の槍を生やす。
それを以てして、ジョシュアへとせまる追撃砲の砲弾を弾く。
弾き、砕け、しかし再生する。
氷のかけらを浴びながら、歯噛みをしていた。

50アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 23:33:06 ID:???
>>46
「・・・っとぉ 到着!!」
とりあえず歪みの中に着地し さてここはどこだと辺りを見回せば
なにやら戦争の只中である模様

「またしんどい所に越境したなぁオイ ベティついてきてるか?」
―――ギィ!!

いつのまにやら背中に張り付いていたベティがハサミを振り上げる
そこに聞こえてきた衝撃の真実 ここは過去の世界だというのだ

「え? あ あ〜・・・ウェ?」

余りのことに頭の処理能力が追い付いてない そこに飛び込んできた新たな指令
それは自分の専売特許であり

「なんかよくわかんないけど逃げればいいんだろ?」
先ほどまでのことはまるっとよくわからないが これで頭がハッキリした とりあえず逃げればいいのだ

「おっけーい ブルーフォグ 逝っきま〜ぁぁぁぁぁあああああす!!!!」
脚から青い霧を出し 銃弾の雨の中へ身を躍らせる

「おぉぉぉぉにさぁぁぁぁぁんこぉぉぉぉぉぉぉちらぁぁぁぁぁぁぁあっはっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
虚栄の極みを発動させ 死があふれる戦場を余裕たっぷりな笑みを浮かべながら駆け抜けようとする

51アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 23:35:25 ID:???
>>46
「ちょっと……いつの間にマラソン大会に……参加させられてるのよぉ……! もう嫌ぁよ……! 走るのは嫌。過去の改変がどうとか知ったことじゃないわぁ。邪魔する奴は薙ぎ払って……きゃ!?」

全力疾走で息の上がったアグラーヤ。たかだか100メートルでこれである、虚弱さは折り紙付きだ。
もう逃げ回り走り回るのはごめんと実力行使に出ようとした瞬間、アグラーヤの身体はジョシュアに抱えられ宙に浮いた。
直様悪態を付きそうになるも、流石にこの状況で駄々を捏ねるのはマズイと出かかった言の葉をすんでのところでのみこんだ。
まぁ走らされるよりは幾分かマシ、と。そう自分を納得させるもニアですら自分の力で移動しているのを見て少し恥ずかしくなるが背に腹は変えられない。

「……乱暴にしたらおこるわよぉ……」

不貞腐れたように口を尖らせるも、自身を中心にジョシュア、そしてミスカを包み込むように微弱な電磁波を展開。
ミスカの防壁を掻い潜って飛来する物があれば、それが電磁フィールドに触れた瞬間直様電撃で弾き落とすだろう。
理論上は完全防御であるが、あまりに質量の大きいものはアグラーヤの消耗も激しくなる。逆に銃弾程度であればそれ程損耗を気にする必要もない。

52第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 23:52:12 ID:???
越境者達全員の力を借り、ようやく塹壕地帯を渡り切ったジョシュア達。
ミスカのツタと初の槍がが迫撃砲を上空で起爆させて防ぎ、されど網目の間を抜ける銃弾はソーマとアグラーヤが防ぐ。
アキレスが銃撃を攪乱し、ニアが注意を引きつつ二人で狙いを分散させた、全員の協力があってようやく切り抜けられた窮地、
ソーマタージを撃ったスナイパーは、既に3、4度程死にそうな目に遭わされている。最近では背中から刺されたとか。

「はァッッ……はぁぁッ……」
「やっと静かになりやがった……」

歪に飛び込めば、今度は間を置かず即座に吐き出された先は近代的な街並み、ヘリポート。
暗い空にはおぼろげに雲が掛かり、柔らかな月光が全てを見守るように視線を落としていた。
先程までとはうって変わって、辺りは静寂に包まれ、そして高層ビルの頂上を吹き抜ける風は熱く火照った身体を冷やす。
ヘリポートを渡ったその先に歪が見える。隣には階段、昇ればそこはVIPルームだろうか、全面ガラス張りの豪華な部屋。

自由世界リベルタス、帝東ホテル――

静かなものだ、どこか見覚えのある街並みに、ジョシュアはそれが己の生まれた世界とは気付かず。
長い事リベルタスを離れていたのだ。それにここは同じ世界とはいえど、ジョシュアにとっては異郷の地である。
祖国から遣わされてやってきていたこの地に、馴染みのないジョシュア。そそくさと歪の中に脚を踏み入れようと――

『たっ…隊長ォッ!!』
『隊長……ッ…どうして…!!何故…あなたが……!!』

「……あぁ、マジか…お前ら目を閉じろ」

――したその時、静寂を破り響き渡った”自分の声”。顔に手を当て、ジョシュアは大きな溜息を吐いた。
眼を閉じて耳も塞いで、一切何も見るな聞くなと促す。そうこうしているうちに響く破裂音。
窓ガラスを突き破って、一人の兵士が鮮血を迸らせながら墜ちてゆくのが見えるだろう、
地面に叩きつけられた音はせず、見下ろしてみても眼下の道路に遺体はない。これが一人の兵士の、越境の”はじまり”であった。

53第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 23:52:50 ID:???
『…果たして下手な芝居は終幕を迎えた……茶番は終わりだ』
『全ての生命は霧散し、死を迎える……。それは貴様とて…私とて例外ではない……』

階段を音を立てぬようにして上り、壁に張り付いた状態で上階の音に聞き耳を立てるジョシュア。
ガラスのいくらかは破壊され、音はヘリポートまでよく通る。この日ジョシュアは”死んだ”のだ。
自らが部隊を降りた後に、何があったのかをその眼で見ようとする衝動を抑え、今は飛び出すことを思いとどまる。
上階ではワイシャツ姿の壮年の男と、それに相対する隻腕の、純白のダークエルフの少女。

『……タェンティースに………!』
『あの子に何をしたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

激昂した少女の声を聴き、びくりと身体を硬直させる。エルミスから聞いた顛末のうちの一つを思い出した。
確かあの日、少女の放った電撃を受け、最上階はヘリポート含め黒雷に妬かれ消し炭と化したのだ。
エルミスはジョシュアに降りてくるよう急かしている。だが破壊が巻き起こる様子はない。
やっぱあの野郎俺に嘘ついてやがったな、と音のない舌打ち、壁に張り付いたまま会話を盗み聞いていれば。

『……ごめんっ……なさ……い………っ』

「いややっぱ閉じんな!!走れ!!走れ走れ走れ逃げろォォォォッッ!!」

やがて弱々しい、すすり泣くようなそれにも似た声。
されど対照的に少女の背から発せられたのは、天井を大きく突き破る程に大きな漆黒の翼、否、翼にも似た破壊のエネルギーの奔流である。
通りでエルミスが急かす訳だ。こうなってしまえばジョシュアはもはや声を荒げる事をためらわずに全員へと警告。
”黒い太陽”の放つ抱擁に負けぬほどの怒号と共に、階段を駆け下り歪へと飛び込もうと。少々騒ぎ立てた所でこのノイズ。気取られる事はないだろう。
だが皆が逃げ切るまでそこで留まり、全員を逃がしきってからそこへと飛び込もうとするだろう。

『………これで、いい……』
『……嫌な、役を……任せて…しまって………』
『すまなかった……』

階上の男は、”ダグラス”は、少女の放った抱擁を見て呟くのだ。それは今まで誰にも届くことのなかった、ダグラスの本当の思惑。
虚勢を張り続けた私の人生は終わった。あとはただ瞼を閉じてそれを受け入れるのみ。太陽に抱かれ、燃えて無くなろう。
月光の聖剣をフロアへと深く突き刺し、そして両手を広げた。失血のせいか、ふらついており既に意識を失っているようだった。
ダグラスを飲み込まんと、黒翼が迫る。

54アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/16(金) 00:07:04 ID:???
>>52
時間いっぱいまで敵をおちょくり続け 最後に歪みの中に飛び込む

「誰にも俺は止められなぜ・・・」
―――ギィ・・・

ドヤ顔を晒すアキレスと マネしてハサミを振り上げるベティ さてここはどこなのでしょう?
ポリポリと頭を掻きながら辺りを見回す すると聞こえてくる声と ジョシュアの叫び

眼を閉じろと言われたのに 咄嗟に見てしまった 破裂音と落ちる人影

「・・・・・・」
なんと反応していいやら? 一度にやってくる超展開
なんかタェンティースがどうとか言っているようにも聞こえるが 情報が多すぎて頭の処理能力がまたパンクした

「もう何なんだよこれもうやだおうち帰るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
まるで意味が分からない ただ黒い翼がヤバイものなのは察した ただ逃げるのみである

55ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/16(金) 00:10:14 ID:???
>>52
「んっ……ここっ……」

そのほのかに甘い薄墨色のそらの香りが鼻腔を擽れば即座として、ニアは思考よりも疾風くそこが何処か、何か、そして何時かを理解した
キツく目を閉じた所で無意だ、それは瞼の裏に焼き付いて弱く震える青い風と共に脳裏に浮かぶ
幾度となく重ねた想いはこの日この時、この場面をやり直す事を夢に見る事

「……っ、」

駆け抜ける刹那、彼の人物に手を伸ばした
彼我の合間には距離があった、それは時空を越えても尚埋められぬ物理的、そして精神的な距離が
手を繋がれたままでは船を動かすオールを漕ぐ事は出来ない
独りきりで、そう、漕ぎ、歩き出さねばならないのだ
ニアは過去を振り切り、時空の歪みへと向き直って走り出す

「……あぁ、もう……
 やっぱ無理っ!!」

……それでもニアは人間だ、何かを想い、誰かを想い、そして共に生きて行くモノ
今一度、かつ最期の機会
歪みに半ば呑み込まれながらも腕を伸ばす
無論届くはずもない、その人物との間の空間を消す事は神にすら出来やしない
ならばそれを成すのはひとだ、神の運命に従わなければ成らぬ理由など、少なくともニアにはひとつたりとも存在しない

「……タイド・メイカァーッッッッ!!」
「……あの人を……『ぱぱ』を救えっっ!!」

彼の地で終焉を迎えようとしているのは
それはニアの義理の父親である人物
見捨てる事は出来やしない、八本のタイドメイカー全てが彼を緩やかに抱き締めそして引き寄せるであろう

56ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/16(金) 00:10:51 ID:???
>>53
クソ、オキニだったんだぜこの服……
【ようやく静かな場所に出れた。ズタボロになったコートを脱ぎ、悪態をついて破損具合を確認】
ダメージジーンズだってここまでやらないぞ……。あいつ次会ったら○○○○食いちぎって内臓チューチュー吸い出しちゃる
【辺りを見回すと、どうやら今度こそ戦場以外に出られたようだ。深く息を吐いて煙草を咥える】

俺がどういう人間か忘れたか?そういう事言われると余計に────
【銃声。ガラスが割れる音。目の前を落ちていく人影】
【顔を出して遥か下を眺めるが、地面に衝突した様子はない。声や態度から判断するとやはり】
───忘れた方がいいんなら…まあなるべく善処しとくよ?


なんだってお前らはそうなんだ!あれやれ!やるな!やっぱやれ!……アレ?
【いい加減巻き込まれるのにもイライラしてきた。破滅的な方向に向かう前に発散させようと怒鳴りかけたところで、背後に輝く"黒い太陽"に気付く】
【理性を忘れる前に気付けたのが僥倖か。一瞬の間に思考が変わり、まだ火のついた煙草を捨てて、ドタバタと歪に向けて階段を駆け下りる】
逃げろ逃げろ!!絶対ヤバいぞアレ!!

【歪の中に飛び込む直前。振り向いた時に見えた少女が、男が否応無しに記憶に刷り込まれる】
【自分とは関係の無い因縁が生まれたのだろう。確かめる余裕は無いが】
何がしたい!俺らにこれを見せて何がしたい!!脳ミソを切り開いてでも答えさせてやるからな畜生ッ!!!
【捨て台詞を残し、歪の中へ飛び込む。今度こそ最初の病室に帰れりたいと願って】

57氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/16(金) 00:16:34 ID:???
>>52
今度は、地獄ではなかった。
ホテル。先ほどまでの世界たちならまず間違いなく崩壊しているホテル。
しかし――どこか既視感がある。
それを振り払って歪の中へと踏み入れようとしたとき――

聞き覚えのある、だが若い声。
自然と視線はこちらのそちらへと向けられる。
ジョシュア――キミなのか?
銃声。目を閉じる暇がなかった。
だが、音が少ない。ああ、そういうことか。
これは終わりではない。起源なのか―――

いいや、終焉だ。
何も知らないが、一つの物語が終わろうとしているのだ。
見覚えのある、だが若い姿がもう一つ。

絶叫、そして懺悔。
そして―――

「――ッ!?」

圧倒的な、破壊の濁流だ。
雷撃、だろうか?怒りを受けて異常なまでに膨張している。
彼女の顔を見る気にはなれない。ただ、走るのみだ。

その時察した。通りで見慣れているわけだ。
ここはきっと、ボクの始まりの地。
そこで起きた、一つの過去――――

絶叫で、現実へと引き戻される。

だが、何もできなかった。
引き込まれるように、歪みへと呑まれる。
ジョシュアが腕を引っ張ったのかもしれない。無意識に走り切ったのかもしれない。
仕方がない。仕方がないから、全員が無事に、此処にいることを祈った。

58アグラーヤ >>336:2016/09/16(金) 00:27:49 ID:???
>>52-53
「……悪趣味。何よこれ、誰の記憶よぉ……」

見知った光景にいつかの記憶が鮮明に喚び起こされる。頬を撫ぜるビル風があの日の感情に触れる。
ひとつの物語の幕が引かれ、同時にエピローグの幕開けとなった壇上に今立っているのはまさしく――。

「これはなぁに? 何かの選択肢? でももう私は決めたもの。選んだもの。
後悔がないって言えば嘘かもしれないけど、それでも私は……私たちの生きる今は嘘じゃないから……!」

エルミスが急かすのが見えた。走れと、促すジョシュアの怒声が聞こえた。
わかっている、この場にいてはいけない事は。この後ここで何が起きるのかアグラーヤは知っているのだから。
やり直したい。そんな感情が今まで首を擡げなかった訳ではない。あの時違う選択肢を選んでいたら、そんな詮無きことも考えなかった訳ではない。
しかしそれでも、アグラーヤは今を満足していた。自分たちが選びとった未来である今を。過去の選択をやり直して、選びとった結果を嘘にするなんて事はしたくなかった。

「……わかってるのよぉ。でもダメねぇ……こういうのって理屈じゃないものぉ」

皆が歪みに向かって走る中、アグラーヤはその場から動かなかった。それどころか自身の背中から黒翼を展開。もう一度、ダグラスを包み込む様にそれを伸ばすだろう。
狙うは最上階で暴れ狂う暴力との相殺。ダグラスを包みこもうとするモノを同じ力でもって防ごうというのだ。
無論動こうとしないアグラーヤをジョシュアが不審がって抱え上げてしまえばそのままその場を去るしかないのだが。

59第一章『記憶の欠片』:2016/09/16(金) 22:17:49 ID:???
「馬鹿野郎……ッ!お前らがそこで立ち止まってどォする!?」
「今まで見たモン、全部過去だ!過去に囚われんな、俺達は前へ進む……!」

迫る漆黒に、動けないでいる初と動かないでいるアグラーヤ。
ジョシュアは彼女らの手を取って無理矢理引き寄せれば、抱き上げて肩に担ぎ、そのままテッセラクトの中へと逃げ込むのだ。
担ぎ、駆けている最中も叱咤を忘れない。アグラーヤと初が互いに何を思ったのかは知らないが、今はこの場から立ち去らなくては。
ジョシュアは既に過去との決別が出来ていた。故に躊躇う事は無く、歴史のなりゆくままに身を任せることを選んだのだ。

されど、それでも、歴史に抗う者は居る。過去を断ち切れない者もあるのだ。

『こっちもか……やめろニア!!歴史を変えたいのか……!』

タイドメイカーをダグラスへ向かわせるニアへ詰め寄り、エルミスはその肩を思い切り掴んで止めさせようとする。
だがエネルギーの奔流は直ぐ傍まで迫り、もはやニアの行動を妨害する時間も残されていない。
仕方なくニアをテッセラクトまで引っ張り、ジョシュアの助力もあってダグラスを引きずり込むことができた、
黒雷の抱擁が過ぎ去った後、そこには墓標代わりに聖剣が突き立つのみ。
結果として見れば歴史に相違は生じていなかった。それだけが重畳といった所か、

「……もう!!」
「もう沢山だ!やってられるかよ……俺は部屋に戻るぞ!」

アキレスと共に、もうウンザリしたと叫び、ジョシュアはごろんと寝転がる。
この不思議空間にもいい加減嫌気が差してきた所だ。これはニュクスの意思なのだろうか?
それとも別の大きな存在が関わっているのだろうか、ともあれあのニュクスの様子は尋常ではない。
抱いていた二人をぱっと離し、そのまま大の字になって休憩。流石に身が持たない。
隣に倒れ込んでいるダグラスを見て、そして溜息一つ、恐れていた過去への大規模な干渉を行ってしまったと。

『………』

ミスカは先ほどから上の空で、虚像も何もない空間へと向けて手を伸ばしている。
虚空の先に何かが見えているのだろうか、それとも何か感じ取っているのだろうか。
ただ黙りこくったまま手を伸ばし、そしてやさしくなにかに触れるようにすれば、にこりと微笑んだ。
それは自嘲めいた笑み。あるはずないのに、と誰へとも向けずに呟いて、そして手を引っ込めるのだ。
手を引いたその時に、目の前に新たな虚像が現れる。ミスカは驚いたように目を丸くし、ほんの少し肩を跳ねさせてそれを見た。

60第一章『記憶の欠片』:2016/09/16(金) 22:19:28 ID:???
『……あれ…』
『…わた、し……?』

そこに移るのはミスカと瓜二つの、少しウェーブの掛かった長い橙色の髪の女性。
幼げな顔付きに小さな体躯。されど隣には夫が寄り添い、既婚者であると判る。とても幸せそうな、幸福に満ちた表情だ。
その腹部は膨らみを帯び、つまりは子を宿しているのだろう。膨らんだ腹部を簡素なドレスの上から撫で、そして囁く。

『……この子の名前、決めました……』
『私の大事な、愛しい子の名は……』

そこまで言いかけて、虚像は別のものへと切り替わった。写し出されるのは全く関連性のない映像。
どこかの森、または山岳だろうか?翼ある子供が楽しそうにじゃれ合いながら空を駆ける、そんなのどかな憧憬。

テッセラクトに飛び込む度に、写し出される虚像は過去のものへと移り変わってゆく。まるで時のスクロールを捲るかのように。
否、これは虚像ではない。過去そのものなのだ。高次存在を介し、越境者達は紛れもないこの世界の過去へと旅している。
つまりこの場所に映し出されている数多の過去は、この空間と繋がっており越境者達はそこへと干渉出来るのだ。

テッセラクトは越境の度に安定性を失っているようで、遂にはその存在の維持すら難しくなってきているようだった。
最後の越境の際には、空間自体に大きくヒビが入り、まるでそこに裂け目が出来るようにして、
薄紙に煙草を押し付けたように一瞬で空間が食い破られ、越境者達は一瞬にしてテッセラクトから放り出されていた。

「どこだここ…、はァ……森の中、か……?」
『………あ、これ……』

辺りを見回し、見慣れぬ異邦の地に戸惑うジョシュア。対してミスカとエルミスは、どこか懐かしそうに佇んでいた。
ミスカはそっと周りの木々に触れ、”彼等”と語らい、そして葉に付着した雫を額に塗って目を閉じる。
ミスカに拭われた雫は、されどまたどこから沸いたのだろう、再び葉を濡らしてその先端に集う。
この地は水と共にある。とミスカは呟いた。身体に力が溢れるのを感じる。ここは生命に満ち満ちている。
溢れんばかりの水のマナが木々や動物にも影響を及ぼし水の属性を付与させているのだろう。

『………わたしは…たぶん、ここを知っています』
『ここはエリュシオン、エスタ大陸の東岸……』
『……15年前に滅びた……”泉の渓(たに)のエリッタ”』

今まで前例のない、刻すら超えた越境。不安定なテッセラクトに導かれて過去を遡り、ようやく辿り着いた先は過去の世界。
そこは少なくとも15年以上前の魔法世界エリュシオン、ミスカの名の由来ともなった、亡国ヘルゲンの地であった。

61幕間『干渉』:2016/10/24(月) 21:07:54 ID:???
『滅びたはずの”泉の渓のエリッタ”……まさか、行ける日が来るなんて』
『………この感じ、力が……感覚が研ぎ澄まされていくような』

ニュクスの引き起こした”時を超えた越境現象”によって過去の世界へと飛ばされてきた越境者達。
ミスカの言葉を信じれば、この世界は少なくとも、自分達の過ごす世界よりも15年以上前の世界だということになる。
当のミスカは深い自然と語り合う中で異様に自らの感覚が鋭敏になっていることに首を傾げ、どこか上の空である。
目まぐるしく移り変わる状況に呆然とする一行、ようやく訪れた小休止に浸る暇もなく、ジョシュアが声を上げた。

「……休憩してるトコ悪いがお前等、ここに留まるのはマズい」
「こっちは怪我人抱えてんだ……このままじゃダグラスが死んじまう」

腹部に大きな傷を負った壮年の男、ダグラス・オズボーン・ルカ。
かつてはエリュシオンの聖王と恐れられ、ジョシュアらの代わりに大罪の一人”サイファー・シャイターン”に引導を渡すべき男であった。
自らの血で真っ赤に染まった腹部は、ミスカによって傷こそ塞がれているが、彼の身体を穿った聖剣の効力により激しく衰弱しており、
その様は息も絶え絶え、今にも死んでしまいそうな程にか細く、心許ない。

「人里目指して歩くぞ、この林道にァ馬車の痕がある」
「新しい足跡もある、そこまで遠くはないハズだ」

地面を指でなぞり、湿った土を振り払って戦闘服で指先を拭うジョシュア。
ここは湿度が高く、常に薄い霧のようなものに覆われている。大気中の魔力密度も極めて濃く、強力な魔物の類も多そうだ。
天井を完全に樹々で覆われた、まるで地下洞窟めいたトンネル状の森をダグラスを担いで歩き、越境者達を導くのであった。

62ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 21:15:27 ID:???
>>61
「はいってんですっ」
「急ぎましょ、急ぎましょっ」

折角助けた大切な義父の危機とあらばそう頷かざるを得ない
むせ返るような深緑の鼓動の中、瑞々しい空気は甘い淡墨を帯びている
そんな中にあって動揺と同じ程度の興奮を持ってして、ニアは進むのであった
幾重にも重なり合った木の葉の屋根、青い空は見る事が出来ない

63ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 21:18:13 ID:???
>>61
そうかい、魔法少女ミスカさん。こっちは土地勘も何もなくて不安で押し潰されそうだ
【思春期のガキか、と一人でツッコミ、周囲を見回す】
【度重なる越境により、既にソーマタージは正確な時間の流れを感じる事は出来なくなっている。ミスカによれば、十年以上も前の世界なんだとか】
うーん、なんだか嫌な気分がする。テックが発達してない世界な気がして、胸がムカムカするぞ


つーか、そのオッサンは何だ。お前の親か?兄弟か?友達か?恋人か?
置いていくのは駄目なのか?元は死ぬはずだっただろう余所の怪我人を、本当に連れていくのか?
【ダグラスとジョシュアにチラリと冷たい目を向ける。知り合いどころか、実際にこの目で見るまで存在すら知らなかったのだ。対応も適当になる】
まぁ、助けたいなら止めはしないさ。友達の友達って事は俺の友達でもある。…多分

【力仕事には慣れている。許されるようなら、ダグラスを担ぐのを手伝うだろう】

64氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 21:21:25 ID:???
>>61
「……」

時を超えた越境、聖王ダグラス。
そのような事情とは一切縁のないこの吸血鬼はこの状況をシンプルに捉えられていた。

「怪我人一人を見知らぬ世界で救え。何、単純でいつも通りの話だ。
ただ、助かる手はあるのかは知りたいところだね。治癒もそれほど効いてないのは気がかりだ。」

「助けたいなら止めはしないが、それで足手まといになるのだけは勘弁だ。
ボクもこの通りだから自分しか守れないぞ」

中途半端な長さな右腕を見せながらそんなことを言う。言っても聞かれないことは理解してるのか、強くは言わないでいる。
周囲への警戒は怠らず、暗い森を殿を務めながらに進む。

65幕間『干渉』:2016/10/24(月) 21:34:58 ID:???
>>62
「……ニア、隊長のコトだが」
「もう二度とあんなコトはするな。俺達の帰る世界が……消えちまうかもしれねェんだからな」

ニアがダグラスを救ったあの時、何か一つでも手違いが生じていれば未来に大きな変化が生じていたかもしれない。そうジョシュアは語る。
ジョシュア自身、彼らの決着を眼にした訳ではないが、結果としてダグラスはあの場から消え、墓標だけが帝東ホテルに取り残された。
本来語られるべき正史と、その結果だけが残ったことが重畳であった。捉えようによっては世界は、歴史は何一つ動いていないのだから、
ニアの介入さえ、それさえ計算されたものなのかもしれない。干渉ではなく、自然と収束されるような。
それこそが本来あるべき”世界の修正力”のカタチなのかもしれない。

>>63
『……魔女です、それに』

ぷくっと頬を膨らませて、ソーマタージに詰め寄って。
思春期のガキであることは間違いないが、彼女の感じる違和感はミスカの高揚が本来の範疇から大きくズレていることにある。
ミスカの魔力は自然に溢れた場所で増幅されるが、今回の高揚はその類にしてはあまりにも大きなモノである。
大気中を漂う魔力の霧に当てられたのか、それを知る者は誰も居ない。

『それに、私だってここに来たことはないんです』
『私の苗字の由来だってことは知ってますけど、私が生まれた時にはもう』

文字通りこの国、ヘルゲンは地図からその姿を消したのだ。ミスカですら、この場所については名前以外の殆ど一切を知らない。

「このオッサンはエリュシオンの勇者で、俺の上官で、ニアの”ぱぱ”だ」
「生き返れば信じられねェ位の戦力になるぜ」

ソーマタージの手助けは必要とはしなかった。人一人程度であれば、一人で運んだ方がやりやすいと。
故にソーマタージには周囲の警戒を頼むことにしたようだ。ジョシュアは丸腰、上はTシャツ一枚、下は戦闘服だが武器や装備の類は一切持って来てはいない。

>>64
「どこか休める場所がありゃ、そこで食事と休養を取らせる」
「俺自身聖剣に刺されたコトはある。この前入院してたのがソレだ」

ダグラスの負った傷はジョシュアがハイプリエステスから負った傷のそれと近しい。
初がジョシュアとの腕相撲の最中に見た、彼の開いた古傷、あれがまさに類似例である。
異能を砕き魔を払う。ジョシュアにとっては最も相性の悪い相手でもある。

「……”足手纏い”か」
「隊長が起きた時に、その言葉もう一度言ってみろ。すぐ判る」

ふん、と軽く笑って初の言葉を流した。口で言うより、こういう事は実際に体験した方が早いと。
もしもダグラスが助かればの話だが、彼はジョシュアを鍛え上げただけあって相応の実力は持ち併せている。

66ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 21:41:00 ID:???
>>63-64
「この人はぁっ、ニアのお父さん的な方でしてぇ……」

身振り手振りで気を失った彼を紹介するニア
ニアからすれば危険を負ってでも助ける必要がある人物らしい

>>65
「……はぁいっ」

と、口では言ってはいるもののそれが本心ではないとは簡単に見抜く事が出来るであろう
ニアからしてみれば天秤にかけるに値するいのちなのだ、彼と世界とでは
腰に帯びた月光を軽く握り、離す
周囲に対する警戒心を強く張り巡らせ、その隣を歩いて行った

67ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 21:47:34 ID:???
>>65
似た様なものだろう。魔女も魔法少女も…
【ミスカの抗議には素知らぬ顔で返すのであった】

亡国ってやつか。いや違う?生まれ故郷が無くなるってのも難儀なものだな?
流石の俺も生まれた頃には家はあった。不幸自慢はお前の勝ちだ


勇者?勇者ってあの…タイツ履いてたり奇抜なカラーリングの服着たりロトの末裔だったりする、あの?
【聞き慣れない単語に眉をひそめる。何はともあれ、相当重要な人物らしい】
いろんな奴に会ってきたが、現役の勇者とはね。いやはや……

ニアのパパね……。お義父さんって呼ぶべきかな?FFNK
【一人でカラカラ笑いながらも、警戒は緩めない】
【得物の刀は無い。お見舞いに武器を持ってくる馬鹿がいるか】
【ベルトのポーチには自前のクスリやら、針やらが入っているが、結局は徒手空拳となりそうだ】

【そういった事はおくびにも出さず、軽口を続ける。正直やかましいくらいだ】
じゃあ、精々生き長らえる様に祈りの歌を歌ってやろうかね

68氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 21:55:43 ID:???
>>65
「ボクらから積極的に働きかけられることはないのだね。異能に頼らず科学で解決できるような人材がいれば事態は変わりそうなものだが」

血塗れの腹部に覗く傷に既視感を抱く。
なるほど、もしもそうなら魔たる自分とも最も相性が悪い相手だ。

「ハハッ、遠慮しておくよ。ヴァンパイアなんて勇者様から見たら中ボスにすらなれないからね」

肩を竦める。どうやら、彼らは勇者様に魅せられてるらしい。
彼らほどの者が魅せられるとなると、余程の強者であることは疑いようもない。
となれば、初が考えることは一つ。
救って、軽く手合わせをしたい。
敵対は、勘弁だが。
>>66
「詳しい事情は分からなかったけど、理解はしたよ。
キミのためにも、この人を助ける必要はあるってね」

結局ダグラスが如何なる人物であるかはなんとなくでしかわからなかった。
だが、ジョシュアが、ニアが如何に彼を慕っているかは理解できた。

69幕間『干渉』:2016/10/24(月) 22:00:57 ID:???
>>ALL
『……ジョシュア、見ろ』

一行から少し離れて歩いていたエルミスが、不意に声を上げた。
俯き気味に、疲弊した身体に鞭を打って歩いていたジョシュア、エルミスの言葉を受けて初めて前を見る。
遠くの方に、霧に紛れて微かに見えるのは、何やら集落のような。近づけばそれなりの大きさの街が露わとなる。
人口は多く見積もって40人程か。この時代の孤立した集落にしては大きな集まりである、

「……ビンゴだ、里だな」
「行商の馬車も止まってやがる、運がいいな」

「俺は診療所を探す、エルミスとミスカはここに残れ」
「あー、付いて来たい奴はついて来てもいいぜ」

>>66
「……」

無言のままニアの頭に手を乗せて、それからやや乱暴に撫でる。
ニアの気持ちを知ってか知らずか、ジョシュアはそれ以上彼女に言葉を掛けることはなかった。

>>67
「不幸続きと思ってたが、初めてコトがうまく進みそうだと思わねェか?」

近づく集落を見てそう零すジョシュア。幸い街の雰囲気はそう悪くはなく、
酒と謳歌、なんて言葉とは程遠いが、住民は静かに、されど幸せに今を過ごしている。

「ソーマ、この世界の冶金技術はかなり高い。メタマテリアルも豊富だ」
「ミスカを連れて武器を仕入れて来い、エリュシオンの通貨ならミスカが多少は持ってる」

丸腰のソーマタージに、武器をいくつか仕入れてくれと頼むジョシュア。
ソーマタージ自身の持つべきものと、そしてジョシュアとダグラスの為に近接武器を何かしら。
デザインや材質、機能はお任せ。この世界はルーン技術や合金技術が高く、様々な追加効果を持った刀剣が期待できる。

>>68
「お前が実験台になるのかよ……」

共闘しろ、と言ったつもりが彼女はダグラスと殴り合う気であったらしい。
ジョシュアにとってその方法はとても勧められるようなものではなかったが、彼女が遠慮すれば胸を撫で下ろし。
起き抜けに見知らぬ吸血鬼に殴ってくれと頼まれては、ダグラスも困惑してしまうだろう。

70ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 22:05:24 ID:???
>>68
「その通りだってんですっ」

こくこくと頷きながら満面の笑み
理解を得られた事が、この五里霧中を行く様な道中の中で何よりの励ましになるのだから

>>69
「……」

無論診療所探しを共に行うつもりらしい
また、まぁこの集落内ではそこまでは危機はなさそうであるが護衛も務めるのだ
テコテコとその後を追従して歩く

71ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 22:12:51 ID:???
>>66
ああ、わかったわかった。何はともあれ、大事な人間の一人というわけだな?
【身振り手振りを抑えるよう手を翳し、諌める】
そういう人間がいるのはいい事だ。心の励みになる。例えそいつが極悪人だろうが死人だろうが、そういうのがいるってのが重要なんだ

【ジョシュアとニアにとっては大切な人物の様だ。それをとやかく言うつもりは毛頭無い】


>>69
どーかね。まあステゴロする事にはならなくて済みそうだ
【ジョシュアの言葉に薄く笑い、顔を隠すかの様にコートのフードを目深に被る】
【見知らぬところに行く際には大体やる癖の一つ。効果があるかは分からない】


了解。ショッピングは好きだからな
何か欲しいものがあるなら言っておきなよ。俺のセンスは…その…かなり独特だからな
【気怠げに敬礼を返すと、ミスカの肩に手を回して半ば強引に連れて行こうとするだろう】

【取り敢えず自分用には、丈夫な大剣を一振り、予備の短剣を数本。ジョシュア達の分は、要望になるべく叶うものを選ぶだろう】
【ソーマタージに全部任せた場合?それはもうモーニングスターとか蛇腹剣とかそういうのを仕入れてくる】

72氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 22:13:02 ID:???
>>69
「ボクの本質を忘れてるなジョシュア?」

初の本質はあくまでも戦闘狂の人外。強者がいると言われたら飛んできて槍を突き出す種族だ。
これでもセーブしている方ではあった。

「物事がうまく進みすぎるとそれはそれで不安だけどね。
ああ、ボクも短剣かなにかは欲しいかな。」

ソーマにちゃっかり自分用の武器も頼む初。
無視してもさほど問題はないが、不平はいうかもしれない。

「ボクは診療所の方に行くよ。人が多い方が守りやすいだろう?」

ダグラスの目覚める様を拝みたいだけなのだが。
ともあれ、ジョシュア一行についてゆく初。

73幕間『干渉』:2016/10/24(月) 22:15:05 ID:???
>>70
「ここだな……もしもォし」

ニアと共に診療所を見つけ出したジョシュア。
古びた診療所の扉をコンコンと叩いて、中から反応が帰って来るのを静かに待つ。

『はい、只今……おや』
『旅の方ですか、見ない装いだ』

出て来た男は蒼白な顔面の、おおよそ医者とは思えぬ貧相な男だ。
名をシェグムントと言い、この街の医者を10年以上勤めているのだとか。

「あァ、いきなりで悪いんだが……この男の傷を見てやってくれねェか?」
「死に掛けなんだ。魔法で塞いだが衰弱が酷い」

ニアと顔を見合わせ、それは男の覇気のない顔つきからくる不安を秘めたモノだ。
されどダグラスを男へと預ければ、ベッドへと寝かせられ診察が始まるのを待つ。

74ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 22:23:07 ID:???
>>71
「え、えぇっ」

時折ソーマタージが見せる、達観めいた物言いをする時の表情に出逢う度にニアは内心で深く唸る
多分それは彼の経験や、もしかしたら口八丁から来るモノなのかもしれないが妙な説得力を持って迫るのも事実なのだ

>>72-73
「よ、よろしくお願いしますってんですー……」

ジョシュアと氷室と共に診療所へ
小さな集落だが、これがあると言うのはこの様な外界との隔離が成されている場所というのが幸いしたのだろう
通医者など来れない様な環境が、怪我や病気の集落内での解決を余儀なくさせたのだとニアは考える
世界柄、魔法的な処置にも期待出来ると踏むのは越境者ならではの思考か

75幕間『干渉』:2016/10/24(月) 22:33:21 ID:???
>>71
『きゃ……!もう、痛いですよぉ……』

強引に肩を組まれ、バランスを崩しながらもソーマについてゆくミスカ。
こんなこともあろうかと中々の金額を持ち歩いていたようで、適当に医薬品や食料を見繕って買い取ってゆく。
民芸品とか、そういった類のモノも駄々をこねれば買ってくれる……かもしれない。

『あれと、これと、それと……あとこれも』
『すごい……こんな魔力触媒初めて……』

ミスカも中々興奮気味に、色々と用途不明の妖しいグッズを買いあさっている中、ソーマタージは自らの武器を購入、
ジョシュアはなんでもいいと継げていた為に、見事にモーニングスターを獲得するハメになるだろう。
ダグラスの得物は柄を合わせ全長150cm程の、細身の両刃剣。彼が使用していた月光の聖剣に近いものだ。

『ちょっ……ソーマさん!このモーニングスターめちゃくちゃ高いじゃないですかぁっ!!』
『うぅ……財布の中身が……懐が寒いよジョナ……』

買い物が済めば異様に軽い財布にミスカは明細(のような何か)に目を通し、異様に高い物品を発見。
何か特殊なルーンでも刻まれていたのだろうか、スッカラカンになった財布とジョナを胸に抱いてしくしくと。

>>72 >>74
「……病み上がりの隊長にあんま無茶させんなよ、初」

今にも胸がはちきれんといった表情を浮かべる初に、ジョシュアはやれやれと首を振って、
されど笑みが零れるのは、そんな特異な対戦カードを見てみたいといった好奇の気持ちもあるが故だ。
まぁ、それもこれもまずはダグラスが助かってからだと、視線をシェグムントの方へと移した。

『的確な医療処置ですね、魔法の精度もかなり高い……治療を行った方はかなりの腕利きのようだ』
『だが……妙ですねぇ、この傷はまるで……いや、間違いない』

『…ミスリルによるものだ、それも……かなり強力な祝福を受けた』
『この方は一体……一体、どなたと刃を交えたのですか?』

彼の腕前について懸念を抱いていたジョシュアであったが、傷が一瞬で聖剣によるものであると看破したのを見て、目を丸く見開く。
なるほど、ただの町医者ではないようだとジョシュアは軽く、ほんのわずかに唸る。彼を過小評価していたと。

ただダグラスの正体をここでバラしてしまえば、狂人扱いされるか大混乱を引き起こすかのどちらかであるのは明白、
故に今はダグラスの身分を隠す必要があり、適当な理由をつけて誤魔化すことにしたようだ、
助けを求めるかのように、二人の方をちらりと見遣った。

76ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 22:40:32 ID:???
>>75
熊の指の骨の装飾付きの帽子だってよ?丁度日射しを遮るものが欲しかったんだ
【ミスカの方を、正確には彼女の持つ財布をガン見しながら。なんたる図々しさか!】

そりゃそうさ。兎に角頑丈なもの頼んだからな
【当たり前のように、むしろ「何言ってんだコイツ」と言うかの如くとぼけた態度】
これで終わりじゃないぞ。まだパシリを頼まれてる
ジョシュアはあれで良いとして……
【整備用の諸々の道具やら、氷室に頼まれた短剣やらで更に出費は嵩む。ナムアミダブツ!】


さて、楽しいお買い物は終わりだ。俺もあの勇者サマとやらの寝顔を拝見して、サインとか貰いたいんだが。宜しいかな?
【ホクホク顔で、フードの上から被った鍔の広い帽子の具合を確認すると、両手を広げて提案】

77ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 22:42:03 ID:???
>>75
「……」

重畳だ、と頭の中の何処か冷めた部分でニアは思考する事が出来ていた
それはこの医師がダグラスを、父を治療するに値する人物かを見極める為の部分である

「……不当所持の逃亡騎士の追跡だったってんですっ」

チラリと腰に帯びる剣を、鞘から少し抜き出して刀身を見せる
ならばこれの価値が分かる部類の人間なのだろうと見抜いての所作

「密命だってんですからっ、その辺はお願いしたいってんですけどっ……」

もしコレで証左を請求されればミスカに来て貰えば済むし、
だがそれ以前にミスリル痕の神性までを見抜く人間が月光を見てそんな無駄な事をするとは決して思えなかった

78氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 22:42:11 ID:???
>>75
「分かってるさ。キミみたいに傷を開かせるのは止めとくよ」

それは誰が許そうときっとニアは許さないだろう。
ジョシュアは、若干戦う様を見たいようではあるようだが、彼女はきっと違うだろう。
戦うなら、全快して彼女が見ていないところでやろう。

「へえ、あのローブの奴はそんなすごい得物を持っていたのか」

完全に嘘っぱちの独り言をつぶやく。
もちろん、ローブを纏った聖剣使いなど存在していない。
だが、聖剣に刺された旅人がいるのだ。聖剣を携えた旅人だっていてもおかしくはない……かもしれない。

79幕間『干渉』:2016/10/24(月) 23:03:18 ID:???
>>76
『ウソ……もうスニフも買えない』

財布をひっくり返せば、ぽとぽとりと掌に落ちる銅貨が二枚。ミスカは唖然とそれを見詰めて。
エリュシオンでは比較的ポピュラーなおやつ(樹脂と砂糖を練り固めたガムのようなもの)すら買えなくなったことに驚きを隠せないでいる。
されどまぁ、度に必要な最低限の物資を先に確保していたことが幸いだったか、ただちに影響はない。……多分。
ちなみにソーマタージのねだった民芸品一つで、スニフは50個買える。

『あの人……助かるんでしょうか』
『いや、それより……”勇者”が越境者だったなんて……』

勇者というのは、エリュシオンの王都エリシウムにおいて、天使の血を人為的に分け与えられて生まれる戦士の総称である。
並外れた戦闘能力と魔力を持ち、長きに渡る人類と魔王との戦いに於いて、人類を滅亡から救い続けていた。
代々の勇者は選ばれたルカ家の人間のみに受け継がれていたが、13代目のダグラスは突如として失踪。

その真実は越境現象であり、越境先の世界に於いてニアを拾った、というのが大まかな事の流れである。
診療所に着けば未だに眠るダグラス、ジョシュアらがその脇に寄り添って、魘されるような彼の形相をじっと見つめているのであった。

>>77
『……これは!』
『馬鹿な……いや、まさか……』

ニアの取り出した剣に、シェグムントは眼を見開いて形相を変えた。
しがない町医者である筈の彼が、まるで月光の輝きに見えた事でもあるかのような振る舞いである。
それはともあれ、形状こそ違えど紛れもない月光を所持しているという事は、王都の使い、恐らくは暗殺者なのであろうと。

『……成程、この方は……ガブリエラ様の親衛騎士という訳か』

シェグムントの中では、ニア達は完全に王都の人間、ガブリエラの私兵である親衛騎士であるとみなされたようだ。
そうでもなければ、この剣を持っている説明が一切つかないからである。
受け入れるより下手に誤魔化せば、今度はニア達が逃亡騎士扱いされてもおかしくはない。

>>78
『ローブの逃亡騎士……はて、最近通ったあの黒ローブの男のコトか……?』
『その剣がそこにあるという事は、既に逃亡騎士は倒されたのですね』

聖剣を携えた腕利きの逃亡騎士など、まだ生きていると知れれば憲兵がたちまち駆け付ける筈だ。
されど王都から憲兵が送られてくる様子が無い以上は、ジョシュア達だけで騎士は討伐できたのであろうと。
嘘は綻びを生み、そこから真実が露呈すれば一気に情勢は悪化する。決して真実を悟られない必要があった。
今この瞬間から、ジョシュア等のこの世界での”肩書き”は王都の親衛騎士となったのであった。

//そいでは今日はこの辺でっ

80氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 23:14:56 ID:???
>>79
「そういうことだ。なんとか逃亡騎士を倒したのはいいがこの人は深手を負ってしまってね。
ということで、改めてよろしく頼むよ」

詳しい事情はやっぱり分からないが、なんとなく話を合わせて治療を促させる。
あまり喋ればきっとボロが出るから、最低限しか話さないでいようと初は決意。

聖剣なんてものへのあこがれなど自分にはない。
そう思っていたが、どうやら違うらしい。
そんな発見をしながら、未だ眠る聖王の顔を眺める。

//お疲れ様です!

81ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 23:16:00 ID:???
>>78-79
「びっくりしましたってんですよねっ」

とは氷室に対して
逃亡騎士は聖剣を奪い、ローブでその正体を隠してこの地方に逃げ込んだのだ
それは確かにこの場を凌ぐ為にだけ生み出された虚像ではあるが、それでも説得力を持って会話の中に存在している
月光の刃を鞘に収める
きん、と澄み切った金音が響いた

「……ま、そんな訳でしてっ」

ニアは嘘をつくのを得意とはしない
だがそれと、大切な存在を護る為に演技を行うと言うのはイコールで結び付くモノでは決してないようだ

//ありがとうございました、お疲れ様でしたっ

82幕間 『ロストメモリーズ』:2016/12/05(月) 23:01:10 ID:???
2033年世界、現在――

『えーと、君たちが例の越境者だね、よろしく頼むよ』

ジョシュアと共に越境者達が過去の世界へと消えてからはや二日が経過した。
薄暗く埃臭い室内は、まるでレジスタンスやテロリストの活動拠点のような妖しげな雰囲気を醸す。
ここはボストン水道の一角に創られ、やがて閉鎖、放置されたバッテリートンネルの管理室だ。

『私の名はラウル・グッドマン。自称だが、君たち越境者の味方だよ』
『今日はよくぞ私の願いを聞き入れてくれた。いやはや、この会合の場に集まって貰って歓喜の極みだ』

ボロいパイプ椅子に腰掛けて足を組み、張り付いたような笑みを浮かべるのは今日この場に越境者らを招いた男。
自称越境者の味方、世界に安寧をもたらす者。ラウル・グッドマンこの人である。

小ぎれいなスーツにトップハット。足が悪いのだろうか、細工の施されたステッキを持ち、その先端を白い手袋を嵌めた左手で弄ぶ。
くしゃくしゃのくせ毛は粗野な印象を生むが、その身のこなしは一転して高貴なる人物のそれに近い。

『今日この場に君たちが来てくれた理由は……まぁ、一応確認しておくけど』
『この世界を揺るがそうとしている巨悪を斃す為だ。すなわち――カノッサ機関』

ステッキを天井へと振り上げれば、低い天井にたちまちステッキの先端がかつんと突き立った。

『今この丁度直上に本拠を構えるカノッサ系列の組織、HEXA――』
『表向きは民間企業だが、その裏ではシャドウカンパニー(私兵部隊)を用いて様々な世界から”遺物”を略奪している』
『その利用目的も定かではないが、私は彼らがこれを用いてある”存在”を作ろうとしているのではないかと踏んでいるんだ』

『まぁ、詳細はまた今度話すとして……今日はその意思確認、という訳だ』
『巨悪を誅す為に、君たちに協力してもらえるか……その言葉を聞きたい』

にこりとほほ笑むその瞳の奥には、何か底知れぬ者が見えるが。
されどこれまでの言葉にはひとつの嘘偽りも無い。確証たる書類も越境者達の前に並べられていた。
男の隣には従者だろうか、フードを被った一対の人影。片方は小柄で、もう片方は非常に大柄だ。

83ムガ 乳白色の鼠人 ヤソ式忍術、呪術 E.黒覆面(口元):2016/12/05(月) 23:08:58 ID:???
>>82
「……」

それらの問いに徹底して無言を貫いて腕を組んでいるのは鼠の獣人である
ムガはそれらの事情や事柄、人同士の戦の成り行きには極めて興味がなかった
ただ報酬の話が随分と出ないなと、眠そうな赤眼を細めているのである

「……報酬次第」

硬質な、キチン質の尻尾が苛立たしそうに床を跳ねる
一言だけを問い掛けて、ムガはまだ壁から背を離そうとはしていない

84幕間 『ロストメモリーズ』:2016/12/05(月) 23:16:43 ID:???
>>83
『報酬は言値で出そう、もちろんこちらにも限度はあるんだけど』

『ムガくんだっけ?さん?君は随分と優秀なようだからね……マガイモノ達も創られる訳だ』
『君の様な兵を私は今、最も欲している……情に流されない優秀な兵をね』

パイプ椅子に腰掛け、ステッキを弄びながらグッドマンは静かに微笑む。その様子はどこか楽しげでもある。
それもそうだ。グッドマンが今最も欲しているのはムガのような金払い次第で動く手駒なのだから。

越境者の雇用形態に関しては細かな拘りを持たず、善意のボランティアから傭兵までを広く募っている。
必要なのは腕前と、忠誠だ。計画を知り、この場まで来たからには降りる事はそう簡単ではない。

85ムガ 乳白色の鼠人 ヤソ式忍術、呪術 E.黒覆面(口元):2016/12/05(月) 23:22:44 ID:???
>>84
「ふーん……」

その話の矢張り多くを意図的に聞き流してきて、だが自身にとって都合の良い場所のみはそうではない
それでも瞳の光に微かな揺らぎがあったのは、今の自分がかつてよりそういった意味では弱くなっている可能性があるが故だ
多分今、仲間を人質に取られたとしたらどの様な行動を取ることが出来るのか
どうにもその答えを見出せずにいた、過去ならばこんな事はなかったのだが

「……ま、いい」
「じゃあその限度だ」

86幕間 『ロストメモリーズ』:2016/12/05(月) 23:41:26 ID:???
>>85
『買いかぶりじゃあないさ、こうして”優秀”と強調する位にはね』

大して興味らしい興味を示す事も無いムガに対し、グッドマンは変わらぬ表情で。
ムガの戦闘能力については様々な場所で耳に挟んでいたらしい。
越境者事情には精通しており、即ちムガの弱みもまたこの男は知っている……のかもしれない。

『奴らは必ず味方のカノッサにも牙を剥く……そういう連中の集まりさ』
『だから私が、私達が今ここで叩いておくんだよ、向こうさんの準備が不十分なこの段階で』
『その為にこの二人を口説いて連れて来たんだ……こっちの大きい彼は……ケーニッヒとでも呼んであげてくれ』

くい、と顎で大柄なローブの男を差して、男は寡黙だが、されど唸りのような咳払いでグッドマンを邪険に扱う。
あははと乾いた笑いと共に、グッドマンは気を取りなおして、と続け、今度は小柄なローブの方へと顎を遣る。

『こっちはアードリゲ、レディなので丁重に扱うように。あと彼女、人見知りだから声が出ないんだ』

小柄な人物の方は女性のようで、深くかぶったフードの端からさらりと髪が揺れる。
人見知りだと言われればそれに反応するように一歩下がり、靴の爪先でグッドマンのアキレス腱を蹴り抜いた。
確かに人見知りのようにも見えるが、彼女はまた別の要因でムガを避けようとしている。
「他人だから」ではなく、明らかに「ムガだから」といった様子だ。

『で、何か質問は?なければお開きにしよう』
『決行は三日後だ。プランは追って送付する。ベッドの下には隠さないように』

87ムガ 乳白色の鼠人 ヤソ式忍術、呪術 E.黒覆面(口元):2016/12/05(月) 23:53:27 ID:???
>>86
「ん? ……あぁ」

要するに先手を取って攻撃か、と噛み砕いて呑み込む
そして二人の紹介があればもちろんムガは名前を覚える事が出来ない
人の名前を覚えるのが、というより親しい仲間以外見分けることすら覚束ないのが実情なのだ

「……ないな」

小さく頷いて応じた
仔細は資料にあるし、この場で喋る事で得られる情報量は多いとは思えない
それはムガの自己解析の結果であり、おおよそ正しいと判断出来る
じゃ、と手をひらひら、その場を後にしようと

88第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 21:51:58 ID:???
「異種淘汰論者ァ?」

『あぁ、近頃人間、それもヘルゲンをルーツとするヘルゲン人(ヘルゲスティアン)を至上と考える連中が現れた』
『ヘルゲスティアンは体内の含有魔素(マナ)の量が他の種族と比べてかなり多いんだ。理由はよく分からないが』

ダグラスの運ばれた診療所にて、ジョシュアら越境者はあるものを手に入れる為、シェグムントと会合を開いていた。
ジョシュアの部隊の元指揮官であるダグラスの傷を癒すための霊薬の入手法である。
だが単刀直入に目的を伝えないのは彼の悪い癖である、態々遠回しに物事を説明し、直接的な物言いを嫌うのだ。
医者故の気遣いから来た職業病か、ゆえに話は大きく脱線し、この世界の背景にまで遡る。

ミスカ「それで……マナの多い種族、魔法に適応した種族である自分達こそが優れていると…そう主張しているんですね」
『ほう、ここらの情勢に詳しいようだね、ミスカさん』
ミスカ「私も……その、ヘルゲン人ですから……同じ民族として責任を感じています」

同じヘルゲン人であるミスカもまた、異種淘汰論者の話に耳を傾け聞き入っていた。
要約するとヘルゲスティアン以外は下等な生き物で、ヘルゲン人に管理されるべきであると。
この論理は大量の奴隷を生産する良い口実となるのだ。ゆえに地方の権力者から支持され、”彼ら”は声高でいられる。

『で、だ……彼を治すには霊樹の葉が必要なんだけど……その霊樹は交易品が出回っていないんだ』
『ここエスタ大陸に墜落した”天使の傷跡”…、ノザン大陸にある”悪魔の傷跡”と対をなす巨大なマナ結晶』
『その付近にしか生育しないその植物は、土地にマナの豊富なエリッタのみで採れる』
『だがその周辺には”龍鬼(ワーム)”と呼ばれる種族の里が広がっているんだ』

ようやく本題に入るが、エリッタの周囲には深い森が広がっており、その近くに巨大なマナ結晶が存在する。
エリシウムの中心に存在する”大魔力結晶”と同等の規模のものだ。大きさは全長数キロに達し、エスタのどこからでも目にすることができる。
ただ一つ大魔力結晶と異なる点として、天使の傷跡はいまだに”不安定”であり、膨大なマナとレジコン(放射線にも似たエネルギー)を放っている。
その所為で付近の生物や植生が変異を起こし、魔物と亜人の住まう宝石のように輝く森となっている。霊樹はその過程で生まれた植物である。
長い年月を掛けて放出された濃いミスト(空気中の魔素が凝固したもの)に遮断され霊樹の生息域までレジコンは届かないが、つまりそこには他の生物が存在するということ。
そこに住まうワームたちは人間と敵対関係に近い立ち位置の存在のようで、彼等との接触はあまり好ましいものではないらしい。

89第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 21:52:50 ID:???
「龍鬼達は人間を酷く嫌っている……先の異種淘汰論者達が龍鬼の里を焼き払ったからさ」
「本気の彼等に襲われたら人間などひとたまりもない、ワーム殺しの護符を手に入れる必要がある」

マナの濃い地区に生息するワームたちは魔術に長け、その才能だけで有ればヘルゲン人よりも遥かに魔術に適応している。
だが皮肉なことに、ワームたちは人ではない。ゆえに危険な存在として異種淘汰論者達から付け狙われることとなった。
今では滅多に人里に姿を見せず、元々長寿で生殖能力が低いという事もあってか、ミスカの時代には絶滅してしまった失われた種族である。
とはいえ個人の戦闘能力は極めて高く、魔法に対する耐性を手に入れる必要があるという事。

『レヴィ・ルビィ・ルイズという呪術師がこの里の離れに一週間ほど前から居ついている』
『呪術はマナとは正反対の”負のマナ”を扱う闇の術だ。魔法に対抗するならこれが一番』

『それに魔女がごまんといるこの大陸なら呪術を使ったって差別も排斥もされない。他の大陸とは法自体が異なるからね』
『だが彼女はなんというか……内向的でとても臆病なんだ、口説くときには気を付けてね』

「……あァ、分かった」

ジョシュアにとってその名は聞き覚えのある名だ、在る人物を思い起こして、僅かに眉を顰めた。
かつてエリュシオンにて越境者が討伐した”七つの大罪”の一角である”嫉妬のレヴィアタン”。
彼女の名こそ件の呪術師”レヴィ”そのものなのだから。

まぁここは過去のエリュシオン、どれだけ昔なのかは分からないが、間違いなくレヴィはまだジョシュア達と出会っていない。
顔を合わせたとて、いきなり襲われる事は無いだろう……多分。

90ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 22:04:44 ID:???
「要するにぃっ……」

隅っこに座り小首を傾げていたニアは相変わらずの疑問符を隠そうともせずに唸る
ここに来てしばらくそうしていたのだが、ようやく頭の中身がその役目を果たしだしたようだ

「その呪術師の人に頼んでぇ、護符を貰ってからぁ」
「天使の傷跡って場所に行って、薬草を取ってくればいいってんですよねっ?」

ふむむ、と独り言ち二度頷く
そして立ち上がってから頬を叩いて気合を入れ直し、月光の柄を軽く握った

「そうとなれば善は急げってんですねっ」

準備はとうに済んでいる
いつでも出立は可能な模様だ

91ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/01/28(土) 22:05:07 ID:???
>>88-89
すまない、ヘルゲスティアンって所までしか聞いてなかった。もう一回いい?
【片手を上げ、気の抜けた軽口を叩くのはソーマタージ】
【他人の金で買ったお洒落アイテムやら武器やらに見惚れていたのだ。なんたるワガママ!】


冗談は置いといて、お使いするために別のところにお使いに行ってこいってんだろ?ゲームで慣れてる
本音を言うとクソ面倒臭いが、まあ剣と魔法の世界ならよくあるよな
【歯に衣着せぬ物言いだが、特に文句は無いらしい。妙なところで素直だ】


内向的で臆病な魔女?任せろ、そういった人間の扱いは慣れてる
【これ以上ないくらい不安な事をほざき、ニヤリと笑うソーマタージ】
【恐ろしい事に、彼自身は本当に自分がそういった相手の応対に適していると思っているのだ!】


【何の変哲も無い、ただクソ頑丈なだけの大剣をいつも着ている軍用ハーネスで固定すると、一足先に出口へ向かう】

行こうぜ?ファンタジーRPG特有のパシリに

92ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2017/01/28(土) 22:05:07 ID:???
>>88-89
「あれだろ? そのヘルゲンってのはナチ連中やザ○家みたいな選民思想拗らせた輩ってことでFA?」
―――ギィ!!

確認するように問うアキレス
ベティちゃんは長い話に飽きて謎石遊びを始めてしまっていた

と なんとミスカがそのヘルゲン人だというのだ ミスカのことをやれ○ビ家だなんだと言ってしまい

「えぇとアレだそうえぇとウンいや違うんだそのアハハハハ・・・」
何とか誤魔化そうとするアキレス

時折カチンカチンと石同士がぶつかり合う音が響く

「これでも逃げ足には自信あんだけど ちょっぱやで吶喊して世界樹の葉とやらをもぎ取ってトンズラすることは不可能なんけ?」
霊樹を別の何かと勘違いしつつ もっと直接的な手段がないのかとこれまた質問

「よくわかんないけど 美人だったら口説けばいいんですね わかります」
無駄に輝く笑顔で了承 話が終りならさっそく行動を開始しようとする

93イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/28(土) 22:19:43 ID:???
>>88-89

「………」

 この一連の冒険譚が始まってからというものイムカは沈黙を守っていた。
 過去投影で生まれ育った惑星(ワールド)が炎に包まれたやら、
 感情除去措置を受けた日のことやら、キャリアが一瞬で台無しとなる決断をした日のことやら、
 色々と過ぎったがそれは全て過去のことであり、今更思い返す必要はなし。

≪00011101010101≫

 サーボスカルに投影させているホロ・ディスプレイには、
 かき集められるだけ集めていたグリードのデータ。己の遺伝種子のデータ。
 そしてそれが、交じり合って形勢された特異な遺伝子のデータ。

(時間移動そのものは、ありふれているとは言わないが決して珍しい事象ではない。が、)

 遙か過去から未来へというパターンは【歪み航法】を用いる銀河帝国にあって、
 ワープ事故によって偶発的に起こりえる事象の一つとして記録されている。
 が、未来から過去というのは中々に珍しいパターンだ。どれだけのパラドクスが引き起こされるかという懸念も含め。

(が、ソレも些事だ。最悪、パラレルワールドの一つや二つが発生すると考えておけばいい)

 しかして、イムカ・グリムナーにとってはソレもさした問題ではなかった。
 何か、ニアが知己を救出して、現在は容態が悪いようだが、それもお人よしな連中が動くことになると予想する程度だ。

「この事象干渉…次元干渉を起こしたニュクス自身はどうなっている?」

 データを睨んで考えているのは実のところソレばかりであった。己が巻き込まれたことなどどうでもいい。
 遺伝種子の観察対象が【歪み】に近い現象を引き起こした。
 このケースはデモニック・インカーネーション(悪魔の侵攻)の引き金になりかねず、
 帝国政治将校としては、それに思考を割くのは当然であった。……決してニュクスがただ心配というだけではないと強調しておく。

【ゆえにイムカは基本、霊薬に関するブリーフィングには参加せず、黙々と手元の資料とにらめっこしていた。半ば埒があかないと自覚しながら】

94第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 22:36:51 ID:???
>>90
『うん、天使の傷跡の周辺……ここから真北だ』
『ここは木々に囲まれて空すら見渡せないが……北の稜線を越せばすぐに判る筈だ』
『ただし霧の方には近づかないで、大量のレジコンを浴びてしまうからね』

ニアの質問にいくつか注意事項を沿えて返す。要は北の森へとゆき、葉っぱを千切って帰る。
天使の爪痕の近くまで行くから、強力な魔物や異形に備え、あまり天使の傷跡に近づくなということである。

>>92

ミスカ「アキレス、なにその言い方……ザ○家ってなんなの……?」
『ヘルゲン人全員がそういった思想の持ち主ではないけれど……まぁ、そういった人々が少なくないのも事実だ』

じっとアキレスを睨んで詰め寄るミスカ。この2年でずいぶんと気が強くなった。

『それで構わない、ワームと戦う必要はないからね』
『ただ彼らは……その、空を飛べるんだ、翼を持っている』
『Wyrm……ウィルムと言えば異国の人にも通じるだろうか、ドラゴンに似た亜人種なんだ』
『並の逃げ足では、逃げ切る事は難しい』

>>93
「コミッサー……またそれですか」
「俺達がすべきことはニュクスの心配じゃありません、この世界から脱出する事だ」

「それに過去に戻ったなら……時間を辿っていけばきっとまた逢えますよ」
「今は隊長を……ダグラスの事を片付けましょう」

悩み続けるイムカに、ジョシュアはついに発破を掛ける。
彼女の性格であれば懸念がこれに終わる事は無いと分かってはいるのだが、ジョシュアは今彼女に思い詰めて欲しくはないのだ。
ゆえに今だけは、目の前の現実に集中を促す。

>>91
エルミス「まぁ待て、その必要はない」

出て行こうとしたソーマを呼び止めるのは、単独で行動していたエルミスだ。
HEXAがクライアントのミッションでは、毎度彼が根回しなりなんなりで越境者を助けてくれている。
それは過去の世界に飛ばされた今回も変わらず、今回はジョシュアとの友情で動いているのだ。
そんな彼の背にはなにか小さな人影がもじもじと蠢き、身を隠している。

>>ALL
エルミス「呪術師だが……連れて来たぞ」

レヴィ「ひっ……れ、れ……レヴィでしゅ……ですぅ……」
レヴィ「……よ、よろしく……お願いします……」

ひょっこりとエルミスの影から現れたレヴィは、かつて越境者らと戦ったあのレヴィの雰囲気は一切感じさせない、陰気な少女であった。
ぼさぼさの黒髪、時折上ずる声、常に引き攣った笑みを浮かべ、へこへこと頭を下げる。
人前に慣れていないのか噛みまくり、恥ずかしそうに顔を俯かせていた。

「暗ッ!?」
ミスカ「(暗ッ!?)」

「お前マジでレヴィアタンかァ!?エルミス……大丈夫かコイツ」
エルミス「……腕は確かだ」
レヴィ「れ、れヴぃあたん……?なんですかそれぇ」

ジョシュアは前回戦ったその際のイメージとあからさまにかけ離れていることに驚愕を隠せず、
また直前のマモニス戦で凶刃に倒れたミスカは聞いていたイメージと違い過ぎて驚いているようだ。
またレヴィの様子からして、まだ彼女は悪魔の力を手に入れてはいない。大罪に加入すらしていない。

まぁそんなこんなでパーティは全員集合し、ジョシュアとレヴィ、そしてアキレスら四人を含む合計6人のチームが結成された。
ミスカは進んで残る事を決意し、情報の収集に専念すると言った。今回の任務に自分は不得手だと判断したのだろう。

北の裏山を越えればすぐに遠くにそびえる天使の傷跡が見えてくるはずだ。
魔力結晶からは2km程の距離であり、エリッタの植生から見てもこの土地はマナの影響を多大に受けているようだ。

95ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 22:46:30 ID:???
>>94
「暗っ……」
「ニアだってんですよぉ、よろしくお願いしますってんですねっ」

霧は危険だと教えられ頷いた
そして続き現れて自己紹介する少女に苦笑、ともあれ道中よろしくと握手を求めて手を伸ばした
そんなこんなでパーティを結成、いざ出陣である
ファンタジー世界ならではの美しく文字通り幻想的な光景を、ニアは好んでいる
今回もまた牧歌的でいて壮大なそれに瞳を細め、しかし目的の為に速足で進む

「あそこら辺がそうだってんですかっ?」

指差し目的地の周囲を見遣る
霧が立ち込め、その中央に座すは天の涙の魔力結晶

96イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/28(土) 22:47:52 ID:???
>>94

「…了解した」

 嘆息をついて、ホロ・ディスプレイと全てクローズする。
 なお、サーボスカルはそのまま(>>92)ベティと謎石遊びを始めてしまった。何かルールとかあるのか?

【別段、非協力的になる必然もない。一応、ニアの知己のためならば協力するのはやぶさかではないのだ】

 それから例の呪術師(何とも妙な感覚だが)とご対面である。

(暗ッ!?)

 そして、印象は思いっきりジョシュアとミスカと被ってしまった。さもありなん。

【結局のところ、道中でもマルチタスクを用いて、思考の2割を別の思索に割り当てながら、
 口数も少なく、一行に黙々とついていくイムカであった。
 基本、聖務が絡んでなければ他の者の主導で任せると、一歩引くことの多い彼女ではあったが】

97ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/01/28(土) 22:48:03 ID:???
>>94
暗ッ!
【いつの間にかいた人物に制され、見てみるとどうやらアレが目当ての人物らしい】
【ジョシュアの言葉にウンウンと頷き、訝しむ様な目を向けるが、これでいいらしい】

……なんだかなぁ。ところでその…レヴィアタンってどんな感じだったの?
【バツが悪そうにジョシュアの方を向き、片眉を上げると質問】
【チラチラと魔女の方を見る。臆病と言うかコミュ障と言うか】

…食ーべちゃーうぞー!!
【唐突に両手をバッと挙げ、ベロベロバーとレヴィを威嚇!深い意味はない】

98ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2017/01/28(土) 22:57:43 ID:???
>>94
「あ・・・アハハハハハハハ・・・気にしない気にしない ちょっと愉快な4兄弟のドタバタコメディさ」
年下のミスカに詰め寄られてタジタジのアキレス君

「え なにそれワームに翼?」
ここは強引にでも話題転換である

「こんな感じ?」

スケッチブックを取り出し キュッキュとマジックで書いたのは
ミミズに蝙蝠のような羽が生え 空を自由に飛びたいなしている姿

「ドラゴン・・・」
新たな注釈が入るが ドラゴンに似た亜人と聞いて アキレスの頭に浮かんだのはボロウズだった
ボロウズに羽が生えただけならノンビリしてて逃げるのは楽だなぁと思うアキレスであった

さて そんなこんなで連れてこられた呪術師レヴィアタンであるが・・・

「暗ッ!?」
―――ギィ!?

思わず声に出てしまった ベティですら驚愕にハサミを振り上げている

「あぁいやアハハハハハハハ・・・ミステリアスな雰囲気の美人さんだなぁってアハハハハハハハ・・・」
咄嗟にごまかしに入る あの時ウザい煽りしてきたり 嫉妬心バリバリのシャウトだったりを覚えている手前 ギャップがパないことになっていた

〜そんでもって場面転換〜
「それじゃこれからどう動こうか?」
スマホのカメラ機能 そのズームを双眼鏡代わりに使いながら一行に問いかける

99第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 23:14:27 ID:???
>>95
レヴィ「はいぃ、エリシウムの魔力結晶はもうマナが安定化しちゃってるんでぇ……ただの石みたいなもんですけどぉ」
レヴィ「ここのは教皇さまの魔法が無いので、マナが好き放題してるんですよぉ」

はいこれ、とニアに手渡すのはマナの活動を阻害するチャームの様なもの。
これが件の護符であろう、魔法を得意とするワームの攻撃を数発なら完全に無効化してくれる。
ただし味方の魔法にも効果を及ぼすので、ミスカは活躍の場を奪われるという形となった。

>>98
「……コミッサー、この任務が終わったら休養を取ってください」
「後は俺らでなんとかするんで……一度眠るべきかと」

口数が少ないのは何時も通りにも見えるが、長い付き合いゆえかジョシュアはイムカの揺らぎを微かに察知していた。
その手に護符を握らせて、そして霊樹の奪取が終われば一度休めと休息を促した。
ニュクスの事に関しては、あまり思い詰めない方がいいと。
考えれば考える程に、予想という者は最悪の可能性を探ってしまうものだ。

>>97
「嫉妬のレヴィアタンってのはまぁその名前の通り嫉妬深いヤツでなァ」
「周りの人間の能力を自分と同じくらいまで引き下げちまうんだよ、呪術の才能は凄いが……それ以外はからっきしダメでなァ」
「未来ってか現代じゃコイツすげェテンション高かったんだけど……悪魔に取り憑かれて人が変わっちまってたってのか……バイツァ・ダストかよ」

レヴィ「ひっ……ひぃぃぃっっ!!」
レヴィ「たた助けて……食べないでぇぇぇっ!!」

声を潜めてソーマに耳打ち。彼女がいまだ手にしていないレヴィアタンの能力を告げる。
ソーマの威嚇にマジビビり、ジョシュアの証言とは食い違う程の臆病ぶりだ。
命乞いとばかりに護符を差し出してジョシュアの背に隠れた。

>>98
「ま、とりあえずは傷跡目指して直進、世界樹引っこ抜いたらすぐに帰るぞ」

「そういやお前アキレス……ワームのコト虫だと思ってたのか?」
「俺と同じだな……エリュシオンのワームは神話のワームの意味に近いみてェだな」
「ウィルムって最初から言えばいいのによ……」

アキレスに護符を投げ渡し、腕を組んで思案。
英語圏ではワームと聞けばまず龍ではなく虫を想像するものだ。今回もそうである。

>>ALL
「うし、護符は配り終わったな……そろそろ奴らのテリトリーに入る。お前等、気ィ引き締めろ」

【護符によって闇のマナが周囲に発生】
【呪術は強化されるが、あらゆる魔法の発動が阻害されてしまう】

100ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 23:20:49 ID:???
>>99
「なるほどっ」
「じゃあっ、教皇様ってのは魔力を安定させるお仕事をしてるってんですかねぇっ」

なんとなく理解出来る様になったのは、幾分か魔法魔力に対する知識が増えたからであろう
越境の旅路の中で数多くの魔導師達と出逢い、数多くの魔法世界を渡ったのだから当然の事と言える
護符を受け取りベルトにぶら下げた
そこを中心に不可視の闇の魔法力が広がり、薄いヴェールめいてニアの周囲を満たして覆う

「はぁいっ、気を付けましょうねっ」

細く青白く燐光を発するタイドメイカーを1本展開
マウト・フトゥーロの宿るそれは第3の目となり周囲を索敵して進む

101ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/01/28(土) 23:24:00 ID:???
>>99
ちょっと待て、呪術も使えない俺があれと同レベルに落ちるって……
【耳打ちに少々目を見開き、「マズイ事したかな?」と思案】
【話と違いまくってるが、根に持たれなければ良いのだが】
……帰ったらお礼参りとかされないよな?
【釈然としない気持ちで護符を受け取るのであった】


気持ちもケツも引き締めてるよ。いつでもどうぞ
【態とらしく頭を下げて手を伸ばし、先に進む様促す】

【魔法や魔術の類いはからっきしなので彼自身にデメリットは無いが、他の人はどうだろうか】
【道案内とか、回復とかが出来ないとなったら……その時はその時か】
なーんか陰気臭い……。何か気を紛らわすもの無いのか?

102ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2017/01/28(土) 23:25:17 ID:???
>>99
「そうそう こんなガンジー」
護符をキャッチ ポケットに入れ スケッチブックに書いた ミミズが蝙蝠の羽を生やしてノンビリ空を飛んでいる図を見せる

「おっけー 頑張るぞベティ」
―――ギィ!!

ベティは元気いっぱいハサミを振り上げテリトリーに入る

さて 気を引き締めろと言われました そして魔法の発動が阻害されるともいわれましたが はたして異能もまた阻害されてしまうのでしょうか?
そうなるとアキレスの能力が激減氏てしまうがはたして?

103イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/28(土) 23:27:36 ID:???
>>99

「不眠器官は正常に機能している。問題は無いさ」

 ジョシュアの言葉に、遺伝種子は正常稼動していると返答するが、
 根本的になんかがズレていたりする。まあ、天然こじらせることがあるイムカとしては通常運転である。

【ナムサン!気遣いがまったく通じない!】

「ふむ、オカルトの類か」

 腕に嵌めてあったリ・エグザイルをポーチに仕舞うと、胸甲に護符を貼り付けた。
 元々、魔術などの持ち合わせが無いイムカである。デメリットなど無いに等しい。

「…サイカー相手というのはぞっとしないがな」

 なお、イムカがリ・エグザイルを外したのは闇の護符との干渉を避けるためであった。
 ミスリル製で、聖剣と聖鞭の融合物で、マスタールーンが刻印されているという如何にも闇と相性が悪そうだったからだ。
 もっとも、魔力を持たぬイムカにはイマイチ宝の持ち腐れ感の強い装備でもあったが。

【この世界のありあわせの物質で組み立てた粒子短銃を引き抜いて周囲警戒】
【流石に警戒領域となれば、精彩を欠くような全ての思考はシャットアウトする。政治将校の面目躍如だ】

104第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 23:50:30 ID:???
>>100
「ふゥん、じゃあガブリエラのヤツ……つまり1000年も魔力結晶の暴走を食い止めてたってワケか」
レヴィ「なんですかそれぇ……まるでガブリエラさまが一人でやってるかのような……てかぁ、ガブリエラさまとお知り合いなんですかぁ?」
「おっとっと、そうだった……”44代目”……だっけか」

何処か納得したように頷くジョシュア。自らも護符を装備すれば心なしか力が湧くような心地になった。
自らの身に宿る悪魔が同じ闇の眷属であるがゆえか、少しばかり胸が躍るような気もする。

>>101
「だから俺らもマジでヤバかったんだよ、結局はまァ……コミッサーの銃がヤツを撃った」
「いくら本体がショボくなっても強くなっても、銃の威力は変わらねェからな」

剣すら持てなくなり、甲冑の重さで膝をつくほどまでの虚弱化。
肉体のパフォーマンスに物を言わせるジョシュアらにとって極めて相性の悪い敵であった。

「大丈夫だろ、ヤツはまだ悪魔と出会ってないようだし……それに現代じゃ俺達がもう殺ってる」
「心配すんなよ、どうせすぐドンパチが始まるさ、賑やかになるぜ」

現在のレヴィにそれ程大層な能力は無く、出来て骸の召喚、使役程度。
悪魔と契約を果たさぬ一個人程度のマナ量では、それほど危険な術は扱えないようだ。
それにもし発現してしまえば味方をも巻き込んでしまう、強力すぎるというのも考え物だ。

>>102
「なんだそりゃ……飛ぶイモムシなんざ地獄だな」

キモイしウザイと付け加え、ウネウネ系はあんまり好きではないのだ。
ただし触手の類にはそれなりに耐性がついているようであり、
またニアの存在の所為か、イカやクラーケンなどは可愛くすら見えるようになっている域。

護符に阻害されるのはマナを介する能力、つまり魔術系統のみ。異能の行使には問題は無い。

>>103
「そういうんじゃなくてですね……あぁもう」
「……!」

「……感じますか?見てやがる」
「銃がありゃなァ……」

何時も通りのド天然なイムカの態度に溜息。彼女にはまた首を傾げられるだろう。
だがまぁ、そんな風に天然でいられるということはまだ余裕はあるということの表れと捉える事にしよう。
しかしぴくりと眉を動かせば何かを察したように、イムカに目配せして気配の存在を伝える。
ほぼ丸腰でこの世界に来てしまったこともあり、装備は短剣と長剣のみ。ブン投げる訳にもいかない。

>>ALL

「おいゴルァ!!何見てやがんだ!?出て来やがれッッ!!」

『………』
『………』

唐突に振り返ったジョシュアの怒号。それに呼応したかのように木の陰より姿を現し飛び降りる二つの大きな影。
ついに現れたワームの二人組。人間に似た身体つき、土色の肌に紅い刺青を全身に施し、背中からは翼を生やす。
ただしそれは龍というより猛禽のそれに近い、羽毛を持った翼だ。広げれば両端は5mを越えるか。
背中の筋肉が大きく発達し、体躯は引き締まって細い。両腕の肘から先は体毛に覆われており、五本の指には鋭く黒く光る鉤爪が見える。

『これより先は我らワームの地、人間よ……何用でここへと来た』
『我らは人との関わりを好まぬ、矛先を向けるより前に去れ』

鋭く光る眼孔でジョシュアらを睨み、その手に掴んだ矛を地面にとんと突いて問いかける。
ここから先に進んだところにはワームの集落、子供や女たちもいる。そんな場所に人間を近づけるわけにはいかないのだ。
説得を試みるか実力で進むか。説得に失敗すればどのみち実力行使である。

105ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 23:57:39 ID:???
>>104
「えっ?」
「あっ、あははぁっ……」

まさか教皇と顔見知りだなんて言えないし、現に今の教皇とはそうでないのだ
苦笑で誤魔化す他にはない
そしてその後、ワームの二人組の登場に対しては

「んむむっ……」
「えーっとぉ……」
「……大切なひとのぉ、怪我を治すのにこの奥の薬草が必要だってんですっ」
「あなた達に対しての害意はないですのでっ、どうか少しだけお目溢し願えませんでしょうかぁっ……?」
「もしも不審な様でしたらっ、監視に着いていて下さっても大丈夫だってんですからっ……」

ニアとしては無駄な争いを避ける方向に進めたかった模様
その理由の最たる物は、時間の浪費を避けたいが為である
敵対心のなさアピールか、一応両手を挙げるジェスチャー付き

106ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2017/01/29(日) 00:00:59 ID:???
>>104
「ねぇ〜 俺もあり得ないと思う」
スケッチブックを仕舞い肩を竦めて見せる

とりあえず異能は使えるらしい 早々に役立たずとなるのは避けられた
暫く進むと 急にジョシュアが声を荒げる

まずそちらにびっくりして 続いてジョシュアの視線を追った先にいたのは 例のワーム

「とりあえずボロウズとは似ても似つかないなベティ」
―――ギィ!!

全くだと同意するようにハサミを振り上げる

「いやぁちょっとね ダチのツレがナニして世界樹の葉とやらが欲しいんだって
 そうだ 俺らが入るとお宅ら起こるっていうし 俺ら待ってるからちょっとひとっ走り世界樹まで逝ってハッパちぎって持ってきてよ うんそれがいい」

まだ霊樹を世界樹と間違えているらしい ポンと平手を拳で打ち 提案して見るテスト

107ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/01/29(日) 00:01:22 ID:???
>>104
なるほど、やっぱりテックが一番……
【軽口を叩こうとして止まる。落ち着きのない犬めいて虚空を見つめる】
【培われてきた戦士の勘とでも言うべきか、シックスセンスじみた何かが敵意を感じたのだ】


こちらの方はキレると怖えぜ!さっさと出てこいよ!
【ジョシュアに同調して罵声を上げると、出てきた。件のワームとやらが】

出てきたな…。ちょっと欲しいものがあるだけだ
何もしなければ迷惑はかけねえよ。お前らこそ矛先向けられる前に帰れ帰れ
【シッシッと野犬か何かを追い払うかの様に手をヒラヒラ。傲岸不遜な態度だが、本拠地で暴れるのは得策ではないと考えてはいる】

ただのお使いだ、マジで。なんだっけ…そう、霊樹の葉ってヤツを探して、な
あるんならくれよ。見返りに何か欲しいならやれる範囲でやるからさ
【無礼な態度だが、彼なりに説得を試みてはいる】
【尤も、腰に当てられた手は、コートの下の短剣の柄に触れている。いざとなった時の戦闘準備】


【ふざけた態度だが、彼自身は亜人とか人以外の種族への差別感情は微塵もない】
【亜人も、他の人間も、友人と自分以外は全て等しくどうでもいいと思っているのだ】

108イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/29(日) 00:07:21 ID:???
>>104

(魔法に秀でた種族だったか?ふむ…)

 しばし考えた後、堂々と前に出る。
 この場合、無闇に高圧的になるのは危険だが、それ以上に後ろ暗いところがあると、
 そのように認識させてしまうのも同じ位に危険。むしろ、あけすけに行った方が良いと判断した。

「私の名はイムカ・グリムナー。人間の里より霊樹の葉を求めてここに来た。
 貴方達の里に足を踏み入れたことは謝罪しよう」

 貴族式の完璧な礼儀作法の心得はあり、所作の細部に至るまでこの世界の礼に則る事を心がけた。
 この遠征を開始するまでに、ある程度は頭に叩き込んである。
 ニュクスの事ばかりに意識を向けていたように見えたかもしれないが、この辺は如才ない。

「(>>105)用件としては彼女が告げたとおりだ。
 我々は貴方達と争うつもりも無ければ、過度に干渉するつもりもない。
 ただ、薬の材料を最小限、譲り受けたい。用件はそれだけだ」

 端的に用件だけを告げ、言外にワームそのものには全く興味もないとも告げている。
 傲慢さはあるが、互いに干渉などしたくは無いという本音と本心を堂々と放つ。

【下手に言葉を操んで、痛くも無い腹を探られるよりも、いっそこの方が良いと判断したのだ。
 もちろん、彼等の誇りを傷つけたりしないように言葉は選んでいる】

109第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/29(日) 00:31:14 ID:???
>>105
レヴィ「ふーん……?」

苦しいニアの反応に、なにやら訳ありかとレヴィは首を傾げるのであった。
ちなみにガブリエラは結晶が地上に降り注いでから1000年、ずっと一人でエリシウムと大魔力結晶を守り続けている。
もっともニアがその独白を耳にしていたかどうかは定かではないが。

『……大切な人か……私の故郷はお前達に焼き払われた』
『お前達が奪った”大切な人”はどれだけの魔法を用いても、薬草を飲ませても戻る事はなかった』
『私達の里に立ち入ることは……決して許すことは出来ない』

ワームたちはニアの願いを聞き入れることなく、里に立ち入ることを禁じた。
あまつさえ仇敵を救うために仇敵を里に入れるという禁は犯せない。

>>106-107
『礼儀を以って接する事を知れ、人間……』
『我ら迫害こそされど、誇りを抱いて生きている』

アキレスとソーマの態度に憤慨した様子で、されど何かを求めてこの深域に足を踏み入れたのは理解できた。
全員の目的がそれと同一であり、またその目的は自分達にはないのだと。

『……世界樹?霊樹……あぁ』
『お前達、あんなものが欲しいのか……』

世界樹と聞いてふむと首を傾げるが、ソーマが訂正すれば合点がいったようだ。
さほど価値があるものでもないといわんばかりの態度。

>>108
『ふむ……』

『貴公人間ではないな、視える、聞こえるぞ……身に纏う偽りの衣、二つの心の脈打つ音』
『……何故人間に肩入れする?ヘルゲンの民は我らを迫害する』

イムカの儀礼と(表面上)敬意を示す態度に唸り、ふと眉を顰めた。
彼女のホロクロークと心音を看破したようで、彼女を人間ではないと判断したのだろう。
少なくともこの世界には、補助臓器を持つ人間はいない。

>>ALL
『霊樹の葉が必要だと言ったな』
『それならそこだ、さっさと持って帰るがいい』

暫し二人顔を見合わせ、目配せしてこくりと頷く。
それから近くの地面に生えている背の低い雑草を指差してこう答えた。

「なにィ!?雑草じゃねーかッ!!適当抜かすってんなら……」
レヴィ「待ってください、ジョシュアさん……コレ……ホンモノですよ」

「……何だって?こんなチンケな雑草が霊”樹”だァ……?」

大層な名とは不相応な姿にジョシュアが納得できないと吠えるが、レヴィがそれを裏付ける。
原木を眼にする機会などそうそうないがゆえの思い込み。霊樹は確かにそこにあった。
そこらじゅうに生えている雑草ではあるが、なるほど確かにうっすらと輝きを帯びる細長い葉は美しい。
栄養豊富な土壌と大気中からたっぷりとマナを蓄えている。

『ヘルゲン人が居れば我らこの場で森を守るべく戦う所存であった』
『しかし……貴公らは違うな、身を護るその護符以外、マナを感じない』
『……今回のみ、我らの里に踏み入った事、見逃そう』

越境者らの行為を見逃し、霊樹を摘むことを許すワームたち。
だが人間への、とりわけヘルゲン人への憎しみは薄れる事は無い。
過去の凄惨な光景を思い起こしてか、その眼は悲しみを帯びている。

『大切な存在を喪うことは心を殺されるということだ。たとえ人間と言っても、少女にそれを味あわせるのは酷』
『それに我らは疲れたのだ、人間とは関わりたくない。もう此処には立ち入るな』

『次は無い、森番の眼、常に光っておるぞ』

そう言い残して翼を広げ、木漏れ日漏れる木の葉の隙間を縫い空へと消えてゆく。
どの方角に飛び去ったのかも、今どこにいるのかも確認が困難。なるほど、戦闘となればかなり厄介な相手である。
少なくともこの森の中では勝ち目は薄い。ともあれ今回は戦闘を引き起こすことなく目標を達成できた。
診療所へと戻れば、町医者シェグムントが出迎えてくれるだろう。

//終わり!まさかの戦闘無しっ

110幕間 『幼き翼』:2017/01/29(日) 22:05:19 ID:???
霊樹の葉の採取を完了させ、それをシェグムントへと届けた越境者達。
シェグムントはすぐに霊薬の生成に取り掛かると約束。霊樹の葉を受け取って踵を返した。
そんな時である、怯えた農夫の悲鳴がエリッタ中に響き渡ったのは。

『わ、龍鬼だ!龍鬼が攻めて来たぞッ!!』


「……ワームっ!?」

ワームとの言葉に思わず反応を示したミスカ。ジョシュアらが出会ったという、あの種族だ。
エリッタには戦闘に長けた人物はいない。後をツケて人間の街を潰す為に泳がされたか?
もしも大きな力を持つワームたちが攻め込んできたのであればミスカら越境者が対応するしかない。

『馬鹿な……彼等は直接的な争いを好む種族ではない……』
『すみません、ミスカさん、少し行って様子を見てきてくれませんか』

シェグムントの言葉に即座に頷くミスカ。飛ぶ様に駆けて診療所を出た。
向かうはエリッタの外れの農場、ジョナを召喚し一目散にひた走る。

111アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2017/01/29(日) 22:12:46 ID:???
>>110
「な〜んだよあいつ等結局ヤる気満々じゃねぇか!!」
―――ギィ!!

ミスカに続いて診療所を飛び出すアキレス ベティちゃんも素早くアキレスの背に飛びついた

「まったくよぉ 結局こうなるんじゃねぇか!!」
走りながらトレンチガンのチューブ内に散弾を詰め シャコンとポンプアクション 共に現場へひた走る

112イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/29(日) 22:18:45 ID:???
【―――】

「んっ?」

 村の男性が着るような小ざっぱりとしたシャツにズボン、ブーツを身につけて、
 かき集めるだけかき集めた書物やスクロールに目を通す。
 そのようにして無聊を慰めていたイムカであったが――

「妙な事だな。連中の多くを占めていたのは復讐ではなく、諦念と安息への希求だ。
 まあ、ドコにでも跳ね返りはいるだろうが…」

 正直あまり乗り気ではない。のだが、ミスカが飛び出してしまったのなら、
 一応は年長者としての義務は果たしておかなければなるまい。

≪0001111010101≫

 サーボスカルも(>>111)ベティとの謎石遊びを中断し(横で見ていてもイムカは未だにルールを理解できない)、
 ジョナと追従するカタチで移動を始めた。が…

「ついつい忘れていたが、妙な誤解をされないといいが」

 よくよく考えてみたら、サーボスカルは人間の頭蓋骨を使った、多くの者にとって冒涜的な意匠だ。
 死霊術師などと勘違いされてはたまらないが…

(まあ、いいか。見咎められたら、逃がして無関係を装えばいい)

 若草色の外套と掴んで、アキレスに早足で着いていく事にした。

113ミスカ・リ・エリッタ【白華魔導】:2017/01/29(日) 22:34:16 ID:???
>>111 >>112
「皆さん、大丈夫ですか……あっ!?」

駆けつけた越境者らの眼に映るのは農場に人だかりが出来ている様子。そしてその中心には何者かが地面に組み伏せられているのが見えた。
組み伏せられているのは赤い髪の青年…いや、少年。褐色の肌に赤の戦化粧を施し、背中を大きく開いた丈の短いポンチョとサルエルパンツ。ツタで裾を縛り、ブーツのような履物としている。
そして背中には大きな翼。鮮やかな赤の羽毛を持つそれは、広げれば3、4mは超えるほどだろうか。
一方で彼を組み伏せているのはストライプスーツの男……エルミスだ。

エルミス「制圧した」
エルミス「どうやらはぐれ龍鬼のようだ……この辺りの奴らとは刺青が違う、ザカール様式……おそらく西の砂漠から来たな」

エルミスが押さえつけている様子をよく見れば分かるだろうが、ワームの腹部にはぽっかりとバスケットボール大の穴が空いている。
エルミスの異能によるものだ。一時的に腹部の一部を消失させ、腹筋や脊髄をはじめとする様々な部位の機能を奪っているのだ。
されど出血や外傷は生じず、エルミスが能力を解除すれば欠損した部位は即座に元どおりに補填される。

エルミス「見た所80歳から100歳……」

抵抗する気力すら無くしたワームは、悔しそうに地面に拳を力なく叩きつけ、ついぞ死の覚悟すら完了したようであった。
だがエルミス押さえつけていたワームの髪を掻き分けて、指先で小さな茶の突起を突いた。
この男、やたらとエリュシオン事情に詳しい。エージェントともあれば当然なのかもしれないが。

エルミス「…ツノも小さい。子供だな」
エルミス「腹が減って畑の野菜を盗もうとしていたのかもしれん、危害は加えない…いや、加えられないだろう」

そう言うと野次馬に向かって散れと怒鳴る。ワームの生殺与奪は預かると。
ワームの態度次第では、このまま逃してやろうというつもりらしい。

「…えぇ……ぇぇえ…!?」

そんなこんなで今回の騒動は越境者らが活躍する間も無く収束してしまった、というのが今宵の物語のはじまりである。

114イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/29(日) 22:41:11 ID:???
>>113

「80〜100歳…まだ餓鬼ではないか」

 だが、ある意味で丁度いいとばかりに周囲の目線や、呟きの質を確認することにする。
 つまるところ、市井にあって、捕縛されたワームはどのような目で見られており、
 どのような扱いをされているのかという生の感情の確認である。

【なお、イムカの呟きを〝龍鬼としては〟と誤解するならばそれでよし。イムカの年齢は224歳である】

「官警に引き渡さなくてもいいのか?」

 一応、だいたい返答は予測した上で告げておく。
 これも反応を見るためのテストという意味合いが大きかった。

【まあ、ややこしい事にならずに済んだ。と、いったところか】

115アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2017/01/29(日) 22:44:20 ID:???
>>113
「イヤッフゥ!!」
人だかりを跳躍で飛び越し 銃を油断なく構えて着地してみれば

「・・・あり?」
もう戦闘は終わっていたというね 辺りを見回し 銃口を下げる

ポリポリと頭を掻き 子供だというワームに近づき しゃがみ込み

「おーよちよち おなかすいたんでちゅかー?」
と嘲りを込めた物言いで話しかける

116ミスカ・リ・エリッタ【白華魔導】:2017/01/29(日) 22:58:03 ID:???
>>114
「ちょ、イムカさん…、それは…!」

『確かにワームにしては若いな…』
『でもあの人ったら…おっかしぃ…』

ミスカが慌てて静止するのを見れば、エリュシオンに於いて長寿種が明確に人間と袂を分かっていることが分かる。
異種淘汰論者以前に、人間とその他の亜人とでは住む環境も何もかもが違う。物珍しがられ、或いは畏れられるか。
ただし周囲の解釈はイムカの発言を"ワーム目線でのもの"として捉えている。イムカの外見も幸いしたのだろう。
納得するように頷くか、あるいはその不可思議な態度に思わずくすりと笑みを浮かべるかのどちらかである。

エルミス「いや…例の異種淘汰論者に嗅ぎつけられればまた余計な軋轢を産むことになりかねん」
エルミス「村民14人……村長も居ないようなこんな集落では、まともな処理も出来んだろう」

エルミスはワームを彼らに引き渡すことを良しとはしなかった。ヘルゲン人とはいえ彼らは力を振るえるわけではないし、
それにこの里の規模が小さ過ぎるが故に、法執行機関の類が存在しないのだ。各住民が参加する町民会が最大の議会である。またこのような辺境の地には、領主も存在しない。

>>115
『………』

しばし黙ってアキレスに煽られていたワームは、なにか目新しいものでも見るような顔つきでアキレスを見つめる。
言葉が分かっていない。この騒動における最大の問題は彼が人語を介さないということだ。口を開いてもあーとかうーとか、唸ることしかしない。

『んぐ』

だが何と言えばいいのか、胸の中にふつふつと湧き出てくるこの感情、衝動は。使命感にも近い。
なんだか分からないがそうしなければならない気がしたらしく、アキレスの耳に噛み付いた。

「まーたバカやってる…あんまりいじめちゃダメだからね?」

117アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2017/01/29(日) 23:09:22 ID:???
>>116
「うわちょちょいててててて!!!!」
噛みつかれてしまったアキレス君 ワーム君を引き離そうとしています

「うるさい泥棒なんてバカな真似する方がわるいんだい!!」
押し合いへし合いしながらミスカに抗議の声

「つかどーすんだよ!! その異種格闘技だか何だかに見つかる前に処置すんだろ?
 こいつ逃がして別のとこで悪さしたら目も当てられんぜ」

言葉も分かってない輩なのだ 泥棒を悪いこととすら思ってない可能性だって十分にあるのだ

「いい加減 は な れ ろ よ !!!!」
仕舞いにはデモンアームを展開してまで引きはがそうとするだろう

118イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/29(日) 23:11:08 ID:???
>>115-116

「シツレイの代償だな。自業自得だ」

 耳を噛み付かれたアキレスにただ呆れたように溜息をつくイムカであった。
 長寿種云々については、ミスカの反応で大体の察しはついた。
 まあ、どうとでも捉えられるような呟きに準じた反応を引き出せたといったところか。

「なる程、治安機構の手が及ぶはずもなし、か」

 大体の事情を察して、この場においてはイムカは後の成り行きに任せることにした。
 特に干渉すべき事柄でもないように思えたし、エルミスが預かるならこちらとしては異論もなし。

【所詮は異邦人。出来ることは多くないといったところか】

 精々、出来るのは、顔色の変わった奴が周囲にいないか確認しておくことくらいか。
 異種淘汰…所謂メタヘイトの連中が騒動の最中に混じって居なかったかいうことだ。

≪00011111010101≫

 なお、いつの間にかミスカあたりにカボチャを被らされたサーボスカルは、
 すっかり興味をなくして、石を弾いたり積んだりして遊び始めた。

119ミスカ・リ・エリッタ【白華魔導】:2017/01/29(日) 23:31:24 ID:???
>>117
『うぶぁっ…!』

ギリギリとアキレスに噛み付いていたワームであったが、やがて異能によって引き剥がされ尻餅。
ようやく身体に力が戻ってきたようで、ゆっくりと立ち上がればパンパンとサルエルの土を払った。

「まぁ、うーん……何か食べさせてあげようよ」
「後のことはそれから考えればいいんじゃない?」

羽根を広げて一度羽ばたかせ、それから翼に付着した汚れをはたくワーム。
ミスカは彼に何か食べさせてやりたいと、お腹が減っているのなら食べさせない理由はない。それがミスカという人間である。

エルミス「ワームは誇り高い種族だ、自らを助けてくれた人間に対してはもう無礼は働かない筈だ」
エルミス「まぁ、他の人間に対しても同じかどうかは分からんが…な」

エルミスも別段餌付けすることにはやぶさかではない様子。
暴れれば処理すればいいだけのこと。この男にとってはそうなのだろう。

>>118
『ユピ=セセット……!?』
「シェグムントさん…?」

と、イムカの背後から声を掛けるのは町医者シェグムントである。
ミスカはまるで知り合いかのように振る舞うシェグムントに首を傾げた。
ユピ=セセット。古エリュシオン語で幼き翼という意味である。名前にしては少し堅苦しい。

『シェグムント…!』
「えっ…」

ミスカが驚いたのは、そんなシェグムントの名をユピ=セセットと呼ばれたワームが呟いたからだ。
わっと駆け出してシェグムントの元へ。がしりと抱きつきじゃれつく。その様はまるで親子のようであり

『どうしてこんな所に……おぉ、いい子だ……』

今のイムカにとっては悪い影響を与えかねない。ジョシュアがこの場にいればきっと肝を冷やしただろう。
住人達は皆遠巻きに見守るようにしてその様を見つめている。シェグムントの身分や過去、それらの一握りを知っているのだろう。
この村は硬い結束に守られており、すべての人々が固く信頼しあって生きている。余所者を恐れる嫌いがあるが、決して暴力的な思想を持つものはいない。

120アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2017/01/29(日) 23:39:57 ID:???
>>118-119
「おぉいてぇ…クソッタレ」
耳を抑えて苦悶の表情 しかしアキレスの非常事態なのになぜベティが出動しなかったのか?

―――ギィ!!
それはベティも興味をなくして サーボスカルと共に石遊びに興じていたからである

「おーい人の耳齧っておいていい子もなんもねーだろーがよー」
やってきたシュグムントに抗議の声

「もう帰って耳消毒していいかな?」
部外者に出来ることはもうないようにも思える 齧られた耳から黴菌が入る前に処置したいところだ

121イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/29(日) 23:43:20 ID:???
>>119

「なんだ、知り合いだったのか?」

 現れた町医者とワームの抱擁を腕を組んで見守るイムカ。
 周囲の村人にも、少なくとも奇異な反応を示した者は混じって居なかったし、
 とりあえずは一安心といったところだろう。

「何とも仲睦まじいことだな。シツレイだが、どういう関係だ?」

 一応、エルミスに捕縛された経緯やらを、可能な限り町医者に告げる。
 ちょっとした騒動で済んだので良かったが、あまり良い目立ち方とは言えなかったので、
 互いの認識をあわせるという意味でも必要に思えた。

【なお、ここで一々連想、動揺するほど神経は細くない。政治将校として培った自己は堅固である】
【そも、ニュクスへの懸念は事態に備えるという意味が強く、動揺を含んで行動しているわけではないのだ】
【↑↑ただし、備えるための思考の比重は常より高いことは確かだったりもする。本人は無自覚的だが】

>>120

「ほら、アンチドーテ」

 ポイっと消毒液をアキレスに投げつけてやるイムカ。
 本を読んでこの世界の薬草とって自分で作ったとか何とか。
 何だかんだで知識欲は結構大きい。密使だし。

≪0001111010101≫

 サーボスカルは石積み40段を突破中。何気にすげえ。

122ミスカ・リ・エリッタ【白華魔導】:2017/01/30(月) 00:03:00 ID:???
>>120 >>121

『済まなかった、この子は私の……友達なんだ。許してやってくれ』
『にしても君は本当に変わらないな、ユピ=セセット』

耳に噛み付かれ不機嫌アキレス。イムカにアンチドートを渡して貰ってはいたが、後で診療所でも見るよと苦笑。
どこか萎れ、物静かなイメージの強いシェグムントであったが、今は一段とまた明るい。

『私はその……10年ほど前まで王都の聖騎士隊長を請け負っていたんだ』

「……!、じゃあ、ガブリエラ様の……」
『あぁ、何者かも知っている…君も聖騎士隊長なんだろう、そのバッジ…33隊、医務特分隊か』

イムカにユピ=セセットとの関係を聞かれれば、それは身の上話へと遡る。
かつてシェグムントはエリシウムの騎士長であり、そして紆余曲折の末騎士団を脱退した。そしてその逃亡の果てに彼と出会ったのだという。

『10年前……妻を匿うためにエリシウムから脱走した。それで大陸を渡り、このエリッタに流れついたんだ』
『その道中で、お腹を空かせて倒れているワーム見つけたんだ。ひどく衰弱して、翼は折れていた』
『私は彼を看病して、里へと返す手伝いを妻と共にした。その過程で、私達は無言の友情で結ばれたんだ……』

言葉は分からずとも気持ちは繋がる。そこには言語も、また種族も関係ないのだとシェグムントは言う。

『…彼が此処へとはるばる遠路を渡ってやってきたということは、そういうことなのだろう』
『砂漠のオアシス…ユピ=セセットの故郷は……もう』

シェグムントの心の中には、激しい悲しみと憤りとが入り混じった複雑な思いがあった。
なぜ異種同士が忌避しあい、憎みあわねばならないのか。生命に上等も下等もないと言うのに 。

『……皆に頼みがある、彼を明るく迎えてやってくれ』
『もう寂しい想いはさせない…これからは私が…僕が、君の家族になる』

故にせめて今はユピ=セセットの悲しみを癒し、彼の心の穴を埋めることを切実に望んだ。
そのためにも今日は町民全員で再開を祝福しようと、シェグムントは声高くエリッタの民に持ち掛けるのであった。

//そいでは今日はこの辺でっ

123アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2017/01/30(月) 00:08:24 ID:???
>>121
「わーいイムカタンありがとー イテテテテ」
消毒液を受け取り さっそく耳に塗りたくるアキレスであった

―――・・・ギィ!!
そしてベティちゃん 石積み5段に挑戦中・・・残念 崩れてしまった

―――ギィ!!
いらだったようにハサミを振り上げるベティ なぜサーボスカルそんなに石を詰めるのかと騒ぐようにハサミを振り上げる

>>122
耳を消毒しながら シュグムントの話を聞き

「条件がある・・・もう噛みつくな」
憮然とした表情で言うのであった

//ういおつかーれ

124イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/30(月) 00:12:41 ID:???
>>122

「………」

 イムカは結局のところ、この一件に深入りするのは避けた。
 人間、安易に踏み込んではならない領域はある。それにイムカ自身は排他に必ずしも反対ではない。
 町医者がなんとも大層な経歴の御仁だったと分かっただけよしとしよう。

【この辺は異種族と永年の闘争を繰り広げたイムカの価値観ではシェグムントを理解し得なかったところだ】

 結局のところ、この日は常通りに書物を読み、あるいはデータベースを睨み『備える』という、
 イムカ・グリムナーにとっては、さしてトラブルのない一日として記憶された。

125幕間 『父と子』:2017/02/13(月) 22:36:35 ID:???
過去の魔法世界エリュシオン エスタ大陸 泉の渓のエリッタ――

「おい、なんだこのチビ……」

なんでこんな所にあの鳥人が居るんだと顔を顰めるジョシュア。
散々里に入って来るな殺すぞと脅され、こっちは領土侵犯されてもお構いなしかと。
眉間に皺を寄せて鋼のナイフを抜くが、周囲に制止されどうにか踏みとどまった。

「えーっと、俺が色々仕入れて来る間に何があったのかを説明して貰おうじゃねェか」
「あと……そうだ、ダグ……の具合もな」

ダグラスの名前を出すことは流石に憚られ、不機嫌顔でもっちゃもっちゃとスニフを噛みながら腕組み。
何か噛んでいないと落ち着かないジョシュアにとってこのアイテムの存在は大きい。
この買い出しの中で最も大きな成果であったともいえる。頼めば分けてくれるだろう。

【スニフ…樹脂と砂糖を練り合わせたガムのような菓子。ソーマタージが強請った民芸品ひとつで50個買える程安価】

「ほらよ、霊樹の葉のエキスだ。ミスカとレヴィに抽出を手伝って貰った」
「これが傷口の……なんだっけ?」

町医者シェグムントに向かって口を縛った布袋を差し出し、ダグラスの治療を始めろと急かす。

『この方の身体の高濃度マナを吸収してくれます』

対してシェグムントは袋の口を縛る紐についでの如く挟まれていた霊樹の葉のみを抜き取って、

『ありがとう、ですが必要なのは霊樹のエキスではなく、出涸らしの方です』
『霊樹はマナをよく吸収してくれますからね……エキスはまた今度、魔力増幅剤にでも使いましょう』

マナの豊富な土壌に生える草はマナの吸収率に優れる。ダグラスの手首をナイフで裂いて、傷口に霊樹を当てればしばらく放置。
ダグラスはミスリル製の聖剣でブッ刺され、身体の中のマナが多すぎる為にマナ中毒を起こしているのだという。
マナを強烈に引きつける霊樹を包帯代わりとすることで、透析にも似た効果があるのだとか。
透析が終わるまでの間、ジョシュアとミスカ、エルミス、シェグムント、そして残りの越境者のみで暫し世間話となった。

どこから来たのだとか、どこへ向かうのだとか。
ようやく一息ついた頃にふと湧き出る疑問を解消するためである。

126ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/02/13(月) 22:43:53 ID:???
「……ふぅっ……」

ふと、肩に入っていた力が抜けて行くのが分かる
バケツから徐々に水を落とすような感覚だ、同時に漏れる吐息は室内に溶ける

「これで安心だってんですねぇっ」
「……ともあれっ……」

取り敢えずの最大の問題は無事に解決しそうではある
だがこの先をどう動くべきか、それは不明瞭なままだ
さてはてどうしたモノだろうか、小首を傾げて月光を撫でる

127ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/02/13(月) 22:52:12 ID:???
>>125
随分と図太い奴なのか、ただの馬鹿なのか。そこんところもついでに教えてもらおうか
【剣を抜きこそしないが、腕を組んで片眉を吊り上げる様は明らかに良い感情を抱いてる様には見えない】
【スニフを勝手に拝借しながら、面倒が増えたとため息を漏らすのであった】


俺の中毒もこんな風に治らないかな……
【ファンタジー世界ならではの治療法を興味深そうに眺めるソーマタージ。物珍しいものは嫌いではないのだ】
【ダグラスとかこの世界の事は興味無いが、この治療法だけは別だ。拷問の手口に使えそうだと内心ニッコリ】


これで一先ずは安心、ってか?アー疲れた。コーヒープリーズ
【椅子にドッカと腰掛け、気怠げに足を組む】
【大まかな目的は達成出来たが、これからどうするかを考える必要がある。特に、ここから別の世界に移る方法とかだ】

…何かいい案無い?今なら突飛な事言っても、怒らないかもだぞ


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板