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【エルデンリング】黄金律最終報告リマスター版:投稿者【同人拓也】

73名前なんか必要ねぇんだよ!:2022/12/29(木) 14:18:42 ID:eSxl5OGY


…はずだった。

タニスの掌の上には、ディアロスの手のかわりに、ふやけた花びらが乗っていた。仮面女は眼を見開き、ハゲ頭の男は壁にへたり込んで、拓也の腹を掴んでいた騎士と、仮面女の隣に立つ騎士は緊張した構えで武器なんか構えてる。全員の目線がミリセントに奪われて離れない。そして驚愕の表情を浮かべるラーヤの視線の先からは、桃色の蝶が飛んでいた。


ミリセント「待て」


ミリセントの雰囲気は別人のように一変していて、髪はふわりと浮き上がり、義手の隙間からは何匹もの蝶が飛び立っては部屋を巡りながら形を崩して、炭みたいになって落ちていく。あたりには酸っぱいような甘いような訳わかんねー香りが立ち込めて、拓也はその香りに覚えがあった。
ケイリッドで嫌というほど嗅いだ、あの香りだった。

タニス「なっ…なんだと…」

ミリセントのあまりの変わりようにタニスもディアロスも手を下ろして、ミリセントの方に向き直ってる。ミリセントに武器を構える二人の騎士も肩で息をしているからメチャクチャ緊張してるのが分かるぜ。オレも面食らって動きをピタッと止めて、ディアロスのいる方にも駆け寄れない。

ミリセント「ディアロス…望んで英雄になろうと、英雄に祭り上げられようと…英雄の行き着く先には、勝利も栄光も無い」

ミリセント「あの破砕戦争に…私とラダーンの間に…勝利と栄光が無かったようにな」

圧倒的すぎる説得力を見せつけられて、ディアロスはミリセントの前に膝をついて、力無く床に手をついてうなだれた姿勢になる。タニスはわなわなと立ち上がってミリセントに質問を絞り出す。

タニス「き…貴公、何者だ…?」

タニス「なにゆえ…見てきたように…そのようなことが言える?」

ミリセントの髪が降りて義手からの蝶の羽ばたきも止まると、甘い香りも消える。
ミリセントは浅いため息をついてから言い放つ。


ミリセント「私はエオニア沼のミリセント。朱き翼の騎士、欠け身のマレニアの分け身だ」


誰だって意識がぶっ飛ぶような答えを聞かされて、タニスは腰を抜かして尻餅をつきそうになったところをデカ騎士に支えられる。ハゲは目をガン開きで「マジかよ…夢なら醒めろって…」と呟いて、ゴテゴテの騎士はハーっとため息をついて武器を下ろした。

タニス「マレニア…あのラダーンと相討ったのは、貴公なのか…?」

ミリセント「君達の言い分は分かる。なぜ英雄を求めるのかも。だが…君たちの言う英雄達こそが…」

ミリセント「きっと、私のような英雄達こそが…君たちを虐げ、生命への冒涜を強いる、こんな世界を作ってしまったんだ」

タニスに語りかけるミリセントの声は震えてた。
前世の自分達がやった事のツケを、目の前にいるヤツらが払っていることに心を痛めてるんだろうけど、ミリセントはマレニアじゃないんだから、なんでも背追い込まずに気にしない方が良いと思うんだよね。なんてことは、気にしてる本人には絶対言えないっていうエチケットが拓也の口を塞いでる。下手な慰めをかけられると余計に傷つくし、原爆の父ことオッペンハイマーに、広島長崎の核爆発はお前に責任はないぜって言っても、顔真っ赤にして泣いたり怒ったりするだけだ。

ミリセント「黄金律に反目するのなら、そんな英雄なんかに、どうかならないでほしい。求めないでほしい」

ミリセント「君たちの望みは、奪い合いの連鎖を破ることのはず。連鎖にとって代わることじゃない」

ミリセント「それとも、君たちの望みは、ただ奪う側に回りたかったということなのか?」

火山館の女城主は俯き気味になって、何も言い返さない。
ラーヤはそんなタニスに近付く。


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