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【エルデンリング】黄金律最終報告リマスター版:投稿者【同人拓也】

336名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/18(土) 12:14:55 ID:phDNMTVc

次に記すのは、貴公の一番の友、本命クンのディアロスについてだ。

ディアロスもラニアと共に、各地を渡り歩いている。
彼は貴公のようなゲイではなかったが、貴公の想いには気付いていたのだ。曰く『想いは受け取ってはやれないが、せめて汲み取りたいと思う』だそうだ。ゆえにマリカが各地に建てさせた貴公の像を巡り、貴公の心の安らぎを祈る巡礼の旅をしているのだとか。彼の兄であるユーノの元にもディアロスは訪れたらしいが、そのユーノと彼の巫女いわく、ディアロスは己が世に言われる英雄であることを誇っていないというのだ。

ディアロスの想いには、我々皆に心当たりがあるだろう。英雄的戦いによって何が失われ、輝かしき伝承の影に何者が斃れるのか、彼は円卓の旅にてついに知り、そして戦士となったのだ。私もネフェリもそのことが喜ばしく、また哀しく思う。
ディアロスも貴公のことを、心から友と思っていたのだ。
これがせめて貴公の慰めになってくれることを祈る。


それで思い出したのだが、かつて忌み者や卑人と呼ばれた者達や、混種と亜人たちから、貴公がどう思われているのかを記していなかったな。彼らは世を救った貴公を、自らの同種と思っている節があるのだ。かつて卑人と呼ばれた者は己の背丈を誇り、亜人は細い手足が英雄の証と思っている。混種たちは大きい顎には原始の武勇が宿ると言っている。それで各々が誇りを胸に生きることが出来るのだから、良いことではあるのだろう。
しかし包み隠さず言えば、私は兄様ともども、この事について困り果てている。
どう真実を伝えるべきか悩んでいるのだ。

マリカがネフェリ王に懇願し、各地に慰霊と守護の名目で拓也像を建立する時も、胸像の乳首は長くするべきか短くするべきかで大層揉めたのだ。長く伸ばせば滑稽であるため英雄像が嘲笑されかねず、短くしたならば、それは歴史的事実を軽んじることとなる。そうなれば、かつて虐げられた者たちの英雄像を崩すことになるだろう。ゆえに仕方なく、貴公の像は乳首から上だけを作ることと、鎧を着せたうえで全身を作ることで手打ちとなった。

私は今も密かに、マリカを母と慕っているが、その母様が議会の席で涙を流しながら『このままでは拓也に対し、あまりにも申し訳がたたぬのだ』と声を張り上げる様は、今思い出しても心苦しくなる。のちに知ったが、母様の行った貴公への仕打ちを思えば、母様の強い懺悔の心にも得心がいく。しかしそれでも尚、貴公の像の乳首を長くするか否かをめぐり、母様とネフェリの間で殴り合いが起きかけるなど、議事録に消えぬ笑いを記してしまったようなものとしか思えぬのだ。母様に仕えているメリナの気苦労も、これでは増える一方だろう。おかげで民が思う貴公の勇姿は、どれもこれも実際の貴公とはかけ離れている。

そして母様は今も時折、王都に置かれた貴公の像を、郷愁の眼で見上げていることがある。
あの方は今も、貴公にとってのお姉さんなのだろうな。


そしてこれも記しておかなければならないが、どうやら律が失われ、黄金樹が大樹へと変わったことは、やはり不都合も多く孕んでいたらしい。不完全とはいえ星を律していた力が失われたことにより、一度に降り注ぐ星々の数が以前よりも増し、壊れかけの律が消えたことによって正気となった古竜との交わりも再開されたのだが、竜王たるプラキドサクスも力を増したというのだ。

幸いにして降り落ちる星々については、ラダーンと彼の軍の活躍、レアルカリア学院にて反射魔術の教室を開いたという魔術教授トープスの知恵、教室に招かれた魔女の知恵により、今は事なきを得ている。もっとも魔女の扱いにはレナラも眼を光らせており、魔女はジェーレンとも犬猿の仲と聞くが、詳しいこと知らされていない。不測の事態にも備えるため、月の長たるレナラも夫のラダゴンと共に、学院の隆盛を再び始めるようだ。

古竜との関わりにも今は波風は無いが、竜王の動向にもしばらくの間、目を光らせねばならぬだろう。古竜と巫女を連れたヴァイクという騎士と、純紫のエレオノーラという竜騎士が交渉を買って出てきたらしいのだが、ネフェリ王は彼らだけでは不安としている。

そして、貴公がもしも長らく律であったなら、巨人さえも復活していたとするのが、レアルカリアと王都が導き出した共通の見解であることも皮肉なことだ。我らは貴公の消滅からすらも、恩恵を得てしまったのだ。


次に、かつて神だった者の血を引く者達、彼らの動向について記す。
ゴッドウィンはマリカの謝罪を受け入れず、フォルサクスと共に外の世界へと渡った。かつての仕打ちを思えば当然であろう。モーゴットは我らの新たな世を正しいと語ったが、ゆえに相容れぬとして王都を去った。今は黄金樹を懐かしく思う者達を率いて、黄金の種子を集めるべく各地に探りを入れ続けている。Dも、コリンも、今や彼のもとに身を寄せていると聞く。ネフェリ王はベルナールに彼らを見張るよう命じてはいるが、騒ぎが起こらぬ限り、王は彼らを黙認するだろう。私も今はそれで良いと考えている。

しかし悔やまれるのは、我らがまたしても約束を違えてしまったことだ。
かつて今際のモーゴットに、輝ける黄金の時代を約束したというのに、我らは世のため、そして人のためと称して、かの時代を永久に葬ってしまったのだ。私もネフェリも去ろうとするモーゴットを引き留めたが、遂に謝罪も、譲歩も聞き入れられることはなかった。我らを正しき者として扱い、一切責めることもなく王都を去ってしまった彼に、我らが出来たことはあったのだろうかと今も思う。せめて彼が夢破れ、疲れ果てて帰る時には、彼の休める王都でなければならない。例え我らの築いた王都が、彼の故郷とはなれなくとも、翼休める止まり木でなければならないのだ。


モーグの王朝についてだが、あの忌々しき廃墟にはもはや血の力など無い。世の理を司る律も、真実の母も無き狭間の地となったのだから、彼奴は兄様を攫うことも無く、いまさら王の血族を名乗ることもあり得ぬだろう。彼奴は今もひとり、地下の渇いた遺跡にて王朝を夢想しているのだ。兄様はあれにも心を痛めるのだから困ったものだ。兄様の策謀があれを狂わせる一助になったのは確かだが、その後ろめたさが付け入る隙と成りかねぬだろうに。

だが私がモーグの王朝を攻め落とすことは無い。兄様は既に戻り、ラダーンも健在であり、血の貴族達は決して王朝が開闢せぬことを知り、王朝から去ったのだ。私はモーゴットに居場所があるように願うが、同じくモーグにも、それは必要なのだとは考えている。今は罪なきモーグに、過去に消えた恨みをぶつけては、それは揺らぐ視座を持ったかつての律を肯定するようなものだ。ゆえに私は、モーゴットに居場所という慈悲をかけるが如く、モーグには殺さぬという慈悲をかけるのだ。いずれあれが正気となったなら、あるいは兄様は救いの手を差し伸べるかもしれぬ。しかしその手の裏には私の刃が隠れ潜んでいるだろう。何か企みがあれば、私は斬るだけだ。


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