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【エルデンリング】黄金律最終報告リマスター版:投稿者【同人拓也】

182名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/17(火) 23:25:24 ID:h0pwMgm6

マネージャー「……え?」

しばらく間があって、忘れてた言葉を思い出すかのようにマネージャーが声をもらす。
ラーヤはただ呆然として、マレニアが立ってる方向を眺めてる。オレにも拓也が何を話してるのか分かんねーよ。

マネージャー「…死んだ…?」

拓也「ウス…マレニアに刺されて…そしたら金の針、抜いちゃって…腐って、バラバラになって…」

どうしてミリセントが死んだのかを、何もかもに疲れ果てたオレがボソボソ喋ると、マネキンみたいに生気の無い顔でラーヤがたずねてくる。

ラーヤ「なんで?」

ラーヤのその「なんで」が、理由を聞いてる言葉なんかじゃないことは、今のオレでも分かるぜ。それは暗い感情が少しづつ湧き上がって、すぐに大きくなって、堪えきれない悪感情に育っていくことを意味する「なんで」だったんだ。

マネージャー「あっ!」

急にマネージャーが声を上げて、ラーヤの肩もビクッと動く。
オレも振り返って見ると、兜を外したマレニアが、両手を失くして気絶してるネフェリを胸に抱えて、近づいて来るところだった。ヘビに睨まれたカエルのように、オレもラーヤもマネージャーも動けない。マレニアの両目は腐敗の白い角質で塞がれていたけど、オレ達に近づくたびに角質はひび割れていって、オレたちの目の前に立つ頃には黄金色の二つの瞳を輝かせていた。

マレニアはネフェリをゆっくり下ろすと、オレ達に背中を向けて歩いていく。
「どうして…?」ってマネージャーが呟くと、マレニアの背中に怒声が飛んだ。

ラーヤ「お待ちください!」

マレニアは脚を止めたけど、振り返ったりはしない。
ラーヤは怒鳴り続ける。

ラーヤ「ネフェリ様を生かしたのなら、なぜ戦いを始めたのですか!」

ラーヤ「英雄様をどこにやったのですか!どうして私たちと戦わないんですか!」

ラーヤの怒鳴り声がドームの奧の静寂に消えていく。


マレニア「…私はもう、貴公らを斬らぬ」


その静寂を破ったマレニアは、オレ達に背中を向けたままだった。
ラーヤはマネージャーとオレと一緒に絶句して、次の言葉をひり出すのに何秒もかかった。

ラーヤ「…今、なんて…」

ラーヤ「…あなたは…なんなのですか…?」

マレニア「私のことが知りたくば、その勇者に聞くといい」

マレニア「きっと多くを語るだろう。しかし君の…貴公の望む答えはそこには無いはずだ」

このマレニアの言葉に違和感を覚えたのは、きっと三人共ともほぼ同時だった。ラーヤのことをキミって言う奴は一人しかいないからだ。オレはガタイで分析することもできない、信じたくないことを何もかも察しながら、奥歯に力を入れてネフェリを背負う。マレニアの言ってることは多分そのままの意味なんだろうし、それにネフェリの傷だと、マジで早いところ祝福にあたって円卓に帰ってあげないと手遅れになるかもしれない。そしてマネージャーの中でも嫌な予感が確信に変わった。

マネージャー「…ああ…そういうこと、なんですね…」

悔しいのか悲しいのかも分からない表情でマネージャーが呟く。
ラーヤは顔を震わせて、その目には涙が浮かんでいた。

ラーヤ「そんな…嫌です……こんなこと、ひどすぎます…」

ラーヤ「どうしてこんなことに?…これが黄金律からの手酷い仕打ちではなくて、なんだと言うのですか…?」

マレニアは振り返らない。
そのマレニアにラーヤは駆け寄って、マレニアの左手に両手で縋りついた。

ラーヤ「お願いです、返してください…英雄様を返してください…!」

ラーヤ「どうか…どうかお願いです…!」

ラーヤ「あの方が、あなたに何をしたというのですか…!」

震えた声で泣いてすがるラーヤに、マレニアはとうとう振り返ってから、かがんでラーヤを抱き寄せる。

ラーヤ「ああ…」

マレニアが伏せたその目に、オレたちとラーヤはミリセントの面影を見た。
それでラーヤも何もかもが手遅れなことを悟って、マレニアの胸の中でただ嗚咽するだけだった。


マレニア「すまないラーヤ…私は貴公から、主を奪ったのだ」

マレニア「己の腐敗に飲まれ…害してしまった…またしても…」


ラーヤに縋られているマレニアに、「マレニアさんと、今は呼ぶべきなのでしょうね…」とマネージャーが言う。オレ達の誰とも目を合わせずに、マレニアは目線を下げたまま小さく頷くと、マネージャーは深く溜め息をついてから、重くなった口を開く。

マネージャー「あなたは、本来のあなたに戻ったのかもしれません…ですが私達は、大切な戦力であり、なにより旅の仲間だった人を失いました」

マネージャー「そのことが、申し訳ないと思うのなら…ミリセントさんを喪ったことを、少しでも惜しいと思うのなら…」

マネージャー「ミリセントさんの遺志を、どうか汲んでください…そして、教えてください…」

マネージャー「彼女の旅の結末を…彼女が最期に、何を私たちに託したのかを…」



マレニアはマネージャーの言葉に頷いた。
ミリセントの姿はどこにもなくて、ただ義手と剣の破片が、ドームに散らばるだけだった。


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