したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

悟「雛月と付き合って、もう何年になるんだっけ?」

1名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 19:32:48 ID:j1fJjwiY
雛月「……バカなの? もう18年だよ」

悟「そっかー、色々あったなぁ」

雛月「……悟といられて楽しかった」

悟「え? なに?」

雛月「な、何でもない!」


悟(まあ、そんなこんなで)

悟(俺たちは29歳になって、東京に出るまで……かれこれずっと付き合い続けてるわけで)

悟「いやー、まさか……こんな長い付き合いになるとは」

雛月「え?」

悟(声に出てた!)

2名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 19:35:31 ID:cwdFcNck
優しい世界

3名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 19:51:45 ID:j1fJjwiY
雛月「というか、その呼び方。バカなの?」

悟「え? 何で?」

雛月「……私に言わせないで」

悟「……そうだな。油断すると、たまにこうなっちまうんだよ」

悟「ほら。呼び方って変えるの難しいし」

雛月「……加代」

悟「……うん。『加代』。これからもよろしくな」

雛月「……うん」


悟(色々あったな、いやホント)

悟(犯人も突き止めたし、その一騒動の後で……俺たちは何だかんだで今に至るわけで)

悟「ただ……障害もあったな」

雛月「え?」

悟(また、声に出てた……)

4名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 19:51:56 ID:EbmCLOoE
そんな付き合いなら籍入れてやれよ

5名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 19:52:07 ID:j1fJjwiY
悟「い、いやさー、ほら。……俺が大学は東京の方に行きたいって言った時さ」

悟「加代、迷ったじゃん。そのこと!」

雛月「……後、中高も」

悟「……そうだったな。加代、モテたもんな」

雛月「まあ、ケンヤほどじゃなかったけど」

悟「いや、まあ……それもそうだな」

雛月「……何かそう言われるとムカッとする」

悟「何でだよ」

雛月「……何となく」

悟「……加代は可愛いなぁ」

雛月「うっ……」

6名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:01:11 ID:YQi7Mg9I
原作完結したけど雛月ちゃんとどうなったんですかね…

7名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:16:01 ID:j1fJjwiY
悟「……まあ、障害はそれだけじゃなかったけどな」

雛月「……ごめんね」

悟「いや。俺は別にいいんだ」

悟「雛月と一緒にいられるだけで幸せだし」

雛月「……バカなの?」

悟「ああ。『加代バカ』だな」

雛月「い、言ってて恥ずかしくならない、それ?」

悟「……実は、ちょっと。いや、かなり」

雛月「やっぱり、バカなの?」


愛梨「あれ、悟さんじゃないですか!」

悟「あ、ああ片桐くん」

雛月「……こんにちは」

愛梨「加代さんも! こんにちは!」

悟「君は、今日もバイトかい?」

愛梨「はいっ! 悟さん、今日は休みでしたよね?」

悟「ああ、まあ……漫画家との両立は難しいな」

雛月「……私が働いてるからいいのに」

悟「い、いやいや! 加代だけに頼りっきりじゃいけないだろ?」

雛月「……悟」

愛梨「あ、あれー? 愛梨、お邪魔でした?」

8名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:20:01 ID:j1fJjwiY
愛梨「それじゃー、この辺で!」

愛梨「あっ、そうそう! ……日取り、決まりました?」

悟「あ、ああ。近いうち、連絡するよ」

愛梨「はいっ! バイト仲間一同、お待ちしてます!」

愛梨「それではー!」

雛月「……悟。あの子と仲いいよね」

悟「ま、まあ、な。何か頼られちゃってる気がするよ」

雛月「……浮気、してない?」

悟「バカか?」

雛月「うわ、ムカつく」

悟「お前がいつも言ってることだろー?」


悟「俺は加代一筋で20年弱過ごしてきたんだぞ?」

雛月「……そ、それ言われると弱い、かも」

悟「それに……お前の『障害』も、何とかなったから今みたいな話が出来るわけで」

雛月「……ホントにごめんね。時間、かかっちゃった」

悟「いや、いいんだ。無理もないって」

9名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:20:59 ID:cwdFcNck
いいゾ〜これ

10名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:22:50 ID:Lw57Fb5A
スレタイだけ見ててっきり
「二年だね」
「ケンヤがいなくなったのは?」
「…二年前だね」
みたいな流れが始まるのかと

11名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:23:03 ID:j1fJjwiY
悟「――あんな虐待、受けてれば」

悟「そりゃ、迷うって。俺が同じ立場だったら、と思うと……」

雛月「……しかも、誘拐されかけたし殺されかけた」

悟「そ、そうだったな。……というか、改めて考えても、加代って大変だったな」

雛月「でも、悟が助けてくれた。そばに居てくれた」

雛月「それだけで……ツイてたって思う」

悟「……加代の、そういう顔。ちょっと卑怯だと思う」

雛月「ぷっ、なにそれ。バカなの?」

悟「ああ、バカで結構だ」

12名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:30:19 ID:j1fJjwiY
雛月「……でも生活、大して変わらないよね」

悟「そりゃまあ……大学卒業してから、ずっと二人で住んでるしなぁ」

雛月「そうだね。……でも」

雛月「その……そ、『そういうこと』になっちゃうんでしょ?」

悟「……改めて聞くけど、ホントにいいんだな?」

雛月「……うん」


雛月「もう、あの頃のことはいいの」

雛月「あれから3年くらい、お母さんとは会えなかったし、正直今も引きずっちゃってるけど」

雛月「……悟と、ホントの意味で一緒になれることがずっと嬉しいもん」

悟「……加代」

13名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:30:48 ID:j1fJjwiY
悟「――それじゃ、改めて」

雛月「さ、悟?」

悟「原稿料とバイト代合わせて、結構かかったけど」

悟「決めてから、まだ渡してなかったよな? ……というか、ホントは決める前に渡すべきだったんだろうけど」

雛月「ううん、いいよ。嬉しいもん」

悟「それじゃ、加代――」


悟「――結婚してくれ」

雛月「……うん。喜んで」


悟「……あー、恥ずかし」

雛月「ふふっ、悟照れすぎ。バカなの?」

悟「お、お前だって照れてるだろ。まったく……」


雛月「――それじゃ、帰ろっか」

悟「ああ、そうだな」

雛月「佐知子さん、来てくれる日だっけ?」

雛月「あっ、そっか。もう少しで……『お義母さん』になるんだ」

悟「それ、今言うのやめてくれ。恥ずかしすぎる……」

雛月「……悟、ホント照れ屋だね」

悟「加代、手鏡持ってるだろ? 自分の顔、確認した方がいいぞ?」

14名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:34:53 ID:j1fJjwiY
悟(――加代はトラウマを乗り越えた)

悟(ずっと「結婚」するという話になると……体が震えてしまっていた)

悟(昔の記憶が、どうしても俺たちの前に「障害」として塞がった)

悟(それを何とか治すのに、結構かかった。ケンヤたちとか普通に結婚して子供とかいるし)

悟(でも、俺はそれでも加代から離れなかった。いや、離れられるわけがなかった)


悟(……これからも色々大変なのかもしれない)

悟(でも、大丈夫。俺たちは、もう――)


雛月「それじゃ、帰ろ? ……佐知子さん、待たせちゃうし」

悟「ああ、そうだな。……手、繋ぐか?」

雛月「あっ、うん。寒くなってきたしね」

悟「……手袋」

雛月「え?」

悟「あの時と同じ柄を選んで正解だったな」

雛月「……ば、バカなの?」

悟「加代は照れ屋だなぁ」

雛月「うう……」

15名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:35:48 ID:BhUokUec
ああ^〜

16名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:36:08 ID:cwdFcNck
恥ずかしいぞやめろぉ!(建前)ナイスゥ!(本音)

17名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:38:30 ID:j1fJjwiY
悟(――そして俺たちは、手を繋いでマフラーを互いに巻きながら歩き出す)

悟(「過去」を変えて、俺は「未来」へと繋いだ)

悟(この選択が出来たことを誇りにさえ思う)


雛月「……あなた」

悟「!」

雛月「な、なんて、呼ぶことになっちゃうのかな?」

悟「……フツーに悟でいいから」

雛月「う、うん」


悟(こうして照れ合いながら)

悟(俺たちは笑い合いながら……ゆっくりと歩いていく)


悟(――まだ先の、見たことのない「未来」へ)


おしまい

18名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:39:23 ID:j1fJjwiY
原作では叶いそうにない雛月ルートを書きたかっただけです
二人の同棲生活中に何があったのかは想像にお任せします
この後、メチャクチャ佐知子さんにからかわれた

19名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 20:41:12 ID:cwdFcNck
あ〜いいっすね^〜
僕街二次創作流行らせコラ!流行らせコラ!

20名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 23:12:39 ID:lZVq6EbE
いいゾ〜これ

21名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/04(金) 23:14:06 ID:VUZ3K4Mc
だいじっこでも始まるかと思ってヒヤヒヤしてた

22名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 17:14:01 ID:lW7E99.k
付き合うまでの経緯とか書こうと思ったけど蛇足ですかね?
雛月ルートを書きたい欲求が…

23名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:22:22 ID:lW7E99.k


――18年前


悟「……」

悟(「私だけがいない街」、か)

悟(そのタイトル通り、雛月は……この地区からおばあさんの家に引き取られることになって)

悟(雛月がいなくなってしまった……)


佐知子「悟? どした?」

悟「……いや。何でもないよ、うん」

悟(そうだ。俺はこの人の命を守るために雛月を助けただけだ)

悟(そこには、それ以外の何もない、はずなのに――)

24名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:23:02 ID:lW7E99.k


――学校


ケンヤ「……悟? ちょっといいか?」

悟「あ、ああ、うん」

悟(雛月は転校してしまった。隣街の小学校らしい)

悟(距離からすると、そんなに離れちゃいない……会おうと思えば)

悟(って! な、何で会う必要があるんだよ! もう、終わったことだろ?)

悟(次にやるべきことは……そうだ。ヒロミと中西彩を――)


ケンヤ「――この踊り場」

悟「……え?」

ケンヤ「ここに来るまで、何考えてた?」

悟「……も、黙秘権を行使する」

ケンヤ「おいおい。ここは裁判所じゃないんだぞ?」

ケンヤ「アレだろ? ……雛月がいなくなったのが、そんなに寂しいか?」

悟「……ちが」

ケンヤ「違わない。だろ?」

25名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:23:42 ID:lW7E99.k
ケンヤ「まあ、その内なくなっちゃうだろうけど……雛月のいた、椅子と机があるもんな」

ケンヤ「お前、そこばっか見てるんだから。分かりやすすぎだって」

悟「……」

ケンヤ「――雛月の転校先、知ってるんだろ?」

ケンヤ「行ってこいよ。ヒロミなら大丈夫だから」

悟「でも」

ケンヤ「お前のわだかまりを解決しないと何も始まらない。違うか?」

悟「……ちが、わない」

ケンヤ「ん」

26名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:32:52 ID:lW7E99.k
悟(――放課後)

悟(俺はバカみたいに走っていた)

悟(八代から伝え聞いた学校を目がけて――)

悟(今日中に中西彩の行動先を調べておく必要がある。そのためにも、急がなきゃ)

悟(いやいや。そもそも、この行為自体無意味だろ?)

悟(しっかりしろ29歳! ……お前は、11歳の女の子に惚れるような男だったのか?)

悟(……そんなこと、知ったこっちゃなかった)


――悟。ありがと


悟(……また、会いたい)

悟(それだけの気持ちで俺は……走り続けた)

27名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:33:20 ID:lW7E99.k
悟「……つい、た」

悟(間に合った。これなら何とか……次の行動に繋げられる、はず――)

悟(ここ、だよな? 雛月は……)


悟「……」

悟(いるわけない、か)

悟(そりゃそうだ。あれだけのショックがあった直後じゃ、学校に来れないのも納得だ)

悟(きっと、あのおばあさんの家でまったり過ごしているんだろう。それならいいじゃないか)

悟(……帰ろう。そして、ヒロミと中西彩を――)


雛月「……さと、る?」


悟「……!」

雛月「え、えと……どうして?」

悟「……学校、ちゃんと来れてんのかなって心配で」

雛月「……今日はダメだったから、散歩ついでに下見してただけ」

悟「そ、そうだったのか。そうだよな、うん」

雛月「……」

悟「……」

28名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:33:49 ID:lW7E99.k
二人「――あの!」

雛月「……先、いいよ」

悟「う、うん。……えっとな」

悟(ああ、何だこの展開……やるべきことは「これ」じゃないだろ)

悟(また真犯人を止められなくなるかもしれないんだぞ。しっかりしろ、俺――)


悟(――だから、俺は)


悟「俺、雛月が……好き、みたいだから」


悟(自分でも驚くくらい、あっさりと言葉にしていた)

悟(もちろん、焦りもあった。次の行動に早く移らないとまずいことは直感していたから)

悟(ただ……言葉にしたら、こんなにあっさりと――)


雛月「……」

雛月「え?」


悟(――俺は、雛月加代に告白していた)

29名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:39:32 ID:NrZ4gNhA
ええぞ!ええぞ!

30名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:49:09 ID:lW7E99.k
悟「……」

雛月「……え、えっと」

雛月「私、は――」


悟「し、したっけ!」

雛月「え、ええ!?」

悟(おいおいおいおい、俺は何をしてるんだ?)

悟(頭がついてこない。感情だけがグルグル回り続けている)

悟(とにかく、言葉にしたら……俺は本当に雛月が好きなことに気づいてしまった)

悟(というか、何やってんだ俺! 雛月、何か言おうとしてたじゃないか!)

悟(で、でも! 次にすべきことが――ああ、もう分からない!)


雛月「……」

雛月「……ば」


雛月「バカ、なの……?」


悟(――後ろから、雛月の呟きが聞こえた)

悟(俺は振り返らない。いや、振り返れなかった……)

31名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 18:58:21 ID:lW7E99.k


――その後


悟「……」

悟(な、何をしてるんだ俺は……!)

悟(う、嘘だろ……俺がしたいことは、未来を変えたいだけで)

悟(それ以外に何もない、のに――)


佐知子「悟? どした?」

悟「……は、話せない」

佐知子「ふーん……顔、真っ赤だべさ」

佐知子「ははーん、これは……」

悟「な、なに?」

佐知子「いやー、あの子のこと忘れられないのかなーって」

悟「そ、そんなこと!」

佐知子「目は口ほどに物を言うんだべさ」

悟「……」


佐知子「いやー、悟もマセてるべさ」

悟「……別に、雛月のことじゃ」

佐知子「嘘だべさ。悟、あの子の話する時、いつも顔がちょっぴり赤かった」

悟「……」

佐知子「で? どうするつもりだい?」

悟「……そ、それは」

悟「い、いや。どうするもなにも、もうしちゃったっていうか」

佐知子「……へ?」

悟(声に出てた!)

32名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:04:07 ID:lW7E99.k
悟「……」

佐知子「なるほど。もう告白しちゃったのかい」

佐知子「いやー……我が息子ながら感服だべさ」

悟「……俺、いけないことしちゃったのかな」

悟「雛月に、この街のこと思い出させちゃう気がして」

悟(いや、それだけじゃなくて色んな意味でヤバいんだけど……)

悟(しっかりしろ29歳! お前、一体何をしてるんだ!)


佐知子「……それで、返事は?」

悟「……聞かないで逃げちゃった」

佐知子「あれま。それはダメだべさ」

悟「じ、事情があったんだよ」

悟(ヒロミを見に行ったり、中西彩を尾行したり……色々)

悟(……それだけじゃないことに気づきながら、俺は気づきたくなかった)


悟(――返事を聞くのが怖かった、なんてことに)

33名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:26:30 ID:lW7E99.k


――翌日


悟「……」

ケンヤ「悟、ちょっといいか?」

悟「……うん」


ケンヤ「……昨日、俺たちの所に来た時」

ケンヤ「凄く顔赤かっただろ。何かあったのか?」

悟「……も、黙秘け」

ケンヤ「そっか。……会ったんだな?」

悟「……」


ケンヤ「それで? 何かあったんだろ?」

悟「……な、何も」

ケンヤ「嘘つけ、何かあったって目が言ってる」

悟「……け、ケンヤはそれ聞いてどうしたいの?」

ケンヤ「ん? 友達を助けられるなら助けたいなって思うだけだけど?」

悟「……」


ケンヤ「――はー」

ケンヤ「お前も思い切ったことするなぁ……まさか、即決って」

ケンヤ「そっか。やっぱり、そうなるよな」

悟「あ、あまり言わないで」

ケンヤ「うん。このことはヒロミたちにも言わない」

ケンヤ「俺たちだけの秘密にしよう。それでいいよな?」

悟「……ありがと」


ケンヤ「……今日の放課後、だけど」

ケンヤ「俺が悟の役、全部引き受けるよ」

悟「えっ?」

ケンヤ「ヒロミを公民館に誘って、家まで送ってく」

ケンヤ「……分かってるな?」

悟「……」

悟「うん。ありがと、ケンヤ」

ケンヤ「まぁ、ちょっとした『貸し』みたいなもんだし」

ケンヤ「……もうすぐ、放課後だな」

悟「……うん」

34名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:28:00 ID:zzCF/n2M
いいゾ〜これ

35名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:28:29 ID:CLgTd2Kg
軽く上でネタバレちっくなもの見ちまったけど悟と雛月は原作ではくっつくないのか・・・・。

36名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:35:23 ID:lW7E99.k
>>35
あくまで「くっつきそうにない」ってだけで可能性はある、かも(願い)

37名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:36:24 ID:lW7E99.k


――放課後


悟(……とはいえ)

悟(さすがに中西彩の尾行まではケンヤにも話せなかったから……俺は走らざるを得ない)

悟(いや……走る理由はそれだけじゃないことにも気づいていた)


悟「……ひな、づき」

悟(早く、会いたい――)



悟「……」

雛月「……バカ、なの?」

悟「な、何が?」

雛月「そんなに急いで。……私に会える保証なんて、ないのに」

悟「……早く謝って、返事聞きたかったから」

悟「昨日はごめん!」

雛月「……別に、気にしてないし」

38名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:36:53 ID:lW7E99.k
悟(――学校に着いた俺はすぐに雛月と会えた。いや、会えてしまった)

悟(雛月は、どうやら普通に登校して……今、まさに学校から出てきた所だった)

悟(いくらなんでも出来すぎだろ、タイミング……)


雛月「……た、ただ」

雛月「私、ああいうの、その……困る、というか」

悟「……そ、そっか」

悟(不思議と、落胆の気持ちは薄かった)

悟(どこかで29歳の自分が、こんな姿を晒している自分を俯瞰している感じがしたから)

悟(だから……スッパリ断ってくれた雛月に感謝した)

39名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:37:21 ID:lW7E99.k
悟「――ありがと」

雛月「……え?」

悟「ちゃんと、返事くれたから」

雛月「え? へ、返事?」

悟「うん。……それじゃ、したっ――」


雛月「へ、返事って……私、まだしてないしっ!」


悟「……え?」

雛月「……『困る』って言っただけ、だし」

雛月「だ、だって……ああいうの慣れてないし。というか、初めてだし」

悟「……じゃ、じゃあ?」

雛月「……」


雛月「――あのさ」

雛月「私に、それ言わせるつもり?」

雛月「もう、私の気持ちは……手紙にしたでしょ?」

悟「……」

悟「あ、あれ……告白、だったの?」

雛月「……バカ、なの?」

悟(俺の好きな材料をふんだんに詰め込んだ料理)

悟(それをまた一緒に作りたい、という内容だったっけ――)

40名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:42:51 ID:lW7E99.k
雛月「……」

悟「……え、えっと」

雛月「バカ」

悟「……え?」

雛月「悟は大バカ」

雛月「私、ずっと……忘れられなかった、のに」

悟「……」


悟(――気づくと)

悟(俺は雛月の手を握っていた)

悟(雛月はビクッとした後で……コクッと頷いた)

悟(それから、俺たちは――ゆっくりと歩き出す)

41名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:43:19 ID:lW7E99.k
雛月「……は、離れなきゃいけないのに」

悟「何で?」

雛月「わ、私……まだ転校したばっかりなのに」

雛月「い、一応、周りには見た感じの顔ないけど」

悟「それじゃ、いいよ」

悟「……いつも、こうして繋いでたよね」

雛月「……い、言わないで」

悟「それでさ。一緒に星見たり」

雛月「や、やめ……」

悟「後は……そうだ。ご飯、一緒に――」


雛月「……さ、悟!」


悟(……言うやいなや)

悟(雛月は俺に抱きついてきた)

悟(学校から少し距離が離れた所で、人目に付きにくい場所ということもあって……俺たちは抱きしめ合った)

悟(まるで……ずっと前からこうしてた気さえするくらいの勢いで)

42名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/03/05(土) 19:55:09 ID:lW7E99.k
悟「……」

雛月「……悟は、私の恩人」

雛月「だ、だから引っ越したくなかった! ずっと一緒にいたかった、のに」

悟「いいよ」

悟「別に、そんな離れてないし。自転車だったら、もっと早く会えるし」

雛月「……え?」

悟「だからさ。雛月は、お母さんのこととかあってあの街に来たくないかもしれないけど」

悟「俺がこっちに来ることは……いい、よな?」

雛月「……」

雛月「もう」


雛月「――バカ、なの?」


悟(そう言うと、雛月は笑った)

悟(俺もそれを見て……笑った)

悟(そして、思った。……ああ、求めてた幸せって、こういうことだったんだ、と)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板